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2017年11月7日火曜日

米空軍OA-X比較検証の行方---第二段階は実戦投入テスト


そもそも米空軍が目指すOA-XはISISやタリバン等の戦闘員対策以外の各種任務まで想定するなら機体は多様なミッションに耐える余地の大きいスコーピオンかなと思いますが、A-29が実績で一馬身以上先に行っており、どうなるかわかりません。スコーピオンはなかなか空軍の高性能指向では理解が難しいのかもしれませんね。


Air Force Nears Decision-Which Light Attack Plane Goes to Combat

米空軍の軽攻撃機選定が近づく-次段階は実戦テスト

Firing laser-guided rockets at enemy ground locations, dropping precision-guided bombs from thousands of feet up in the air and coordinating closely with ground-attack

レーザー誘導ロケット弾を地上標的に発射し、精密誘導爆弾を低空で投下しながら対地攻撃を連携しながら行う


Scout Warrior - Nov 4, 11:30 AM
By Kris Osborn


米空軍が想定する軽攻撃機構想ではテロ集団戦闘員相手の戦闘で米空軍が航空優勢を確保している前提で多用なシナリオが想定され、機体操縦性を確保しつつ近接航空支援や精密地上攻撃能力が求められる。
Scout Warrorは米空軍関係者から軽攻撃機実証のシナリオ詳細を知ることができた。評価は現在作業中だ。
-基本的対地攻撃---レーザー誘導爆弾、非誘導ロケット弾等の命中率、正確度を試す
-近接航空支援(CAS)---敵目標を捕捉、確定、追尾し照準をあわせて標的想定への攻撃を供用現場攻撃統制官(JTAC)と通信をしながら実施する能力を評価する
-昼間地上強襲部隊 (GAF) ---機体の航続時間、距離、地上部隊との交信能力を秘匿性のある/ない戦術通信で行えるか評価する
-救難隊護衛(RESCORT)----ヘリコプターとの共同作業でのパイロット負担を評価し、対象地区の更新情報を受信できるかを評価しつつレーザー誘導兵装の運用を確認
-夜間CAS----標的の探知、確定、追尾、照準、攻撃にあたりパイロット負担を評価
OA-X軽攻撃機は抵コスト民生技術応用で戦闘にそのまま投入な機体の想定で各種任務を航空優勢が確保されているか低難易度環境での実施が期待される。
一部報道で空軍が民間企業の既成機種の完成度に好印象を受けているとあるが、空軍からはまだコメントが出ていない。
上層部向けに分析比較結果がまもなく手渡され次の段階に進む決定に役立てられると空軍報道官シャロン・エヴァンス大佐がScout Warriorに語ってくれた。
高性能だが運用も高価な戦闘機のミッション時間を節約するのが狙いでISIS向きなど対地攻撃にF-15やF-22を投入する必要を減らす。
実験第一週には空軍パイロットが各機を操縦し基本対地攻撃ミッションをテキストロンエイビエーションのAT-6ウルヴァリンターボプロップ機、シエラネヴァダエンブラエルのA-29スーパーツカーノで行った。
また空軍パイロットはテキストロンエイビエーションのスコーピオンジェットとエアトラクターL3のAT-802Lロングスォード両機で慣熟飛行を行った。
うち一機がISIS戦での実証に送られるとアーノルド・バンチ中将Lt. Gen. Arnold Bunch.(国防次官補付空軍調達担当)は今年早々にScount Warriorに語っていた。
軽攻撃機構想は戦闘状況にすぐ投入可能な機体をめざし、低コストでミッション効果を上げる能力を求めた議会有力議員に呼応したもので空軍上層部も本件に関心を示し実験場ホローマン空軍基地を訪れている。
軽攻撃機は地上近く上空で待機し米軍部隊近くの敵を迅速に変化し続ける戦闘状況の中で攻撃する能力を想定しており、対戦闘員のみならず対等の戦力を有する相手との交戦でも有益となるはずだ。戦闘構想では米空軍が技術的にも進んだ相当の戦力を有する敵との対戦想定でステルス機や第五世代戦闘機が航空優勢を確保している前提だ。
以下有力な各機を見てみよう。
A-29 スーパーツカーノ
米国が訓練したアフガン空軍がタリバンをA-29スーパーツカーノで攻撃を加えている。
A-29はターボプロップ機で20mm機関砲を機体下に搭載し毎分650発を発射し、主翼下に12.7mm機関銃、7.62mmのM134ミニガンを最高4基搭載し毎分3000発の発射が可能。
スーパーツカーノは70mmロケット弾やAIM-9L空対空ミサイル、対地攻撃用にはAGM-65マーヴェリック他精密誘導爆弾を運用できる。またレーザー測距機とレーザー誘導兵器も搭載可能だ。
スーパーツカーノは高い操縦性を誇り、高温過酷環境でも運用可能だ。全長11.38メーターで自重5,400キログラム、戦闘行動半径は300カイリまでで最高速度367mphだ。
テキストロン・スコーピオン
自社制作の同機は高性能精密攻撃兵器システムのロケット弾およびAGM-114Fヘルファイヤの発射をしている。誘導にはまず地上配備のレーザー照準器を使ってから機内のL-3WESCAM製MX-15Diセンサーに切り替える。
テキストロンは高性能版スコーピオンにガーミン製エイビオニクスを搭載する。同社の情報シートではG3000エイビオニクスの名を上げており、大型高精度ディスプレイにHDタッチスクリーン制御画面をつけており、パイロット席から多様なミッションを実施できる。後席に追加航法装置をつけ多様なミッションを行いつつ機体を軽量化している。
スコーピオンでは今後主翼に後退角をつけ水平尾翼を改良して高速性能を実現するほか、降着装置を簡略化し次世代ヘッドアップディスプレイも導入すると同社は解説している。
ホーカービーチクラフトAT-6
AT-6は多用途軽攻撃機で、A-10Cのミッションコンピュータを使い、CMCエスターライン製グラスコックピット、フライトマネジメントすステムにL3 WESCAMのMX-Ha15Di マルチセンサー装置を搭載しIRセンサー、レーザー照準技術を搭載している。■

