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2025年9月12日金曜日

中国の大規模ロケット軍は張り子の虎なのか?(National Security Journal)

 


DF-17ミサイル。画像提供:中国人民解放軍

中国の強大なロケット軍は「張り子の虎」では?

要点と概要 – 巨大な規模と派手なパレードにもかかわらず、中国人民解放軍ロケット軍(PLARF)は実際の紛争で「張り子の虎」になるかもしれない。

PLARFの有効性は、組織に根深い汚職、現代的な戦闘経験の完全な欠如、そして限られたミサイル備蓄によって深刻に損なわれている。

DF-21Dのような「空母キラー」ミサイルを誇示する一方で、移動中の高度に防御された米空母を標的化し撃墜することの困難さは、重大な作戦上の課題となっている。

一方、米国は先進的な対極超音速防衛システムを展開しており、中国の限られた資源を分散させ、ロケット軍の脅威認識を低下させている。

人民解放軍ロケット軍は「張り子の虎」か

白い英字識別記号が塗られた中国のDF-5Cミサイル運搬容器が、その他ミサイルと共に北京の街をパレードし、人民解放軍ロケット軍(PLARF)の力を誇示した。

PLARFは核・通常弾頭を含む約2,500発の弾道ミサイルを保有する世界最大の地上配備ミサイル部隊である。2015年に独立した軍となり、海軍、陸軍、空軍と同等の地位を獲得した。中国の新鋭ミサイルの大半を所有・運用し、中国国家主席習近平が率いる中央軍事委員会の直轄だ。

米軍の最高レベルの司令官たちは懸念していないと表明している。

「重要なのは我々が抑止されていないことだ」と米太平洋空軍司令官のケビン・シュナイダー空軍大将は述べた。同大将によれば、将来配備予定のB-21ステルス爆撃機、F-47戦闘機、連携戦闘機(CCA)などのシステムにより、米国は「潜在的な敵対勢力の行動に先んじて適応できる」という。

ここまで驚異的な増強にもかかわらず、PLARFの能力はその野心に追いついていない可能性がある。

たしかにPLARFは深刻な脅威ではあるものの、腐敗や運用上の問題にも悩まされており、実戦能力は宣伝されているほどには高くない可能性がある。

張り子の虎?

「張り子の虎」と呼ぼう。この表現は毛沢東が1946年のインタビューで初めて用いたもので、1950年代の台湾海峡をめぐる論争で定番となった。ニューヨーク・タイムズが1955年に説明したように、張り子の虎は「勇敢に唸り声を上げるが、結局は戦いを避ける」存在として描かれている。

第一に、中国の最新の戦闘経験は1979年のベトナムとの衝突時である。攻撃下での持続的共同作戦において、PLARFがどれほど有効かを知ることは不可能だ——同軍には実戦経験がない。一方、腐敗問題は「習近平が2027年までに人民解放軍に設定した目標達成に現実的な障害をもたらす可能性がある」と、元国防次官補マイケル・チェイスは戦略国際問題研究所(CSIS)主催のフォーラムで述べた

中国のミサイルの有効性は、自国の戦略によっても損なわれる可能性がある。発射機会の制限、標的捕捉の困難さ、そして米軍からインドの核施設まで広範な標的をカバーする必要性が、PLARFの任務を複雑にしている。

例えば中国は、DF-21DDF-26といった空母キラーミサイルを誇示する。対艦ミサイル型DF-21Dは、1991年から中国で運用されているDF-21を改良し、2006年に配備された。射程は2,150キロメートルで核弾頭を搭載可能だが、主たる弾頭は600キログラムの通常弾頭である。DF-26は二段式固体燃料中距離弾道ミサイルで、射程4,000km、終末誘導にアクティブシーカーを採用する。2020年8月、中国人民解放軍海軍(PLARF)は南シナ海で対艦型DF-26Bを発射した。DF-26は中国の精密打撃射程を第二列島線近くまで延伸させる。

