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2025年11月6日木曜日

米中開戦となれば米陸軍は中国の港湾を破壊しなくても第三国にある中国港湾施設を占拠できる(Defense News)―中国の脆弱性を突く作戦が展開可能なわけですね。米陸軍も存在感をアピールできるわけです

 

4月17日、中国南部広東省南沙区の広州港で輸送待機中のコンテナ。(Ng Han Guan/AP)

国が中国と戦争になれば、ロケット兵器が米陸軍の最重要戦力となるだろう。広大な太平洋を隔てた紛争は、主に空軍と海軍が主導し、少数の地上部隊が支援する形で行われる。

陸軍が地上攻撃で上海を急襲することはないにせよ、中国領土への攻撃能力は確かに有している。陸軍は長距離攻撃手段として、短距離の精密打撃ミサイル、タイフォン戦略中距離火力システム、ダークイーグル長距離極超音速兵器などが配備済みもしくは開発中だ。これらのミサイルは1000キロからほぼ3000キロ離れた目標を攻撃できる。

有力な標的となり得るのは、中国艦隊の支援や台湾への水陸両用侵攻の展開、さらに中国の輸出入の維持に不可欠な中国港湾施設だろう。

しかし、中国港湾を破壊したり経済施設を占領したりするのは悪い考えだと、陸軍州兵の将校は警告する。実際、「陸軍は紛争中に中国の海上輸送インフラを保全し、戦後に使用可能にしておくべきだ」とマイカ・ネイドルフラー大尉はミリタリー・レビュー誌への最近の寄稿で記している。

これは直感に反するように聞こえる。敵の戦略的インフラを破壊して降伏を迫ることは、1930年代のB-17爆撃機時代から米国の政策の柱だった。しかし米国が経済を中国から切り離そうと努力しているにもかかわらず、米国は依然としてiPhoneやレアアースから米国農家の輸出市場提供に至るまで、あらゆる面で中国に依存している。世界経済の多く、特に製造業は中国産業に依存している。

それでも「米軍の共同作戦教義は港湾を明確な標的としており、米中戦争の予測では中国港湾が米軍の攻撃対象となる可能性が高い」とネイドルフラーは指摘する。「したがって米中紛争が発生すれば、中国の海上インフラは21世紀型戦争の破壊に晒されるだろう」。

中国の港湾を破壊して世界経済や米国経済を麻痺させても、中国の無条件降伏はあり得ないため、必然的に和平交渉が行われ、戦後の貿易回復が必要になるとネイドルフラーは主張した。

「陸軍が敵の戦略的インフラを温存すべきだと提案するのは多くの者を躊躇させるかもしれないが、その論理は妥当だ」とネイドルフラーは記した。「米国の国内繁栄は国際貿易と世界経済に大きく依存しており、それらは中国と深く結びついている」。

しかしネイドルフラーはこのジレンマの解決策を見出している。港湾は貨物積み下ろし、保管、輸送のための多数の脆弱な構成要素からなる複雑な施設だ。したがってクレーン、埠頭、鉄道操車場、石油貯蔵タンクなど多くの地点で機能停止のリスクがある。特定の標的を攻撃することで、港湾を一時的に機能停止に追い込みつつ、長期的な損害を与えないことが可能だ。

「この戦術を中国の港湾に適用すれば、戦時中の港湾機能を阻止または低下させるという戦略的目標を達成できる。しかも戦後比較的容易に修復可能なため、中国は迅速に海上貿易を再開できる」とナイドルフラーは主張する。さらに「構成部品の破壊は港湾の長期的な機能性を脅かさないため、標的化に伴うエスカレーションの性質を劇的に低減する」と述べた。

これら全ては、太平洋での戦争における主要プレイヤーとしての陸軍の役割というより大きな問題と結びついている。

ネイドルフラーは指摘する。米中戦争の可能性に関する防衛シンクタンクの分析は、陸軍の貢献を無視するか、同軍の特殊能力に焦点を当ててきたと。しかし現実には「過去10年間、陸軍は5つの主要テーマに注力してきた」と彼は記している。それには統合軍の指揮統制、統合軍の持続的支援、そして防空・地上長距離火力・伝統的機動部隊による統合軍の保護が含まれる。

米国が実際に中国の港湾を攻撃するかどうかは議論の余地がある。中国が世界第3位の核兵器保有国であり、米国本土に到達可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)を保有していることを考慮すれば、中国の都市へのミサイル発射決定は軍事的判断より政治的判断となる可能性が高い。

