2022年11月30日水曜日

一般公開が12月2日と迫る中、プロトタイプ機が量産型に極めて近いB-21の開発は今後の新型機開発にも影響を与えそう。

 First B-21 Raider Test Jet Aims To More Closely Mirror Production Examples

Northrop Grumman

公式発表に先立ち、ノースロップ・グラマンは、ほぼ量産型のB-21プロトタイプでテストを効率化すると自信たっぷりだ

週金曜日の新型ステルス爆撃機B-21の公開を前に興奮が高まる中、ノースロップ・グラマンの航空システム部門社長トム・ジョーンズTom Jonesは、試作機の生産型と近い設計を称賛している。米空軍にとって30年以上ぶりの新型爆撃機となるB-21には確かに多く期待が寄せられているが、ジョーンズは、この機体が今後のプログラムの取得スケジュールの短縮を達成する上で重要な役割を果たすと主張している。

Defense Newsの取材に応じたジョーンズは、2015年にB-21の開発契約を獲得したノースロップ・グラマンが、実験モデルではなく、生産仕様の爆撃機で飛行試験を行うという空軍の希望を優先させたと語っている。この包括的な目標は、今年10月に空軍調達チーフのアンドリュー・ハンターが、B-21の飛行試験に生産仕様型機を使用することで 「初飛行に向けた配当が得られる 」と説明したときにも繰り返されていた。基本的に、空軍はこの方法論により、生産仕様と異なる試験機で通常必要とする長大な試験期間が短縮できると期待している。

12月2日に公開されるB-21レイダーのレンダリング画像。 Credit: U.S. Air Force

 

テストを、未成熟のプロトタイプ機で行うと、見つかった障害がプロジェクトの開発スケジュールに悪影響を与える可能性がある。例えば、先行するB-2プログラムの6機の量産前試作機は、運用開始が決まってから運用基準に合わせるため比較的大規模改造を施さなければならなかった。他の多くの開発機材も、前線に出ることなく、多くの手直しが必要で、結局は限られた能力しか発揮できない。

1988年に初めて一般公開されたB-2スピリット。Credit: Goretexguy/Wikimedia Commons

それ以上に、これらの機体で行われる試験の忠実度は、生産仕様の後継機から大きく逸脱している場合、効果が低くなる。これはまた、後々、より生産に近い機体でより多くのテストを行うことを意味する。したがって、ジョーンズは、最終的に完成する設計とほぼ同じB-21プロトタイプを使用することで、迅速かつ効率的な調達の未来への流れを作ることができると楽観視している。

Defense Newsのインタビューで、ジョーンズは、「希望は、将来の調達の多くがこの方法で行われることです」と述べた。「空軍長官フランク・ケンドールや他の軍首脳の話を聞くと、スピードと現場への能力投入が重要であることがわかります」。

デジタル・テストは、ノースロップ・グラマンがB-21開発を通じて、B-2のように生産が短縮されないように利用している最先端技術の一つだ。競合他社と同様、同社はデジタルエンジニアリング領域に精通している。つまり、飛行試験中ではなく、仮想環境でミスを見つけ、対処することができるということです。

B-21については、デジタルエンジニアリングとフライトシミュレーションが、ノースロップグラマンが5月に行った実際の負荷較正試験と、爆撃機の風防構成を改良する際に著しく役立ったと、ジョーンズはDefense Newsに説明しています。

「今後の航空機の購入では、より忠実度の高いデジタル・モデルに依存し、製造工程への肉付けを重視することを希望しています。B-21のコンパクトな飛行試験スケジュールは、この考えに対するストレステストになるはずです」。

もしすべて計画通りに進めば、B-21は空軍がこれまで大規模生産に投入した航空機で最も先進的な航空機となる。ジョーンズはメディアに対して、構想から飛行まで、ステルス爆撃機の開発を通じて使用される技術によって、「第6世代システムの第一号」になると主張した。これには、B-21のオープンアーキテクチャーシステムの活用、ステルス性能の向上、全領域のセンサーやシューターとの接続を可能にするJADC2互換システムの追加などのブレークスルーが含まれている。

B-21開発に関してジョーンズが提供した情報の断片は、おそらく今週金曜日、カリフォルニア州パームデールの空軍42工場にあるノースロップ・グラマン施設で爆撃機が公式に発表されるまで、待機しなければならないだろう。この発表だけでも画期的なこととはいえ、同爆撃機の初飛行は来年まで行われないと予想されている。

空軍がT1(機体番号001)と呼ぶ機体に加え、さらに5機の生産前B-21が現在さまざまな組み立て段階にあり、空軍が購入予定のB-21合計100機に対して割り当てられる。最終的に何機購入されるかは正確には不明だが、国防総省の2023年度予算要求資料を見ると、空軍は2023年度から2027年度にかけてB-21機に191億ドルの支出を目指しているという。

The War Zoneは今週金曜日、B-21の公式発表に出席する。影のステルス爆撃機の物語と航空戦闘の歴史における大きな章となるであろうこの事件の報道にご期待ください。■


First B-21 Raider Test Jet Aims To More Closely Mirror Production Examples


BYEMMA HELFRICH|PUBLISHED NOV 28, 2022 7:56 PM

THE WAR ZONE


ウクライナはロシア攻勢に9カ月持ちこたえてきたが.....

 

ケルソン市の自由広場でゼレンスキー大統領の抜き打ちのケルソン訪問(11月14日)を称えた少年。(Paula Bronstein /Getty Images)


ウクライナは、西側諸国の支援を受けつつ、要求の多くを満たしているが....


 ーランドのマリウシュ・ブワシュチャク国防大臣Minister of National Defence Mariusz Błaszczakは、ワルシャワ安全保障フォーラム(WSF)開会式で、「ウクライナ人は自分たちと我々の自由のため戦っている」と述べた。「我々はウクライナをできるだけ強固にし、できるだけ早く紛争を終結させるべく努力している」。

 著名な防衛・外交政策の専門家が集まった同イベントでは、ブワシュチャックのウクライナに対する確固たる無条件支持の立場が、響き渡った。欧州の国防担当者は、プーチンは仲介による和解に真摯な関心を抱いていない、彼は、ロシアがこの紛争で勝利する見込みがないと理解するまで、敵対行為を続けるだろうというのが、予想だ。

 つまり、ウクライナ軍がロシア軍を追い出すまで、ウクライナを武装化し続けるということだ。フォーラム終了後の数週間、ロシアは大きな損失を被り続け、国防指導部はウクライナのケルソン地域から完全撤退することを公に発表した。

 元米軍欧州司令官のベン・ホッジスBen Hodgesは、各種フォーラムで、「ロシア軍の兵站は極めて悪い」「ウクライナ軍が整然と作戦を展開している」ことから、ロシアの最終的な敗北は既定路線と見てよいと発言している。

 「必要なものを提供し続ける限り、ウクライナの勝利への道は不可逆的だ」とWSFで述べた。「ロシアは止められない。今、ロシアにできることは、罪のない人々を殺害することだけだ」と述べた。

 フォーラムや関係者との会話から、ウクライナと同盟国がロシアをさらに後退させるため、そして次に来るものに備えるために、引き続き注目すべき4つの側面について広く合意が得られているようだ。


1. ウクライナ軍の革新と近代化を続ける


ウクライナ軍は、旧世代兵器を設計時と異なる方法で使用するという、これまでにない才能も発揮している。3月にベルジャンスク港で、設計から50年近く経過したOTR-21(SS-21)スカラブ/トーチカ-U弾道ミサイルとATGMを組み合わせロシアのアリゲーター級LSTを破壊したり、ウクライナ製のDKB Luch Stugna-P ATGMでロシア軍Ka-52ヘリコプターを墜落させたのは、一例にすぎない。

