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2022年7月12日火曜日

米空軍が空中発射レーザーポッドの実機試験をまもなく開始か。LANCEを扱うAFRLの動向に注目。

 F-16_SHIELD_LASER_POD

LOCKHEED MARTIN


米空軍はポッド型防御用レーザー兵器を取得しており、初の空中テストを始める。

 

 

空軍は、航空機に搭載可能なポッド型高エナジー・レーザー兵器を受領した。このニュースは、ロッキード・マーチンが開発したもので、テスト作業のために空軍に引き渡されたと今日、発表が出た。この取り組みは、敵のミサイルやその他のターゲットと交戦できるレーザー武装した戦闘機の実現という、大きな枠組みの中で行われている。

 

ロッキード・マーチンが、今年2月に空軍に高エナジーレーザー兵器「LANCE」を納入していたことが、本日付のBreaking Defenseで確認された。LANCEとは、"Laser Advancements for Next-generation Compact Environments"「次世代のコンパクト環境のためのレーザー」の略だ。空、宇宙、サイバースペース領域における新技術の開発・統合を担う空軍研究本部(AFRL)に納入された。

 

ロッキードのタイラー・グリフィンTyler Griffinは、以前記者団に対し、LANCEは「ロッキード・マーチンでこれまで製造した同出力クラスで、最も小さく、最も軽い、高エナジー・レーザー」であると述べている。

 

グリフィンによるとLANCEは、ロッキードが陸軍向けに製造した指向性エナジー兵器の「6分の1の大きさ」とある。このレーザーは、Robust Electric Laser Initiativeプログラムの一部で、60キロワット級出力だった。LANCEの出力は不明だが、100キロワット以下と言われている。

 

 

ロッキードは、指向性エナジー兵器で武装した未来の移動戦術車コンセプト含む地上ベースのレーザーでの経験をLANCEに活かしている。Lockheed Martin

 

LANCEでは小型軽量化に加え、電源出力要件を下げており、戦闘機用レーザー、特にポッド搭載可能なレーザーにとって重要な要素だ。

 

防衛任務に成功すれば、LANCEは、次に地上や敵機から発射された対空ミサイルを狙う場合より遠距離で敵機やドローンを攻撃するなど、より攻撃的なレーザー兵器の開発に進展する可能性がある。

 

LANCEは2017年11月交付の契約に基づき開発されたもので、空軍の幅広い防衛高エナジーレーザー実証機(SHiELD)プログラムの一部だ。

 

SHiELDは、ロッキード・マーチン、ボーイングノースロップ・グラマンの共同事業である。ロッキード・マーチンがLANCEレーザー兵器の実機を提供し、ボーイングがポッド製造、ノースロップ・グラマンがレーザーをターゲットに照射維持するビーム制御システムを担当する。

 

 

2021年3月、テネシー州アーノルド空軍基地の4フィート遷音速風洞で、指向性エナジーシステムのタレットを見るエンジニア。U.S. Air Force/Jill Pickett

 

AFRLで指向性エナジー部門のディレクター代理をつとめるケント・ウッドKent Woodは、Breaking Defenseに対して、各種SHiELDサブシステムは 「これまでに納入された中で最もコンパクトで高性能のレーザー兵器技術の結晶」 と述べている。

 

また、ウッドの声明では、AFRLによるテスト作業は初期段階とあり、「任務実用性分析とウォーゲーム研究」が進行中とある。「今後のテストやデモンストレーションの具体的なターゲットは、研究の結果で決定される」と述べた。

 

一方、ロッキードのグリフィンは、プログラムの次の段階では、LANCEを熱システムと統合し、加熱と冷却を管理すると説明。

 

LANCEが飛行試験、さらに空中発射試験に進み、どの機体に搭載されるかは現段階では不明だ。しかし、グリフィンは、「各種潜在的なアプリケーションとプラットフォームをデモンストレーションとテスト用に検討中」と述べている。

 

ロッキード・マーチンのコンセプトアートでは、F-16戦闘機に搭載されたポッドが描かれていた。また、SHiELDは当初、高リスク環境における戦闘機の能動的防御の可能性の証明に中心をおくが、関係者は、大型機材や戦闘支援機にも同じ技術を適応させる可能性があると話している。

 

