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2018年2月10日土曜日

★「普通の国」になった日本を歓迎する世界(中国、南北朝鮮除く)が現実



Japan is Back on the World Stage 世界の舞台に復帰した日本





February 4, 2018


国グリニッジで12月に外交・国防両相と協議した河野太郎外務大臣、小野寺五典防衛大臣は東京でフランスの両相と並んでいた。日英2+2同様に日仏2+2も海洋安全保障が議題で共同声明では「自由で開かれたインド太平洋」を求め、法の支配による秩序を「共通の権益」とした。二回の大臣会合内容には驚かされるものがある。米国と日本は強固な同盟関係で結ばれている。英国、フランスは強い国防上のつながりを有する。フランス、米国、英国はNATOの有力メンバー国である。英国と米国はオーストラリアを入れてファイブアイズを構成し、そのオーストラリアは日本、英国、フランスと防衛面で二国関係を維持している。
北京、モスクワにより自由体制と法に基づく秩序は存続の危機にある。2014年を境に法の支配を基にした秩序は力を背景にした変革に道を譲っている。その年にロシアがクリミアを「併合」し、ウクライナ東部に軍部隊を出動させ1994年ブダペスト覚書を破った。また同年初めに中国艦船がジョンソン南礁で「埋立て工事」を開始した。ここは大量の交易輸送が行き来する場所で中国による工事には法的根拠はない。
両事案を非難する声明多数が発出されたが、対応に苦慮しているのが西側の現実である。妥協を知らない新大統領の選出やブレグジットも解決にならない。さらに日仏2+2および日英2+2で自由民主主義国家が結束を強めることになるのかも見えてこない。中国を「封じ込める」意図はなく、これ以上の野望を食い止めつつ法の支配を基にした秩序を強めるつもりなのか。また米-日-豪の三国関係、米-日-豪-印四か国関係としてみるべきだ。
中で特筆すべきが日本がそれぞれで中軸の役割を果たしていることだ。最近では1991年まで日本の安全保障上での提携国は米国のみの状況が続き、平和憲法に縛られたままだった。中国と南北朝鮮を除き、日本の実力再興と外交政策の強化は米国、オーストラリア、インドがいずれも日本が正常な国に復帰し、各国に加わったとして歓迎した。まだ日本の与党LDP自民党内の中心的リーダー、小泉純一郎、麻生太郎、安倍晋三の考え方を反映した変化である。この中で小泉は吉田茂首相時代後の初の首相となり、安倍は最大規模の変革を力強く主導する首相となっており、安全保障面で日本周辺のみならず欧州にまで影響を与えている。
安倍のもとで日本は単に防衛装備の充実を図っただけでなく、域内パートナーとともに集団的安全保障を可能とする法案を通過させ、さらに機密防護を狙った体制を作り上げた。ただ日本は広範囲に及ぶ情報活動の改革法案が未整備のままだ。とくに文民主導の情報機関の創設が緒についたばかりだ。この創設では日本は英国、オーストラリア、そしてもちろん米国を参考にすることができる。
日本がヨーロッパに関心を示す理由はいろいろある。まず日本とEUは自由貿易協定を今夏調印の見通しだ。これで日本は中国韓国や米国さえも抜いてEUの有力経済パートナーになる。現時点ではEUの経済関係では米国が一位、中国が二位で日本は七位と下位に位置する。経済関係の強化を背景に日本はフランス、英国とのつながりを強める。
日仏2+2は2014年に始まり、同年に中国とロシアは軍事力で法の支配を揺るがせ始めた。翌年に日英2+2が始まった。ともに日豪二国間協議と驚くほど類似しているのは従来は同盟国に限定されていた産業協力が議題になっていることだ。英仏両国は日本と武器移転合意を結び、一層の防衛協力が産業基盤を通じて行えるようになった。フランスとは水中機雷除去UAV案件、英国とは三菱電機製センサーを英メテオミサイルに搭載する話がある。両国とも米F-35事業の最上位関係国で、同ミサイルが将来総合運用性を獲得できるかを検討している。
その他にも着実な成果が生まれている。英国とは2015年に兵站面で物品役務相互提供協定Acquisition and Cross-Servicing Agreement (ACSA)を締結した。ACSAで両国は糧食、燃料、弾薬を融通しあい、補給活動を共同実施できるようになった。目的は共同作戦体制の実現だ。日仏間でACSAは未締結だが、共同声明では補給面での合意形成に向け作業中とある。
はここまで日本を動かしているのは何か。安全保障上の不安が背景にあるのは確かだ。中国の台頭を横目に日本は安全保障提携関係や防衛産業協力を西側諸国と進め疑似同盟関係まで強めることが対抗措置になると見ている。だが高次元の戦略と別に日本も防衛費の高騰、特に研究開発費の増大に直面している。60年前と今日の最先端戦闘機の開発でコンピューター処理能力の違いは歴然だ。英国やフランス程度の中位防衛大国への道を狙う日本がR&Dを効率よく進める方法、公平な入札方法、調達工程を国内構築するヒントを各国に期待するのは明白だ。こうした安全保障提携関係が完全な同盟関係に進展するのだろうか。現時点では今のままで法の支配に基づく秩序の強化に十分とはいえない
Dr. John Hemmings is director of the Asia Studies Centre at the Henry Jackson Society.
Image: Under Abe's watch, Japan has not only developed a national security apparatus, but pushed for collective security with regional partners.

