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2022年5月31日火曜日

バイラクターTB2は「適正技術」の装備品への関心を各国に高めそう。ハイテク装備でなくともうまく使えば効果的になる実証がウクライナ戦だ。

 

Bayraktar TB2 Drone

ウクライナ空軍のバイラクターTB2 無人機

 

ウクライナで高い効果をあげている装備品に、戦術的無人航空機システム「TB2」がある。開戦以来、ウクライナ空軍は同機で戦術的心理的に大きな効果を発揮している。

 

 

バイラクターTB2の特徴と兵装 

バイラクターTB2は、トルコ製の戦術用無人航空機システムだ。中高度・長距離ドローンに分類される。

 精密打撃に加え情報収集・監視・偵察(ISR)作戦に特化した戦術無人航空機システムに分類される。

 バイラクターTB2は、Rotax 912エンジンで後部にある2枚羽根可変ピッチプロペラを駆動させ、100馬力超の推力を発生する。最大高度約27,000フィート、最大航続距離約93マイル(約150キロメートル)、航続時間27時間以上の性能を有する。

 戦術無人機で、時速は80〜140マイルと(時速70〜120ノット)バイラクターTB2は高速でも俊敏でもない。米国はじめとするNATO諸国がウクライナに供与している対空兵器FIM-92スティンガーの対空砲火を受けた場合、バイラクターTB2が生き残る可能性は低い。

 

 弾薬とペイロードに関しては、バイラクターTB2は330ポンド(150kg)の火力を搭載する。MAM-CまたはMAM-L空対地ミサイルも4発搭載できる。MAM-Cミサイルは重量14ポンドで、高爆発弾(HE)と徹甲弾の能力を持つ多目的弾頭を搭載し、必要に応じ敵の分隊や戦車を破壊できる。MAM-Lミサイルは、より重い攻撃力を備え、弾頭重量が48ポンドで、高火力弾や徹甲弾のニーズに対応できる多目的弾頭を搭載できるほか、周囲環境から酸素を吸い高温爆発を起こすサーモバリック弾頭も搭載できる。サーモバリック兵器は致命的でバンカーの破壊に最適だ。

 バイラクターTB2は、トルコの航空宇宙防衛企業であるBaykar Makinaが製造し、単価は約500万ドル。バイラクターTB2は、40万時間以上の総合飛行時間の実績ある戦術ドローンだ。

 トルコ軍がバイラクターTB2の主要ユーザーだが、国際的にも成功を収めており、ウクライナ戦争で販売促進は間違いない。このほか、アゼルバイジャン、エチオピア、キルギスタン、リビア、モロッコ、ニジェール、パキスタン、カタール、トルクメニスタンでも使用されている。その他数カ国が導入に興味や希望を表明している。

 ウクライナ戦争に加え、バイラクターTB2はアルメニア、リビア、シリア、アフリカの一部で活動した。バイラクターTB2は、投入された紛争で900近くの標的を破壊したとの報告がある。

 

ウクライナでの有効性  

ウクライナ空軍は、ロシア軍にバイラクターTB2を極めて効果的に使用している。

 オープンソースの情報サイト「オリックス」によると、ウクライナのバイラクターTB2は、ロシア軍の車両や装備を相当数破壊しており、152mm2A65 Msta-B牽引榴弾砲、220mmBM-27「ウラガン」多連装ロケットシステム、Pantsir-S1および9A331TLA対空システム、Ka-52「アリゲーター」攻撃ヘリコプター、Mi-8輸送ヘリコプター、プロジェクト03160ラプター級巡視船、燃料輸送列車およびBMD-2歩兵戦闘車両が含まれる。

 上記は、バイラクターTB2が破壊したとされる標的のうち、オリックスが目視で確認したものに過ぎない。

 「バイラクターTB2の役割は、単なるハンターキラーではなく、最終的に戦場を完全に支配することにあった。TB2は、地上目標の位置を追跡し、その一挙手一投足を監視でき、最も密集している防空エリアを飛行しながら、地上目標を叩くよう他のアセットに指示することができた」とオリックスのアナリストは書いている。

 しかし、バイラクターTB2は、ロシアの戦車や大砲を破壊するだけではない。ウクライナ空軍は、ロシア黒海艦隊旗艦である弾道ミサイル巡洋艦モスクワの注意をそらすため同機を使用し、ネプチューン対艦ミサイル2基が同艦を攻撃し沈めたと報じられている。

 ウクライナでは、同機を題材にした歌まで作られ、地上での戦果を称えている。

 

有効だが万能ではない 

しかし、ウクライナや2020年のアルメニア・アゼルバイジャン戦争でバイラクターTB2が効果を発揮したというが、全方位的な優位性を証明するものではない。確かに、バイラクターTB2は戦術的な無人航空機システムとして優秀であり、適切に運用すれば高い効果を発揮することができる。しかし、高度な能力と技術を有する軍隊の前に立ちはだからずに、全能の装備品と考えるべきではない。■

 

 

Why the Bayraktar TB2 Drone Was Such a Game Changer in Ukraine - 19FortyFive

ByStavros Atlamazoglou

 

1945’s New Defense and National Security Columnist, Stavros Atlamazoglou is a seasoned defense journalist specializing in special operations, a Hellenic Army veteran (national service with the 575th Marine Battalion and Army HQ), and a Johns Hopkins University graduate. His work has been featured in Business Insider, Sandboxx, and SOFREP.



