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2025年8月18日月曜日

「ビーストモード」のF-35をイスラエルが世界で初めて実戦投入した(National Security Journal)

 


F-35I Adir

F-35I アディル。画像提供:クリエイティブ・コモンズ。

– 主要ポイントと要約: 

-イスラエルは、戦闘作戦中にF-35を「ビーストモード」で運用した最初の国となった。

-イスラエル空軍のF-35I「アディル」戦闘機がガザで外部武器搭載し攻撃を実施し、搭載量は5,700ポンドから22,000ポンドに大幅に増加させた。

外部に武器を搭載したF-35のステルス性は失われたが、「ビーストモード」の戦闘デビューは、ステルス侵入機としての役割を超えた同機の汎用性を示し、 イスラエルはF-35 への信頼をさらに強固にした。

イスラエルのF-35が「ビーストモード」を発動

イスラエルが、 F-35 ライトニング II を戦闘で「ビーストモード」で使用した最初の国となったが、20年前に開発された同機が、その最大の利点である低視認性を犠牲にすることなく、戦闘で使用できることが明らかになった。

3 月の発表では、ガザで特別改造された F-35Iアディル が使用されたことを紹介し、2023 年 10 月以来 15,000 時間以上の飛行時間を記録している実績が同機へのイスラエルの信頼を反映している。

「イスラエルの『アディル』は、攻撃能力を高める外部武装構成で実戦攻撃を行った世界で唯一のF-35となった」と、イスラエル空軍は当時 X に投稿していた。

この投稿に先立ち、116飛行隊「南の獅子」のF-35I3機がネバティム空軍基地に到着していた。

イスラエルの声明は、同機の「ビーストモード」機能の戦闘効果を示した。

イスラエル空軍が「外部武装配置」の使用に言及したことは、機体が内部兵装庫(ステルス性を維持)と外部翼下パイロンに武器を装備して飛行したことを意味する。

外部に兵装装備することで、はるかに重いペイロードを運搬可能となる。

「ビーストモード」とは

ビーストモードは、2010年代後半のデモと試験に遡る。米海兵隊は2019年に外部武装を搭載した訓練攻撃を実施し、英国は同年、HMSクイーン・エリザベス艦上でF-35Bを完全に「武装状態」で公開した。オーストラリアも2021年の訓練演習でF-35Aをビーストモードで飛行させた。

ただし、いずれも戦闘出撃ではなかった。

ステルスモードでのF-35は他の戦闘機では不可能な方法で敵領域に浸透する能力で知られており、最大5,700ポンドの内部弾薬を搭載可能です。しかしビーストモードでは、その搭載量が大幅に増加し、最大22,000ポンドの内部・外部武器と弾薬を搭載できるようになる。

イスラエルがガザ攻撃で実際に使用した正確な構成は確認されていないが、空軍が公表した写真から手がかりを得られる。The War Zone によると、この写真には、 F-35I が「飛行試験センターに配属され、4 発の 2,000 ポンド級の GBU-31 JDAM を搭載」し、その武器ベイの 1 つに AIM-120 AMRAAM 空対空ミサイルを追加搭載する様子が写っている。

なぜ今、ビーストモードなのか?

では、ロッキード・マーティンがこれらの能力を発表してから数年が経過した今、なぜイスラエルが最初にこの能力を利用したのか?

ほとんどの場合、同機の運用国はF-35をステルス状態に維持している。その主な理由は、それがこの機の設計目的であるからだ。F-35は、検出を困難にすることで、高度な統合防空システムを突破するように設計されている。その機能を損なう改造を行うことは、その最も魅力的な特徴の 1 つを犠牲にするが、大量の搭載量を運搬できる機体である以上、意味がない。

また、ステルス性が要求されない場合、同様の目的を達成するには、他の航空機や、巡航ミサイルなどの長距離兵器を使用する方法の方が簡単な場合が多いのです。

イスラエルの戦闘デビューでF-35の使用されてこなかった機能が披露され、この機体がステルス突破機を超える可能性を示した。その性能は同機への信頼をさらに強化し、2030年までにアディルを75機まで拡大する計画が進行中だ。


