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2025年4月27日日曜日

「信頼性が低い」米国とAUKUS潜水艦計画の高コストに豪シンクタンクが警句を鳴らす(Breaking Defense) ― 原子力潜水艦の導入、運用は長期にわたる事業でオーストラリアがこの負担に耐えられるかが注目です

 AUSTRALIA-US-DEFENCE

2023年8月、パース郊外ロッキンガムのHMASスターリング港に停泊する米海軍ヴァージニア級潜水艦USSノースカロライナ。(写真:Tony McDonough / AFP)



「オーストラリア初の原子力潜水艦の就役からまだ7年先なのにもかかわらず、豪国防軍の潜水艦部門が第4の軍になろうとしている


ーストラリアのシンクタンクがこの度発表した報告書によると、「信頼性が低く、要求の厳しい」パートナーであるアメリカが台頭している今、オーストラリアは自国の防衛ニーズに目を向け、この地域の「アメリカ以外の」同盟国に手を差し伸べるべき時だという。

 「アメリカの政策は、他国の防衛に関する決定や行動の基礎となる、予測可能で信頼できる数十年にわたるパートナーシップや同盟関係を維持する代わりに、特定の状況における目先の自己利益という、より狭い範囲で計算する傾向が強いようだ」と、戦略分析オーストラリアが木曜日に発表した報告書[PDF]は述べている。

 米政府高官は「自由で開かれたインド太平洋」にコミットしていると主張しているが、ピート・ヘグセス国防長官が先月日本を訪問した際に述べたように、ワシントンはその目標に向けて「同盟国やパートナーを支援することにほとんど関心を示していない」と報告書は主張している。また、アメリカがウクライナとの情報共有や武器支援を一時停止していることを挙げ、ワシントンの予測不可能性を警告している。

 「そのためには、オーストラリアが自国の防衛ニーズに応えるためにさらに努力し、日本、韓国、インドなど米国以外の主要パートナーともっと緊密に協力する必要がある」と報告書は述べている。

 数十億ドルという巨額資金を投じて、オーストラリアを当分の間米国と密接に結びつけると予想されるプログラムのひとつが、原子力潜水艦AUKUS構想だ。この構想では、キャンベラは少なくとも3隻の米国製ヴァージニア級潜水艦を購入してから、SSN AUKUSを国産建造すると予想されている。新しい報告書は、このプログラムに関して言えば、計画された支出は実質的に第4の軍事部門に相当する規模であり、他の場所でよりよく使われるかもしれない資金が使われていると警告している。

 「オーストラリア初の原子力潜水艦の就役はまだ7年先なのにもかかわらず、ADF(オーストラリア国防軍)の潜水艦部門はすでに第4の軍になろうとしている」。報告書の著者の一人であるマーカス・ヘリヤーは、「空軍の投資予算が2024-25年の41億ドルから、2024-25年と2025-26年には25億ドル以下に激減している」と指摘している。空軍はF-35Aのような新戦力が納入され、順番が回ってきた。

 彼は、空軍は間違いなく豪国防軍で最も強力な部隊で、「海軍が失敗した造船プロジェクトで苦労している間に、第5世代部隊への再建に成功した」と言う。「私たちは勝者を支援する代わりに、空軍を犬小屋に入れてしまったのです」。

 AUKUS以外の国防公約を支援し、GDP比の軍事費に注目するトランプ政権からのさらなる批判を食い止めるために、報告書はオーストラリアが今後3年間で国防資金をGDPの「少なくとも」3%まで増やす必要があると主張している。

 「オーストラリアは、安全保障上の必要性を満たすため、国富に占める割合がこれほど低いままであり続けることに、信頼できる論拠はない。特に、数十年にわたって維持してきた通常装備の軍隊を持つだけでなく、莫大な費用がかかる原子力潜水艦を戦力に加えることを計画しているのだから」と、戦略分析オーストラリアの共同設立者であるマイケル・ショーブリッジは主張する。「2035年までに国防費をGDPの2.3%まで引き上げるつもりだとワシントンに伝えれば、米国の軍事費に対する納税者の意欲にただ乗りしている、今後もそうするつもりだという米国の評価をより強固なものにするだけだ」。

 オーストラリア国防省の広報担当者はコメントの要請に応じなかった。■


Australian thinktank warns of ‘less reliable’ America, high pricetag for AUKUS sub program

"The spend, still seven years or so from the first Australian-flagged nuclear submarine, already has the submarine arm of the ADF on its way to becoming a fourth service: this newcomer is outpacing the Army, Air Force and surface Navy in its spending, complexity and risk," the report's summary notes.