ボーイングは2019年、試作前のポッド型ただし内部サブシステムなしを空軍のF-15戦闘機に搭載して飛行させた。一方、地上テストでは、デモンストレーション・レーザー兵器システム(DLWS)と呼ばれるレーザーが、2019年にニューメキシコ州のホワイト・サンズ・ミサイル発射場上空で空中発射ミサイル複数の撃墜に成功している。

 

完全なSHiELDシステムの最初のテストプラットフォームに関する決定は、飛行実証予算が確保された後に行われると思われる。LANCEとSHiELDがどのように実際のプログラムに発展し得るかについて正式な移行計画もまだない。

 

現状では、作業スケジュールも不明で、AFRLはBreaking Defenseに対して、空中試験がいつ行われる可能性があるかは未決定と伝えている。

 

2017年後半、AFRLは2021年までに戦術戦闘機でレーザーをテストすると述べていた。その後、2020年にロッキード・マーティンは、2025年までに戦術戦闘機でレーザーの1つを飛ばす予定だと述べた。空軍は昨年、ポッド型レーザー兵器の飛行試験開始予定を2年早め2023年にすると発表したが、技術面で問題にぶつかっている。この遅れは、技術的な困難とCOVID-19パンデミック関連での作業の遅れの両方が原因とされる。

 

昨年2月、AFRLはSHiELD用のボーイング製ポッドの納品が間近で、LANCEを含む残りのコンポーネントを2021年7月までに入手したい旨を発表していた。過去にAFRLは、敵の超音速ミサイルを撃墜する指向性エナジーレーザーの技術的課題を「途方もない」と表現していたが、今回の遅延の理由は明らかではない。

 

一方、空軍のパイロットは仮想現実の戦場環境で、ポッド搭載の空中レーザー兵器を使う模擬任務の飛行を行っている。このウォーゲームは、兵器システム開発に使用可能な仮想テスト環境を開発する空軍の幅広い取り組みの一部だ。

 

SHiELDは、ポッド型レーザー防衛システムの可能性を示すのが目的で、最終的には赤外線フレアやチャフなどの消耗品対策や電子戦システムの補助となり得るコンセプトを示唆している。

 

しかし、レーザー防衛システムには欠点もある。大気の状態に影響を受け、指向性エナジービームの範囲と威力に悪影響を及ぼす可能性がある。また、レーザーは一度に1つの目標にしか照射できないため、既存のデコイなどの対抗策に取って代わるのではなく、むしろ補完する存在になるだろう。レーザー兵器が将来の戦場に何をもたらすかについて詳しい調査がある。

 

しかし、最終的に成熟した高エナジーレーザー兵器は、ミサイルからの機体防御以外の、各種役割に使用される可能性がある。目視距離で敵機に交戦したり、巡航ミサイルを叩き落したり、あるいは地上の目標物を攻撃するなど、攻撃兵器になる可能性もある。

 

基礎技術の問題がどこまで解決されているかは不明だが、今年初めにLANCEが納入されていたことが、戦闘機用レーザー兵器の実現に向けた大きな一歩であることは明らかだ。■

 

First Laser Weapon For A Fighter Delivered To The Air Force

BYTHOMAS NEWDICKJUL 11, 2022 3:15 PM

THE WAR ZONE

 



2019年5月6日月曜日

戦闘機搭載ポッドの実現に近づいてきたレーザー兵器の最新テスト結果

本ブログではエネルギーの代わりにエナジーを訳語として採用しています。先回のレイセオン製に続きロッキードもレーザーで大きな存在感を示しています。



The Air Force Just Shot Down Multiple Missiles With A Laser Destined For Fighter Aircraft

米空軍がレーザーでミサイル複数撃破に成功。戦闘機へ搭載予定

The service wants this game-changing capability to be hanging off the wings of fighter jets by the early 2020s.