しかしネイドルフラーは別の選択肢を提示する。陸軍を用いて他国にある中国所有の港湾を占拠し、交渉材料とするか、軍事・諜報拠点としての利用を阻止するというものだ。中国の海外港湾投資は膨大である。2024年の推計によれば、中国企業が資本参加または港湾運営に関与する129件のプロジェクトが存在する。同氏は、米中紛争では太平洋に大規模な機動部隊を必要としないため、陸軍戦力構造の大半がこうした戦略に充てられると主張する。

中国が所有する海外インフラは、せいぜい軽装の防衛しか施されていないため、陸軍は様々な手段で制圧できるとネイドルフラーは論じる。特殊作戦部隊に加え、より外交的なアプローチとしては、現地国と連携可能な陸軍地域専門家(FAO)や州兵二国間関係担当将校が活用できる。

しかしネイドルフラーは、ここにも政治的複雑性が伴うと警告した。中国資産の接収は「中国港湾を擁する国々にとって主権問題を引き起こし、米国が単独でこれを実行することは不可能だ」と記している。特にグローバル・サウス諸国を含む国々が米軍の介入を歓迎しない可能性が高いことから、「第三国軍による資産接収の方が現実的である」と述べた。

米国の中国専門家らはこうした構想に懸念を示す。外交政策研究所の研究員ロニー・ヘンリーはディフェンス・ニュースに対し、中国港湾攻撃の承認は当然ではないと語った。「将来のどの大統領が、不特定の国際情勢下でどんな決断を下すか誰にもわからない」とヘンリーは述べた。

陸軍の長距離ミサイルについては、「発射する場所が必要だ。部隊を現地に展開し、維持し、反撃から守らねばならない」とヘンリーは指摘する。彼は元陸軍中佐で、東アジアの諜報専門家として豊富な経験を持つ。

さらに米空軍と米海軍は既に十分なミサイルを保有している。

「標的に向けた兵器が増えるのは常に良いことだが、陸軍が追加で提供できる量は、B-52爆撃機の出撃をさらに十数回増やすのと比べてどれほどの効果があるか?」とヘンリーは問いかけた。

米国とそ同盟国は、おそらく中国の海上貿易の大半を遮断できるだろう。

「では、第三国の港湾を占領する追加的な利点は何だ?」とヘンリーは言う。「私には見当たらない」

ネイドルフラーでさえ、自身の構想は「直感的な戦略ではない」と認めている。陸軍の価値観では「最短時間で決定的な勝利を達成することに焦点を当てている」からだ。

しかし世界規模の核戦争に至らなければ、米中戦争はいずれかの時点で何らかの和平協定で終結するだろう。

「米陸軍が真に通常戦を想定しているなら、いかなる和平も持続するには相互に受け入れ可能なものでなければならないと認識すべきだ」とナイドルフラーは結論づけた。■


In a war, the US Army could destroy China’s ports. Should it?

By Michael Peck

 Oct 22, 2025, 01:00 AM

https://www.defensenews.com/opinion/commentary/2025/10/21/in-a-war-the-us-army-could-destroy-chinas-ports-should-it/




2018年6月3日日曜日

2030年に米国と中国が戦闘突入したらどうなるのか

 


