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2025年1月22日水曜日

アーレイ・バーク級駆逐艦にAGM-179JAGM搭載で火力増強の可能性(Naval News)―中国に対抗するべく戦闘艦の火力補強は当然のなりゆきなのでしょうね。知恵を絞って既存装備を搭載することにかけては米国は柔軟ですね。

 DDG 51 JAGM SNA 2025

新しいJAGM垂直発射セルを搭載したDDG-88のスケールモデル。この模型はSNA2025でロッキード・マーチン社が展示したもの。 著者撮影




ロッキード・マーティンは、既存の艦船に火力を追加する手段として、アーレイ・バーク級モデルにマルチロールAGM-179 JAGMミサイルを追加する。


ッキード・マーティンは、バージニア州クリスタルシティで開催されたSurface Navy Association 2025会議において、新しいアーレイ・バーク級誘導ミサイル駆逐艦のモデルを展示し、対UASおよび海軍火力支援の役割で最大24発の再装填可能なAGM-179 JAGM用の追加垂直発射セルを展示した。

 SNA 2025で初公開されたこの設計では、各12発のミサイルを搭載する垂直発射セルが2バンクあり、いずれも64セルのMark 41 VLSモジュールの前方に配置されている。

 既存の水上戦闘艦にミサイルを追加搭載するのは、米海軍の最優先事項のひとつである。同様の取り組みは、フリーダム級沿岸戦闘艦のMark 70 Mod 1ペイロード・デリバリー・システム(PDS)や、アーレイ・バーク級駆逐艦に12個のリローダブルMark 41 VLSセルを追加するBAEシステムズのアダプタブル・デッキ・ランチャー(ADL)コンセプトでも見られた。

 今回、ロッキード・マーチンは、対地・対空ミッション用にアーレイ・バーク級駆逐艦に搭載するJAGMクワッド・ランチャー(JQL)を売り込んでいる。



ロッキード・マーティンがSNA2025で展示したF110、リバー級、アーレイ・バーク級、フリーダム級の模型。 フリーダム級LCSは3基のMark 70 Mod 1 PDSランチャーを搭載し、アーレイ・バーク級DDGは2基のJAGMクアッドランチャー(JQL)モジュールを搭載している。 著者撮影


 米海軍は最近、AGM-114L「ロングボウ・ヘルファイア」ミサイルを搭載した対UASランチャーとして機能するよう、沿海域戦闘艦の対地ミサイル・モジュール(SSMM)を改良した。これもSNA2025で強調された取り組みだ。 ロングボウ・ヘルファイアは、アクティブ・レーダー・シーカーを搭載しており、自己防衛において限定的ながら対UASの役割を果たすことができる。AGM-179JAGMは、新技術と改良された性能でその能力を構築している。

 JAGMの垂直発射セルは、アーレイ・バーク級駆逐艦の通例であるRGM-84ハープーン・ボックス・ランチャーのかわりとなる。これは、本誌が以前報告した、ハープーン対艦ミサイルを新しいOTH(Over-the-Horizon)兵器システムキャニスターに置き換えようという米海軍のこれまでの取り組みとは対照的である。

 ロッキード・マーチンが示したJAGM垂直発射セル・コンセプトが、今後アーレイ・バーク級駆逐艦に導入される既存のOTH-WSキャニスター統合作業を補完するものなのか、置き換えるものなのかは不明である。

 ロッキード・マーティンは、JAGMを搭載したアーレイ・バークに関する詳細については米海軍に問い合わせるよう要請している。本誌は米海軍にコメントを求めている。■



Posted by : Carter Johnston

Carter Johnston a freshman at George Washington University's Elliott School for International Affairs in the Class of 2028. He is based in Washington, D.C. and Chicago, Illinois. His interests include shipyard infrastructure in the United States, ongoing modernization efforts of the U.S. Navy and Marine Corps, and the politics that lead to their success domestically and globally.


Arleigh Burke-class destroyer could get more firepower with AGM-179 JAGM

Lockheed Martin continuing on the path of adding more firepower to existing ships, this time adding multirole AGM-179 JAGM missiles to an Arleigh Burke-class model, replacing its RGM-84 Harpoon launchers.

