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2018年5月17日木曜日

そして豪潜水艦選定の決め手は国内産業維持に向けたフランス流の美辞麗句だった

なるほど選定の決め手は潜水艦そのものよりも弱体化を恐れるオーストラリア産業基盤の強化にあったわけですか。(オーストラリアではすでに自動車産業は全部撤退していると記憶)しかしこれは防衛上は禍根を残す決定になりそうですね。一方で、産業政策はお手の物だったはずの日本ですが、そうりゅう級売込みではフランスほど踏み込んだ構想を提示できなかったようですね。この事案から日本が何を学んだかが次回問われそうですね。

Australian government releases Naval Group submarine industry plan Naval Groupによる潜水艦産業構想を豪政府が公表

オーストラリア政府が次世代潜水艦建造に関連した国内産業基盤整備構想を公表した。同国はショートフィン・バラクーダ級潜水艦12隻の建造を狙っている。Source: Naval Group

Jon Grevatt, Bangkok - IHS Jane's Defence Industry
13 May 2018
この記事のポイント
  • フランス造船企業からオーストラリア国内に「オーストラリア主権のもとかつ長期にわたる」産業基盤を構築すると提案
  • 事業案は技術移転、雇用創出、輸出、運用訓練を想定


ーストラリア政府がフランス造船企業Naval Groupが提出した次世代潜水艦12隻の王立オーストラリア海軍(RAN)向け建造計画案を公表した。

これまでは極秘扱いだったが、野党政治家レックス・パトリック上院議員に対抗する形で国防相マリーズ・ペインMarise Payneが5月10日に公表した。同議員は総額500億オーストラリアドル(380億米ドル)の同事業にもかかわらず政府が現地参画を強く求めていないと批判していた。

Naval Group(旧DCNS)が選定されたのは2016年のことでバラクーダ級攻撃型原子力潜水艦を通常動力に改造する構想だ。オーストラリア産業界向け構想(AIP)を発表したペイン国防相は今回発表の文書が出てきたことが同社選定に繋がったことを明らかにした。

AIP原案は2015年11月の日付で60ページにわたりるが一部は検閲で消されている。Naval Group は「DCNSのめざすものはオーストラリア国営かつ長期にわたる産業基盤をオーストラリア向け次世代潜水艦建造事業を通じて実現し同潜水艦の供用期間を通じて革新的な解決方法を提供していくこと」と記している。

同社はさらに「DCNSは知識移転戦略を行使し、知識を目的に応じて活用しながらイノヴェーションをはぐくむ環境を通じ艦システムを統合し、戦闘システムを統合することでオーストラリア産業基盤が艦の性能をあますことなく実現し、将来型潜水艦建造運用を同国主権のもと長期にわたり維持できるようにする」とも述べている。■

2016年6月16日木曜日

★★オーストラリア潜水艦問題>フランス案採択の背景には深い理由があった。日本側関係者には冷静に読んでもらいたいです。



いまさらと思われるかもしれませんが、再びオーストラリアの潜水艦建造競争入札結果の分析です。こうしてみるとオーストラリアが狙う方向性に近い内容だったのはフランス案とわかります。日本では採用されて当然と見る向きが多かったのはやはりインテリジェンス不足ですね。官民挙げて積極的に営業しなかったのはこうした背景が事前にわかっていたからでしょうか。そんなことはないですよね。SSBNとSSNは違うという向きもありましょうが、原子力潜水艦のような大型艦の知見は残念ながら日本にありません。日本技術の優位性というのも一定の条件で成立しているのであり、なんでも日本が優秀と信じるのはあまりにも子供じみていることが分かります。


