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2018年3月27日火曜日

★★F/A-18ブロックIII新規生産とブロックIIからの改修でスーパーホーネットは2040年代まで活躍する。さらに「ステルス」性能も実現する見込み

とかくトランプ大統領の破天荒な発言が専門家から笑いを買っていますが、今回ばかりは正しかったという事例です。スーパーホーネットがステルス性能を一部にせよ手に入れると米海軍の航空戦力は大きく変貌しますね。また一時はいつ閉鎖になってもおかしくない状況だったF/A-18生産ラインがここにきて活況差を取り戻しそうです。あれだけ予算不足で何もできなかった米海軍が新規発注をし、一部外国発注もあるからでしょう。こうしてみると大統領の交代の影響は大きいですねおなじみAviation Weekの記事です。


Aviation Week & Space Technology

Boeing’s Next-Gen Super Hornet Will Be (Sort Of) Stealthy ボーイングの次世代スーパーホーネットは(ある程度まで)ステルスになる

米海軍はブロックIII仕様スーパーホーネットの調達を2019年度開始し24機を購入する。Credit: Boeing


Mar 22, 2018Lara Seligman | Aviation Week & Space Technology


ナルド・トランプ大統領がツイッターでボーイングのセントルイス工場視察に触れ新型F/A-18スーパーホーネットに「最新かつ最強のステルス性能が付き、その他誰も知らない装備を搭載する」と書き冷笑を買った。
だがトランプは実は正しかった。ボーイングは「ブロックIII」仕様スーパーホーネットへの移行をいよいよはじめる。次世代版F/A-18はコンピュータ処理能力を増強し、飛行距離を伸ばし、そう、ステルスを強化する。
こうした変更でスーパーホーネットはロッキード・マーティンF-35C空母運用型と肩を並べて飛ぶことになり、空母航空戦力の中心として2040年代以降まで飛ぶことになるとダン・ジリアン(ボーイングでF/A-18とEA-18を統括)は述べる。
トランプは3月14日にセントルイス工場を視察し新型改修型戦闘機を目にした。セントルイスはF/A-18の生産を1978年から続けている。
ジリアンは改良型低視認性(LO)塗装がブロックIII仕様スーパーホーネットの五大特徴の一つと説明。「ステルス機」というものの、詳細は語らない。ただし機体の場所により異なる塗料を施し機体の残存性を高めるという。
F/A-18はもともとステルス設計でなくロッキード・マーティンのF-35やF-22に見られる基本設計の特徴を欠く。だがステルス性を実現する方法はほかにもある。たとえばLO塗装やレーダー波吸収材を機体の特定場所に施すことだ。簡単な改修で「大きな成果が低コストで手に入る」とジリアンは説明。
米海軍が導入する性能強化型はボーイングの当初提案「高性能スーパーホーネット」(2013年)と異なる。ボーイングはステルスを前面に立てていた。ボーイング技術陣は同機のレーダー断面積を大幅に減らせば性能上で妥協を迫られることを突き止めた。例えばペイロードの削減だ。これをジリアンが2017年にAviation Weekに語っていた。
このためボーイングは2013年提案の一部内容を断念した。ウェポンポッドへの兵装搭載とか機内赤外線捜索追尾(IRST)センサーでこれらは最新版には見られない。
米海軍は2019年度からブロックIIIスーパーホーネット調達を開始し24機を購入する。初号機が生産ラインを離れるのは2020年の予定だ。海軍には今後5年間で110機の追加調達案があり、昨年の予算要求内容から大きな増加となる。一方で海軍は旧型ホーネットの退役を加速化するとし、最後の旧型機飛行隊はスーパーホーネットへの機種転換を2018年に完了する。F/A-18A-D型の最後の機体は2030年度までに飛行機の墓場に移動する。
ボーイングはブロックIII飛行隊を空母飛行隊ごとにひとつずつ納入していく態勢でこれを2024年に完了し、2027年には各空母でブロックIII飛行隊が二個になるとジリアンは説明。
このためボーイングは新型スーパーホーネットの生産の傍ら旧型ブロックII機材をブロックIII仕様に改修していく。ボーイングはブロックII機材の耐用年数延長改修(SLM)を4月からセントルイスで開始する。
SLMはまず飛行時間を現行の6千から9千にひきあげる。その後は機内配線をまとめたり、腐食部分を手直ししたり、ダクトを交換する。またボーイングは海軍とスーパーホーネットの環境システムを「リセット」する。これは低酸素症に似た現象が急増したことを受けてのこと。
SLMでブロックIIからブロックIIIへの完全移行は2020年代初頭に完了するとジリアンは説明。つまりLO改良、高性能コックピットシステム導入で大型画面でユーザーインターフェイスを引き上げ、コンピューターは処理能力を拡張する分散標的プロセッサーネットワーク、戦術標的ネットワーク技術に対応するデータパイプの大型化とコンフォーマル燃料タンク(CFT)がある。
このうちCFTで航続距離は100-120カイリ伸び、現在のスーパーホーネットが主翼下に吊り下げる燃料タンクは廃止する。これで重量‣抗力が減りペイロードが増える。
ボーイングは2月に219.6百万ドルでCFTの設計・開発・テスト・統合契約を受注している。その結果は新造機以外にブロックIIからブロックIIIへ改修される機体にも応用されるとジリアンは説明。
ブロックIII改修でついにIRSTセンサーが搭載されればスーパーホーネットは遠距離から敵脅威の探知追尾能力を手に入れることになる。