2022年3月16日水曜日

ウクライナ軍のバイラクターTB2無人機にロシア軍が対抗できない理由。無人装備が機甲部隊に効果を上げている姿は戦車の時代の終わりを象徴している。

 Bayraktar TB2 Drone

Bayraktar TB2 Drone of the Ukrainian Air Force.

 

ウクライナのバイラクターTB2の大活躍 - ウクライナは広報と情報戦で大当たりを手にした。ウクライナ上空で活躍する戦闘用無人機「バイラクターTB2」は、戦車や大砲、その他の装甲車などを破壊し、遠隔操縦者が興奮している。

 

ウクライナ軍は、バイラクターのカメラで撮影したと思われる白黒動画を多数公開している。映像には、無人機のミサイルが命中し、壮大な爆発を起こす様子が映っている。同無人機は、ロシア軍に挑み続け、侵略の代償をさらに高価にしているようだ。

 

標的は装甲車以外にも

ソーシャルメディア上の動画が本物なら、トルコ製のバイラクターTB2の役割が広がっている証拠となる。新しい映像では、戦車や装甲車に加え、橋やロシアの指揮統制センターを攻撃する無人機が映っている。

 

無人機攻撃の心理的効果

軍事アナリストは、無人機攻撃の成功がウクライナ軍の士気を高め、防空に失敗したロシアを狼狽させ、挫折させていることに注目している。

 

Timeはトルコの軍事・航空宇宙アナリストArda Mevlütoğluにインタビューした。同氏は「ウクライナ軍公開の映像は、ロシア防空体制の重大な欠陥を示している」と答えた。また、こうした映像の広報活動や心理戦への効果を指摘した。

 

ロシア軍は前線補給で無防備なまま兵站車両を使い続けており、バイラクターTB2は、燃料、弾薬、食料を運ぶ車列を排除している。

 

バイラクター無人機は世界中で人気

ウクライナが2019年より購入した無人機は推定50機。トルコの防衛企業ベイカー・テクノロジーBaykar Technology製で、侵攻以来、ウクライナは発注を増やしている。合計16カ国が同機を購入している。

 

バイラクターは、レーザー誘導型ミサイル「スマート小型弾」を4発搭載する。最大30時間の滞空が可能で、高度18,000〜25,000フィートで飛行する。航続距離185マイル、時速は80マイルで、高速機ではない。カメラ2種類のレーザー測距計、レーザーポインターを搭載する。

 

生存能力がある

意外なことに、同機はロシア防空網に探知されていない。India TodayのSaikiran Kannanは、「TB2のレーダー断面積の低さ、データリンク複合体がKrasukha-4などロシアの主要電子戦システムに探知されないことにより、TB2無人機は巧妙かつ俊敏に運用されている」と述べている。

 

バイラクターは成功を収めているが、ウクライナはさらに多数の無人機が必要だ。操縦要員の追加養成が求められる。キーウなど包囲された都市周辺に追加部隊が配置されるだろう。

 

米国が対テロ戦争で指導者個人の暗殺に無人機を活用したことはあるが、2020年のナゴルノ・カラバフ戦争でのアゼルバイジャンとアルメニア対戦を除けば、機械化機動戦で無人装備による攻撃が決定的となったのは初めてのことだ。

 

戦車は時代遅れになりつつあるのか?

21世紀の戦争における重要な進展が現実になっているわけで、対装甲携帯ミサイルや無人機と格闘する主力戦闘車は時代遅れになりつつある。ロシアは、無人機攻撃の効果を減らすべく、早期警戒レーダーや対空装備の性能向上が必要だ。しかし、今のところはバイラクターが勝っている。■

 

Bayraktar TB2 Drone: Ukraine's Secret Weapon Against Russia? - 19FortyFive

By Brent M. Eastwood

 

Now serving as 1945’s Defense and National Security Editor, Brent M. Eastwood, PhD, is the author of Humans, Machines, and Data: Future Trends in Warfare. He is an Emerging Threats expert and former U.S. Army Infantry officer. You can follow him on Twitter @BMEastwood.

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