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2025年9月20日土曜日

尖閣諸島をめぐり2025年に日中が開戦すれば勝者はどちらか?(National Security Journal)―中国の戦略思考が尖閣諸島で終わるはずがなく、琉球から九州さらに南鳥島など拡大は必至ですので、日本には強力な抑止力が必要です

 

尖閣諸島をめぐり2025年に日中が開戦すれば勝者はどちらか?(National Security Journal)

An F-15 Eagle fighter jet launches from the runway during RED FLAG-Alaska 11-2 July 15, 2011, Eielson Air Force Base, Alaska. The F-15 Eagle forms part of the Japan Air Self Defense Force fighter-interceptor aircraft inventory used to engage hostile aircraft. (U.S. Air Force photo by/Staff Sgt. Miguel Lara)

2011年7月15日、アラスカ州エイールソン空軍基地で開催された「レッドフラッグ・アラスカ11-2」で、F-15イーグル戦闘機が滑走路から離陸する。(米空軍写真/ミゲル・ララ曹長)

要点と概要 

中国が尖閣諸島周辺で計画的に行っている海警局の侵入は、大規模かつ接近した行動により支配を既成事実化することが目的だ。

-しかし日本は迅速な共同行動のため再編成を進め、琉球諸島全域に長距離対艦ミサイルを分散配備、第5世代戦闘機と早期警戒機の拡充、トマホークミサイルの追加配備により致死的な抑止網を構築する。日米同盟は現在、空母・海兵隊沿岸連隊・ISR/長距離火力による明確な防衛網を示し、防衛態勢を強化中だ。

-限定的な衝突では、海上保安庁・海軍・航空監視の迅速な融合が日本に有利に働く。

-長期戦は海上での血みどろの膠着状態に向かう傾向がある——それでも、中国に永続的な足場を与えず、紛争を封じ込めれば日本の「勝利」となる。

2025年に尖閣諸島戦争となれば、その様相は?

中国海警局の巡視船は尖閣諸島周辺海域を頻繁に巡回し、日本及び同盟国の決意を試している。中国側の計画的な侵入行動は、衝突の火種となるリスクを孕む——例えば、衝突事故、日本漁船への乗船・拘束の試み、あるいは放水から警告射撃へエスカレートする武力行使など、全て「法執行」を装い行われる。疑問は自ずと浮かぶ。衝突が起きた場合、どちらが勝つのか?米国は介入するのか?現状を踏まえると、答えも自明だ:尖閣諸島をめぐる限定的な戦闘では、日本が勝利する可能性が高く、ワシントンの積極的な軍事支援が得られるだろう。

まず中国が好むバランスから見てみよう。係争海域や激しく争われる海域では、北京は「数」に頼る——海上民兵と戦域海軍に支えられた大型海警局船で、敵対国の船舶を威嚇し押し退ける。規模と地理的優位性により、日常的には中国が有利だ。

現状のままならば、この持続的な圧迫により、日本が管理する無人島周辺での中国の「行政」行為が常態化する可能性がある。しかし均衡は変化した。東京は共同・迅速な意思決定体制を再編し、まさにこの南西諸島における緊急事態に備え、陸海空軍を統合する恒久的な共同作戦指揮センターを設立した。意思決定の時間は短縮されている。

火力と射程も変化している。日本は琉球列島沿いに長距離ネットワーク化対艦ミサイルを分散配備し、国内システムの射程を千キロメートル級に強化した。信頼性ある反撃手段としてトマホークを大量に購入中だ。極超音速滑空ミサイル計画も進展している。早期警戒機、給油機、拡大する第五世代戦闘機の展開範囲が、地域のセンサー・シューター網を強化している。

その結果、懲罰が約束され島嶼周辺の海域は短時間で死の海域と化す。

これら全ては、過去10年間で最も明確かつ誤解の余地が少ない同盟態勢に組み込まれている。米国は繰り返し確認している:日米安全保障条約は尖閣諸島に適用される。日本における前方展開態勢は近代化中だ。

空母打撃群が横須賀に母港を置き、沖縄に展開する第5世代戦闘機は航空戦力の持続可能な構成への移行を加速させ、海兵隊沿岸連隊が第一列島線内での感知・射撃・機動を目的に配備されている。合同演習では、日本本土から運用可能な長距離海上攻撃能力を備えた陸上発射システムが実証された。これらの要素のいずれも勝利を保証するものではないが、総合的に警告時間を短縮し、指揮系統を強化し、初日からエスカレーションの連鎖を引き起こさず、中国の水上艦隊を脅威下に置く手段を多様化する。

紛争の思考

では、尖閣諸島をめぐる対立に「勝利」するとは何を意味するのか?

