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2024年8月24日土曜日

常識に反する形態のイラン革命防衛隊向けの「空母」は同国の戦略戦術に沿ったもので、就役すれば嘲笑していられない。ただし、商船船体のため脆弱だ。(The War Zone)

イランの奇妙な「空母」の詳細が新たに判明


商船を改造した「シャヒド・バゲリ」は、傾斜した飛行甲板を備え、奇妙な外観だが、イランが長年開発を続けてきた任務を遂行できる可能性がある

A newly emerged photo provides our best look so far at the unusual layout of Iran’s intriguing drone-carrier ship, the IRGC Shahid Bagheri, including its angled flight deck. Converted from an existing commercial vessel, this so-called “forward base ship” design is definitely topical considering the kind of anti-shipping campaign currently being waged by Iranian proxies in the Red Sea and, according to the U.S., by Iran, increasingly further afield.

スクリーンショット

たに公開された写真により、イランの興味深い無人機空母「IRGCシャヒド・バゲリ(Shahid Bagheri)」の、傾斜した飛行甲板を含む、珍しいレイアウトと建造作業の様子が明らかになった。商業用船舶を転用したこの「前進基地船」は、航空機運用能力を備えたイランの設計シリーズの一環であり、その一部はグローバルプレゼンス作戦さえも想定しているが、真の目的は依然として不明瞭である。

 最新写真の日付は不明だが、同艦は昨年末から、確実に追加の作業が行われている。例えば、飛行甲板にはマーキングが施され、完成度が高まっている。

 イスラム革命防衛隊(IRGC)海軍向けに建造されたシャヒード・バゲリは、コンテナ船ペラリンを転用したもので。もう1隻、シャヒド・マハダヴィの改修も作業中だ。

 一部では「イラン初の空母」と呼ばれる(この主張には嘲笑的な意味もある)は、全長約240メートルのコンテナ船を流用し、飛行甲板と、新しい写真でもはっきりと見える「スキージャンプ」式の離陸用ランプを設置したものだ。

 シャヒド・バゲリが甲板の全幅にわたる構造物をそのまま保持している事実は、従来型の空母の構造を採用できないことを意味する。代わりに、傾斜のついた飛行甲板が、おそらく発進と回収に必要な滑走路の長さを確保している。船首ランプまで延びる角度のついた甲板を追加するには、左舷側に目立つ張り出し部またはフレアを建設する必要がある。下記の衛星画像と比較すると、斜めの甲板には白くペイントされたマーキングが施され、ランプの端まで延びる余白と中心線が示されている。


シャヒド・バゲリの衛星画像では、元のままの構造物が残っているにもかかわらず、無人機の発進と回収を可能にする斜めの甲板の構成を明らかだ。 写真 © 2023 PLANET LABS INC. 著作権は放棄されていません。許可を得て転載


しかし、実際にどのように機能するのかは不明であり、同艦で運用を想定する航空機も不明です。

 寸法は非常に厳しく、上部構造は傾斜甲板エリアのすぐ隣に位置しているため、航空機を実際に回収するつもりであれば、上部構造に衝突する可能性がある。

 傾斜甲板が使用され、着陸後に機体が完全に停止しなかった場合、機体は再びスキージャンプ台に向かって上昇することになるが、実際に離陸して次の試みを行うだけの能力があるだろうか? また、同艦が、無人機を停止させるため制動ワイヤーを使用するのか、あるいは、ある種の回収システムを使用するのかも不明である。

 この奇妙な船からどのような機体が飛ぶのかという疑問は、この船の設計の目的を理解する上で鍵となる。中高度・長時間飛行タイプが理想的な候補であるように思われる。垂直離着陸(VTOL)ドローンや、イランが現在配備している多くの一方向攻撃兵器も同様である。ジェットエンジン搭載の高性能ドローンは、潜在的に母艦を本拠地と呼ぶ可能性があり、そのことがこの艦の特徴を説明する手助けとなる。そうなるとこの艦は、使い捨て攻撃タイプを含む、大型長距離のドローンを発進させるのにも使用できる可能性があるが、現時点では不明である。


2024年5月にソーシャルメディアに投稿された、シャヒド・バゲリ級の最近の写真


 いずれにしても、傾斜甲板の延長部と反対側の側面には、多くの種類の無人機やその他のモジュール式兵器を搭載する十分なスペースがある。上部構造後方の後部甲板には、ヘリコプターやより小型のカタパルトおよびネット回収型無人機を搭載することも可能である。トレーラーやトラックのコンテナから発射される巡航ミサイルも選択肢のひとつで、イランはすでにその使用経験がある。

 シャヒド・バゲリ級の改修作業は、バンダール・アッバース近郊のイラン造船・海洋産業複合会社(ISOICO)で行われており、2022年5月までに乾ドックで作業が開始されたと報告されている。

 ISOICO造船所は、同様の転用に関して実績があり、以前には石油タンカーをヘリコプターや無人機運用用の飛行甲板(より小さいものだが)を備えたイラン海軍の別の前進基地艦「マクラン」に転用したことがある。 


2022年12月頃に公開されたISOICO造船所の初期の写真。写真の左側奥と挿入図に、改修初期段階のシャヒード・バゲリが写っている。


 シャヒド・バゲリは、米海軍と同盟国にとって現実的な脅威とはなり得ないが、イランの艦船 には大きな象徴的価値を持っている。

 米軍および同盟国の軍艦やその他の地域資産に対して、持続的に無人機を発進させることは必ずしも想定されていないが、シャヒド・バゲリは、防備の甘い標的を狙った攻撃を含め、短期間であっても商業船舶に甚大な被害をもたらす可能性がある。