2020年代初頭にも戦闘機主翼下に戦闘を一変させる装備を導入する


空軍からレーザーで空中発射ミサイル数発の撃破に成功したと発表が出た。今回は地上配備型を投入したが戦闘機等に搭載し空中での脅威排除が期待されている。空軍発表では装備をポッドにおさめ2021年に飛行テストし、2020年代中に実戦配備したいとある。
空軍実験本部(AFRL) は2019年4月23日に米陸軍ホワイトサンズミサイル試射場(ニューメキシコ)で契約企業ロッキード・マーティンと今回の試射を行ったと発表。ロッキード・マーティンは指向性エナジー兵器開発契約を2017年に交付され、自機防衛高出力エナジーレーザー実証事業Self-Protect High Energy Laser Demonstrator (SHiELD)の高性能技術実証Advanced Technology Demonstration (ATD) にあたってきた。この内レーザー部分は次世代小型化レーザー発展事業Laser Advancements for Next-generation Compact Environments (LANCE)としてSHiELDの一部として進められてきた。戦闘機に搭載可能なポッドにすべておさめる装備は同じSHiELDでもSHiELDタレット研究航空効果SHiELD Turret Research in Aero Effects (STRAFE) と、レーザーポッド研究開発 Laser Pod Research & Development (LPRD) として別事業扱いされてきた。
「テスト成功は大きな一歩で指向性エナジー装備と防御策がこれで先に進みます」とAFRL所長空軍少将ウィリアム・クーリーは声明文を発表。「敵ミサイルを光速で撃破する技術で厳しい空域でも航空作戦の展開が可能となります」
ただしテスト内容に不明な点が多い。まず基本条件が不明でレーザー操作員がミサイルの飛来方向等を事前に知っていたのか、高度や飛来のタイミング、天候条件は把握していたのかわからない。空軍は投入したミサイルの種類を明らかにしておらず現実的な脅威対象を模したのだろうか。とはいえレーザーで目標捕捉、追尾、交戦、破壊の一連の作業ができたのはSHiELD開発で大きな一歩だろう。
空軍が複数目標に対応できる装備を導入するということは低出力段階は完了したことになる。2016年時点では空軍は高出力テスト第二段階で代替レーザー発射装置の運用は想定していなかった。ただし大日程が変更となった可能性はある。
空軍は 飛来する空対空ミサイルをSHiELDで撃破したいとする。同時に地対空ミサイル対応も高リスク防空体制の内部での作戦実施には必要だ。空軍は同装備を大型で低速飛行の戦闘機材や支援機材にも応用できるとし、爆撃機、給油機、輸送機のほか高性能レーダー他センサーを用いるミサイルの技術進歩にも対応出来ると見ている。

LOCKHEED MARTIN
An artist's conception of a future fight jet shooting down a threat with a laser.

今回のテストがSHiELDの全体テスト工程でどの部分に相当するかも全く不明だ。AFRLがテストを三段階にわけていたとする2016年の資料を The War Zoneは情報公開法で入手した。
入手資料には検閲部分も多いものの第一段階で低出力地上テスト、低出力飛行テストを代替レーザー装置でおこなうとあり、現在がこの段階と思われる。下に地上発射テストに関する資料を掲載した。ただし空軍は第一段階の飛行テストの詳細説明すべてを検閲で消した。

USAF VIA FOIA

地上テストは予定通りの進展だが、代替レーザー装置による飛行テストはまだ先なのかもしれない。ロッキードと空軍がテストに使う機材も不明だが、同社は改造ダッソー・ファルコン10ビジネスジェットにターレットレーザーを搭載し空中適応型空中視覚ビーム制御Aero-Adaptive, Aero-Optic Beam Control (ABC)に使っていた。
AFRLはABCを国防高等研究プロジェクト庁 (DARPA)とともに進め、この実験で高度焦点合わせ安定化技術の有効性を確認している。AFRLによればこれまでの指向性エナジー兵器開発事業はABCのようにSHiELDにも継承されており、ビーム焦点を自動安定化させる制御能力が必要とされるとしている。
SHiELDでは出力変調であらゆる条件で敵装備を無力化させる効果の実現が必要だ。レーザーの有効範囲と出力はその他指向性エナジー兵器と同様に大気状態に大きく依存し、雲や煙でビームが分断されてしまう。
それを念頭に、SHiELDの第一段階ではレーザー以外に「飛行中にポッドでのビーム制御、出力確保、冷却、システム制御」が重要とロッキード・マーティンの契約内容にあるが、LPRDポッドやSTRAFEタレットの製造メーカーは不明だ。

