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2017年12月21日木曜日

★ベル新型ティルトローター機V-280が初飛行に成功

実証機としては対抗馬のシコースキー=ボーイング試作機が手間取っており
比較できませんが、ベルの方が手堅い技術進化なのでしょうか。あるいは同軸ローター+
プッシュ式前方推進のシコースキー技術に意外な欠陥があるのかもしれません。ボーイング
はオスプレイで組んだベルと決別したことを後悔しませんかね。

V-280 Valor flies for the first time

V-280ヴァラーが初飛行
A front view of the V-280 during its first flight. Note the blurred gearbox details. (All images: Bell Helicopters).

 By: Jen Judson    

  • ベルヘリコプターのV-280ヴァラー・ティルトローターが12月18日テキサス州アマリロの同社施設で初飛行した。
  • ベルは同機を9月に完成させており地上テストから本日の飛行に至った。一年をかけ重要なテストを行い、陸軍が進捗を見守る。
  • ベルヘリコプター社長兼CEOミッチ・スナイダー Mitch Snyder は「ベルV-280初飛行までこぎつけたことを誇りに思う」と声明を発表。「初飛行により国防総省のめざす装備近代化取得計画への当社の姿勢が明確に示された。ヴァラーは米陸軍のヘリコプター運用に革命的変化をもたらし、米軍の今後のミッションを変革させる機体だ」
  • 米陸軍は共用多用途(JMR)実証機として二機種の製造を求めており、重要な次期垂直輸送機(FVL)として2030年代のヘリコプターの選定を行う。
  • ヴァラーは米陸軍が求める次期垂直輸送手段の要求内容に答えるもので、従来型ヘリコプターより二倍の速力、二倍の航続距離で機動性とペイロードの柔軟性を増やす。
  • 一方、シコースキーボーイングの共同開発SB-1デファイアント同軸ヘリコプターの初飛行は遅れており、2018年第一四半期になる見込みだ。同機で初飛行が遅れているのはローターブレイド製造が複雑なためだ。
  • デファイアントの原型はシコースキーが特許を持つX2技術で、同社の自社開発機レイダーにも応用されているが、同機は今夏に不時着している。
  • 米陸軍はFVLを初期定率生産を開始し2030年までに供用開始したいとするが、ベルヘリコプターは前倒しは可能と主張している。
  • JMRには陸軍の今後の大型調達事業への取り組みが見える。試作品を製造させ高能力で信頼性高い装備を早く納入させる。■

2015年6月26日金曜日

★ ベルは新型ティルトローターV-280 ヴァラーを製造中 次世代多用途垂直離陸機需要を狙う



ここにきてヘリコプターの技術革新が具現化を始めています。これまでのヘリコプターの限界が破られる一方で膨大な数の既存機種の更新需要は大規模です。ただしいったんは競作に敗れた各社にも研究資金が回されているのはまだ次代の主流技術を絞り込めていないことのあらわれでしょう。

