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2024年9月14日土曜日

ドイツ軍艦が数十年ぶりに台湾海峡を航行へ(Warrior Maven)―海上自衛隊が通過航行(無害通航)を総理大臣から命じられる日はいつ来るのだろうか

 




20年以上ぶりにドイツの軍艦が台湾海峡を航行する

中国はこの動きを非友好的と見ている


   ドイツの雑誌『シュピーゲル』によると、フリゲート艦バーデン・ヴュルテンベルクと補給艦フランクフルト・アム・マインが今月中旬、韓国からインドネシアに向かう途中で台湾海峡を通過する。  

  同誌は情報筋の話として、ベルリンはこの作戦を日常的なものと考えており、北京に正式に通知するつもりはないとしている。

   当然のことながら、中国は満足していない。同国の外務省は、計画された通過に反対を表明した。

   同省報道官は、中国は中国と国際法の下で他国が船を航行させる権利を尊重すると述べている。しかし同時に、「関係諸国が航行の自由という旗印で中国の主権と安全を挑発し、傷つけることには断固反対する」と述べた。

   中国がドイツの動きに驚いているわけではない。2隻は5月7日に始まった世界一周航海の途中だ。出港する前から、北京は台湾海峡を通らないよう警告していた。

   シュピーゲル誌によれば、このミッションはドイツ政府内で議論を呼んだ。国防省と外務省は通過を支持したが、首相官邸は当初、難色を示したという。

   昨年春、ドイツのボリス・ピストリウス国防相は、インド太平洋を戦略的にますます重要な地域と呼び、「地域的なパートナーシップを強化し、この地域における信頼できるアクターとしての地位を固めたい」と述べた。

   中国の共産党が運営する英字紙『環球時報』は、ドイツ軍艦の通過について、「米国のアジア太平洋政策に対する筋力強化の動きであり、うなずきであると見られるだろう」と述べている。

   台湾に関する中国の標準的な反応は、台湾問題は中国の内政問題であるというものだ。


   今年初め、中国が台湾と本土の統一に抵抗する人々への不満を強調したため、台湾周辺の空で武力示威が行われた。6月に台湾付近を飛行した中国軍機の数は、ここ数年ではるかに多かったと言われている。

   うち一部は台湾海峡の中央線を越え、台湾の東部と南西部の防空識別圏(ADIZ)に入った。  

   一方、アメリカは台湾への武器売却を強化し、台湾が3億ドル相当の無人機を購入できるようにした。同時にワシントンは、台湾が1700発のTOW 2B対戦車ミサイルと100基の発射台を受け取ることを許可した。■


German Warships to Steam Through Taiwan Strait, First Time in Decades

For the first time in more than two decades, German warships reportedly will sail through the Taiwan Straits – a move that China sees as unfriendly. 

September 9, 2024

https://warriormaven.com/sea/german-warships-to-steam-through-taiwan-strait-first-time-in-decades


2024年1月7日日曜日

ドイツが防衛戦略を大転換し、ロシア国境に5000人規模の部隊を派遣するのはなぜか。世界は現実の地政学で動いている。日本はどうか?

 

平和ボケですっかり国防力の基礎が弱体化して他人事ながら心配を招いていたドイツですが、現政権は現実を直視して、政策を大幅に方向転換しているようです。日本でも着実に準備は進んでいるといいたいところですが、沖縄県知事のように司法判断へ公然と半旗を翻し、現実世界の直視を頑なに拒む勢力がいるうちは安心できませんね。Warriror Maven記事からのご紹介です。