Lethal Alliance Under the Sea: Why France Is Helping Australia Build Attack Subs

June 15, 2016

4月26日の晴れ晴れしい発表でアデレードでの潜水艦12隻建造が決まったが、その後は沈黙が続いている。オーストラリア国防省は今は急いで進めるつもりがなく、同国史上最大の建艦事業は国政選挙後に活発になるようだ。詳細設計の契約交渉は中断したままで当面進展しそうにない。一方で国防省によれば選定業者フランスのDCNSと作業部会を編成中で、科学技術を軸に人選するという。
  1. DCNSを採用した選定結果には異論もあった、特に選定過程にドイツTKMSは不快感を覚えたといわれ、競合評価作業(CEP)は最初から原子力潜水艦に誘導するシナリオだったと見ている。日本はそこまではっきりと言っていないが日本政府が心象を害したのは疑いなく、2013年にトニー・アボット前首相が示した導入願望は何だったのかと思っているはずだが、その後はこの話題を避けているようだ。
  2. DCNS選定には理由がいくつかあるが、決め手は高度潜水艦技術の入手だったようだ。CEPでは狙いは高性能潜水艦設計でオーストラリア国内技術の蓄積に役立つ協力先を選定することで、特定の艦艇の選定ではない。DCNSの知見の背景にはフランス海軍のDGA装備品開発総局や軍事研究部門があり、内容の濃い技術蓄積がある。
  3. フランスがドイツ、日本に対して優位な技術がある。それは14千トンにもなる大型SSBNの推進力問題の解決実績だ。オーストラリアが企画する4,500トン潜水艦をすべての速度域で静かに推進させるのは容易ではない。ドイツと日本は通常型のプロペラ推進を提案したが、フランスは英米と同様にポンプジェット方式推進器を原子力潜水艦で搭載する方向に向かっており、ポンプジェットあるいはプロパルサー推進器技術を提案した。
  4. プロペラは高速でキャビテーションを発生しやすい。プロペラブレイド末端の海水が強力な圧力で沸騰する現象で特徴のあるノイズを発生し敵のソナーで探知される。通常型推進の潜水艦は大半の時間を低速航行や基地内で過ごすのでプロペラもプロパルサーも音響面で相違は生まないが、、危機状態では高速航行が必要となる。最高速度まで加速を静かに行い、同時に方向や深度も変えることで大型潜水艦は危険な状況を乗り切ることができ、これが最大の強みになっている。
  5. 大型潜水艦向けにはプロペラ技術では限界がありDCNSがは機密度が高い原子力潜水艦技術の流用で大きく有利になった。単純に言えば、ドイツと日本は通常型潜水艦で優れた実績があるが、フランスは通常型原子力推進双方で優秀な実績があるということだ。
  6. ピーター・ジェニングス含む専門家からオーストラリアは将来原子力潜水艦に向かうのではとの意見が出ているが、どうやらこの話題が今後公に議論されそうだ。DCNSが加われば原子力潜水艦への移行は比較的容易だろう。
  7. その他フランスに有利に働いた要因がある。ドイツと日本はリチウムイオン電池を搭載する案だったが、フランスは採用を回避した。リチウムイオンへの猜疑心は米海軍も抱いており、今回の選定に大きく作用したようだ。また現行のコリンズ級にはフランス大手ハイテク企業のタレスやSagemのソナーやリング・レーザー式慣性航法装置が採用されている。各社は装備開発の目標を達成し、技術移転や再輸出まで実現している。
  8. 最後に、フランスは営業でも活発でオーストラリア海軍の要求水準の実現に向けて協力的な態度で臨んでいた。DCNSは価格設定を控えめに設定したことがこれが最終的な決め手になっている。コリンズ級潜水艦で開発段階で多額の経費を必要とすることは身に染みているためだ。
This piece first appeared in ASPI's The Strategist here.
Image: Creative Commons


2016年4月27日水曜日

★オーストラリア潜水艦建造でフランス案が採択された理由



今回の結果には驚かされましたが国内では、中国の意図が裏にあったのではとの意見(ターンブル首相は中国と近い)、面倒な国外生産にならなくてよかったという安堵の両論が見られますが、選考の仕組みを考えると中国云々を言うのはいかがなものでしょうか。むしろ艦の設計でフランス艦に米系装備を取り入れさらに通常動力化する技術上の課題、国内造船業の救済として国内生産を選択したオーストラリアが予定通りの建造ができるのか、就航したあとの作戦運用が果たしてオーストラリアが想定する広大な海域で円滑に実施できるのかがポイントになるでしょう。日本側は熱意がないと見られていたことがわかりますね。きちんとした選定がされているのがわかりますので負け惜しみはやめましょう。
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French Design Wins Australia’s Next Generation Submarine Competition

By: Mike Yeo
April 26, 2016 9:06 AM

DCNS Shortfin Barracuda Block 1A. DCNS Photo
DCNSのショートフィン・バラクーダ・ブロック1A DCNS Photo