Military Hardware: Tanks, Bombers, Submarines and More

Israel Used the F-35 Fighter In ‘Beast Mode’: Here’s What That Means

Jack Buckby

By

Jack Buckby

https://nationalsecurityjournal.org/israel-used-the-f-35-fighter-in-beast-mode-heres-what-that-means/

執筆者:Jack Buckby

ジャック・バックビーは、イギリス出身の作家、過激化対策研究者、ジャーナリストで、ニューヨークを拠点に活動しています。イギリス、ヨーロッパ、アメリカ合衆国を報道し、左派と右派の過激化を分析・理解する活動に従事し、現代の緊急課題に対する西側諸政府の対応を報告しています。彼の著作と研究論文はこれらのテーマを深く探求し、ますます分極化する社会に対する現実的な解決策を提言しています。最新著書は『The Truth Teller: RFK Jr. and the Case for a Post-Partisan Presidency』で

2025年6月20日金曜日

イスラエルのF-35は無給油でイランに到達可能に改造されていたのか?(The National Interest)—オイスラエルのことですから魔改造していたのかもしれませんが、米軍の給油機が裏で活躍していた可能性もありますね



Chat GPT


スラエルによるイラン攻撃の範囲を考慮すると、航空専門家はイスラエルのF-35の真の能力に疑問を感じている。

 イスラエルとイランの前例のない暴力の応酬は過熱する一方だ。テヘランの核関連資産を狙ったイスラエル国防軍(IDF)の最初の攻撃に続き、一触即発の砲撃が破壊に終結した。「アイアンドーム」、「アロー2/3」、「デイヴィッズ・スリング」など、イスラエルのトップクラスの防空システムは、間違いなくこの戦争で最も重要な役割を果たしている。しかし、攻撃的な空爆となると、イスラエル空軍のF-35Iアディール戦闘機が注目を集める。


イスラエルのF-35アディール

イスラエルが2010年代初頭にF-35統合打撃戦闘機を初めて入手したとき、同プラットフォームのコード開発グループ以外の国で初めて、特別に改良されたバージョンを受領した国となった。イスラエルでは「アディール」または「マイティ・ワン」と呼ばれるこの唯一無二のプラットフォームは、2017年以来運用されている。アディールをユニークにしているのは、国産の機能の数々だ。イスラエルの戦闘機には国産の電子戦システムが搭載され、同種の戦闘機と比べて優位に立っている。 さらに、アディールはイスラエル製のヘルメット装着型ディスプレイや、その他のユニークなデータ収集・処理機能を備える。

 その他のF-35ライトニングIIとは異なり、イスラエルのF-35アディールはイスラエル空軍(IAF)による外部改造が施されている。IAFは、電子戦、通信システム、ミッション・コントロール・ハードウェア、監視スイートを含むプラットフォームの高度なデジタル・アーキテクチャにアクセスできるため、F-35フリートで柔軟性が高まる。武器に関しては、アディールはターゲットに深刻なダメージを与えることができる。 各機はAIM9XサイドワインダーとAIM-120アムラーム・ミサイルを装備しており、非常に致命的である。


極秘改造は行われたのか?

最高速度と航続距離に関しては、アディールはマッハ1.6(音速の2倍)に達することができ、1,350マイル以上離れたターゲットを狙う。 しかし、イランで同機が示している性能は、イスラエル機が無給油でより長い距離を飛行できるように改造されたかのではないかとアナリストたちに推測させている。 IAFはボーイング707給油タンカーを7機しか保有していないため、イラン領内の奥深くを攻撃するアディールの能力は限られる。イスラエルによるイラン攻撃の範囲を考えれば、航空専門家がIAFのF-35の本当の能力を疑問視するのも納得がいく。イスラエル政府関係者は以前から、航続距離を伸ばすためにアディール戦闘機の改造を実施したいという意向を公言してきた。より多くの燃料タンクのような潜在的なアドオンは、これらの戦闘機がイランの奥深くで攻撃能力を維持することができた理由を説明することができる。 The Aviationist』誌が詳述しているように、2022年、イスラエル空軍は、F-35の機体が無給油でイランに到達できるようになったと主張した。■




Has Israel’s F-35 Fleet Been Modified to Reach Iran Without Refueling?

