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2025年9月27日土曜日

独仏共同開発の第6世代戦闘機FCASでの両国決裂はまもなく現実になる(National Security Journal)

 

独仏共同開発の第6世代戦闘機FCASでの両国決裂はまもなく現実になる(National Security Journal)

FCAS Fighter

FCAS戦闘機のモックアップ。クリエイティブ・コモンズ。

要点と概要 – ドイツが仏独西共同FCASの代替案を検討しているとのポリティコ報道が出て新たな疑問が浮上している:第2フェーズ前にパリとベルリンが決裂したらどうなるのか?

-FCASの核心は次世代戦闘機の分担と主導権争い(ダッソー対エアバス)に加え、ドイツが共有しないフランスの空母/核要件がある

GCAP戦闘機。画像クレジット:クリエイティブ・コモンズ。

- 離脱は非対称的となる:フランスは第6世代戦闘機を製造する主権的ノウハウを有するものの予算逼迫に直面。ドイツは資金はあるが戦闘機設計基盤が不十分だ。

- オプション(GCAPへの合流またはスウェーデンとの提携)は影響力が限定的になるか新たなリスクを伴う。

最悪の場合、欧州が競合戦闘機3型式の推進で、発注が分散、コストが急騰、能力開発が遅延する。

フランスとドイツがFCASステルス戦闘機計画で決裂したらどうなるか?

今年9月、ポリティコが報じた。ドイツ空軍が連邦議会に対し、フランス(およびスペイン)との共同プロジェクトである第6世代ステルス戦闘機の開発・配備から離脱する選択肢として、英国やフランスとの代替提携の可能性を検討するよう説明した。フランス航空宇宙大手ダッソーの常に好戦的なCEOは嘲笑した。やりたければやってみればいいと。

この波紋は、フランスとドイツが共同で進めている未来戦闘航空システム(FCAS)プログラムが開始されて8 年目に生じたものだ。

10月に開催される FCAS 参加国の国防相会議は、不満を解決し、FCAS をフェーズ 2(有人実証機の設計および製造)に進める最後の機会となるかもしれない。今週火曜日、ドイツのボリス・ピストリウス国防相は、スウェーデンとの最近の協議は FCAS に関するものではなく、早期警戒機「グローバルアイ」の購入に関するものであると否定した

とはいえ、2026年初めまでに合意に達することができないと、フランスとドイツは、ついに代替案を検討しなければならないほど、状況は深刻となる。

400 億から 600 億ユーロと推定される驚異的な開発費用を分担する機会を失うことは、すべての関係者にとって大きな後退となる。

しかし、離婚の結果は非対称となる。経済低迷に苦しむフランスは、単独での開発費用を賄うためにさらに苦労するかもしれない。しかし、フランスには、次世代戦闘機や高推力ターボファンエンジンを独自に開発するため既存の技術基盤がある。一方、ドイツは巨額の富を持ちながらも、そうした基盤がない。

FCAS対GCAP

ドイツとフランスは2017年に自国のタイフーンとラファールを2040年までに代替するステルス戦闘機を開発する目的でFCASを開始した。スペインは2019年にFCASに加盟し、ベルギーは2023年に資金提供を行うジュニアパートナーとなった。

Tempest Fighter from BAE

テンペスト戦闘機。クリエイティブ・コモンズ。

技術的には、FCAS(フランスではSCAF)は以下の構成要素を持つ:フランスのダッソーが開発中の次世代戦闘機(NGF)、エアバスの「リモートキャリア」と呼ばれる忠実なウィングマンドローン、そしてスペインのインドラが開発する統合戦闘クラウドである。3カ国はエンジン開発を分担する予定だった。

FCAS発表から1年後、英国は独自の第六世代戦闘機計画を始動させた。技術的にはFCASと命名されたが、通称「テンペスト」として知られる。これは後にグローバル戦闘航空計画(GCAP)と呼ばれる英伊日コンソーシアムへと発展し、2035年までの実戦配備を目指している。

GCAP Fighter

BAEシステムズ製テンペスト戦闘機

テンペスト/GCAPが計画された技術革新や機体コンセプトについて長年にわたり好意的な報道を生んできた一方で、FCASに関するメディア報道は主にフランスとドイツの継続的な対立に焦点を当ててきた。

