ラベル レーザー の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル レーザー の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2025年10月29日水曜日

MQ-20アベンジャーの機首にレーザー兵器が描かれたレンダリングが今後の展開を示している(TWZ)―すべて順調ではないもののレーザー兵器の実用化は着実に進んでいます。

 

電力供給と冷却の課題を航空機でどう実現するかが注目です

ジェネラル・アトミクスは、新開発の自律戦闘機「ガンビット」シリーズを含む、全ドローンでレーザー兵器搭載の選択肢を模索中だ

ジェネラル・アトミックス カーター・ジョンストン経由

ジェネラル・アトミックスは最近、レーザー指向性エナジー兵器を装備したMQ-20アベンジャー無人機のレンダリング画像を公開した。レーザービームは、機首部の完全回転式ノーズコーン砲塔から照射されている。同社は純粋なコンセプトデザインだと説明するが、これは高度にモジュラー化されたガンビット・ファミリーを含む、同社の無人航空機全体におけるレーザー兵器搭載の広範な研究を反映している。実用化は予想以上に近いかもしれない。

このレーザー装備型アベンジャーの描写は、先週開催された米国陸軍協会(AUSA)年次総会におけるジェネラル・アトミックスのブースで公開された短い動画内で確認された。Naval Newsのカーター・ジョンストンがこの興味深い映像を発見し、本記事冒頭および下記SNS投稿で公開されているスクリーンショットを提供してくれた。レンダリング画像とされているが、実写を部分的に合成した可能性もある。

航空機・地上プラットフォーム・艦艇に搭載されたレーザー指向性エナジー兵器は、攻防両面で多様な標的に対し光速の精度で攻撃を可能にする。十分な電力と冷却能力さえあれば、弾薬庫の容量にほぼ制限がない利点もある。さらにレーザー兵器は無音で、ビームは肉眼では見えないことが多い。これは秘密攻撃を可能にするか、あるいは敵軍に混乱と動揺をもたらす可能性がある。レーザー兵器には電力制限や環境要因による制約もある。

前述の通り、レンダリング画像には新設計の機首部を備えたアベンジャーが描かれている。機首部の本体は横方向に回転し、レーザーを照射する開口部を備えている。さらに機首先端部には「ボール型」センサータレットが配置されているが、通常は電光・赤外線カメラの組み合わせ、レーザー測距儀および/または目標指示装置が装備される。アベンジャーは長年、機首下に同様のセンサーボールを標準装備している姿が確認されてきた。アベンジャーの現時点で最も重要な運用者は米国中央情報局(CIA)とされている。公的には、低可視性(ステルス)特性を一部備えたこれらのドローンは、主に広く実験用テストベッドとして使用されていると見られている。

先週公開されたレーザー装備型アベンジャードローンのレンダリング画像に見られる回転式機首部のクローズアップ。ジェネラル・アトミックス提供(カーター・ジョンストン撮影)

機首下に球状センサータレットを装備した典型的な構成のアベンジャードローン。ジェネラル・アトミックス

「AUSAで来場者が目にしたのは、高エナジーレーザー(HEL)システムを搭載したMQ-20アベンジャーの概念図と短編アニメーションだ。いずれもジェネラル・アトミクスの製品であり、特定の政府プログラムや契約ではなく、コンセプト説明で当社が使用しています」と、詳細を尋ねられたジェネラル・アトミクスの広報C・マーク・ブリンクリーは本誌に語った。「展示は当社が戦闘用レーザーシステムと無人戦闘航空機(UCAV)の両方の研究開発を主導し続けていることを伝える意図だった。これらの製品を組み合わせることで、対UAS(対無人航空システム)やその他の用途を含む、戦闘員向けの様々な新たな機会を提供する方法を探っている」「レンダリングに描かれたアベンジャーとレーザーのビジュアルについては、あまり深読みしない方が良い」と彼は付け加えた。「最終的な形態は様々だ。例えばMQ-9BグレイイーグルSTOLへのポッド式搭載、あるいはガンビットシリーズ戦闘機への統合兵器としてなどだ。要するにジェネラル・アトミックスは、UCAVとレーザーを個別に、また統合システムとして発展させるため、自社資金を投入している。当社はこの取り組みの将来性に引き続き期待している」。