June 17, 2025

By: Maya Carlin

https://nationalinterest.org/blog/buzz/has-israels-f-35-fleet-been-modified-to-reach-iran-without-refueling


著者について マヤ・カーリン

ナショナル・インタレストの国家安全保障ライターであるマヤ・カーリンは、安全保障政策センターのアナリストでり、イスラエルのIDCヘルツリーヤの元アンナ・ソボル・レヴィ・フェローである。 The National Interest』、『Jerusalem Post』、『Times of Israel』など多くの出版物に寄稿。カーリンはここ数年、さまざまな防衛問題について1,000本以上の記事を発表している。


2025年3月19日水曜日

イスラエルのF-35が「ビーストモード」を実戦で初使用(The War Zone)

 Israel has confirmed that its F-35 stealth fighters have flown airstrikes using external ordnance. The F-35’s so-called ‘beast mode,’ featuring heavier loads on underwing pylons, is well known by now, but as far as is known, has not been called upon operationally by any other countries. Meanwhile, Israel’s unique F-35I fleet — locally known as the “Adir” (Hebrew for mighty) — which features various local modifications, has frequently been at the forefront of demonstrating new capabilities.  

イスラエル空軍



F-35Iの中東での「数千回の出撃」には、外部攻撃ストアの初の実戦使用も含まれている

スラエルのF-35ステルス戦闘機が外部搭載兵器を使用して空爆を行った。 F-35のいわゆる "ビースト・モード "は、主翼下のパイロンに大量の兵装を搭載するが、知られている限りでは、他国で運用上の実績はない。一方、イスラエル独自のF-35I(現地では「アディール」(ヘブライ語で強大なという意味)と呼ばれ、現地で改良が加えられている)は、新機能のデモンストレーションで最前線にたび投入されている。

イスラエル空軍は、ソーシャルメディア「X」投稿でこの進展を発表したイスラエルのアディール航空機が攻撃能力を高めた外部武装構成で作戦攻撃を実施した世界で唯一の航空機となった

 先週木曜日にイスラエル空軍のF-35Iがネヴァティム基地に到着し、"南のライオン "116飛行隊に加わると発表した投稿に続くものだった。

 イスラエル空軍は別の投稿で、2023年10月に中東で最新の戦争が勃発して以来、同軍のF-35Iは15,000時間以上飛行し、"すべての戦場で数千回の出撃 "に参加したと述べている。

 最も興味をそそられるのは、紛争中、イスラエルはF-35I用の新しい外部統合直接攻撃弾(JDAM)能力の開発に積極的に取り組んでいたという記述だ。

 「戦時中、飛行試験センター(FTC)はロッキード・マーチンおよび国防総省のF-35プログラムと協力して、同機主翼にJDAMを搭載する新しい能力を開発した」とイスラエル空軍は述べている。

 F-35が4本の主翼下パイロンにJDAMを含む攻撃兵器を搭載できるようになったのは、新しい進展ではないが、イスラエルでの運用許可が緊急要件として早められたということかもしれない。また、イスラエルの "ビースト・モード"が、他国の試験で実証されたベースライン・スタンダードと異なっている可能性もある。


カリフォーニア州エドワーズ空軍基地で、4発のGBU-31 JDAMを外付けした試験中のF-35A試験機。ロッキード・マーティン撮影:ダリン・ラッセル Darin Russell

