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2016年8月11日木曜日

こんな人に大統領になってもらいたくない①ヒラリー・クリントンは古い政治手法でスキャンダルまみれ


ヒラリー・クリントンに人望がないのはなぜかかよく分かる記事ですが、オバマ政権の人気の無さ含め日本では米民主党がよく理解されていないのでこの記事そのものが理解しにくいのかもしれません。特にメール問題がさらに拡大している状況はほとんどの方がご存じないのではないでしょうか。敵失で大統領当選の可能性が高い同候補ですが、改めて安全保障関連での懸念が当選前から論じられるでしょう。

The National Interest Hillary Clinton? Never.
Stale ideas, with a whiff of scandal.
Image: Hillary Clinton speaking. Photo by Gage Skidmore, CC BY-SA 2.0.

August 8, 2016


ビル、ヒラリーのクリントン夫妻がワシントンに大統領、大統領夫人として登場した1993年、ウォール・ストリート・ジャーナルは二人を攻撃し、ふたりと一緒にアーカンソー流の政治手法、つまり汚職、個人利益の追求が流入し政策決定の一部となると非難したが、夫妻の不誠実さの決定的な証明がないまま一斉に批判を受ける形となった。

  1. そこに肉牛先物価格スキャンダルが発生し、わずか1千ドルの手持ち資金で始めたヒラリーは98,450ドルの利益を手にし、さらにアーカンソーの巨大企業タイソン・フーズ問題が発生しビル・クリントンは同州知事を務めていた。
  2. このパターンが続いたヒラリー・クリントンが民主党大統領候補だが各種世論調査では全米の三分の二が本人の誠実さに疑念を抱き、信頼出来ないと回答している。クリントン大統領時代には肉牛先物スキャンダルにつづき「トラベルゲート」「ファイルゲート」さらにホワイトウォーター土地投機スキャンダルが発生し、後者では関連書類一式が行方不明とされていたものがどういう奇跡かホワイトハウス居住部分で見つかっている。ただしコピーでオリジナルは行方不明のままだ。クリントン夫妻はスキャンダルやスキャンダルらしきものにどっぷりとつかっているようで、倫理を疑われない発覚が表に出ないよう必死になってきた。
  3. はるか前の出来事とはいえ、こういった事例とヒラリー・クリントンの公職での倫理面でのだらしなさが関連して、信頼できない人物、真実を語らない人物との評価を生んでいる。
  4. これは重要なことなのだろうか。決めるのは有権者だが、投票所での決断には多面的な解明が必要であり、好ましい面とともに好ましくない面も見るべきだ。ヒラリー・クリントンで望ましくない側面が否定的評価を生んでいるようだ。候補者すべてにどこかしら否定的な側面があるものだが、クリントン候補の場合は深刻だ。
  5. 民主党がこのような人物を候補者としたこと自体が無謀だという向きがあろう。スキャンダルで火だるまになったこと以外に、大統領選挙運動中に問題が浮上しており大統領就任後にも問題は出てくるだろう。FBI長官ジェイムズ・コウミーは電子メールサーバー問題で起訴しなかったものの、本人は「極度に軽率」と「とても機微な高度極秘情報」での取り扱いを評している。FBIは有権者に本人の倫理資質の判断を任せる形となった。
  6. 無茶な行動ぶりは新しく浮上した問題にも影を落としている。国内か海外か不明のハッカー集団が防護措置のないサーバーから本人の行動の全体像をつかんでいる疑いが出ている。保安専門家によれば中国、ロシアあるいは他国のハッカー集団が本人の電子メール63,000通を入手した可能性が高い。このうち33.000通を本人は私的なメールだったとして廃棄したと主張しているが公務執行中のメールは手つかずで、決定事項や公務中の行動は筒抜けだ。