Welcome to the U.S.-China War of 20302030年に米中が開戦したらこうなる



June 1, 2018

国(PRC)と米国が貿易戦争の一歩前にきたようだ。この戦争は両国経済だけでなくグローバル経済も大きく影響受けかねない。だが今のところ爆弾やミサイルの応酬にならないようだ。米中両国には対立の種が多数あるが、いずれも開戦の理由になっていない。
だが状況は10年間で変化する。今は可能性が薄く見える対立も時がたつと現実のものになる。中国の相対的国力が伸びればとるに足らない対立が大きく進展する事態に米国が直面することになる。一方で中国に機会が訪れる。米国の装備品調達サイクルから米軍の実力が低下する事態がやってくるからだ。
2030年の力のバランスならびに戦略地図は現在と大きく変っているだろう。では2030年に発生する米中両国間の戦争はどんな様相になるのか。
開戦の形は
対立の核心は今と同じだ。中国と米国は「トゥキディティスの罠」に落ちる。中国の国力がさらに伸びる一方、米国が世界秩序を支配する構図が続く。だが古代ギリシアでアテネの国力が伸びてスパルタが挑発されことがペロポネソス戦争につながったように、米中両国の対立は全世界を火に包む。PRCも米国もとるに足らない事象を理由に開戦に進むことはないはずだが。
米同盟各国に対する脅威は想像に難くない。日本、韓国、インド、台湾、フィリピンの各国だ。中国と各国の間の対立の種はすでに生れているが、実際に芽は出ないかもしれない。だがPRCと各国間の軍事衝突発生の場合、米国がいやおうなく巻き込まれるのはほぼ確実だ。インドとPRCの間の戦闘が最大のリスクで米国だけにとどまらずパキスタンやロシアまで巻き込まれる可能性がある。日中間の戦争も破滅的な結果になりかねない。今後戦略的な変化が発生する可能性として日韓関係があり軍事対立となれば中国や米国も関与せざるを得なくなる。
両軍はどんな軍事技術を展開するか
戦場がどこになるのかは紛争の原因で変わるが、予想に難くないのが東シナ海および南シナ海だ。両国とも空海双方の装備を投入を惜しまないはずだが、米陸軍、海兵隊は「マルチドメイン」戦闘で自らの役割を発揮するのに苦労するだろう。
今後12年間で軍事バランスは中国に傾く理由は多数ある。だが中国が必ずしも有利になるわけでもない。ただし人民解放軍海軍(PLAN)は米海軍(USN)を上回るペースで拡張しており、人民解放軍空軍(PLAAF)の装備近代化の進展は米空軍(USAF)をしのぐ。
ただし双方とも従来型軍事技術を大量投入するだろう。中国の空母は2030年には4隻になっているはずで、内訳は遼寧級STOBAR空母二隻と通常型CATOBAR空母が二隻だ。米国は強襲空母も含めれば空母数で上回り、戦力でも中国を凌駕するものの、中国は開戦初期では局所的に有利な展開をするはずだ。中国は全世界展開の必要がないため潜水艦、水上艦多数を一定海域に投入できるからだ。それでもUSNが有利とは言え、差はわずかしかない。
航空機に関しては米国の空軍、海軍、海兵隊はF-35を相当数展開しているはずだ。米空軍は現行の爆撃機各型に加えB-21レイダー・ステルス爆撃機を配備しているはずだ。中国はJ-10とJ-11を増備し、米F-15、F-16、F/A-18と互角に持ち込もうとするだろう。J-20も一定数稼働しているはずでPLAが導入を決めればJ-31も配備されているだろう。2030年にPLAAFが米航空戦力と同等水準になる見込みはないものの、ギャップは減り、国内基地、弾道ミサイル、巡航ミサイル、対空ミサイルが多数ある点が中国に有利となる。
2030年までに現れる最大の変化は無人装備の台頭で既存有人機と同時に投入されたり、有人機の座を奪う機材もあらわれるだろう。無人装備技術の革新は今後も急ピッチで進み近い将来に登場する高性能機の姿を想像するのは難しいが、空、水上、水中に活躍する無人機が広範な戦闘に投入され、有人装備を攻撃したり無人機同士の戦闘が発生するのではないか。無人装備は情報収集や通信の大規模システムの一部となり両陣営とも緒戦から妨害を試みるはずだ。