まだ日本国内の「教育」が不十分です。これだけ先にお膳立てが進んでいるのですが、いまだに安全保障を国境線で考える傾向があり、「遠い」地点の出来事がなぜ日本の安全保障に関係してくるのか理解できない=したくない傾向がありますね。あるいは集団安全保障になぜ拒否反応を示すのか。「専守防衛」の意味を漢字で理解しようとしているからではないか、と筆者は感じます。まず自衛隊員が公務員という扱いでは戦時に困りますよね。過去の延長線でものを考えるのではなく、「あるべき姿」を考えてから現実を見つめてみるべきと思うのですが...

2017年1月8日日曜日

★アルゼンチンがフォークランド再侵攻を試みる可能性---日本には何が参考になるでしょうか



1982年のフォークランド戦争は途上国対先進国の軍事衝突、かつ西側陣営内の紛争となりました。アルゼンチンが同様の作戦を実施する可能性は低いようですが、そもそもフォークランド侵攻は国内世論の不満をそらそうと当時の軍事政権が無謀にも実施したものであることをわすれてはいけません。中国、韓国とも領土を巡る対立を抱える日本にも他山の石取すべき事例であり、国内の矛盾を対外戦争で見えないようにするのは為政者の選択肢だということを忘れてはなりませんね。

Argentina Has Three Years to Retake the Falklands

It’s too late for Buenos Aires to rebuild its shattered air force before the U.K.’s new carriers arrive