しかし、空母を発見・捕捉・追跡・標的設定・攻撃しようとする場合、PLARFは困難な障壁に直面する。これは容易な標的解決策ではない。空母は放射管理で存在を隠蔽し、米原子力空母は約30分で700平方マイルの領域内を移動可能である。これはあらゆるミサイルの精密発射に重大な課題をもたらす。次に、PLARFミサイルは海上配備型ミサイル防衛網の封鎖を突破しなければならない。ニアミスでは不十分だ。空母ジェラルド・R・フォード(CVN-78)は模擬戦闘環境下での実戦規模衝撃試験において、実弾を用いた4万ポンド級水中爆破を3回経験した。最終爆破は空母から75ヤード(約68メートル)未満の地点で発生した。なお、この爆薬量は重量ベースで中国のDF-21ミサイル30発分の弾頭重量に相当する。

防衛システムの前に戦力が発揮できない

中国の最も危険な新型兵器に対抗するため、米国はキルチェーン全体にわたる極超音速ミサイル防衛システムの開発を加速している。宇宙追跡システムと改良型イージスシステムをSM-6ミサイルと組み合わせることで、極超音速攻撃を撃破する基盤能力を構築中である。

「迎撃ミサイルから、中国の目標捕捉センサーを混乱させ盲目化させる能力まで、あらゆるものを構築する」とロジャー・ウィッカー上院議員(共和党・ミシシッピ州選出)は述べた

ミサイル防衛庁が2025年3月に実施した「ステラー・バンシー」試験では、駆逐艦USSピンクニー(DDG-91)が最新イージスソフトウェアに組み込まれた「海上配備型末端迎撃システム第3段階(TBTI-3)」能力を用い、模擬先進極超音速目標の探知・追跡・迎撃能力を実証した

極超音速・弾道追跡監視システム(HBTSS)は、低軌道に展開された新たな衛星群を活用し、中視野角での運用を前提に、機動中の極超音速兵器を追跡する。米宇宙軍は空中移動目標指示器(AMTI)追跡を行う試作衛星を運用中である。この衛星群が完全なコンステレーションを形成すれば、目標が移動する間も継続的に追跡を引き継ぐことが可能となる。ミサイル防衛局は2025年4月、試験においてHBTSSが期待される性能を満たしていることを確認した

その他の課題の課題がある

ミサイル迎撃率の向上は中国にとって重大な課題となる。PLARFへのミサイル供給は無限ではない。米陸軍によれば、「PLARFは規模が大きいものの、中国のミサイル備蓄保有量には限りがあり、長期紛争ではPLARFの有用性は急速に低下する」という。

撃墜確率が低い標的に対し、PLARF司令官が大量のミサイルを投入する余裕はない。上記の米陸軍研究では「偽標的を攻撃させる欺瞞作戦は極めて有効である。前述の通りPLARFのミサイル備蓄は極めて限られており、無駄に消費されるミサイル1発ごとにPLARFの能力は著しく低下するからだ」と指摘している。

したがって中国は、米軍や同盟国の地対空ミサイル基地など、増加する陸上目標をカバーするためのミサイル優先順位付けと配分に苦慮するだろう。さらに、人民解放軍の文書は、2024年国防総省中国軍事力報告書が表現したように、「将来の紛争時に世界経済の重要拠点を攻撃することで国際的な戦略的効果を達成する」という曖昧ながら脅威的な任務のためにミサイルを温存したい意向を示唆している。

中国の潜在的敵対国は米国のみではない。インドのナレンドラ・モディ首相が最近北京を訪問したにもかかわらず、特に2024年にアグニVミサイルで複数独立目標再突入体システムの試験が実施されたことを踏まえると、PLARFは一部戦力をインド抑止に割り当てている可能性が高い。

PLARFが「張り子の虎」であるかは定かではない。しかし重大な太平洋戦争では、戦力は分散を余儀なくされ、戦闘経験不足に阻まれ、米国の優れたシステムの前に晒されるだろう。■


China’s Massive Missile Forces: A Paper Tiger?

