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2019年1月11日金曜日

☆2019年ドイツの課題 NATOでの役割拡大と安保理での責任---装備品不足の背景に何があるのか

Germany picks up two thorny defense and diplomacy assignments in 2019 ドイツの2019年の課題は国防と外交の難題だ


ドイツ国内ムンスターの演習地で夜間暗視装置を外すドイツ連邦軍兵士。 Dec. 6, 2018, in Munster, Germany. (David Hecker/Getty Images)



年を迎えたドイツに国防、外交で課題がふたつ立ちはだかる。NATO高度警戒戦闘態勢の確立と国連安全保障理事会での任期二年間の非常任理事国としての責任だ。
このふたつでベルリンはグローバル問題に積極的な役割を果たすと約束しており、真意を試される機会がアンゲラ・メルケル首相の任期最終段階で訪れる。

1月1日時点でのドイツはNATOが新設した高度即応統合任務部隊 Very High Readiness Joint Task Force (VJTF)に5先名派遣することになっており、戦闘事態が発生すれば48時間から72時間で戦闘投入するのが目標だ。提携国は順繰りで変え、オランダ、ノルウェー、フランス、ベルギー、チェコ、ラトヴィア、リトアニアも参加し最終的に8千名規模の部隊となる。

即応部隊はロシアを意識し戦闘部隊をヨーロッパ内に迅速移動しロシアに有利な状況を産まれさせないことにある。各国政府は2014年のウクライナ内クリミア半島のロシア併合を苦々しく思っており、最近でもロシア、ウクライナがアゾフ海でにらみ合いをしている。両案件ともロシアに都合の良い秩序を国境付近に築こうとするロシアの動きだと事情に詳しい筋が解説する。

ドイツ国防省はVJTFで戦闘装備を迅速に移動させることを目指す。昨年に110百万ドルの支援契約が成立し、民間業者が軍事鉄道輸送に協力する内容になっている。有効期限は一年間だ。
連邦軍は装備不足、管理問題の双方に苦しめられており、任務部隊の主力の座として装備品の確保が大きな問題だ。全部隊からかき集めた装備品を第一線部隊にあてがうことがとりあえず効果を上げたものの残る部隊の即応体制を犠牲にしているとベルリンに本拠を置くドイツ対外関係協議会のアナリスト、クリスティアン・モーリンが指摘している。「つまり連邦軍の残りの部隊は抑止力の体をなしていないということだ」。

任務部隊は警戒態勢をとっても、ドイツ政府の意思決定が有事の際にどうなるかが問題だとモーリンは述べる。政府と議会に有事対応の事前調整ができておらず、国内議論が起これば迅速対応ができなくなる可能性があるという。

特にNATO憲章第五条にある加盟国が攻撃を受けた際の集団安全保障が発効しない範囲でロシアが活動展開する傾向があるためこの危惧は深刻だ。

グローバルな危機が深まる中、ヨーロッパと米国の関係も悪化しており、ドイツ政府内ではVJTFを展開することでロシア大統領ウラジミール・プーチンに好機を与えていいのかとの議論があるとモーリンは指摘する。

国連安保理非常任理事国としてドイツがニューヨークで米政府と厳しく対立する状況は容易に想像できるとシンクタンク欧州対外関係協議会の政策研究員専門家ウルリケ・フランケが述べている。

ドイツ人の多くがドナルド・トランプ大統領には辟易しておりドイツの戦後体制を実現したNATO等の多国間取り決めに批判的な大統領の態度に警戒している。グローバル同盟関係の信奉者ジム・マティスが国防長官辞任を発表しその傾向が強まっている。

ドイツ外相ハイコ・マースは1月1日にツイッターでドイツが安保理で何を目指すかに触れている。気候変動関連の安全保障、また軍縮、軍事装備管理も言及した。ともにトランプ政権が軽視している話題だ。

.だがドイツと米国の安全保障理事会での投票傾向を見ると共通が多く深刻な問題にならないのではないかと前出のフランケは見る。

ただし現実問題になると、ドイツの理事国任期中にドイツ政府は真の意味でグローバルな外交方針を模索し内外に示していくとフランケは見ている。■