 長年にわたり、イランとイスラエルとの間で水面下で船舶に対する秘密の戦争が繰り広げられており、本誌も繰り返し報告してきた。

 一方、昨年10月7日にイスラエルがガザ地区で戦争を開始して以来、イランが支援するフーシ派武装勢力による空前の船舶攻撃キャンペーンが展開されており、特に、紅海、バブ・エル・マンデブ海峡、アデン湾を航行する船舶を標的と無人機やミサイルによる攻撃が行われている。

 この影響で、一部の貨物船はアフリカ南端の周回航路に変更を余儀なくされ、また、紅海を通過する商業船舶の一部を保護するために、アメリカ主導の「オペレーション・プロスパー・ガーディアン」連合および欧州連合の海軍部隊「オペレーション・アスピーデス」が結成された。

 無人機、特に攻撃用無人機を無人機専用母艦から発進させる能力は、一部の敵に対するシナリオや「グレーゾーン」攻撃において有益となる可能性がある。しかし、シャヒド・バゲリがこのような攻撃能力として使用された場合、それがどの程度の期間生き残れるかは依然として非常に疑問だ。また、これらの能力を世界中のどこにでも展開できるという事実も、イランの軍事ポートフォリオにおいてユニークな位置づけを与えている。実際に使用された場合、長時間は生き残れない可能性があるが、自国または代理国から発射された兵器を使用して、現在の射程距離をはるかに超えた目標を脅かすことができるということは、実際の戦術的な関連性とは関係なく、イランが追求する非対称戦術であることは間違いない。

 シャヒド・バゲリは、確かに使い捨て攻撃型無人機を発射できるが、この種の任務は必ずしも最適な使用法ではない。

 むしろ、シャヒド・バゲリが飛行甲板とランプの支援を受けて、より長時間の飛行と優れた性能を持つ無人機を発進させる能力の方が、より関連性が高い。これにより、より広範囲の監視、商業および海軍船舶の追跡、潜在的な標的の特定が可能になる。他の兵器による攻撃に標的情報を提供するだけでなく、空母から発進する無人機は、より広範な非運動的な海上支配の一環に使用することも可能だ。

 モハージェル-6、シャヘド-129、フォートロス、カマン-12といった中高度・長時間滞空型(MALE)無人機を搭載できれば、艦船が活動する海域を広範囲にわたって持続的に監視することが可能となる。この種の無人機には、小型ミサイルや誘導爆弾を搭載することもできる。

 RQ-170を非常に大まかに基にした低探知性のSaeghehも、この艦により海上に移動することが可能になる。

 無人機がシャヒド・バゲリから運用される主要航空機と見られている一方で、この艦はヘリコプター運用も支援できる。すでに、フーシ派が紅海で商業船舶をハイジャックするためにヘリコプター搭載の特殊部隊を使用しているのが目撃されているが、イランは、この艦船やその他の前進基地艦を使用して、同様の攻撃を長距離にわたって行うことも可能だろう。

マクランの飛行甲板上のイラン海軍のRH-53Dシー・スタリオン。イラン国営メディア


シャヒド・バゲリが就役する時期は不明だが、以前の報道では2023年に就役する可能性が示唆されていた。しかし、イランは明らかに、無人機を運用する選択肢を広げている。その中には、一方的な攻撃タイプも含まれ、海上運用も可能である。これは、無人機を専門に運用する「無人機運搬」部門を設立したことからも明らかだ。

 以前にも、イランのメディアが「航空機を搭載可能な外洋軍艦」と表現したIRGCシャヒード・ロウダキが民間商船から改装された。ただし、この設計がドローン運用に適しているかどうかは疑問が残るし、その生存性はさておき、サウジアラビアやイエメンの沿岸を含むイラン国外への野望を明確に示している。

IRGCシャヒード・ロウダキの甲板に展示されたベル412ヘリコプターの前にあるアバビル2型ドローン。IRAN PRESS SCREENCAP


 より実用的なイランの無人機母艦へのもう一つのステップは、イラン海軍の「マクラン」だ。元は石油タンカーであったが、これも「前方基地艦」に改造され、シャヒド・ロウダキよりもかなり大きく、シャヒド・バゲリに近いサイズとなっている。ヘリコプターやVTOL無人機を運用できる飛行甲板を備えたマクランは、イランの沿岸地域をはるかに超えた海域で持続的な海上作戦を実施できることも実証しています。


マクランの概観。イラン国営メディア

www.twz.com


 マクランは、大西洋に乗り出す大規模な戦力投射巡航を実施しており、まさに、シャヒド・バゲリでも見られるようなミッションだ。当時も議論があったが、マクランによる展開は、何よりもまず、イランがペルシャ湾やオマーン湾を超えた新たな作戦領域において、初めて海上能力を実証したという点で重要な意味を持つ。

 また、注目に値するのは、イランがホルムズ海峡とその周辺で実施した軍事演習中にあらわれた、米海軍の空母を模した艦だ

模擬空母は、実質的には大幅に改造されたバージ船であり、ホルムズ海峡に曳航された後、演習の目玉となった。 Sepah News


 イランおよびイランが支援する代理勢力による海上攻撃が示しているように、無人機を撃墜する課題は相当なものであり、特に弾道ミサイルや巡航ミサイルの脅威と組み合わせた場合にその傾向が強い。シャヒド・バゲリと、少なくとも同型艦がもう1隻建造される予定であることから、イランは近海のみならず、インド洋やその他海域でも、短時間であっても、世界の海上交通に深刻な混乱を引き起こせry装備を整えることになる。

 さらに、イランは通常と異なる方向から攻撃を行うことが可能となり、海外に軍事的脅威をもたらす手段が得られることになり、国内および国外において心理的な利益がもたらされる。しかし、その全体的な脆弱性から、無人機搭載母艦が、攻撃任務よりも非攻撃的な任務に優先的に使用されることになったとしても驚くことではない。■


Iran’s Bizarre ‘Aircraft Carrier’ Seen In New Detail

A converted commercial ship with an angled flight deck, the Shahid Bagheri looks strange but could fill a mission set that Iran has been developing for years.