本誌は、ガンビットに統合型レーザー指向性エナジー兵器が装備される可能性について追及した。

「それは現実的な可能性で、多くの人が考えるより早く実現するだろう」とブリンクリーは答えた。「技術成熟度レベル(TRL)などの詳細は言及しないが、当社の高エナジーレーザー技術と先進的なガンビットシリーズ無人戦闘機の融合は、想像可能な未来です」。

ジェネラル・アトミックスは2022年にガンビット・ファミリーを正式発表した。ガンビットの核心要素は共通のコア『シャーシ』だ。これには着陸装置や主要な任務・飛行制御コンピュータシステムが含まれ、多様な『ボディキット』と組み合わせ可能だ。

同社の実験機XQ-67Aドローンは、元々は空軍のかつて極秘だったオフボードセンシングステーション(OBSS)計画向けに開発され、コンセプトの実証に貢献した。XQ-67Aとガンビットの開発成果は、現在ジェネラル・アトミックスが空軍の共同戦闘機(CCA)プログラム第一段階(インクリメント1)で開発中のYFQ-42Aにも反映されている。

上から順に、ジェネラル・アトミックスのアベンジャー無人機、実験機XQ-67A、CCAプロトタイプYFQ-42A。GA-ASI

強調すべきは、ジェネラル・アトミックスが電磁システム部門(GA-EMS)を通じて、高エナジーレーザー指向性エナジー兵器の研究開発を長年行ってきたことだ。先週も、同社の航空システム部門(GA-ASI)がレーザー兵器を装備したドローンのレンダリング画像を公開したがこれが初めてではなかった。またこの分野での関連作業に言及したのも初めてではない。

2010年代後半、ジェネラル・アトミックスはアベンジャー上で高エナジー液体レーザー地域防衛システム(HELLADS)の変種または派生型を試験する計画を公然と議論していた。HELLADS は、米国国防高等研究計画局(DARPA)のプロジェクトであり、飛来する砲弾やロケット弾、迫撃砲弾を撃ち落とす高エナジーレーザー指向性エナジー兵器システムの有効性を実証することに重点を置いていた。HELLADS/アベンジャーの実証実験が実際に実施されたかどうかは不明だ。

レーザー兵器を装備したアベンジャーを描いた、ジェネラル・アトミックス社が以前公開したレンダリング画像。General Atomics

また、米国ミサイル防衛局(MDA)が 2010 年代後半に ロッキード・マーティンを採用し、高高度で長距離飛行が可能な無人機が搭載し、敵の弾道ミサイルが脆弱な打ち上げ段階で撃墜するためのレーザー指向性エナジー兵器の実証を行ったことも注目に値する。2020年までに、MDAはこの構想に触れなくなった。その理由として、重大な技術的障害を挙げている。ロッキード・マーティンは、HELLADSをはじめ、その他の米軍のレーザー兵器プログラムにも関与していた。MDAは2010年代後半、ジェネラル・アトミックスのMQ-9に、特殊なセンサータレットを機首前部に取り付けて試験を行った。これは弾道ミサイルの発見と追跡を目的としたものだ。

MDAの実験用 MQ-9。機首前部にセンサータレットが搭載されている。 MDA

ジェネラル・アトミックスは、海軍連盟の「Sea Air Space 2025」会議で、MQ-9 リーパーシリーズドローンやその他の航空機にも搭載可能な、ポッド型指向性エナジーレーザー兵器の新コンセプトを4月発表した。当時同社は、このポッドが飛来する長距離ワンウェイ攻撃ドローンを撃墜する手段としての潜在価値を強くアピールした

レイセオンノースロップ・グラマン、ボーイング含む米国企業も、長年にわたりレーザー兵器(航空機搭載型を含む)の研究開発を進めてきた。2022年には、ノースロップ・グラマン子会社のスケールド・コンポジッツが製造したステルス機「モデル401 ソーン・オブ・アレス」の1機が、腹部に「サメにレーザービーム」のイラストが描かれたポッドを搭載しているのが確認されていた。このイラストは1997年のマイク・マイヤーズ主演スパイコメディオースティン・パワーズの有名なシーンを引用したものだが、真意は不明だった。

また、少なくとも過去において、米空軍は指向性エナジー兵器を、次世代航空優勢(NGAD)構想の重要な要素と位置付けていたことも指摘しておく価値がある。指向性エナジーは、幅広い取り組みを網羅するNGADにおいて見過ごされがちな側面であり、その中には、より注目度の高いF-47第六世代戦闘機CCAドローンプログラムも含まれている。