V-280 Valor: Bell Starts Building Joint Multi-Role Prototype

By RICHARD WHITTLE on June 19, 2015 at 4:00 AM
陸軍航空兵力の未来を形に示すメーカーfあらわれた。ベル・ヘリコプターの契約企業スピリット・エアロシステムズ(本社カンザス州ウィチタ)がV-280ヴァラーの試作1号機の複合材機体の組立作業を開始した。ヴァラーはベルの新型ティルトローター機だ。
  1. ヴァラーは洗練された形状で小型かつベル・ボーイングV-22オスプレイより陸軍用途に適合した設計になっている。両機種ともティルトローター機構を採用している。
  2. ヴァラーは技術実証機の役割を担うが、同社による提案であり生産が決定した事業ではない。ただしペンタゴンが従来型ヘリコプターの速度や航空機の滑走路長の壁を崩そうと補助を出して開発を進める技術事業のひとつである。V-280ともう一社の競合作はUH-60ブラックホークやAH-64アパッチの後継機種となり、機体重量3万ポンドほどで230ノット以上の速度で飛行して従来型より100ノットも高速になる。またハチドリのようにホバリングし、陸軍以外の部隊も欲しがる機体になろう。
  3. もう一つの実証機がシコルスキー・エアクラフトボーイングが共同開発したSB>1ディファイアントで、名称のSB>1とは「シコルスキーとボーイングの和は1より大」との意味だ。この実証機の原型はコリヤ-杯を受賞したX2テクノロジー実証機とその派生型S-97レイダーだ。ディファイアントはまだ設計段階でアクティブ振動制御、硬性同軸ローターと可変回転数式推進プロペラにより従来のヘリコプターの速度限界を打ち破ろうというものだ。
SB1 Sikorsky Boeing JMR Behind rocks_CURRENT_IMAGE_042715SB>1ディファイアントの想像図
  1. ヴァラー、ディファイアントはともに費用は陸軍主導の共用多用途技術実証機(JMRTD)事業が一部負担し、将来型垂直輸送機 (FVLの実現につなげようとする。FVLの目指すのは「垂直輸送機部隊を次世代の水準にもっていく」ことだと事業主管のダン・ベイリーがアメリカヘリコプター国際学会(AHS)で先月語っている。
  2. AHISのロビー活動にも助けられ、ベイリーは議会から14百万ドルの予算を獲得した。だがその半分は昨年の競作に敗れた企業に回っている。AVXエアクラフト(本社テキサス)は3.4百万ドルを得て同軸ヘリコプターに推進用ダクテッドファンをつける構想の研究を続けている。カレムエアクラフト(本社カリフォーニア)も4.1百万ドルを得てカレムが特許を所有する最適速度ティルトローター技術の熟成を続けている。同社の創設者エイブラハム・カレムはプレデター無人機を作った人。
  3. ベルおよびシコルスキー/ボーイングの実証機はともに2017年に初飛行するが、成功しても採用され生産に移る保証はない。ただし現状ではあまりに多くの機体が老朽化の一途にあることから後継機需要は相当あるといってよい。
  4. 「技術実証機は次世代軍用回転翼機を占う重要な存在で、今世紀通じ大きな存在となるだろう」とAHIS専務理事マイケル・ヒルシュバーグMichael Hirschbergは語る。
  5. JMRTDはFVLが目指す新型軍用機の4大目標の一歩にすぎない。4つとは、軽量、中型、大型、超大型の4つであり、どこからでも離発着でき、 高速飛行し、遠くに飛ぶ機体だ。
V280 fuselage assembly June 2015V-280 機体組立中
  1. それでもV-280の機体製造が進むと、回転翼機の歴史に新しい一ページが加わるる。ペンタゴンが前回純粋な垂直離着陸機の実証機に資金投入したのは1973年のことで、陸軍とNASAのエイムズ研究所がベルに契約交付し、小型ティルトローター機XV-15の製造をさせたときだ。
  2. V-280とSB>1の両機が飛行を開始すれば、ベル、シコルスキー/ボーイングは歴史の再来を期待するだろう。XV-15は1981年のパリ航空ショーで飛行展示しており、海軍長官(当時)ジョン・リーマンは海兵隊にCH-46シーナイト後継機種に選ばれていたヘリコプターを中止させ、ティルトローター機の開発を命じた。これがV-22になった。当初は嘲笑の的だったティルトローターは熟成し海兵隊、空軍特殊作戦軍団が使用中で、ここにまもなく海軍が加わる。V-22採用を見送った陸軍だけが純粋なヘリコプターのみを運用する部隊になる。新型機でこの状況を打破することが期待される。■


2013年10月4日金曜日

米陸軍向け次期汎用ヘリ競作にカレムが可変速度式ティルトローター機で参入

Karem Unveils Variable-Speed Tiltrotor For U.S. Army JMR Demo

By Graham Warwick graham.warwick@aviationweek.com
Source: AWIN First
aviatonweek.com October 02, 2013
Credit: Karem Aircraft
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カレムエアクラフト Karem Aircraft が米陸軍の求める多用途回転翼機 Joint Multi Role 構想にティルトローター機で参画する。共用多用途機技術実証の第一段階契約を交付された。
  1. JMRとは陸軍が企画中の将来型垂直離陸輸送機Future Vertical Lift (FVL)の一部でまず中型機を開発し、現行のシコルスキーUH-60ブラックホーク多用途ヘリの後継機とし、その後ボーイングAH-64 アパッチ攻撃ヘリの後継機種とさせる構想で、実現を2030年代中ごろとしている。
  2. 陸軍の航空ミサイル研究開発技術司令部が技術投資契約 technology investment agreements (TIAs) をAVXエアクラフトベル・ヘリコプター、カレム、シコルシキー・ボーイング合同事業体とそれぞれ締結している。
  3. JMR構想に参入するカレムはTR36TD実証機を最適速度制御型optimum-speed tiltrotor (OSTR) のティルトローター機として設計中で、同機は直径36フィートの可変速度ローター二基を既存のターボシャフトエンジンで駆動させる。
  4. これに対してベルは「第三世代型テイルトローター機V-280ヴァラーの設計をしており、AVXは同軸ローターを抱くテッドファンと組み合わせたヘリコプターを開発中、さらにシコルスキーは同軸固定ローターと推進用プロペラを組み合わせた機構の機体を開発する。
  5. JMRの技術実証は巡航速度最低 230 kt.wを求めており、これは通常型ヘリコプターより50%早い。カレムによるとTR36D生産型は水平飛行で 360 kt.が可能だという。ベルV-289の巡航速度は280-kt.でAVXとシコルスキー・ボーイングは各230 kt.をめざしている。
  6. 四社に交付済みのTIAでは9ヶ月以内に一次設計完了を求め、その後陸軍が各設計を審査し、二社に機体製造させ2017年に実証機の初飛行を実現させるもの
  7. カレムによれば可変速度式OSTR機で実現する長所に機体重量、駆動機構、空力特性、推進効率に加え高速度があるという。TS36TDには「十分な」ホバリング性能、上昇率、操縦性、飛行距離で他の垂直離着陸機よりも優れた性能が実現すると同社は説明。
  8. またOSTRは機構の複雑度を減らし、安全性で優れ、保守点検を簡略化し、総費用を下げることが可能という。
  9. 数々の発明で知られるエイブ・カレム Abe Karem はプレデター無人機の原形を設計したほか、(現在はボーイングの)A180ハミングバード長時間飛行可能無人ヘリコプターで速度最適化ローターを採用している。2004年に起業したのが現在のカレムエアクラフト社。
  10. 2005年から2010年にかけてカレムは200,000 lb. 超の各種OSTR仕様を陸軍の共用大型ヘリ開発資金により検討している。そのうちTR75は直径75フィートの可変速度式ローター複数を使い、ロッキード・マーティンが共同参画して陸軍向け大型ヘリ開発を進めていたが、同計画が資金不足で棚上げになっている。
  11. 同社は自社資金で民間向けOSTR種を90席のエアロコミューター AeroCommuter と180席ノエアロトレインAeroTrain の二機開発中だ。■

