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2025年5月20日火曜日

シリア上空のトルコ軍VSイスラエル軍ジェット機の異常接近:中東に新たな危機が生まれそう(19fortyfive) — シリアで力の真空が生まれ、拡張主義の両国が進出を狙い対立するのは非常にわかりやすい状況で、これが現実の姿です

 



Freepik


2024年12月のバッシャール・アル=アサド政権退陣とHTS指導者アーメド・アル=シャラーの台頭を受け、シリアでは米国の同盟国であるトルコとイスラエルの間で緊張が高まっている


トルコとイスラエルがシリアで衝突 トルコとイスラエルはともに、何十年にわたりワシントンの最も親密な同盟国リストに名を連ねてきた。


 ワシントンの熱心な支援でNATOは1952年にトルコを加盟させた。米国の指導者たちは、冷戦時代も冷戦後も、トルコを同盟の南東側を守る不可欠な守護者とみなしてきた。米国とイスラエルは、1948年のイスラエル建国以来「特別な関係」にあり、両国の外交政策は数十年にわたって緊密化してきた。 ワシントンはイスラエルに、米国の兵器庫にある多くの高性能兵器へのアクセスを与えてきた。


同盟国間の緊張

しかし、アメリカの2つの緊密な同盟国間の緊張は、特にシリアで直接対立する目的を追求する中で高まっている。2024年12月、ハヤト・タハリール・アル・シャーム(HTS)率いる主にイスラム主義の反体制派連合が、50年間シリアを支配してきたバッシャール・アル=アサドを打倒した。

 『フォーリン・アフェアーズ』誌に寄稿した中東研究者のデイヴィッド・マコフスキーとシモーネ・サンドメアは、HTSの指導者であるアーメド・アル・シャラがシリアを掌握し、外国勢力は彼の行動に舵を切ることを望んでいると指摘する。「隣国であるイスラエルとトルコの2カ国は、この権力の空白を利用しシリアに進出しており、すでに対立を始めている」。 マコフスキーとサンドメアは、「トルコはシリアで支配的な軍事大国として台頭している。2019年以降、HTSはシリア北西部のイドリブを掌握し、何年もの間、アンカラはシリア北部の緩衝地帯をアサド軍から守ることで、間接的にHTSを支援してきた。 今、トルコはシリアでの影響力をさらに高めようとしている」。

 残念なことに、イスラエルもシリアにおける影響力の拡大を望んでおり、アンカラが権力の空白を悪用してアンカラの支配下にあるイスラム過激派の新たな波を支援しないとは信じていない。 マコフスキーとサンドメアは、「イスラエルの指導者たちは、アサド失脚を戦略的な収穫とみなし、シリア南部に緩衝地帯や非公式の勢力圏を確立することで、アサドの失脚を利用しようと躍起になっている」と結論づけている。イスラエルがトルコの存在を特に懸念しているのは、アンカラがシリアに反イスラエルの過激派を匿うように仕向けることを恐れているからだ」。

 5月上旬、トルコとイスラエルの戦闘機がシリア上空で独自に至近距離で作戦を展開し、緊張が燃え上がった。 イスラエル軍機はイスラム過激派勢力を攻撃しようとしていたが、トルコ軍機はイスラエル軍の攻撃を妨害し、その標的を守ろうとしていた。

 シリアの公式通信社SANAは、金曜の砲撃の際、ダマスカス近郊のハラスタ郊外とアル・タール市に対するイスラエルの攻撃で、民間人1人が死亡、数人が負傷したと報じた。 イスラエル放送局はトルコの妨害を確認し「トルコ機が警告信号を送り、イスラエル戦闘機を妨害してシリア領空から退去させている」と報じた。

 トルコ政府高官は、イスラエルがシリアでの活動を拡大していることに不満を募らせており、アンカラはこれを自国の利益と地域の安定に対する脅威と考えている。

 問題の根源は、イスラエルとトルコがともに積極的な拡張主義国であることだ。アメリカの指導者たちは、1967年の戦争後、イスラエルがシリアのゴラン高原を占領し、最終的に併合したとき、ほとんど抗議の声も上げずに傍観していた。

 その後のイスラエル政府は、入植者をヨルダン川西岸に移動させ、パレスチナ住民を強制的に追い出し、イスラエル入植者とイスラエル軍車両専用の道路を建設した。 イスラエルの閣議は、ヨルダン川西岸のかなりの部分を事実上併合するような新たな措置を承認したばかりだ。

 ワシントンもまた、ガザを支配し、パレスチナ住民を追放しようとする同盟国の動きに積極的に協力してきた。 ガザでのイスラエルの拡張主義的な目的は、今もなお続いている。 拡大された "緩衝地帯 "を形成したイスラエルは、現在ガザの50%を支配している。


 トルコからの侵略

トルコは、キプロス、イラク、シリアの3つの隣国に対して、不法な領土獲得のために露骨な侵略行為を行っている。トルコ軍は1974年夏、キプロスに進駐した。表向きは、島の人口の約20%を占め、より大規模なギリシャ系キプロス人社会と暴力的な対立を繰り返していたトルコ系キプロス人を保護するためだった。この時、トルコ軍は北部のトルコ系住民が多い地域の前線基地から外へと拡大し、島中のギリシャ系住民の居住地域を占領した。