 8月にクリミア半島のサキ市近郊にあるネオフェドリフカのロシア空軍基地を攻撃した際に使用された兵器システムは、今も不明だ。爆発でスホイSu-24爆撃機4機、Su-30SM多機能戦闘機3機が破壊され、その他にも航空機数機が損害を受けた。

 ただし、今回の攻撃に関与した兵器のエンジニアリング作業を直接知る人物が匿名条件でBreaking Defenseに語ったところによれば、今回の攻撃も同様に、「レガシー兵器システムを改造し、(本来)設計された以外の役割で使用する」ものだったという。

 詳細は現在も不明だ。9月、ウクライナのヴァレリー・ザルジニValerii Zaluzhnyi司令官はBBCに対し、当初疑われていた破壊工作員や自爆ドローンではなく、「ウクライナのミサイル攻撃」が原因だったと語ったが、どのミサイルが使用されたかは明らかにしなかった。

 ウクライナの国産兵器は、戦前予想を超えるレベルで効果を発揮している。DKB Luchが設計し、防衛エレクトロニクス企業Radionixがシーカーと誘導システムを開発した対艦ミサイル(ASM)「Neptune」は、4月にロシア黒海艦隊の旗艦だったミサイル巡洋艦「Moskva」を沈めた。すべてウクライナで設計・製造されたASMにが軍事大国の艦艇を撃沈したのは初めてだった。

 ウクライナが今後も柔軟に資材を調達していくことが、モスクワへの反撃の原動力となることは間違いない。しかし、これが唯一の解決策のはずがない。


2022年11月15日、ウクライナのミコライフで、ケルソン州の新しい前方陣地に移動するため、旅団がミコライフとケルソン州の境界で5ヶ月以上占有していた前線陣地を解体している最中、装備を片付けながらウクライナの旗を片付ける、ウクライナ第63分離機械化旅団の隊員たち。 (Chris McGrath/Getty Images)


2. 資金提供の要望に応じる

米国はじめとする各国からウクライナに多額の軍事援助が行われているにもかかわらず、ウクライナ軍は不十分な資源で戦っていると主張する人々がいまだにいる。

 そのため、バイデン政権は「ウクライナに負けて欲しくないが、ウクライナの決定的な勝利のために四角四面になることを公言しない」という非難が生まれた。「この2つの目的は同じではない」と、ワルシャワのイベントで東欧の国防アナリストの1人が言っていた。

 アメリカン・エンタープライズ研究所のフレデリック・ケーガン Frederick Kaganは、9月にこのテーマでワシントン・ポストに語っていた。「NATO同盟国がひどい戦争に巻き込まれないように、他国に金を払っている。そう考えると、かなり冷血なやり方ではないか?」

 戦場で迅速に結果を出すため、対処が必要な明確な穴がある。

 米国と同盟国が、米国製のHIMARSロケット砲のような極めて重要な兵器をウクライナに提供しているのは事実だ。しかし、HIMARSには、最長射程のATACMS弾を含まないまま提供されている。これは、バイデン大統領が2014年オバマ政権の立場を引き継ぎ、ウクライナに 「ロシア国内の標的の攻撃能力」を望まないためだと言われている。

 アメリカはジャベリンATGMを、イギリスはサーブ・スウェーデン・イギリスNLAW ATGMを提供している。しかし、ヘルファイアミサイルで武装したボーイングアパッチ攻撃ヘリコプター(または他国が提供する同等のもの)がなければ、ウクライナは近代的な歩兵機動戦と近接航空支援で重要な組み合わせに欠ける。

 また、キーウなど大都市の防衛にはペイトリオットPAC-3のような中距離防空システムもない。ウクライナの防空担当者とサポート企業は、防空兵器の弾薬供給が問題になりつつあると、何度もBreaking Defenseに語っている。ある情報筋は、「毎回発射されてくる巡航ミサイルを撃墜するミサイルが不足している。NASAMSのようなシステムを送ってもらえれば素晴らしいが、短距離で、供給も無限ではない 」と語った。

 ウクライナ軍で最も先進的な中距離防空システムは、アルマズ・アンテイS-300の旧ソ連時代の派生型のS-300PT、S-300PS、S-300PMU、S-300V1だ。こうしたシステムの多くは、2014年のロシアによるクリミア侵攻と占領の前にオーバーホールされたが、それでもロシア軍が運用する最新版から少なくとも1世代劣る。

 これらの砲台には、9A310M1(SA-11)ブーク防空システム約60基が補充されているが、それらの部隊でも侵攻前に在庫していたロシア製ミサイルが不足しつつある。数週間前にウクライナ側から、このブーク部隊に米国製レイセオン RIM-7 Sea Sparrowを搭載し近代化する案が出されたが、この件に関する米国との会合はまだ実現していないとウクライナ業界関係者は述べている。

 ウクライナでは最近、高度な防空技術の必要性を強調する事件があった。11月15日、ポーランド東部のルブリン県プルシズフ村に2発のミサイルが落下し、ポーランド政府とNATO軍は警戒態勢に入った。当初はロシアのALCMが誤射でポーランドを攻撃したと考えられていたが、後に2発の爆発は、その日ロシア軍が発射した約100発のミサイルの一部を迎撃するため発射した旧型のウクライナ製S-300が引き起こしたと判明している。

 ウクライナ防衛企業の代表は「この事件で、戦争の瀬戸際に追い込まれた。空を覆う十分な手段がなければ、ウクライナ都市以外にも危険が及ぶ」と述べた。


3. 航空戦力

フィリップ・ブリードラブ米空軍大将Gen. Philip M. Breedlove元NATO・SACEUR司令官は、ワルシャワでの講演で、ロシア航空宇宙軍やミサイル攻撃に対するウクライナ防空軍の成功は驚異的と述べた。しかし、モスクワの航空戦力がほぼ完全に萎縮していることが、ウクライナの防衛を助けている、と指摘した。

 「侵攻前、ロシアはまだSEAD(Suppression of Enemy Air Defence航空制圧攻撃)任務を遂行するスキルを持ち、地対空設備を発見、追跡、無力化できると考えていた」とブリードラブは説明する。「これは空軍、特にアメリカ空軍が毎日練習しているスキルだ。ロシアがこの能力を持っていても、その方法を忘れてしまっていたことは明らかだ」。

 ウクライナのSAM部隊を制圧できなかったことで、「ロシア軍は今、慣れない環境とその下で活動する能力を失っている。低空飛行は、冷戦時代にアメリカ空軍が実践していたことで、ロシアのSAMを避けるため低空飛行をしなければならないと考えていた。平時の訓練でこれを行うだけでも十分難しいのに、戦時中にいきなりこれを行おうとするのは-今ロシアが強いられているように-ほとんど不可能だ」。

 さらに、「ロシア空軍のパイロットの(1ヶ月あたりの)飛行時間は非常に少ない。このため、西側空軍が決定的に重要だと考える任務を遂行できない状況にある」とブリードラブは述べた。

 完璧な世界であれば、ウクライナはこうした欠陥を利用できるが、自国空軍には最新の航空機や兵器が十分に備わっていない。ワルシャワの軍関係者は、ポーランド空軍にまだ残るMiG29を今日戦闘に投入しなければならないとしても、それは無理だろうとBreaking Defenseに語っている。これは、「ミグで使用できるミサイルやその他の兵器はすべてウクライナに輸送した」ためだ。