中国にとっての勝利とは、島嶼と周辺海域に対する永続的な支配または実効的な共同管理を確立することである。すなわち、旗を掲げ、沿岸警備隊の防護網の下で前哨基地や恒常的な存在を維持し、日本に新たな常態を受け入れさせること——同時に米国の決定的な介入を阻止することだ。日本にとっての勝利とは、いかなる占拠や共同管理も阻止し、継続的な行政支配とアクセスを維持し、再発の威圧的試みを魅力のないものにする代償を課すことである。理想的には、地域全体に広がる無期限の紛争を引き起こさず達成される。これらの目標は非対称的である:中国は現状変更と権威の主張を求め、日本は現状維持と信頼性の確保を求める。

この基準で見た場合、結果はエスカレーションの段階に依存する。北京がエスカレーション閾値をわずかに下回る行動(例えば沿岸警備隊による臨検)に留めるなら、中国の規模と地理的近接性が最初の数分間の戦術的優位をもたらす。

しかし東京は、自国の海上保安庁で反撃しつつ即座に海軍・航空部隊を動員する態勢を、2年前より強化している。中国が勝利する道は、日本の躊躇に依存する。日本の勝利への道は、センサー・法執行船・軍事監視の迅速な融合により法的解釈を逆転させ、侵入者の作戦リスクを高めることにある。

中国軍が迅速な占拠(上陸・国旗掲揚・日本のエスカレーション挑発)を試みた場合、決定的な問題は東京が即座に当該海域を「受け入れがたい致死性」の領域とできるかとなる。分散配備された対艦ミサイル、E-2D早期警戒機、F-35近代化F-15が共通の作戦状況下で運用され、同盟国の情報・監視・偵察(ISR)、給油機、長距離火力支援が即時投入可能となれば、その答えは「可能」へと傾く。達成可能な目標は「制圧」ではなく「阻止」——北京が挑発を持続的支配へ転換するのを防ぐことだ。この限定された枠組みにおいて、日本が先制かつ断固たる行動を取れば優位に立つ。

悪化の一途をたどる…

衝突が数日あるいは数週間に及ぶ海空戦に拡大した場合、地理的条件は中国に有利に働き始める。中国軍機・艦船の行動圏が縮小し、東シナ海の狭隘な海域で戦う同盟軍にとって出撃持続の計算が困難になる。

しかし第一列島線に形成されつつある「殺傷網」——日本のスタンドオフミサイル、米沿岸部隊、空母航空戦力、陸上砲火が織りなす網——は、中国海軍の大規模水上艦隊を絶えず脅威に晒し続ける。

予想される結果は、見事な勝利ではなく、海上での膠着状態だ:損傷した艦船、双方の航空機損失、そしていずれの海軍も島嶼周辺を自由に活動できない状況。上記の定義に照らせば、この膠着状態は日本の「勝利」に見える。なぜなら、日本の行政支配が維持され、北京に永続的な足場を与えないからだ。

米国は支援するか?法的回答は「はい」、政治的回答も「はい」である。作戦上の回答は既に戦力態勢と計画に表れている。初期段階では、日本軍との連携によるISR(情報・監視・偵察)、兵站、電子戦、長距離火力支援を重視する動きが予想される。加えて、いかなる法的・行政上の口実にも対抗するため目に見える存在感を示すだろう。

発砲事態が発生した場合、ワシントンは主要な西太平洋基地を擁する同盟国が、条約で明示的にカバーされる島々を巡って屈辱を受けることを許さないだろう。

同時に、米指導部は紛争を短期間かつ局地的に抑えることを目指す。エスカレーションリスクを低減するためであり、また時間軸が圧縮された状況では、拒否作戦が防衛側に有利となるためである。

結論:楽観は禁物

いずれも完全な勝利を意味しない。尖閣諸島には住民もおらず、本質的な価値も乏しい。その重要性は、支配権が東シナ海における勢力と決意をどう示すかにこそある。

だからこそ、日本主導で同盟を基盤とした拒否戦略が正しい目標となる:いかなる占拠も即座に阻止し、戦域全体にわたる作戦を回避し、強制的な改変の代償を利益を上回るものとするのだ。

東京が即座に行動し、ワシントンがセンサー、射撃装置、鋼鉄で対応すれば、北京にとって尖閣諸島での最善の日は、依然として望ましくない日となるだろう。

侵略の最も確実な結果が征服ではなく、攻撃者を以前よりも悪い状況に陥らせる、多大な犠牲を伴う失敗である場合に抑止力は有効である。■


The Japan-China Senkaku Islands War of 2025: Who Would Win?

