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2019年3月3日日曜日

オーストラリア>空軍力の整備と防錆装備輸出への期待

アジア太平洋時代に日本もオーストラリアとの連携を強めていますが、意外に同国の実態は知られていない気がします。防衛産業の積極輸出を目指す点では日豪は共通していますが、方法論や仕組みづくりは微妙に違うようですね。


Australia formulates its path to military modernization and industrial growth オーストラリアは軍事装備近代化と産業発展をこう進める


By: Mike Yeo

2015年2月の航空ショーでオーストラリア空軍のF/A-18Aホーネットがフレアを投下した。(Scott Barbour/Getty Images)



国に最も忠実な同盟国といってよいオーストラリはアジア太平洋の要衝で空軍力の再整備と国内防衛産業の振興を通じてグローバル競争力実現を近未来に実現したいとする。

オーストラリアは世界と隔離されているように見えるが、アジア貿易への依存から地域内安全保障に多大な支出をしてきた。
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同国軍は多国籍軍の一員としてアフガニスタン、イラクに展開し、イスラム国との戦いも支援してきた。国内政界には米国との同盟を重視し法の支配を世界規模で維持すべしとの意見が強い。南部ヴィクトリア州で隔年開催の航空ショーが今月末に始まるが、同国はロッキード・マーティンF-35Aの初号機を受領して空軍装備近代化に向かう中で陸軍海軍とのネットワーク化を目指している。

第5世代機の導入

ジェリコプランPlan Jerichoとして王立オーストラリア空軍RAAFは統合ネットワーク化された空軍力を情報化時代に恥じない形で届ける組織への変革を模索している。その中核がデータや状況把握の増強を図りつつ新鋭機供用を開始することだ。F-35Aの72機がF/A-18A/Bホーネットの後継機として主力戦闘機となる。これを支えるのが24機あるボーイングF/A-18FスーパーホーネットとEA-18Gグラウラー(11機)電子攻撃機だ。

F/A-18A/Bは順次退役を始めており、2022年頃に完全退役する。カナダが25機購入し、うち18機を稼働させ残りは部品取り用にする。

オーストラリアはロッキード・マーティンAP-3Cオライオン対潜哨戒機の後継機としてボーイングP-8Aポセイドンとノースロップ・グラマンMQ-4Cトライトン高高度長時間飛行UAVを海上の状況把握ミッションに投入する。

P-8Aが先行し、発注15機のうち7機が引き渡し済みだ。トライトンは6機発注で2023年から引き渡しが始まる。

P-8Aは国連の北朝鮮制裁にも投入されており、昨年12月に沖縄から運航を開始した。

ジェリコプランで輸送機部隊との接続実証試験を開始し、業界と協力しRAAFのロッキード・マーティンC-130Jスーパーハーキュリーズ部隊にワイドバンド衛星通信装置と主翼に落下式増槽を追加し、今後ライトニングAT電子光学照準ポッドも追加され戦術能力を引き上げる。


A Boeing-made Australian E-7A Wedgetail airborne early warning and control aircraft in 2014. (Melina Young/Royal Australian Air Force via Getty Images)
オーストラリアが運用するボーイングE-7Aウェッジテイル早期警戒統制機。 (Melina Young/Royal Australian Air Force via Getty Images)


装備調達での展望

オーストラリアの防衛白書2016年版に将来の調達計画の片鱗が伺え高速救難機材や特殊作戦用ヘリコプターが予定されている。

後者についてRAAFのボーイングC-17戦略輸送機への搭載が条件で白書では『特殊部隊の兵力投入・撤収により偵察行動から対テロ作戦、人質奪回作戦と多様な条件に投入する」想定だ。C-17で三機ないし四機の輸送が可能な小型機にする想定だ。

白書ではRAAFの初等練習機の更新を2022年開始としている。空軍はBAEシステムズのホーク127を初等練習機兼戦闘機として供用中だ。
ホークは2026年頃まで供用可能と見られる。

RAAF参謀総長のレオ・デイヴィス空軍中将Air Marshal Leo Daviesは次期練習戦闘機で選択肢を複数検討中で、ホークの供用期間延長も含むと昨年の取材でDefense Newsに述べていた。

同国は海軍艦艇から無人機を運用する構想も検討中だ。海軍はシーベルS-100カムコプターで実証試験を行い今後導入するパトロール艇やフリゲートに搭載する無人機の調達も検討中だ。