2017年11月5日日曜日

スコーピオンのサウジアラビア売込みは成功するのか、ドバイ航空ショーに注目


以前から中東某国からの引き合いがあると豪語してきたテキストロンですがまだ成約への道は遠いようです。米空軍の軽攻撃機実証では芳しくない評価だったようですが何が問題だったのでしょうか。


Saudi Arabia Puts Textron's Scorpion Light Attack Jet Through Its Paces 

サウジアラビアがテキストロンのスコーピオン軽攻撃機に関心を示す

Could the Kingdom be the adaptable jet's first customer? 

同王国がスコーピオン初の採用国になるのか



TEXTRON AIRLAND
BY JOSEPH TREVITHICKNOVEMBER 3, 2017

  1. サウジアラビアがテキストロン・エアランドのスコーピオン軽攻撃機の評価を開始した模様だ。ただし残虐なイエメン介入をやめる兆候がない同国へ反感が広まる中で商談は難航しそうだし、破談の可能性もある。
  2. 飛行経路追跡ウェブサイトで王立サウジ空軍のキングファイサル航空基地を2017年11月に離陸するスコーピオン実証機民間登録番号N532TXを発見した。FlightGlobalが砂漠上空を飛ぶ同機がを先に確認しており、テキストロンが今年のドバイ航空ショーに出展するとの観測がある。ショーは11月12日開幕する。
  3. 「スコーピオンの性能は(サウジの)要求にぴったりです」とテキストロンCEOスコット・ドネリーScott Donnellyが2017年7月に報道陣に語っていた。商談は「まだ初期段階」と述べ、正式商談ではないと強調していた。
  4. だがサウジはスコーピオンにぴったりな販売先と言える。ドナルド・トランプ大統領が同国を2017年5月公式訪問し両国は1100億ドル相当の武器売却で合意していた。
USAF
スコーピオン試作機N532TX
  1. うち20億ドルが「軽量近接航空支援」機材の想定だった。内容は不明だし、サウジが何機調達する想定かわからない。
  2. 販売提案はいわゆる「意向書」の形で「将来の防衛能力整備の可能性」に関心を表明した同盟国への米政府の対応だ。案件は最終ではなく最後には議会および国務省の承認が必要がある。
  3. テキストロンがスコーピオンのサウジ売り込みに力を入れているのは間違いない。同社は2012年に同機開発を開始し2013年12月に試作機を初飛行させたがまだ顧客がない。
  4. 米空軍は軽攻撃機(OA-X)候補各機の実証を2017年8月30日に終了した。ただし、空軍は同機が第二段階実証に進むのに必要な性能を有していないと明確に述べている。ただし第二段階はまだ実現していない。
  5. テキストロンが自社資金で始めた同機事業は運用経費、保守点検経費ともに低水準にすべく複合材や民生既成部品を多用し「プラグアンドプレイ」のモジュラー構造のため必要に応じエイビオニクス他を将来の高性能化に対応して搭載できる。エンジンは既成品のハネウェルTFE731ターボファン双発で民間ビジネスジェットと共通だ。
  6. スコーピオンは競合機より大型で重量も大きい。テキストロン自身のAT-6ウルバリン、知名度が高いエンブラエルのスーパーツカーノはみな単発ターボプロップ機だ。その他に農薬散布機を原型にした競合機もある。
  7. スコーピオンには比較的大型のミッションベイがあり、偵察カメラ、レーダー妨害装置、他の搭載が可能。実証では引き込み式センサータレットを機首下に搭載し電子光学赤外線フルモーションビデオカメラ数台を付けていた。
  8. 主翼下パイロン6箇所に各種兵装の搭載が可能だ。精密誘導爆弾、ミサイル、ガンポッドだ。2017年6月にはテキストロンはGBU-12/Bレーザー誘導爆弾、高性能精密攻撃兵器システムII(APKWSII)の70mmレーザー誘導度ロケット弾を実弾発射している。さらにGBU-39/B小口径爆弾(SDB)、共用直接攻撃弾(JDAM)、複合モード対応可能のブリムストーンミサイル、GBU-53/B(SDBII)の搭載も検討中だ。