 トルコのキプロスに対する侵略は、後にロシアがウクライナで行った行為よりも大胆かつ大規模なものだった。 モスクワは現在、同国の約20%を支配している。アンカラはキプロスの40%を占領し続けている。 北大西洋条約機構(NATO)加盟国がこのような露骨な侵略行為を行ったことに対し、議会では広く怒りの声が上がり、トルコに対する制裁措置が発動された。

 しかし、国防総省や外交官僚、防衛産業界にいるアンカラの支持者たちは、当初からこうした制裁を薄めようと努力していた。 数年のうちに懲罰的措置は薄れ、ワシントンとアンカラの協力関係は正常に戻った。 議会は1978年、トルコへの武器売却の禁輸措置を解除した。

 キプロスは、アンカラが追加的な領土の支配権を得るために軍事力を行使した最も顕著な犠牲者だが、それだけではない。2003年にサダム・フセインのイラク政権が打倒され、イラク北部にクルド人自治区が設立された後、トルコ軍は何十回もの侵攻を行った。

 ドナルド・トランプの第一次政権時にアンカラはシリア北部のクルド人支配地域に対してさらに大規模な行動をとった。トルコ政府はどちらの国の土地に対しても正式な領有権を主張していないが、アンカラは事実上、両隣国との国境を越えた領土の大部分を支配している。

 ワシントンは大きなジレンマに直面している。 シリアにおけるイスラエルとトルコの拡張主義的な目的は真っ向から対立している。 米国の指導者たちにとって、両同盟国の目標を満足させることは不可能に近い。 そして、イスラエルとトルコの軍用機がシリア上空で危険で挑発的な作戦行動を行っているため、状況は非常に悪化する可能性があることに注意が必要だ。■


Turkish vs. Israeli Jets Over Syria: The Middle East Has A New Crisis Brewing

Tensions are escalating between US allies Turkey and Israel in Syria following Bashar al-Assad’s ouster in December 2024 and the rise of HTS leader Ahmed al-Sharaa.

By

Ted Galen Carpenter


https://www.19fortyfive.com/2025/05/turkish-vs-israeli-jets-over-syria-the-middle-east-has-a-new-crisis-brewing/?_gl=1*1f4qqpc*_ga*NzUzMzkwOTUxLjE3NDc0Mzg3NDI.*_up*MQ..


文/テッド・ガレン・カーペンター

テッド・ガレン・カーペンター博士は19FortyFiveのコラムニストであり、ランドルフ・ボーン研究所とリバタリアン研究所のシニアフェローである。 ケイトー研究所での37年間のキャリアにおいて、さまざまな上級政策役職も務めた。 国防、外交政策、市民的自由に関する13冊の著書と1,300本以上の論文がある。 最新刊は『Unreliable Watchdog』: The News Media and U.S. Foreign Policy」(2022年)。



2018年2月11日日曜日

シリアで何が起こっているか ① イランUAVをイスラエルアパッチが撃墜、シリアがF-16Iを撃墜

Israeli F-16I Sufa Crashes After Coming Under Massive Anti-Aircraft Fire From Syrian Air Defenseシリア防空網がイスラエル空軍F-16Iを撃墜



F-16I-SUFA

Feb 10 2018 -
ランUAVが2月10日イスラエル領空に侵入しAH-64アパッチにより撃墜された。イスラエル空軍はシリア報復攻撃に出撃s多賀、F-16I一機に被弾が生じイスラエル北部に墜落した。パイロット二名は脱出に成功したが、一名が重傷である。

 「2月10日、アパッチヘリコプターがシリアから発進しイスラエルに侵入したイラン製UAVの迎撃に成功した。侵入機は防空体制により早期探知され追尾を続け迎撃した。これに対してIDFはイラン機を発進させたシリア国内の施設を攻撃した」とイスラエル国防軍が発表している。

 撃墜の瞬間を映した映像では機体はセーゲ(サンダーボルト)のようで、イラン革命防衛隊(IRGC)が2016年に公表した無人機で先に捕獲した米RQ-170ステルス無人機を原型にしたもののようだ。


2月10日に撃墜されたUAVはRQ-170原型のイラン無人機に酷似している。

 ただしその後に発生したことの方が重要だ。
 
「その後、イランUAV侵入に対応しイスラエル空軍(IAF)はシリア国内12か所を攻撃目標とし、うち三か所が防空施設、四か所がシリア駐留イラン軍施設であった。攻撃中に対空ミサイル複数がIAF機に向け発射され、F-16パイロット二名が射出脱出したが、一名が重傷で現在病院で治療中だ」

 第一報で撃墜されたのはF-16IスーファでsA-5およびSA-17数発が発射されたといわれるが公式の確認はない。ただしIDF発表の表現に要注意だ。機体に「命中」したとは言っていない。興味深いのはイスラエル軍はスラエル機に向けて発射されあたのはシリアのミサイルだと明確に言っている。

 シリア北部でミサイル発射が続き民間航空に一部支障が生じた。

 テルアヴィヴのベン・グリオン国際空港は30分間着陸を見合わせた。

 これまで数十年にわたりイスラエル機はシリアを自由に空爆しているが、イスラエル機が撃墜されたのは1980年代初頭のレバノン内戦以来のことだ。■

2018年1月10日水曜日

シリア上空のロシア機危険飛行行為はF-22をスパイのためと米空軍が説明

シリア上空での危険な事態について以前はロシア発の情報としてお伝えしていましたが、米軍側の見解が出てきました。やはりものごとは両面から見ないと実態がわかりませんね。


Aerospace Daily & Defense Report

Is Russia Spying On U.S. Stealth Fighters In Syria?