By

Andrew Latham

著者について:アンドルー・レイサム博士

アンドルー・レイサムは、平和外交研究所のシニア・ワシントン・フェロー、ディフェンス・プライオリティの非居住フェロー、ミネソタ州セントポールにあるマカレスター大学の国際関係学および政治理論の教授を務めています。X: @aakatham で彼の投稿をフォローすることができます。彼は、ナショナル・セキュリティ・ジャーナルに毎日コラムを寄稿しています。


2022年7月7日木曜日

尖閣諸島周辺での中国、ロシアの気になる動き。外交(だけ)で平和は守れると奇妙な主張をする野党に不利なニュース。参院選挙での与党圧勝を後押しする効果になるか。憲法改正を妨害する野党には消えてもらいたい。

  

ロシア、中国両国の海軍部隊の活動が尖閣諸島周辺に展開した。防衛省

 

 

西太平洋で中国とロシア両国の活動が活発化しており、尖閣諸島付近で中国の作戦がより頻繁になってきたと、日本政府が27日に発表した。

 

岸信夫防衛大臣は、尖閣諸島の現状を変えようとする中国のいかなる試みにも日本は断固として、かつ冷静に対処する、と述べた。

 

中国が釣魚島、台湾が釣魚台と呼ぶ尖閣諸島は、台湾の北東約186キロ、沖縄の西約410キロに位置する無人島群であり、日本が実効支配しているが、中国と台湾双方が領有権を主張している。

 

岸大臣によると、月曜日午前7時44分頃、人民解放軍海軍のフリゲート艦「Jiangwei II」が尖閣諸島の魚釣島南西を通過した。中国艦船が尖閣諸島の接続水域に入ったのは、2016年、2018年、先月とあわせ4回目となった。国際法では、軍艦含むどの国の船舶も、国家の安全を脅かさない限り、沿岸国の領海の航行が認められている。米国も、中国が支配するパラセル諸島を自国艦が通過する際に、同じ権利を主張している。

 

岸大臣は、ロシア海軍のSteregushchiy級コルベット艦一隻も月曜日に魚釣島周辺の接続水域を航行したと付け加えた。

 

松野博一内閣官房長官は、火曜日の記者会見で、ロシア艦は台風8号を避けて同地域にいた可能性があると述べた。長官はまた、中国沿岸警備隊2隻が火曜日未明に尖閣諸島内の領海に接近し、日本漁船に接近したと述べ、日本はこれらの行為について中国へ外交的な抗議を行ったと述べた。

 

記者会見でロシア艦の名前は特定されなかったが、土曜日と火曜日の防衛省統合幕僚監部(JSO)発表では、ロシアのコルベットRFS Gremyashchiy(337)が尖閣諸島付近を航行したとある。

 

土曜日に発表された統合幕僚監部の声明では、ロシア海軍の艦船3隻が金曜日に八重山諸島の与那国島の南方を航行しているのが目撃された。各艦はその後、与那国島と西表島の間を北東に航行したと、同声明にある。JSO公表の写真に見える艦番号から、ロシア艦は駆逐艦RFSマーシャル・シャポシニコフ(543)、コルベット艦RFSグレミャーシチー(337)、補給艦ペチャンガであると確認されている。JSOは、マーシャル・シャポシニコフと グレミャーシチーが、6月15日から日本付近で航行中のロシア水上艦隊7隻の一部と明らかにした。また、海上自衛隊の補給艦「ましゅう」(AOE-425)と、那覇基地の第5航空集団のP-3Cオライオン海上哨戒機が、ロシア艦を監視したと発表された。

 

防衛省は月曜日、PLANフリゲート艦をCNS懐化Huaihua (566) と特定する画像を発表し、護衛艦 JS あぶくま (DE-229) が 監視していたと発表した。

 

JSOは火曜日に、ロシア艦3隻が月曜日に尖閣諸島の久場島と大正島の間の海域を北上して出た後、北東に向かい東シナ海を航行するのを目撃した、と発表した。発表では、「あぶくま」、「ましゅう」、駆逐艦「しらぬい」(DD-120)、第5航空集団のP-3Cオライオンがロシア艦を監視したとある。

 

また、JSOは同日午前4時、宮古島の北東120kmの海域で北西に航行するPLANの東調級情報収集艦(艦番号794)を目視し、その後、宮古海峡を北西に通過して東シナ海に出たと発表した。発表では、「東調794」が6月12日に対馬海峡で目撃されていると指摘し、同艦が日本の本州と九州をほぼ一周したことを示す地図を提供した。同じく発表では、駆逐艦「せとぎり」(DD-156)と掃海艦「くろしま」(MSC-692)、海上自衛隊鹿屋基地所属の第1航空集団P-1海上哨戒機、第5航空集団P-3Cオライオンが同艦を監視していたことが記されている。

 

その他の動きとして、駆逐艦CNS呼和浩特Hohhot(161)、フリゲート艦CNS岳陽Yueyang(575)、補給艦 CNS駱馬湖 Luomahu(907)から成る PLAN 第40中国海軍護衛機動部隊は、火曜日朝に中国国防省のニュースポストによると、広東省の湛江Zhanjiang母港に戻った。洋上展開は172日、約 90,000 海里の航海、と発表にある。PLAN は 2008年以来アデン湾に海賊対策の護衛任務を定期的に派遣している。6 月8日よりの今回の派遣には駆逐艦CNS蘇州Suzhou(132)、フリゲート艦CNS南通Nantong(533)補給艦CNS巣湖Chaohu(890)が含まれる。■

   

Chinese Navy, Air Force Active Near Senkaku Islands, Says Japanese MoD - USNI News

By: Dzirhan Mahadzir

July 5, 2022 2:26 PM

 

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About Dzirhan Mahadzir

Dzirhan Mahadzir is a freelance defense journalist and analyst based in Kuala Lumpur Malaysia. Among the publications he has written for and currently writes for since 1998 includes Defence Review Asia, Jane’s Defence Weekly, Navy International, International Defence Review, Asian Defence Journal, Defence Helicopter, Asian Military Review and the Asia-Pacific Defence Reporter.