 とはいえイスラエル空軍は、戦闘で「ビーストモード」を使用した最初のF-35オペレーターになった。

 イスラエル空軍がXに公開した写真には、飛行テストセンターに配属されたF-35Iが、外付けの2,000ポンド級GBU-31 JDAMを4発搭載している様子が写っている。内部兵装庫にはAIM-120 AMRAAM空対空ミサイルが1発見える。左側兵装庫に見える搭載物は不明だが、このような兵器テスト・ミッションでは、何らかのテレメトリー・ポッドを搭載するのは非常に理にかなっている。また、機首下の電気光学照準システム(EOTS)フェアリングが空白になっているのも注目に値する。

2021年のガザ危機の際、イスラエル空軍のF-16に搭載されたGBU-31 JDAM。 イスラエル空軍

 F-35Iに新たな能力を追加することに関しては、2020年に同国に到着したステルス戦闘機のユニークな試験機が提供されたことによって助けられた。この機体は、武器の試験、エイビオニクスの統合、機体の改造と試験など、イスラエル固有の装備を実用化する役割を担っている。


 F-35Iは2023年10月以来、広範囲に戦闘行動に投入されているが、どのような特定の攻撃任務で外部攻撃用ストアを利用したのかも明らかではない。ガザやレバノンの標的への空襲に参加し、イエメンでイランが支援するフーシ派武装勢力やイランに対する長距離攻撃にも参加している。ただし、イラン攻撃におけるアディールの正確な役割は不明確で、ステルス戦闘機がイラン領空に侵入したという主張もある。

 アディールはフーシの巡航ミサイルなどに対する防空任務にも使用されている。

 今回の紛争では、F-35Iが内部兵器だけでなく外部兵器の搭載にも使用されていることが以前から指摘されていた。

 例えば昨年8月、イスラエル国防省はレバノン上空での任務中とされる、タンカーから給油するF-35Iを映したビデオを公開した。この戦闘機には、(内側のハードポイントに)1対の翼下パイロンが装備されているのは明らかだが、少なくともこの出撃の段階では、このパイロンには装備は搭載されていなかった。

 イスラエルにとって、F-35の「ビースト・モード」は重要である。

 外部搭載は、大きなペイロードを提供する代わりに、F-35の貴重なステルス特性を損なう。だがイスラエル空軍が飛行する多くの種類の任務、特に意味のある防空能力をほとんど持たない相手に対しては、このようなトレードオフは完全に理にかなっている。

 紛争が多発する空域で標的を攻撃する場合、イスラエル空軍はスタンドオフ兵器の使用を好み、有人航空機を防空システムの射程圏外に置く。このようなシナリオでは、F-35の低観測能力はそれほど重要ではなく、武器搭載量の増加を優先する議論もありえる。

 しかし現段階では、スタンドオフ兵器がアディールに統合されたかは不明だ。JDAMは無動力だが、ある程度のスタンドオフ射程を提供し、一般的な高速ジェット機の速度と高度から発射すれば、最大約15マイル離れた標的を攻撃することができる。

 また、イスラエルはF-35Iの航続距離を延ばす手段を開発したと伝えられており、空中給油なしでイランの標的を攻撃するのに十分な航続距離を提供すると言われていることも注目に値する。

 F-35Iがどのようにして航続距離を伸ばしたかは不明だが、最も可能性が高いのは、ドロップタンクの燃料を追加することだろう。その他の選択肢としては、ある種のコンフォーマル型、フラッシュマウント型の燃料タンク、あるいは武器格納庫内に燃料タンクを搭載する方法があるかもしれない。F-35Iの内部搭載容量の一部または全部を燃料に振り向け、タンカー支援なしで長期耐久ミッションを行う場合、外部パイロンに兵器を搭載する必要性が高まるだろう。

イギリスの「ビースト・モード」-HMSクイーン・エリザベスの甲板上でのフル装備のF-35B。その武装には、主翼下に4発のペイブウェイIV精密誘導爆弾が含まれている。 Crown Copyright