ロシアはシリアで米ステルス機をスパイしているのか

米空軍F-22ラプターがKC-10エクステンダーから空中給油を受け離れていく。不朽の決意作戦の一環としてシリア上空で。昨年撮影: USAF

Jan 5, 2018Lara Seligman | Aerospace Daily & Defense Report
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シア軍パイロットがイラク、シリアの航空作戦を利用して米軍機とくにステルスF-22ラプターの情報収集に励んでいる。
対イスラム国戦で米軍作戦の情報と戦術が「宝の山」のように手に入ったはずとヴェラリン・ジェイミソン中将(ISR担当空軍参謀次長)が議会で1月4日明らかにした。米軍機とシリア上空で隣り合わせに飛行する中でロシアは米軍機とその戦術で「貴重な知見」を入手したと中将は強調。
「敵側はこちらを注視しており、こちらから学び、イラク特にシリア上空でこちらの作戦実施方法の宝の山を掘り当てている」
ジェイミソン中将は具体的な機種に触れなかったが、ロシアが米第五世代戦闘機の実戦投入状況を初めて目にしたのは事実だ。F-22はシリアで2014年に初めて実戦投入された。
ロシア機がF-22に異常接近するのは日常茶飯事でロシアは同機の情報を収集している可能性は十分ある。
最近もF-22がロシア機と空中衝突を辛うじて回避した事案があった。12月13日にSu-25二機編隊がユーフラテス川東側の連合軍側空域に侵入した。パトロール中のラプター二機編隊がただちにSu-25を迎撃に入り、チャフやフレアを放出し緊急時防護周波数で数回にわたり空域退去をロシア機に求めた。
うち一機のSu-25がF-22に接近したのでラプターパイロットは「過激な操縦」で空中衝突を回避せざるを得なかったと空軍は説明。また別のSu-35が川を越えて侵入したためラプターが追尾した。このロシア機は連合軍側空域に40分滞空して西方面に戻った。
この12月13日の出来事はかなり危険だったがロシア側が川の西側に留まる口頭合意に違反するのはこれが初ではない。米軍パイロットはイスラム国戦闘員が敗退する中で警戒すべきロシア側の行動が増えていることに気づいていた。Aviation Weekが11月に合同航空作戦センター(CAOC)やアルダフラ基地(UAE)を訪問して確認している。
11月初めからロシア機が米および連合軍の領空に飛来するのが連日6-8回、つまりロシア・シリア側のフライトの1割になったと関係者は述べている。

悪いことばかりではない。シリア作戦で米パイロットもロシアの作戦内容を研究する機会を得たとジェイミソン中将は述べる。特に今回はロシアが精密誘導兵器を投入する過程をつぶさに見られ、航空出撃時間の長さや指揮命令機能、ISRや空中給油の状況を観察できた。■

2017年10月2日月曜日

Tu-95発射の新型巡航ミサイルでシリア国内ISIS拠点を攻撃したロシア


弔い合戦のつもりなのでしょうか、その中でも米国へ責を求めるところに外国人嫌いのロシア人気質がうかがえますね。10メートル以内の精度というのはGPSを使っている証拠でしょう。かつてのスペイン内戦と同様にロシアは各種兵器を投入して実用的な用兵案を蓄積しようとしているようですね。

Russian Tu-95 “Bear” Bombers Hit Daesh Terrorist Camps With KH-101 Cruise Missiles In Long Range Strike

ロシアのTu-95ベア爆撃機がISIS拠点をKH-101巡航ミサイルで長距離攻撃

Cruise Missile Attack from Russia Avenges Lieutenant General Valery Asapov Death.

巡航ミサイル攻撃はロシアのバレリ・アサポフ中将Lieutenant General Valery Asapovの死亡への報復だ。
 By Tom DemerlySep 27 2017 -