FCASでフランスとドイツが合意できない理由

要因多数が絡むが、主な争点は航空大手ダッソーとエアバス間の対立である。有人次世代戦闘機(NGF)のプロジェクト主導権と作業分担——すなわち、各国が購入を約束した機体において、どの国のメーカーが最大の作業を担い最大の利益を得るか——をめぐる意見の相違だ。NGFはFCASにおいて最も困難かつ高コストな要素である。

ドイツとスペインは、作業分担の均等な分割と設計委員会における同等な影響力を望んでいる。しかしダッソーは、中核となるNGF戦闘機の製造責任を担う当事者で、かつフランスは単独でそれを実現できる専門知識を有する唯一の国として、より適格でありNGFにおけるより大きな作業分担を享受するのに値すると主張している。ドイツ情報筋によれば、ダッソーは80%のシェアを求めており、ドイツ側はこれを生産に対する実効的な主権を放棄するものと見なしている。

ダッソーはまた、委員会主導の遅延を回避するため、FCAS全体ではなくNGF設計委員会の主導権を自社が担うべきだと主張している。フランス側は報道によれば、スペインの参加により委員会がエアバス寄りに2対1で系統的に偏っていると主張している。

設計上の対立もあるとされる。フランスは特に、FCASが空母搭載運用に適していることを強く要求している。フランスは欧州で唯一、米海軍空母と同様のカタパルト発進・バリア着艦(CATOBAR)システムを備えた空母を運用しているためだ。これには頑丈な着陸装置、低速・低高度での操縦性能の最適化、15トン以下の軽量機体構造が求められる。

これに対し、純粋な陸上部隊であるドイツ空軍は短距離滑走路への着陸を重視せず、高高度・高速性能を最適化した重量18トンの重戦闘機を好むと報じられている。

さらにフランスは、核ミサイル(おそらく2035年配備予定のASN4G極超音速スクランブルジェット巡航ミサイル)を装備した航空核抑止任務をFCASに要求している。これはドイツとスペインが恩恵を受けられないもう一つの特徴だ。

しかし、フランスが前身のユーロファイター計画を同様の理由で離脱した経緯を踏まえれば、これらのフランスの非妥協条件はFCAS計画参入時点で100%予想されるべきものだった。

フランスは単独で戦闘機を建造できる。ドイツはできない

フランスは冷戦期に戦闘機多数を開発・輸出してきたが、現行の4.5世代機ラファールを含む大半の設計は外国パートナーなしで行われた。防衛産業の自立維持は歴史的にパリの優先課題である。

対照的に、第二次世界大戦後の10年間、ドイツは軍事航空宇宙産業の復興を許されなかった。しかし1955年に制限が解除されると、イタリア、日本、スウェーデン、英国とは異なり、ドイツのその後の戦闘機計画はすべて外国パートナーを伴った。特にパナビア・トーネードと後継のユーロファイター・タイフーンではイタリアと英国が参画した。

したがって、ドイツのジェット戦闘機産業は提携に依存したままだ。報道によればベルリンはスペインとの単独開発も検討中だが、必要な経験も不足している。ドイツは独立した戦闘機生産産業を再建するために必要な巨額資金と時間を投資できるかもしれないが、政治的意志が欠けている可能性がある。

仮説として、ドイツは有人戦闘機の開発を選択し、国産生産では無人航空機に注力する道もある。これはより実現可能性が高い——とはいえ、欧州ではフランスと英国のみがステルス戦闘ドローンの試作機を製造している。これらが有人ステルス戦闘機に近いうちに代替できるかは不明だ。中国空軍も米国空軍もそうは考えていないようだ。

一方、フランスが防衛自給自足に固執する姿勢は、FCAS計画が失敗した場合でも国内第6世代戦闘機の開発を保証するだろう。ただし、現在の経済・政治情勢が同計画を遅延させる可能性はある。

スウェーデンが救世主になる?