TEXTRON AIRLAND
APKWS IIレーザー誘導ロケット弾を発射するスコーピオン試作機
  1. サウジに導入する場合は目標捕捉センサー一式と精密誘導兵器の組み合わせが理想的で、イエメン作戦に低経費で投入できる。イエメンではイラン支援を受けたフーシ反乱勢力等と戦っている。現在はF-15Sイーグルおよびユーロファイター・タイフーンの他可変翼式のパナヴィア・トーネードを投入して戦闘員を攻撃している。
  2. AT-6やスーパーツカーノと言った小型機と違い、スコーピオンは自機防御装備も搭載可能なのでイエメンの対空火砲に対し残存性が高い。実際のフーシの防空装備の性能は不明だが、旧イエメン軍のSA-2地対空ミサイルを入手している可能性がある。また携帯型防空装備(MANPADS)が相当数行き渡っている。
  3. サウジ軍はイエメン介入をはじめた2015年以降に十数機の固定翼機回転翼機を喪失している。直近ではタイフーン一機が10月に墜落しており、フーシが撃墜を主張しサウジ側が否定するのはいつも通りだ。サウジはモロッコ、バーレーン、UAEの軍用機にも被害が出ていると認める。
  4. 対地捜索レーダーを搭載すればスコーピオンなら低空低速国境パトロ―ル飛行にも最適で小舟艇や無人機の侵入に対応できる。現在は気象レーダーしか搭載していないがレオナルドのグリフォやEltaのEL/M-2032といった軍用パルスドップラーレーダーを搭載すれば理想的だろう
  5. サウジ側は同機の能力追加を評価するのではないか。フーシは国境を越えて活動を展開している。連合国側艦船に対艦ミサイルやバウ発物をつんだ遠隔操縦ボートで攻撃したほか紅海とアデン湾をむすぶマンデブ海峡で機雷敷設もしている。自殺攻撃無人機で防空装備の攻撃も狙ってくるだろう。
  6. スコーピオンに精密攻撃可能なAPKWSIIロケット弾と自動機関銃ポッドを搭載すればコストで効果的でかつ柔軟に脅威対象を対処できる。軽攻撃機部隊はサウジ空軍の高性能機の負担を軽減し本来の任務であるイラン警戒に投入できる。
  7. だがサウジとテキストロンの商談ではイエメン情勢が大きく影響し政治面に左右されそうだ。サウジが意図的に医療施設や民間インフラを国際法の保護を無視して攻撃したようだ。このためイエメンでは飢餓と伝染病の蔓延が発生した。
  8. このため米議会の共和民主両党議員はサウジ主導の軍事作戦の支援を快く思わない傾向が強まっている。米軍は空中給油、補給活動、情報共有を提供している。11月には下院議員数名がこの問題を取り上げアルカイダテロリストまたは「関連勢力」とは無関係の相手に対する米軍の関与を終了させようとしている。この定義だとフーシが対象外となる可能性がある。
  9. 下院版の国防予算案にも同様の条項が入っている。上院版にないため今後両院で最終形への調整が必要だ。
  10. このためサウジ作戦への米支援には政治面の要素が大きく作用し、スコーピオン導入も例外ではない。トランプ政権はオバマ大統領が課したサウジアラビアへの軍事装備提供の制限を撤廃しており、サウジの期待する内容には十分こたえられるようだ。
  11. サルマン・ビン・アブラジズ・アル・サウド国王King Salman bin Abdulaziz Al Saudが2017年10月にモスクワ訪問に踏み切り各種装備導入で合意を取り付けている。米国が躊躇するのならクレムリンにかわりにするだけだ。
  12. 双発練習機ヤコブレフYak-130がスコーピオンの競争相手になりそうだ。サウジ-ロシア間では航空機は具体的な想定はないようだが、クレムリンには以前からの米国の中東同盟国に高性能機材を売り込む絶好の機会がやってきたわけでUAEにはすでにSu-35SフランカーE十数機の販売が進行中だ。
  13. サウジアラビア向けのテスト飛行とは関係なく、テキストロンはドバイ航空ショーで重要な発表をしそうだ。■