  1. ロシアのツボレフTu-95ベア爆撃機編隊が巡航ミサイルでISISタクフィリ戦闘員が支配する拠点をシリアのデルアルズールDeir al-ZourおよびイドリブIdlib の二地点を対象に2017年9月26日に攻撃した。
  2. 今回の攻撃はロシア軍司令官ヴァレリー・アサポフ中将の死亡に対する報復攻撃の性格が強い。同中将は第五赤旗陸軍の指揮官だったといわれる。シリアへ展開し上級軍事顧問として活躍していたが、ISISの迫撃砲攻撃で先週末にダイルアルザワルDayr al-Zawrで戦死している。死亡地点はダマスカスより450キロ北東の地点で、ロシアのブログでは米国の介入に責任の一部を求めており、情報が漏えいしたことが中将の死につながったと非難している。
  3. 長距離巡航ミサイル攻撃を実施したのはロシア空軍のTu-95MS「ベアH」または「MSM」型で第184重爆撃機連隊所属の可能性が高い。同隊の愛称は「セパストポル」連隊で、1941年から42にかけて展開された同地奪回の戦いに由来している。投入された機体はツボレフのターボプロップ爆撃機(初飛行1952年)の中でも最新鋭の機材だ。Tu-95MSMはシリア戦域に2016年11月に初めて投入された。
  4. Tu-95は米B-52ストラトフォートレス八発ターボジェット戦略爆撃機にほぼ匹敵する機体で両機種の初飛行年は同じであ。Tu-95はターボプロップ4発で二重反転プロペラ―を回す点が独特だ。ロシアはツボレフの代名詞と言える二重反転プロペラ―の採用で長距離航続距離を実現しながら比較的高速度を実現している。ツボレフ/クズネツォフのターボプロップ採用でTu-95は無給油で9,400マイルの飛行が可能で、B-52は8,800マイルとベアより7%短い。飛行速度でもB-52、B-2スピリットステルス爆撃機とベアはほぼ同等であり、B-52の最高速度は644MPH、B-2が628MPHでありTu-95は575MPHとターボプロップでジェットエンジン搭載の米爆撃機とほぼ互角だ。最高速度の差はB-2にくらべわずか8%低いに過ぎない。
  5. Tu-95MS爆撃機は今回新型のKH-101巡航ミサイルを発射している。KH-101は開発が最近完了した長距離巡航ミサイルで米トマホークにほぼ匹敵する存在だ。Tu-95はこのKH-101を八発搭載可能でシリア空爆で公表された画像では4発のみ搭載されていることがわかる。

新型KH-101長距離ステルスミサイルが今回の攻撃に投入された (Photo: Russian Air Force) 
  1. KH-101巡航ミサイルの有効攻撃射程は2,790-3,000マイル(4,500キロ以上)で各種弾頭を目標の種類に応じて変更できる。低視認性(ステルス)だといわれ、飛翔中に調整可能で指定した目標を狙う能力がある。精度は「10メートル以内」といわれロシア報道ではミサイルが大型建物やシリア砂漠の野営地を攻撃する様子が紹介されている。
  2. ロシアがベアでKH101による攻撃をデルアルズールおよびイドリブを攻撃した際の直掩にはSu-27戦闘機が飛び、イラン、イラク両国上空を通過してミサイル発射地点に向かっている。
Top image credit: Russia Air Force

https://theaviationist.com/2017/09/27/russian-tu-95-bear-bombers-hit-daesh-terrorist-camps-with-kh-101-cruise-missile-in-long-range-strike/#U2K5zVSjIsvglLkB.99 で詳細を読む

2017年6月30日金曜日

化学攻撃の警戒? シリア沖に米情報収集機材多数が飛行していた



アサドと呼び捨てにしているところが面白いですね。シリア政府軍は再度化学攻撃を実施してしまったのか、しようとしているのかいずれにせよ米国は実施をさせないよう圧力をかけているのでしょう。米政府がシリアに警告したのが6月26日でしたので迅速に機材を展開させたことになります。

U.S. Intelligence Gathering Aircraft Amass Off Syria As Assad Visits Russian Detachment Near Latakia

米情報収集機材がシリア沖を飛行しアサドのロシア部隊訪問時に対応していた

 Jun 27 2017 - By David Cenciotti

 

米RC-135リヴェットジョイント他偵察機がシリア沖合の国際空域を飛んでいた。一方でWC-135「核嗅覚探知機」は黒海に向け飛行した。

ホワイトハウスはシリアが化学攻撃の実施に踏み切ることを強く警告しており、アサドがラタキア付近のフメイミム空軍基地を訪問したことが異例とも言える米スパイ機材のシリア付近飛行の高まりの理由と説明している。

情報収集活動が活発になっているのはシリア西岸の沖合でふたたび先に気付いたのは航空機スポッター、航空バンドやADS-Bを見る愛好家だった。それによるとRC-135複数と米海軍P-8ポセイドン一機も見つけたという。

その報告でRC-135Uコンバットセント一機、RC-135Vリヴェットジョイント一機、P-8ポセイドン一機が6月27日に確認されており、ちょうどそのころアサドがロシア軍スホイ機のコックピットで記念写真をとっているころだった。

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リヴェットジョイントは米空軍のSIGINT情報収集機材であり、「敵の」無新通信を傍受し場所を特定したあと情報を戦術データリンクで他の機材に発信するの役割がある。コンバットセントは敵のレーダー信号の技術情報を収集するのが役割。P-8は米海軍が多用途監視偵察機としても運用中で敵の通信信号を探知する能力がある。言い換えれば最重要ISR(情報収集監視偵察)機材三機種をレバノン、シリア近辺で飛ばしたことになる。同時刻に各機が同じ場所を飛んだのは単なる偶然だろうか。あるいはもっと可能性があるのは何か特別な対象の情報を収集していたのか。

もう一つ興味を引く動きがシリア関連で見られた。WC-135コンスタント・ファニックス「核嗅覚探知機」が無線交信コールサイン「ランド90」を使いRAFミルデンホール基地から離陸し、6月26日に黒海方面に向かっている。通常は大気中の放射性物質の採取用に使われる同機は「事前計画展開」した可能性があり、同機には化学物質を探知する装置があり、攻撃実施後に風下で数日後数週間後に化学物質の拡散を探知できるのではといわれる。

これも偶然なのだろうか。
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Nuke sniffer - 33,000ft heading over Romania...