 今のところ、F-35Iの航続距離延長に関する詳細は不明だが、F-35Bの主翼下パイロンが戦闘で実証されたことで、JDAMを超える武器が登場するかもしれない。

 イスラエル製の武器や、移動標的の攻撃に理想的なレーザー誘導精密弾も含まれる可能性がある。

 過去にイスラエルのメディアは、F-35Iが「1トン爆弾」を搭載できるように改良されたと報じていたる。これは、米国製のGBU-24ペーブウェイ・レーザー誘導爆弾やGBU-31 JDAMとほぼ同じクラスになる。 しかし、GBU-31と同様、ラファエル・アドバンスト・ウェポン・システムズが開発したイスラエル製新兵器も、F-35のレーダー探知に影響を与えることなく、機内に搭載可能だ。

 もうひとつの選択肢は、地上発射の長距離砲兵誘導ロケット弾(EXTRA)を空中発射するランペイジ・ミサイルである。


ランペイジ・ミサイルで武装したイスラエル空軍のF-16。 イスラエル国防省

 ランペイジは、発射機へのリスクを軽減するため、かなりのスタンドオフ射程を提供し、イスラエル空軍の航空発射弾道ミサイルやその他類似の航空弾薬の武器庫の一部として、ここ数カ月、特にイランの標的への報復攻撃やレバノンでの空爆において、その重要性が急激にクローズアップされている。

 一方、イスラエル空軍は、F-35の空対空兵装搭載量を増やすために、AMRAAM(あるいは他のミサイルの可能性もある)を外部パイロンに搭載する選択肢も検討するかもしれない。

F-35A/Cの武器ステーション容量。 F-35 JPO

 本誌は以前、ステルスモードで飛ぶF-35が、後方の非ステルス「ビーストモード」構成のF-35からの要求に応じてミサイルを呼び出す運用の価値を検討した。F-35AおよびF-35Cには、サイドキックとして知られるミサイル6発を内蔵する計画があるが、現時点では4発に制限されている。イスラエルのF-35Iはすでに無人機や巡航ミサイルの撃破を任務としているため、より多くの空対空ミサイルを搭載し脅威多数に対処するという選択肢は興味深いものがある。

 イスラエルは繰り返し、F-35フリートを戦闘作戦にさらす意欲を示してきた。イスラエルは2018年5月、同機を攻撃作戦に使用する最初のオペレーターになったと発表し、それ以来、イラン無人機に対する空中戦でも成功を収めている。

 今のところ、F-35の「ビースト・モード」で外部兵器を使用した空爆が初めて確認された事例がイスラエル空軍のアディールにおける最新のマイルストーンとなった。■


Israeli F-35s First To Use ‘Beast Mode’ In Combat

The “thousands of sorties” flown by Israeli F-35Is in the latest Middle East conflicts have included the first combat use of external offensive stores.

Thomas Newdick


https://www.twz.com/air/israeli-f-35s-first-to-use-beast-mode-in-combat




2022年3月9日水曜日

イスラエルが世界初のF-35による空中標的撃墜事例を公表。対象はイラン無人機編隊。ただし、昨年3月に行っていた。今になって発表したのはイラン核交渉を横目ににらんでか。

 Israel F-35I Intercept Iran DroneIAF

スラエルのF-35Iステルス戦闘機が初の交戦でイラン無人機二機を撃墜したと同国が発表した。無人機はイスラエルに接近する途中で、撃墜は昨年のことという。F-35が空中で脅威対象を撃破したのは初めてで、イスラエルが同機運用を迅速に拡大する中での展開となった。同国では同機は「アディール」(強者)と呼ばれる。今回の事件は高額なハイエンド戦闘機やミサイル装備に対し低価格だが普及進む無人機の対照をあらためて浮き彫りにした結果となった。

イスラエル国防軍(IDF)からは映像も公開されており、無人機の一機が攻撃を受けている様子をF-35Iが撮影した。映像が同機の電子光学標的捕捉装備(EOTS)あるいはヘルメット装着のディスプレイで撮影されたものか不明だが、F-35が実戦に投入されたのを見るのは今回が初めてだ。