By   Colin Clark

on April 18, 2025 at 5:35 AM


https://breakingdefense.com/2025/04/australian-thinktank-warns-of-less-reliable-america-high-pricetag-for-aukus-sub-program/


2022年6月13日月曜日

オーストラリア前国防相の爆弾発言でAUKUSの行方に黄信号。原子力潜水艦が登場するのは2040年代?労働党政権が見直しをかける可能性も。

 VIRGINIA_CLASS_SSN

 

ピーター・ダットンが2030年までに米国製潜水艦2隻を購入する計画が存在していたと発言し、物議を醸している

 

 

ーストラリアの前国防相は、2030年までに米ヴァージニア級原子力攻撃型潜水艦2隻を取得する計画が前政権にあったと発言した。この暴露でオーストラリア政府関係者が動揺し、国内開発の新型原子力潜水艦(SSN)の購入構想を含む、米国および英国との新しいパートナーシップ「AUKUS」が頓挫しないか懸念が出てきた。供用中のコリンズ級ディーゼル電気潜水艦の後継艦を探すオーストラリアの複雑なプロセスで最新の進展となった。オーストラリアは、フランス設計の新型通常動力型アタック級潜水艦契約から離脱している。

 ピーター・ダットン前国防相(自由党党首)は、昨日オーストラリア紙に寄稿し、自身の主張を展開した。ダットンは、米国がヴァージニア級 SSN 2隻を 2020年代末までに供給すると期待していたと書き、「米国がその方向で促進しただろう」と見ている。

 

オーストラリア、イプスウィッチのアンバーリー豪空軍基地で行われたメダル授与式でスピーチするピーター・ダットン。 Photo by Dan Peled/Getty Images

 

 ダットンは、先月の選挙で勝利し政権を率いる労働党を批判し、前連立政権が残っていれば、ヴァージニア級取得を「7~8月頃に発表できる立場だったかもしれない」と主張した。その後、ラジオ局で「労働党がAUKUSや潜水艦事案から手を引こうとすれば国益に反し本当に心配だ」と述べた。

 ダットンの内容では、前政権がヴァージニア級潜水艦の購入を計画していたのか、リースする計画なのかは不明だ。ダットンは昨年、米原子力潜水艦をリースするのは暫定的に能力を獲得する方法であり、間違いなく可能だと述べた。これは、オーストラリアのトニー・アボット元首相を含む他の人々も公然と提唱していた。

 ダットンは、原子力潜水艦の代わりに、労働党政権は現在、通常動力艦をより多く取得しようとしていると主張し、各艦は現地建造されるようだとした。

 

2019年2月、西オーストラリア州コックバーン湾を通過中のコリンズ級潜水艦HMAS Collins、HMAS Farncomb、HMAS Dechaineux、HMAS Sheeanが隊列を組んで航行した。Australian Department of Defense

 

 前国防相の言葉は、政府関係者やアナリストから不評を買っているが、主な理由は、オーストラリアが新しい潜水艦をどこから調達するか、公には未決定のためだ。

 ダットンの論説は、リチャード・マールズRichard Marles新国防相が初の国産原子力潜水艦を、2038年までに建造するとした前政権の見込みは楽観的すぎると指摘したことに続くものだ。「現実には2040年代半ばに納入される可能性が高いというのが前政権退陣時での大方の予想だったと思う」と、マールズは今週初め、オーストラリアの新聞「シドニー・モーニング・ヘラルド」と「エイジ」に語った。

 「このギャップをどう埋めるかを考えねばならない。それしか言えない。方法について私は心を開いている」とマールズは付け加えた。

 アジア太平洋地域の安全保障環境、特に急速に増大する中国の脅威に目を向け、オーストラリア政府は昨年、フランスのナバル・グループとのSEA1000契約で、アタック級潜水艦12隻を調達する計画を破棄した。2007年に始まった契約は、スケジュールの遅れとコスト膨張に悩まされていた。こうした問題を背景に、オーストラリア政府当局は新原潜計画の発表に先立ち、既存のコリンズ級潜水艦の延命計画を明らかにしていた。