Carter Johnston  20 Jan 2025

https://www.navalnews.com/event-news/sna-2025/2025/01/arleigh-burke-class-destroyer-could-get-more-firepower-with-agm-179-jagm/


2025年1月6日月曜日

最古のアーレイ・バーク型駆逐艦を延命させ、2030年代まで就役させる米海軍(The War Zone)―今後の経済を考えると老朽艦を適宜リフレッシュして稼働させるほうが得策では。もちろんモジュラー設計などが前提ですが。

 


The U.S. Navy plans to keep all 12 of its Flight I Arleigh Burke class destroyers in service beyond their originally 35-year expected service life.  

USN




フライトIのアーレイ・バーク級駆逐艦12隻を延命させる計画は、戦闘即応性を高めたい米海軍の非常に野心的な取り組みの一環である 


海軍は、フライトIのアーレイ・バーク級駆逐艦12隻を、当初想定の供用年数35年を超えて供用する。防衛・攻撃能力の重要なアップグレードの可能性もある一部艦は、2030年代まで航行を続けることになる。 

 寿命延長の決定は、今年初めに展開された海軍全体の野心的な戦略の一環で、艦艇含む重要な資産の即応性を高めることに重点が置かれている。 

 海軍は本日、カルロス・デル・トロ海軍長官が承認したフライトIアーレイ・バーク級に関する新たな決定を報道資料で発表した。現在、海軍にはアーレイ・バーク駆逐艦が合計73隻配備されているが、うち21隻がフライトI型で、その他改良を重ねたフライトII型、IIA型、III型が混在している。 


USSジョン・ポール・ジョーンズ、フライトI仕様のアーレイ・バーク級駆逐艦。 USN 


 海軍は少なくとも2018年からアーレイ・バークの供用年数延長を視野に入れてきた。2023年3月、USSアーレイ・バークは2031年まで就役すると発表した。昨年8月には、さらに4隻のフライトI仕様のUSSラメイジ、USSベンフォールド、USSミッチャー、USSミリアス各艦の供用年数を2034年から2036年まで延長する計画を明らかにした。海軍は、今回の延命計画に含まれる艦船の名前を挙げていない。

 海軍は本日、新たな供用年数延長の発表について、「この決定は、艦体の材質状態、戦闘能力、技術的実現可能性、およびライフサイクル・メンテナンスの必要性を各艦ごとに評価した結果、2028年から2035年までに、48隻の供用年数を追加する」と述べた。「海軍は26年度予算要求でDDGの供用年数延長資金を提案しており、それに応じて造船計画を更新する予定である。「長官の要請により、海軍は過去10ヶ月間、DDG-51フライトI各艦(DDG 51-71)の徹底的な評価を実施し、12隻は期待される供用年数を超えて運用の継続が可能であり、また継続すべきであると判断した」と海軍の報道資料は付け加えている。

 各艦の供用年数の最終的な決定は、各艦の供用年数を最大化することに基づく。ただ、より多くのフライトI仕様バークの供用年数を延長するという海軍の決定は、驚くべきことではない。アーレイ・バーク級駆逐艦は現在、海軍の水上戦艦隊の大部分を占めている。1990年代に就役したフライトIバークは、現在でも非常に能力の高い艦である。トマホーク陸上攻撃巡航ミサイルやSM-2地対空ミサイルなど、さまざまなミサイルを搭載する。フライトIバークはすでに何年にもわたって数回にわたるアップグレードを受けており、現在はRIM-116ローリング・エアフレーム・ミサイル(RAM)用の新しいランチャーで、防御能力の新たなアップデートを受ける予定になっている。これは、すべてのアーレイ・バーク級駆逐艦のファランクス近接武器システム(CIWS)を、サブバリエーションによって異なる種類のRAMランチャーに置き換えるという、計画の一部である。

 少なくとも8隻のアーレイ・バーク級駆逐艦はすでにSeaRAMシステムを搭載している。これは、スペインのロタを拠点とする同級の駆逐艦のために開発された「ロタ」構成として、追加の電子戦能力とともに受領したものである。 

 さらに海軍は、二次的な陸上攻撃能力も備えた新しいステルス対艦巡航ミサイルを、フライトIバークに追加する可能性を探っている。USSフィッツジェラルドはすでにこの方法で武装し、能力を実証している。


USSフィッツジェラルドは、2024年の環太平洋合同演習(RIMPAC)で、海軍打撃ミサイル(NSM)巡航ミサイルを発射した。USN Petty Officer 2nd Class Jordan Jennings 