ヨーロッパの不安定な地政学的情勢に対応する戦略的軸足として、ドイツが軍事的プレゼンスと即応態勢を大幅に強化中だ。今回の決定はロシアの潜在的脅威が背景にあり、ドイツの防衛戦略の根本的な転換を意味し、安全保障とNATO防衛コミットメントへのアプローチが大きく変わろうとしている。▼ロシア国境近くに大規模な軍事力を配備するというベルリンの決定は、ウクライナで進行中の紛争とロシアの脅威に対する直接的な反応である。▼約4800人のドイツ軍と民間人200人が、ロシアからわずか100キロ(62マイル)のリトアニアに駐留させるのは、NATOの東側で、より積極的な指導的役割を担おうというドイツの決意を強調するものだ。▼ボリス・ピストリウス Boris Pistorius独国防相の発言が、今回の配備の緊急性を浮き彫りにしている。2027年までに予定されている第42戦車旅団の全面配備は、ドイツがこの戦略的に極めて重要な地域に戦闘旅団を展開する必要性を示している。▼しかし、構想には課題もつきまとう。▼たとえば戦車大隊第203部隊は、ウクライナに寄贈された戦車に代わる新しいレオパルド2戦車を運用するが維持費用は、毎月2,500万ユーロから3,000万ユーロと見積もられている。▼また、1,000億ユーロの特別基金が枯渇すると予測される2027年以降の長期的な資金の持続可能性についても疑問が生じる。▼ドイツの防衛戦略には、軍事費と近代化の著しい増加が含まれている。▼オラフ・ショルツ Olaf Scholz首相は、ドイツの再軍備を約束し、兵器調達の強化に特化した大型基金を設立した。▼この1000億ユーロの基金は、冷戦後に大幅な縮小を経験した連邦軍を若返らせるのが目的だ。▼F-35戦闘機やCH-47Fチヌーク・ヘリコプターなどの調達が計画されており、2025年から2030年にかけて納入される。▼ドイツ軍の現状は、約18万人の現役兵士と戦車300両(半分は運用されていないと言われている)を抱えており、迅速な近代化の必要性を裏付けている。▼ドイツの近代化加速化計画には迅速な調達戦略が含まれており、暗視ゴーグルや防護服のような高度な個人装備を3年以内に各兵士に装備させる。▼世界的な軍事技術のトレンドに沿って、ドイツ軍はAI、サイバー戦争、軍用モノのインターネットInternet of Military Things(IoMT)などの最先端技術の統合に注力し、作戦の有効性とデータ・セキュリティを強化する可能性が高い。▼さらに、軍用ロボット・自律システム(RAS)の採用や、既存のレオパルド戦車を2A7仕様にアップグレードすることは、堅牢で技術的に進んだ防衛システムを維持するドイツのコミットメントを示している。▼今回の軍事政策の転換は、ドイツ連邦軍の役割と欧州防衛におけるドイツの地位を再定義することが目的の、より大きな「ツァイテンヴェンデ」"Zeitenwende" 戦略の一環である。▼十数年ぶりの改定となる新政策は、ドイツを欧州の集団防衛と抑止力で極めて重要なプレーヤーとして位置づける。▼これは、ドイツ軍をドイツと同盟国の防衛に集中させてきた冷戦後からの大幅な変化を意味する。▼欧州防衛においてより顕著な役割を担おうという意欲は、NATO機構内での備え、近代化、集団防衛の重要性を強調している。■


Germany Sends 5,000 Troops to Russian Border - Warrior Maven: Center for Military Modernization




2022年5月27日金曜日

ウクライナ支援が浮き上がらせたドイツ連邦軍のお粗末な状態。予算増額で覆るか。日本にとっても他人事ではない。

 Hi, What Are You Looking For?

 

 

 

 

ドイツ軍は将来の紛争に準備できていない

ドイツは、ウクライナへの軍事兵器供給の取り組みを強化するヨーロッパ諸国に加わったが、今週、ベルリンは対空装甲戦闘車ゲパルトFlugabwehrkanonenpanzer Gepard (Flakpanzer Gepard) の引き渡しは7月になると発表た。

 

 

19FortyFive

 

 ウクライナは援助に感謝を示しているものの、納入に少なくとも6週間かかるというベルリンの姿勢は、ウクライナの一部議員に受け入れ難いようだ。

 「7月とは "どういうこと?"という感じです」。ウクライナ議会のアナスタシア・ラディナAnastasia Radina議員は、世界経済フォーラムでロイター通信に語った。「こんな感じです。生まれたばかりの赤ちゃんと一緒に粉ミルクもない地下室に座らされたままの母親にとって7月とはどのくらい先に感じるでしょう?」

 ウクライナへの送付が遅れている理由のひとつは、ドイツ連邦軍に同車両用の弾薬が不足していることがある。このことは、ベルリンが最初に公約した際に分かっていたようだ。

 ゲパルトは全天候型自走式高射砲で、1960年代に開発され、1970年代に実戦配備された。最新の電子機器を搭載するなど改良され、2010年までドイツ軍の防空装備の基幹として活躍した。