 ロシの空軍力に対するウクライナの奇跡に近い成功には、モスクワの最先端機を圧倒的に多く撃墜したことも含まれる。

 スホーイSu-35スーパーフランカーは、ロシアの主力機と言われているが、かなりの数が失われている。この機体は、後続のSu-27やSu-30より世代交代が進んでいると考えられていたため、モスクワがようやく輸出契約を結ぶまで、中国PLAAFから執拗に求められていた機材だ。

 ウクライナ空軍(PSU)司令官によると、Su-35はその性能とロシアの最新電子戦/自己防護装置を備えているにもかかわらず、ウクライナで2個飛行隊(24機)が失われた。VKSはSu-27派生型であるSu-34戦闘爆撃機も11機失っており、これらの損失はこれまでに製造された全機体の10パーセントに相当する。Su-34は、ロシア戦術機で最も高価な航空機と評価されている。


2022年11月14日、ウクライナのボロディヤンカで、破壊された建物の上で、柔道着を着た男を床に投げつける子供の落書きの横に立つ少女。 (Jeff J Mitchell/Getty Images)



 WSFでブリードラブ大将は、もしウクライナが米国の最新航空機と必要な訓練を受けていたら、あるいはNATOが紛争に関与していたら、ウクライナ軍はロシアの地上軍に大打撃を与えたと評価した。 具体的には、侵攻後の初期に「ロシア軍がキエフへの道で実質的に泥沼にはまり込んでいた」劇的な「機会損失」である。

「もし西側の空軍が進入してこれらの隊列を攻撃していれば、ウクライナが現在も戦っている軍の40パーセントを排除できただろう」と説明した。「1991年のイラク戦争(デザートストーム)における『死の高速道路』』レベルの敵軍破壊を考えてみてください」。

 米国とNATO同盟国は、ロシアとの紛争では、必然的に数で劣ると長い間覚悟していたと、西側の防衛アナリストの一人はWSFで説明した。そのため、西側の兵器システムは、互いに組み合わせて使用する設計で、数的劣勢を補うため、戦場で相乗効果を生み出す方法で想定されている。

 これまでウクライナに供給された兵器は素晴らしい性能だが、攻撃ヘリ、ATACMS、先進戦術機、最新の防空砲台が不足しているため、最終的にウクライナは「抜き身」の兵器庫となったと同アナリストは述べている。したがって、ウクライナ軍は、望ましい戦力増強効果を達成できていない。


4.政治的対立がこれから顕在化する

ウクライナに最新兵器多数を供給することは、現時点ではNATOにとって重要な任務であると、ワルシャワのイベントで複数の講演者が同意している。エストニアのハノ・ペフクル国防相Minister of Defence Hanno Pevkurは、「NATOがどこまで迅速に対応できるか」と述べた。

 NATO理事会が開かれると、「32カ国がテーブルを囲み、そのテーブルの人々は皆、選挙を心配しなければならないがプーチンは選挙を気にする必要はない」とペフクルは言う。だから、NATOは「いかに早く決断し、必要なときにいかに早く戦力を増強できるか」に真剣に取り組む必要がある。

 ホッジスは、WSFの別のパネルディスカッションで、同盟諸国の多くの想定より早く、「スピード感を持った」意思決定がさらに重要になる、と述べた。

 ウクライナへの支援に加え、同盟は「NATOのすべての前線国にどう備えるか」を考えなければならない。「恐ろしい殺傷戦が待ち受けており、その準備を続けなければならない」という。

 ホッジスは、モスクワ軍の最終的な敗北の結果の一つとして、ロシア連邦が多数の新しい、より小さな政治的主体に分解されると予測する軍事・外交専門家の一人だ。崩壊の兆候は、モスクワ帝国内の少数民族からなる21の領土(しばしば「自治共和国」と呼ばれる)の一部ですでに現れている。

 最近結成されたバシコルトスタン独立運動の代表者は、ウクライナ議会ラーダに訴え、ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領政権に対し、自分たちの共和国を「占領地」と認めるよう要求している。これと並行し、タタールスタンという民族の飛び地の独立を認める要請の手続きもラーダで始まっている。

 ダゲスタンやブリヤーチャでも独立運動が起きている。こうした分裂や地域不安定化は、ウクライナに派遣される人員に少数民族共和国の徴兵が偏っていることが一因だ。独立派グループの代表はニューズウィークに、「クレムリンの植民地政策の一例だ。プーチンにとって、ある少数民族を別の少数民族を征服するため派遣することは、ある意味合理的だ」と語っている。

 結局のところ、NATO諸国が上記のギャップにどう対処するかで、紛争の行方は決まるかもしれない。ウクライナ軍が占領地を奪還する過程で、戦争犯罪が次々と発覚していることが、決意を固める一助となっているかもしれない。著名なロシア学者・歴史家のスティーブン・コトキンStephen Kotkinは、このことが西側諸国の指導者の決断に及ぼす因果関係についてこう語っている。

 「ロシアが攻撃をエスカレートさせるたびに、ウクライナの士気が高まる。『ウクライナの勇気と工夫とロシアの残虐行為が、西側の結束と決意を高めることに等しい』という力学を生み出している。開戦前も始まってからも、プーチンがとったほとんどすべての行動と同じように、結果は本人の賭けと正反対になっている」。

 「ウクライナは早ければ年内にロシアを2月23日線まで押し戻し、来年にはクリミアから撤退させるだろう」とホッジスは結論づけた。「これは、我々が知っているロシア連邦の崩壊につながるプロセスの第一歩となるだろう。我々同盟側全員は、NATOの国境の反対側で非常に激しい状況になることを覚悟しておくべきだ」と結んだ。■


Ukraine held off Russia for nine months. Here's what it needs to keep going. - Breaking Defense

By   REUBEN JOHNSON

on November 18, 2022 at 6:25 AM



ペイトリオットミサイルのウクライナ供与が水面下で議論されている模様。ロシアがイラン製弾道ミサイルを投入する懸念の中で。

  

Lockheed Martin

ロシアがイラン製弾道ミサイルを投入しそうな懸念の中、ペイトリオットのウクライナ供与の議論が進んでいる

ンタゴンとNATOによると、短距離弾道ミサイルに対し比較的強固な防御能力を持つ地対空ミサイルシステム「ペイトリオット」をウクライナ軍に移譲することが検討されている。ウクライナ当局は、ロシアの全面侵攻以前からペイトリオットを求めていたが、ここにきて電力網へ大規模ミサイル攻撃を受けたため、同装備への関心が再び高まってきた。また、ロシア軍がイランの短距離弾道ミサイルを使用し始めることが懸念されており、多くのウクライナ国民が真冬に文字通り暗闇と寒さの中に置かれることになりかねない。

2022年10月、ギリシャのクレタ島で行われた演習で、地対空ミサイル「ペイトリオット」を発射するドイツ軍。Bundeswehr

国防総省高官は本日、記者団に対し、アメリカ当局とその同盟国協力国がウクライナへの派遣を検討中の防空システムの中にペイトリオットが含まれていることを確認した。10月に、統合参謀本部議長マーク・ミリー米陸軍大将は、ウクライナの統合防空網を長期的に大幅に近代化するという、アメリカ主導による計画に含まれる可能性があるシステムとして、ペイトリオットを挙げていた。

発射台、捜索・火器管制レーダー、コマンド・コントロール・コンポーネントを含む、典型的なペイトリオット・バッテリーの構成を示す図式。 via GlobalSecurity.org

国防総省のトップスポークスマンであるパトリック・ライダー米空軍准将は、その後の記者会見で「我々はウクライナにペイトリオットを提供する計画はない」と明言した。「しかし、再び、そのような議論を続けるだろうし、発表できる内容があれば、明らかにします。

