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2025年11月10日月曜日

ルーマニアは1ユーロでF-16戦闘機18機を「購入」した(TWZ) ― ヨーロッパ有志国によるウクライナ支援としてF-16の訓練は重要な要素になっている。

 

オランダ軍で供用を終えたF-16は、ウクライナ空軍パイロットのヴァイパー操縦訓練で重要な役割を担っている

A group of men run on the tarmac during the opening ceremony of the European F-16 Training Center at the 86th Romanian Military Airbase in Fetesti, Romania, on November 13, 2023.

写真提供:ANDREI PUNGOVSCHI/AFP via Getty Images

ランダからルーマニアへF-16戦闘機18機の正式な移管が完了した。その価格はわずか1ユーロ(約1.15ドル)である。これらの戦闘機は、ルーマニアにある欧州F-16訓練センター(EFTC)で運用され、今後もルーマニアとウクライナのヴァイパーパイロットの訓練に使用される。

譲渡書類はルーマニアの首都ブカレストで、ルーマニア軍装備総局長のイオン・コルネル・プレシャ准将と、オランダ財務省のリンダ・ルセラーにより署名された。

購入価格1ユーロに加え、物品(航空機及び後方支援パッケージ)の申告価格に基づく付加価値税(VAT)2100万ユーロ(約2400万ドル)が支払われた。

この取引は、2002年にドイツからポーランドへ旧ドイツ軍MiG-29フルクラム戦闘機22機が1機あたり象徴的な1ユーロで譲渡された事例を想起させる。

「取得に関心を持ったのは6月、ハーグでのNATOサミット終了時だ。当時、私はオランダの担当者と共同で、ルーマニアにおける欧州F-16訓練センター(EFTC)の機能延長に関する覚書に署名した」とルーマニアのリヴィウ=イオヌツ・モシュテアヌ国防相は述べた

Volkel, 3 november 2021, Vlb. Volkel beoefenen hun maximale gereedstelling en vliegen met 13 F-16's tegelijk. Foto: Formatie F-16's in de delta's boven de Noordzee.

2021年11月、フォルケル上空を飛行するオランダ空軍のF-16編隊。オランダは昨年この機種を退役させた。オランダ国防省

F-16をルーマニアの正式な管理下に置くことで、同機はEFTC専用となり得る。EFTCはNATOとウクライナ向けに訓練枠を一定数確保する義務を負う。

F-16の移管は、オランダがF-35A移行を完了して可能となった。F-35Aは現在ヴァイパーを完全に代替しており、核攻撃任務も担っている。

当時報じた通り、EFTC向け第一陣のF-16は5機で、ウクライナ空軍がF-16を導入する約1年前にルーマニアに到着し、ルーマニア南東部のフェテシュティ近郊にある第86航空基地で運用されている。

2024年11月7日、ルーマニア到着後のEFTC向けオランダF-16初期5機のうち1機。オランダ国防省

「オランダはEFTC設立で主導権を握り、この目的のため12~18機のF-16を提供している」とオランダ国防省は昨年11月の声明で述べた。「戦闘機は引き続きオランダの所有物である」と述べていたが正式な移管により、F-16はルーマニアの手に渡っている。

「現在の地政学的状況と、黒海地域におけるルーマニアの戦略的位置を考慮すると、このセンターは、国境を越えた協力と、NATO 内の安全保障と連帯の強化にとって不可欠なものとなる」と、ルーマニア国防省は述べた。

当初、この航空機は、EFTC が採用した F-16 教官の復習コースに使用されていた。その後、新しいパイロットの訓練が開始され、その任務は NATO 空域でのみ飛行された。

しかし、18機のF-16がEFTCに納入されるまでの経緯は、やや複雑であった。

少なくとも12機のF-16は、以前は米国でオランダ人パイロットの訓練に使用されていたようだ。ある時期、この12機のジェット機は、民間請負業者であるDraken International社に売却される予定だった。同社は、敵機役としてこれらのジェット機を運用する計画を立てていた。

オランダ空軍のF-35A、F-16、ドレイケン・インターナショナルのA-4スカイホーク2機が、カリフォーニア州エドワーズ空軍基地でオランダ空軍部隊の作戦試験演習を支援するために飛行している。写真提供:フランク・クレバス