MELBOURNE, AUSTRALIA — フランスのDCNSが注目のオーストラリア総額385億ドル相当のプロジェクトSEA1000新型潜水艦建造計画で受注に成功した。オーストラリア海軍(RAN)のコリンズ級6隻の後継艦となる12隻の建造が始まる。
  1. オーストラリアのマルコム・ターンブル首相はマライズ・ペイン防衛相と並んで発表に臨みフランスのショートフィン・バラクーダ・ブロック1A案がドイツのティッセン・クルップ・マリンシステムズ(TKMS)および三菱重工業が代表の共同事業体を破り採択されたと明らかにした。ペイン国防相は競争評価手順 Competitive Evaluation Process (CEP) に従い厳正かつ規定通りに選考したと述べた。
  2. フランスの支援の下でオーストラリアのASCが南オーストラリア州の造船所で合計12隻を建造する。同社はコリンズ級潜水艦を建造しており、現在は稼働中の各艦の補修契約を受けている。
  3. ターンブル首相は談話で選定チームはDCNS提案がオーストラリアの求める航続距離と航続性で「疑いなく」一番近い内容だと結論を出し、またセンサー性能も優秀でステルス性にも優れ、同時に「価格、日程、実施面、可動期間中の支援および「オーストラリア産業の参画度合」が優秀だったと述べた。
  4. CEPは15か月におよび、新型潜水艦調達事業を率いるグレッグ・サムット少将を主査とし退役米海軍少将スティーブン・ジョンソンが総括役となった。後者はオハイオ級後継艦となる弾道ミサイル潜水艦SSBN(X)も担当している。
  5. 選考過程は中立の立場の専門委員会が監視し、ここに元米海軍長官ドナルド・ウィンター教授が入り、同時にポール・サリバン退役海軍中将およびトーマス・エクレス退役米海軍少将も加わっている。
  6. 入札参加三社にはオーストラリア国内で完全建造、海外で完全建造、海外建造と国内建造の組み合わせの三案をそれぞれ提案するよう求められた。
  7. DCNS案のショートフィン・バラクーダ・ブロック1Aはフランスのバラクーダ原子力攻撃潜水艦を通常動力にしたもので、同社は今年中にも最終設計案でオーストラリア政府の承認をうけたいとするが、実務上の話し合いの行方次第だという。
  8. 新型艦は「全長90メートル超、潜水時排水量4,000トン」とDCNSオーストラリア法人のCEOショーン・コステロは述べた。フランス提案では最新ステルス技術も完全公開するとしている。
  9. オーストラリアは米豪共同開発Mk48 Mod7共用広帯域高性能ソナーシステムCommon Broadband Advanced Sonar System (CBASS)を搭載した魚雷の運用を求めており、戦闘関連のシステムは米国製とし、ジェネラルダイナミクスのAN/BYG-1(コリンズ級で搭載)の発展形の搭載を想定している。
  10. そこでショートフィン・バラクーダ・ブロック1Aが採択されたことで多少のリスクがないわけではない。特に技術面では原子力推進を前提にした艦体に通常動力を搭載することになる。オーストラリア戦略研究所専務理事のペーター・ジェニングスはそれでも「ドイツの新型艦や日本提案にあった大幅な改修」に比べれば大した問題ではないとする。
  11. 今回の結果は日本には特に打撃だろう。安倍晋三首相は日本案に相当の力を入れて、これまでの平和主義から転じて動的な役割を安全保障や防衛面で示す政策の一部ととらえていたからだ。またオーストラリアとの戦略的なつながりを強化して中国の一層の域内拡大を抑えたいねらいもあった。
  12. ロイターによれば中谷元防衛相は今回の選定結果を「大変残念」と述べ、「オーストラリア側へは不採択理由の説明を求めていく」と発言したという。
  13. ただし外部には日本の行政官と民間防衛企業は本国政府の熱意を共有せず、フランスやドイツに比べて営業積極性に欠けていたとの評がある。多分に防衛装備の海外輸出契約の経験がないためだったのだろう。
  14. TKMSからは結果は残念だが、同社としては「誠実かつプロ意識」で行われた選考過程を尊重するとの発言が出ている。■