ベルリンは「レース途中で馬を乗り換える」可能性を検討中だ。英国は独自に戦闘機を生産可能で、歴史的にドイツと提携してきた。しかし、GCAPと競合する可能性のある第6世代戦闘機計画を並行して開始するようロンドンを説得するのは、かなり難しい要求だ!英国には余剰資金と産業能力が不足しているだけでなく、GCAPのパートナー国も支持しないだろう。

GCAP 6th Generation Fighter

GCAP第6世代戦闘機。

ロンドンがGCAPをドイツに販売することを歓迎するのは間違いない。将来的にはドイツ専用型での協力提案も可能だろう。

しかし、GCAPへの「買い込み」は、遅れて参入したドイツにとって、せいぜいわずかな産業上の譲歩しか得られない可能性が高い。三カ国コンソーシアムは、大幅な作業分担や技術成果の譲渡を後発国に認めることに強い抵抗を示すだろう。加盟国はまた、GCAP生産が自国空軍の喫緊のニーズに充てられることを確保したいと考えるだろう。

したがって、GCAPを購入した場合、ベルリンが得られる作業分担と最終製品への影響力はFCASよりもさらに小さくなる。プラス面としては、ベルリンは開発コストの負担を回避できるが、これは調達支出が国内産業に利益をもたらさないことを意味する。

スウェーデンは、ドイツのFCAS構想にとって興味深い潜在的なホワイトナイトになれる。フランスと同様に、スウェーデンも独自に第4.5世代戦闘機——サーブ・グリペンE——を開発した。驚くべきことに、その人口はフランスのわずか7分の1強である。確かにグリペンはタイフーンやラファールよりも米国製部品への依存度が高く、特に米国製エンジンを搭載している。かつてスウェーデン製ジェットエンジン(通常は外国設計を基にしていた)を製造していたボルボ・エアロは、2012年に英国企業に売却された。

戦闘機開発コストの急増を考慮すると、スウェーデンも第6世代戦闘機計画「Flygsystem 2020」(2035年生産目標)においてパートナーを必要とする可能性が高い。

テンペスト計画へのスウェーデン参加に向けた初期の働きかけは失敗に終わった。仮説として、ドイツが第6世代戦闘機のパートナー探しにおいてスウェーデンに第二の機会を提供する可能性がある。ストックホルムが専門知識を提供し、ベルリンが資金力を提供することで実現するかもしれない。ただしエンジン設計については、依然として海外調達が必要となる可能性がある。

欧州防衛産業は3種の第6世代戦闘機を同時に支えられるか?

FCAS計画が最終的に2つの別個プロジェクトに分裂した場合、資金不足と専門技術の不足により、各プロジェクトの計画失敗リスクは個別に高まる可能性がある。しかし、後継プログラムとGCAPの双方が成功裏に完結した場合、同じ排他的な市場で競合する第六世代設計が二つではなく三つとなる。これにより各プログラムの収益性確保、単価削減、アップグレード開発資金調達が困難化する。これは輸出される米国製第六世代戦闘機との潜在的競争を考慮する前の話である。

戦闘機の有効性を維持するには商業的成功が不可欠である。輸出受注は単価と生涯維持コストの両面で規模の経済性を向上させる。利益と輸出契約はアップグレード開発も可能にする。

具体例をいくつか挙げよう:

- 米国はF-15EX戦闘機を調達中である。これは四半世紀前に中東諸国へ輸出されたF-15向けに段階的に開発された改良点を統合したものだ。

-規模の経済により、米国は欧州の非ステルス機よりも低コストでF-35Aステルス戦闘機を製造できる(維持コストは残念ながら別問題)。

-1990年代のF-22輸出禁止は、米国発注数が縮小された後、製造基盤の早期閉鎖につながり、痛ましいほど高い単価を招いた。これにより、より旧式のF-22部品のアップグレードにおける費用対効果が制限され、2030年代後半における機体構造の早期計画退役の一因となった。

したがって、欧州の将来の第六世代戦闘機は、欧州の航空戦力と欧州の軍事航空宇宙産業の両方を維持するため、商業的成功、すなわち大量の航空機発注を必要とする。しかし、航空機発注が2機種ではなく3機種の欧州設計に分散された場合、すべての機種で商業的成功を達成することはより困難になるだろう。

FCASを現状維持するインセンティブは依然として強い。今後数ヶ月で、公平性に関する見解の対立を調和させ、FCASをデジタルモックアップから飛行プロトタイプへ移行させるのに十分かどうかが明らかになるだろう。■

Coming Soon: The Great FCAS 6th-Generation Fighter Divorce?