 退役した各車両は10年間、倉庫に保管され、ドイツは35mm弾薬を「わずかな在庫」しか維持していなかった。実際、ドイツ政府関係者が「弾薬多数が見つかり、ついにウクライナに対空火砲車両ゲパルトを送ることになった」と述べたのは今週になってのことだ。

 ある軍事産業関係者は、匿名条件でロイターに語り、ウクライナに兵器を送るのは「利用可能な弾薬があって初めて意味がある。それは最初から誰の目にも明らかだった」と言っている。

 

連邦軍のお粗末な現状

ドイツ連邦軍は第二次世界大戦の終結から10年後に創設され、冷戦時代には世界最大級の規模と設備を持つ軍隊となった。しかし、ベルリンの壁が崩壊し、ソビエト連邦が崩壊すると、状況は一変する。ドイツは友軍に囲まれ、残念な状態に陥ったまま何年も経過した。

 ロシアがウクライナへ無謀な侵攻を開始し、この問題を口にする勇気ある関係者がやっと出てきた。

 アルフォンス・マイス中将Lieutenant General Alfons Maisは、ロシアが攻撃を開始した日にLinkedInへ投稿し、「41年目の平時勤務で、まさか戦争を経験することになるとは思っていなかった」と述べた。「栄光のドイツ連邦軍は、手ぶらの状態で立っているにすぎない。政府が提供できる同盟支援の選択肢は極めて限られている」。

 この発言はベルリンの権力中枢に響き渡り、2月27日、新たに選出されたオラフ・ショルツ首相は、ドイツ防衛のため1000億ユーロ(約1070億ドル)の特別基金を公約し、転換点、すなわち‘zeitenwende’をスタートさせた。

 同基金によって、ドイツの国防費は今後4〜5年で増加し、NATOが義務づける国内生産の2%に達するだろう。また、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)のデータによると、ドイツ国防費は米国、中国に次ぐ世界第3位の規模となる。

 だがドイツ議会は特別基金をまだ可決していない。

 「ドイツは二度と軍事大国にならないはずだった」と、議会国防委員会の責任者で、ショルツの3党連合のジュニアパートナー自由民主党(FDP)のマリー・アグネス・ストラックツィマーマンMarie-Agnes Strack-Zimmermannはロイターに述べた。「軍事面でリーダーシップを発揮するよう求められているのです。ドイツ国民は考え方の変化を求められています」。

 誰も帝国時代(1871-1918)の軍国主義ドイツを見たいとは思わないし、ナチスドイツ(1933-1945)とも似ても似つかないはずだが、同盟国同志国の多くは、NATOへ一層の肩入れをドイツに望んでいる。使えない武器をウクライナに提供する約束は望んでいないだろう。■

 

'Sorry State': Germany's Military Has Been Exposed Thanks to the Ukraine War - 19FortyFive

ByHarry KazianisPublished2 hours ago

 

Now a Senior Editor for 1945, Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He regularly writes about military hardware, and is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com. Peter is also a Contributing Writer for Forbes.


2021年8月3日火曜日

ドイツもインド太平洋に海軍艦艇を派遣。フリゲート艦バイエルンは本国を出港し、長距離航行を開始した。

 ドイツが派遣するのは一隻だけで寂しい気持ちもありますが、フリゲート艦とはいえなかなかの艦容を誇る艦のようです。各国と協調するといいつつ、中国とは微妙な一線を守ろうというドイツの姿勢が各国にどう受け止められるのでしょうか。

The German navy's Brandenburg-class frigate Bayern set sail for the Indo-Pacific on Aug. 2, 2021. (German navy photo)


 

イツ海軍はインド太平洋海域にフリゲート艦一隻を派遣し、開かれた海上交通路と国際法の順守へ向けたシグナルを送る。(ドイツ海軍報道発表より)

 

南シナ海へ派遣されるのはバイエルンで、ドイツ政府は昨年公表したインド太平洋ガイドラインを遵守する。同地区の戦略的重要性が増えていることを考慮している。

 

「より強力な防衛安全保障協力を他国と実現し、オーストラリア、日本、南朝鮮、シンガポールの各国との協力関係を強化していく。「世界の貿易量の9割超が海上輸送されており、特にインド太平洋を経由している」と同ガイドラインは特記している。こうした海上交通路や付随するサプライチェーン各種を安全に守り維持する必要がある。

 