2021年1月31日日曜日

米議会調査局報告書に見る南シナ海、東シナ海での米国国益の視点。こうした調査活動が米議会での審議のもとにあることに注意。翻って日本の国会議員はなにをもとに議論しているのでしょうか。

 米議会は精緻な言葉が展開される世界ですね。プロの調査部門から出てくる各種報告にもれなく目を通す議員が集まり、知的な議論が繰り広げられているようで、門限時間を超えた飲食に目くじらをたてる、言った言わないの押し問答を続ける某国議会と雲泥の差があります。議員が勉強したところで限界があるので、専門領域はプロの調査部門に任せるほうが効果的なはず。党派に影響を受けないプロの調査部門が国会にも必要と思います。US Naval Institute Newsからの記事です。



 

2021年1月28日、議会調査局が「南東シナ海における米中戦略競合状態及び議会の課題に関する報告書」を発表した。

以下報告書からの抜粋。

 

国際安全保障面で大国間競合状態の再来とされる中で、南シナ海 (SCS)が米中両国の戦略競合の舞台になっている。SCSでの両国の競合状態からトランプ政権は中国へ対決姿勢を強め、インド太平洋地域を自由で開かれたインド太平洋(FOIP)の状態にするとした。

 

近年の中国のSCSでの行動としては、広範囲に人工島を構築し実効支配するスプラトリー諸島で海軍力によりフィリピン、ヴィエトナム含む近隣諸国に対し自国主張を強硬に主張する動きがあり、SCSが戦略、政治、経済各面で米国ならびに同盟友邦各国にとって重要な海域なため、中国がSCSで実効支配を確立する懸念をもって米国は注視している。中国海洋部隊が東シナ海 (ECS) で日本統治下にある尖閣諸島で展開中の行動にも米国は懸念を持って観察している。中国がSCS、ECSとあわせ黄海の近隣海域を支配すれば、インド太平洋地区ほか各所で米国の戦略・政治・経済各面の権益が損なわれかねない。

 

SCS、ECS双方での米中戦略競合で、米国の目標は次のとおり。条約国の日本、フィリピンを含み西太平洋における米国による安全保障の意思を完遂すること、同盟国・協力国を巻き込んだ米主導による西太平洋の安全保証の枠組みを維持強化すること、域内で力の均衡を同盟国・協力国を含み米国に有利な状態を維持すること、紛争の平和的解決原則を守り、国際問題での『力による解決』の応用へ抵抗すること、航行の自由原則を守ること、中国が東アジアで覇権国の座につくのを阻止すること、広義の米安全保障の一環として以上の各目標を希求し、中国と戦略的に対抗しつつ両国関係を制御することがある。

 

SCSおよびECSを舞台とする米中戦略競合状態での米国の個別目標として以下があるがこれに限定されるものではない。SCSではこれ以上の基地構築を進めさせず、SCS実効支配拠点へこれ以上の人員、装備、補給品搬入を断念させること、SCSスカボロ礁での人工島構築あるいは基地構築を断念させること、SCS内で陸塁を中心とする直線的な中国の領有権主張を撤回させること、SCSに防空識別圏(ADIZ)を設定させないこと、ECSにおいては尖閣諸島での中国海洋武力を削減あるいは撤退させること、フィリピンの実効支配下にあるスプラトリー諸島拠点への圧力をかける行動を中止させ、フィリピン漁民にスカボロ礁あるいはスプラトリー諸島での操業を容易にさせること、米国や西側の海洋交通の自由原則を採用させ、2016年のSCSをめぐるフィリピン対中国の仲裁裁判所裁定を受け入れさせ遵守させることがある。

 

米議会の課題は以下の通り。バイデン政権のSCSならびにECSにおける対中競合戦略がトランプ政権の方向性と異なるのか、バイデン政権の採択する戦略が妥当かつ正しい裏付けがとれているのか、また議会として戦略、実施用の資源のいずれかあるいは双方を承認、棄却、修正すべきか、である。

 

この記事は以下を再構成し人力翻訳でお送りしています。市況価格より2-3割安い翻訳をご入用の方はaviationbusiness2021@gmail.comへご連絡ください

 