🇺🇸 USAF WC135C 62-3582 LANDO90


2017年4月7日金曜日

4月7日のシリア空軍基地攻撃に発射されたトマホークは計59発だった


第一撃は化学攻撃の出撃基地を限定的に狙ったものでした。今後どこまで拡大するのかが関心事ですが、シリアが、またロシアが同対応するのか、またイランにも注意を払わねばなりません。アサド政権は墓穴をほったことになるのでしょうか。


VIDEO: U.S. Destroyers Fire 59 Tomahawks on Syrian Airfield in Retaliation for Chemical Attack

April 6, 2017 9:55 PM • Updated: April 7, 2017 12:04 AM


  1. 米海軍誘導ミサイル駆逐艦二隻がトマホーク陸地攻撃ミサイル59発を発射し、シリア航空基地を攻撃した。同基地がシリア北部を襲った化学攻撃の拠点だと複数の軍事筋がUSNI Newsに木曜日夜に語った。
  2. 駆逐艦USSポーター(DDG-78) およびUSSロス(DDG-71) が東地中海から4月7日午前4:40、東部標準時午後8:40にシリア攻撃を開始したとペンタゴンが発表。米ロ間の取り決めで米側からロシアに巡航ミサイル発射の事前通告があった。
  3. トマホーク巡航ミサイルによる攻撃は化学攻撃の航空機が発進したと思われるアルシャイラット空軍基地をねらった。
  4. 「今晩、軍に化学攻撃の拠点と思われる空軍基地の攻撃を命じた」とドナルド・トランプ大統領は声明を発表した。「国家安全保障上、米国の権益に死活的な意味があり、致死性のある化学兵器の拡散を食い止める意味もある。シリアが禁止令を無視し化学兵器を投入したことは間違いなく、化学兵器禁止条約に違反しただけでなく国連安保理にも逆らっている」
USSロス(DDG-71)がトマホーク陸地攻撃ミサイルを発射している。 April 7, 2017. US Navy Photo
  1. ペンタゴン報道官デイビス大佐は声明文で「今回の攻撃はトマホーク対地攻撃ミサイル(TLAMs)を駆逐艦USSポーターおよびUSSロスから東地中海から発射した。合計59発のTLAMsを航空機、強化航空機掩体壕、石油補給物資集積地、弾薬補給所、防空施設、レーダー拠点を目標に発射した。いつも通り米軍は民間人死傷者の発生を防ぎ、武力衝突原則に則って行動している。航空基地内の人命損傷を最小限にすべく最大限の注意を払った」
  2. 「今回の攻撃はアサド政権の邪悪な行為に対応するもの」と声明文にある。「シャイラット基地は化学兵器貯蔵とともにシリア空軍装備の格納に使われていた。米情報機関による評価ではシャイラットを発進した航空機が4月4日の化学兵器攻撃に使われている。今回の攻撃で同政権が再度化学兵器を投入しないことを狙っている」
  3. 米軍関係者からUSNI Newsに対しシリア国内のロシア軍にはミサイル攻撃の前に警告が与えられているとわかった。国務長官レックス・ティラーソンは声明文にてモスクワから攻撃の了承は取っていないと述べている。
Image courtesy of the Defense Department.
  1. 上院外交情報活動委員会所属のマルコ・ルビオ議員(共、フロリダ)はCNNのアンダーソン・クーパーに「これはメッセージにはならないだろう。これは戦術行動でさらに重要な目標を目指す一歩と見ている。アルシャイラット基地が化学攻撃の拠点で同時に北部シリアでISIS以外の反乱勢力を鎮圧する拠点になっている。そこで今回の措置は重要な一歩だ。単なるメッセージではなく、シリアの化学攻撃実施能力を削ぐ意味があり罪のない一般市民の殺戮を防ぐ。政権の空からの攻撃能力を削ぎ、望むらくは戦略方針を総合的に進めてシリア国内の混乱状態に終止符を打ちたい」と述べた。
  2. さらに大規模攻勢があるのかとの問にルビオ議員は「今回の成果で全てだとは思いませんが、同基地が化学攻撃の実施場所で将来の攻撃実施場所にもなると見ていたのは事実で罪のない一般市民を標的としたアサド政権は一方で支配地域を確保しながら国土を奪還出来ていないのです」と語った。
  3. シリア西部に展開するロシア軍についてルビオ議員はCNNに「今回の攻撃の対象ではなかったはずだがもしロシアが地上でアサド政権を支援し忌まわしい犯罪行為に手を貸していれば戦争犯罪に加担することとなり、当然の報いを受けるべきですし、自ら危険な道にはまりこんでいたわけです。ロシアの立場は馬鹿げていると思いますよ。真剣な顔をして化学兵器は反乱勢力の所有物だといっているのですから。全くおかしな言い分ですよ。三番目にロシアは今回立場がわるくなっていますね。世界に対して神経ガスは存在しないといい切ってきたのですから。化学兵器もシリア国内にはないと言っていました。こちらはアサド政権が塩素爆弾を一般市民を狙って投下しているのを知っておりますし、ついにサリンまで投入したわけです。ロシアはアサドをかばうあまり、アサドは図々しくついに化学攻撃を実施してしまったわけです」
USSロス(DDG-71)がトマホーク陸地攻撃ミサイルを発射している。 April 7, 2017. US Navy Photo
  1. 上院軍事委員会委員長ジョン・マケイン議員(共、アリゾナ)および委員のリンゼイ・グラハム議員(共、サウスカロライナ)からは次の声明文が発表された。「当方は今夜実施されたシリア攻撃に関し米軍関係者の技量およびプロ意識に賛辞を送る。最高司令官の命に従い、米国はもはやアサドを看過できない、プーチンのロシアに支えられたアサドがシリア市民を化学兵器や樽爆弾で殺傷するのを放置できないとの意思表示ができた。前政権と異なり、トランプ大統領はシリア情勢の重要局面に直面し、行動を選択した」
  2. 「大統領は全米国民の支援を期待してよい。今夜の作戦は第一歩で、最終的に歴史の教訓を学び、戦術的成功が戦略的進展につながる局面を目撃することになる。つまり新しい総合的戦略方針を同盟諸国と共有し、シリア内戦を終結させるのが目的だ。第一歩としてアサドの空軍力を壊滅させる。空軍が今回の化学攻撃以外に数知れない残虐行為をシリア国民を対象に実施してきた。飛行そのものを不可能にする。またシリア国内反乱勢力への支援を強化し、安全地帯を確立し現在進行中の人道上の危機状態を解消する。またISISについては最後の敗北まで作戦を継続していく」
USS Porter (DDG-78) on Jan. 6, 2017. US Navy Photo
USSポーター (DDG-78)  Jan. 6, 2017. US Navy Photo