アーレイ・バーク級全体と、特にフライトI艦、特にそのVLSセルの価値は、特にタイコンデロガ級巡洋艦の最後の退役が間近に迫っていることから、近い将来ますます高まるだろう。 各タイコンデロガには122個のMk 41 VLSセルが搭載されている。 最大154基のトマホークを搭載できるオハイオ級誘導ミサイル潜水艦4隻を10年末までに退役させる海軍の計画は、非常に不都合な時期に海軍全体のミサイル発射能力をさらに低下させることになる。 アーレイ・バークの重要性は、ここ1年ほどの紅海周辺での作戦やイスラエル防衛ですでに存分に発揮されている。 USSアーレイ・バークと、同じくフライトI型のUSSカーニーは、4月にイスラエルの標的に向かうイランのミサイルや無人偵察機を打ち落とすのに貢献した。またカーニーは紅海で、イエメンでイランに支援されたフーシ派武装勢力の脅威と戦っていた。 

 デル・トロ海軍長官は今日の声明で、「これらの高い能力を持ち、よく整備された駆逐艦を拡張することは、新造艦が艦隊に加わるにつれて、我々の数をさらに強化することになる。「また、世界的な戦力投射における駆逐艦の永続的な役割や、最近では紅海において、ミサイルやドローンによる攻撃から同盟国やパートナー、友好国だけでなく、自国を守る能力も証明されている」。

 コンステレーション級フリゲート艦計画の大幅な遅れを考えると、ここで言及されている「新造艦」は特に重要だ。これらのフリゲート艦のうち最初のものが就役するのは、最初の製造契約締結から10年近く経った2029年になるかもしれない。 現在DDG(X)と呼ばれているアーレイ・バーク級の後継艦も、まだ遠い先の話で、海軍は最初の建造は2032年以降と予想している。 


DDG(X)の想定デザインとその特徴を描いた2022年のグラフィック。 


その上、今後数年間にわたり国防予算が良くて横ばいであるという懸念は、米軍全体に衝撃を与えており、最優先の近代化努力さえも深刻な見直しを余儀なくされている。将来の造船計画は、最善の状況下でも多額の費用と多大なリードタイムを必要とするため、容易に影響を受ける可能性がある。海軍の新造船や補修工事を行う米国の造船所全体の能力については、ここ数年、深刻な疑問が投げかけられている。海軍は、外国企業の利用を含め、これらの欠陥を是正する方法を検討してきた。 


米中両国の造船能力を比較した2023年頃の海軍情報局のブリーフィングスライド。 


海軍の最高責任者である海軍作戦部長リサ・フランケッティ海軍大将は、フライトIバークの寿命延長の発表に関連した今日の声明で、「予算制約の環境では、海軍はより多くの即戦力をフィールドに維持するために優先順位をつけた投資を行う必要がある」と述べた。「海軍は、平和における米国の世界的利益を支援し、紛争において決定的な勝利を収めるために、バトルフォース・インベントリーを維持し、成長させるための適切なレバーを積極的に引いています」。 

 フランチェッティは今年初め、プロジェクト33とも呼ばれる新たな「航行計画」を発表し、2027年までに全海軍の艦艇と戦闘機の80%を急増配備し、必要であれば比較的短時間で配備できるようにする目標を掲げた。これは現在の即応態勢を大幅に向上させるものであり、海軍が今後3年間でこの目標に近づくかどうかはまだわからない。 

 「私たちは非常に高く、非常に厳しいストレッチゴールを目指している。それが私たちに必要なことなのです」とフランチェッティ大笑は月に述べていた。

 2028年から2035年のスケジュールでフライトI仕様のアーレイ・バーク級を多数就役させ続けるという今回の決定は、海軍がより広範で非常に野心的な目標を達成しようとしている中で、少なくとも軍艦の総隻数を維持するのには役立つだろう。■


Oldest Arleigh Burke Destroyers Get Reprieve, Service Extended Into 2030s

Plans to extend the life of 12 more Flight I Arleigh Burkes is part of a highly ambitious Navy push to increase combat readiness.