しかしドレイケンはフロリダ州レイクランド基地で飛行試験を実施したものの、正式な受領には至らなかった。これは米空軍の契約敵機要件における再編と時期を同じくしていた。代わりにこれらのF-16は大西洋を越えベルギーのゴセリーへ移送され、ルーマニア移管に先立ちSABENA社によるオーバーホールを受けた。

一方、Politico、匿名の米国当局者を引用し、ドレイケンが現在EFTCプログラムに関与していると報じた。

EFTCの役割の一つは、ルーマニア向けのF-16パイロットを育成することだ。ルーマニアでは同機種の訓練需要が高まっており、NATO東部空域防衛という重要任務が増大している。

ルーマニアは当初、ポルトガルから中古F-16を12機調達し、その後同じ供給元からさらに5機を追加調達した後、最終的にノルウェーから32機の購入に合意した

ノルウェーから提供されたF-16の1機が、2024年6月の輸送飛行中にルーマニア領空で護衛されている様子。ルーマニア国防省

EFTCミッションの別の側面は、ウクライナのF-16パイロット訓練だ。

米国がキーウへのF-16再輸出を最終承認した後、ウクライナ空軍は欧州4カ国から計87機のF-16供与を確約された。内訳はオランダ24機(EFTC機とは別)、ベルギー30機、デンマーク19機、ノルウェー14機である。ウクライナ初の F-16(オランダとデンマークの在庫機)は、2024 年 7 月下旬から 8 月上旬にかけて同国に到着し始めた

オランダ国防相ルーベン・ブレケルマンスは声明で、「この訓練センターは、協力の成功例として教科書に載るようなものだ。我々はルーマニアおよびロッキード・マーティンと独自の方法で協力し、ルーマニアおよびウクライナのパイロットを訓練している。我々の旧F-16がEFTCで新たな価値ある役割を与えられたことは素晴らしい。ここで訓練を受けたウクライナのパイロットたちは、すでに自国をロシアの恐ろしい空爆から守るべく大きく貢献している」と述べた。

F-16が西欧NATO空軍で存在感を失っていく中、EFTCの重要性はますます高まっている。現在、オランダ、デンマーク、ノルウェーはF-16を完全退役させており、ベルギーも退役作業中だ。新たに運用国としてブルガリアとスロバキアが加わったが、EFTCが運用するF-16AM/BMではなく、より先進的なブロック70型を受領している。

したがって、EFTCは現在ヨーロッパで唯一無二の能力を提供している。F-16パイロット向けの完全な訓練プログラムに加え、異なるNATO加盟国(ウクライナを含む)の教官やパイロットが同一基準で共同訓練できる枠組みを整備している。

少数のウクライナ人パイロットも米国でF-16訓練を受けている。具体的にはアリゾナ州空軍州兵第162航空団での訓練である。

EFTCのF-16機の長期的な将来は依然として不透明だ。これらの戦闘機は最終的にウクライナに渡る可能性があると一部で推測されていたが、ルーマニアが移管を選択すれば、その可能性は依然として残っている。

ルーマニア空軍は2030年以降にF-35を導入する計画を立てており、当局者がF-16の取得を「第5世代戦闘機導入への中間段階」と説明していることから、将来的にその可能性は高まるだろう。

ウクライナは追加戦闘機の需要を抱えている。既にF-16の4機を事故で喪失しており、旧ソ連時代の戦闘機部隊も消耗を続けている。一方、フランスから供給されたミラージュ2000も戦闘運用を開始した。長期的には、スウェーデンとウクライナは最大150機のサーブ・グリペン戦闘機をウクライナ空軍に供与する計画も発表している。

本誌が長年強調してきた通り、F-16がウクライナにもたらす価値は、同時に提供される訓練の質に依存する。欧州F-16訓練センターは、ウクライナ空軍パイロットと整備士がヴァイパーを運用できるよう準備するための専用施設を提供している。■

Romania Just ‘Bought’ 18 F-16s For One Euro

The former Dutch F-16s are playing a key role in training Ukrainian Air Force pilots and others to fly the Viper.