By

Sébastien Roblin

https://nationalsecurityjournal.org/coming-soon-the-great-fcas-6th-generation-fighter-divorce/

著者について:防衛専門家 セバスチャン・ロブリン

セバスチャン・ロブリンは、国際安全保障と紛争の技術的・歴史的・政治的側面について、『ザ・ナショナル・インタレスト』、『NBCニュース』、『フォーブス・ドットコム』、『ウォー・イズ・ボーリング』などの媒体に寄稿している。ジョージタウン大学で修士号を取得し、中国で平和部隊(ピース・コープス)に従事した。ロブリンはまた、『ナショナル・セキュリティ・ジャーナル』の寄稿編集者でもある。




2022年12月18日日曜日

仏独西のFCASは日英伊のFCAS(GCAP=テンペスト、F-3)と同時並行で実現できるのか。仏独間の意見の相違は解消できたのか。

 

European Future Combat Air Program Wants Demonstrators Flying By 2029

Dassault Aviation

新契約は、有人戦闘機含む欧州三国の空戦プログラムの実現に向けた次のステップとなる

ランス、ドイツ、スペインの3カ国政府は、有人型新世代戦闘機(NGF)を含む将来型戦闘航空システム(FCAS)で飛行実証機の開発契約を産業界に発注した。契約は32億ユーロ(現在の為替レートで約34億ドル)相当で、イギリス、日本、イタリアがグローバル・コンバット・エア・プログラム(GCAP)で新型戦闘機を共同開発すると発表して1週間後のことである。

FCASの契約発表で重要なのは、「飛行実証」が2028年または2029年までに達成される見込みだ。しかし、FCASで開発される飛行実証機がどのようなものかは、まだ不明である。NGFで代表される有人戦闘機プロトタイプが含まれるかもしれないが、FCASの多面的な性質から、ドローンや空中発射兵器、その他の空中プラットフォームが含まれる可能性もある。

一方、GCAPプロジェクトでは、2027年までにデモ機を飛行させることが目標だ。

本日の契約は、フランス政府の防衛調達・技術機関であるフランス軍備総局(DGA)が、3カ国政府を代表し締結した。作業は、フランスのダッソー・アビアションエアバスのドイツ部門、スペインのインドラ、含む産業パートナーが担当する。もう一つの主要な産業プレーヤーは、ドイツに本社を置く欧州軍事エンジンチーム(ユーメット Eumet)で、パワープラントを担当する。

欧州軍用エンジンチームが開発中のNGF用エンジン。 Eumet

「ダッソー・アビアシオン、エアバス、インドラ、ユーメットは、フランス、ドイツ、スペイン各国軍の運用ニーズに対応した強力かつ革新的な全欧州兵器システムを開発する決意を反映する今回の大きな前進を歓迎します」と共同声明で宣言した。

契約は、FCASのフェーズ1Bを対象としている。約3年半に及ぶこのフェーズには、より広範な研究・技術(R&T)要素と、飛行実証機そのものおよび関連サブシステムが含まれる。

FCASにはさまざまな頭文字が混在しており、混乱する可能性があることは留意しておく必要がある。また、イギリスには別のFCASがあり、テンペストがそこに含まれ、現在はGCAP(Global Combat Air Program)に組み込まれている。

フランス、ドイツ、スペインのFCASは、2040年頃にこれらの国々が導入する「システム・オブ・システム」を指すとエアバスは、説明している。これには、新規開発技術と、タイフーンやラファール戦闘機、エアバスA330 MRTT給油タンカーなど既存装備との接続が含まれる。フランス語では、FCASはSystème de Combat Aérien Futur(SCAF)とも呼ばれる。

エアバスのコンセプトでは、NGFが衛星ベースのコンバットクラウドを介しリモートキャリアや各種レガシー戦闘およびサポートプラットフォームと接続されている。 Airbus

FCASの最終的構想につながる作業は、次世代兵器システム(NGWS)プログラムでカバーされる。同プログラムでは、新世代戦闘機(NGF)をはじめとする新しい技術が採用される。有人戦闘機は、陸上と空母での運用が可能な戦闘機となる。

NGFはFCASの中核をなすが、具体的にどのような形になるかは未知数だ。2019年のパリ航空ショーで実物大モックアップが公開されたが、これはコンセプトのひとつを示したものに過ぎないと思われ、現在では複数が登場しており、ダッソーとエアバスで構成が違う。