Joseph Trevithick

Posted on Oct 31, 2024 12:15 PM EDT

https://www.twz.com/sea/oldest-arleigh-burke-destroyers-get-reprieve-service-extended-into-2030s


2020年4月30日木曜日

新型駆逐艦ズムワルトは正式引き渡しされたが戦力化は未整備、3号艦リンドン・ジョンソンも今年完成



海軍がUSSズムワルトDDG-1000を正式に受領した。3隻からなる大型ステルス駆逐艦の初号艦で単価は約70億ドル。

だが単純に喜べない事情がある。ズムワルトはあと数年の公試を完了しないと第一線に配備されない。

稼働まで長時間がかかるのは米海軍が新仕様の艦船開発に苦労しているためだ。同艦は30年ぶりの新型艦のためでもある。

ズムワルトは海上公試を経て戦闘装備が利用可能となりサンディエゴで引き渡された。「引き渡しは大きな一歩だが、DDG-1000の海上テストはさらに内容を高度化して続けていく」とDDG-1000事業を統括するケビン・スミス大佐が声明文を発表した。

ズムワルトがここまで来るのに時間がかかった。メイン州のバスアイアンワークス造船所を離れたのが2016年末だった。バスは残る2隻も建造しており、2020年末に就役する。

排水量16千トンのズムワルトは即作戦投入可能とならなかった。下に向け傾斜のつく同艦の特殊艦体の機能はすべて理解されず、さらに155ミリ高性能艦砲システム用の専用砲弾はなかった。ほぼ四年が経過し、艦体は問題ないと解明されたが、高経費を理由に主砲用の砲弾調達は中止された。同艦はもともと海兵隊の上陸作戦を火砲で支援する位置づけだったが対水上艦戦用に変わった。

 かわりに精密長射程誘導弾を対地攻撃に使うと2018年に決まり、対艦攻撃用にトマホークとSM-6ミサイルの搭載も決まった。ズムワルト級は対艦巡航ミサイルを各艦の発射セル80門に搭載する。

ただし各艦は実力を発揮できる状態ではない。艦隊に編入後もスミス大佐のいう「複雑かつ多様な任務の海上公試」を続けるからだ。

ズムワルトはまず試験部隊に編入され、有人・無人艦混合の戦術開発に従事する。初期作戦能力獲得は2021年後半の予定で、その後に任務投入される。

米海軍は一時はズムワルト級の32隻整備を想定したが、建造費と技術面で3隻に削減された。ズムワルト級のかわりにアーレイ・バーク級の建造再開が決まった。2号艦マイケル・マンソーは完成しており、最終艦リンドン・B・ジョンソンの建造はメイン州のバスアイアンワークスで進行中で2020年12月に引き渡し予定だ。


バーク級は10千トンとズムワルトより小さいが、単価は20億ドルと安い上、ミサイル発射セルは96でズムワルトより多い。一号艦バークは1991年に就役した。

ズムワルト級建造は終わったが、バーク級は改良を加え建造が続いている。ズムワルト級の公試が続く中、バーク級は世界各地で任務に投入されている。■

この記事は以下を再構成したものです。


US Navy adds stealth destroyer, new Arleigh Burke-class warship to the fleet



2017年11月20日月曜日

★★アーレイ・バーク級フライトIIIの設計がほぼ完了。新型レーダーに注目。



レイルガン、レーザーより今回お伝えするレーダー性能の向上は大きな要素になります。ベイスライン9の先を行く10も登場しました。次期イージス艦はますます威力を増しそうです。日本での登場は米海軍と何年か開きが出るはずでそれまでに技術も成熟化するはずですから楽しみですね。NIFC-CAは日本に必要なのか当方は理解できないのですが。一から日本が作れば相当の費用がかかるので使用料を払っても使わせてもらえば米海軍にも有益でしょうね。アーレイ・バーク級は近年まれにみる量産艦となり、途中の技術進歩をうまく取り入れていますね。