Thomas Newdick

Posted on Aug 21, 2024 4:51 PM EDT

https://www.twz.com/sea/irans-bizarre-aircraft-carrier-seen-in-new-detail



2024年1月11日木曜日

フーシがこれまでで最大規模の対艦攻撃を紅海で展開。英米海軍が撃退している模様。OPG参加国は増えたが艦艇派遣は少数。大手海運会社に紅海通過を忌避剃る動き。

 相変わらず日本国内では紅海の情勢に無関心ですが、すでに紅海ルートを迂回する海運会社も現れています。当然、その物流コスト上昇は利用者が負担するわけで、せっかくインフレが低下してきた状況が再び不安定になりかねません。ところで日本もいつの間にかOPGに参加しているのでしょうか。国会でこの話題が出てくるのかが注目です。The War Zone記事からのご紹介です。

<em>Photo by Yasin Demirci/Anadolu via Getty Images</em>

Photo by Yasin Demirci/Anadolu via Getty Images

世界の海上貿易の約15%がこの海域を通過しているが、今回の脅威を受け、一部の大手海運会社は喜望峰経由に変更している。この航路はかなり遠回りになり、コストも大きく影響する。


紅海航路への過去最大の攻撃: 私たちが知っていること


ランに支援されたフーシ派勢力は昨夜、紅海南部の海運に対してこれまでで最大と言われる攻撃を開始し、米英の軍艦や戦闘機が21機の無人機やミサイルを撃墜した。攻撃の余波による被害や負傷者の報告はないが、この重要な貿易ルートで現在繰り広げられている対立を明確に示した。

 グラント・シャップス英国防相は、「フーシ派による紅海での攻撃としてはこれまでで最大」と述べた。同様の評価は、アントニー・ブリンケン米国務長官も出しており、同長官は「最大の攻撃」であり、「イランによる援助と幇助、技術と装備の提供」と述べている。

 この攻撃はイエメンの港湾都市ホデイダとモカの沖合で行われたと、民間の諜報・警備会社アンブレイが発表した。

 アンブレイによれば、ホデイダ沖では、船舶がミサイルや無人偵察機の飛来を伝える無線メッセージを発し、同海域の軍艦は「最大速度で航行するよう」 促したという。

 ホデイダ沖の事件は、イギリス軍のUKMTO(United Kingdom Marine Trade Operations)によっても記録されている。

 一方、モカの事件では、アンブレイは、艦船がミサイルの飛来、少なくとも1機の空中ドローン、数隻の小型船を目撃したと報告したと述べた。

 米中央軍(CENTCOM)はこれを「複合攻撃」と表現し、空母USSドワイト・D・アイゼンハワー、アーレイ・バーク級駆逐艦USSグレイブリー、USSラブーン、USSメイソン、英海軍45型駆逐艦HMSダイヤモンドのF/A-18E/Fによって、18機の一方向攻撃型ドローン、2発の対艦巡航ミサイル、1発の対艦弾道ミサイルが撃墜されたと述べた。

 CENTCOMは以下発表した:「これは11月19日以来、紅海の商業航路に対する26回目のフーシの攻撃である」。

 シャップス国防相によると、HMSダイヤモンドもフーシの攻撃を受けた可能性が高いという:「私の理解では、艦自体が狙われた可能性もあるが......海運全般に対する攻撃だ」。

 伝えられるところによると、HMSダイヤモンドは、シーバイパー防空ミサイルと砲撃の両方を使い、フーシ派が発射した18機のドローンのうち7機を撃墜した。シーバイパーは、「内層」防衛のために約18マイルの射程距離を持つアスター15ミサイルと、75マイル以上の長距離目標を交戦できるアスター30チップで武装することができる。

 一連の交戦からわかることとして、少なくとも数機のドローンが交戦前に艦にかなり接近したことを示すものであり、興味をそそられる。しかし、どのような砲システムが今回使われたのかはまだわかっていない。

 砲に関しては、45型は4.5インチ・マーク8主砲1門、20mmファランクス近接武器システム2門、DS30B Mk 1 30mm速射砲2門、それにブローニング50口径重機関銃と7.62mm汎用機関銃で武装している。

 英国防省は、フーシの攻撃に対して行動するHMSダイヤモンドの写真(記事冒頭に掲載)を発表し、グラント・シャップス英国国防長官は以下の声明を発表した:

「一夜にして、HMSダイアモンドは米軍艦とともに、紅海におけるイランに支援されたフーシ派からのこれまでで最大の攻撃を撃退することに成功した。シーバイパーミサイルと艦砲を展開し、ダイヤモンドは、ダイヤモンドとその乗組員に怪我や損害を与えることなく、彼女に向かう複数の攻撃ドローンと周辺の商業船舶を破壊した。

「英国は同盟国とともに、このような違法な攻撃は完全に容認できないものであり、続ければフーシ派がその結果を負うことになると以前から明言してきた。我々は、罪のない人々の命と世界経済を守るために必要な行動をとる」。

 これに対しフーシ派は公式声明で次のように述べた:「全能の神の助けにより、イエメン軍の海軍部隊、ミサイル部隊、無人航空部隊は、シオニスト団体に支援を提供していたアメリカ艦船を標的に、多数の弾道ミサイルと海軍ミサイル、無人機による共同軍事作戦を実施した」。