USAF VIA FOIA

空軍では現時点の主な課題はロッキード・マーティンが代替レーザー装置をどこまで小型化しポッドに収めることだとする。
半導体レーザー技術は大きく進展を示している。ロッキード・マーティンがSHiELD契約交付を受けた2017年当時では同社は60キロワットレーザーを米陸軍の地上配備テスト用に納入していた。同年に陸軍のAH-64アパッチ・ガンシップヘリコプターがレイセオン製の半導体レーザーポッドで目標をホワイトサンズで破壊に成功した。米海軍も独自にレーザー兵器を艦載用に開発し、各軍でのレーザー兵器テストは広く行われている。
さらに空軍はSHiELDの成功にむけ動いている。ポッド搭載レーザー防御装備が軍用機に導入されれば革命的な出来事になる。高温燃焼式のフレアやレーダー波撹乱用のチャフは搭載量が限られるが、レーザー兵器は事実上無限に使えると言って良い。.
とはいえSHiELDに限界がないわけではない。タレット式レーザーでは一度に一つの標的に対応するだけだが大気状況による効果減少リスクがある。今後登場するレーザーミサイル防御システムは機体防御装備の一環としてその他の手段と併用されるはずだ。電子戦ジャマー、曳航式おとり、直撃迎撃体が想定されている。
ではSHiELDや派生装備は視界内空戦で攻撃手段に使えないのか。あるいは対地攻撃にはどうか。防御用ポッドで発射するレーザー兵器は今後の攻撃用装備の基礎にもなりそうだ。
2018年10月、高出力エナジーレーザーや高出力高周波指向性エナジー兵器で「空中からの精密攻撃」ミッションや防御任務をSHiELDと別の提案をAFRLが公募した。また空軍特殊作戦軍団 (AFSOC) は攻撃用レーザーをAC-130ゴーストライダー・ガンシップに2022年までに導入するとしていたが、この日程は先送りになったようだ。

全て予定通りなら空軍はあと二年もすればポッド式 SHiELDシステムの試作型を戦闘機で実証する。今回のホワイトサンズでの最新テストを見ると事業は予定通り進展しており、戦場のあり方を一変しそうな技術が実用化に近づいているようだ。■

2017年11月8日水曜日

2021年に戦闘機搭載レーザー兵器が登場する


レーザー兵器の記事も随分と具体的になってきました。それだけ急ピッチで開発が進んでいるのでしょう。民生部門ではファイバーレーザーはすでに製品化されていますが、軍用は出力がけた違いに大きく、さらに照準の相手が高速飛翔中の対空ミサイルなので制御体系もまったくちがうのでしょう。自機防御が狙いですが、早晩敵機攻撃さらにミサイル撃破にむかうのではないでしょうか。技術的に後れを取った中露が「平和勢力」をけしかけてレーザー兵器の廃止を運動にしてくるかもしれません。その前に機密情報のセキュリティを厳重にしないといけませんね。


Coming in 2021: A laser weapon for fighter jets

戦闘機搭載レーザーが2021年に実現する

Lockheed Martin is helping the U.S. Air Force Research Laboratory develop and mature high-energy laser weapon systems, including the high-energy laser pictured in this rendering. (Courtesy of the Air Force Research Laboratory and Lockheed Martin)

By: Valerie Insinna    3 hours ago
WASHINGTON — ロッキード・マーティンは高出力レーザーを米空軍戦闘機に搭載した実証実験を2021年に行う。
  1. 同社は26.3百万ドル契約を交付され空軍研究本部の自機防御高エネルギーレーザー実証別名SHiELD(Self-protect High Energy Laser Demonstrator)でファイバーレーザーの設計製造を行う。レーザーはサブシステム二つで構成し電力供給と冷却用ポッドとビーム制御装置にわかれる。
  2. 成功すれば画期的だ。空軍は既存手段より安価に地対空、空対空ミサイルの脅威を除去する方法を求めてきた。
  3. 産業界は車両や機内搭載をめざしレーザーの小型化に十年近くてこずってきた。ロッキードのレーザー兵器システム主任研究員ロブ・アフザルRob Afzalが解説している。ただし、ファイバーレーザー技術の改良で小型化しつつ高出力の実現が見えてきた。
  4. 「小型化しつつ高効率で電力を高出力レーザービームに変換できかつビーム性能を高くなりました」(アフザル)「高効率のため電力消費を最小限にし、排熱も同様です」
  5. ではロッキードのレーザーはどのくらいの出力なのか。アフザルは口を閉ざすが、「数万ワット」とだけ教えてくれた。また搭載する戦闘機の種類についても、SHiELDのテスト方法についても明かさず、空軍に聞いてほしいとだけ述べている。
  6. ロッキードはレーザーの地上テストを終了してから空軍実験部門に装置を渡し、その他SHiELDサブシステムと一体化して機種不明の機体でテストするのだという。
  7. ノースロップ・グラマンがビーム制御装置を製造中で略称はSTRAFE(SHiELD Turret Research in Aero Effects)でボーイングがSHiELDシステムを統合しポッドに入れる。
  8. アフザルはロッキードからのレーザー装置引き渡し時期や初期設計審査の終了予定も明かしていない。
  9. ロッキードは高出力戦術レーザー開発で知見を有している。今年初めに同社は60キロワットレーザーを米陸軍に納入し、大型高機動戦術トラックに搭載された。また30キロワットレーザーは実戦で四年間使用中だとアフザルが紹介している。■