Thomas Newdick

Published Nov 4, 2025 1:25 PM EST

https://www.twz.com/air/romania-just-bought-18-f-16s-for-one-euro

トーマス・ニュードック

スタッフライター

トーマスは防衛分野のライター兼編集者であり、軍事航空宇宙分野や紛争に関する取材経験は20年以上である。数多くの書籍を執筆し、さらに多くの書籍を編集したほか、世界の主要航空出版物に多数寄稿している。2020年に『The War Zone』に参加する前は、『AirForces Monthly』の編集者を務めていた。

2024年11月29日金曜日

次のF-35導入国はルーマニア、32機購入へ(The Aviationist)

 F-35 Romania

Rendering showing an F-35A in Romanian Air Force markings (Image credit: Lockheed Martin)



ルーマニアがF-35プログラムに参加する20番目の国になった


2024年11月21日、ルーマニアは米国政府のFMS(対外軍事売却)を通じて、第5世代ステルス戦闘機32機を取得するLoA(受領承諾書)に署名し、ロッキード・マーティンF-35AライトニングIIプログラムの一員となった。 9月に米国務省が72億ドルの取引を承認し、ルーマニア上院は同機購入を批准する法案を可決した。


 DSCA(国防安全保障協力局)からの議会通知には、プラット&ホイットニーF135-PW-100が33基含まれており、32機に搭載され、1基は予備となる。その他の装備品には、通信、電子機器、エイビオニクス、照準、暗号化、暗号スイート、ミサイル、弾薬、サポート、メンテナンス、試験装置、予備品、付属品、電子戦、ソフトウェア開発、研究、米国の後方支援が含まれる。

 キャスリーン・カヴァレツ駐ルーマニア米国大使の立ち会いのもとで行われた調印式で、同大使は「先進的な戦闘機」は「ルーマニア軍で進行中の近代化における重要なステップであり、NATO同盟の長期的な防衛と集団安全保障に大きく貢献する」と述べた。F-35の購入は、ブカレストがGDPの2.5%を国防に費やす一環である。

F-16とNATO防衛への貢献

ルーマニアによるF-35購入は、ロシアとの軍事的対立が激化する中、特に黒海地域におけるNATOの東側を強化することになる。 カヴァレツ大使はまた、ルーマニア空軍が「米国やポルトガル、ノルウェーなどの同盟国との緊密な協力のもと、レガシーMiG機をF-16戦闘機で近代化することに並々ならぬコミットメントを示している」と述べた。

 2013年、ルーマニアはポルトガルと12機のF-16 A/Bブロック15 MLUジェット機の契約を結び、2019年にも同じジェット機とバリエーションの5機の契約を結び、2021年3月までに引き渡され、F-16A/Bブロック15 MLUバージョンの17機を運用している。2023年11月、オランダのスクランブルは、ルーマニアもFAR(Fortele Aeriene ale Romanei/ルーマニア空軍)が飛行する32機の中古F-16AM/BMのうちまず9機をノルウェーから受領したと報じた。

 オランダとロッキード・マーティンとの共同作業として、EFTC(欧州F-16訓練センター/フェテシュティ訓練センター)が発足しており、ウクライナの戦争に貢献している。 14機のオランダのF-16のうち、7機が複座機、残りが単座機で、最初の7人のルーマニア人パイロットは2024年7月にF-16課程を卒業し、「ミッション・レディ」のステータスを得た。各パイロットはこれまでソ連時代のMiG-21ジェットに搭乗していた。

2024年10月28日、空中給油のために米空軍KC-135に接近する米空軍F-35AライトニングII 2機。 (画像クレジット:USAF/Senior Airman Nicholas Rupiper)


 F-16への移行にあたり、パイロットは200時間の理論訓練、500時間のシミュレーター訓練、400時間の実飛行訓練を受け、「あらゆる種類の任務に完全に対応できるようになった」とユーロニュースはルーマニア国防相顧問のガブリエル・ニクオール・アンヘル氏の言葉を引用している。 カヴァレツ氏はその報告の中で、ルーマニアのパイロットたちは「最新の空対空および空対地飛行戦術を実行しながら、チーム・インテリジェンス」の使い方も学んだと述べた。


Romania Signs Letter Of Acceptance to Acquire 32 F-35 Jets

Published on: November 23, 2024 at 2:34 PMFollow Us On Google News

 Parth Satam

https://theaviationist.com/2024/11/23/romania-loa-f-35/


2023年4月12日水曜日

止まらない欧州のF-35導入熱。今度はルーマニアが正式導入を発表。プーチンはますますパラノイアになる。

 プーチンの誤算は西側の防衛体制がウクライナ侵攻をきっかけに分断どころか、共通装備や訓練など一層実力を向上させていることで、プーチンの対外恐怖心はこれでますます殻に閉じこもる悪循環となります。やはり、思考が行動の源泉なのですね。F-35が中小国にとって意味のある選択肢であるかは別としても、機体価格や維持体制がこなれてきたのがここに来て導入国が増えている原因なのでしょう。1945の記事を御覧ください。

F-35

F-35 JSF. Image Credit: Creative Commons.