ジリアンはSLMの所要工期を一機あたり当初18か月と見ているが、ゆくゆく12か月に短縮したいとする。■

2018年3月22日木曜日

最新鋭攻撃型潜水艦コロラド就役、ヴァージニア級はさらに進化を続ける

ヴァージニア級はハンターキラーでありながら攻撃力を大幅につけた潜水艦なのですね。ブロック方式で進化できるのは大量建造を前提にしているからでしょうが息の長い整備計画です。中国ロシアの動きをにらみながら水中優越性を今後も維持するのは大変ですが、これが崩れると力のバランスも崩れるので官民あげてがんばっているということでしょうか。海軍長官が沿海域でも威力を発揮すると発言していますがよほどの自信があるのでしょう。ただ、東シナ海から中国沿海部にかけて活躍するには原子力潜水艦では扱いにくいと思っています。米海軍でも通常型潜水艦を復活すべきかの議論は平行線のままですが、米国も日本の潜水艦技術には注目しているはずで、日米共通の通常潜水艦部隊が生まれるといいですね。


Attack Submarine Colorado to Commission Saturday

March 16, 2018 2:37 PM

Nuclear attack boat Colorado (SSN-788) sits pierside on March 17, 2018. US Navy Photo


子力推進攻撃潜水艦USSコロラド(SSN-788) がコネチカット州ニューロンドン潜水艦基地で3月17日に就役式典を迎える。

建造は2012年開始されヴァージニア級高速攻撃潜水艦の第15号艦、ヴァージニア級のブロックIII仕様艦としては5番目となる。コロラドはコロラド州の艦名を冠する四番目の米海軍艦艇となる。

「USSコロラドは驚異の技術革新そのもので産官連携の力を示しています」と海軍長官リチャード・V・スペンサーRichard V. Spencerが報道資料で述べる。「今日の世界に必要とされる海中機材は広大な海域のみならず沿海域も含む広範な分野で優位性を示す必要があり、コロラドはわが国の権益をこれから数十年にわたり防護する艦になると自信を持っています」

 Lt. Anthony Matus uses an Xbox controller to maneuver the photonic mast aboard the USS Colorado (SSN-788). (Navy photo)
Lt. Anthony Matus uses an Xbox controller to maneuver the photonic mast aboard the USS Colorado (SSN-788). (Navy photo)


ブロックⅢでは艦首部分を再設計し大口径(87インチ)ヴァージニアペイロード発射管二本を装着し一本でトマホーク巡航ミサイル6発を運用する。対象は2008年から2013年度予算の計8隻だ。さらに3隻が建造される。

ヴァージニアペイロード発射管により建造は簡略化され調達費用が下がりながら従来の小型垂直発射管(12本)よりペイロード運用の柔軟性が高まる。ブロックIとIIの各艦が垂直発射方式を採用していた。

Artist’s conception of the redesigned Block III Virginia-class bow.