By

Rebecca Grant

https://nationalsecurityjournal.org/chinas-massive-missile-forces-a-paper-tiger/


  • 著者について:レベッカ・グラント博士

  • レベッカ・グラント博士(Xでフォロー:@rebeccagrantdc)は、ワシントンD.C.を拠点とする国防・航空宇宙研究および国家安全保障コンサルティングを専門とする国家安全保障アナリストであり、レキシントン研究所の副所長を務める。国家安全保障に関する数百本の記事を執筆・発表し、数多くのフォーラムで講演。さらに、フォックスニュース、フォックスビジネス、CNN、MSNBCで国家安全保障の専門家として頻繁にテレビ出演し、スミソニアン博物館の『エア・ウォリアーズ』シリーズにレギュラー出演。フォックスニュース・オピニオンでは中国、ロシア、その他の技術・国家安全保障トピックについても執筆。著書に『75人の偉大な航空兵』(クリス・ミラー中将との共著)、『B-2爆撃機の戦場へ』、そして『実戦検証:アフガニスタンとイラクにおける空母』などがある。ウェルズリー大学卒業後、ロンドン大学ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスにて国際関係学の博士号を取得。本記事冒頭では、グラント博士の最新のフォックスニュース出演映像をご覧いただけます。



2024年6月24日月曜日

中国が「ドローン空母」艦艇を建造中でテストに使用? PLAの「学習」マインドを示すものと注目する アナリスト

中国は新興勢力であり、これまでの実績の延長にとらわれず、自由な発想が可能なのでしょう。空母に関しても超大型空母の概念から離れられない米国と違い、とんでもない装備が出現してもおかしくないわけです。一方で、米国のデッドコピーのような大型空母の建造も進めているのですが、これは色々試すと云う精神のあらわれなのでしょう。とはいえ、こうした観測記事で逆に米国に新しい発想をまきおこそうという意図もあるのかもしれません。Breaking Defense記事からご紹介しましょう。

(Photo by Feng Li/Getty Images)

Chinese president Xi Jinping and a PLA Navy honor guard await the King of Bahrain (Photo by Feng Li/Getty Images)



その通りなら、習近平国家主席と部下は、「柔軟で革新的な真の能力を示している」ことになる。革新が全部成功する保証はないが、挑戦する意欲が重要だ」と中国の防衛専門家ディーン・チェンは語る



国がドローン専用と見られる小型空母を上海江蘇造船所で建造している可能性がある。

 同艦は、ミッチェル航空宇宙研究所の上級研究員で元米海軍情報将校のジョン・マイケル・ダームの分析に基づくNaval News報道で今週明らかになった。双胴船で、どんな種類の空母にも似ていない。ダームは本誌へEメールで、同艦が「完成して運用されるまでは、おそらく真の目的はわからないだろう」と認めている。

 しかし彼はまた、もし同艦がドローン空母であれば、「PLAN『青軍』は、これまで我々が船から発進させてきたヘリコプタードローンの代わりに、固定翼ドローンを海上で発射・回収できるようになる」と述べた。同艦は、「固定翼ドローンの運用試験と評価に貢献するかもしれない。これは、最終的に中国の新型075型ユーシェン級強襲揚陸艦にドローンを搭載するのをサポートするかもしれない」と述べた。

 ダームは、中国では「PLAは "赤 "部隊であり、"敵 "または反対勢力は "青"部隊である」と説明した。つまり、実験やテストに使用されるということだろう。

 外国の軍隊を監視する役割を担う国防情報局からは、本誌記事の発表時点で、コメントは得られなかった。

 中国軍の専門家ディーン・チェンは、本誌の取材に対し、「ドローン空母かどうかはわからない」としながらも、仮にそうだとすれば、「PLAが学習する組織であることを改めて思い知らされる」と述べた。それは、権威主義的なPLAを連想させるものではない。

 「PLAは、PLA戦略支援部隊を創設することを選び、多くの官僚権力を怒らせ、戦わせることになった」と彼は電子メールで語った。

 米国平和研究所の中国上級顧問チェンは、中国の習近平指導部とその部下たちは「柔軟で革新的な能力を発揮している。すべての革新が成功するわけではないが、挑戦する意欲が重要だ」。