 オーストラリア政府がアタック級を捨て、新たに原子力潜水艦を保有する決定をしたのは予想外だったが、同国の国家安全保障上での優先事項と地理的位置に照らせば、多くの点で理に適う。原子力潜水艦は、航続距離、潜水時間、速度、全体的な耐久性において、空気独立推進システムを備えた先進的な通常動力艦と比較しても、追加的な利点を多数提供する。しかし、原子力はコストが高く、原子力推進システムには大規模ンフラと産業基盤が必要となる。

 昨年9月に発表された新型SSN取得のスケジュールには、英米両政府が豪州の取得に向けた「最適な道筋」を探るため1年半の期間が設けられている。その間に、英アスチュート級の派生型、米ヴァージニア級、米海軍のSSN(X)、あるいは全く別の設計のいずれかを選択する予想があった。

 

空母打撃群21(CSG21)展開中の空母HMSクイーン・エリザベスを背景にイギリス海軍アストゥート級潜水艦が浮上航行したCrown Copyright

 

 オーストラリア政府関係者が懸念するのは、ダットンがこうした意思決定プロセスを覆し、AUKUSパートナーシップの整合性を損ねる可能性だ。安全保障条約は、3国間の広範な軍事協力を想定している。特に、ヴァージニア級の取得について米国と秘密裏に協議していたようなので、英国との関係が脅かされる可能性が懸念される。

 オーストラリア放送協会(ABC)は、匿名を条件にAUKUS関係者数名に話を聞いたところ、ダットンによる暴露の影響を懸念しているとした。

 ひとりの関係者は、ダットン発言は、オーストラリア、アメリカ、イギリスがコリンズ級の後継艦で年内に共同発表する計画を「台無しにした」と述べた。

 同関係者は付け加え、オーストラリア海軍にヴァージニア級新型艦船2隻を提供することが困難であることを強調している。米国向けヴァージニア級潜水艦は、コネチカット州グロトンのジェネラル・ダイナミクス・エレクトリック・ボートと、ヴァージニア州ニューポートニュースのハンティントン・インガルス・インダストリーズ2社の造船所で建造されている。

 

建造中のヴァージニア級潜水艦「USSデラウェア」。 U.S. Navy

 

 オーストラリア戦略政策研究所の主任研究員マーカス・ヘリヤーMarcus Hellyerも同様に、ガーディアン・オーストラリア紙に、ダットンは現実を反映しない「アイデアやコンセプトを打ち出した」と批判している。ヘリヤーはさらに、「こんな計画があるはずがない。米政府もオーストラリアも、誰も同意していないのだから」と述べた。

 ダットン発言は、AUKUSのパートナーシップに悪影響を及ぼす可能性があるだけでなく、コリンズ級に代わるプロジェクト全体を遅らせる効果が心配されている。ダットン自身は、現在の「ディーゼル電気潜水艦は、2035年以降、南シナ海で中国に対抗できなくなる」と発言しており、原子力推進の有能な後継艦調達が優先事項となっている。

 南シナ海での中国の軍事活動は、オーストラリアで特にホットな話題である。先週も中国のJ-16フランカー戦闘機がオーストラリアのP-8Aポセイドン哨戒機にチャフを放出し、オーストラリア当局が「危険な行動」だと述べたばかりだ。

 

オーストラリア空軍のP-8Aポセイドン海上哨戒機。 Australian Department of Defense

 

 マールズ国防相兼副首相は記者団に対し、「南シナ海の軍事化が進むのを見たくない」と述べた。「この海はオーストラリアと深くつながり、貿易が行われている」。

 オーストラリアのSSN調達計画で、イギリスがどこに位置づけられるのか、イギリスがプログラムの一部になる道があるのか、正確には不明だ。オーストラリアがアタック級を廃棄し原潜を採用する計画を発表した直後、イギリスはイギリス海軍の現在のアスチュート級SSNに代わる次世代原子力潜水艦計画に着手したと宣言した。新計画は現在、潜水艦核代替計画(SSNR)と呼ばれ、少なくとも英豪両国に合わせた全く新しい原子力設計、あるいはSSNRのサブクラスに豪州向け機能を盛り込む可能性があると考えられていた。