 フーシ派の声明はまた、この作戦を、10人のフーシ派武装勢力を殺害した2023年12月31日の米軍の攻撃に対する「初期対応」であるとしている。

 その際、米海軍のヘリコプターは、コンテナ船に発砲し乗り込もうとしたフーシ派の小型ボート3隻を撃沈しており、イエメンの反体制派標的への攻撃の前触れではないかとの憶測を呼んでいた。

 声明はさらに続く:「イエメン武装勢力は、侵略が停止し、ガザ地区の揺るぎない同胞に対する包囲が解除されるまで、イスラエル船や占領地パレスチナの港に向かう船がアラブ海や紅海を航行するのを阻止し続ける。イエメン軍は、占領下のパレスチナの港を除くすべての目的地に向けて、紅海とアラビア海における船舶航行を継続することに全力を尽くすことを確認する」。

 一方、フーシ派反政府勢力の高官でスポークスマンのモハメッド・アル・ブカイティは、Xに次のように投稿した。「イスラエルとつながりのある船舶を沈没させたり、差し押さえたりすることが目的ではなく、イスラエルに『希望の道』を経済的な圧力カードとして使わせ、ガザでの大量虐殺の犯罪をやめさせ、住民に対する包囲網を解除させることが目的だ。これは正当な道義的行為であり、特にわれわれはイスラエルと戦争状態にある」。

 2023年10月7日にガザ紛争が始まって以来、フーシ派は紅海の南端などで船舶に対する攻撃を複数回行っている。当初、標的とされた船舶は何らかの形でイスラエルと関係があると言われていたが、キャンペーンを続けるうちに、こうした関係は希薄になり、あるいは完全に消滅してしまった。


 今回のフーシ派による攻撃は、本日予定されていた国連安全保障理事会の採決を前に行われたもので、反政府勢力の反航海キャンペーンを正式に非難し、攻撃の即時停止を求める可能性があった。

 これまでフーシ派は、ガザ地区のハマスに対するイスラエルの戦争に対抗して、彼らのキャンペーンはイスラエルに向けられたものだと主張してきた。

 一方、イランはフーシ派の軍事的後ろ盾として、反体制派への支援を打ち切るよう求める米国などの要求を拒否してきた。

 その一方で、アメリカ主導の国家連合は、攻撃を抑止するため、あるいは、少なくとも飛来する無人偵察機やミサイル、その他のフーシの潜在的脅威を阻止するために、紅海をパトロールしている。プロスペリティ・ガーディアン作戦(OPG)の下、このタスクフォースが設置され、20カ国以上がOPGに参加している一方で、軍艦を参加させている、あるいは参加させる予定の国は、アメリカ、イギリス、フランス、ギリシャ、デンマークの5カ国にとどまっている。昨日、OPGへの参加を表明したばかりのシンガポールも、艦艇を提供する予定はない。■


Largest Attack On Red Sea Shipping To Date: What We Know | The Drive

BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED JAN 10, 2024 12:13 PM EST

THE WAR ZONE


2023年7月7日金曜日

気になるニュース:ホルムズ海峡でイランが民間船拿捕をねらい発砲。米海軍の急行でイラン海軍は退散したが、日本への原油輸送にも警戒信号だ。

 


ラン軍艦がオマーン沖で石油タンカーに発砲し、米海軍が到着すると現場を離れたと、米第5艦隊が水曜日発表した。



 7月5日早朝、イラン軍艦が民間タンカー2隻を奪おうとした。米海軍発表によると、イランの要員は、石油タンカーRichmond Voyager を捕獲しようとし、数回発砲した。

 USSマクフォール(DDG-74)とMQ-9リーパー、海軍P-8Aポセイドン海上哨戒機を含む監視資産は、2件の押収未遂に対応した。

 イラン海軍は、現地時間午前 1 時頃、マーシャル諸島船籍の石油タンカーTRF Moss をまず奪取しようとした。第 5 艦隊によると、マクフォールが到着すると、イラン海軍艦艇は退去した。

 約3時間後、別のイラン海軍艦船が、バハマ籍のリッチモンド・ボイジャーの停船を試みた。イラン海軍が接近すると、リッチモンド・ボイジャーはオマーンのマスカット沖20マイル以上の国際水域にいた。

 マクフォールが現場に到着すると、イラン海軍艦は立ち去った。石油タンカーは発砲による目立った損傷はなかった。リリースによれば、銃弾数発がタンカーの船体、乗組員の居住スペース付近に命中したものの、負傷者はいなかった。

 英国の海上警備会社Ambreyによると、タンカーはイラン側から無線で停船を指示された。タンカーが応じなかったため、イラン側が発砲した。

 イラン海軍と宗派軍のイスラム革命防衛隊海軍は、ここ数年、民間船を拿捕しようとする動きを強めている。海軍によれば、イランは2021年以降、20隻の国際船籍の船舶に嫌がらせをしたり、攻撃したり、拿捕したりしている。

 今年に入り、イラン軍は1週間でタンカー2隻を拿捕したとUSNIニュースは5月報じていた。

 米国は5月初旬、イランが1週間で2隻の民間船を拿捕したことを受け、ホルムズ海峡をパトロールする船舶と航空機のローテーションを増やした。■



 VIDEO: Iranian Navy Warship Fires on Oil Tanker in the Strait of Hormuz - USNI News

By: Heather Mongilio

July 5, 2023 12:48 PM


2022年10月20日木曜日

イランがロシア向け弾道ミサイル売却を初めて認めた---ウクライナ戦の最新状況 現地時間10月18日現在

Iran State Media

イランはロシアに短距離弾道ミサイル、ドローンを追加売却する

 