「ペイトリオットミサイルのような特定の能力に関しては......かなり重要な保守と維持と同様に、訓練について話しています。結局、 "プラグ・アンド・プレイ "の装備などない」。ライダー准将はさらに、「戦場ですぐに使い始めることはできない。高度なシステムになると、このようなことが考慮されます。しかし、繰り返しになるが、引き続き防空を優先事項と考えており、同盟国や協力国と協力して、ウクライナにできるだけ早く提供し、その能力を使い始められるよう検討し続けることを強調したい」。

ライダー准将のこのコメントは、ウクライナに様々な高性能兵器システムを移転することについての、米国政府の長年の立場を反映している。The War Zoneは、特にペイトリオットをウクライナ軍に送るという過去の議論に関して、こうした問題を強調してきた。その一方で、米国当局は、ウクライナ軍が訓練プログラムにおいて、M142高機動砲ロケットシステム(HIMARS)の運用と維持の適性を実証したことから、今年初めに納入を決定するなど、複雑なシステムを送る意欲を着実に強めている。

NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、ルーマニアの首都ブカレストで開催された同盟のトップ外交官会合に先立ち、ウクライナにペイトリオットなど防空システムを送る可能性について議論が続いていると述べた。また、米国主導でNATO加盟国と同盟外の国々を含むウクライナ防衛に関するコンタクトグループのメンバーが、国家改良型地対空ミサイルシステム(NASAMS)やIRIS-T SLMなど、ウクライナに送付済みの近代的な防空システムが確実に機能することに重点を置いていると指摘した。

「例としてペイトリオットのような新しいシステムを提供することであり、それについては議論が進行中だ。しかし、システムが機能し、有効であることを保証することも非常に重要だ」とストルテンベルグは述べた。「スペアパーツを提供し、システムのメンテナンスができるようにする必要がある。既存システムが期待通りに機能しているか確認する必要性に緊急に取り組んでいる」と述べた。

これは、先週、ウクライナにペイトリオットを譲渡するようドイツに求めたポーランドによる提案に関する質問に対して、ストルテンベルグが行ったコメントと類似している。11月15日、ロシア攻撃を受けて発射されたウクライナ地対空ミサイルと見られる誤射が国境を越えポーランド農場に衝突し、2名が死亡した後、ドイツ当局はペイトリオットのポーランド移送を申し出た。

NATO事務総長は、NATOはこのような計画に断固として反対するものではないとしながらも、実際に追求するかどうかは関係国側の「国家決定」の問題だと述べていた。

米国を含むウクライナの国際パートナーは、ここ数カ月で同国の電力網を標的としたロシアのミサイル攻撃に直接対応するため、防空能力の追加提供を急いだ。週末時点で、首都キーウ含むウクライナの推定600万世帯が停電し、気温低下に伴い、多くの人々が暖房を失ったままだだ。

ウクライナのドミトロ・クレバ外相は、NATO会議の傍ら、ブカレストで記者団に、「我々は、防空、IRIS、ホークス、ペイトリオットを必要とし、変圧器を必要としている」と述べた。「変圧器と発電機があれば、電力需要を回復できる。防空システムがあれば、次のロシアのミサイル攻撃から身を守ることができる。一言で言えば、『ペイトリオットと変圧器』です。ペイトリオットと変圧器がウクライナに最も必要なものだ」。

ペイトリオットのウクライナ譲渡について、新たな動きがあるかは、非常に未知数だ。今日、多様な関係者が強調したように、外国はすでに、IRIS-T SLM、クロタル、ホーク、アスピドなどの短・中距離地対空ミサイル・システムを含む多くの追加の防空能力をウクライナ軍に提供し、あるいは近い将来に提供する。これらのシステムは、ロシアの巡航ミサイルやイラン無人機などに重要な防空能力を追加する。

しかし、ウクライナでは、ロシアがイランと協力して弾道ミサイルを強化している懸念の中で、少数のソ連時代のS-300V地対空ミサイルシステムを改修した以外は、実質的に対弾道ミサイル能力を有していない。ペイトリオットは、航空脅威に対する遠距離での交戦能力に加え、弾道ミサイル防衛能力を提供する。

いずれにせよ、ウクライナ政府は、防空システムの中でもペイトリオットについてこれまで以上に関心を持ち、米国をはじめとするNATOのカウンターパートと活発な協議を進めていることは明らかだ。■



Sending Patriot Missiles To Ukraine Being Actively Considered By U.S., NATO

.https://www.thedrive.com/the-war-zone/sending-patriots-to-ukraine-being-actively-considered-by-u-s-nato

BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED NOV 29, 2022 3:41 PM

THE WAR ZONE


2022年11月29日火曜日

主張 沖縄からのF-15C飛行隊撤退は滑走路非依存型無人機LCAATなど新構想を試す絶好の機会となり、中国等が投入したミサイル費用を無効にできる

 


XQ-58Aヴァルキリーが米陸軍ユマ試射場(アリゾナ州)で発射された。Dec. 9, 2020. (U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Joshua King)

ウクライナで、比較的安価な無人航空機の価値が日に日に明らかになり、戦争戦略家はその有用性を他の場所でも見直するようになってきた。ランド研究所のデビッド・オクマネクDavid Ochmanekは、以下の論説で、在日米軍基地からF-15を撤退させる最近の動きは、在日米軍の態勢を見直す絶好の機会であり、無人機がどこに適合するかを論じている

空軍は最近、F-15C/D戦闘機部隊を沖縄の嘉手納基地から撤退させる計画を発表した。戦略的な意味合いについては議論の余地があるかもしれないが、この発表は、西太平洋他の地域における空軍の戦力態勢を見直す必要性と機会の両方を浮き彫りにしている。分析によれば、比較的新しい技術である自律型滑走路非依存型航空機が、将来の態勢で主要な役割を果たす可能性がある。

国家防衛戦略が中国による侵略の抑止を最優先しているのを考えれば、最前線同盟国に駐留する戦闘機を減らすことは直感に反するように思えるし、老朽化して縮小する戦闘機群を管理する空軍が抱えるジレンマの一端を反映しているとも言える。

F-15は米空軍戦闘機で最も古い機体であり、米空軍は当面の間、嘉手納からの撤退を型戦闘機のローテーション配備で相殺すると発表している。しかし、沖縄にローテーションで駐留することは、アジア、ヨーロッパ、中東の他の地域での戦闘機駐留の要求を満たすために、ここ何年も苦労してきた空軍にさらにストレスを与えることになりかねない。

現在検討対象の選択肢には、嘉手納の前方駐留戦闘機飛行隊を第5世代戦闘機で再整備すること、米空軍戦闘機隊全体の規模を拡大してローテーション配備を支援することがある。しかし、満たされるべき戦略的必要性を考慮すると、こうした選択肢は、創造性に欠ける。

まず、沖縄はじめ前線基地が、陸上機の運用拠点として成り立つかどうかが問題だ。一方、沖縄は作戦地域に近いため、日本や台湾の防衛の航空作戦拠点として魅力的だ。戦闘機の航続距離は限られており、空中給油を行わなければ戦闘半径は基地から500マイル程度にしかならない。

しかし、沖縄は中国の多数の弾道ミサイルや巡航ミサイルの射程圏内でもある。戦争になれば、中国は何百発ものミサイルを、駐機中の航空機、滑走路、燃料貯蔵所、その他沖縄の日米空軍関連の目標を破壊する作業に充てるだろう。この規模の攻撃は、パトリオット地対空ミサイルのような能動的な防御を圧倒する。中国が最も強力な脅威だが、米国と同盟国の空軍は、ロシア、北朝鮮、さらにはイランからも同様の脅威にさらされている。