2016年11月6日日曜日

★★航空機搭載レーザー兵器の開発はここまで進んでいる



航空機搭載レーザー装備の開発はかなり進んでいるようです。技術に遅れを取る中ロはこれに警戒してくるはずですね。技術漏えいが発生しないよう高度の保安体制が必要です。実現すれば戦闘の様相は大きく変わります。

The National Interest


Northrop Grumman Is Building Laser Weapons to Save America's Future Fighter Aircraft from Missile Attacks

November 4, 2016


ノースロップ・グラマンが開発中のレーザー兵器は次世代戦闘機を敵ミサイルから防御するのが目的で米空軍研究所AFRLが契約交付している。

  1. 同社はビーム制御部分を開発製造し、AFRLが自機防御高エネルギーレーザー実証事業Self-Protect High Energy Laser Demonstrator (SHiELD)の高度技術実証(ATD)として今年8月に契約交付うけた。SHiELDはポッド搭載のレーザー兵器実証装置で指向性エネルギーを防御につかう。
  2. 「ノースロップ・グラマンが中心のチームで革新的なビーム照準を実証済みのビーム制御技術に組み込んで空軍が求めるレーザー兵器の性能を現行並びに次世代の機材に織り込みたい」とノースロップ・グラマン・エアロスペースシステムズが声明を発表している。
  3. SHiELDでのノースロップの役割は重要なビーム制御にある。ビーム制御装置により飛行中の大気状況を把握したうえでレーザーのゆがみを補正する。また飛来する目標を捕捉追尾し、レーザー照準をする機能で、その後にレーザービームを「成形」し焦点を目標に合わせる。具体的にはミサイルや敵機本体を想定する。
  4. ノースロップの担当部分はSHiELDタレット研究の空中効果部分(略称STRAFE)でAFRLは最終的にSTRAFEビーム制御装置をレーザー発生装置、電源、冷却装置と一体にすることだ。AFRLはその他要素部分を別契約で開発中だ。
  5. AFRLはSHiELDをポッドに収めて高度防空体制でも機体の残存性を大幅に上げようと考えている。そこでSHiELDを戦術航空機に搭載し超音速飛行中にコンセプトの有効性を確認したいとする。フライトテストはすべて順調なら2019年にはじまる。
  6. SHiELD実証が成功すれば、空軍は実戦用装置を既存の第四世代戦闘機各型向けに開発し、残存性を高める。SHiELD技術は米海軍の機材にも有効に活用されるはずだ。
  7. また次世代の侵攻制空機材としてロッキード・マーティンF-22ラプターの後継機になる機体にもSHiELDを搭載し、ここでは最初から機体内部にとりつける。ポッド型のSHiELDは第五世代機F-22やF-35にはステルス性能を損なうため望ましくない。同様にノースロップ・グラマンのB-2スピリット、B-21レイダー爆撃機にも搭載するのは困難だろう。
  8. それでも指向性エネルギー兵器とは大きな可能性があることがわかっているものの、レーガン政権の時代から実現に困難が実感されている技術である。それが10年後には実用化されようとしているわけである。
Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.
Image: Northrop Grumman.

第五世代機に装着できず、第四世代機の防御性を引き上げるのであれば、ステルス性能が無駄になりますね。「常識」で考えればレーザー発生に必要な電源その他の大きさから言って現在の戦闘機サイズでは搭載は困難と思っていましたが、なんらかのブレイクスルーがあった、あるいはこれからあることを期待しているのでしょうか。それとも大型戦闘航空機の構想でこそ実現するものなのでしょうか。