「わが国の繁栄は世界各地の活動で実現している。アジアでの結果が直接影響してくる。わが国旗を掲げた艦艇を同海域に派遣することを嬉しく思う」とドイツ国防相アネグレ・クランプ-カレンバウアーが述べている。

今回派遣が決まったフリゲート艦バイエルンは21世紀の地政学的中心地への関与をこれまで以上に深めるドイツの意図を伝える手段になる。各国との協調を通じドイツ連邦共和国はルールに基づく国際秩序を守る動きに加わる意思を示す。

 

「世界の海洋は全世界のものだ」とドイツ海軍作戦部長カイ-アキム・シェーンバッハ大将は述べ、インド太平洋内の領土をめぐる対立に触れ、ドイツは大切な提携国の側に立つとした。ドイツは世界規模の経済繁栄とともに国際社会での権利を守る側に立ち、決して後ずさりしないとした。

 

同時にドイツは南シナ海での対決は選ばないとした。「通常の通商航路をいかなる国でも利用可能とする」と同大将は述べた。

 

フリゲート艦バイエルンが乗組員230名とともに2022年2月までの期限で派遣される。同艦は8月2日に母港ヴィルヘルムスハーフェンを出港する。同艦はNATOのシーガーディアン作戦と地中海で支援するほか、アフリカの角地区ではEUによるアタランタ海賊対策をそれぞれ支援し、北朝鮮国連制裁の監視にも加わる。

 

同時に友邦国等との合同演習も展開し、戦略的パートナー国のオーストラリア、日本、南朝鮮との協力も深める。

 

ブランデンブルク級フリゲート艦とは

German Navy picture

 

ブランデンブルグ級はF123級とも呼ばれ、フリゲート艦4隻を建造済みで対戦作戦(ASW)に主眼を置きながら対水上艦戦、対空戦闘(ASW)もこなす。艦名はブランデンブルグ(F215)、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン(F216)、バイエルン(F217)、メクレンブルク=フォアポンメルン(F218)があり、1994年から1996年にかけ就役している。

 

技術諸元Technical specifications

全長: 139 m (over all)

全幅: 16.7 m

喫水: 6.3 m

排水量: 4,900 t

速力: 29 knots

推進方式: Type CODOG

Sensors: 1 × 多機能レーダーSMART-S; 1 × 対空監視レーダーLW 08, 有効距離 260 km; 2 × 火器管制レーダー STIR 180; 1 × DSQS-23BZ 艦首ソナー; 1 × 映像赤外線追尾用v MSP 600; 1 x EK system FL 1800 S (電子偵察/電子戦用)

2 ×航法レーダー

兵装: 76mm主砲x1、27mmMLG海軍軽量機関銃x2,

12.7mm銃x4、RGM-84ハープーン発射機x2、垂直発射装備VLS Mk41対空ミサイルNSSM、ESSM兼用発射機x1、RIM-116RAM発射機x2、軽量魚雷Mk46用発射管x2、囮発射機x4

 

乗組員214名

 

German Navy To Deploy A Frigate In Indo-Pacific Region For The First Time Since 2016

Martin Manaranche  30 Jul 2021


2020年12月30日水曜日

ドイツ軍がここまで弱体化したのは政治の責任だ。安全保障における軍の役割を軽視すればこうなる。日本も他山の石とすべき。

 

 

 

ルリンのドイツ政府は自国の安全確保も放棄したのだろうか。ドイツ軍の予算不足の状態には驚くしかない。ドイツ軍には戦車、航空機はまともに機能しない装備で一杯だ。

 

今日のドイツ軍は連邦軍と呼ばれ第二次大戦終結10年後に創設された。冷戦の緊張が高まり、東ドイツ、チェコスロバキア、ポーランドに駐屯するソ連軍のプレゼンスが西ドイツ国防軍の創設につながった。

 

連邦軍は世界有数の規模、装備に恵まれた軍に成長し、陸軍師団12個、戦闘機材数百機、水上艦艇、潜水艦を備えた。

 

冷戦が終結し、赤軍が東欧から撤退し欧州の安全保障環境に追い風が吹いた。東ドイツ国防軍と連邦軍が統合され国軍となった。艦艇、機材、装甲車両は75%削減され、国防予算はどんどん低下した。現在のドイツはGDP比1.2%を国防に費やし、NATOが求める2%と差が開いている。