事件は昨年3月に発生していたが、IDFは昨日に詳細を発表した。その説明によれば、イスラエル空軍(IAF)のF-35I編隊がイラン無人機二機を迎撃し、「イスラエル到達前の」「イスラエルから遠隔地で」両機を撃墜したとある。

無人機の撃墜地点は不明だが、IDFでは迎撃は「周辺国との連携の下で行い、イスラエルへの無人機侵入を防いだ」としている。無人機編隊はイラクあるいはシリアに展開するイラン代理勢力が発進させ、ヨルダン上空を通過したのではないか。IDFは同様の事態が以前にもあったことを認めている。

報道を総合すると無人機2機はともにF-35Iに撃墜されたが、残る無人機は電子戦装備で撃墜された。無人機編隊は終始、イスラエルの地上部隊が追尾していた。

無人機はガザ回廊へ武器を運搬していたとIDFは発表し、パレスチナで活動するハマス集団への搬送を狙っていたとする。ハマスはイランの多大な支援を受けている。

IDF

IDF

IDF

IDFは撃墜した機体をシャヘドShahed-197としているが、これまで未知の機種名称だ。映像で分かる範囲ではシャヘド-161ファミリー全翼機無人装備と関係があるようだ。イランは米RQ-170センティネルをもとに同無人機を製造したといわれるが、機体は米製より相当小型でプロペラ推進であることが映像でわかる。

発表を受けて国防相ベニー・ガンツBenny Gantzは「イランの侵略はイラン国内あるいはイラン代理勢力を通じてを問わず、世界の平和や地域内安定への脅威であることをあらためて教えてくれる。当然ながらイスラエル国にも脅威である」との談話を発表した。

撃墜の二ヶ月後にイスラエルはGuardian of the Walls作戦を展開し、ガザ回廊のハマス拠点攻撃を行った。

他方で2018年2月にはシリア国内でイラン軍がイスラエルに向け武装無人機を発進させ、イスラエル首相ベンジャミン・ネタニヤフ他はこれを攻撃用途と認識し,IAFのAH-64アパッチヘリコプターにより撃墜したが、この際の反撃でIAFはF-16Iの1機が撃墜され、F-15にも損傷が発生した。

今になってF-35Iによる無人機撃墜を公表した意図は不明だが、ウィーンでのイラン核交渉と関連があるのかもしれない。交渉ではイラン向け制裁の解除が論点といわれる。

同時に、上記の事件や、イスラエルがらみの攻撃に無人装備が使用されている中で、イラン無人機の潜在的脅威が、最近より鮮明になっている。昨年7月にオマーン沖で発生した、リベリア船籍イスラエル運航のタンカー「M/T Mercer Street」への無人機による襲撃攻撃で死亡者が出たのも一例だ。米中央軍は、この攻撃に「イランが積極的に関与した」と断定した。

特に中東で、小型無人機の脅威が高まっている。しかし、域内の各軍が比較的低価格の無人機を標的にハイエンド装備を使用している状況が改めて注目されている。

サウジアラビアはこれまで、フーシ派が運用する無人機の脅威に対し、AIM-120高性能中距離空対空ミサイル(AMRAAM)で対処してきた。米空軍のAIM-120Cの調達単価は約100万ドルと予想され、それに加え航空機取得、メンテナンス、訓練、基本的なランニングコストなど、その他費用もある。昨年末には毎週10発近い弾道ミサイルや無人機による攻撃に直面していたサウジアラビアにとって相当の出費となる。

イスラエルのF-35Iがイランの無人機2機の撃墜にどの武器を使用したかは分からないが、同型機もAMRAAMと短距離ミサイルAIM-9Xサイドワインダーを装備しており、後者の米空軍調達価格は約47万5000ドルである。しかし、小型無人機の発する熱信号は限られるため、ような赤外線誘導ミサイルAIM-9では、AIM-120含むレーダー誘導兵器と比較して、撃墜の信頼性が低いと考えられる。