このため、米空軍は滑走路の必要性と、敵の攻撃で機体を失う高いコストという2つの問題を解決できる1つの解決策を実験してきた。すなわち、滑走路なの固定施設に頼らずに発進、回収、整備、再発進が可能な無人航空機を検討している。XQ-58バルキリーは、LCAAT(Low-cost, Attritable aircraft technologies)と呼ばれる新クラスの航空機の代表的な存在だ。

試験飛行数回に成功したXQ-58は、使い捨ての小型ロケットモーターでトレーラーから打ち上げられ、ターボファンエンジンで飛行する。同試験機の派生型は、1,000ポンドを超える空対地、空対空兵器を搭載し、戦闘半径は2,000海里以上となる。

任務から帰還すると、パラシュート着地する。機動部隊が給油、再武装し、再出撃できる。航空兵力を固定インフラ依存から解放することで、このコンセプトは、米国の敵が通常弾道ミサイルや巡航ミサイルに対して行っている大規模な投資を無効化する可能性がある。(垂直離着陸が可能な海兵隊のF-35Bも、同様の利点を備える)。

LCAATのもう一つの魅力はコストだ。飛行隊を構成する18機のF-35を調達する価格で、空軍は300機以上のLCAATと支援装置を購入できる。平時には、前線基地での有人戦闘機の運用を補うため相当数のLCAATを使用できるが、ほとんどは軍需品のように倉庫に保管され、必要なときに戦場に分散されることになるだろう。

LCAATはステルス高性能機ではない。F-22やF-35のような最新鋭の戦闘機の生存性や多用途性はない。しかし、LCAATのような滑走路に依存しない航空機群は、質量戦術を駆使することで、敵の防御力を圧倒し、他の種類のスタンドオフ兵器や有人戦闘機による攻撃をサポートできる。

インド太平洋地域やその他の地域における将来の戦力構成と態勢を検討する際、空軍に従来のプラットフォームを超えた選択肢が出てきた。その中には、滑走路に依存しない自律型の航空車両を使って、前線基地でハイテンポな作戦を展開・維持するコンセプトが急速に成熟してkきた。

As F-15s leave Okinawa, an opportunity to change Indo-Pacific air tactics with unmanned options

The Air Force's change in Japan could usher in a new strategic stance, says RAND's David Ochmanek.

By   DAVID OCHMANEK

on November 28, 2022 at 12:15 PM

https://breakingdefense.com/2022/11/as-f-15s-leave-okinawa-an-opportunity-to-change-indo-pacific-air-tactics-with-unmanned-options/?_ga=2.103684360.943964880.1669669529-1256044490.1668165814


David Ochmanek is a senior international/defense researcher at the nonprofit, nonpartisan RAND Corporation.


ズムワルト級駆逐艦はこう活用せよ-----同級駆逐艦3隻の再起動への期待

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ムウォルト級駆逐艦 DDG 1000 の想像図。海上統合艦隊で運用され、陸上の海兵隊部隊を支援し、沿岸・航空・水中戦も行う、新クラスのマルチミッション型米海軍水上戦闘艦だ。

ムワルト級は再起動できる。2001年9月の同時多発テロの数ヵ月後、米海軍は、冷戦後のブルーウォーター支配を念頭に新しい3種類の「艦船群」を発表した。沿岸戦闘艦(LCS)、21世紀型駆逐艦(DD21、現DDG 1000)、21世紀型巡洋艦(CG(X))で、ハイエンドの統合防空ミサイル(IAMD)に加え、沿岸での作戦や陸上作戦支援に重点を置いていた。20年がたった今、当時想定された艦隊構造は存在しない。「テロとの戦い」の拡大や競合相手としての中国の台頭といった戦略的衝撃の犠牲となったこと、また、プログラム上の疑問ある決定により大幅なコスト超過を招いたことによる。

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太平洋(2016年12月8日)海軍で最も技術的に進んだ水上艦である誘導ミサイル駆逐艦USSズムウォルト(DDG 1000)(左)は、沿岸戦闘艦USSインディペンデンス(LCS2)と編隊を組んで、サンディエゴの新しい母港への3カ月にわたる旅の最終行程を進行中である。ズムウォルトは到着後、戦闘システムの設置、試験・評価、艦隊との統合運用を開始する予定。(U.S. Navy photo by Petty Officer 1st Class Ace Rheaume/Released)161208-N-SI773-0401

米海軍は、CG(X)を全面中止し、LCSは大量建造したが、ハイエンド紛争に適さないとして、多くを退役させる意向だ。その結果、ズムワルト級3隻が残ることになった。ズムワルト級は、海軍の最新駆逐艦クラスであるアーレイ・バーク級フライトIII DDGの推進力と数倍の電力を生み出す統合電力システムを備えた1万4千トンのマルチミッション艦である。ズムウォルトは、海軍がDDG51ラインの再開を決定したことにより、プログラムの不手際と産業基盤での問題両方が発生し、艦隊に加わるまで大変な苦労を経験した。しかし各艦が提供する重要な戦闘上の利点を実現するため必要な予算を支出する機運が高まっている。Hope Hedge Seckが19FortyFiveの記事で最近詳述している。国防総省(DoD)と海軍は、期待される利益を実現するため、積極的に行動すべきである。

2023年後半にUSSズムワルト (DDG 1000)で始まる予定作業は工期2年で、残り2隻でもスケジュールの許す限りConventional Prompt Strike (CPS)設置を行う予定だ。ズムウォルトは現在インド太平洋に配備中で、次回の配備時に極超音速CPSミサイルを搭載すると思われる。 

ズムウォルトでの作業を始めてから 5年から 7年後に、海軍は 3 隻に重要な改造を施すことができる。このような改造を行う予算は、弾道ミサイル潜水艦、将来の航空団、水上艦隊が使用する次世代ヘリコプタや無人機、次世代駆逐艦などの優先事業と競合する。中国の侵略阻止が重要となっており、この任務における海軍の役割を考えれば、海軍が現在の即応性と将来の能力投資の間で破滅的な選択をしないよう、国防総省は十分な資金をホワイトハウスに求めるべきだ。

CPSの先:海上制圧型駆逐艦へ

ズムワルトへのCPS搭載は、始まりに過ぎない。海軍がイージス戦闘システムを統合戦闘システムへ進化させ始めた今、ズムワルト級という問題を抱えた3隻の「ユニコーン」戦闘システムを放置したままにはしておけない。積極的なCPS導入計画に過度のリスクを与えることなく、イージスを統合する技術的解決策に到達する作業を本格的に開始しなければならない。さらに、CPS搭載に必要なメンテナンス中は、艦船が造船所を離れてから蓄積された既知の船体、 機械、電気(H, M&E)に関する問題を解決する必要がある。しかし、最も重要なことは、海軍と太平洋艦隊が、同艦の運用コンセプトを考案し、実施することであり、地域の海上支配への献身を反映するものである。

まず、海軍は3隻でインド太平洋での常時配備をサポートできるか判断する必要がある。この「1.0」プレゼンス目標は、基地の場所や、必要なインフラの強化など、その他決定を後押しすることになる。今こそ、決断とそれに伴う投資を行うべき時だ。