 

 

連邦軍の即応体制の劣化を伝える記事多数が出ている。固定翼機、ヘリコプター、車両で運用中止多数が発生しているのは交換部品不足が原因で稼働率は50%を割る状況だった。

 

ドイツ軍の装備品には世界有数の威力を有するものがあるが、同時に直面する課題にも相当のものがある。以下、正常に作動すれば相当の威力を発揮するものの予算を十分受けていない、あるいは別の問題を抱える5例である。

 

ユーロファイター・タイフーン

英仏独伊西の5カ国が1980年代に共同開発したのが将来型ヨーロッパ戦闘機材FEFAで、これが1994年にユーロファイター・タイフーンになり、ドイツは2003年より導入した。

 

第4世代機ではユーロファイターはおそらく最強の存在だろう。機敏な操縦性、強力なエンジン、AESAレーダー、赤外線探索追尾センサー、AMRAAM、サイドワインダー両ミサイルを搭載する同機は手強い相手だ。対空対地攻撃能力はさらに進化し、非誘導爆弾、レーザー誘導爆弾、トーラス巡航ミサイルを搭載する。

 

ドイツは当初180機導入の計画だったが、2014年に一部キャンセルし、143機にした。2014年10月時点で飛行可能な機材は42機で残りは部品不足で地上に置かれていた。同時に搭乗員の年間飛行時間を半減する扱いにしたのは機体が不安定になる現象への対応だった。

 

ユーロファイター・トーネード

これも英伊独の共同開発で生まれた戦闘機で、低空高速で敵地侵入する構想のトーネードは世界最後の可変翼軍用機だ。ここでも冷戦終結で予算不足状況が続いている。

 

ルフトバフェはIDS(制圧深部侵入型),ECR(電子戦偵察型)を導入し、冷戦時はワルシャワ同盟側の標的特に航空施設の攻撃を任務とした。ドイツ再統一後のトーネードはコソボやアフガニスタン上空で偵察任務についた。

 

ドイツ空海軍で357機を導入したが、冷戦終結で削減され、2025年以降も供用の方針だが、予算不足のため2014年8月時点で89機中稼働可能機材は38機しかなかった。

 

レパードII主力戦車

1970年代にレパードIの後継としてクラウスマッフェイ重機械が開発したレパードIIはドイツ軍の主力戦車だ。戦後ドイツの戦術方針で速力と火力を最優先し、高機動戦車としてヨーロッパ戦場の状況変化に対応する装備品となった。初導入は1979年で、現在も稼働中だが、配備数があまりにも少ない。

 

最新のレパードIIA7は2030年代も視野に入れ、120mm滑腔砲の長砲身型、熱探知装置第3世代型、複合材防御の強化、補助動力だけで電子装置の運用が可能といった特徴を有する。

 

レパードII生産数は2,125両で戦車師団、機械化歩兵師団の12個には十分といえる。冷戦終結と国防予算削減でドイツは戦車部隊のほぼ9割を削減し、現在の連邦軍には225両しかない。

 

G36強襲小銃 

1990年代に連邦軍はヘッケラー&コッホG3小銃を廃止し、G36強襲小銃を導入した。NATO標準5.56ミリ銃弾、30発弾倉、統合光学照準を採用したG36でドイツ歩兵部隊の戦力は増強され軽量化が実現したはずだった。176千丁を調達した。

 

ところが連邦軍はアフガニスタンでG36の命中精度の劣化に気づく。G36は連続射撃で精度が下がる問題があるとわかったが、平時には現れない現象だった。それでもこの問題がなぜ早期に見つからなかったのか理解に苦しむ。

 

国防相ウルスラ・フォン・デア・ライエンは連邦軍は同小銃を用途廃止すると発表した。国防省はHK417強襲小銃600丁の調達を発表した。これもヘッケラー&コッホ製である。

 

371装甲擲弾大隊

装甲擲弾部隊とは連邦軍の機械化歩兵部隊のことでは900名編成の9個大隊に歩兵戦闘車両とMILAN・パンツァーファウスト3対戦車兵器を配備している。

 

この内マリエンブルグ駐屯の371装甲擲弾大隊が2014年にノルウェーでNATO演習に加わった。NATOの迅速展開部隊に指定の同大隊でピストル、暗視装置の不足が露呈した。MG3機関銃が不足し、箒を黒く塗り代用品にした。さらにもっと悪い事実がわかった。同大隊は他部隊から合計14,371点もの装備品を借用していたが、それでも一部装備品に不足があったという。

 

優先度が高いNATO部隊でも装備品14千点が不足というのは連邦軍の内部にある問題が深刻な証拠であり、同盟各国へのドイツの貢献度も疑問視される。■

 

この記事は2015年初掲載された以下を再構成したものです。NATOサミット開催にあわせ発表します。

 

Why Is Germany's Military Weak?