その他ブロックIIIの改良点ではこれまで空気で支えていたソナー半球を水支持型の大型開口艦首(LAB)アレイに変えたことで建造費用保守管理費用を低減させたながらパッシブ防御力が高まったと海軍は説明。

ブロックIV建造も始まっており、設計改良で各部品の稼働期間が延びる。このためブロックIV各艦の供用期間が長くなる。供用期間中に三回補修を受けて15回の展開が可能となるという。現行の実績は4:14になっている。

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海軍はジェネラルダイナミクス・エレクトリックボートに696.2百万ドルでブロックV一号艦の建造材料調達をさせるべく契約を改編するとは票。ブロックVは全長を伸ばしヴァージニアペイロードモジュール発射管4基を搭載し、トマホーク対地攻撃ミサイルを発射する。ヴァージニアペイロードモジュールはヴァージニアペイロード発射管と類似し、実証済み設計を応用することで費用とリスクを低減させる。■

2017年12月15日金曜日

米海軍ヴァージニア級の建造数増加か、今後の戦力内容は


 


The Virginia Class Submarine: The Undersea Killer Russia and China Hate

ロシア、中国が忌み嫌うヴァージニア級潜水艦
December 13, 2017


  • 米海軍は新しい分析でヴァージニア級攻撃潜水艦を現在より短期間で建造するのは「達成可能」であり、米海軍の優位性を維持するためにも必要だと見ている。
  • 分析は2017年から2030年にかけての潜水艦産業基盤と攻撃型潜水艦追加建造の可能性を検討し、2017年7月に議会提出済みだと海軍がScout Warriorに伝えてきた。
  • ヴァージニア級は年間2隻建造中だが2020年代に新型コロンビア級原子力ミサイル潜水艦の建造がはじまると年一隻になると見られている。
  • だが今回の報告書では海軍が産業界と協力すればヴァージニア級2隻、コロンビア級1隻の年間建造が可能であるとする。
  • 分析によりヴァージニア級年間二隻建造体制の維持をしながらコロンビア級SSBNの建造開始は実現可能でありSSN(攻撃型潜水艦)部隊と海軍に大きな利点が生まれることがわかったと海軍関係者がScout Worrierに語る。
  • 海軍上層部は2020年代の潜水艦不足を憂慮しており、ロシアや中国に対抗するため潜水艦の強化が必要とするが、ヴァージニア級年間二隻建造を維持すれば海軍が目標とするSSN66隻体制が実現する。また増産で潜水艦建造企業の生産能力も上方修正され年間3隻建造に道が開ける。
  • ヴァージニア級潜水艦は海軍とエレクトリックボートおよびニューポートニューズ造船の協力合意内容で建造中だ。前者はジェネラルダイナミクス、後者はハンティン・トンインガルス工業のそれぞれ関連会社、事業部だ。各社が潜水艦の「モジュール」部分を製造し一つにまとめ完成させている。
  • ヴァージニア級潜水艦は高速攻撃型でトマホークミサイル、魚雷他を搭載し各種任務にあたる。対潜戦、攻撃任務、機雷敷設、ISR(情報収集監視偵察)、対水上艦戦、特殊作戦と多様だ。
  • ロサンジェルス級はじめとする旧型攻撃型潜水艦と比べるとヴァージニア級は浅海域戦闘能力、偵察能力、大洋での作戦能力が拡大していると海軍は述べる。
  • ソフトウェアコードと電子装置の多用で、乗員による手動制御や微調整が不要となった。ヴァージニア級潜水艦は「フライバイワイヤ」機能で深度を維持できるため浅海域で浮上や深度の手動調整が不要になっており、乗員が深度速度を指定すればソフトウェアが制御操舵して深度速度を維持できるようになった。
  • また以前の艦と違い、ヴァージニア級は「ロックアウトトランク」と呼ぶ区画があり特殊部隊隊員は潜航中に発進できるようになった。
  • ヴァージニア級は「ブロック」単位で調達されている。このうちブロックIとIIの引き渡しが完了している。
  • 建造中の艦はブロックIII仕様でヴァージニアペイロードチューブ(VPM)を搭載し建造単価を下げつつ戦力を増やしている。
  • 既存艦の垂直発射管は直径21インチの12本構成でトマホークが発射可能だが、ブロックIIIは大型87インチ発射管二本で各6本のトマホークを運用する。
  • 新型発射管のねらいは低価格化だが同時に今後登場する新装備の運用も視野に入れ、トマホーク改良型や他の兵器を想定する。
  • ブロックIII艦は大型開口艦首と呼ぶ一体型アレイソナーを搭載し、音響信号を発信し戻ってくる反響で敵の位置や形状を把握する。
  • 今後建造されるヴァージニア級潜水艦(VCS)は沿海域性能、特殊部隊投入、攻撃能力が改良され21世紀の安全保障環境にふさわしい艦になると海軍は述べている。さらにブロックVは84フィートを艦体に挿入しミサイル搭載量を増加させる。これを「ヴァージニアペイロードモジュール」(VPM)と呼ぶ。
  • VPM搭載艦はヴァージニアペイロードチューブ(VPTs)を4本追加し、それぞれトマホーク7発を搭載して40本搭載にする。
  • VPMの試作がはじまっており、海軍上層部から同技術の開発導入を急ぎたいとの意向が表明されたのは攻撃能力の拡大が求められているためだ。VPMミサイル発射菅で大型無人水中機の搭載も可能となる。
  • VPMの目的は明白だ。2020年代になると大型オハイオ級誘導ミサイル潜水艦の退役が始まり、154発のトマホーク運用が可能な艦が消える。このため水中からの大量火力運用能力を喪失するからだ。
  • トマホーク搭載数の増加は2026年までに実現させ、「SSGN」オハイオ級誘導ミサイル潜水艦の退役に対応させる。
  • 2002年から2008年にかけて米海軍はオハイオ級で最古参の四隻を回想し通常型弾頭ミサイル運用に転用した。それがUSSオハイオ、USSミシガン、USSフロリダ、USSジョージアの各艦だ。これをSSGNと呼称している。■