Navy Finishing Design for New Guided Missile Destroyers

米海軍の新型誘導ミサイル駆逐艦設計が完了に近づいている



 Scout Warrior - Nov 16, 9:00 AM

  1. 米海軍は新型誘導ミサイル駆逐艦の設計をほぼ完成させた。ハイテク艦としてレーザー、レイルガンの他に高性能レーダーで敵の対艦ミサイルへ現行の二倍の距離から対応可能となる。
  2. 海軍海洋システムズ本部(NAVSEA)関係者がScot WarrorにDDG-51フライトIIIアーレイ・バーク級駆逐艦の設計作業がほぼ完成したと伝えてくれた。就航開始は2020年代になる。フライトIII艦は22隻を建造予定であると海軍の技術文書からわかる。
  3. 新型駆逐艦では高性能センサー、兵装、防御装置、レーダー技術を盛り込み脅威対象の進展に歩調を合わせ米海軍の技術優位性を維持させるのが狙いだ。
  4. 「DDG-51フライトIIIは91パーセントの設計が完了しており、建造開始までに完成する予定です」(NAVSEA広報官)
  5. 際立つのが新型高性能レーダーで現行のフライトIIA艦以降の技術進歩を取り入れる。システムの要が艦載イージスレーダーであり、宇宙空間から大気圏に突入する弾道ミサイルを長距離探知するとともに接近する対艦巡航ミサイルをあわせて探知するのが役目だ。
  6. 海軍はレイセオン製AN/SPY-6(V) レーダーをまず三基発注しており、メーカーによれば現行装備より35倍強力になる。探知距離も二倍に伸び、現行装備で対応可能な大きさの半分も探知対象となる。
  7. AN/SPY-6(V)はミサイル防衛レーダー(AMDR)とも呼ばれ、複数目標を同時に探知識別できる。NAVSEAはシステム機能審査まで終えており、イージスのベイスライン10とソフトウェアへの統合を待つ状態だ。
  8. ベイスライン9でも同時交戦能力の実現が可能と確認できたとNAVSEAは言う。
  9. 交戦シミュレーションで新型レーダーでは対空戦、対弾道ミサイル戦で「トラックループ」と呼ばれる問題を解決する。この処理では生レーダーデータとして処理することでトラックループを狭めて標的を確定する。
  10. 海軍の既存デュアルバンドAN/TPY-2レーダーからソフトウェア技術を流用してレイセオンが開発を加速化した。
  11. AMDR用ソフトウェアではレイセオンは「迅速化」処理したと説明しており、技術進歩に対応して技術も順次対応させていくことでで既存技術を将来の装備にうまく統合できるという。
  12. AN/SPY-6技術は拡張性を最初から想定しており、重要設計審査段階を通過しているので、AMDRは強襲揚陸艦、巡洋艦他にも搭載可能となった。
  13. レイセオンはAN/SPY-6は初の拡大縮小対応レーダーであり、ブロック構造になっていると説明。レーダーモジュラーの編成を変えれば各サイズのレーダー装置に変えることが可能で現行装備より自由に大きく(小さく)できる。
  14. 「冷却、電源、管制ロジック、ソフトウェアの各部分も拡張可能な設計ですので既存DDG-51各艦に後付け搭載可能なほか航空母艦、巡洋艦はじめ各艦でも同様です。高額なレーダー開発費用は都度不要となります」(レイセオン)
  15. 新型レーダーでは化学成分ガリウム窒素半導体技術により高周波で高出力がさらに増幅でき、ガリウムひ素を使う既存レーダーより遠距離探知が可能となるとレイセオンは説明。
  16. レイセオン技術陣によればガリウム窒素で小型化しても十分強力な探知が可能でDDG-51に搭載可能すれば重量軽減とともに消費電力も下がるという。ガリウム窒素は逆電圧が高くなるので出力密度も高くできる。
  17. AN/SPY-6によりフライトIIIのDDG-51駆逐艦は現行のAN/SPY-1Dレーダーより広範囲の防空体制が実現する。
  18. AN/SPY-6は部品単位で簡単に修理可能で、回路数が減り、低単価部品が採用されている。AMDRでは同時にソフトウェア更新へ依存度を高めているので予備部品保管も少なくてすむ。現在のところAMDR用ソフトウェアは予定通りの完成度になっている。
  19. ただし冷却性能が従来より強力に必要となり電源も強化する必要がある。
  20. 電源では艦内で1キロボルトDC電源をAMDR用に確保するのが目標だ。DDGフライトIII艦ではロールスロイス製タービンエンジンをDDG-1000向け仕様と同じものを搭載するが燃料消費で改良が加わる。
  21. AMDRには特別の冷却機能が追加される。海軍は新型300トン冷却プラントを開発中でこれまでの200トンプラントより強力にする。
  22. DDG-51フライトIIIでは海軍統合火器管制防空装備NIFC-CAの性能を拡張する。同装備は搭載が始まっているが、艦載レーダーを航空機センサーと接続し、接近中の敵対艦巡航ミサイルを水平線越しに探知し、必要に応じSM-6ミサイルで迎撃撃破するものだ。
  23. 海軍開発部門によればNIFC-CAで迎撃ミサイルの作動範囲が広がるのと同時にセンサー有効範囲も伸び各種センサーを組み合わせた総合効果を火器管制に生かせる。
  24. NIFA-CAは統合防空・ミサイル防衛体制を構成しベイスライン9のイージスシステムを搭載したDDG-51各艦で導入と試験が始まっている。■