by ROBERT BECKHUSEN
アルゼンチンは空軍再建を目指しイスラエルからクフィール戦闘機ブロック60の12機ないし14機導入を2017年中に狙う。旧式だが実力のある機材でブロック60はElta製2032AESAレーダー含む近代化もしている。
  1. 英国には現時点では作戦投入可能な空母はないが、一隻だけ匹敵する機能を果たせる艦がある。HMSオーシャンでヘリコプター空母だ。大型空母二隻を建造中だが、一号艦HMSクィーン・エリザベスが戦力化するのは2020年まで待つ必要がある。
  2. だが2020年時点で英軍用のF-35Bで実戦投入できる機材はごく少数だろう。2023年に24機で飛行隊が2つそろうとアルゼンチンには面倒な存在になる。
  3. アルゼンチンはなぜイスラエルから戦闘機調達を急ぐのか。当然自国領空の防衛のためだが、フォークランド諸島の支配をめぐり英国に再度挑戦する意向もあるのだろう。前回の侵攻作戦は1982年でアルゼンチンは敗退させられた。
  4. そうなるとアルゼンチンがフォークランド諸島奪還に使える時間は三年程度となる。クィーン・エリザベスの戦闘飛行隊が整備されるまでだ。
  5. とはいうものの再侵攻の可能性はきわめて低い。紛争後、英軍は大幅に戦力を縮小したが、アルゼンチン国軍はもっと惨憺たる状況だ。クフィールを導入しても再奪還の条件は整わないだろう。
  6. フォークランド戦争でアルゼンチン空軍は三分の一と機材多数を失い、紛争後も未だに戦力は回復していない。それでも現在のアルゼンチン空軍はラテンアメリカで最新鋭の戦力だが機材は三十年間放置され1990年代の経済崩壊で空軍は機材調達機能を喪失した。
  7. 再度侵攻はしないとの姿勢を示すマウリシオ・マクリ大統領は英国と関係回復を模索しているがアルゼンチンは今でもフォークランドを自国領と主張し、マクリ政権でもその主張に変わりはないが、軍事衝突の可能性は一層減ってきた。
英空軍のトーネード戦闘爆撃機。フォークランド諸島内のマウント・プレザント英空軍基地。撮影2007年、英国防省写真。
  1. アルゼンチン空軍の主力機はシュペール・エタンダールと亜音速のスカイホークと旧型機が飛行できない状態になっている。ミラージュIIIの最後の一機は2015に退役している。
  2. このためアルゼンチン防空の主役は30機あるプカラ対地攻撃機や少数のトゥカーノ、パンパ多用途練習機各型しかない。紛争の可能性に備えてアルゼンチンは高性能ジェット戦闘機と訓練済みパイロットが必要だ。
  3. 英国がフォークランドのマウント・プレザント基地に常駐させるのはユーロファイター・タイフーン2機ないし4機しかないが、地上には対空ミサイル陣地があり、英本土にはタイフーンが100機、トーネード多用途戦闘機が76機控えている。
  4. アルゼンチン陸軍には装備品が不足するとともに銃、弾薬、対戦車ミサイルが堂々と盗まれ闇市場に流れる問題もある。
  5. アルゼンチン空軍が再建されフォークランドの英空軍基地が侵攻部隊により無力化される事態を恐れて英国はクィーン・エリザベス級正規空母で航空優勢を確保しようとすれば、1982年のHMSハーミーズ及びインヴィンシブルで行った作戦を繰り返すことになる。
  6. ただしアルゼンチンの「兵力投射能力はきわめて限定的」と国際戦略研究所は2016年版報告書でまとめており、クフィールが10機ほど加わったところで状況は変わらない。空中給油なしではフォークランド上空に数分間しか残れない。アルゼンチンの空中給油機はハーキュリーズ改装型が二機あるが能力不足だ。
  7. イスラエルがアルゼンチン向けクフィールに希望通りの兵装を加えて提供する保証もない。アルゼンチンは海面すれすれを飛ぶゲイブリエルIII対艦ミサイルによる英海軍攻撃を希望している。またクフィール売却には米国の承認も必要だ。同機が米国製J-79エンジンを搭載しているためだ。だが決して不可能ではなく、米国もこれまでアルゼンチンに装備売却の実績がある。
  8. そうなるとアルゼンチンが同戦闘機を導入しても35年前の戦力水準には程遠い。アルゼンチンの機材が揃い、パイロット養成も順調に進んでも英空母群が艦載機とともに姿を表わすことになる。
  9. それに英軍の守備体制はも当時はわずかばかりの歩兵しかなかったのと比べれば小部隊といえども大きく変化している。増援部隊を受け入れる空軍基地も構築した。
  10. アルゼンチンの軍用輸送船は1982年当時の水準を大きく下回りフォークランドへ部隊を十分輸送できない。
  11. それでもアルゼンチンは知恵を絞れば英艦船の攻撃は可能だ。2016年2月にはエグゾセ対艦ミサイルの改良型を試射して、標的艦を破壊している。中国に習う戦略も可能だ。中国は南シナ海に着々とプレゼンスを築いている。
  12. とはいえフォークランド諸島の占拠、英艦艇に脅威を与えることの2つは同国には困難なままだ。■