以下はペンタゴン報道官ジェフ・デイヴィス大佐発表の声明の全文。

 大統領指示により米軍は巡航ミサイル攻撃をシリア空軍基地に対し本日東部標準時8:40 p.m. EDT (シリア現地時間4月7日4:40 a.m.)に実施した。攻撃目標はシャリアット空軍基地でホムズ地方にあり、シリア政府が化学兵器による攻撃を4月4日にハンシーホウンに行い、罪のない女性子供含むシリア国民数百名の殺害障害に対応するものだ。
 今回の攻撃にはトマホーク陸地攻撃ミサイル(TLAMs)を駆逐艦USSポーターおよびUSSロスから東地中海上から発射した。合計59発のTLAMsは航空機、強化航空機掩体壕、石油補給物資貯蔵地点、弾薬補給所、防空施設およびレーダーを目標とした。今回も米側は特別の注意を払い民間人死傷者の発生を未然に防ぎ、武力衝突法に則って行動した。考えられる注意事項をすべて実施し、目標地点の人的損傷を最小限に抑えた。
 今回の攻撃はアサドが行った非人道行為に呼応するものだ。シャイラット空軍基地が化学兵器貯蔵場所となり、シリア空軍が運用している。米情報機関の評価により同基地から4月4日の化学兵器空爆が実施されたと判明している。今回の攻撃は同政権にこれ以上の化学兵器使用をさせないための攻撃だった。
 ロシア軍には攻撃を事前通告しており、ロシアあるいはシリアの軍関係者の生命を無駄に奪うことのないよう事前に配慮した。
 攻撃効果は今後評価検討する。一次報告では攻撃によりシリア航空機に甚大な損害が生まれており、支援施設やシャリアット基地の装備にも同様の効果があり、シリア政府の化学兵器運用能力は低下した。一般市民への化学兵器の使用は看過できない。■

2016年11月11日金曜日

縁の下の力持ち? 不気味なAC-130はアフガニスタンで酷使されている


スプーキーとは不気味な愛称ですが、暗闇の上空からいきなり105ミリ砲の攻撃を食らうのは大変恐ろしいことなのでしょう。ただこの機の運用には完全な航空優勢の確保が条件ですね。また機体整備が大変な状況が読み取れますが、火砲による振動も大きな影響なのでしょうか。19世紀の戦列艦が空を飛んでいるような存在ですね。