Report on US-China Competition in East, South China Sea - USNI News

January 29, 2021 9:26 AM


2017年2月21日火曜日

北朝鮮対策を中国に頼むために米国の譲歩はやむを得ないのか 


この論文を書いた方はひどく頭の良い方のようで論調はきわめて冷徹で日本には考えたくない可能性にも触れていますので、普段から主張が日本第一の方は以下お読みになっても当方は責任を負いかねます。ただ、読んでいてあまり地政学がわかっていない方だな、中国に宥和的だなと感じ一方、取引の材料があれば中国が動くと見るところは甘いなと感じたことはご報告しておきます。こうしてみると本当に北朝鮮が厄介な存在だとわかります。韓国も米国から見れば価値観を共有できない国なのでしょうか。

The National Interest

How the U.S. Can Win Over China and Silence North Korea


February 17, 2017

北朝鮮が弾道ミサイルテスト実施に踏み切ったことで米国には改めて中国に平壌に圧力をかけさせ挑発行為を防止する期待が高まっている。米政界・政策立案部門には経済制裁他各国が一致すべき措置に中国がおよび腰なのに不満と怒りが高まっている。
その裏には中国が北朝鮮に多大な影響力を有しており、同国こそ平壌に言うことを聞かせられる唯一の国との考えがある。ニューヨーク・タイムズのコラムニスト、トム・フリードマンは中国が北朝鮮に断固たる意向を一回示せば同国の望ましくない行動はただちに止まるはずだと述べている。
中国が北朝鮮に最も影響力を有するのは疑う余地はないし、北朝鮮向け食料エネルギー供給の大部分は中国が提供している。供給ストップや減産すれば北朝鮮はただちに混乱する。
ただし米側は中国の影響力を過大評価しがちで、中国が抜本的対策を取らないと実現しない。また実施すれば中国にもリスクが増える。北朝鮮が不安定となれば、大量の難民が中国との国境に向かい、韓国へも殺到するだろう。もっと悪い可能性は自暴自棄になった北朝鮮指導部が軍事冒険主義に出ることで、これは各国が防ぎたいと考えるシナリオだ。
北京にもハイリスク戦略の選択は魅力あるものと映るだろうが、米政府関係者や有力指導者は中国に断固たる措置を期待している。だが米関係派には外交政策とは慈善行為と程遠い存在であると理解する必要があり、中国の外交政策が慈善行為だったことは一度もない事実を理解する必要がある。
では中国にもっと強硬策を選択させ北朝鮮による受け入れがたい行動を事前にやめさせるべくワシントンが譲歩しても良いものはなんだろうか。4つの選択肢がある。
台湾
中国が事実上独立国となっている台湾に民進党大統領が2016年に生まれて以来、一層不満を感じているのは明らかだ。ドナルド・トランプも大統領就任前に中国の懸念を高めた。前例のない電話会談を蔡英文総統としたためだ。トランプはその後報道機関取材で米国は「一つの中国」政策に束縛されないと語っている。その後、発言内容を修正しており、習近平主席には既存政策の変更はしないと述べている。
ただし北朝鮮に対する中国の具体的行動を引き出すためなら米国は現状維持にとらわれないだろう。出発点はリチャード・ニクソンが署名した1972年の上海合意で、米国は台湾を中国の一部だと認めている。政策変更を実施すれば大きな譲歩となる。米国は台湾向け武器輸出を漸減させると甘言を持ち出せばよい。北京はこれに抵抗できないはずだ。
実際にはこの実施は困難だ。台湾は強い民主国家であり、ワシントンが今後も西太平洋に海軍力を投射していくのであれば同国の地理条件は戦略上重要だ。台湾支持派の議員は多く、米政界全体も同様なので台湾政策の変更には相当の抵抗が出る。譲歩なら難易度の少ない選択肢を選ぶはずだ。
南シナ海
ここ数年中国が進めている南シナ海での広大な野望に関し米中間の対立が深まっている。中国は歴史に根付いた主張とし、およそ8割の海域を自国領土だとする。この二三年で事態を悪化させてたのは中国が人工島を建設し軍事装備を搬入していることで、滑走路まで建設した。
周辺各国も領有権を主張している中でこの動きは緊張を招くばかりだが、米国も関与せざるを得なくなっている。米政府は国際海域を中国領海に変更させようという中国を懸念している。中国がこの動きを続ければ南シナ海の航行を中国が支配してしまうと米国は考え、世界で最重要の通商航行路の保全を懸念する。
米海軍はいわゆる航行の自由作戦を数回実施し、中国の野望をワシントンが傍観出来ないと示してきた。オバマ政権は公式には中立をうたいながら事実上「中国は除く」姿勢で領有権主張を見ている。