2016年2月4日木曜日

オーストラリアの安全保障のとらえ方・コミットメントは日本にも参考になる


最近はインド太平洋Indo-Pacificという言葉が目立ちます。安全保障、通商上の権益を考えると太平洋だけでは不十分という意識の広がりからでしょう。日本にとっても単に潜水艦の調達問題以上にオーストラリアとの安全保障意識の共有は重要です。その中でオーストラリアで国防問題に精通した前国防相の発言が出ていますので、同国の問題意識をのぞいてみましょう。

Australia Taking Long View in Defense Spending in Emerging Sub, Frigate Programs

By: John Grady
February 3, 2016 9:57 AM

Collins-class attack boats HMAS Dechaineux leads HMAS Waller and HMAS Sheean in formation in Cockburn Sound, near Rockingham Western Australia in 2013. RAN Photo
2013年、西部オーストラリアのコックバーンサウンドを通過するコリンズ級潜水艦三隻、前からHMASデシャニューDechaineux、HMASウォーラーWaller、HMASシーアンSheean RAN Photo

オーストラリア軍の装備近代化の上位項目は潜水艦、フリゲート、遠洋監視艇だと前国防相が2月2日にヘリテージ財団で講演した。
  1. ケビン・アンドリュース前国防相はワシントンDCで自由民主党政権により国防支出をGDP2%相当まで引き上げると決定されたことで10年間にわたる「長期的展望」で安全保障上の抑止効果と各国との協力体制がより効果を上げると述べた。
  2. アジアがオーストラリアの主要貿易相手先であり、「安全保障上の権益を決定する要因だ」と述べた。
  3. また新型潜水艦ではまもなく調達先をドイツ、フランス、日本から選ぶとしている。「既成の潜水艦では選択対象にならない」とし、潜水艦事業はオーストラリアにとって大型案件であり、今後10年間が事業期間となり、艦隊就役もその後20年に及ぶと指摘した。
  4. オーストラリア政府はインド・太平洋諸国が軍事装備の近代化を進めるのを横目に見ながら事業を推進していくが、特に中国の動向を意識している。アンドリュースも中国が域内で最大規模の海軍力、空軍力を保有しつつサイバー・宇宙分野でも装備を拡充していることを指摘し、「オーストラリアも静観しているわけにいかない」と発言。

Royal Australian Navy MH60R 'Romeo' Seahawk, flies past HMAS Canberra. RAN Photo
HMASキャンベラのわきを飛行するオーストラリア海軍所属のMH-60R『ロミオ」シーホーク。RAN Photo

  1. ますます自己主張を強める中国は東シナ海、南シナ海で大部分を自国領土と主張している。サンゴ礁を人工島に変換させ、米駆逐艦より大きな海洋巡視船を建造し、海洋進出の動きで野心を隠そうともしていない。
  2. 米駆逐艦が最近になり問題海域を航行したが「中国にとっては脅威と感じられない」形で人工島の近辺を航行しただけだとアンドリュースは指摘する。またオーストラリアも同海域に艦船を派遣しており、米国と同様に自国機を上空飛行させているほか、マラッカ海峡では30年にわたり監視活動を展開しているという。
  3. 「航行の自由を主張すると中国の利益にかなうことになる」とし、問題海域での領有権を巡っては平和裏に交渉すべきだと主張。
  4. アンドリュースは昨年行われたオーストラリア北部での演習に米海兵隊2,500名が参加しており、今後はダーウィン協定で海兵隊の規模は増えると紹介した。またダーウィンの軍港施設は拡張工事中でさらに大型の艦船の利用が可能になると言及。
  5. 「日本とは良好な関係にある」とアンドリュースは通商と安全保障の両面で権益を共有し、自衛隊との演習に米軍も加え実施していると紹介。インドとの関係は労働党政権で「険しくなった」が関係は改善しつつある。シンガポール、インドネシア、マレーシアとは強いつながりがあると述べた。
Three F/A-18 Hornets, Royal Australian Air Force, fly in a training mission during Red Flag 12-3 March 9, 2012. US Air Force Photo
オーストラリア空軍所属のF/A-18ホーネット三機編隊がレッドフラッグ演習で飛行中。2012年3月9日撮影。US Air Force Photo