一般的に、過去数十年の技術開発により、特に固体レーザーは実用的な兵器となった。各種部品の小型化も、実用化に貢献している。米軍をはじめ、中国人民解放軍(PLA)など、世界中の軍が、さまざまなレベルのレーザー指向性エナジー兵器、特に地上ベースおよび艦載型の兵器の実戦配備に向け着実に取り組んでいる。

しかし、米軍は、特に航空分野において、指向性エナジー兵器を運用する上で直面し続けている技術的な課題を率直に語っている。2024年3月、米空軍はAC-130Jゴーストライダー砲撃機へのレーザー指向性エナジー兵器搭載飛行試験計画を中止した。わずか2か月後には、同軍が自己防衛用高エナジーレーザー実証機(SHiELD)計画が戦闘機でのシステム試験という目標を達成できず終了したこと、及び同計画の継続予定がないことを確認した

ジェネラル・アトミックスは、最近公開されたレーザー装備型アベンジャーのレンダリング画像について「現時点ではコンセプトに過ぎない」と説明しているが、同社が進めてきた実作業を反映しており、広範な世界的潮流を浮き彫りにしている。同社は明らかに、ガンビットシリーズ含むレーザー搭載ドローンの実用化が目前に迫っているとの見解を示している。■

ジョセフ・トレヴィシック

副編集長

ジョセフは2017年初頭より『The War Zone』チームの一員である。それ以前は『War Is Boring』の副編集長を務め、『Small Arms Review』『Small Arms Defense Journal』『ロイター』『We Are the Mighty』『Task & Purpose』など他媒体にも寄稿している。


MQ-20 Avenger Depicted With Laser Weapon In Its Nose A Sign Of What’s To Come

General Atomics is exploring laser armament options for drones across its portfolio, including its new Gambit family of autonomous combat aircraft.

Joseph Trevithick

Published Oct 22, 2025 1:29 PM EDT

https://www.twz.com/air/mq-20-avenger-depicted-with-laser-weapon-in-its-nose-a-sign-of-whats-to-come


2021年7月7日水曜日

中国の、つまりPLANの宇宙開発を警戒する西側世界。衛星攻撃能力の開発、宇宙ステーション建設、月有人飛行がすべて警戒の対象で、レッドカードものだ。

 

長征5ロケット

Wiki Commons photo

 

国が進める宇宙関連の動きへ米国や同盟国が懸念を示している。

 

ペンタゴン関係者は中国の対衛星(ASAT)兵器で現有衛星群が脆弱になると心配している。

 

中国は宇宙空間を軍事ドメインと位置付け、公式文書で宇宙戦、宇宙作戦で攻撃防御双方の手段を駆使し優位性を確保すると述べている。これは宇宙空間の安全を主張する Secure World Foundationが4月にまとめた報告書にある。

 

「中国は宇宙対応部隊を再編し、電子戦サイバー戦を統制する主要部隊と位置付けた」と報告書にある。しかし、「中国が宇宙空間で対抗措置をふどう活用するのか、または米国への抑止力として利用するのが目標なのか、いずれも不明だ」とある。

 

同財団のブライアン・ウィーデンは中国が新型宇宙機の初打ち上げをしたと指摘。同機の詳細は不明のまま、米空軍のX-37B宇宙機に酷似するといわれる。「中国の新型宇宙機が軌道飛行で小型衛星を放出してから軍事基地に着陸した証拠がある」

 

米国は中国の衛星SJ-17に目を光らせており、同衛星が地球静止軌道でランデブーなども行ったとウィーデンはいう。「同衛星は同じ中国の衛星二機に接近し、点検あるいは監視を展開した」

 

SJ-17が他国の衛星に接近した様子は今のところないとウィーデンは述べている。

 

脆弱な米宇宙装備が敵国の衛星から攻撃されるのを国防総省は危惧している。

 

宇宙空間での「積極防衛」手段とは「宇宙空間で別の対象を捕獲し、安全な軌道に変更させる、あるいは安全措置を行い脅威とならないようにする」のが戦略国際研究所の航空宇宙安全保障問題部長トッド・ハリソンの見解だ。

 

同研究所も宇宙兵器から軌道上の宇宙装備をどう防御するかをまとめた報告書を4月に出した。

 

同報告書ではドッキング可能で別の宇宙機を操作可能な装備が今後投入されるとある。「こうした装備があれば脅威となる衛星を攻撃したり排除できる、また機能を喪失させた衛星を捕獲したり、ハイジャックし自国用途に利用できるようになる」

 