December 27, 2020  Topic: Security  Region: Europe  Blog Brand: The Reboot  Tags: GermanyMilitaryNATOGerman MilitaryRussia

by Kyle Mizokami

 

Kyle Mizokami is a defense and national security writer based in San Francisco who has appeared in The Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and The Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami. This first appeared earlier and is being reposted due to reader interest.


2018年11月5日月曜日

★納入したばかりの装備が使えない、ドイツ軍装備品が大変なことになっている理由とは

ドイツ連邦軍の装備が悲惨な状態にあることはかねてからお伝えしているとおりですが、事態はさらに深刻なようです。根本には予算削減があるようですが、安全保障に対するヨーロッパの考え方がまちがっていたのではないでしょうか。ロシア、イラン他が全然手綱を緩めない間にヨーロッパでは新世紀とともに国防支出を削減してしまったためでしょう。しわよせが整備や部品の不足で表れているのでは。ヨーロッパでは自前防衛装備設計の優秀さを誇りながら、生産が追い付かず挙句の宛にはここにきて米製装備の採用が増えているようです。その結果、地場の防衛産業は衰退するでしょう。日本にも良い教訓になりそうですね。

Brand-new German tanks, helicopters need improvement before deployment ドイツ軍新型戦車、ヘリコプターで配備前に重整備が必要な事態へ


Deutschland Bundeswehr Truppenübungsplatz (picture alliance/dpa/H. Hollemann)

イツで2017年納入ずみの大型装備品で稼働前に整備が不要だったのは39パーセントにとどまったと国防省が報告している。
連邦軍へ納入済みの戦車、戦闘機、ヘリコプター多数が稼働できない状況と国防省が発表。納品98品目で完全に作戦投入可能なのは38のみと判明した。
納品済み装備の品質は「改善が必要」と国務相ペーター・トーバーが述べた。トーバーはアンヘラ・メルケル率いる保守政党キリスト教民主党(CDU)で幹事長を務めていた人物だ。
これは野党議員の質問に答える発言だたがドイツ軍がノルウェーでのNATO演習で即応体制に国防相ウルスラ・フォン・デア・レイエンはじめ関係者から疑問が出ている中での質疑となった。
ドイツDPA通信社配信のトーバー答弁では連邦軍装備の7割が常時稼働可能状態と述べている。2017年にはわずか39パーセントしかだった。「以前と同様、業界には契約通りの性能諸元の実現を可能な限り迅速にお願いしたい」
だが心配なのがエアバスA400M軍用輸送機とプーマ歩兵戦闘車両(写真上)だ。後者はドイツのクラウス-マッファイ・ベグマン(KMW)とラインメタル・ディフェンスの共同事業体が2010年から納入中だ。
エアバスはA400Mを「最高性能かつ実績実証ずみの輸送機で21世紀の最新技術で現在さらに将来の軍のニーズにこたえる機体」と豪語していた。
装甲車両の共同事業体はプーマでは乗員が「最新鋭の防御技術で守られる」と述べていた。
DPA調べで作戦投入可能なのは昨年度納入のピューマ71両のうち27両、A400M8機中半分、ティーゲル戦闘ヘリコプター7機のうち2機、NH90輸送ヘリコプターでは7機中4機のみだ。ユーロファイターは昨年4機が納入されたが使用可能なのは1機しかない。残る機体は主コンピュータの換装中だ。
「ユーロファイターで残る3機の稼働許可は間もなく下りる」とトーバーは議会で答弁した。
これに対し野党議員はフォン・デア・レイエン国防相が「防衛産業のだらしなさを放置し、そのつけを納税者に回している」と非難。

6月にフォン・デア・レイエン国防相は議会へドイツ国防予算の増額を求め、冷戦後の予算削減で保守整備が不十分になり、交換部品入手も困難になっていると危機を訴えていた。■