プーチンの心配の種となるF-35、JSFがさらに増える


NATO加盟国ルーマニアは、ロッキード・マーチンF-35ライトニングIIを導入すると4月11日に発表した。

19FortyFive

ロシアがウクライナ侵攻を開始した後、米空軍がF-35を配備したのは、ちょうど1年前だった。

 その時点でルーマニアは第5世代ステルス戦闘機の導入を検討していたが、米空軍配備で実力が浮き彫りになったようだ。

 ルーマニア最高防衛評議会は、声明を通じ、「NATOおよびEUの一員として、強固かつ信頼できる、相互運用可能で柔軟で効率的な防空作戦能力を持つことは、ルーマニアの防衛政策目標の達成で鍵となる」とメディアに語った。「空軍の近代化プロセスは、次世代ジェット機F-35の取得を通じ継続される」。

 ただし、ブカレストは、F-35の調達数を確認していない。

 今回の発表は、ルーマニア軍が米国製のM1エイブラムス戦車を多数獲得するという先月のニュースに続くもので、12月には、ルーマニア国防省がイスラエルからウォッチキーパーX Watchkeeper X 無人航空機システム(UAS)7機を獲得する契約に署名し、取得金額は18億9000万レイ lei (約418百万ドル)と報告されている。

 F-35ライトニングIIは、英国、カナダ、デンマーク、イタリア、ベルギー、ノルウェー、オランダ、チェコ共和国、フィンランド、ポーランド含むNATO加盟国、および中立国スイスが運用しており、導入される予定だ。


ルーマニアの防衛態勢とF-35

冷戦時代はワルシャワ条約に加盟していたルーマニアは、2004年3月下旬にNATOの「平和のためのパートナーシップ」プログラムに真っ先に加盟した。ルーマニアは欧州安全保障協力機構(OSCE)および北大西洋協力会議(NACC)にも加盟している。

 ルーマニアは、ウクライナと650kmの国境を接している。また、軍事アナリストは、モルドバとウクライナの国境付近に位置するフォッカニ門Focșani Gateを、ルーマニアとNATOの軍事的・戦略的に脆弱な地域とみなしている。同地の支配は、ルーマニア領土とヨーロッパの他国への進出を可能にするからだ。

 ルーマニアは、NATO加盟した2004年以降、国防費を着実に増やしており、昨年は、国内総生産(GDP)の2.5%に引き上げると発表した(NATO加盟国の法定GDP比2%を上回る水準)。

 ルーマニアのクラウス・イオハニス大統領President Klaus Iohannisは、2022年10月25日の「国軍記念日」に「来年は、国防予算をGDPの2.5%に引き上げることで、さらに一歩前進し、軍隊が与えられた任務を遂行する能力を高め、地域の安全保障を支える役割を果たす上でルーマニアにさらなる信頼性を与える」と記者団に述べた。

 欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)全体では、ロシアのウクライナ侵攻に対応し、数カ国が防衛費をGDPの2.5%まで引き上げている。■


Sorry, Putin: NATO Is Becoming the F-35 Alliance (Romania Now Wants the JSF) - 19FortyFive

By

Peter Suciu


Author Experience and Expertise

A Senior Editor for 19FortyFive, Peter Suciu is a Michigan-based writer. He has contributed to more than four dozen magazines, newspapers, and websites with over 3,200 published pieces over a twenty-year career in journalism. He regularly writes about military hardware, firearms history, cybersecurity, politics, and international affairs. Peter is also a Contributing Writer for Forbes and Clearance Jobs. You can follow him on Twitter: @PeterSuciu.