 在シンガポールの中国国防面に関する専門家、ジャ・イアン・チョンは、新型艦により中国は「技術だけでなく、ドローンを取り入れた戦術や戦略でも多くの実験を行うことができるかもしれない」と述べた。これはある意味で、空母とそれを取り巻く戦術の開発に取り組んだ2020年代と30年代と並行しているのかもしれない。このようなドローン空母の完全な効果は、まだ発見されていない。

 中国海軍の急速な拡大と近代化という背景でこれらすべてが起こっている。

 このテーマに関する議会調査局の最新報告書は「米軍当局者やその他のオブザーバーは、中国の海軍造船努力のペース、米国の造船産業の能力と比較した中国の造船産業の能力、中国海軍と米海軍の相対的な規模と能力に関する結果としての傾向線について、懸念や警戒を表明している」と、述べている。PLANは、米海軍の292隻に対して370隻以上と、米海軍の規模を大きく上回っている。

 チェンは、PLANがドローンについて、我々と異なる、より革新的な考え方をしている可能性がある、と「憂慮すべき」可能性を指摘した。伝統的に、アメリカはドローンを既存の固定翼機の補完または増強とみなしてきた。■


China's purported 'drone carrier' could be used for testing, shows PLA 'learning' mindset: Analysts - Breaking Defense

By   COLIN CLARK

on May 17, 2024 at 9:39 AM





2023年12月24日日曜日

フーシ派のミサイルはどこから供給されたのか。ホームズ教授が堂々と推論を展開。

 日本ではちっとも関心を集めていないフーシ派による対艦ミサイル攻撃ですが、フーシはどこからミサイルを入手したのでしょうか。ホームズ教授の見解をThe National Interestが掲載していますのでご紹介します。

フーシ派が、中国人民解放軍(PLA)ロケット軍のみが保有する対艦弾道ミサイル(ASBM)を商船に向けて発射したがフーシに先端技術を供与したのは誰なのか

こ数週間、イエメンの支配をめぐり戦うフーシ派の反政府勢力が、イスラエルへの物資の流れを止め、ガザでのイスラエルの作戦を支持する諸国に海上貿易のリスクを上げる効果を期待し、バブ・エル・マンデブ海峡と紅海南部を航行する商船に無差別攻撃を仕掛けている。イエメンは紅海とインド洋の重要な接点に位置し、このような作戦が可能だ。低レベルながらこの海上戦争が話題となり、航行の自由を守るため多国籍連合が誕生した一方で、報道はこの戦争に関する重要な指摘をほとんど黙殺している。フーシ反体制派はどうやって対艦弾道ミサイル(ASBM)を入手したのか?

少なくとも一度、フーシ派が対艦弾道ミサイル(ASBM)を発射したことがある。12月3日、中東地域における米軍の作戦を統括する米中央軍は、イエメンの反政府勢力が英国所有のバハマ船籍の貨物船ユニティ・エクスプローラー号にASBMを発射したと報じた。

これは大事件ではないか。

フーシ派が手ごわいのは確かだが、その下部組織が、しかも偶然にも中国の非公式な顧客イラン・イスラム共和国が支援する組織が、中国の技術者以外では理解できないような技術を習得したと考えるのでは、信憑性を疑わざるを得ない。

では、北京がミサイル技術を拡散させているのか?確かにそのように見える。それが不注意なのか意図的なのかは別の問題だ。中国共産党の有力者はミサイル拡散に反対を公言している。中国はミサイル技術管理体制(MTCR)に加盟していない。MTCRは、非伝統的または通常型のペイロードを運搬するため使用される可能性のある誘導ミサイルの拡散を取り締まる非公式な核不拡散機関である。しかし、核拡散防止条約加盟を申請し、加盟申請の審査中は、MTCRのガイドラインを実施することに同意している。

知らぬ間に拡散しているのか。中華人民共和国が建国された数十年間、PLAの組織文化には武器拡散の必要性が刻み込まれていた。現金のために他人を武装させるあらゆる動機があった。財政が逼迫する中、予算を自ら調達しなければならなかった。そのような精神と行動の習慣は、冷戦後も続いた。中国共産党の知らないところで不正取引が行われていた可能性もないわけではない。