War Is BoringWe go to war so you don’t have to

In Less Than a Year, U.S. Air Force Gunships Flew Nearly 4,000 Hours in Combat
by JOSEPH TREVITHICK
米空軍の戦闘力というと高速で飛ぶF-15やF-16戦闘機、強力な威力を発揮するA-10対地攻撃機、B-1やB-52の大型爆撃機に注目が集まる。だが恐ろしい効果を上げているAC-130ガンシップが取り上げられることはきわめて少ない。
  1. 重武装AC-130が投入されるのは隠密作戦が多く、地上特殊部隊と連携するため空軍も同機の活動を詳述するこのは稀だ。だがこの特殊用途機が世界各地で大きく貢献しているのも事実だ。
  2. 2013年11月から翌年6月までだけでも第四特殊作戦飛行隊所属のAC-130UスプーキーII各機は合計4千時間も戦闘任務に投入されたと公式空軍記録にある。合計7機の海外展開は延べ1,175日になっている。
  3. War Is Boringはこの度、情報公開法により空軍年次報告の写しを入手したがかなりの部分が削除されている。
  4. AC-130導入はヴィエトナム戦争時点に遡る。U型が1995年までに導入された。C-130輸送機を改造し、火器、装甲、センサーを搭載。U型は25ミリガトリング砲、40ミリ銃、大型105ミリ迫撃砲を機体左側から押し出して運用する。強力な暗視装置、レーダーその他で敵を探知する。通常は13名で運用する。
  5. 第四特殊作戦飛行隊はフロリダ州ハールバートフィールド基地に駐留するが、2013年から2014年にかけて所属機がどこに展開されたのかは読み取れなかった。
  6. 「2013年11月にAC-130Uガンシップ7機が世界各地の戦闘地帯で支援にあたった」と空軍報告にある。「2014年5月から6月にかけて、残る機材が...ハールバート・フィールドに帰還した」
  7. 検閲でミッション内容が黒塗りされている。また2014年度の飛行時間を説明する表では作戦名称や通称も見えなくなっている。
上二枚、第四特殊作戦飛行隊所属のAC-130ガンシップ。U.S. Air Force photos
  1. ただし同機はアフガニスタン上空のミッションに主に投入されているようだ。米軍がイラク国内のイスラム国勢力を集中的に空爆し始めた2014年8月までに各機は帰国している。
  2. 空軍はAC-130を2001年からタリバン、アルカイダ戦闘員を追うエリート特殊部隊と連携する形でアフガニスタンに繰り返し派遣している。地上部隊支援には最適の機材で地方部では無害な住民の巻き添え死亡は起こりにくい。
  3. 指定空域に達すると機体は円形を描く周回飛行を開始する。これで機体は安定し、火砲を標的に正しく照準できる。
  4. さらに空軍は高度なまで正確な火砲集中で建物や車両を粉砕し特定個人を殺害する戦術を編み出している。2013年には旧型AC-130Hが第16特殊作戦飛行隊からアフガニスタンへ投入されていることが別の報告書で判明した。
  5. 第四特殊作戦飛行隊が2013年11月に引き継いたようだ。その翌月に第16飛行隊のガンシップ各機はニューメキシコ州キャノン空軍基地に帰還している。
  6. 過酷な日程のため同隊の戦闘力に影響が出たことが読み取れる。四ヶ月におよぶ投入で、AC-130Uのうち戦闘体制にある機材は2014年3月までに半数までに減ってしまった。
  7. 同月に第四飛行隊のガンシップの残りの機材は「戦闘能力欠如」状態になっている。同隊は6機を飛行可能状態とし、3機の予備機材をハールバートに温存している。7機目のAC-130Uは海外派遣されたが戦闘投入はわずか11日だった。搭載装備の故障で本国に送還されたようだ。
  8. 第一特殊作戦航空機保守隊が残る6機を海外で飛行可能に保つため奮闘している。同隊は「AC-130Uガンシップの投入時に必ず点検整備を行った」と2014年度報告にある。「投入機材では同隊隊員がミッション実施可能状態を80から90台に維持した」
  9. 2014年6月8日に第四飛行隊のAC-130で最後の機がハールバートに着陸した。同機は200日に及び敵戦闘員を攻撃していた。
バッドオーメンの愛称がついたAC-130Uは武装等装備を撤去して廃棄機材保管施設へ向かった。 U.S. Air Force photo
  1. ただゆっくりする暇はなかった。2015年10月に再びアフガニスタンへ飛んでいる。
  2. 2015年10月3日には一連の失態でスプーキーII一機が誤って国境なき医師団の病院をアフガニスタンのクンドゥズで攻撃している。人道援助機関の発表では少なくとも42名が死亡しており、うち13名が医療従事者だった。
  3. ペンタゴンは同事件を調査し、武力紛争法に違反したと結論を下した。空軍は該当機の乗員を譴責処分したが刑事訴追していない。
  4. この事件があっても同機が主役の座を降りることはなかった。2015年11月にはシリアでAC-130部隊がタンクローリー車列を壊滅させており、第四飛行隊の機材も動員されていたはずだ。イスラム国は戦費調達のため原油闇市場を活用していた。
  5. 2015年9月21日にはAC-130Uの一機ニックネーム、バッドオーメンが退役し、最新型のAC-130Jの導入が始まった。バッドオーメン機は2013-2014年に戦闘投入されたベテラン機材のひとつだ。
  6. これに続きスプーキー各機は新型機に更改され2018年に完了する。第四飛行隊の実績が一つの指標で、次世代のガンシップも相当の活躍をするだろう。■

2016年11月7日月曜日

ロシアはなぜシリアで乱暴な無差別爆撃を実施しているのか


シリアで何が起きているのか正確に把握している方は日本では少ないのではないでしょうか。なじみがない話ではありますが、遠い地とのんきに構えている余裕は実はないのですが。やりたい放題のロシアに各国はなんら手を売っていないというのが現実です。この事態を生んだのもオバマ政権の失策です。
War Is Boring
Russian Su-25 attack planes take off from Hmeymim air base in Syria. Russian Ministry of Defense photo

Does the Russian Air Force Even Know What Is Going On in Syria?