 西オーストラリア大学のピーター・ディーン教授Dr. Peter Dean(防衛学)は ABC にこう語っている。「英国は自国潜水艦が選択肢から外れる可能性を知って嬉しくないだろうし、米議会や国防総省などでも、可能性を示す記事を読んで非常に興味を持った人がたくさんいるはずだ」。

 労働党の公式路線について、ダットン発言を受けて、マールズ国防相兼副首相が次のように述べている。「このような暴挙は国益を損なう。この発言はAUKUS合意を損なう」。

 マールズは、コリンズ級に代わり取得するSSNは未決定と繰り返し、「すべての選択肢がテーブルの上に残っている」と述べた。

 

5月23日、オーストラリア・キャンベラで就任式を終えたペニー・ウォン外相、ジム・チャルマーズ財務相、アンソニー・アルバネーゼ首相、リチャード・マールズ副首相。Photo by David Gray/Getty Images

 

 オーストラリア国防総省は、今回の動きについてコメントを出していない。しかし、新型原子力潜水艦導入という野心的な計画で、ねじれがさらに生じる可能性は高い観がある。中国の脅威が高まる中、コリンズ級は老朽化する一方だ。政治的な対立がなくても、SSNのように複雑で特殊な艦の建造、導入は、必要なインフラ整備は言うまでもなく、一筋縄でいかない。■

 

 

Australia Was Poised To Get Virginia Class Nuclear Submarines Says Former Defense Minister

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BYJOSEPH TREVITHICK, THOMAS NEWDICKJUN 10, 2022 2:33 PM

THE WAR ZONE

 


2022年3月8日火曜日

オーストラリア潜水艦基地建設をめぐり、西側報道と中国報道を比較してみた。同じ事実が違うメッセージを発する好例。

 オーストラリアが原子力潜水艦基地を新設すると発表しました。今回はBreaking Defenseと環球時報の伝え方をそれぞれご紹介します。まず、米メディアBreaking Defenseです。


Scott Morrison, Prime Minister of Australia, speaks at UN Climate Change Conference in November. (Ian Forsyth/Getty Images)


ーストラリアはAUKUSの一環で100億豪ドル(73億米ドル)で原子力潜水艦運用基地を同国東海岸に構築するとスコット・モリソン首相が本日発表した。軍事基地新設は1990年代初めてで、候補地はブリスベーン、ニューカースル、ポートケンブラの三箇所だ。



基地には特別整備施設、潜水艦乗員や基地要員の宿舎等も含み、英海軍米海軍の原子力潜水艦も利用する、とモリソン首相は述べた。戦略的に意味のある地点で各艦を再補給しつつ、三カ国の潜水艦部隊が情報共有しつつ親密度を上げるねらいだ。


基地構築の初期段階は2023年末までに完了する。


モリソン首相は国政選挙前に原子力潜水艦の国内建造あるいは海外調達の大方針を決めたいとし、AUKUSウォッチャーの関心を集めている。


ピーター・ダットンPeter Dutton国防相は、日曜の報道番組で、「今後数カ月以内に決定する」と発言していた。モリソン首相はこれを否定したが、ダットンと意見が対立していると思われるのを避けるため、「ピーターが言ったように、我々は前進できている」と付け加えた。この件では「時間を無駄にしていない」。しかし、意思決定プロセスまで18ヶ月というスケジュールは変わらないというのだ。


モリソン首相はAUKUS原子力潜水艦事業は単なる調達事業の域を超えていると強調している。「パートナーシップ」だという。米国は技術アクセスを統制しており、「我が国が使いたい技術だけでなく、英国に対しても同様に管理している。そのため、パートナーシップの性質として貿易取決め手続き同様にともにスピードを持って進めていくことになる、という。


さらに広い世界に言及してモリソン首相は暗い見方を紹介した。二元論的で、「中国の好戦的な姿勢や独裁体制の台頭、ウクライナ侵攻で明らかになったロシアの脅威へ、西側の開放性と国際機関の利他的な野心が、知らず知らずのうちに扉を開いてしまった」と発言。