しかし、仮に中国軍内部に拡散の衝動が持続していたとしても、それが対艦弾道ミサイル含む最新鋭兵器の密輸にまで及ぶかどうかは疑わしい。先に述べたように、PLAはASBMを独占している、あるいは最近まで独占していた。これは守る価値のある独占だ。ロケット部隊のDF-21DとDF-26ミサイルは、中国の反アクセス・エリア拒否ネットワークを支える装備品であり、陸上目標だけでなく、最大2000海里離れた海上を移動する船舶を攻撃する選択肢を司令官に与える。テヘランの性向を考えれば、フーシやハマス、ヒズボラの兵器庫に入るかもしれない。軍事関係者は、そのような政治的規模の動きに難色を示すだろう。

となると、残るは意識的な選択ということになる。ユーラシア大陸周辺にASBMを拡散させることには、戦略的な論理がある。たとえ、この斬新な技術を予測不可能な勢力の手に渡すことによる反動が深刻なものになるとしても。第二次世界大戦中、地政学の大家ニコラス・スパイクマンは、ハルフォード・マッキンダーやアルフレッド・セイヤー・マハンらによる過去の研究を基に、ユーラシア大陸の「ハートランド」が世界政治の鍵であり、ハートランドと海を隔てる「リムランド」がユーラシア超大陸に影響力を及ぼすための海洋覇権国の入り口であるとした。

帝国全盛期のイギリスや戦後のアメリカは、海から政治的・戦略的アジェンダを設定し、ユーラシア周辺部を操れた。しかし、スパイクマンが指摘したように、それが可能なのはイギリス海軍やアメリカ海軍が周辺地域に到達できた場合だけである。支配的な海軍は、周辺海域の「限界海域」の指揮権を地元の守備隊から奪い取らない限り、出来事をコントロールすることはできない。

支配的な西側海軍を撃退することを目的とした戦略は、北京やテヘラン、モスクワにとって理にかなっている。対艦弾道ミサイルの登場だ。過去100年以上にわたり、海洋兵器技術の進歩は、沿岸から戦う沿岸防衛軍だけでなく、劣勢の海軍をも超強力にしてきた。最初に登場したのは魚雷と機雷で、潜水艦や魚雷艇のような小型艦艇に、当時は海戦の主役であった戦艦や巡洋艦に大打撃を与える能力を与えた。その後、軍用航空が登場し、空母や陸上艦載機が遠距離から主力艦を攻撃できるようになった。そして誘導ミサイル革命が起こり、陸上戦力への均衡がさらに崩れた。

こうしたかつての、そしてこれからの最先端技術をアクセス拒否・領域拒否に融合させれば、アジアの居住国は何世紀にもわたる西側の海洋覇権を覆すことができる。このようなプロジェクトは、フーシ派のような準国家的敵対勢力はもちろん、中国や同族の大国が表明する目的にも合致するだろう。

それにもかかわらずだ。賢明な競争相手が、なぜ自国に不利になる可能性のある技術を故意に輸出するのか、理解に苦しむ。同盟、連合、パートナーシップは腐敗しやすいが、武器は永続する。対艦弾道ミサイルの拡散は、中国にとってリスクと危険に満ちた試みとなる。

機密情報という影の世界の住人たちが、今回の出来事だけでなく、中国の動機とユーラシア大陸周辺での将来を読み解くために、この問題を調べていることを期待したい。先見の明は、賢明な対抗戦略への第一歩を構成する。

この事態は進展中だ。■


Where Did the Houthis Get Anti-Ship Ballistic Missiles? | The National Interest

by James Holmes

December 23, 2023  Topic: military  Region: Middle East  Blog Brand: The Buzz  Tags: U.S. NavyNavyHouthisIranChinaIsrael

Dr. James Holmes is J. C. Wylie Chair of Maritime Strategy at the Naval War College and a Distinguished Fellow at the Brute Krulak Center for Innovation & Future Warfare, Marine Corps University. The views voiced here are his alone. 