2017年4月12日水曜日

★★★F/A-18E/FブロックIIIは何が「スーパー」なのか




Boeing Wants to Build a ‘Super’ F/A-18E/F Super Hornet

ボーイングがめざすF/A-18E/Fスーパーホーネット改良型は航続距離とセンサー能力が向上する

New hardware boosts range and sensors


Boeing Wants to Build a ‘Super’ F/A-18E/F Super Hornet
WIB AIR April 6, 2017 Dave Majumdar


  1. ボーイングが開発中のブロックIII型のF/A-18E/Fスーパーホーネットはロッキード・マーティンF-35共用打撃戦闘機を補完する存在となる。
  2. 高性能版スーパーホーネット構想ではステルスF-35並の性能がある機体としていたが、今回の改良版はそこまでの高望みはせずJSFと共同運用し、NIFC-CA海軍統合火器管制防空ネットワークと親和性が高い機体とする。
  3. 「海軍と協力し、空母航空隊のニーズを総合的にとらえ、F-35、EA-18Gグラウラー、E-2DとブロックIII機材がその答えだと考えています」とダン・ジリアン(ボーイング、F/A-18E/F 事業責任者)がNational Interestに語っている。「ブロックIIIは補完機材になります」
  4. ボーイングは前回2013年提案で取り上げたステルスを重視していないが、低視認性機能など前回の提言内容も残っている。「ステルスも結構ですがすべての場面で必要とは限りません」
An F/A-18E Super Hornet. U.S. Navy photo
  1. 新型版の大きな特徴として2013年版から変わらない内容に一体化型燃料タンクがある。3,500ポンドの燃料搭載で航続距離が伸びる。
  2. ブロックIIIではコンピュータも更新し、コックピット内ディスプレイも大画面化し、広帯域戦術標的ネットワーク技術(TTNT)データリンク、新型長波赤外線捜索追尾システム(IRST)および新型統合防御電子対抗措置のブロックIV装備を導入する。さらにブロックIIIでは機体寿命を9,000時間に延長する。
  3. このうち重要度が高いのは長距離IRST装備で、ステルス対抗センサーを組み込むとジリアンは述べる。海軍は新型ステルス機中国のJ-20やロシアPAK-FAへの対抗策として必要な装備ととらえている。ジリアンからはボーイングと海軍は赤外線センサーで従来からあった問題を解決したと述べているが詳細に触れていない。同社関係者は新型IRSTは距離データを正確に入手でき、武器使用には十分だという。
  4. ジリアンによればブロックIII機材には高性能装備がつくが、旧型機にも稼働期間延長の作業中に後付で装着可能だという。ブロックIIIの生産開始は2020年代になり、稼働中機材への後付け装備はその後になるだろう。「既存機もブロックIIIなみの性能に迅速に引き上げます」とジリアンは述べた。
  5. 海軍はブロックIIIの調達規模を決めていないが、同社は比較的迅速に増産できるという。「2020年代中頃には各空母に一個飛行隊分の新型機材を展開できるでしょう」(ジリアン)