  7. もし電子メールに少しでも疑問を呼ぶ証拠が含まれていたら、ウォール・ストリート・ジャーナルのL・ゴードン・クロヴィッツが問題提起しているように大統領に当選した場合、ロシアのプーチン大統領が「好きな時に本人を脅迫できる」ことにならないか。
  8. 電子メールに疑問を呼ぶどんな行為が隠されているのか。今は知る由もないが、クリントン財団関連が含まれているのを見過ごしては軽率と呼ばれても仕方ないだろう。財団はビル・クリントンが創設した国際親善団体でクリントン夫妻の政治財務力の源であり、ヒラリー・クリントンの取り巻きには実入りの好い場所である。ビル・クリントンが高額な講演料をプールする場所でもあり、大統領退陣後のビルと国務長官退任後のヒラリーは合計542回の講演で105百万ドルを稼いでいるとワシントンポストは報道している。クリントンの取り巻きや友人が政治勢力を形成している。
  9. 同財団について分かったのは(クリントン夫妻経由ではない)海外の複数政府からの収入が今も入ってきており、ヒラリーの国務長官時代と変わらないという。本人は公職中にはそのような収入は一切なかったと主張しているが。支払元はアルジェリア、クウェート、カタール、サウジアラビアだ。スイスのUBS銀行が50万ドルを寄付したのはクリントン国務長官が内国歳入局が同行をしつこく追及していたのを解決した後のことだ。AP通信は国務省記録で長官時代のクリントンが75回ほどの会合で「長年の政治寄付者、クリントン財団への寄付者、その他企業関係者など外部関係先」と会っていると報道した。
  10. 見返りの形で汚職が本当にあったのだろうか、それとも単に表面上の腐敗なのかは知る由はないが、33千通の電子メールが答えを握っているのかもしれない。だが肉牛先物事件が最初に暴露したようにクリントン夫妻が公務に関わると大金がどこからとなく出現し、出資した個人や団体が恩恵を受けるようである。
  11. クリントン財団は寡頭政治へ一歩近づく典型ともいえる。国民大衆から政治権力が事情に通じたエリート層に移行し、政治財政上の利点を手にする現象だ。今年はエリートへの政治面の怒りの声が高まった年であり、ヒラリー・クリントンが怒りの対象であるにもかかわらず大統領当選の可能性が高まっていることに注目すべきだろう。
  12. ヒラリー・クリントンに逆風となりかねない大きな点がある。多くの評論家が言うようにクリントン政権が発足すればバラク・オバマの三期目と同じだ。オバマ政権で米国は分断された状況になり、退陣が迫る中、オバマの功罪は改めて問われるべきだ。評価は別れるが、この国の行き詰まった状況をオバマが解決できなかったのは否定できない。新しいパラダイムが政府の考え方に必要で行き詰まり状況を打破し、新しい方向へ国を導くべき時にオバマは旧式政治を拡大し、政治的行き詰まり感を逆に長引かせてしまった。
  13. ヒラリー・クリントンがこの閉塞状況を打破できるとは思えない。クリントンが体現する旧来の政治手法は国が新鮮さを必死に求め、以前の政治の誤りを是正し、新しい政治勢力を結集しアメリカの挑戦に皆を向かわせようとした時の政治手法だ。ヒラリーが大統領となった場合は四年間にわたり手詰まり感がさらに延長されることになりそうだ。民衆の側に怒り、不満、緊張が高まる危機の中ではあまりにも長すぎる四年間になりそうだ。■
Robert W. Merry, longtime Washington, D.C., political journalist and publishing executive, is the author most recently of Where They Stand: The American Presidents in the Eyes of Voters and Historians.
Image: Hillary Clinton speaking. Photo by Gage Skidmore, CC BY-SA 2.0.