2019年パリ航空ショーの初日に、ダッソー・アヴィアションが発表した「未来の戦闘航空システム」としての「NGF」の実物大模型。ERIC PIERMONT/AFP via Getty Images

ドイツ国防省によると、NGFは特に敵空域での探知可能性を減らすために、ステルス特性を取り入れる計画という。また、同省はNGWSの説明の中で、「高いステルス性能と可能な限りの空力性能のバランスを取る」と述べており、低観測性だけでなく、操縦性や運動性能のトレードオフを示唆している。

FCASが低観測性技術の恩恵を受けることは、2019年にエアバスが初めて公開した極秘事業「低観測性UAVテストベッド(LOUT)」プログラムでテストされたものであることから分かっている。LOUTは、さまざまな異なる低観測性構成を検討し、空力および無響室試験に使用される4トンモデルも含まれていた。現時点でこのプログラムについてわかっていることは、LOUTで飛行する機体が作られたりテストされていない、ということだ。もちろん、FCASではNGFと同様に、よりステルス性の高い様々な無人システムが開発される予定で、LOUT実験が活用される可能性は大いにある。

NGFは、フランス海軍の空母から運用が想定されているため、着艦を可能にする着陸装置や、カタパルト発射装置、アレスター装置など、設計にさらなる課題が加わる。また、空母運用のために機体を強化する必要があり、質量が加わる。さらに、空母運用に最適化するため、飛行翼と制御面の設計に海軍の要求を反映させる必要がある。少なくとも、空母運用型が必要になり、コストとスケジュールが増加する。海軍用NGFは、最終的には2038年に就役予定のフランスの原子力空母「新世代空母」に搭載される予定だ。

ただし、NGFは大きすぎ、フランス海軍の空母シャルル・ド・ゴールに搭載できないと報告されている。新型戦闘機の重量は、フル装備のラファールが約27トンであるのに対し、33トン程度になるようだ。より大きな機体は、かなりの航続距離と、かなりの積載量を内蔵する。

フランス海軍の未来型空母「PANG」の公式レンダリング、航空団にはNGFとラファール双方が搭載されている。 Naval Group.

NGWSには、NGFと一緒に働くように調整された他のシステムも含まれる。リモートキャリア(RC)は、他の有人機と密接に協力して飛行し、さまざまなミッションをサポートする。現段階では、A400M輸送機の母艦に小型RCを最大50機、大型RCを最大12機搭載する想定だ。エアバスによれば、「常にパイロットの制御下にあるものの、高度に自動化された状態で」運用される。

NGF有人戦闘機がリモートキャリアの共同「チーム」と協働する様子を描いたMBDAコンセプトアートワーク。MBDA

NGFジェット機、「忠実なウィングマン」として共同行動するRC、その他の資産はすべて、同じくNGWSの下で開発されているコンバットクラウド(CC)情報ネットワークを通じ連携される。

今月初め、エアバスはA400Mからリモートキャリアの飛行試験機(エアバスのDo-DT25ドローンの代用品)を初めて発進させ、運用を実証した。また、今夏には、戦闘機2機、ヘリコプター1機、リモートキャリア5機が連携して任務を遂行する大規模なマルチドメイン飛行実証実験を行った。いずれも、コンバットクラウドを介し有人機とリモートキャリアなどのアセットをシームレスに統合するFCA構想で、非常に意義のある実験となった。

先日行われたリモートキャリアプログラムのテスト飛行では、A400Mがエアバス社のDo-DT25を改造したRC実証機を発進さた。その後、地上のオペレーターに制御を委ね、オペレーターがドローンに安全にコマンドを送り、着陸させた。Airbus

また、主要3社が「ナショナルコーディネーター」として、各社でワークシェアを分担する方法も、だいぶ見えてきた。フェーズ1Bでは、以下のような領域が割り当てられている。

次世代兵器システム(NGWS)の整合性、実証、統合:エアバス、ダッソー・アビアション、インドラが共同契約パートナーとなる。

新世代戦闘機(NGF):ダッソー・アビアシヨンが主契約者となり、エアバスがドイツとスペインで主要パートナーとなる。

NGFエンジン:ユーメットが主契約者となる。同社は、フランスのSafran Aircraft EnginesとドイツのMTU Aero Enginesが50%ずつ出資する共同事業。スペインのITP Aeroがユーメットの主要パートナーになる。