In this article:

F-35, NATO, Romania, Russia, Ukraine, War in Ukraine




2015年11月28日土曜日

★進化し続けるイージス、ルーマニアのイージスアショア稼動開始近づく、ベースライン9、各国の動向

カタカナ表記が嫌いなためこれまで陸上イージスなどとお伝えしてきましたが、今回からイージスアショアと記すことにします。イージスはどんどん進化してきているのですね。それにしても日本がミサイル防衛の最前線基地になっていることはわれわれも改めて認識しないといけません。

「USNI News」の画像検索結果Aegis Ashore in Romania Set For Dec. 31 Lightoff; BMD, SM-6 Nearing Full Fielding

November 27, 2015 7:35 AM            
                                   
A Raytheon SM-6 launched from an Aegis guided missile destroyer. US Navy Photo
レイセオン製SM-6の米海軍イージス艦からの発射テスト。 US Navy Photo

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イージス戦闘システム事業に重要な転換点が訪れそうだ。初の陸上配備イージスアショアの稼動開始、ベースライン9の配備開始、海外向け有償軍事援助(FMS)が数件進行中だ。
  1. イージスアショア初の設置はルーマニアで12月31日に電源を入れると統合戦闘システムズを統括するジョン・ヒル海軍少将はUSNI Newsに11月24日述べた。
  2. ヒル少将によれば同イージスシステムは認証ずみで実弾装てんの準備ができた。
  3. 「艦艇と同じ扱いをしている」と同少将は述べた。陸上設置工事はすでに検査試行が終わっており、残る機械類用スペースも完成しているという。最終検査終了後にいよいよ施設が稼動開始となる。またミサイル防衛庁が技術能力宣言(TCD)を行う予定で、これは初期作戦能力獲得(IOC)と同等とヒルは説明した。
  4. これとは別にイージスシステム全体があたらしい段階に移行する。ペースライン9の配備が始まるためだ。ベースライン9には統合防空・ミサイル迎撃 Integrated Air and Missile Defense (IAMD) 能力が加わり、弾道ミサイル迎撃と対空戦を同時に行うことが可能となり、海軍統合火器管制防空(NIFC-CA) 関連の装備にも接続される。
  5. 「配備準備ができた。まずUSSベンフォールド(DDG-65)とUSSバリー(DDG-52)が搭載し横須賀に向け航行中だ」(同少将)
  6. 「横須賀にはUSSチャンセラーズヴィル(CG-62)がすでに展開中で、運用テスト結果にたいへん喜んでいる」と上記駆逐艦二隻が作戦行動に入れるようになったことをさしている。
  7. 同時に「スタンダードミサイル-6の継続作戦能力テスト評価をまとめようとしており、来年春までにベースライン9は完全に稼動開始する」とヒル少将は続けた。
  8. 「艦隊には昨年から導入開始しているが、今回の能力向上は内容から見て大きな一歩だ」
  9. イージスの能力向上を目指すのは米海軍だけではないとヒル少将は述べ、進行中のFMS案件に注意を喚起した。日本のイージス駆逐艦近代改修事業が取り上げられることが多いが、スペインとオーストラリア各海軍の改修も半ばに差しかかっている。
  10. ヒル少将によれば米海軍はオーストラリア・アデレードに米海軍士官を常駐させており、来年春に予定されるオーストラリア初のイージス艦のシステム稼動開始を支援しているという。
  11. またスペイン海軍は時刻イージス艦にBMD能力を付与す改修を検討中だ。ヒル少将はスペイン海軍にはイージス戦闘システムを搭載した艦があり、そのうち一隻に応急改修をして弾道ミサイル追尾の海上公試を行わたという。その結果が良好だったため、スペイン海軍はBMD能力付与に関心を示しているのだという。FMSにより改修を実施するのは「ほぼ確実」とヒル少将は見ている。■


2014年11月26日水曜日

イージス陸上配備を歓迎するポーランド、ルーマニアの思惑



ロシアと西側(いまや東欧も含みます)の対立はどこまですすむのでしょうか。ロシア、イラン、中国と「嫌われ者」グループと言う位置づけがミサイル防衛の世界です。その中で陸上配備イージスシステムがボーランド、ルーマニアに配備されるというのは一昔前には想像できない展開ですね。運営はイージスに詳しいのは海軍だけ、ということで陸上基地に米海軍が部隊を派遣するという形のようです。今後、ロシアによる嫌がらせが発生するでしょうから相当の警備体制であることは想像するまでもありません。

Poland, Romania Eye Intensified Cooperation With United States

Nov. 18, 2014 - 01:51PM   |  
By JAROSLAW ADAMOWSKI   |   Comments

Building Protection: The Aegis Ashore missile defense complex in Romania is scheduled to be operational in 2015.
陸上イージスミサイル防衛施設がルーマニアで2015年に稼働開始する予定 (US Army Corps of Engineers)
WARSAW — ウクライナ巡る対立が続く中で、東欧の安全保障で懸念が増しているが、ポーランド、ルーマニア両国政府が陸上イージスミサイル防衛装備の導入に真剣になっており、ロシアの弾道ミサイルへの防衛を東欧と南欧のNATO加盟国むけに構築しようとしている。
  1. 6月には米国務副次官補(防衛政策・検証担当)フランク・ローズFrank Roseがポーランドでスタニスラウ・コジエジStanislaw Koziej(退役大将、現国家安全保障局長)と会い、ミサイル防衛協力を話し合っている。