イター通信は、イランの高官の発言を引用し、イラン当局が、数百発の短距離弾道ミサイル(SRBM)とドローンのロシア売却を初めて認めたと報じている。

イランはロシアへのミサイルと無人機売却について、明白な事実があるにもかかわらず、これまで否定してきた。

イラン外相ホセイン・アミラブドラヒアンHossein Amirabdollahianが「イラン・イスラム共和国はウクライナの戦争で使われるいかなる武器も提供しておらず、今後も提供しない」と述べたと、10月16日ワシントンポスト紙は報じた。

この取引は、ポストが最初に伝え、186マイルから435マイルの距離のターゲットを攻撃できるファテFateh-110とゾルファガルZolfaghar SRBMsを含んでいる。

イラン当局者は、短距離弾道ミサイル「Fateh 110」をロシアに売却すると認めた (Photo by Mohsen Shandiz/Corbis via Getty Images)

いずれのSRBMもイランは攻撃に使用した実績がある。

国際戦略研究所の不拡散・核政策ディレクターで元国連兵器査察官マイケル・エレマンMichael Ellemanによると、ゾルファーガルは2020年1月のイラクのアルアサド空軍基地への攻撃で使用された。この攻撃では100人以上の米軍兵士が外傷性脳障害を負った。  Fateh-110は、2022年3月のイラク・エルビルへの攻撃でイランが使用した。ゾルファガルは両方の作戦に先立ち、シリア標的の攻撃にも使用された。ともに高精度で非常に強力な打撃力がある。今月初め、各種弾道ミサイルや軍事用ドローンを製造するイランが、ロシアに弾道ミサイルを売り込むと予測したときに書いたことでもある。

イランで行われた年次軍事パレードで、地対地ミサイルファテ 110をパレードする軍用トラック。 (ATTA KENARE/AFP via Getty Images)

イランの安全保障関係者の1人はロイターに対し、「ロシアは、中距離ミサイルも含め、イランのミサイルを何百発も購入希望し、我々は、彼らの要求するゾルファーガルとファテ110短距離地対地ミサイルなら数百発、すぐに出荷できると伝えた」と述べた。「正確な時期は言えないが、すぐに、非常にすぐに、2~3回に分け出荷される」と述べた。

ロシアは、軍艦や潜水艦から発射できる長距離巡航ミサイル「カリブル」のような弾道ミサイルの在庫が不足しているようで、同じ3M14陸上攻撃ミサイルの派生型も地上発射可能であることから、今回の売却が行われた。ロシアの主力短距離弾道ミサイル「イスカンダルM」は核兵器運用へも転用できるが、侵攻初期に大量使用されたため、在庫が少なくなっているようだ。その戦力ダウンを補うのがイラン製ミサイルだ。

この合意はウクライナから非難を浴び、ドミトロ・クレバ外相は火曜日、イランとの外交関係断絶を求める提案をウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領に提出した。

ロイター通信によると、イランはロシアへのSRBM売却に10月6日に合意した。イランのモハンマド・モクベール第一副大統領First Vice President Mohammad Mokhber、イスラム革命防衛隊(IRGC)の高官2名、最高国家安全保障会議関係者が、月曜日にウクライナの都市に降下したShahed-136無人機の納入についてロシアと話し合うためモスクワを訪れたとき、であった。

「ロシア側は、より多くの無人機と、精度を向上させたイランの弾道ミサイル、特にファテとゾルファガルミサイルを要求していた」と、イラン外交官の一人がロイター通信に語った。

同イラン外交官は、こうした移転は2015年の国連安全保障理事会決議に違反しているという西側当局者の主張を否定した。

「どこで使われるかは、売り手の問題ではない 」と、同外交官はロイターに語った。「我々は西側諸国のようにウクライナ危機を利用していない。我々は外交的手段による危機の終結を望んでいる」。

イランが何を言おうと、イラン製無人機はウクライナの電力インフラ破壊に大きな役割を果たしている。ゼレンスキーによれば、ロシアの全面戦争の初期段階には行われなかった攻撃により電力インフラの約3分の1が損害を受けたという。

CNNは最近、ウクライナ南部で数週間前に捕獲されたイランのモハジャー6型無人機へ独占アクセスを得た。ロシアが「ロシア製兵器とロシア製番号」しか使っていないと主張するのは嘘であると改めて示された。

一方、ニューヨークタイムズによると、クリミアでIRGCの訓練生がすでに活動しているようだ。

最新情報

この24時間、戦場であまり動きがなかったようだ。ロシア国防省はテレグラム・チャンネルで、ハリコフ、ケルソンの両反攻作戦とドネツクでのウクライナ軍前進を阻止したと主張し、ウクライナ国防省はテレグラム・チャンネルで、ハリコフ、ドネツク、ルハンスクでのロシアの前進を阻止したと述べている。

しかし、ウクライナはハリコフで十分な領土を取り戻したので、Mi-8ヘリコプターを飛ばし、この地区の景観を提供できるようになった。

戦争研究所の指摘

戦争研究所は、今回の戦争に関する最新評価で、重要なポイントを数点挙げている。

  • ロシア側情報筋は、スバトベ北西部でのウクライナ反攻作戦の可能性を引き続き議論している

  • ロシア側情報筋は、ウクライナ軍がケルソン州で反攻作戦を展開中と主張し続け ている。

  • ロシア軍はドネツク州で地上攻撃を実施した

  • ウクライナ軍は10月16日と17日、ザポリージャ州のロシア軍の人員と装備の集積地へ攻撃を継続した

  • ロシア当局はザポリジャー原子力発電所(ZNPP)を完全掌握したままだ

  • モスクワ市当局は10月17日、同市内の一部動員の完了を発表した。これは、動員に関する報道に反対するモスクワ市民の批判を抑える措置とみられる

  • ロシアと占領行政当局は、ウクライナ人の強制退去とロシア人の再定住の口実として、ロシア占領地の住民に「休暇」プログラムを推進し続けている

 