2016年5月13日金曜日

2016年大統領選 クリントン候補に国家安全保障政策は期待できるのか不明 各論詳細に触れず


政治的野心の塊のようなヒラリーですが、ここにきて予備選でサンダース候補に勝てないのは若年層はじめ政治に不満を覚える層を拾い上げていないためでしょう。これまでの獲得した党大会代表のリードがありますので、本人は全然気にしていないようです。もともと軍隊が嫌いない人だけに、大統領になった場合には正しく判断できずに悲惨な結果を生みそうな気がします。世論調査ではトランプへの優勢がどんどん減っているのは気になる現象です。

Clinton’s Defense Spending: Vague But More Hawkish Than Obama

By MARK CANCIANon May 12, 2016 at 4:01 AM

hillary clinton campaign 2016
2016年の大統領候補の国防政策を伝えるシリーズはこれが最終回です。マーク・カンシアンは戦略国際研究所からクリントン、トランプ両候補の選挙戦から内容をくみ取り、分析を試みていますのでお読みください。編集部
ヒラリー・クリントンほど大統領職を熱望している人物はいない。21世紀になってほぼ全部の時間を本人はこのために使っている。その結果として各論点で知識が豊富で、バーニー・サンダース候補よりは右寄りだが共和党員より左という微妙な立ち位置に徹している。共和党候補に指名確実なドナルド・トランプとは正反対だ。トランプ候補はごく最近まで思いついたことはすべて口に出し、他人の批評などお構いないしにふるまってきた。
大統領候補指名に向け先頭を行く候補らしく、クリントン候補の国防案は理念は長々と述べるが各論は短い。これまでの演説内容やウェブサイトから同候補がオバマ政権の路線を主な分野で継承すると推測でき、外交では強い姿勢を取り国防重要事業には現状と同程度の予算配分をし、国防予算の国内向け流用も引き継ぐようだ。
クリントン候補の選挙文書や発言から国防では強硬で継続性を求めていることがわかる。
  • 「国土保全」
  • 「ISIS打倒」
  • 「中国に責任を取らせる」
  • 「プーチンに堂々と接する」
  • 「同盟関係強化」
  • 「志願制軍部隊の堅持」
  • イスラエル支持
同候補の姿勢は一部で共和党と一致している。「大統領に当選すれば米国軍を訓練、装備の両面で世界最高水準とし世界最強の軍事力を維持する」とある。ただしその理念の実施案の詳細はほとんど見られない。プーチンと渡り合うというが、オバマ政権が進めてきたヨーロッパ施策(ヨーロッパ再保証構想)を拡大するのか。そうだとしたら、どうやってするのか。詳細が肝心だ。
クリントン候補はオバマ政権よりも強硬な外交方針を匂わせている。たとえば「中東には強力な軍部隊を駐留させ」「情報活動を強化」するというのは軍の活用を増やすことだ。ゲイツ、パネッタ両元国防長官は自叙伝でクリントン候補がシリア、リビアでのオバマ大統領より軍事力行使に積極的だったと回想している。
クリントン候補は軍の規模について意見を表明していないが、強硬なものの言い方や現政権の方向を支持していることから最低でもオバマ政権の国防予算規模を想定していると思われる。つまり予算管理法が求める水準を上回るが、共和党が求める額には届かないレベルだ。これは国防安全保障関係者には朗報だろう。ただしその支出規模では不足かもしれない。ロシア、中国、北朝鮮、イラン、ISISに対抗するにはオバマ政権の想定を上回る部隊規模、予算が必要と見る専門家は多い。
ただし、クリントン候補は国内問題の拡充を訴えており、(例、大学学費、エネルギー、幼少児教育、健康保険、教育などなど)かつ予算赤字が今後拡大するため国防予算が制約を受けるだろう。そうなると戦略構想と実際の予算裏付けの乖離が安全保障問題で続きそうだ。
ペンタゴンに朗報は戦闘継続予算、海外緊急作戦予算の二つが増額になりそうということだ。この二つの予算項目はDoDに重宝な存在となる。オバマ政権はイラク、アフガニスタンの紛争から抜け出すことを目指したが、ここにきての事態進展で挫折感にさいなまれている。紛争が終結すれば戦闘継続予算も終わる。クリントン候補が強硬な言いぶりで軍の投入をためらわないことから戦闘継続予算は温存されるだろう。
クリントン候補の主張からは国防予算の国内問題解決への流用を継承するつもりだとわかる。例として「気候変動は道義や経済問題にとどまらず、国家安全保障上の課題である」と発言している。同様に感染症やサイバーも国家安全保障上の脅威と受け止めている。国家安全保障の課題となれば、国防総省以外の対策も予算手当が可能となる。したがってオバマ政権がバイオディーゼル産業創設で国防総省枠組みを使ったような事例は今後も続くと予想できる。
国防予算を国内問題へ流用することは以前から行われていることであり、特に国内に目配りする民主党政権が多用している。ビル・クリントン政権では巨額予算で自動車産業各社に先進自動車技術開発させ世界市場での競争力確保を手助けした。国防総省は乳がん研究予算も提供しているが、軍の84パーセントは男性だ。これは1992年にハーキン、ダマト両上院議員が乳がん研究事業の資金源を探してDODにたどり着いたもので今日も継続している。予算上限の中で既存事業が予算削減される中で新規国内向け事業がDOD資金に食指を動かすことが多くなっている。
総論が目立つクリントン候補が厳しい選択では高位諮問組織に頼るというのは驚くべきことではない。物議をかもしだそうな各論に触れる必要がなくなる。DODには戦略見直しの課題が与えられており、(旧名称四年ごとの国防見直しは国防戦略見直しの名称になっている)「国防審議会」と呼ぶ外部専門家による戦略・事業の評価も求められている。さらに検討の仕組みを加えるのは問題と言えるが、各論の政策論議を先送りする効果が生まれる。
これまでの通念ではクリントン候補は選挙戦後半で各論を明らかにするはずだったがトランプが共和党候補になる可能性濃厚な中ではそうならないかもしれない。トランプ候補はクリントン候補より各論に触れておらず予備選中の発言は常軌を逸し、とても詳細政策の基礎には使えない内容だ。
トランプ候補は国家安全保障政策でやっと政策づくりの作業に取り組み、テレプロンプターを使って準備済み原稿を読み上げる慎重さで、以前の発言よりは整合性がとれているものの、やはり総論の域を脱していない。そうなるとトランプが大幅に自らの姿勢を変えて詳細について論じない間は、クリントン候補に国防政策あるいは予算確保の方法の詳細について一部でさえも公表する圧力は作用しないだろう。■