CPS を搭載した DDG 1000 が継続的に配備されれば、中国と北朝鮮に対し、通常兵器(トマホーク、スタンダードミサイル)と、搭載する周辺垂直発射システム(PVLS)80セルによる強い抑止力のメッセージを送れる。同艦は、空母打撃群(CSG)の一部として使用されない。むしろ、無人艦、駆逐艦、LCS、揚陸強襲艦で構成する水上・水陸機動団の先頭に採用され、指揮統制(C2)機能を果たす幕僚を乗艦させるだろう。

第二に、イージスから統合戦闘システムへの移行の一環として、海軍は適切な防空・ミサイル防衛レーダーを艦船に装備する必要がある。選択肢としては、SPY-6 AMDRまたはSPY-7がある。

第三に、3隻とも現在、有人ヘリコプターを運用する装備があるが、無人航空機(UAV)を運用すべきだ。当面は、MQ-8Cファイアスカウト数機を採用し、艦内レーダーやその他の監視システムの有効範囲を広げるとしても、より長距離の中高度・長期耐久(MALE)無人機を最初に受領する必要がある。また、UAV以外にも、海軍が中型無人水上艦(MUSV)や大型無人水上艦(LUSV)を導入する場合、DDG 1000は無人プラットフォームの修正保守を行う訓練を受けた乗組員を含む、無人プラットフォームのC2 「羊飼い」の役割を果たす。ミサイル数十発を搭載した無防備なLUSVが敵の手に落ちる心配は、強力なDDG 1000が常に近くに存在すれば軽減される。

平時には、DDG 1000 と乗組員は、前方展開のC2 ノードとして、また前方戦闘力と持続力を提供することで、通常型抑止力を提供する。DDG 1000 は、他部隊の能力を統合・調整することで、より強力な部隊を構築し、1)攻撃は成功しないか、劇的に遅れるという認識(拒否)、2)攻撃による推定利益をはるかに上回る反応があるという認識(罰)、を通じ敵対者を抑止することができる。

DDG 1000は、陸上と海上双方の目標を射程内に収め、迅速攻撃する能力、広範囲に分散した部隊を指揮統制する能力、敵対者に堅固だが一瞬の目標を提示する能力によって、抑止力を達成できる。DDG 1000は、戦場と地域のISR環境を活用し、敵艦隊を探し出し、破壊すると同時に、敵の陸上部隊を射程距離で威嚇する。特定の状況下では、パッシブターゲッティングネットワークで動作時の同艦のステルスプロファイルは、陸上の移動式巡航ミサイルや弾道ミサイルの位置などの陸上イベントへの迅速対応を実現する。

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Zumwalt-class destroyer. Image Credit: Raytheon.

結語  ズムワルト級は再起動可能だ

アップグレードされたDDG 1000 の指揮統制機能により、太平洋艦隊司令官は、地域制海権と打撃作戦のC2で比類なき能力と、CPSと長距離攻撃兵器数十発による抑止力を手にできる。この形の未来は、海軍が計画を立て、国防総省が海軍のその他優先事項に支障をきたすことなく資源を投入した場合にのみ実現できる。ズムウォルト級は、設計意図に沿いつつ、21世紀を代表する駆逐艦へ進化を遂げるチャンスを迎えている。今は、迷っている時ではない。■

Zumwalt-Class Can Become a Dominant 21st Century Destroyer - 19FortyFive

ByBryan McGrath

Bryan McGrath is the Managing Director of The FerryBridge Group LLC, a national security consultancy. All views contained herein are his. He tweets @ConsWahoo.


2022年11月28日月曜日

英軍のフォークランド奪回作戦(1982年)から台湾防衛など米海兵隊が目指す前線分散展開が学べる教訓とは....

 

裁国家が島国の隣国を侵略するのをどうしたら阻止できるだろうか。侵略勢力が海岸に上陸したら、主要な拠点から何百、何千マイルも離れた場所で活動し、地元の数的優位を持つ敵をどうしたら撤退させられるか。1982年、アルゼンチン軍事政権が、英国の海外領土フォークランド諸島の主権を長年にわたって主張してきたため、英国はこの問題で解決を迫られた。アルゼンチンからフォークランドを奪還するため英国が実施した長距離遠征作戦「コーポレート作戦」の勝利と、中国から台湾を守ることに焦点を当てた課題には、不穏ながら類似点がある。

 

 

米海兵隊は、インド太平洋で激化しつつある大国間競争への対処すを優先課題としている。フォークランドで英軍は、海兵隊司令官が将来の活動として想定しているのと同様の方法で活動した。広大な海洋地形に分散した小規模な編隊、比較的限定的な間接火力支援、限定的な近接航空支援だ。南大西洋で英国の機動力と後方支援を可能にするためには、垂直上昇機が不可欠であった。しかし、海兵隊の新しいコンセプトには、こうした航空機がほとんど見られない。

これらの矛盾に対処するため、コーポレート作戦で学んだ関連する教訓を簡単に概観しよう。教訓を把握してから、現在および将来の垂直上昇能力の最大化に重点を置き、海兵隊の概念にうまく取り入れる方法を考察する。

コーポレート作戦

1982年4月2日、アルゼンチン軍が南大西洋にあるフォークランド諸島の英国領に侵攻した。歴代英国政権は、アルゼンチンによる上陸されれば既成事実化を意味すると結論づけていた。しかし、マーガレット・サッチャー政権は、フォークランド諸島を奪回すると即座に決定した。数時間後には、岩だらけの島々からアルゼンチンを追い出すための「コーポレート作戦」が開始された。最初の海軍艦艇は、侵攻から3日も経たないうちに英国を出港した。急速に編成された統合任務部隊は、障害を乗り越え、8,000マイル以上を横断し、6月14日までに諸島の領有権を取り戻した。しかし、勝利が約束されていたわけではない。機動部隊が出港した瞬間から、垂直上昇の必要性を予測できなかったこと、指揮系統が曖昧だったこと、水陸両用作戦を軽視した部隊設計が、最終的な成功を脅かすことになった。

英軍作戦は、広大な距離とそれに伴う困難双方の克服を迫られた (Source: Department of History, US. Military Academy)

英機動部隊は空母戦闘群を中心に構成され、制空権と制海権を確立し、第3コマンド旅団含む水陸両用攻撃隊による島の奪回を任務とした。英軍機動部隊の迅速な展開は印象的だったが、当初は軍事解決は不要と考え、政治解決を強いるべく行われたものだった。英国機動部隊は、フランシス・ドレイク卿とホレイショ・ネルソン卿の歴史的な港から出航したが、兵站物資と装備は、最終的な水陸両用作戦を考慮せず大部分が収納されたままだった。英国が利用できる唯一の中間基地であるアセンション島では、物流の大幅な再編成が必要だった。水上艦を利用した装備の整理は英海軍にとって簡単な作業であったはずだが、海岸の急勾配、柔らかい砂、激しい波のため、艦から陸への移動にはヘリコプターを多用する必要があった。アセンション島上陸後も、荒れた地形のため、内陸部への輸送にはヘリコプターが欠かせなかった。最小限の休息とスタッフの調整を終え、機動部隊は目的地に向かい出撃したが、容赦ない気候と地形のため、さらに多くの航空支援が必要となった。

コーポレート作戦では、防空が重要な課題であった。空母戦隊が制空権を確立してから第3コマンド旅団の部隊を上陸させるとの決定は、最終的に非現実的と判断され、アルゼンチン航空機のリスクを受け入れることになったのである。アルゼンチンは英国機動部隊の6倍の航空機を保有し、英国海軍の防空システムは上陸部隊に十分な戦力保護を提供できなかった。地上配備型のレイピア防空システムは、航空優勢がない場合の航空攻撃のリスクを軽減するためのものであった。しかし、レイピアに最適な地形は地上車両が入れない場所であり、またシステム自体も重く、手で持ち運べない。その結果、水陸両用戦闘団のマイケル・クラップ司令官は、「レイピアに物資と発電機用のガソリンを供給するために、シーキング1機を常時待機させる」ため限られた資産を捧げざるを得なくなった。英国が水陸両用から陸上での攻撃作戦に移行するにつれ、ヘリコプター部隊は大きく負担を強いられ、航空機への依存度は増すばかりだった。