ウクライナ、ロシア双方の軍トップの戦況把握にちがい

ウクライナ国防情報局の長官キーロ・ブダノフ少将Maj. Gen. Kyrylo Budanovは、今後の戦況について「大きな勝利が待っている」と大胆な予想をした。

ロシア軍の新司令官セルゲイ・スロヴィキン元帥は、双方にとって重要な戦略拠点であるケルソンの今後について、あまり楽観的でないようだ。

英国防相が急に訪米

プーチン大統領の核兵器使用の脅しを含むウクライナ情勢を受け、ベン・ウォレス英国国防相が急遽訪米した。国防総省は火曜日未明、ロイド・オースティン米国防長官との会談の読み上げを約束しており、それが提供された場合、この記事を更新する。

HIMARS増産へ。エストニアにも供給

ウクライナの戦場での成功の大きな要因に、M142高機動砲ロケットシステム(HIMARS)があり、米国はすでにウクライナに20基と、数量不明の誘導連装ロケット弾(GMLRS:Guided Multiple Launch Rocket System)を供与している。

HIMARSとGMLRS双方を製造するロッキード・マーチンは、HIMARS生産量を年間96個に増やすと10月18日発表した。

「6、7ヶ月前から東ヨーロッパで発生した事態を見て、私は国防総省高官を訪ね、手紙を渡し、HIMARS含む装備品について、生産能力を増強する、と伝えた」と、同社のジム・タイクレットJim TaicletCEOは火曜日の第3四半期決算説明会で投資機関に語った。

「そして多くのことを成し遂げました。特にHIMARSについては、リードタイムが長いサプライチェーン先と会い、年間96個まで増産する計画を立てています」。

タイクレットによると、ロッキード・マーチンは、契約締結前に「製造リードタイムを短縮するため6500万ドルを費やしていた」という。

HIMARSに興味を持つのはウクライナだけではない。

ロッキード・マーチンは生産ラインに「エストニア用の枠があることを確認した」と国防相のハノ・ペブクルHanno PevkurがPOLITICOに語っている。また、エストニアは7月に5億ドルで6システムを発注した。

POLITICOが報じたところによると、同社は米軍から、現在の年間生産量60機のHIMARSを倍増、もしくはそれ以上にする圧力を受けているという。

月産5台のHIMARSを8台に増やすことは大したことではないと思われるかもしれないが、増産は海外顧客が望むよりも時間がかかりそうだと、POLITICOは指摘している。

西側が提供のその他装備品

ウクライナに供給されているか、あるいは今後の供給が約束されている他の兵器システムもある。

スペインは、より近代的なドイツのBMPマーダーIFV40台を受け取った後、ソビエト時代のBMP-1歩兵戦闘車(IFV)40台をウクライナに送ると発表した。

ドイツ製のIRIS-T SLM防空システム4基のうち、最初の1基が10月11日到着して以来、ウクライナで有効に活用されている。

ウクライナのレズニコフ国防大臣は、ドイツのクリスティーヌ・ランブレヒト国防大臣を絶賛した。

フィンランドの軍事援助の一部が戦場に姿を現している。ウクライナ兵器トラッカーOSINTグループは、フィンランド製サーパレカシクラナアッティM50破片手榴弾の画像を表示した。

一方、ウクライナは兵器を国産開発しようとしており、ソフトウェア技術者であるロマン・キリリュクRoman Kyryliukは、同ドローンに自動小銃を搭載する装置の動画を投稿した。彼らは、シャヘッド136型ドローンへの対抗が目的だと主張しているが、これは物理法則の理解に疑問のある善意あるケースかもしれない。つまり、そんなことは不可能だ。

また、ウクライナ戦略通信部が引用したエルサレム・ポスト紙によると、ウクライナは、空中からの脅威の位置を特定するため民間監視人を利用する古い戦術を使っている。

ロシアのミサイルに応戦するウクライナ防空部隊

ロシアのミサイルとウクライナの防空戦は今朝も続き、ウクライナ兵器トラッカーOSINTグループは、ロシアのKh-101空中発射巡航ミサイルと思われるものをウクライナの防空隊が撃墜したとする映像を掲載した。

また、ウクライナはケルソン州のノヴァ・カホフカを攻撃している。

ウクライナ軍は、ピックアップの荷台に設置された40mmベルト式自動擲弾発射機Mk19を使用した。

OSINTグループ「ウクライナ兵器追跡」によると、ウクライナ軍はドネツク州でロシアのT-80BVM戦車をもう1台破壊した。

ロシアはウクライナに武器を提供し続けており、今回は120ミリ砲弾とその他の大量の弾薬を残したまま逃走した。

しかし、ウクライナも大きな損失を被っており、今回はT-72M1戦車とBMP-2 IFVが犠牲になった。

深刻な兵站問題があるものの、ロシア軍にはSteyr-Mannlicher SSG 08スナイパーライフルのような素晴らしい武器を持つものもいる。

しかし、すべてのロシア兵が優れた装備を持っているわけではない。動員予備兵は、明らかに第一次世界大戦の装備で戦場に現れている。

巨大貨物機An-225の全損を招いたアントノフの保安体制

世界最大の貨物機An-225(愛称:Mriya)の破壊は、内部犯行の可能性が出てきた。ウクライナSBUのセキュリティサービスによると、6発エンジン機を所有するアントノフは、ホストメル空港が攻撃された全面侵攻の最初の数日間、同機を救うための「適切な措置をとらなかった」とある。