無人機、リモートキャリア(RC):ドイツのエアバスが主契約者、フランスのMBDA、スペインのSatnusが協力するする。

コンバットクラウド(CC):ドイツのエアバスが主契約者、フランスのタレス、スペインのインドラ・システマスが主契約者となる。

シミュレーション:エアバス、ダッソー・アビアション、インドラ・システマスの3社が共同契約パートナーとして担当

センサー: スペインのインドラ・システマスを主契約者とし、フランスのタレス、ドイツのFCMSを主契約者とする。

低観測性強化(ステルス):スペインのエアバスが主契約者、フランスのダッソー・アビション、ドイツのエアバスが主契約者となる。

共通作業環境:エアバス、ダッソー・アビアション、インドラ・システマス、エウメットの4社の共同契約パートナーとなる。

知的財産権やワークシェアで内紛に阻まれてきたこのプログラムにおいて、各パートナーの産業上の取り決めが決まったことは大きな意味を持つ。

エアバスは、「過去数カ月にわたる話し合いの結果、産業界と3カ国政府協力の基盤を強固に構築できた」と述べており、これらの問題は現在解決されたようだ。

今月初めには、主契約者であるエアバス、ダッソー・アビアション、インドラ、ユーメットが、フェーズ1Bの契約締結への道を開く、全体的な産業合意に達したと報告された。

これまでFCASの作業は、2020年初頭に開始されたフェーズ1Aで実施され、主にR&Tと開発の取り組みとして、FCASの目標を達成するため必要な主要技術の特定が目的で、次はフェーズ1Bで飛行実証機や関連技術として完全に実現される。

フェーズ1Bでは、飛行実証機の実現まで、まだ多くの開発作業が残っている。実証機のうち1機は、NGFの飛行プロトタイプになるのが筋だが、それも確実ではない。GCAPプログラムのデモンストレーターと同様に、米国の次世代航空支配(NGAD)プログラムでも、少なくとも2020年9月以降、実証機が飛行している。

フェーズ1B契約は、FCASにとって正しい方向への大きな一歩だが、その先には深刻な課題も多数ある。

ステルス戦闘機の計画は、その性質上、開発期間が非常に長く、コストも非常に高くなる。GCAPと同様に、3カ国がコストと産業能力を提供することで、スケジュールとコストを管理しやすくなる。しかし同時に、プログラムでは、異なる(相反する可能性のある)国の要求が満たされ、産業パートナーがワークシェアと技術アクセスに満足し続けるようにする必要がある。過去には、これらがFCASの障害となった。また、GCAPで日本が参加したことで、東京資金力を活用するのは非常に賢明な行動に思われる。GCAPに参加する前、日本はすでに新型戦闘機の開発に約400億ドルを投じる想定だった。

イギリス、日本、イタリアが参加するGCAP(Global Combat Air Program)の発表に合わせ公開された公式コンセプトアート。MHI

一方、欧州の空軍指導者には、ライバル関係にある2つのFCASの取り組み(英国主導、独仏スペイン)を融合させるべきとの声もある。

エアバス・ディフェンス・アンド・スペースの前CEOダーク・ホークは、ヨーロッパに2つのFCASを導入する余裕はないと主張しているが、英国は統合の可能性に抵抗があるようだ。

昨年、英国国防省の未来型戦闘航空プログラム・ディレクターであるジョニー・モートン空軍准将は、シェパード・ニュースのティム・マーティンに次のよう語っていた。「フランス、ドイツ、スペインの未来型戦闘航空システム計画に参加するつもりは全くない」。

全体として、ホーク発言は真実だと証明されるかもしれない。ヨーロッパの大国が、競合する2つのステルスジェットプログラムに資金を投入できるか懸念が消えない。

おそらく、多くの野心と技術的なクロスオーバーを共有しているので、少なくとも2つのプログラムのいくつかの要素、例えば武器とセンサーは、最終的に融合するかもしれない。

少なくとも当面は、ヨーロッパで並行して野心的な次世代戦闘機計画が2つ進行する。どちらも、10年以内に飛行実証機を飛行させようとカウントダウンが始まった。■


European Future Combat Air Program Wants Demonstrators Flying By 2029

BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED DEC 16, 2022 3:35 PM

THE WAR ZONE