「包容力と融和により独裁政権に改革や穏健化がもたらされるとの期待」は、「裏切られた」と、長年にわたり国会議員を務めてきた首相は述べている。


オーストラリアはこの見解に基づき行動している。「先週火曜日、私はウクライナ防衛を支援するため、約7000万ドルの防衛軍事支援と非殺傷軍事装備および医療品の提供を発表しました。我々のミサイルは現場にある」と述べた。「我々は祈りを捧げたが、弾薬も送っている」


モリソン首相は、ウクライナでプーチンが勝利するかと尋ねられ、以下慎重に評価した。


「ロシア軍の実力は過大評価されていると思う」と、仮定の質問に答えたがらないことで知られるモリソン首相は言った。「ウクライナには抵抗勢力があり、時間とともに拡大するだろう。その結果、ロシアが利益を得られるとしても、維持できなくなる」。


モリソン首相は中国がウクライナ侵攻を台湾占領のモデルとして利用するのではないかという憶測で注目されるインド太平洋にも触れた。


「台湾海峡の状況とウクライナの状況に類似性を見出そうとは思わない。全く異なる状況だ。台湾海峡で予想される反応は、ウクライナで起こっていること全く異なる」■


Australia commits $10B to nuke sub base; US, UK boats welcome

With $70 million defense package to Ukraine, Australian PM says, "So yes, we have offered our prayers, but in Australia, we have also sent our ammunition."

By   COLIN CLARK

on March 07, 2022 at 1:14 PM



では、環球時報の報道ぶりを見てみましょう。中国の権益の観点しかないことが明白ですね。例によって「専門家」に伝えたい主旨を喋らせる格好になっています。記事はトップの扱いで並々ならぬ関心を示した格好ですが....


 

   

中国はオーストラリアの原子力潜水艦基地構築に警戒すべき、と専門家が警句。

 

ーストラリアは、原子力潜水艦基地の建設に巨額の予算を投じる計画を明らかにした。AUKUS協定に基づく初の原子力潜水艦が2038年までに登場すると伝えられていることから、新基地は米国の原子力潜水艦が先に使用する可能性が非常に高いと、匿名希望の北京在住の軍事専門家は述べ、基地は中国にとって脅威となるため、中国は警戒を強め海上防衛力を強化すべきだと注意喚起している。

 

スコット・モリソン首相は月曜日、東海岸に基地を設置すると発表したとオーストラリア・メディアが報じた。

 

「米国と英国の原子力潜水艦の定期的な寄港も可能になる」とモリソン首相は述べた。コリンズ級通常型潜水艦から原子力潜水艦への移行に100億オーストラリアドル(74億ドル)以上が必要になると指摘した。

 

モリソン首相は、ウクライナ危機が必然的にインド太平洋地域に及ぶと主張したが、人民解放軍海軍研究院上級研究員Zhang Junsheは、積極的な国防計画を守るための言い訳だと指摘した。

 

Zhangは、原子力潜水艦基地の整備計画は、実はAUKUSへの加盟と同じ目的に沿ったもので、オーストラリアは米国の世界覇権と地域問題介入の共犯者として行動し、中国を封じ込めるためのいわゆるインド太平洋戦略への協力を決意していると指摘した。

 

AUKUS潜水艦事業は、オーストラリアの近隣諸国や各国の核軍縮支持者の激しい批判にあっており、インドネシアやマレーシアなどの国々は、AUKUSが核軍拡競争に火をつけ、地域の平和を損ねると懸念を示していると、Zhangは指摘する。

 

北京の匿名専門家が月曜日に環球時報に語ったところによると、原子力潜水艦が運用開始するのは2030年代後半と言われているため、オーストラリアの原子力潜水艦が引き渡される前に、中国はより発展し潜在的脅威への対応力を強める。

 

しかし、匿名専門家は、基地が完成すれば、米国や英国の原潜だけでなく、オーストラリア原潜も配備でき、中国への直接的な脅威となると警告している。

 

「おそらくオーストラリアの原子力潜水艦は、AUKUS全体の枠組みの中では、基地整備より重要度が低いのだろう。基地ができれば米原子力潜水艦に中国に近い安定した場所とな利ながら脆弱性を減らせる」

 

Zhangも同様の見解で、基地は「間違いなく米国に利用される」と述べた。

 