フォークランド諸島の地理的条件から、上陸に適した場所は限られていた。東フォークランド北西部のサンカルロス水域が上陸地点として選ばれた。5月21日、第3コマンド旅団の最初の部隊が上陸したが、後方支援物資の非効率性が解消されず、またサンカルロス海域に出入りする水上艦艇を常に動かすという戦力保護措置のために、橋頭保の構築は遅れた。このような状況下で勢いを維持する唯一の手段は、ヘリコプターの常時使用だった。最初の上陸から6月14日のアルゼンチン降伏まで、「東フォークランドは起伏の多い地形なので、戦時中の兵站活動にヘリコプターが欠かせなかった」。5月25日、空から発射されたエグゾセミサイルがSSアトランティックコンベヤーを沈めたとき、重要な積荷の追加ヘリコプターが1機を除いてすべて失われ、地上部隊の限られた機動性がさらに試された。岩だらけの湿地帯を横断する道路がないため、限られたヘリコプター部隊ですべての大砲と重装備を輸送することになり、英国海兵隊と兵士は容赦ない風景の中を行進することになった。ヘリコプターの必要性を端的に示す例として、105ミリ榴弾砲6門と弾薬を輸送するのにシーキング出撃が82回必要であったことが挙げられる。このような機動部隊の減少は、ヘリコプターの大半が人員ではなく、装備輸送に割り当てられたため、間違いなく紛争を拡大させた。

フォークランド作戦 (Source: Department of History, U.S. Military Academy)

 

部隊間の指揮系統の違いや、一個旅団にヘリコプターの配備が不十分なことは、機動部隊の規模が大きくなるにつれて摩擦の種となった。英海兵隊の旅団は約4600名で、国防省はフォークランドにいる1万人のアルゼンチン軍を相手にするには少なすぎると判断した。第5歩兵旅団が加わり、ジェレミー・ムーア少将が機動部隊内の師団司令部を指揮することになった。この旅団の大隊のほとんどは、作戦行動と儀礼的な警護に時間を割かれ、水陸両用作戦の訓練を受けていない兵士で構成されていた。この旅団の投入は全体的な数の増加を意味したが、指揮系統の混乱を招き、第二次世界大戦以降で唯一最大の英軍の損失を生む一因となった。

まだ政治的解決が可能だと思われていた頃、第5歩兵旅団の正確な役割を定義する努力はほとんどなされなかった。この部隊をどう使うという疑問は、第3コマンド旅団がサンカルロスウォーターに上陸後、最初の攻撃行動を行ったときに答えが出た。グースグリーン集落での最初の成功は、パラシュート連隊第2大隊の後方支援を大幅に前進させ、迅速な増援の可能性なしに敵の攻撃に対して脆弱な状態に陥ることになった。支援要請のプロセスが不適切で、水陸両用幕僚にヘリコプターの専門知識がなかったため、野心的な大隊は、他の場所で切実に必要とされていたヘリコプター支援を要求することができた。これに対し、第5歩兵旅団はブラフコーブとフィッツロイの集落に上陸して、孤立した空挺部隊を救援することになった。ヘリコプター配備を誤ったため、水陸両用の経験がないにもかかわらず、これらの兵士を輸送するため水上輸送船が必要となった。南大西洋の寒さとアルゼンチン空襲にさらされながら、35マイルを上陸用舟艇で移動するのに数時間かかった。6月8日の日没後、水上艦数隻が攻撃され、LSL Sir Galahadは沈没、51名の兵士と水兵が死亡し、46名が負傷した。

なぜこの悲劇が起こったのか、その背景を知るには、第二次世界大戦直後にさかのぼることが重要である。1966年に空母の更新計画が中止され、1979年に英国最後のカタパルト空母であるHMSアークロイヤルが退役するなど、この時期の英国海軍は特に各軍との競争にさらされた。このことは、その後の海軍の水陸両用戦能力に連鎖的な影響を及ぼした。固定翼機運用が可能な空母は、HMSハーミズとHMSインヴィンシブルの2隻だけとなり、小さなデッキではヘリコプターの運用を犠牲にしてまで、垂直離着陸型のシーハリアが運用された。

サッチャーは予算の制約を受け、英国海軍の目的をますますニッチにとらえるようになっていた。1981年の国防白書では、1984 年までに水陸両用艦を全部撤去することが提言されていた。イギリスは、水陸両用戦力は NATO の大規模な作戦の一部としてのみ使用されると考えていたため、イギリス海軍の即応性は低下していた。2隻の固定翼空母は外国への売却が予定されており、上陸用プラットフォーム・ドックのHMSイントレピッドはすでに退役の過程にあった。イギリスに幸運なことに、アルゼンチンは、イギリスの水陸両用戦力の変化が予測される影響を完全に受けるまで待たなかった。空母売却は延期され、HMSイントレピッドの退役は、付随する上陸用舟艇と中型輸送ヘリコプタの使用のために逆転された。

今から見れば、イギリスとアルゼンチンの能力の差は必然だった。しかし、イギリスとフォークランド諸島の間の8,000マイルの隔たりを埋めるには、現地に到着するだけでなく、人を寄せ付けない地形を越えて部隊、物資、機材を移動させる適切な手段なしには、無理だっただろう。もし紛争が数カ月遅れていたら、水陸両用船とそれに付随するヘリコプターが完全に不足し、フォークランド諸島の奪還は不可能だっただろう。英空母が最終的に譲渡される前に侵攻したタイミングの偶然性については、多くが書かれている。しかし、空母戦闘団は、主要任務である制空権を達成できなかった。結局、フォークランド諸島を英国支配下に戻したのは、垂直上昇航空機が提供した機動性だった。 

戦力設計2030年構想への示唆 

海兵隊司令官の2019年の計画指針は、ご核戦力を有する新興敵の脅威を軽減するため、野心的だが必要な計画を示している。それ以来、毎年行われる部隊設計2030の更新は、最初のガイダンスに基づいて行われており、ホワイトハウスと国防総省の戦略的ガイダンスに直接合致する道を歩んでいる。司令官指針は、概念文書複数から導き出されている。遠征型前進基地作戦のコンセプトは、「重要な海上地形に対する機動力と支配力を向上させることで、敵の潜在的な優位性を緩和する」ことを目的としている。フォークランドでヘリコプターを使用した英国の経験の教訓を取り入れることは、海兵隊が分散した部隊の機動と維持に際して、同様の誤りを繰り返さないようにするために重要だ。