2016年6月22日水曜日

★中国がBrexitを恐れる三つの理由



この通りならいよいよ迫ってきた国民投票の結果で中国の目論見が崩れると面白いですね。
僅差で残留が決まると見ていますが。

The National Interest 3 Reasons China Fears Brexit

英国の離脱でEU内経済権益の消失を恐れる中国
June 19, 2016


  1. 疑いなく米国はBrexitで多くを失う。この数か月で多数の評論家がオバマ政権とともにこの点を強調している。だがその中で中国でも同様と指摘したのは皆無に近い。英国がEU離脱すれば、中国にも経済政治上の打撃は大きいため中国政府は憂慮している。中国は静かだが明確にBrexitに反対姿勢を示し、習近平主席自らが昨年10月の訪英時に伝えている。他国の内政へは不干渉を貫くべきという公式な立場を離れて、中国政府は「中国は繁栄の下でEUが団結していくと希望する」との声明を出しており、真意は明白だ。
  2. だがなぜ中国がBrexitの可能性を心配するのか。そこで中国が対英関係を重視する理由三つを理解する必要がある。
  3. まず第一にかつ最重要なのが中国政府が英国との緊密な関係を利用してEUの対中政策に影響力を行使したいと考えていることだ。日米両国の圧力のため、中国はこれまで以上にEUに経済利益の機会を求めており、これが一帯一路構想の原動力になっている。このため中国は英国と経済政治関係を大幅に強化しており、英国を重要なパートナーとしてEU内の代弁者に変えようとしている。中国指導部が英保守党の関心を引こうとしているのは同党が貿易立国をかたくなに信奉しているためだ。中でもジョージ・オズボーン蔵相はデイヴィッド・キャメロン首相の後継者とみなされている。
  4. 早くもこの戦略が二方面で結果を生みつつある。国内外の反対を押し切るかたちで英国政府は中国の市場経済待遇を受け入れるようEUにロビー活動を展開し、中国製品への反ダンピング課税を軽減することを狙った。英国政府は数十億ドル単位のEU中国自由貿易協定の推進を公に進め、ここでも中国は大きく貿易投資をヨーロッパと拡大させる目論見だった。中国の観点では、貿易拡大など追加効果により米国が進める環太平洋貿易投資連携の実現を一掃難しくさせたい。そこで英国がEU離脱となれば中国が狙うEUへの影響力拡大構想が大きな打撃を受けてしまう。またEUもパートナーとしての経済政治力が低下してしまう。
  5. 二番目として中国にとって英国は欧州市場への重要な入口となる。規制が比較的緩い英国に中国企業多数が多額の投資をし、巨大だが規制が厳しい5億人の欧州大陸市場への飛び石として利用している。こういった戦略的投資が近年増えており、中国企業がヴァリューチェーンを構築する事例が特にサービス産業で目立っており、米国など安全保障や技術移転のため投資が思い通りに進まない他国と好対照になっている。当然のこととしてBrexitが実現すればEU市場に英国から入る中国の目論見が崩れる。英国に大規模投資をしている大連万達Dalian Wandaの創設者王健林Wang Jianlinは「Brexitは英国にとり賢明な選択ではない。投資する側には余分な障害が生まれる」と警告している。内部関係者によれば中国企業各社は英国との新規取引を中止しており神経を尖らせながら国民投票の結果を待っているという。
  6. 三番目の理由としてロンドンは中国が進める通貨元の国際化戦略に重要な場所だ。世界有数の金融ハブとしてEU内に位置し、時差の関係から東アジア、欧州、米国をカバーできるロンドンはアジア外で元の利用促進を進めるのに理想的な場所だ。元の国際化は中国政府の大きな目標であることに注意が必要だ。中国は元建て国債を発行し、金融の力を借りた成長が可能となり、外貨依存を減らし、元が安定し自由に取引決済できる通貨になる。また元の国際化で中国は世界の金融秩序を形成できる立場になり真の大国となる。したがってロンドンを元国際化戦略の中心とすることは中国にとって重要事項だ。
  7. すでにこの戦略が効果を上げている兆候がある。ロンドンは香港に次ぐ世界第二位の元取引高を誇り、北京通貨取引市場は中国中央銀行の下部組織としてロンドン支部を開設すると発表している。もし英国がEUから離れたら、元国際化の野望と世界金融界での地位向上がロンドン通じ実現するか確証が持てなくなる。特にロンドンはヨーロッパの金融サービスの中心地であり、英国に本拠を置く金融企業はEU加盟国すべてで追加登録なしで活動できる「パスポート」機能があるので、これがなくなれば大きな打撃だ。
  8. ここまでは戦略レベルの大きな理由だが、中国にはこれとは別にBrexitがEUに即効で与える効果にも気をもんでいる。それは中国にはEUが最大の貿易相手であり2015年には5,200億ユーロ相当の財サービスの交易があった。英国がEUから離脱すればEUへの影響は深刻で世界経済にも同様だ。すると翌年から数年間は世界経済が減速しかねない。輸出依存の経済構造の中国はすでに経済不況にも直面しており、さらにこのシナリオが加わると困難な事態になる。
  9. さらに中国指導部はBrexit国民投票そのものに当惑を隠せない。予想不可能な事態になるかもしれず一度結果が出れば元に戻れない国民投票という賭けにキャメロン首相が出た理由が理解できないのだ。中国専門家のケリー・ブラウンによれば実利を追い求める中国指導部は英国が国家主権だけを理由にEUの恩恵である経済や政治上の利益から背を向ける可能性にショックを受けているという。
  10. 要約すればBrexitは中国にとって何もいいことがなく、戦略経済的に悪い結果をもたらす。そこで6月23日の国民投票を中国指導部はかたづを飲んで待っている。当然だろう。中国にとっては高くつく結果になるからである。