2021年5月28日金曜日

主張 日本の南西島しょ部分防衛方針は中国の侵攻に対応できない。南西部を城壁にし、中国の水上進出を阻むべきだ

 

Japan Military Strategy

陸上自衛隊の88式対艦ミサイル Japan GSDF

 

 

本の南西諸島防衛が問題に直面しそうだ。

 

サウスチャイナモーニングポストに菅義偉首相率いる日本政府が防衛支出増額に向かうとの記事が出た。第二次大戦終結後の日本は非公式ながら防衛支出をGDP1パーセント上限に押さえ、軍国主義の再登場を懸念するアジア周辺国をなだめてきた。

 

ところが中国の軍事力増強と東シナ海での横暴な行動から日本もついに平和主義を脱し防衛費増額に向かいだしたわけだ。尖閣諸島含む南西部の防衛が日本の大きな懸念事項だ。岸信夫防衛相は「自衛隊に対応できない地点があってはならない。島しょ部分への部隊派遣は極めて重要」と述べている。

 

これを受けて陸上自衛隊は水陸機動団ARDBを発足させた。番匠幸一郎陸将はRANDでこの誕生を以下説明している。山本朋広防衛副大臣はARDBの主目的を「揚陸作戦を全面的に展開し、遠隔部が不法に占拠された場合に短時間で上陸、奪還、確保すること」と述べた。

 

番匠元陸将発言から「南西部城壁戦略」が見えてくる。島しょ線を日本の主権下に保ち、中国の海洋移動を阻もうというものだ。これ自体は良好に聞こえる。ただし、奪還となると話は別で問題となる用語だ。日本政府の考える戦略方針をそのまま反映している。自衛隊には相手の動きを待って反応させるが、先行した動きは認めない。また作戦はあくまでも第一列島線を舞台とする。日本は攻撃が加えられるまで待つのか。中国の人民解放軍PLAが地上を制圧するのを待ってから自衛隊が動き、奪還するというのだ。

 

これでは受け身の姿勢だ。逆に日本はPLAの攻撃前に島しょ部に部隊を急派し守りを固めるべきではないのか。守備隊が撤退しては敵の攻撃の前に城壁もそのまま守れない。南西島しょ部の壁も同じだ。プロシア陸軍のヘルムート・フォン・モルトケ元帥なら敵攻撃により陥落した島しょ部奪回作戦を聞いて興奮するはずだ。クラウゼビッツ流にモルトケは軍事史上で最高の作戦家にしてドイツ統一の立役者のモルトケは戦時には「戦術的防衛が有利」であり、戦略的攻勢が「より効率が高い方法であり、目標達成の唯一の方法」と述べている。言い換えれば、敵地を占拠あるいは占領してから戦術的に有効な防衛体制をとれば、戦略的な勝利につながるということだ。敵は莫大な犠牲と危険を覚悟で占領地の奪回を迫られる。戦場も実生活と同じだが、いったん手に入れれば我が物、ということだ。

 

海洋戦略も同様だ。前世紀の海洋歴史家ジュリアン・S・コーベットがモルトケの知見を沿海部に応用した。コーベットは戦略的攻勢に戦術的防衛を組み合わせれば限定戦で大効果が出ると主張した。戦闘艦艇は戦わずして敵に現実を受け入れさせることができる。あらゆる点で太平洋での戦闘は限定戦になる。核の時代に戦争を最終段階に持っていこうとするものは皆無だからだ。

 

戦術的防衛を戦略的攻勢と組み合わせることについてコーベットは「即応体制、機動力があること、あるいは有利な状況が該当地区にあり、敵が阻止してくる前にこれを実現することが前提」と述べている。敵が「撃退せんと動いてくれば、こちらの望ましい形で対応し、敵の反抗を遠隔地に限定させ、もって敵を消耗させるべし」としている。

 