2017年9月23日土曜日

米空軍がスコーピオンに関心示す、軽攻撃機実証に続き軽ISR機材になるのか


スコーピオンにやっと出番が来るのか、当初は関心さえ示さなかった米空軍もさすがにここにきて時間当たり運航費用が数千ドルですむ同機の経済性を無視できなくなったのでしょうか。でもあれやこれやと大型化してせっかくの経済性が犠牲になっては元も子もありません。あ、まだ採用されたわけではないので心配は不要ですね。それにしても次世代軽攻撃機の実証結果はいつわかるのでしょうか。ここでもスコーピオンの優勢が期待されますね。

テキストロンのスコーピオン、テスト飛行中 (Darin LaCrone/Textron Airland)

Light ISR: The Air Force’s next experiment?

米空軍は軽量ISR機材の実証も行うのか。

By: Valerie Insinna    7 hours ago

NATIONAL HARBOR, Md. — 米空軍が安価な既存機材を軽量情報収集監視偵察(ISR)機材として空軍が進める軽攻撃機材検討と並行して機能実証の機会を設けるべきかの検討をしていることが分かった。
空軍は軽攻撃機候補四機種の実証を8月にホローマン空軍基地(ニューメキシコ)で行ったばかりだ。この実証ではテキストロンのスコーピオンがマイク・ホームズ大将Gen. Mike Holmes航空戦闘軍団司令官の注目を集めたのはモジュラー機体設計で広範なセンサー装備を搭載できるからだ。
ホームズ大将は同様にISR機能に絞った実証ができないか検討していると述べている。
「機内に相当の格納部分がある機材が多い中でセンサー多数を搭載する余地があるスコーピオンは興味をそそる対象」と9月18日の空軍協会主催年次総会で語っている。
「推力がもう少しあれば冷却能力が増える。この機体をペイロード実験に使えないか提案しており、今後の実験も期待したい」
ただし軽量ISR機の実証実験は正式決定ではないがホームズ大将によれば空軍上層部は既存機材でも航空優勢で心配のない空域を偵察任務をMQ-9リーパーのような機材より低コストで実施できるのかを検討しているのだという。
米空軍がこの実験を実施すると決めれば、他の企業にも参加の扉が開くはずとアーノルド・バンチ中将Lt. Gen. Arnold Bunch(調達部門トップ)は述べている。■

2017年7月23日日曜日

テキストロンのスコーピオンは米空軍OA-X選考に残れるのか


以前から気になっているスコーピオンですが、いよいよ運命の別れ目になりそうです。今夏の米空軍実証では同機の性能が嫌でも目に付くはずですが(同機は唯一のジェット機)、予断を許しません。一方、同機に関心を示す海外国がサウジアラビアとはじめて明らかになりましたね

 


Could Textron's Scorpion Light Attack Jet Take Over the OA-X Competition? テキストロンのスコーピオン軽ジェット攻撃機はOA-X選考に残れるか