  1. 席上でコジエジはNATOの東側に位置する同国の地理的条件からミサイル防衛システムの早期導入に前向きであり、自国防衛のみならずNATOの存在感を東欧で強めたいと発言している。

  1. ポーランド、ルーマニアともにイージス導入にもともと前向きだが、ロシアのウクライナ東部への干渉とクリミア半島併合が合衆国の軍事プレゼンスが両国に必要と強く感じさせる効果をもたらしたと現地専門家は分析している。

  1. 「ロシア国防政策がポーランドの軍事力整備に影響している。ウクライナ紛争がポーランド政策立案過程に脅威の恐れを増幅させている」とし、ロシアがポーランド国境付近で大幅に軍事力を増強させるのではないか、とくにロシア飛び地領土のカリニングラードにイスカンダーミサイル Iskander missiles が配備されたとの報道に神経をとがらせている。

  1. イスカンダーM戦術弾道ミサイルはソ連時代の原型を近代化したもので、約120発が2020年までに配備されるとロシア国営防衛企業ロステックRostecが発表している。「射程範囲はおよそ400キロメートルでワルシャワはカリニングラードから400キロも離れていない。これがポーランド当局の頭に入っている数字だ」と同上専門家は指摘する。

  1. 2013年12月にロシア日刊紙イズヴェスチアがロシア軍がイスカンダーミサイルをカリニングラードでポーランド国境付近に配備したとロシア国防省高官の発言として報道していた。

  1. 「知る限りではミサイルは同地に長く配備されている。問題はどれだけあるのかだ」とポーランド政府関係者は語る。

  1. ロシア政府は公式に認めていないが、ロシア軍はカリニングラードのレーダー性能を高度化しているという。ユーリ・ボリソフ Yuri Borisov 国防副大臣はロシアが早期警戒レーダー基地にウォロネツDM級のレーダーを配備し、来る12月に本格稼働すると10月15日に発言していた。同レーダーの有効範囲は6,000キロと言われ、500の目標を同時に追跡できるという。

  1. そこで、陸上イージスとは海軍のイージス弾道ミサイル防衛(BMD)システムを陸上化したもので、進化し続ける弾道ミサイルに対応する装備として設計されていると米ミサイル防衛庁が表現している。

  1. ヨーロッパ段階的適合型ミサイル防衛の第二段階として陸上イージスをルーマニアに配備し、弾道ミサイル防衛を南欧に提供する構想で、スタンダードミサイルー3(SM-3)ブロックIB迎撃ミサイルを導入する。

  1. 第三段階では二番目の陸上イージスをポーランドに設置し、北欧の守りとする。施設は2018年に稼働開始予定で、レジコウォ基地に設置される。ポーランド北方であり、イージスBMD5.1とSM-3ブロックIBとIIAミサイルを配備する。

  1. ルーマニアの陸上イージスは南方のデヴェセルDeveselu 空軍基地に2015年に設置される。配備が完了するとイージスBMD5.0改良型とSM-3ブロックIBミサイルが利用可能となる。.

  1. NATOでロシア代表アレクサンドル・グルシュコ Alexander Grushkoが地域の安全保障バランスを崩すと合衆国を非難しており、ルーマニア首相ヴィクトル・ポンタ Victor Pontaから同施設建設は自国の戦略的目標の一部だと反論されている。

  1. 「我が国の目標は明白で、エネルギーの自給自足、黒海の安全今日か、それにモルドバ、ウクライナ、ジョージア、セルビア、バルカン諸国の欧州統合である。この関連で我が国は脅威を受け入れることはできない」と日刊紙ルーマニア・リベラRomania Liberaが伝えている。

  1. ルーマニア国防相ミルセア・ドゥサMircea Dusa がデヴェセル基地を8月に訪問しており、施設の建設工事は2014年中に完成し、システムが運航開始するのは2015年だと明らかにしている。

  1. 同地では総額134百万ドルの陸上イージス起工式典が2013年10月に行なわれており、米海軍が今年10月から同基地の指揮をとっている。■