  1. 中東ではオーストラリアはイラク政府を米国に次ぐ規模で支援しており、イスラム国との闘争を助けているという。イラクでは900名のオーストラリア軍隊員がイラク正規軍、特殊部隊の訓練にあたっており、空軍も作戦を展開している。F/A-18ホーネット・スーパーホーネット6機を派遣し、イラク・シリアで空爆を実施中であり、空中給油機、空中指揮統制機もそれぞれ1機派遣している。ただアンドリュースは空軍ミッションの三分の二は弾薬を投下せずに帰還していると推測している。目標情報が不正確なためだという。
  2. イスラム国との戦いが続くが、アンドリュースは「ラマディ奪還はモスルやラッカよりも重要度は低い」と述べた。モスルはイラク第二の都市でラッカはシリアでイスラム国が首都と称する都市である。ラマディはイラクのアンバール地方の中心都市だ。
  3. アンドリュースはインド太平洋地区の各国とオーストラリアは域内でイスラム過激主義が台頭していることを懸念していると強調した。ジャカルタで発生したテロ事件で8名が死亡したが、インドネシアが容疑者を釈放したこと、イラクやシリアから外国人戦闘員が帰国していること、さらにフィリピン南部でゲリラ活動が依然続いていることをオーストラリア政府は他国とともに注意深く観察していると述べた。■

2015年12月1日火曜日

オーストラリア新型潜水艦建造>フランスDCNSが最終提案書を提出


日本に傾いていたアボットさんの退場でチャンスが増えたと見るフランスが動いたようです。なにしろ舌先三寸で商売を勝ち残ってきた相手なので、国内の選挙しか頭にないオーストラリア政治家なら簡単に傾きそうで心配です。逆に日本側提案がどこまで技術的に優れていても政治的に美味しい内容がなければ採択されないことになりそうですね。そうなると日本側も技術以外の要素を真剣に考えないと商戦には残れないことになりませんね。

DCNS Submits Final Bid in Australian Sub Program

By Pierre Tran12:14 p.m. EST November 30, 2015
635844807305069940-DFN-France-barracuda2.png(Photo: DCNS)
PARIS — フランス艦艇建造企業DCNSは最終提案書を先週提出し、攻撃型潜水艦12隻までの調達を目指すオーストラリアのSea 1000 次世代潜水艦事業に入札し、500億オーストラリアドル(361億ドル)相当と言われる同事業に正式に参加したと同社広報が発表した。
「提案書は11月27日に提出した」と広報は述べた。DCNSの提案内容にはフランス国防省の調達部門が支援を与えている。
「提出した提案書には政府間取り決めとしてフランス国防省装備総局 Direction Générale de l’Armement (DGA)からオーストラリア政府国防省宛合意内容および提出内容の詳細記述が含まれる」.
「予定通りの提出ができ、オーストラリア政府による審査が開始されたことで一つの山を超えた」と同社は述べている。
DCNSはティッセンクルップ・マリン・システムズおよび日本の三菱重工業川崎重工業共同提案と競合する形になっている。
DCNSは同社のショートフィン・バラキューダブロック1Aディーゼル電気推進潜水艦をバラクーダ級(シュフラン級)原子力攻撃潜水艦の設計をもとに提出した。採択されれば同社は2,900名の現地雇用創出を保障しているが、オーストラリアからは地元雇用の拡大が強く求められている。
ティッセンクルップも新規雇用創出を謳っており、「2千から3千名分の雇用が生まれる」とハンス・クリストフ・アツポディエン同社工業部門担当の役員(海軍艦艇担当)がロイター通信に語っている。
DCNSはオーストラリア、フランス双方と緊密な関係にあることを強調しており、契約受注した際はこれをてこにさらに良い結果を出すとしている。
「オーストラリアとフランスは政治、作戦遂行、工業の各場面で特別な関係を共有しており、これを基礎にさらに新しい協力関係が生まれ21世紀の新しい課題に応えられる」とDCNS会長エルベ・ジローHervé Guillou が11月17日にオーストラリア潜水艦協会の会合で語っている。
「我が社提案の内容はオーストラリアとのチームワークおよび信頼醸成につきる。次世代潜水艦でオーストラリアが必要とする性能をだれが責任をもって実現するのか、双方でどう協同作業を進めるのかがないようだ。業界とオーストラリア国防省の間で、各企業のかきね、国の境界線を超えたチーム作りが肝要だ」■