イヴァン・リダレフはキングスカレッジロンドン校で博士号取得予定で、ブルガリア国民議会で顧問も務める。Diplomat,China Brief, Eurasia Reviewで論文を発表しており、専門は国際関係論とアジア安全保障問題である。記事は著者自身の見解である。
Image: Flickr/Number 10 (Crown copyright).


2015年6月18日木曜日

テキストロン・スコーピオン>英海軍・空軍が関心を示していると判明


CASやISR「機材として価格破壊を起こしそうなテキストロン・エアランド(本社テキサス州)のスコーピオンに前々から関心を示している国があるとは漏れ伝わっていましたが、英国だとは思いもしませんでした。謳い文句どおりのパフォーマンスであれば同機はこれまでの常識を破ることになりますがテキサスは大ぼらでも有名ですからね。

Textron’s Scorpion Heads To UK For RAF, Royal Navy Trials

By COLIN CLARKon June 17, 2015 at 8:28 AM
PARIS AIR SHOW: When テキストロンがスコーピオンを発表した際は正直言って需要があるのか、どこの国がこの機体を買うのか、なぜ自社資金を投入してまでこの機体を作ったのか、解せなかった。
  1. 疑問がひとつずつ氷解していった。まずホーク・カーライル空軍大将(航空戦闘軍団司令官)から報道陣にスコーピオンは超低価格版のCOIN(対ゲリラ戦)およびCAS(近接航空支援)用機材として最適だとの発言があった。。
Bell Textron Scorpion
  1. だが単価20百万ドルの同機に真剣な関心を示しているのは英海軍と英空軍だ。パリ航空ショーが終わると、展示機は英国に向かい、一週間にわたる飛行展示を英国の要望に答えて実施する。実施するのは空対空模擬戦(英空軍向け)と海上監視活動(英海軍向け)だ。テキストロン・エアランド社長ビル・アンダーソンと話す機会ができた。
  2. 「スコーピオン発表して英海軍が強い関心を示してきたことに一番驚いた」
  3. 英国の他に「中央ヨーロッパ三カ国へスコーピオンを派遣する」というが、国名は明かさなかった。
  4. 海外からの関心が強いことについてアンダーソンは同機の初期費用及び飛行時間あたり費用が低いことが理由だという。またロイター時間が長いが瞬発速度は高いこと、また新型センサーや兵装の搭載切替が簡単に可能なことも理由に上げた。
  5. 例としてアンダーソンは新型アイ・マスター地上監視レーダー(タレス製)の搭載が一週間未満で完了した例を上げた。これが可能なのは同機の基本ソフトウェアはミッションモジュールを内蔵しておらず、フライトごとに再設定が不要なためだという。
  6. アンダーソンは午前中にパイロット訓練用に飛行させ、午後に戦闘ミッションに送ることが可能だと述べた。
  7. またエンジン始動や飛行準備に専用装備が不要のため運用基地を選ばない。パイロットが乗り込み、ボタンを押せばエンジンは始動する。アンダーソンは「自己完結型」と評する。