では米国が南シナ海でどんな譲歩ができるか。まず、ワシントンはあくまでも中立の姿勢を示すことだ。これは言葉の上だけにとどまらず、次に航行の自由作戦を縮小または中止する。その後中国へ中国が航行の自由を脅かさないかぎり、米海軍は南シナ海でのプレゼンスを維持しないと伝える。この政策方針の変更には中国の意図を正しく理解するのが前提だ。が、中国は輸出大国として海上交通路の妨害で得るものはないので危惧されるようなリスクはないと主張している。ただし南シナ海での譲歩がどうなるかは見えてこない。譲歩しても北京が北朝鮮に強い態度に出ることはないだろう。
東シナ海
三番目の可能性は米国が東シナ海を巡る日本支持を自ら撤回する譲歩だ。中国が同地で求めてきた目標は2つだ。一つは防空識別圏の設定で通過飛行する航空機は総て中国へ報告を求めているものの、米国はじめ同盟各国は公然と中国が実力で防空圏を運用することに反対の姿勢を示している。
もう一つの目標は論争になりそうだ。中国は尖閣諸島の領有権を主張している。同地は無人の岩だらけの島にすぎないが、周囲の海域は豊富な漁業資源がある。また石油他鉱物資源の存在の兆候もある。日中間の緊張は何度となく高まってきた。
どちらの側が歴史的に同地を歴史的に領有主張できるのか明白ではないが、日本が現在は支配している。ワシントンも日本の立場を尊重し日米安全保障条約の適用範囲に尖閣諸島も含まれるとの立場だ。ジェイムズ・マティス国防長官も直近の訪日でこの点を明確にした。
だがワシントンは簡単にともに譲歩してしまうかもしれない。中国の防空識別圏設定で死活的に失うものはなく、むしろ空の安全が実現するならそれで良いと判斷するかもしれない。国籍不明機が飛んできて中国が警戒するのはとくに軍用機が近隣基地から飛来する際の警戒心は理解できる。そこでこの点で譲歩があれば北京の北朝鮮政策にも大きな変化が期待できる。
そうなると尖閣諸島問題でも米国の立ち位置は大きく変わってしまうかもしれない。ワシントンが同諸島のために自国の安全を危険にするのは愚かなことだ。一旦米関係者から今後は日米安保条約は同島に適用しないと声明し、今後は厳密な中立的立場をとると発表すれば北京は北朝鮮関係も見直しに動くのではないか。
韓国
最後だがもっとも重要な政策変更可能性がある。ワシントンが韓国との関係を見直すことだ。中国は圧力をかけすぎれば北朝鮮が不安定になるのを恐れるだけでなく、読めない戦略構図が生まれることも懸念している。中国にとって北朝鮮は頭にくる、かつ危険なほど不安定な同盟国だが、領土上はその他米国の影響下にある地域との干渉地として重要だ。
仮に北朝鮮が内部崩壊した場合、北京は南北が軍事統一を米国の後ろ盾で実現する可能性に向かわざるを得ない。その場合は現在は北朝鮮となっている国内にも米軍基地ができる可能性に中国は直面するだろう。ワシントンが言葉の上でそのような行動は取らないと述べても中国には懐疑的になってしかるべき理由がある。ソ連崩壊で一方的に利益を得たのは米国であり、その後のロシアの弱体化につけこんでNATOはロシア国境近くまで拡大しているではないか。今やワシントンがそのような国に部隊や装備を配置している。
口約束では不十分で少なくとも米指導層は書面による保証を出す必要があるはずで、統一朝鮮が出現した場合にはそのような行動は取らないと示すことだ。それがあれば北京は平壌に強硬態度に出てもリスクを甘受できよう。だがワシントンが魅力的な提案をするとすれば、韓国から全米軍部隊を撤退すると中国と合意することだ。具体的な撤退期日を示すことだ。米韓同盟関係の基礎は北朝鮮の存在が唯一の理由であり、脅威が消滅すれば同盟の存続理由もなくなり、米軍のプレゼンスを維持する意味がなくなる。また仮に北朝鮮が存続できる場合でいまよりものわかりのよい脅威度の少ない国家体制になった場合、ソウルは自国のみで脅威を抑止する効果を十分持つことになる。
無論のこと、以上の選択を米国がとれば、大きな物議を引き起こすのは必至だ。だがワシントンが北朝鮮の核兵器開発、弾道ミサイル装備導入を防げなかったのは大失策だ。米国は東アジア内の同盟各国と厳しい選択に直面している。核武装した北朝鮮と共存を迫られても、このまま行けば北朝鮮は米本土の攻撃手段も手に入れるだろう。あるいはワシントンは北朝鮮の脅威を減らすことが可能な唯一の国の気を引いてついに意味のある行動を引き出すことができるかもしれない。だが北京を各国協調行動に引き出すには相当の条件が必要となる。もし米指導層が必要な犠牲を甘受するつもりがないのであれば、中国の不作為を非難するのはやめるべきだ。
Ted Galen Carpenter, a senior fellow at the Cato Institute and a contributing editor at the National Interest, is the author of ten books on international affairs, including (with Doug Bandow) The Korean Conundrum: America’s Troubled Relations with North and South Korea (Palgrave Macmillan).