中国が宇宙ステーションを建設する動きを示していることへも懸念が広がっている。

 

国家情報局長(DNI)室は「米情報コミュニティによる脅威評価」を毎年発表し、今年版では中国宇宙ステーションは低地球軌道LEOで2022年から2024年の間に稼働開始すると予測している。

 

中国最大級のロケット長征5Bで宇宙ステーションの最初のモジュールを5月に海南島文昌Wenchangから打ち上げた。打ち上げ機はその後予想外の大気圏再突入をし、米国等各国から地上落下すれば甚大な損害が生まれると非難された。結局、同ロケットの残骸はインド洋に落下した。

 

宇宙ステーション建設と並行し、中国は月探査も続けており、まず無人研究拠点を月表面に確保し、その後基地を構築する狙いとDNI報告書は指摘している。

 

およそ10年前に中国が新型大型ロケット長征9の開発を始めたのが判明したと国際評価戦略センターの主任研究員(アジア軍事問題)のリチャード・フィッシャーが述べている。「中国は月に多数の人員を送る計画があることを示している」

 

中国は「921」型と呼称する二番目の宇宙打ち上げ機の開発を2018年開始しているとフィッシャーは指摘した。「921型ロケットは25トンから26トンの貨物を月へ送る性能がある」「921は既存技術を応用して実現は予想より早くなり、月への人員輸送が早期に実現する可能性がある」

 

中国筋によれば921ロケットは2024年から2025年に試験を開始するとしている。(フィッシャー)

 

「月周回飛行も可能となるだろう」とし、月への有人飛行は2026年から2027年に実現すると予測している。

 

中国の地上配備指向性エナジー兵器開発も進展を見せており、将来は衛星の撃破に投入されるとSecure World Foundation は見ている。

 

四か所ないし五か所にこの装備が導入済みとウィーデンは述べた。

 

拠点は大型建屋があり、屋根が移動式の特徴ですぐわかるとウィーデンは言い、レーザー発射用のガス貯蔵に大型建屋が利用される。小型ドームを備え照準用の光学装備を備えるものもあるという。

 

判明している二か所では大学と同じ場所にあり、大気圏内の光学技術と物理を研究しているようだとウィーデンは述べた。

 

CSISがまとめた最新の宇宙関連報告書では中国のレーザー装備が対衛星作戦に投入される可能性に注意喚起している。

 

「一部は学術研究用でASAT装備とは無関係のようだが、一か所で懸念があるのは対衛星攻撃テストを展開する基地内にあり、そこにレーザー兵器が設置されているとの噂があることだ」(同報告書)

 

「指向性エナジー装備としてどこまでの性能があり、『運用可能』な状態なのか不明だが、そもそも宇宙装備への攻撃やテストの内容が公表されていない」

 

同拠点は軍事基地のようで、新疆のコーラから100キロ離れた地点にある。中国はそこで衛星攻撃技術のテストを展開したとウィーデンは述べた。

 

中国が米国の宇宙運用能力に追い付き追い越そうとしているのは、人民解放軍が宇宙作戦を今後の戦闘で不可欠の要素ととらえるためだ。中国は米国や同盟国の衛星群を狙うとDNI報告書が述べている。

 

「中国は軍事宇宙部門の技量を育成し、破壊、非破壊両面で地上配備、宇宙配備の新型対衛星兵器の配備を続けている」

 

中国は地上発射ミサイルを配備済みで、低地球軌道上の宇宙機を破壊する狙いがあるが、地上配備レーザーはLEO上の情報集衛星の精緻な光学センサーを機能停止させたり破壊する狙いがあると同報告書は指摘した。

 

また中国は地上配備光学望遠鏡やレーダーをネットワーク化することで、宇宙空間の状況把握能力を高め、宇宙物体の探知、追尾、分類付けを行っているとSecure World Foundationの報告書にある。

 

「米ロ両国同様に中国のSSAレーダーもミサイル警戒機能を担当している」「中国には自国外での追跡用の大規模なSSAネットワークはまだないが、追跡用艦船を有し、将来のセンサー設置を目指し他国と関係構築に動いている」

 

ブルッキングス研究所の安全保障戦略技術部門副代表フランク・ローズは米国が軍事作戦遂行を宇宙装備に依存する以上は潜在的勢力が今後もASAT兵器開発を続けるのを覚悟すべきだと述べている。「宇宙での課題はエスカレーションを招かずに競合を乗り切り、長期にわたり持続可能な安全を宇宙空間でどう実現するかだ」