2013年6月9日日曜日

次世代軍用多用途ヘリの実証機製作に残ったAVX

AVX Aircraft Wins Place On U.S. Army’s JMR Demo

By Graham Warwick
Source: Aerospace Daily & Defense Report

aviationweek.com June 07, 2013
Credit: AVX Aircraft

AVXエアクラフトは米陸軍の共用多目的機プログラム Joint Multi-Role (JMR) で選定されていることを認めた。同プログラムは高性能回転翼機の実証を2017年に飛行させることを目指すもの。

同社はフォートワース(テキサス州)に本社を置く新興企業でJMR技術実証フェイズ1に「カテゴリー1」で費用分担交渉の当事者に選定された。ベル・ヘリコプターおよびシコルスキー/ボーイング連合も選ばれている。

カテゴリー1提案とは「受理を推奨し予算交付を可能とするもの」と陸軍の契約用語で理解されている。陸軍応用技術局Aviation Applied Technology Directorateによるとフェイズ1で213百万ドルの予算を用意している。

陸軍の思惑はフェイズ1で最低でも二機種の実証機に予算を与えることだが、民間業者の費用分担次第だという。陸軍はカテゴリー1通過各社と技術投資契約の交渉中だ。

上記以外にカテゴリー1に入札した会社があるかは不明だ。さらにカテゴリー2では予算が確保されておらず、ここでの入札企業についても不明。EADS North AmericaはJMRから撤退し、陸軍の武装空中偵察ヘリ要求に集中することにしている。

AVXの提案は230ノットの同軸ローターにダクテッドファンをつけた複合推進機で高速飛行では回転翼の負担を軽減するため小さな主翼をつけるもので、実寸比70%の飛行実証機を製造し、エンジンは既存のジェネラル・エレクトリックT700を使用する。

ベル・ヘリコプターの提案は280ノットのティルトローター機でシコルスキー/ボーイングは230ノットの同軸ローター・推進エンジン複合機でシコルスキーX2実証機をもとにしたもの。陸軍は最低でも230ノットの巡航速度が必要としている。■


新 興企業の参画は業界の進歩に頼もしい存在です。注目はV-22のティルトローター技術の応用例がもうひとつ生まれるのか、同軸ローターに推進エンジンを複 合させた新しい構想が採用されるのか、とこれからのヘリコプターの姿を決定する選択がどうなるのかということでしょうか。



AVX Aircraft社のウェブサイト www.avxaircraft.com/company では機体構造が若干変更になっている様子が伺えます。ずいぶんスタイルがよくなっていますが、当初のイラストでは格好がわるいので手を入れたのでしょうか?