  8. なお、スコーピオンに馴染みのない方向けには同機が複座、双発構造で機内に70立方フィート(約2000リッター相当)の貨物搭載室があり、高解像度電気光学式および赤外線式センサーを搭載し、主翼には兵装取り付けポイントがあり、機体はすべて複合材でできていることをつたえておく。400時間の飛行実績で即応対応率が95%であったとアンダーソンは言う。この実績に相当する既存機種は存在しない。
  9. これに対して航空アナリストのリチャード・アブラフィアはまだ懐疑的だという。「ルブージェ会場で地上展示だけのスコーピオンに関心を示す向きはごくわずかだ。確かに機体はクールで、会場まで同機を回送してきたのは同社の成果だと認めるはやぶさかではないが」
  10. 「英国での展示飛行については営業にむすびつくのかわからない。今でもこの機体は理解しにくい。想定するミッションや費用対効果についても理解しがたいものがある」■

2013年9月11日水曜日

F-35の経済運用で協力を模索する英・ノルウェー

Norway And U.K. To Collaborate On F-35 Operations

By Anthony Osborne tony.osborne@aviationweek.com
Source: AWIN First
aviationweek.com September 06, 2013
Credit: LOCKHEED MARTIN

英、ノルウェー両国はF-35共用打撃戦闘機の運用で協力拡大を模索している。.
  1. 両国担当大臣がロンドンで5日合意書に署名し、機体整備、パイロット訓練、技術員養成で協力関係を検討することになった。
  2. 両国で資材、技術を共有してF-35を運用することでシナジー効果を狙う。
  3. さらにそれぞれの自国産業に共同事業を奨励して機体の維持管理を進めたいと考えている。たとえばノルウェーは国営企業 AIM Norway にF135エンジンの保守点検を担当させる。
  4. 「ノルウェー、英国にとって共通の機種を運用するのは60年ぶりのことで、当然新しい協力関係が生まれるでしょう。」(ノルウェー国務大臣エリク・トルスハウグEirik-Owre Thorshaug)英国はJSF導入の全体計画を決めきっていないが、協力関係の模索には関心が高い。
  5. 英国防筋はF-35最初の飛行隊となる14機の調達を年末までに決定する予定だ。同国はすでにF-35A型3機の引渡しを受けているが、発注済のB型は2018年にならないと納入されない。同型で空母打撃航空能力を構成する方針だ。
  6. 一方、ノルウェーが発注したF-35は2017年に引渡し開始となる。同時に完全に作戦能力を有する初のF-35となる予定だが、初期作戦能力の獲得は2019年になる。■


コメント なるほどあまりに高額になり、かつ今後の防衛力では依存せざるを得ない同機を単独で維持管理するよりも共同運用したほうが安上がり、という計算がすでにはたらいているようですね。日本はというとこの発想はないのですが、FACOの機能がこれから注目されるでしょう。とりあえずはシンガポールでしょうか。