防衛産業への期待

現時点のオーストラリア政権は国内産業育成に高い優先順位をつけており、現地産業界の参画にむけて努力してきた。

F-35生産事業でオーストラリア企業が垂直尾翼、兵装庫、機体表面パネルの製造で実入りの良い仕事を獲得している。

さらにF-35運用の維持に絡むオーストラリア企業は多い。この内BAEシステムズオーストラリアが南太平洋地区の機体補給修理場に指名されたほか四社がティア1部品65点のうち64点で地域内補給整備業務を請け負う。
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英国はボーイングE-7ウェッジテイルを空中早期警戒機に昨年選定したが、オーストラリアは同機を供用中だ。国防産業相スティーブン・チオボには英国との共同開発や企業提携の機会と写る。「オーストラリア産業界にはウェッジテイル取得と運用に関与する企業200社超があり防衛輸出案件として大きな効果が期待できる」

オーストラリア政府も防衛装備輸出を重要視しており、昨年発表の輸出戦略構想で輸出実績につながる企画、指導、評価の仕組みを提唱した。

また2018年-19年に14百万ドルを追加計上し防衛装備輸出を支援するとし、国防省内に輸出を専門に扱う組織を創設し戦略の実施を目指す。目標は2028年までに世界の防衛装備輸出トップ10カ国になることだ。■

2015年7月31日金曜日

オーストラリア向けEA-18Gは米海軍仕様とひと味ちがう機体になった


オーストラリア向けのグラウラーは米海軍仕様とは微妙に異なっているようですね。ただし、空対空ミサイルを搭載するというのはどんなもんでしょう。機数に限りがあるため出来るだけの機能を一機でこなせるようにしたいというのがオーストラリアの用兵思想なのでしょうか。もし日本も同機を導入したら同じ発想になるのでしょうか。NIFC-CAがまた出てきますが、米軍との親和性ではオーストラリアが一歩先を行くようですね。ゆくゆくは日米豪でネットワークを構築すると見ていますが。

U.S. Navy Lessons from Libya Informed Australian EA-18G Growler Modifications

By: Sam LaGrone
July 30, 2015 4:25 PM
The Royal Australian Air Force's first EA-18G Growler during its first flight on July 13. Boeing Photo
オーストラリア空軍向けEA-18Gグラウラーの1号機が7月13日に初飛行した。T. Boeing Photo

ST. LOUIS, MO.— 米海軍はリビア攻撃の教訓をオーストラリア向けボーイングEA-18Gグラウラー電子攻撃機に伝えたと米海軍関係者とオーストラリア空軍(RAAF)関係者が報道陣に語っている。
  1. 「リビアで最大の教訓は電子光学ポッドがグラウラーに必要だとわかったことです」と語るのはRAAF前参謀長ジェフ・ブラウン中将 Air Marshall Geoff Brown だ。「電子発信音をとらえ所在がわかったあとで標的を見ることができますから」
  2. レイセオン製ATFLR(前方監視赤外線)ポッドを加え、グラウラーは目標の状況を更に高いレベルで把握できることになった。
  3. グラウラーの電子攻撃の基本は敵防空体制を電子的に探知し、利用不可能にすることだが、現行の米海軍仕様グラウラーにはFLIRポッドはついておらず、スーパーホーネットの有する視覚鋭敏さに劣る。
  4. 2011年のオデッセイの夜明け作戦ではグラウラー5機の一個飛行隊がリビア上空の航空戦を支援したが、電子的に探知したあとの目標確認ではFLIRを搭載した他機に頼っていた。ドナルド・ガディス少将Rear Adm. Donald Gaddis(米海軍の戦術機事業主管)が報道陣に対しボーイング社内で開かれた式典会場で解説している。.
  5. EA-18GのパッシブALQ-210レーダー探知機とアクティブ電子スキャンアレイ(AESA)を使い、MIDSとLink 16経由で「他機に目標の軌跡を伝えた」(ガディス少将)「ポッドを搭載すると他の装備が積めなくなりますが、ATFLIRを搭載した別の機からのデータリンクが不要となり、自分で確認できるようになります」
  6. ただし米海軍が導入済みEA-18Gにポッドを搭載する改修をするのか、新規生産機から標準装備にするのかは不明だ。
  7. FLIR以外にRAAF向けグラウラーにはAIM-9X空対空ミサイルが搭載される。
  8. RAAFのグラウラー調達は航空関係で特に米国製装備を導入するオーストラリアの傾向のひとつだ。
  9. グラウラーは総額22億ドルの事業だが、オーストラリアは別にボーイングP-8Aポセイドン海上領域状況認識・対潜哨戒機、ノースロップ・グラマンMQ-4Cトライトン海洋情報収集監視偵察無人機(UAV)、ロッキード・グラマンF-35ライトニングII供用打撃戦闘機を導入する。さらにボーイングE-7Aウェッジテール空中早期警戒統制機が導入済みだ。
  10. 各機はRAAFがめざすネットワーク化航空戦構想プラン・ジェリコの実現の基礎となる。
  11. このうちグラウラーとF-35Cには米海軍の海軍統合火器管制防空 (NIFC-CA) で中心的なノードの役割を期待され、RAAFが機材を導入するのは米戦闘ネット網に組み込まれることになるのだろう。
  12. 「米国側とはいつも協力分野を検討してきました」とブラウン中将はUSNI Newsの取材に答えている。プラン・ジェリコがNIFC-CAのよなネットワーク構想で協調型交戦能力 (CEC) を目指すのかというのが問だった。「米海軍、米空軍とは切れ目なく相互運用をめざしています」
  13. ボーイング上層部はUSNI Newsに対してF/A-18E/Fスーパーホーネットとグラウラー生産ラインを2010年代末まで維持するためには米海軍向けスーパーホーネット追加発注12機の議会承認が必要、また国際市場向けには50ないし70機の販売成約が条件との発言があった。
  14. 数ヶ月以内にデンマークが同機24ないし36機の調達を決定すると見られ、同規模の調達を中東某国が検討中とボーイング関係者は明かし、ただし国名は話さなかった。USNI Newsはクウェートであると理解している。■