2013年5月12日日曜日

次期米陸軍ヘリへの採用を期待するテキサスの新興企業AVX

AVX Presses Case For Coaxial-Rotor JMR Demonstrator

By Graham Warwick



aviationweek.com May 06, 2013
Credit: AVX Aircraft


新興小企業が大手を差し置いて新型回転翼機の実証事業契約を勝ち取れるだろうか。ベルボーイングシコルスキーを相手にAVXエアクラフトAVX Aircraft は可能と信じている。
  1. テキサス州フォートワースが本社の同社は共用多用途機Joint Multi-Role (JMR) 開発で米陸軍は同社を選定し、高速回転翼機実証二機種のひとつとすべきと主張する。実証機は2017年に初飛行予定。
  2. 選 定の意味は大きい。JMR技術実証機はその後に続く次世代垂直離着陸機Future Vertical Lift (FVL) の先行と位置づけられ、シコルスキーUH-60ブラックホークとボーイングAH-64アパッチ合計数千機にかわり2030年代から就役となるからだ。
  3. 規 模の大きさからボーイングとシコルスキーは共同事業体をJMR、FVL双方で組み、シコルスキーX2高速同軸ローター機を原型とした複合ヘリコプター compound helicopterを提案する。EADSノースアメリカもユーロコプターX3ハイブリッドヘリコプターを原型にした提案で参入の動きを見せている。
  4. AVXの設計案(上図参照)では同軸ローターにダクテッドファンと小型翼を組み合わせている。ただし契約獲得を狙う小企業は同社だけではない。パイアセッキエアクラフトPiasecki Aircraftからは主翼つき複合ヘリコプターにベクター推力ダクトつきプロペラーの機体の提案が飛行ずみX-49Aスピードホーク技術を元に出ている。
  5. .AVX 社はベルの元従業員が発足させたもので、同軸ローター技術、ダクテッドファン技術が基盤だ。同社からはベルOH-58Dカイオワウォリアー武装偵察ヘリの 性能向上改修の提案があったが、なんといってもブレイクスルーしたのはベル、ボーイング、シコルスキーを尻目に同社が陸軍からJMRとFVLの概念研究契 約を勝ち取ったことだ。
  6. 同 軸ローター技術でホバリング効率が向上し、テイルローターの出力損失がなくなる、とAVX社長兼主任技師のトロイ・ガッフィーTroy Gaffeyは説明する。ベルの技術部門長をしていた。ダクテッドファンで推進力が生まれるので、ローターは揚力を生むだけでよく、必要な出力も大幅に縮 小できる。陸軍は速度230ノットを希望しており、エンジン出力の三分の二をファンにまわし、残りをローターが使う。
  7. ロー ターを傾け推力を生む必要がなく、ブレイド荷重を低下し振動を最低でも50%減らすことができる。「機首を少し上げれば抗力が減り同出力でより高速になり ます」とガッフィーは言う。「機体構成のつぼは空力特性です」 ダクテッドファンは小さく軽くできるし、巡航性能は優秀だという。
  8. 最高飛行速度で揚力の6割はローターから生まれ、残りの4割は小型前進翼と後部のダクテッドファンとスタブウィングが生む。ただし230ノット飛行ではローターが抗力の半分を生むので、それを減らすべくAVXは改良フェアリングの効果を検証中だ。
  9. 直 径56フィートのローターが生む高揚力で外部積載量は大きいとガッフィーは語る。提案書では同機は機体重量は27,000 lb. で兵員12名、貨物13,000 lb.を運ぶ。乗員は4名。これに対しUH-60Mは22,000 lb.で、9,000 lbを外部輸送できる。貨物輸送量からはむしろチヌークに近い、とガッフィーは言う。
  10. 200 kt. で巡航しペイロード4,300-lb.には3,100-shpのエンジンが必要となる。だが目標は230 kt.なので4,600 shp以上の出力が必要となる。
  11. そ の他の複合ヘリコプター機種も同じ問題に直面している。「230 kt. で問題になるのは出力水準です。大型エンジンはコスト高で燃料も多く必要としますが、その反面輸送力の余力が大きくなります」とガッフィーは言う。もし陸 軍がスピードは高くつくことを認めてくれれば、AVXもダクテッドファンを取り外す。「なくなればスピードは170-kt.ぐらいになります」
  12. AVX は生産のため多くのサプライヤー各社を集めたが、陸軍が新参会社をこれだけ重要なプログラムに選定するだろうか。ガッフィーはすべては陸軍の指示書にある とおりで、JMR入札者はFLVの開発リスクを減らすためにも実証機を飛行させる「切実なニーズが」あると証明すべしという点である。
  13. 「ティルトローター機ではXV-15があってV-22があるのに、なぜベルはV-280を飛ばす必要があるんでしょうか。X2でも同じでしょう。同機はすでに飛行済みで性能を証明済みです。X3に至ってはユーロコプターはまだ同機を飛行させていません」(ガッフィー)
  14. 「当社では同軸ローターとダクテッドファンは効率性を実証する必要があります。大手各社はFVL構想が生きている間は自社の機体を飛行させているでしょう。そこで競争を活性化させるためにも小規模な当社は陸軍が見放さないと考えています」■