F-35Iについては、イスラエルでの戦闘記録に、空中戦での撃墜成功が追加された。この事件は、IAFが同ステルス機を地上攻撃だけでなく、空中交戦にも使用する意向を強めていることを示唆している。イスラエルはF-35の実用化で最前線に立っており、2018年5月には、攻撃作戦に同機を使用する初の国になったと発表している。

イスラエルはF-35Iを50機購入しており、さらに25機を追加する可能性がある。期待されていたF-15戦闘機の追加発注が実現しないため、F-35Iは今後数十年にわたりイスラエル航空戦力の最前線に立つことになりそうだ。国境を越え優先度の高いターゲットを攻撃できるユニークなステルス攻撃機としてだけでなく、昨年3月の事件で、ハイエンドの同機がイスラエル領を脅かす無人機の撃墜にも今後も動員されそうだ。■

Israel Shows The F-35's First Aerial Kill In Newly Declassified Video

The incident involved an Iranian flying-wing drone carrying small arms to Hamas fighters over a very long distance.

BY THOMAS NEWDICK MARCH 7, 2022

 


2019年7月24日水曜日

これでは勝てない。イスラエルF-35を探知できず偵察飛行を許したイランの大失態



Israeli Air Force's F-35 Stealth Fighter Went Into Iran's Airspace: Report イスラエル空軍F-35がイラン上空を探知されず飛行していた


July 22, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: IranMilitaryTechnologyWorldF-35Stealth


ラン・イスラム共和国空軍(IRIAF)司令官ファザド・イスマイリ准将が最高指導者アリ・ハメネイにより罷免された。イスラエル空軍(IAF)のF-35がイラン領空を侵犯した事実を秘密にしていたのがその理由とクウェイトの日刊紙アル-ジャリーダが報じている。

侵犯は2018年3月のことだった。同紙によればイラン軍高官によれば報道が出て革命防衛隊や情報省がハメネイの直接の指示で調査を始めた。

同紙の調べでは「IAFのF-35『アディール』編隊がイラン領空に侵入しテヘラン、カラジラーク、イスファハン、シラーズ、バンダルアバス各都市の上空を旋回しイランの防空体制を写真撮影した」。

取材源の一つはイラン防空体制はロシア製レーダーも含め戦闘機隊の侵入退出をともに探知できなかったといい、イスマイリはこの事実を最高指導者から隠し、自身の失態が明るみに出ないようにした。だがイラン情報機関がイスラエル空軍の動きを発見し、探知されずにイラン軍基地を先制攻撃する作戦の予行演習と判断し、極秘軍事基地を写真撮影され、ロシア製S-300ミサイル装備のレーダー探知を逃れていたとわかった。

アル・ジャリーダによればイラン情報部はイスラエル戦闘機部隊がイランの地下基地複数の写真撮影にも成功したとの極秘情報を得たという。ハメネイはその情報を得てロシアとイスラエル間の協力を疑い、ロシアがイスラエルにレーダーの秘密コードを事前に渡したと信じたという。

ハメネイは5月29日に空軍司令官を更迭し、副官のアリレザ・サバヒ-ファルド将軍が後釜に座った。

イスラエルは米国外で初のF-35取得国で現在75機を発注している。

当時は米空軍の取得価格より相当高いためイスラエルでF-35調達へ批判の声が上がったが、イスラエル空軍の要求性能水準に合うよう国産装備が搭載されているため当然とも言える。

だがリーバーマン前国防相の説明では「F-35飛行隊は究極の技術の結晶でありイスラエル国防軍(IDF)を助け、イスラエルの直面する安全保障上の課題を解決する手段だ。イスラエル国民の安全を守る中心となり、国境線を超えた先まで守備範囲とする」とあった。

イスラエルへの軍事援助で米国にまさる国はない。米国は年間40億ドル規模となっており、米国の法制上でイスラエルが中東での軍事優勢を維持することを必要条件としている。

イスラエル発注のF-35は全機A型を原型とし、F-35Iアディール(強者)とイスラエルが制式名称をつけ、IAFのゴールデンイーグル飛行隊が同国中部のネヴァティム航空基地から運用している。
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なお、イスラエルは2018年5月に同機を世界で先駆け実戦投入している。■

This article by Dario Leone originally appeared on The Aviation Geek Club in 2019.