 

その手始めとして、米国は中国、ロシアとの対話を再構築すべきとローズはみる。

 

最後の米中間の宇宙をめぐる政策対話は2016年で、宇宙安全保障に関し中国との対話が必要だというのがローズの主張だ。「バイデン政権の優先事項になる」

 

敵性国家は対衛星兵器を開発し、米国を非対称脆弱の立場にし、一方的な劣勢に追い込もうとするとローズは見ており、「ロシア、中国は今後も各種ASAT装備品を開発、配備していくはずだ」と言う。

 

米国の次の手は宇宙空間での競合を統制し、エスカレーションにつながるリスクを低減しつつ、宇宙デブリを発生させないよう行動規範を確立し、ランデブーや近接地点での運用を取り仕切る基準規制の確立も必要とローズは述べた。■

 

この記事は以下を再構成し人力翻訳でお送りしています。市況価格より2-3割安い翻訳をご入用の方はaviationbusiness2021@gmailまでご連絡ください。

 

China's Ambitious Space Programs Raise Red Flags

7/2/2021

By Mandy Mayfield


2021年5月6日木曜日

航空機搭載レーザー兵器の実用度はここまで進んでいる。F-3の発電容量拡大も指向性エナジー兵器搭載を想定している模様。

Stars and Stripes

 

2017年にThe Driveが入手した米空軍のプレゼン資料では第六世代戦闘機に機体内部搭載あるいは「一体型」のレーザー装備を導入するとある。

 

4月23日、空軍研究本部(AFRL)が光ファイバー方式レーザーをホワイトサンズ試射場(ニューメキシコ)で実験し、「飛翔中のミサイル数発」を撃ち落とした。

防御用高エナジーレーザー実証装置(SHIELD)は大型の地上装備だが、空軍はSHIELDをポッド搭載可能になるまで小型化が可能と楽観視しており、2021年までにF-15で試射するとし、その後F-16やF-35のような単座戦闘機に搭載するとしていた。一部にはC-17やC-130輸送機でテストを開始するとの観測もあった。

 

航空機搭載レーザーが想定通り実用化されれば、航空戦闘の姿が大きく変わる。戦闘機、爆撃機、はては給油機や輸送機で対空ミサイルからの防御能力が画期的に高まる。さらに超高速空対空、空対地攻撃兵器になり、事実上無限の発射が可能となる。

 

まず、航空レーザーの強み、短所、応用範囲を理解しよう。その後、ペンタゴンが進めているレーザー兵器か計画三点をご紹介する。

 

レーザーのドッグファイトは実現するのか

 

レーザーの兵器応用は急速に進んでおり、小火器から、戦車搭載(中国がこれを開発中)さらに地上配備あるいはヘリコプター搭載対無人機装備(米陸軍がテスト中、近接防御装備として米海軍が実用化を狙う装備まで多岐にわたる。レーザーには発射速度(光速)、ステルス、精密度とともに一回の「射撃」コストが極めて低価格になり、事実上無尽蔵の弾倉が実現する。

 

ただし、レーザーには大電力が必要で特に長距離射程でこれがあてはまり、大気状態で効力を減じることがあり、発熱量が大きく冷却装置が必要となり、最近まではかさばる電源が必要だった。

 

SHIELDは敵ミサイルを撃破すべく開発されたアクティブ防御システムの最先端装備だ。ロシアには48N6地対空ミサイルやR-37空対空ミサイルといった長距離装備があり、無防備な早期警戒機や給油機を200マイル先から狙う。第4世代機、第5世代機がレーダー探知されるのはこれよりずっと短い距離で、高機動の短距離ミサイルを回避する可能性は20-30パーセントといわれる。

 

レーザーに運動エナジー効果はないが、比較的小出力でもミサイルの光学誘導装置を妨害あるいは破壊できる。理論上は。より強力なレーザーだとミサイルの飛翔制御用フィンを破壊する、あるいは弾頭を加熱できる。地上発射レーザーで無人機を破壊した事例もある。

 

出力をさらに強力にすると敵機を狙う攻撃兵器となり、水上艦も標的になりうる。レーザーは同時にセンサー機能も発揮するので、極めて迅速な戦闘対応が実現する。

 

レーザーの破壊効果を左右する要素は射程距離や「焦がす」機能が何秒持続できるかだ。さらにレーザーが対応できるのは一回にひとつだけで、かつ敵を直線で狙う必要がある。

 