2017年2月18日土曜日

★米中武力衝突は不可避なのか、でも尖閣諸島が理由ではたまらないというのが米国の考え方



日米安全保障の適用対象だと尖閣諸島問題を楽観視する向きがありますが、意味のない戦いにわざわざ米国が参入するとは考えにくいですね。尖閣さらに沖縄への中国の関心が気になりますが、西側陣営は中国の力が変な方向に行かないようにソフトな封じ込めが必要です。米側がすでに対中戦シナリオを検討しているのは明らかですが、結局そのような事態が発生しないよう祈るばかりです。ただし、自由と独立が侵される事態には黙っていられませんので、結局軍事衝突が発生するのでしょうか。考えられない事態にも備えておくべきですね。

The National Interest

Are the Senkaku Islands Worth War Between China, Japan and America?

More like World War III.
Japanese F-15DJ. Wikimedia Commons/Creative Commons/@Cp9asngf

February 12, 2017


  1. 大規模戦闘は時として小さな事件から始まる。第一次大戦ではドイツの「鉄血宰相」オットー・フォン・ビスマルクが欧州大戦は「バルカンでの馬鹿げた出来事」から勃発すると正確に予見していた。そのとおり王族の暗殺事件をきっかけに欧州で大戦が始まり、世界規模に拡大した。
  2. 発足したばかりの米共和政がカナダ国境をめぐる主張で英国を脅かしメキシコ派兵で領土権を主張した。成熟度を増した米国はその後フィリピン独立勢力と長い戦闘を繰り広げ、米西戦争で獲得した新領土を守ろうとした。
  3. 同盟関係から戦争への道が早まることもある。ロシア、ドイツの支援を当て込んだセルビアとオーストリア・ハンガリー帝国は無謀にも1914年夏に妥協の余地を見せなかった。柔軟性を示したところで開戦は避けられなかったが、同盟を後ろ盾に柔軟性をなくせば開戦は確実だ。
  4. 歴史を見ればアジア太平洋地区の領土争いに危険がひそんでいることがわかるが領土主張の対象地点で開戦に値するものは皆無だ。それでも一世紀前のサラエボのような発火点になる可能性はある。ジム・マティス国防長官は日本訪問で米政府が日本の主張をしっかりと賛同していると示し危険度を引き上げた。
  5. 尖閣諸島を中国(PRC)は釣魚諸島と呼ぶが無人の岩だらけで無価値の場所だ。だがその位置から漁業、航海、資源上での効果が期待できる。国民感情も増大している。日本政府が実効支配中だが中国も権利を主張している。北京の言い分は南シナ海の場合よりは理にかなっていると見るが、日本は領土問題そのものが存在しないという立場だ。
  6. このためPRCが自らの「権利」を主張すると対立につながる戦術しか道が残されていない。日本政府の2012年尖閣の直接管理で国家主義者の抗議に先回りした格好だが、当時でも緊張が高まっていた。翌年に中国が防空識別圏に同島を入れたものの、今までのところADIZは象徴的に留まっている。PRCは近隣で漁業・石油掘削もおこなっており、沿岸警備部隊を現地に送り中国の活動を守っている。
  7. 日本もオバマ政権時に安保条約で同地が含まれるとの言質をとり一安心し、譲歩の余地なしとの姿勢だ。マティス長官も同様に明確な発言をした。長官は日本防衛への米国政府の支援にとどまらず、以下発言している。「両国の長期政策のうえで尖閣諸島の位置づけを明確にした。米国は今後も日本による同島の統治を認め、日米安全保障第五条の適用対象であるとも認識する。」言い換えれば、日本の主張を米国が擁護するということだ。
  8. PRCは鋭い反応を示した。米国は「問題を複雑化し域内情勢を不安定化することは避ける」べきだと中国外務省報道官Lu Kang陸慷が発言した。同報道官は日米安全保障条約は「冷戦時の産物であり中国の主権および正当な権利を侵害してはならない」と述べた。
  9. ただでさえギスギスする空気にさらに火を注いでいるのは両陣営に開戦は避けられないとの見方があることだ。たとえば、一年未満前にトランプ陣営の戦略専門家スティーブ・バノンは「疑いなく」「南シナ海で今後5年から10年で戦争になる」と述べていた。バノンは中国側が「しゅんせつ工事で不動空母を作り、ミサイルを運び込んでいる」と不満を述べている。尖閣諸島は南シナ海の一部ではないが同じ原則が適用されるだろう。
  10. さらにレックス・ティラーソン国務長官は資格確認公聴会で開戦一歩前に聞こえる発言をした。長官は「中国には明確な意思を示す必要がある。まず人工島造成をやめさせ、次に各人工島へのアクセスもできなくさせる」と述べ、これを武力で行えば戦争行為となるのは明らかで米国も例外ではない。
  11. このような見解に政治上層部は態度を明確に示していない。中南海にいる中国最上層部は気軽に所見を放送で示さない。ただし、ユーラシア・グループのイアン・ブレマーの意見では「中国政府はトランプ政権との直接対立の危険に憂慮している」とし、習近平主席は容赦無い圧政をしても理屈が通る実際主義者のようだが中国の「中核」的権益を放棄するつもりはない。さらに国家主義者や古い考えのままの左翼勢力が経済政策では意見を異にしつつ米国への不信では共通している。