July 20, 2017

  1. テキストロンは同社が自主開発したスコーピオン軽攻撃ジェット機を米空軍が今夏主催するOA-X実証に出場する準備を進めている。
  2. 同社からはビーチクラフトAT-6ターボプロップ軽攻撃機も加わり、OA-X実証が正式な調達事業になり、300機程度の採用を2022年めどでテキストロンとしては期待したいところだ。
  3. OA-X実証の結果でスコーピオン採用となればテキストロンにも意味が出てくるし、海外でも採用国が出てくるかもしれない。反対の場合、スコーピオンはお払い箱行きになりそうだ。
  4. 同機の生産型仕様を見たいとする向きも海外にあるが、OA-X結果を待つ向きもある。
  5. 「空軍の実証結果を待とうとする動きもあり、他方で当社と詳細を協議中の向きもあり実際の運用想定と予算検討をしている向きもあります」とテキストロンCEOスコット・ドネリーが投資家向け業績報告会で7月19日に述べている。
  6. 「今回の実証に本腰を入れているのは米空軍の評価のみならず海外顧客数か国も結果を注視していると思います」
  7. OA-X実証は8月の予定でスコーピオン量産仕様機が投入される。空軍からは評価は厳格に行う旨の連絡があったという。
  8. 「空軍の実証では各機に各種のミッションシナリオで性能、実用性を試し、8月から始め9月かまでかかるかもしれない」とドネリーは見る。
  9. 「単純な合否の判定はなく、どの機種に能力があるのか確かめるでしょう。当社のスコーピオンやAT-6はきわめて高性能でA-29と比べても違いが明瞭に出てくるでしょう」
  10. OA-Xは実験の様相もあるが上院軍事員会が12億ドルで2018年度に有望機種の導入を認めるのも追い風だ。ドネリーも今後の調達活動の展開に期待している。
  11. 「空軍上層部はこのような機体が必要だと明確に述べています。ただし実際に飛行し機能を発揮できるのを納得できないと動けないのでしょう」
  12. OA-Xには海外も関心を示しており、サウジアラビアは導入国になりうる。
  13. 「ええ、OA-Xでサウジも関心を寄せており、当社も交渉中ですが、まだ初期段階です」
  14. 「いろいろ期待もありますが、今は機体性能、運用能力に集中してスコーピオンが期待に十分応えられることを実証するのに集中したいですね。今は案件形成期ですね」
  15. テキストロンは空軍によるOA-X実証の進め方に満足しているようだ。
  16. 「空軍の実証の進め方は実務的で機体性能の確認事項を理解しており、次の段階に進む意図が明確です、どうなるかわかりませんが」とドネリーは語ってくれた。■
Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @Davemajumdar.
Image: Creative Commons.

2017年5月16日火曜日

★★★米空軍軽攻撃機OA-X実証は来月実施へ、スコーピオン、AT-6、A-29が登場




Scorpion: Textron Airland

鳴かず飛ばずのスコーピオンですが、ここでひとつ当たりを付けたいところでしょう。しかし軽攻撃機の本命はターボプロップ機でしょうか。ここでも軽攻撃用途以外も想定しパイロット養成が米空軍の急務であるのがうかがわれます
Aerospace Daily & Defense Report

Scorpion, AT-6 and A-29 Chosen For Light Attack Demo

軽攻撃機実証の対象に選ばれた三機種はスコーピオン、AT-6、A-29
May 15, 2017 Lara Seligman | Aerospace Daily & Defense Report