垂直離着陸機を海上機動にうまく組み込むことが重要である。水上艦艇を利用し人員や装備を上陸させる作戦の成功は保証されていない。軽水陸両用艦のコンセプト画では、手つかずのビーチに装備を降ろすことが描かれているが、アセンション島事例では問題があることが示されている。フォークランド紛争でも、機動性要件が海岸線にとどまらないことが示された。軽戦車4両を除くすべての物資、大砲、防空システムはヘリコプターで輸送できるほど軽量であり、航空がもたらす迅速な機動性を示した。特にインド太平洋の島々では、大規模な飛行場や整備された道路インフラがないことが多く、内陸部地形に制約があり、既存の飛行場がないことは、海兵隊の立案部門にとって依然として考慮すべき点である。CH-53E/Kヘリコプターは、レーダー、機動防空システム、長距離精密砲を迅速に輸送する能力を備えており、新コンセプトに欠かせない存在だ。また、空中給油が可能なため、長距離での作戦が可能だ。太平洋に駐留する現役のKC-130タンカー輸送中隊を100%増員すれば、CH-53E/KやMV-22オスプレイの航続距離が伸び、第1列島線の外側から内側の分散型遠征基地に自己展開するオプションが提供できる。垂直上昇機における距離の暴虐を克服する能力は、前例がないわけではない。1989年に2度、MH-53ヘリコプターが空中給油を使い、グアムから台湾まで約1,400マイルを無着陸で移動し、パナマで戦闘行動を行った。このような距離での作戦は明らかに例外だが、脅威や地形、あるいは代替的な戦力配分が困難と判断されれば、垂直上昇航空を迅速に採用する選択肢を海兵隊司令官に提供する。 

海兵隊の指揮系統は、1982年に英機動部隊が経験したような摩擦を反映し、垂直上昇航空機材の利用が課題になる可能性がある。海兵隊沿岸連隊は、遠征型前進基地作戦を念頭に置いた戦力設計2030プロセスで開発された。司令官は、新部隊がそのような作戦を実施できる唯一の存在ではないことを明らかにしているが、現在および将来の海兵隊沿岸連隊が太平洋に拠点を置くことで、この新コンセプトの実施が保証されている。暫定ドクトリンでは、沿岸部隊むけの一般支援としての航空について、大まかに説明されているだけで、これらの航空機の出所については概説されていない。暫定ドクトリンや「駐留軍構想」では、垂直上昇よりも航空火災や情報・監視・偵察に重点が置かれており、1982年に英国が行ったヘリコプターの非効率的な利用を再現する恐れがある。さらに、垂直上昇能力機材がないため、海兵隊沿岸連隊の作戦を海兵隊遠征部隊の複合飛行隊に依存することは、持続不可能だと明らかになるだろう。両部隊にある唯一の航空機は、海兵隊遠征部隊の作戦を支援用に意図的にサイズ調整されているため、両部隊の作戦を同時に支援するための垂直輸送力が十分に存在しない。現在の展開サイクルに飛行隊を割り当てている航空団は、特に35%削減されたCH-53部隊において、追加任務の調達が困難であることを知らされることになる。削減は、同時に行われた歩兵大隊の13%削減と意識的に一致するよう設計されたものだ。

海兵隊の指揮系統は、1982年の英国機動部隊に生まれた摩擦同様に、垂直上昇機材の利用で課題になるる可能性がある。海兵隊沿岸連隊は、遠征型前進基地作戦を念頭に置いた戦力設計2030プロセスで開発された。司令官は、新部隊がそのような作戦を実施できる唯一の存在ではないと明らかにしているが、現在および将来の海兵隊沿岸連隊が太平洋に拠点を置くことで、この新コンセプトの大部分を実施することは確実だ。暫定ドクトリンでは、沿岸部隊への一般的支援となる航空部隊について、大まかに説明されているだけで、航空機の出所は概説されていない。暫定ドクトリンや「駐留軍構想」では、垂直上昇より航空機による攻撃や情報・監視・偵察に重点が置かれており、1982年の英国同様のヘリコプターの非効率的な利用の再現となる恐れがある。さらに、垂直上昇能力機材がないため、海兵隊沿岸連隊の作戦を海兵隊遠征部隊の飛行隊に依存することは、持続不可能であることが明らかになる。この2つの部隊の間にある唯一の航空機は、海兵隊遠征部隊の作戦を支援するため意図的にサイズ調整されているため、2つの部隊の作戦を同時に支援するだけの垂直輸送力が十分に存在しないことになる。現在の展開サイクルに飛行隊を割り当てている航空団は、特に35%削減されたCH-53において、追加任務の実施が困難だと思い知らされることになる。この削減は、同時に行われた歩兵大隊の13%削減と意識的に一致する設計だった。しかし、1982年の英国機動部隊の成功を脅かしたのは、単に垂直上昇機材の数だけでなく、場当たり的な指揮関係であった。上陸部隊の司令官と沿岸部隊の司令官間の支援関係が、現在の教義や暫定的な出版物で定義されていないことが各組織の合併を複雑にしている。原因が何であれ、遠征前進基地作戦における航空支援、特に垂直上昇機材の明確な配分を今後定義するべきであろう。 

「待機部隊の概念」に含まれる機動性の圧倒的な強調は、米海軍が資金提供をためらっている水上艦艇向け提案と比較し、速度、航続距離、柔軟性における著しい格差を無視したものである。実際、海上機動性が重要な役割を果たすと予想されているにもかかわらず、同文書では垂直上昇機材についてまったく触れれていない。現在配備されている空中給油可能な長距離垂直上昇プラットフォームを継続的に統合せず、存在しない後方支援ドローンに依存することは、新しいコンセプトの実行可能性をさらに危険にさらすことになる。攻撃・偵察用無人機は、海兵隊が実施した運用試験だけでなく、ウクライナ戦でも有用性を力強く実証している。司令官が想定する環境下で、無人プラットフォームが海兵隊をロジカルに維持できるかは、あまり定かではない。最近の無人化コンセプトも提案されているが、高性能無人垂直上昇プラットフォームとして、カマンのK-MAXヘリコプターがある。2011年にアフガニスタンで行われた33ヶ月間の実証では、反政府勢力の敵に対し能力を発揮したが、80ノットの速度、片道267海里の航続距離、6000ポンドの積載量は、MV-22とCH-53E/Kの両方に圧倒的に劣る。有人垂直離着陸の何分の一かの価格で、無人システムは後方支援の何分の一かを提供するだけだ。太平洋全域で海兵隊を維持する代替案を引き続き開発すべきだが、現在のところ、能力ギャップにより、選択肢は支援的役割に限定される。

結論

「技術の進歩は、防衛環境を大きく変えつつある。長距離で目標を正確に発見し、強力な打撃を与える近代兵器の威力が急速に高まっているため、航空機や水上艦など主要プラットフォームの脆弱性が増している」。この一節は、現在の世界環境の描写と思われるかもしれないが、サッチャー政権の防衛相の言葉で、海兵隊での検討事項の多くが、40年前と関連していることを証明している。

海兵隊は、コーポレート作戦における英国の経験から学ぶために、具体的な手段を講じるべきだ。まず、海兵隊沿岸連隊は、海上地形における長距離での完全統合訓練を通じ、垂直上昇航空に固有の機動性と柔軟性を生かすべきだ。次に、分散型作戦における航空部隊と地上部隊の実行可能な指揮関係を構築し、進化するドクトリンに明確に成文化する必要がある。最後に、海兵隊は、これらの技術が完全実用化されるまでは、既存のシステムを活用する必要があると理解した上で、革新的な無人地上・航空プラットフォームの開発を継続すべきだ。海兵隊司令官の構想に垂直上昇型航空をうまく組み込むのは困難であるが、代替移動手段のみに依存する悪影響は、耐え難いものであると証明されることになろう。■  

 

How Can the Marines Learn From the Falklands War?

NOLAN VIHLEN

NOVEMBER 23, 2022

COMMENTARY

 

Nolan Vihlen is a CH-53E instructor pilot currently assigned to Marine Aviation Weapons and Tactics Squadron One and a recent graduate of Expeditionary Warfare School. The opinions expressed are those of the author alone and do not reflect those of the U.S Marine Corps, the Department of Defense, or any part of the U.S. government.