キエフ・インディペンデント紙によると、ウクライナ保安局は「国営企業アントノフの無名の従業員が、ウクライナ当局による飛行場の対空および地上防御の編成を妨げた」と述べている。「これが2月27日にロシア軍による世界最大の貨物機AN-225 Mriyaの破壊につながった」。■


Ukraine Situation Report: Iranian Officials Admit To Selling Russia Ballistic Missiles

BYHOWARD ALTMAN|PUBLISHED OCT 18, 2022 9:07 PM

THE WAR ZONE


 

2021年6月29日火曜日

イラク、シリア国境地帯への米軍空爆作戦の背景。わかりにくい状況に日本は目をつぶっていてはいけない。

 A screengrab from footage US Central Command released of a strike on a facility operated by Iranian-backed militias in As Sisak, Syria.

CENTCOM

イラク国内の米軍拠点が無人機襲撃を受ける事案が増加しており、攻撃はイラン支援を受けた戦闘員集団が行っている。

ラン支援を受けた戦闘員拠点三か所への米軍による空爆の様子が公開された映像で判明した。対象はイラクーシリア国境地帯にあり、ジョー・バイデン大統領の命令で実行され、無人機運用能力を攻撃の第一目標とした。ここにきてイラク国内の米軍施設を無人機が襲撃する事例が増えていた。

米中央軍(CENTCOM) は2021年6月28日に映像三点を公開した。攻撃は前日に米軍機により実施された。ペンタゴンはイラク、シリア国境地帯の施設はカタイブ・ヘズボラ、カタイブ・サイド・アルシュハダが主に利用したと発表している。

CENTCOM

米中央軍発表の映像。シリア・アルフリのイラン支援を受けた戦闘員集団施設が空爆を受けた

 

「必要かつ適切な行動として、エスカレーションのリスクを抑えるべく慎重に行動を取った。同時に明白かつ誤解を与える余地のない抑止メッセージを送った」と国務長官アントニー・ブリンケンが公式訪問中のローマで記者団に語った。

ペンタゴン報道官ジョン・カービーは「各標的の選択に当たってはイラン支援を受けた戦闘集団が無人機(UAV)を使った襲撃を在イラクの米人員や施設を標的に行っている地点を選択した」「今回の襲撃でバイデン大統領が米人員保護に真剣であることを明白に示した。イラン支援を受けた集団による在イラク米国権益への攻撃が続いており、大統領はもう一歩踏み込んだ軍事行動により攻撃を抑止する必要があると判断した」と述べた。

今回の空爆地点はイラク、シリアを結ぶ戦略地点である。バイデンはこれまでもカタイブ・ヘズボラ、カタイブ・サイド・アルシュハダ関連の別の地点の空爆を命令しており、今回の地帯も2月に空爆の皮切りとして選定されていた。今回の空爆はイラン北部で今月発生したエルビル国際空港で働く米契約企業要員がロケット攻撃で死亡したことへの報復である。カタイブ・ヒズボラはその他の米空爆の対象にもなっていた。

公開された映像はそれぞれシリア国内と説明があるが、CENTCOMがアルフリ、シサクと説明している二点が実際にはシリア領内にある。三番目がカサバットでイラクにある。

GOOGLE MAPS

2021年6月27日の米軍による空爆地点を示す地図。 based on geolocation done by Twitter user @obretix of the facilities seen in the footage that CENTCOM released.

GOOGLE MAPS

空襲地点三か所を示した拡大図。

 

CENTCOMによればアルフリは「イラン支援を受ける戦闘員集団が補給機能及び高性能通常型兵器として無人機含む装備の受け渡しを受ける地点」で、シサクは「イラン支援を受ける戦闘員集団が高性能通常型兵器を発送、中継する調整地点」とのことだ。カサバットは「イラン支援を受ける戦闘員集団の作戦、立案、および無人機保管所」だ。

「高性能通常型兵器」とは肩乗せ地対空ミサイルの携行型防空装備(MANPADS)他のミサイルや精密誘導弾、高性能センサー、レーザーさらに「軍事重装備」として戦車や航空機を広く指す用語と米国務省は定義している。

今回のシリア空爆では米空軍はF-15Eストライクイーグルを投入し、F-16CMヴァイパーがイラク領内の標的を攻撃した。現時点でイラク国内には米戦闘機材は一機も常駐していない。F-15Eはヨルダンから飛来したもののようで、これまでも同国を基地として空爆作戦を実施している。F-16はアラブ首長国連邦のアルダフラ航空基地に配備されており、サウジアラビアのプリンスサルタン航空基地にも展開している。両基地が今回の空爆に関与した可能性もある。


USAF

兵装を満載したF-15Eストライクイーグルがヨルダンのムワファクサルティ基地から発進している。2020年。



 

イラクのシーア派戦闘員集団のフロント組織であるイラク抵抗運動調整委員会はイランから直接の支援を受けており、今回の事件に対し空爆で死傷者が発生しているとしつつ詳細には触れていない。ペンタゴンは民間人の死傷者はなかったとの事後評価はしているものの、物質面での損害評価に触れていない。

ペンタゴンは今回の空爆のきっかけとなったイラン支援を受ける戦闘員集団による無人機襲撃事件について特定していないが、この数カ月で事件が続いていたのは事実だ。5月にはアルアサド航空基地、エルビル国際空港でそれぞれ事案が発生している。このうちエルビル施設は中央情報局(CIA)が利用しているといわれる。