  1. 米空軍が今夏実施する軽攻撃機OA-X実証の対象機にテキストロンからスコーピオン・ジェット機およびAT-6ウルヴァリン・ターボプロップ機、そしてシエラネヴァダエンブラエルのA-29スーパー・トゥカーノの三機種が選ばれたのは業界で当然との声が強い。
  2. 各機は低コスト軽攻撃機として対テロ任務用に採用となる可能性がある。
  3. このうちスーパー・トゥカーノは米空軍軍用機型式証明を有する世界唯一の軽量小型支援機で本命といわれてきた。近接航空支援(CAS)用のターボプロップ機で低脅威環境での対ゲリラ戦や偵察ミッションを想定し、アフガン空軍が供用中だ。高温かつ過酷環境での運用を想定し、操縦性がすぐれ高温を放射しない。またジェット機のほとんどより運航経費が低い実績は、予算が厳しい中で有利だ。米空軍はOA-Xのねらいのひとつが経済性だと述べている。
  4. 「A-29は戦闘機パイロット養成にぴったりの機体です」とエンブラエル・ディフェンス&セキュリティの社長兼CEOジャクソン・シュナイダーは語る。「つまりパイロット訓練を念入りに行い、迅速かつ安価にこれを実施すれば他機材は本来の任務に専念できます」
  5. テキストロン・エイビエーションのAT-6も低価格ターボプロップ機で原型はビーチクラフトのT-6テキサン練習機だ。米軍で広く使われており、カナダ、ギリシア、イラク、イスラエルにも採用されている。
  6. これに対してテキストロン・エアランドのスコーピオンはOA-Xの想定の先を行く存在だ。2013年に初飛行したが採用例がない。同社は最近になり空軍のT-X高等練習機競作からスコーピオンの参加を断念している。軽ジェット機のスコーピオンはコスト面で不利になりそうだ。
  7. ただしテキストロンは両機種とも軽攻撃機として「傑出した機体」になると自信たっぷりだ。同社報道担当者がAviaiton Weekに5月15日に語っている。「両機種に高性能ミッション装備技術を投入しており、価格・適応性ともに優れています。設計、調達、組み立ては米国内で完結し、AT-6なら現政権の目指す目標にぴったりの強く前向きの経済効果が実現します」
  8. ボーイングロッキード・マーティンはともにOA-Xは初期段階で参入を断念しており、ノースロップ・グラマンは論評を避けている。
  9. 空軍はOTA(その他取引権限)合意を選定業者と取り交わしてから参加条件の詳細を伝えるが、逆にOTA締結前は一切発表しないと空軍報道官が述べている。
  10. 実証はまず6月にホローマンAFB(ニューメキシコ)で実施の予定で中東の対テロ作戦用の低価格軽攻撃機の導入の第一歩となる。予想される調達規模は300機で訓練にも投入して空軍パイロットの不足を緩和させたいとする。
  11. ホローマン実証で空軍は軽攻撃機の導入の可否を決める。ただし、空軍はあくまでも試験段階であり、正式な調達事業ではないと強調している。ホローマン評価の次に戦闘場面での実証になるか即座に採用になるかもしれないと空軍調達次席責任者のアーノルド・バンチ中将が述べている。
  12. 空軍は今年初めに想定性能諸元を各社に配布し、未整備地から離陸して軽攻撃、武装偵察を行う想定になっている。採用機は年間900飛行時間を10年間続ける高テンポ運用を求められ、昼間夜間ともにミッション実施率90%の想定だ。
  13. また最大離陸長は6,000フィートで安全な通信装備、昼夜とわず静止・移動いずれの目標を攻撃できる能力が求められている。さらに燃料消費率は1,500ポンド/時間以下としミッションを2.5時間実施する。赤外線、目視両面で機体の生存性も評価対象だ。■j

2016年7月22日金曜日

★米空軍が低価格多用途機スコーピオンの性能評価を実施する



いよいよ米空軍も無視できなくなったのか、スコーピオンを海外案件の名目で性能評価することになりました。同機は従来の常識を破る価格のため軍用機の既存体制を破りかねないと白い目で見られていたのでは。F-35がCAS任務を本当に実施できるか疑問ですが、機体単価が何分の一のスコーピオンで任務をこなせるのであれば、F-35の意義がなくなってしまいますからね。高価格機は調達数が少なくなりますから、このような低価格機を調達するのは理にかなっています。とはいえ、ローエンドと片付けるのはまだ早いでしょう。完全自社資金開発であることも含め、今後注目の機体ですね。

Air Force to Certify Scorpion Jet, Broadening Its International Appeal

Valerie Insinna, Defense News11:22 a.m. EDT July 21, 2016
Scorpion(Photo: Textron Airland)
WASHINGTON — 米空軍が自ら調達する予定のない機体の性能テストをする初めての事例が生まれるその結果で同機の海外販売にはずみがつくと期待される
  1. 7月20日空軍は協力研究開発合意Cooperative Research and Development Agreement (CRADA) をテキストロン・エアランドと締結したと発表し同社のスコーピオンの性能評価を行う認証が交付すれば同機の海外向け直接販売の可能性が開けるあるいは空軍が同機を導入する場合の調達工程が早まる
  2. 「今回は初の事例で米空軍が調達契約をまとめていない機体の性能評価をCRADAで行うのは初めて」と米空軍の性能評価部門が声明文を発表。
  3. テキストロンがスコーピオンをロールアウトしたのは2013年で米軍と海外顧客むけに売りだそうとした。売り込み文句はISR、対ゲリラ戦、近接航空支援、国境海上監視など多様な任務を経済的に実施できるという触れ込みだった。同機は社内資で開発製造され機体価格はわずか20百万ドルで時間あたり運行費用は3千ドルだ。
  4. だがこれまで関心を示したのはひとつだけで先週のファーンボロ国際航空ショーでタレスキネティックからスコーピオンで英国の航空支援国防運用練習機Air Support to Defence Operational Training (ASDOT) へ参画を表明したのが唯一の事例だ採用となればテキストロンは機体10ないし25機を提供しキネティックとタレスが装備の統合事業者として合成練習シミュレーションセンサーを搭載する
  5. テキストロンはCREDA関連の質問は米空軍へするよう求めているが声明文を発表している。
  6. 「テキストロン・エアランドは米空軍が初のDoD契約非対象機材の航空機性能評価を実施する大きな一歩が実現することを嬉しく思います」
  7. 空軍の評価項目には機体の安全性も含まれる。今回空軍はDoD非採用機体(NDMA)室を創設し、ペンタゴンが採用していない機材でも性能評価をし貴重な情報を得ることができるようにした。NDMAは4月にライトパターソン基地(オハイオ)に開設済みだ。■