サイバー戦になるのか
中国と米国はともに社会、経済、軍事各方面で通信に大規模依存しそれだけサイバー接続に依存していることになる。いったん接続が断絶すれば破滅的な結果となる。だがサイバー戦専門家から米中両国がインターネット依存を高めているが実は接続の仕組みが強靭になっており妨害は受けにくくなっているとの指摘がある。類似例として20世紀のドイツ産業があり、連合国空爆で大被害を受けたが期待された崩壊は生れなかった。これは重複性を持たせた複雑な内部構造のためだった。これに対して緻密な構造でなかった日本経済へは海上封鎖と空爆が大被害を上げている。複雑性は弱点をカバーするのだが、経済体制がデジタル化されている今は攻撃は容易になっている。
だからといって戦争がサイバー領域に発展することにはならない。デジタル戦は民生部門より軍事部門が中心となろう。米中両国は情報収集と攻撃能力の接点をあぶりだし妨害を試み、敵の目をつぶそうとするだろうが、同時に敵の目を通じて状況を把握しようともするはずだ。サイバー攻撃と「リアルの」軍事作戦を統合調整することに成功した陣営が勝利するだろう。
どんな結末になるのか
米中戦が終結の姿については多数の著述があるが、2030年の戦役の具体的開戦理由が不明のままでは両陣営の動きを予想できない。2030年時点でも米国の産業基盤や政治決定能力を恒常的に脅かす通常兵力を中国が整備しているとはきわめて考えにくい。他方で米国が一方的にPRCを圧倒するシナリオも考えにくく、仮にそうなっても政治面での危機状態は永く残るはずだ。勝利は展開中の軍事力を先に破壊することにかかっており、効果的な強襲作戦か消耗戦のいずれかになろう。
封鎖作戦も決定打にならない。中国のエネルギー消費は2030年には今より増えているだろうが、この戦略的弱点を補強する動きも強まっているはずだ。ロシアからのパイプライン増設や代替エネルギー開発でPRCは米国との対決に耐える力を入手するだろう。トランプ政権による貿易戦争で世界経済に悪影響が発生しなくても対外貿易が弱体化すれば中国にとって最大の経済試練となる。
いずれにせよ2030年の米中戦争では慎重な外交が必要となり、戦闘は21世紀通じた対立の第一歩に過ぎなくなるのかもしれない。
結論
専門家多数が米国とソ連間の戦争は不可避とほぼ40年にわたり指摘してきた。いくつか危機があったが実際に大戦は発生しなかった。米中両国が再度武力衝突する可能性もないのかもれしれない。とはいえ両国間の軍事力バランスが今後どう変わっていくかを考えることに価値がありそうだし、双方にどんな機会が生まれるかも想定できる。幸運と腕に恵まれれば両国は2030年でも開戦を回避できるだろうが、両国の立案部門は戦闘勃発の可能性を真剣にとらえておく必要がありそうだ。■
Robert Farley, a frequent contributor to the National Interest, is author of The Battleship Book. He serves as a Senior Lecturer at the Patterson School of Diplomacy and International Commerce at the University of Kentucky. His work includes military doctrine, national security, and maritime affairs. He blogs at Lawyers, Guns and Money and Information Dissemination and The Diplomat.