エルビルはCIA関連の米拠点として知られ、共用特殊作戦司令部 (JSOC)の秘密作戦もここを利用している。両地点は2020年1月にイラン弾道ミサイル攻撃を受けており、この際は米無人機がカセム・ソレイマニ将軍(クッズ部隊司令官)を暗殺した報復とされた。クッズ部隊とはイランのイスラム革命防衛隊の一部で国外活動を専門とすし、イラクの戦闘員集団とも関係が深い。

6月26日土曜日にもエルビルが無人機の襲撃を受けたとの報道があった。その際に使用された無人機の残骸が現場で回収されているが、写真を見ると小型の固定翼形状であったことがわかる。

同日に人民動員軍(PMF)(名目上はイラク政府の統制を受ける傘下団体でイラン支援を受けるカタイブ・へズボラやカタイブ・サイド・アルシュハダもその一部)がバグダッドで大規模行進した。無人機が同時に展示され、機体はイラン製またはイラン機材に著しく酷似し、大型機は小型精密誘導弾の運用も可能だ。

展示機が実機なのかモックアップなのか不明だが、イランは代理勢力も使い実際の襲撃で戦力を実用化している様子がわかり、米国が支援する勢力や米軍事顧問団がシリアで実際に襲撃を受けている。

PMF内にはイラク中央政府へ堂々と反抗し暴力も辞さない勢力もあり、米国やその他外国部隊にも激しく反発している。また、こうした勢力の軍事力が大きく伸びていることが懸念となっており、無人機による襲撃事案が増えているのはこうした勢力が脅威となり、民生無人機を改装し即席爆発物を投下するなど十分に威力のある攻撃が可能となっている。米海兵隊フランク・マッケンジー大将はCENTCOM司令官として早くからこの事態に警鐘を鳴らしており、戦闘員集団が無人機を活用する事態に警句を鳴らしていた。

「小型あるいは中型UAS(無人航空システム)が拡散普及してきたことはわが軍にとって新しく複雑な脅威となっており、同盟国、協力国にも同様だ」とマッケンジーは4月の議会公聴会で発言していた。「朝鮮戦争以来初めて、完璧な航空優勢が確立されていないままわが軍は作戦を展開している」

イラン支援を受けた戦闘員集団は米人員を狙った無人機襲撃を実行し、米側が報復攻撃を行った今回の事案からイラクでの複雑な地政学的状況が浮き彫りになっている。イラク軍からは今回の米軍空爆は「イラク主権をあからさまにないがしろにし、国際条約に基づくイラクの安全保障にも悪影響」と非難する声明が出ている。

同時に「イラクはあらためて各国の決戦場になるつもりはなく、主権を維持し、さらなる行動や攻撃の場に供することを拒否する」とも述べ、両陣営への抗議とも読み取れる。「平穏に戻り、エスカレーションはいかなる形でも拒否しつつ、イラクは必要な調査、手続き、接触を各レベルで追い求め、暴力の発生を防止する」

今年三月にイラン支援を受けた戦闘員手段が米軍を標的とした攻撃を中止するとの報道があり、その条件とし低落首相ムスタファ・アルカディミが米軍の正式かつ完全なイラク撤収を求めることを挙げていたい。4月に米戦闘部隊の撤収を米イラク両国が確認したものの、具体的な日程についても触れていなかった。

すべては米国とイランが核合意体制への米国復帰をめぐり手づまり状態になっている中での進展だ。ドナルド・トランプ大統領が核合意から米国を脱退させた2018年以来、イラン側は合意内容をことごとく違反してきた。

さらに、今月に入り強硬派ノエブラヒム・ライシ(最高指導者アリ・ハメネイに近い)が大統領選挙に勝利しているが、米国は自由かつ公平に実施された選挙ではないと見ている。ここから両国間に新たな緊張が生まれるとの懸念が出ている。ペルシア湾では米イラン艦艇の対立が目立っており、米哨戒艇が実際にイランに警告射撃をした事例も発生した。

今回のイラクシリアでの空爆についてイラン支援を受ける戦闘員集団の無人機運用能力が実際にどれだけ低下したのか不明だ。時がたてば空爆の効果があったのかがわかるはずだ。戦闘員集団は米国の権益を標的とすべく運用能力の拡大に努めているが、背後にいるイランとともに米政府のメッセージを受けることになりそうだ。

UPDATE: 4:15 PM EST —

シリア国内の地点不詳にある米軍部隊がロケット攻撃を本日受け他とISISと戦闘中の米主導連合軍を代表し米陸軍ウェイン・マロット大佐が発表した。「死傷者や損害は発生していない」とのツイートが出ている。映像ではイラン支援を受けた戦闘員集団がロケット弾を発射する様子が出ており、前日の米空爆への報復とされる。

さらにこれもイラン支援を受ける血盟報復団サラヤ・アウリヤ・アル・ダムがイラク上空を飛行中の米軍機の撃墜を試みた。同集団はエルビル国際空港への2月の襲撃事件を行ったと認めており、米契約企業関係者が死亡している。今回のイラクシリア国境地帯への米空爆の引き金となったのが同襲撃事件だった。

UPDATE: 4:45 PM EST —

米陸軍ウェイン・マロット大佐から追加発表があり、シリア国内の米軍部隊がロケット弾攻撃を受けた際に「正当防衛として」内容不詳の反撃をしたとある。

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Biden Orders Strikes On Iranian-Backed Militias' Growing Unmanned Aircraft Arsenal (Updated)

 

BY JOSEPH TREVITHICK JUNE 28, 2021