2015年6月18日木曜日

テキストロン・スコーピオン>英海軍・空軍が関心を示していると判明


CASやISR「機材として価格破壊を起こしそうなテキストロン・エアランド(本社テキサス州)のスコーピオンに前々から関心を示している国があるとは漏れ伝わっていましたが、英国だとは思いもしませんでした。謳い文句どおりのパフォーマンスであれば同機はこれまでの常識を破ることになりますがテキサスは大ぼらでも有名ですからね。

Textron’s Scorpion Heads To UK For RAF, Royal Navy Trials

By COLIN CLARKon June 17, 2015 at 8:28 AM
PARIS AIR SHOW: When テキストロンがスコーピオンを発表した際は正直言って需要があるのか、どこの国がこの機体を買うのか、なぜ自社資金を投入してまでこの機体を作ったのか、解せなかった。
  1. 疑問がひとつずつ氷解していった。まずホーク・カーライル空軍大将(航空戦闘軍団司令官)から報道陣にスコーピオンは超低価格版のCOIN(対ゲリラ戦)およびCAS(近接航空支援)用機材として最適だとの発言があった。。
Bell Textron Scorpion
  1. だが単価20百万ドルの同機に真剣な関心を示しているのは英海軍と英空軍だ。パリ航空ショーが終わると、展示機は英国に向かい、一週間にわたる飛行展示を英国の要望に答えて実施する。実施するのは空対空模擬戦(英空軍向け)と海上監視活動(英海軍向け)だ。テキストロン・エアランド社長ビル・アンダーソンと話す機会ができた。
  2. 「スコーピオン発表して英海軍が強い関心を示してきたことに一番驚いた」
  3. 英国の他に「中央ヨーロッパ三カ国へスコーピオンを派遣する」というが、国名は明かさなかった。
  4. 海外からの関心が強いことについてアンダーソンは同機の初期費用及び飛行時間あたり費用が低いことが理由だという。またロイター時間が長いが瞬発速度は高いこと、また新型センサーや兵装の搭載切替が簡単に可能なことも理由に上げた。
  5. 例としてアンダーソンは新型アイ・マスター地上監視レーダー(タレス製)の搭載が一週間未満で完了した例を上げた。これが可能なのは同機の基本ソフトウェアはミッションモジュールを内蔵しておらず、フライトごとに再設定が不要なためだという。
  6. アンダーソンは午前中にパイロット訓練用に飛行させ、午後に戦闘ミッションに送ることが可能だと述べた。
  7. またエンジン始動や飛行準備に専用装備が不要のため運用基地を選ばない。パイロットが乗り込み、ボタンを押せばエンジンは始動する。アンダーソンは「自己完結型」と評する。
  8. なお、スコーピオンに馴染みのない方向けには同機が複座、双発構造で機内に70立方フィート(約2000リッター相当)の貨物搭載室があり、高解像度電気光学式および赤外線式センサーを搭載し、主翼には兵装取り付けポイントがあり、機体はすべて複合材でできていることをつたえておく。400時間の飛行実績で即応対応率が95%であったとアンダーソンは言う。この実績に相当する既存機種は存在しない。
  9. これに対して航空アナリストのリチャード・アブラフィアはまだ懐疑的だという。「ルブージェ会場で地上展示だけのスコーピオンに関心を示す向きはごくわずかだ。確かに機体はクールで、会場まで同機を回送してきたのは同社の成果だと認めるはやぶさかではないが」
  10. 「英国での展示飛行については営業にむすびつくのかわからない。今でもこの機体は理解しにくい。想定するミッションや費用対効果についても理解しがたいものがある」■