コメント 実戦になればイランは手も足も出ないことになります。それにしても都合の悪い事実を隠すこと、嘘を付くことがイランの常套手段なのでしょうか。これでは成功からは程遠いですし、核兵器開発はしないという最高指導者の言葉も信用できませんね

2017年12月7日木曜日

イスラエルのF-35が実戦化、受領から一年未満で

イスラエルの対応、準備態勢は日本も大いに参考にすべきでしょう。

F-35投入で当面は周辺国に対する優位性を確保できるとの自信が見えてきますが、

イスラエルだけの特殊装備を加えたF-35Iはいろいろとこれから進化していくので

しょうね。では日本は?


Israel declares F-35s ready for operations

イスラエルがF-35の実戦化を宣言


スラエル空軍は導入済み9機のF-35の初期作戦能力獲得を12月6日、宣言した。
  1. イスラエル国防軍は同日付声明でF-35の作戦能力獲得は米国除けば同国だけだと述べ、「戦略作戦能力を増強」させ「あらゆるシナリオと想定で」即応態勢が向上すると述べた。
  2. 今回の初期作戦能力獲得はイスラエル軍とロッキード・マーティンがかねてから計画していたものだが、今週初めにイスラエル軍がシリアで72時間にわたり複数地点を空爆した後の発表になった。シリアがイスラエル機に地対空ミサイルを発射した後の対応となった。
  3. イスラエルはF-35がこのシリア攻撃に参加したのか肯定も否定もしていない。ただしイスラエルはシリア国内にイランが恒久的プレゼンスを置くことは阻止すると述べている。エルサレム・ポスト紙主催の談話会でベンジャミン・ネタニヤフ首相は喫緊の課題は「シリアをイランに渡さないこと」と述べ、加えた。「真剣にこれを実行する」
  4. イスラエル空軍隊員全員にむけ訓示で空軍司令官アミカム・ノーキン少将Maj. Gen. Amikam NorkinはF-35の初期作戦能力宣言は「各方面で動的になっている中東でIAFが活動を展開する中で実現した。たえず変化し続ける複雑な課題に高品位かつプロの空軍力で対応する。そこでF-35の実戦化はイスラエル航空宇宙軍の実力をさらに引き上げることになる」と述べている。
  5. イスラエル空軍前司令官のイド・ネフシュタン少将 Maj. General Ido Nehushtanは記者に第五世代機は「他では得られない戦略的優位性を我が国に与えてくれる。抑止効果と作戦能力の双方で」と述べている。同少将がF-35調達を決めた。
  6. ネフシュタン少将によればイスラエル軍はF-35に「イスラエル独特の装備」を搭載したうえでネットワーク接続しイスラエル航空戦力全体の底上げに努めているという。「中東でこうした特別の戦力が実現することの利点は多い。F-35を空軍全体の能力向上に寄与させイスラエルが直面する課題にこたえていく」
  7. F-35をイラン攻撃の主役に据えるのかとの問いにネフシュタン少将は「イスラエルが自衛権を行使する必要があると判断すればF-35の役割はまちがいなく中心となる」と述べた。
  8. ただしイラン含む周辺国の2015年核合意を遵守する意味で、少将は近い将来にイスラエルが軍事力を行使する可能性はないと述べた。「合意でイランは短期的には核兵器を保有できなくなった。だが長期的には合意に穴があるのは確かだ。とはいえ国際合意は有効で攻撃がすぐにでもあるわけではない」
  9. イスラエルはF-35を50機調達する契約をしており、さらに25機を今後追加調達する。■