 「中国は平和的発展の道を歩むと約束し、海洋防衛能力を開発し続け、起こりうる外部からの脅威に対処し、国家の主権、安全、領土の一体性を守るべきである」とZhangは述べた。

 

China should be on alert over Australia's future nuclear-submarine base: experts - Global Times


China should be on alert over Australia’s future nuclear-submarine base: experts

By Xu Keyue

Published: Mar 07, 2022 10:17 PM


2021年9月18日土曜日

オーストラリアが契約破棄した理由。フランスは予想通り逆上しているが、オーストラリアが決断したのは無理もないことがわかります。

 


 

ーストラリアを英米の協力のもとで原子力推進攻撃型潜水艦(SSNs) 取得に走らせたのはアタック級次期潜水艦建造が難航し、通常型潜水艦(SSK)ではSEA1000事業で目指す目標達成が困難と判断したためと解説する専門家がいる。

 

アタック級は12隻建造し現行コリンズ級と置き換える予定だったが、遅延と費用増加が発生し、事業規模が900億オーストラリアドル(約7兆円)に膨れ上がる試算が出ていた。

 

2016年にオーストアリア国防省はショートフィン・バラクーダ1Aをフランスのナバルグループから調達すると選定した。同艦はフランス海軍が供用中のスフラン級原子力潜水艦を原型としながら高いリスクをかかえていた。SSKへの転用となると既存設計が使えないためだ。

 

アタック級は「革命的というより進化形」でコリンズ級と同等の性能の想定と解説するのがオーストラリア戦略政策研究所のマーカス・ヘリヤーだ。

 

それによるとアタック級は「既存枠組み」を踏襲しており、大気非依存型推進、リチウムイオン電池、垂直発射管、大直径発射管(水中無人機の運用)のいずれも想定していなかった。

 

SEA1000構想は当初から問題を発生していた。戦略パートナーシップ(SPA)合意で各機関を対象期間中は連携させる目論見が2017年10月時点にあり、合意は2019年2月に成立した。

 

2018年9月に海軍建艦諮問委員会からSEA1000の代替策を検討すべしとの提言が出た。同委員会はコリンズ級の供用期間延長で時間を稼ぎ、「将来型潜水艦の取得戦略を必要に応じ模索する」べきとしていた。

 

コリンズ級SSKでは供用期間延長はその後承認され、オーストラリア海軍は2038年まで現有艦を運用する。

 

SPAは成立したが、2020年初頭にオーストラリア国家監査局(ANAO)が「将来型潜水艦の設計変更」と題したレポートを公開し、SEA 1000構想で「4億オーストラリアドル近くを支出しても目指す大きな目標二点を満足させる設計が実現できない」と指摘していた。

 

構想検討審査(CSR)の完了が9カ月遅れ、システムズ要求性能審査(SRR)も遅れた。ANAOではナバルグループと国防省で民生技術含む作業への取り組みが食い違うと指摘している。国防省とナバルグループの関係が悪化した。

 

これだけなら事業の進展そのものを止めることはなかったはずだ。報告書では進捗が3年遅れ潜水艦戦力が不足する事態になりかねないとの指摘がある。国防省は昨年このリスクに気づき、2050年代以降の海軍で必要とする性能が実現しないことも明らかになった。

 

ヘリヤーはアタック級は通常型潜水艦としては高性能と述べつつ、SSK技術は成長の限界点に達しつつあるとし、大型化(コリンズ級は3,400トンなのに対しアタック級は4,500トン)で燃料やバッテリーの搭載量を増やし、高速速力と長期待機能力の実現に向かうとみていた。

 

実は国防省はコリンズ級でも同様の状況を20年前に経験し、当時はスウェーデン海軍のゴットラント級設計をコクムス造船所の知見で建造し、SSKの航続力を伸ばしていた。

 

ヘリヤーからは国防省が時間と予算をたくさん使った挙句「漸進的改良」に終わり、「根本的な変化を潜水艦性能で実現するには原子力推進を採用するしかない」との結論に至ったとコメントしている。■

 

French Attack Boat Design, Costs Opened Door to Nuclear Australian Sub Says Expert - USNI News

By: Tim Fish

September 16, 2021 6:55 PM