とはいえ、レーザーで弾薬数の制約がなくなり、資材や車両を相手に非殺傷で付随被害を押さえた攻撃を精密に実施できる。ここに特殊部隊が60キロワット級レーザーをAC-130Jゴーストライダー・ガンシップに搭載を進めている理由がある。

 

ステルス、非ステルスの戦闘機が制空権未確立の空域で行動する際にレーザーがあれば生存性が大幅に高まる。敵は飽和攻撃に近い形でミサイル多数の発射を迫られるだろう。

 

エナジー兵器は敵奥地に侵攻するB-2スピリットや間もなく登場するB-21といったステルス爆撃機に防御手段を実現する。B-2ではステルス性能だけが生存のカギとなっており、ミサイルが視界に入っても防御手段がない。同様に、レーザーが輸送機、給油機等の支援機材に導入されれば、こうした大型かつ脆弱な機体でもミサイル奇襲攻撃を回避する可能性が増える。

 

さらにレーザーが大規模導入されれば、ステルス戦闘機や視界外射程ミサイルの優位性が否定されることになり、敵はミサイルを多数発射して命中を狙うはずだ。過剰交戦が視界内ドッグファイトで実現し、レーザー攻撃も加われば、操縦性の高さで、あるいはおとり装置で生き残ることは困難になる。

 

LANCE とCHELSEA

 

空軍のSHIELDは総額155百万ドルの予算で開発が進み、構成要素は三つある。LANCEレーザーはロッキードが空軍研究本部と共同開発している。つぎがSTRAFE制御システムでノースロップ・グラマンが担当し、最後にレーザーポッド研究開発をボーイングが行っている。

 

初期のレーザーは不安定な化学物質を使ったが、LANCEでは光ファイバーのケーブルで光ビームをひとつにし「数万キロワット」級出力を実現する。モジュラー構造により出力規模を増減させる。エナジー効率が40パーセントと高効率が特徴だ。

 

LANCEでは高高度や高速飛行中に耐える改善がまだ必要だが、ポッド搭載可能なまで小型化できれば作動中に生まれる発熱を防ぐこともできる。F-35のブロック4性能改修ではエンジン改良で発電容量を引き上げることになっており、指向性エナジー装備搭載を念頭に置いているのだろう。

 

2019年1月にAFRLから期間6カ月で高エナジーレーザーサブシステム技術評価(CHELSEA)の公告があり、「2024年までにレーザー小型化を実現する最も有望な技術を特定する」ことを目的としていた。CHELSEAレーザーがゆくゆくSHIELDにとってかわれば、攻撃用途に道が開ける。

 

T2017年にThe Driveが入手した空軍プレゼン資料では空軍はレーザーを第6世代機の機内あるいは「一体型」として搭載するとあり、機体の空力特性を犠牲にしない方法でステルス性能も確保するとある。また、100KW級出力を実現し対空、対艦攻撃に使う展望が示されていた。

 

三番目にステルス無人機へのレーザー兵器搭載があり、敵の弾道ミサイル施設上空に滞空し、発射後の加速中ミサイルを狙う構想だ。

 

2010年初頭に空軍は改装747ジャンボジェットに化学酸素イオンレーザーを搭載し、弾道ミサイル2発を撃破する実験を行ったが、その後同事業は中止となった。理由として非ステルス機では敵空域で生存が望めないためだ。F-35で指向性エナジー兵器を搭載し、弾道ミサイル撃破に使う構想も検討されたが、同機の航続距離が短く滞空時間が限られる点が障害になると判明した。

 

ステルス無人機なら残存性とともに長時間滞空性能が実現する。2018年秋にミサイル防衛庁はロッキード・マーティン、ジェネラル・アトミックス、ボーイングの三社に契約交付し、「低出力レーザー実証機」の作成を求めた。低速飛行の無人機は目標地点まで1,900マイル移動し、高度63千フィートの楕円飛行パスで、36時間滞空後に帰還する。レーザーは140から280キロワットで30分照射可能なバッテリーを搭載する。

 

レーザー装備導入を想定するのは米空軍だけではない。仏独共同開発のFCAS、英国のテンペストの両ステルス戦闘機、ロシアのMiG-41迎撃機では指向性エナジー兵器(DEWs)の搭載を最初から想定している。さらに日本のF-3、タイフーン両機のエンジンはターボ発電機能を採用し、発電容量に余裕を持たせているのはDEWs他搭載の想定のためであろう。■