2015年4月1日水曜日

スコーピオンでまだ成約はないが楽観的なテキストロン CAS,T-X,海外採用の可能性


スコーピオンは言ってみれば常識破りの機体であり、既存の機種ヒエラルキーと無関係の期待でもあるので導入したくても一線が超えられずに結局今まで誰も購入していないのでしょう。機体に加えて支援システムもパッケージにして長期間の経済的な運用をうりものにしてみたらどうでしょうね。T-Xへの採用は難しいと見ていますが、どうなりますやら。

Textron Eyes Scorpion CAS, T-X Missions

By Aaron Mehta3:49 p.m. EDT March 31, 2015
Scorpion Atlantic Flight(Photo: Textron AirLand)
WASHINGTON — テキストロン・エアランド Textron AirLand のスコーピオンは正式採用がまだないが、ISRと軽攻撃を想定した同機の将来に同社は楽観的だ。
  1. 同社社長ビル・アンダーソン Bill Andersonは3月の取材時に機体を「公表18ヶ月でまだ成約がないが、社として同機を全面的に支援している」と語っていた。
  2. 「販売に大いに自信がある。予算は確保ずみで開発をここで中止する理由は見当たらない」
  3. スコーピオンがあらためて注目されたのはホーク・カーライル大将(米航空戦闘軍団司令官)が同機が近接航空支援(CAS)機材に最適と発言したためだ。
  4. 「ローエンドのCAS機材を模索する中で、飛行時間あたり費用が妥当ということで同機に注目し、検討をしている」
  5. アンダーソンはカーライル大将発言に勇気づけられ、スコーピオンで実施可能なミッション各種のデータを米空軍に提供しており、中にCASも含まれている。
  6. 「最初から想定している機能です。空対地攻撃ミッションで同機が有する多機能ISR性能と地上部隊との交信能力で難なく実施可能です」(アンダーソン)
  7. スコーピオンの設計思想はペイロードの柔軟選択で、六ケ所のハードポイントに各1,700ポンドを搭載できる。同社は各種の兵装搭載を想定し、小口径弾から誘導ロケット弾まで運用できる。
  8. またガンポッド搭載も可能で、50口径または20ミリ砲を想定するが、アンダーソンも空軍関係者と同様に将来のCASの実施手段は銃でなく、精密誘導弾と見ている。
  9. 「現代のCASで機関銃が最適な手段とは思えません。ただし地上部隊には銃を積んだ機材が必要で、機関銃搭載も想定しました。すべては作戦の中身次第であり、相手とする脅威の内容いかんですが」
  10. もうひとつスコーピオンが想定するのが米空軍向けT-X次期練習機への採用だ。テキストロンはスコーピオンの練習機改修を検討中。
  11. T-Xの要求性能が公表されたのは3月20日のことにすぎず練習機型の最終案は決定されていない。ただアンダーソンによればスコーピオンの飛行時間あたり費用3,000ドルは差別要因になるという。
  12. 「米空軍が求める機体の作成は可能」とアンダーソンは言う。「問題は費用がどれだけになり、開発がどれだけ長くなるかだ。鍵は運用費用であり、一時間あたりの飛行経費をいくらにしたいかだ」.
  13. 米空軍向け需要が同社の関心事であるが、防衛専門家の中には最初の成約は海外になるとの見方が多い。
  14. アンダーソンも海外顧客数カ国との商談は「とてもうまく進行している」とするが、具体的な国名の言及は避けている。
  15. 消息筋によればUAEが導入に前向きだが、顧客一号になるのは避けたいらしい。
  16. そこでローンチカスタマーとして数か国まとめての想定が可能かアンダーソンに聞いてみたところ、可能性を熟考していると答えた。
  17. 「ある小国の空軍参謀長が昨年のファーンボロショー会場で同機は数か国で共同導入したら素晴らしい機材だと語っている。数か国まとめての商談が発生すれば当社も対応する。規模の経済というメリットを顧客各国に還元できる」
  18. ただし、アンダーソンは「現時点で数か国共同の商談をしているわけでなない。対応は可能だが、まだ先のことだろう」と釘をさす。
  19. 今年の夏も各国がスコーピオンを検分するチャンスがある。パリ航空ショーとロイヤルインターナショナルエアタトゥーの両会場で地上展示される。■