Image: Flickr

2016年8月4日木曜日

★★RANDが予測する米中戦の壊滅的結果

ここにきて米中開戦想定の記事が米側に増えています。中国国内ではなぜかKFCが襲撃を受けたりと民衆はアメリカへの反発を短絡的に示す一方、解放軍は動きを示していません。中国軍は共産党の機関であり、一部が言うような軍の暴走は考えにくいです。党の指示で機能する組織です。その共産党は今後100年の統治を想定しているはずで、今回の法廷決定を無視するのも大計に立った計画をしているからでしょう。西側が短絡的な動きを示せば北京の思う壺では。


New Report Details Why a War between China and America Would be Catastrophic



August 1, 2016


  1. 米中両国が開戦すれば両国に相当の被害が発生するが、今開戦となれば中国の損失の方が大きい。ただし中国が進める接近阻止領域拒否(A2/AD)整備で、中国有利が2025年に生まれる。それでも中国は米側より相当大きな被害を被るとRANDコーポレーションの最新研究成果が述べている。勝者は誰なのかあいまいになるのは軍事衝突は終わりなき人命損失へ悪化していくからだ。
  2. 「米側の軍事優位性が減少する中で作戦案が実現するか米国にも自信がなくなる」とこのたび出た報告書(David C. Gompert, Astrid Cevallos and Cristina L. Garafola)にある。「中国の交戦能力、特にA2ADが強化されると米国は主導権を握れず、中国防衛網の突破が困難になり、決定的な勝利は得られなくなる」
  3. 中国と開戦となれば戦場は海空が舞台となりそうだが、サイバーおよび宇宙装備が大きな意味を有すると報告書は述べる。RANDは通常戦のままと予測している。「両国とも部隊を広範囲に配備し相互に捕捉追跡し攻撃する能力が高いので西太平洋全体が戦闘地帯になり重大な経済的影響が発生する。」「核兵器使用は考えにくい。損害が極度に多い通常戦でも両陣営ともに核兵器の先制使用による放射能のリスクを恐れるはずだ」
  4. RANDは米国が中国本土を重点的に攻撃する前提としたが、研究員は中国の米本土攻撃手段はサイバーだけを想定した。「中国がサイバー除き米本土を攻撃できるとは考えにくい。中国の通常兵器能力に制約がある」とし「対照的に米国は中国国内の軍事施設を広範囲に攻撃するだろう」
  5. 米中戦は短期集中戦から長期にわたる消耗戦まで多様な形で勃発する可能性がある。双方が先制攻撃の誘惑にかられるはずだ。「センサー技術、兵器誘導技術、デジタルネットワーク他の情報技術で敵軍を捕捉できるので米中が相互に深刻な被害を与えられる」と報告書にある。「このため先制攻撃の手段と動機が生まれる。半面、開戦で双方とも深刻な損害を受ける恐れがあり、軍事的損失や経済費用が発生しても両国とも継戦能力が相当ありともに一方的な主導権は握れないだろう」
  6. 今日の時点なら短期戦も米側は相当の損害を受けるが、中国の損害は壊滅的規模になる。「米中いずれかの指導部が軍に猛攻撃を命じれば、きわめて大規模な戦闘となる」とし、「2015年なら米側の水上艦艇と航空機の損害は空母大破、空軍基地各地の能力喪失と甚大だが、中国の損失は本土でのA2AD体制の破壊含みはるかに大規模になる。数日内に開戦当初の低い米側損失も戦闘継続で拡大するのがわかるはずだ」
  7. 2025年までに中国軍事力はさらに拡大し、多大な損失は甘受できなくなる。「2025年までに米側損失規模が拡大するのは中国のA2ADの拡充によるところが大きい。中国側の損失は一定規模に収まるが、それでも米側損害を上回る。戦闘が長引けばどちらが勝利したか微妙になる」
  8. 長期戦なら損害ははるかに拡大し、両国の残存部隊は悲惨な形になるだろう。「2015年時点でも長期かつ深刻な戦闘が続けば、中国有利と予想される。2025年になると初期戦闘の不明瞭な成果から両陣営ともに大損害が発生することを知りながら戦闘を継続するだろう。そうなると米軍が勝利を収める可能性は現在より低くなるとはいえ、そのまま中国が勝利を収めることには結びつかない」
  9. 上記の場合では人命損失と経済被害が相当発生し、両陣営とも軍備を消耗するかもしれず、ともにその他国の脅威に無防備となる。「米中両軍が目標捕捉と攻撃を行う能力は前例がない規模なので、数か月で装備を使い果たす」とし、「当然両陣営とも補充しながら部隊立て直しを国力を賭けて競うだろうが、要素が多すぎ結果予測は困難だ。とはいえ費用だけ確実に上昇する」
  10. RANDは開戦リスクを下げるため以下提言をしている。


  • 米中の政治指導層トップは即時攻撃による相手陣営破壊以外の軍事選択肢を確保すべきだ
  • 米指導層は中国側と意思疎通手段を確保し、紛争激化の前に事態を鎮静させるべきだ。
  • 米国は中国のA2ADへの攻撃が自動的な実施にならないよう戦闘激化の予防策を作っておくべきだ。「フェイルセーフ」の仕組みを整備すれば軍事行動の前に政治面の承認が必須となる
  • 中国のA2AD効果を減らすため、米国は残存性の高い装備(例 潜水艦)やA2AD対抗装備(例 ミサイル)の開発に注力すべき
  • 米国は主要同盟国と緊急対策案を練るべきだ。特に日本が念頭
  • 戦闘に勝利しても破滅的な結果になると中国に認識させる必要が米国にある
  • 大規模戦を想定し継戦能力増強の必要が米国にある。
  • 開戦後に中国が重要資源や技術を入手不可能にする方策が米国指導層に必要
  • 中国から重要製品の輸入が途絶しても影響緩和する方策が米国に必要
  • A2ADに対抗し米陸軍は陸上配備装備を拡充すべきで、東アジアの米側各国(特に日本)へ防衛力増強、相互作戦能力向上を求め、米中軍事組織間の相互理解、協力へも支援を求め誤解や誤算による危険事態発生を防止する


  1. 戦争が米中双方の利益にならないのは自明の理とは言え、一方の防衛力整備が他方を不安にさせる「トゥキデテスの罠」が発生する。高名なハーヴァードの政治学者の権威グラハム・アリソンが著している。トゥキデテスの罠ではごく普通に行うことが大規模交戦のきっかけになる。台頭する側が既存支配に挑戦すれば、通常なら制御できる危機が雪崩のような反応を呼び、双方が望みもしなかった結果が発生する。アリソンは「戦争は不可避」とアトランティック誌で言い切っている。■
Dave Majumdar is the defense editor of The National Interest. You can follow him on Twitter @DaveMajumdar.