The Kremlin either has poor military intelligence or different — and far more disturbing — priorities in mind

by TOM COOPER

ロシアはシリア介入を始めた昨年から一貫して無差別に住民を標的としている。シリア政府への反抗勢力を一掃する戦略目標なのは明白だ。
  1. ロシアは同じ戦法をチェチェンで実施ずみで、今度はシリアというわけだ。公共施設、学校、病院、食料貯蔵所、給水施設を巧妙かつ継続して空爆し、敵対勢力の統治効果を減衰させ、地元住民に恐怖感を煽り居住地を離れさせ、反乱勢力の力を下げるねらいがある。
  2. ただしロシアの「価値減衰」戦術が2016年10月ほど激烈に行ってきたことはなかった。
  3. 同月にアルカイダ系列のジャバト・アル・ファタ(JAF)勢力がアレッポに移動してきた。さらにJAF勢力が補給品をトルコ国境付近から運送してきたがロシア機の姿はどこにもなかった。
  4. 10月25日になり自由シリア軍の中央師団がイドリブからアレッポに移動したが空爆はさして心配でなかった。
  5. 一方、ロシア航空宇宙軍VKSはアレッポ東方やイドリブの市町村を集中爆撃し、市民に多数の死傷者が発生した。
  6. 10月26日、JAFがアレッポ西方のシリア軍陣地を攻撃しはじめ、275千名の一般市民、11千名の戦闘員の包囲状況を解放しようとすると、ロシア機がイドリブで学校を空爆し、少なくとも22名の学童、教員6名が死亡する一回の空爆でシリア最悪の記録となった。
A Russian air force Su-24M over Hass, Oct. 26, 2016.
  1. シリアアラブ共和国の空軍はこれとはちがう行動をしている。小学校爆撃の同日にSyAAFは自由シリア軍集団の司令部をホム自治区で空爆している。
  2. その結果、自由シリア軍のショキ・アヨブ・アボ・イブラヒム大佐、副官ファイサル・アウド中佐も含む指導層が死亡した。
  3. 10月26日には興味深い写真がインターネット上で浮上し、アサド派のアレッポ軍区司令官ザイド・サレ少将が悪名高い民兵組織砂漠のタカの指揮官モハマド・ジャバと写っている。
  4. 二人の背後には地図があり、シリア軍がJAFの現在位置とアレッポ西方からアルアサド地区への展開作戦を情報収集しているのが分かる。
Major-General Zaid Saleh (centre) with Mohammad Jaber (left)
  1. ロシア軍はどこまで正確で有益な戦場の状況の情報収集をシリアで行っているのだろうか。
  2. 正しく信頼できる情報こそいかなる戦闘で成功要件となる。そのためロシアも努力している。
  3. まずロシアは偵察衛星を使い、シリアの戦場を監視していると公表している。ロシア軍の日刊紙ではシリアではロシア軍は「ネットワーク中心の戦闘」として情報収集と高度通信技術を応用して迅速に敵を突き止め撃破する原則で実施しているとする。
  4. ロシアが構築したシリア内の「ネットワーク」にはイリューシンIl-20M偵察機一機がまずフメイミン基地にあり、70機近くの偵察ドローンが大きいものはヤコブレフ・プチェラ-1から小型のオリアン-10、エレコン-3SVやグラナット-4まで配備されている。
  5. またスパイ機としてツボレフTu-214Rがあり、ロシア最高性能の偵察機といわれる。クレムリンが地上配備の前線航空指揮官を配備しているのはまちがいない。
  6. だが問題がある。VKSが繰り返し、シリア反抗勢力の指揮命令所や司令官の排除に失敗している。ジャバト・アル・ファタやイスラム国対象の作戦も失敗している。
  7. 2016年2月にはTu-214Rがアレッポ上空を飛行したが、イスラム国の大部隊が砂漠を横断しカン・ナシルとアレッポを結ぶ道路に近づくのを探知できなかった。
  8. この失敗により聖戦主義武装勢力が政府軍少数部隊を壊滅させ、その他2万名のシリア政府軍部隊やイラン革命防衛隊向けの補給線が一週間近く切断された。
  9. 一方でシリア政権に近い筋は反乱勢力指導部への空爆はSyAAFが実施しているのであり、ロシアVKSの関与はないと強調している。
  10. シリア空軍情報部は空爆実施に先駆け情報を入手し無線で爆撃機乗員に伝えているがVKS機は目標を変更していない。
  11. 同筋によればロシア情報集能力はシリア国内で不足しており、SyAAFへSu-22M-4Kに使用後40年経過のKKR-1カメラポッドを搭載して送るようロシア空軍が要望しているという。
  12. このためロシアの情報収集能力への疑問が生まれている。ロシアはシリアで何の情報を集めているのか。イスラム国については大した情報は集めていないようで空爆実施は2016年10月は十数回にも満たない。■
  13. シリア国内の主要反乱勢力についての情報収集力が十分でないことは明らかだし、アルカイダ系列のJFSでも同様だ。
  14. クレムリンが考えるネットワーク中心戦はこれから姿をあらわすのかもしれないが、実は全く違う意味に解釈しているのかもしれない。■