  12. 双方に見られる開戦が不可避とする考えが現実のものになる可能性はある。第一次大戦の勃発前にはヨーロッパの高官は戦争が近づいているとの実感があった。そのような層には1914年8月の開戦を受け入れることに抵抗はなく、勝利はすぐに手に入ると思っていた。
  13. 米中戦の場合は、そのような感情から軍事支出の増加にはずみがつきそうだ。トランプ政権は米国の重要権益に脅威がないにも関わらず軍事支出増を狙っている。むしろ軍の増強は中国を筆頭に他国への干渉を行う実力を増やすだけだ。
  14. そうなるとPRCもさらに反応を強める口実が生まれる。米国が自国の中核的権益を脅かしていると(立場が反対なら米国も同じことを言うだろう)主張する。米国が近隣に軍部隊を増強すればPRCも対応する。マティス長官の訪日のあとで中国は尖閣諸島に軍艦三隻を派遣している。危険な衝突の可能性もそれだけ増える。
  15. ワシントンにはもっと強い対応を主張する向きがあり、PRCは弱く米国は一層有利だとし、同盟国多数が強力な軍部隊を展開できるというのだ。このとおりなら軍事衝突は早期にでも発生するのが避けられなくなる。
  16. 武力対決が数年間に続くことになるかもしれない。米国は自国領土、国民、憲政、経済の仕組みを守ることが大きな関心事だが、中国はいまのところそのいずれでも脅威となっていない。米国は各同盟国の独立を守ることにも大きな権益を有しており、アジア太平洋の航行の自由でも同様だ。今のところPRCはいずれにも挑戦していない。
  17. ワシントンが東アジアでは中国国境までの支配を維持することを有利と考えるのは当然だろう。だがそれとアメリカ自身の権益を守ることは別だ。航行の自由と同盟各国との安全保障の維持にはそのような支配は絶対条件ではない。さらに重要なのは米国政策は中国の「中核的」国家権益ともろに衝突することだ。もし中国が米東海岸で同じような立場を表明し、カリブ海までを支配すると述べたら米国はどんな反応をするだろう。また中国を敗戦に追い込めるとの想定があっても助けにはならない。その代償が高すぎるのだ。中国は米国より急速にミサイルや潜水艦を建造できる。中国国民は本土防衛となれば一致団結するだろう。アメリカから見れば遠隔地での戦争に巻き込まれることを忌避したくなるのは当然で米政府の思い通りに展開しないかもしれない。
  18. さらに米国は直接影響のない地域の同盟国からの支援を頼りにする。日本は米国の「航行の自由作戦」には参加しないと明言している。稲田朋美防衛大臣は「マティス長官には日本は米国による航行の自由作戦を支援すると申しあげたが自衛隊の派遣はない」と述べている。
  19. 最後に米国が「勝利」しても同地には敵対感情が長期にわたり残るのは必至で将来再び衝突が発生するのは確実だ。大戦二回でドイツは世界秩序に組み入れられた。これを「わずか」二回と見るべきか、ただし二回目の終了でドイツは東西に分断されている。PRCが国家として崩壊する可能性はあるが、実際にはそうなりそうもない。軍事で敗北すると国民感情に火がついて結局中央集権体制が強化されることがある。
  20. 共産党支配の体制は崩れるだろう。だがその反動でもっと強圧的な政府が生まれるのであり、民主政は期待薄だ。また民主国家といっても国家主義や国民に媚びを売る政策に走る可能性の方が高い。不可避と言われる「第二次中米戦争」がワシントンに有利な形になるのかわからない。第三回目もありうる。戦闘とは犠牲多数で得る物は少ないことに米国は気づくだろう。それが戦争だ。こんな体験はアメリカとしても回避したいところだ。
  21. 米政府として開戦したら発生する犠牲を中国に自覚させ、領土問題に端を発する問題は平和的に解決すべきと伝えるべきだ。同時にトランプ政権は同盟諸国に自らの対処や場合によっては交渉そのものも不要にしかねない空小切手を切るべきではない。小切手を現金化すると大変な結果が生まれることがある。帝政ドイツがオーストリア・ハンガリー帝国を支援したことで欧州は第一次大戦の深みに入ったのだ。
  22. 尖閣諸島に日中両国にとって大きな重要性はないし、米国にとっても同様だ。だが地政学ゲームの度胸試しという危険な遊びの中心として日中戦争が再び始まる可能性はあり、その結果も悲惨になるはずだ。またもし事態が米中戦争に発展すれば、その結果は予め想定することもかなわない。ドナルド・トランプ大統領は中国の野望と力が増える中でこうした危険を忘れてはならない。■
Doug Bandow is a senior fellow at the Cato Institute and a former special assistant to President Ronald Reagan.
Image: Japanese F-15DJ. Wikimedia Commons/Creative Commons/@Cp9asngf