コーベットもモルトケも地形や地理上の距離さらに防衛側の主体的な動きで反攻は困難になると主張している。このまま海洋面に応用できるかは疑問もある。コーベットは「目標地周囲が海の場合、敵は海洋全周の支配ができない」とし、守備側が占拠を維持できる可能性をほのめかしている。島しょ部は周囲が海だ。海洋戦略でこの海を壁にし、敵の動きを戦術的防衛で困難にさせればよい。日本はもっと攻撃的な姿勢になるべきだし、こうした過去の戦略大家の言葉を咀嚼すべきだ。ただし、何でもそうだが、すべてが想定通りに進まない。PLA部隊が自衛隊部隊より先に上陸する可能性もある。そうなると自衛隊の水陸両用機動団は敵の銃火の下で奪回を迫られる。南西部島しょ部で日本の主権を守る作戦としてこれは最も難易度が高い。日本ではなく中国が戦術的防衛の優位性を享受する。こうした想定が日本の外交政策や防衛当局に共有されれば、水陸機動団に出撃命令は出せなくなる。したがって積極策を考えるべきだ。

 

城壁に人員を配置するべきだ。しかも早期に。

 

そこで日本はモルトケやコーベットもほめるような攻撃的な思考ができるようになる。そうなればよい。また、番匠元陸将が説明したように、陸上自衛隊は「水陸機動団発足」のプレスリリースの中で「日本の遠隔島しょ部へのいかなる攻撃も撃退する」「統合能力」は十分にあると公言している。これは中国の揚陸作戦を阻止すると聞こえる。だが同時に水陸機動団の主目的は襲撃を受けた遠隔島しょ部で「上陸し、迅速に再奪回し占拠する」こととしている。

 

そこで再奪回ということばだ。

 

ここに中国と日本の考える戦略の違いが見え隠れする。日本の2017年版防衛白書では「中国は東シナ海南シナ海の現状変更を狙い、国際法による現状の秩序では受け入れられない形の主張をしており、日本含む域内諸国のみならず国際社会で懸念を生んでいる」と論じていた。言い換えれば、中国は現状を変えるべく攻勢をかけようとしている。

 

たしかに中国は常に積極的防衛手段をためらわないと公言しており、戦略的目的のためには攻撃作戦や戦術を取るとしている。中国の侵攻による犠牲者が中国の侵攻を生むと非難している。だがこれまで続いてきた域内秩序をひっくり返せば戦略的防衛につながるのは必至だ。実際に中国共産党は戦略的攻勢を主張し、実際に攻撃手段を実行している。党に従属するPLAが非武装あるいは紛糾する地点の占拠を選択する、あるいは他国の奪還を許さないと決定する事態が考えられる。このパターンはすでに南シナ海からヒマラヤまで展開しているではないか。モルトケ=コーベットならこの事態を見て即座に軍事対応につながるものと認識するだろう。

 

では日本はどうか。戦略的防衛に徹するが、国のトップは戦術の選択で悩んでいるように見える。日本に一番正しい道はモルトケだ。水陸機動団は中国部隊が防備を固める前に島しょ部へ移動する必要がある。戦術防衛策の優位性を証明することになろう。

 

そうなると菅首相以下の日本政府はモルトケ、コーベットに学び、南西部城壁を有効にする方法を採択すべきだろう。中国の攻勢に対し、日本にはスパルタ王レオニダスが劣勢な軍を巧みに活用したテルモピュレ峠の事例(紀元前480年)というモデルもある。ペルシア王クセルクセスの使者が剣を下ろせと要求すると、レオニダスはできるもんならやってみろ、と回答した。二千年以上前のこの姿勢が今日にも通じる。■

 

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Japan’s Backwards Island Defense Strategy Against China Is a Mistake

DR. JAMES HOLMES: THE NAVAL DIPLOMAT

ByJames Holmes

 

 

James Holmes holds the J. C. Wylie Chair of Maritime Strategy at the Naval War College and served on the faculty of the University of Georgia School of Public and International Affairs. A former U.S. Navy surface-warfare officer, he was the last gunnery officer in history to fire a battleship’s big guns in anger, during the first Gulf War in 1991. He earned the Naval War College Foundation Award in 1994, signifying the top graduate in his class. His books include Red Star over the Pacific, an Atlantic Monthly Best Book of 2010 and a fixture on the Navy Professional Reading List. General James Mattis deems him “troublesome.”