2015年2月7日土曜日

オーストラリア空軍の質的向上効果はイラクで発揮中



By ROBBIN LAIRDon February 03, 2015 at 3:56 PM

米政府は共通の防衛対象で同盟国の貢献に不満を述べることが多い。全く欠如していると指摘する。だが一部同盟国は着実に21世紀の兵器体系に投資をし、21世紀型の脅威に対応しているのも事実だ。
  1. その好例がオーストラリア空軍 (RAAF) で、イラク国内で対ISIS作戦を展開中。本国から中東まで自国給油機により機材を派遣しており、空輸も行っている。21世紀に入ったばかりの段階でRAAF機材は旧式化が目立っていた。大転換はC-17輸送機からはじまった。”
  2. 「南太平洋地域なら12時間以内にオーストラリア国旗を誇示し、24時間以内に再度機材を派遣できる能力が実現した」と在ワシントン大使館の空軍武官ゲーリー・マーティン准将が説明する。「以前は3日ないし4日かかっていたが12時間単位で運用可能になった。戦術空輸から戦略空輸への質的転換だ。C-130では国外に飛ぶのに一日かかり、同じ地点に飛ぶにはもう一日必要だった。C-17ならオーストラリア国内どこからでも貨物を積み込み、国外ヘ飛び、一日以内に戻ってこられる。RAAFおよび政府にとってこの違いは大きい。」
  3. その次に変化を実現した機材がA330MRTT給油機で、同機によりオーストラリア軍の到達範囲や航続時間を伸ばすことができるようになった。
  1. さらにウェッジェテイル高性能航空戦闘統制機材がある。同機は米空軍が導入を断念したE-10と同等と言ってよい機材だ。多用途電子スキャンアレイMulti-Role Electronically Scanned Array (MESA)方式のレーダーを搭載するウェッジテイルはAWACSとは別の存在で、従来の航空戦闘の統制管制概念を変える。
  2. イラクではウェッジェテイルが新記録を樹立し、オーストラリア国防省は以下発表している。
  3. 「E-7Aウェッジテイルが連合軍航空機多数を指揮統制し、ISILへの各国の航空作戦をイラク領空内で実施した。オーストラリア飛行部隊指揮官スティーブ・ロバートン准将が指揮をとった。
  4. 「すでに数時間滞空中だったオーストラリ空軍ウェッジェテイル機の乗員に多国籍軍機材の到着が遅れると知らされていた。ロバートン准将はただちに判断し空中給油させ滞空時間延長を決めた
  5. 「ウェッジテイルとKC-30Aはイラクで始めて作戦投入された。両機によりオーストラリア軍はイラク空爆を一貫シて実施でき、連合各国と密接に協調行動できたのである。
  6. 「RAAF機材をオーストラリアからイラクまで移動する長距離航程を短時間で自国だけで実現できたことが大きい。KC-30AとC-17があってこそ可能であった」
  7. 1月半ば時点でKC-30A各機が10百万ポンド超の燃料をオーストラリア軍のほか連合国機に空中給油している。戦闘拡大で各機の給油対象も拡大し米国、フランス、英国、カナダ、サウジアラビアの各国機が対象になっている。
  8. 「米海軍はKC-30Aの自動空中給油(AAR)を見て尻込みしていたが、昨年秋にNAVAIR関係者がオーストラリアにやってきてF-18で給油を実験したところ、結果良好と判明し、現在は米海軍機にもKC-30から相当の量を給油している」(オーストラリア空軍マクドナルド准将)
  9. ウェッジテイルとKC-30Aに加え、数年すればF-35が加わる。この機材導入は空軍参謀総長がジェリコプランと呼び、RAAFはさらに共同作戦、同盟国支援に向けて変貌を遂げることになる。
  10. 新型機の相次ぐ導入でRAAFは各国の中でも最新機材をそろえることになる。■