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2016年11月5日土曜日

緊急 大統領選挙投票日にニューヨーク州等で同時テロ襲撃の可能性


オオカミ少年といわれようとも誤報に終われば良いのですが、大統領選挙投票日にテロ襲撃が発生すれば大混乱です。また正しい投票が行われなくなれば政治的空白も生まれかねません。なぜアルカイダなのかも不明ですが、くれぐれも誤報であることを祈るばかりです。11月8日は大変な厳戒体制での投票日になるでしょう。

Report: U.S. Intel Warning of Possible Terror Attacks on Monday

Members of al Qaeda-linked Fatah al-Sham Front in Syria / AP
Members of al Qaeda-linked Fatah al-Sham Front in Syria / AP
     
November 4, 2016 10:29 am
アルカイダが米国内3つの州で投票日前を狙ってテロ攻撃を計画していると米情報機関が警告を出したとCBSニュースが報道している。
ニューヨーク、テキサス、ヴァージニアで可能性があると情報筋がCBSニュースに語っているが詳細には言及していない。
「対テロ、国土防衛関係諸機関は高度の警戒態勢にあり、米本土で攻撃が実行されても有効に対抗できる」とFBI高官がCBSニュースで語っている。「FBIは各組織と連携し情報の評価、共有を毎日行っており、今後も法執行機関と情報機関間の連携を維持強化し公衆の安全を脅かす可能性のある脅威を探知、排除していく」
関係機関は今回の脅威を真剣に受け止めているが、各情報機関は真偽を確認しようとしている。対テロ専門家は警戒して待機中だ。
CBSニュースは来週火曜日に大統領選挙当日が近づく中で連邦法執行機関が最悪のシナリオ複数を想定していると伝えている。大きなイベントや休暇期間ではテロ攻撃の危険性がたえずあると関係者は注意を促している。
現地警察は投票所が「一匹狼」型の攻撃の標的になると警戒し、テロ集団と関係なくても思想上の影響を受けた個人が犯行に及ぶかもと見ている。■


2016年11月4日金曜日

★★トランプ大統領で米国防政策はこうなる



投票数で勝っても選挙人で多数を獲得できなければトランプ候補は当選できないのですが、ここに来て同候補に明らかに勢いがついており予想外の結果が生まれそうな気配です。トランプ大統領になって国防政策はどうなるのか、共和党の重鎮の考え方に耳を傾けてみましょう。このとおりならかなり期待できる国防政策が期待できそうです。選挙戦は人格攻撃など低劣になっていますが、冷静な思考が裏で動いいていることにホッとします。日本も一層の防衛支出を求められるのは避けられないでしょう。

Top Trump Military Advisers Detail GOP Candidate's Defense Plan



2016年大統領選挙で国防問題は主要争点になっていない。予算制限法の制約が予算強制削減措置とともに解除された場合を想定し、両陣営ともに国防政策では一般的な言及にとどめているのが現状で、その中でクリントン候補が政策面にやや詳しく触れている程度だ。トランプ候補は本人が軍の「惨状」と呼ぶ状況の再建に重点を置いている。だが両候補ともに各論となるとわずかしか明らかにしていない。
一般投票まで一週間となった今、共和党の軍事問題政策の重鎮二名からトランプ当選で国防がどうなるかが見えてきた。アラバマ州選出上院議員ジェフ・セッションズは上院軍事委員会に所属しトランプ政権誕生の暁には国防長官就任が濃厚と言われている。ランディ・フォーブス下院議員はヴァージニア州選出で下院海洋権力小委員会委員長だが来年1月で議員を退く。予備選に勝てなかったためだ。だがフォーブスは海軍問題での知見の豊かさで知られ、海軍長官候補のひとりた。
先週金曜日にこの両名がDefense Newsへトランプ政権のペンタゴン方針について語った。
政権発足早速とりかかる主要政策は何か
セッションズ:トランプは米国は力による平和を推し進めるべきとする。軍の戦力が低下していると見ており、再建が必要だ。予算強制削減がその原因だ。アメリカの国益を第一におくべきだ。
国益の中核部分に焦点を合わせる。同盟関係の再構築、新規友邦国もあり、外交政策はもっと現実的にして、頭の中だけで有効な政策目標は求めていかない。結果が悪くなるだけで人命が犠牲となり、財源にも悪い。これまで巨額の投入をしながら肝心の我が国や我が国が助けるべき人々に恩恵がなかった。
軍関係でトランプがまず最初に行うのはISIS撃滅だ。就任30日以内に軍に作戦案を作らせるといっている。軍事行動以外にサイバー、金融、情報宣伝、外交の各手段を駆使しISISを壊滅させる。ISISは米国にとって直接の脅威だ。わが国を攻撃すると公言している。また攻撃を実施したものを祝福している。真正面から対決して敗退させるべき敵だ。
トランプは繰り返しアメリカの道を誇らしく思うと発言している。世界に対して謝罪こそしないが、成果は祝う。移民問題は安全保障問題との認識で、米国に脅威となる人物は入国させないと発言した。
また国内エネルギー生産を拡大すると発言しており、雇用を作るだけでなく、富の海外流出を防ぐ。また危険な海外地帯への依存度を減らす。
サイバー能力をてこ入れし向上させると具体的に発言している。わが方には防御、攻撃双方の手段がある。サイバー攻撃を受けるだけの立場に甘んじ反撃しないままというのは受け入れがたい。
国防総省の主な支出項目を検討している。トランプの提案は陸軍の増強だ。現在の48万名体制を54万名に拡大する。
SessionsAlabama Senator Jeff Sessions pledges his commitment to Republican candidate for President Donald J Trump before he speaks to supporters at a rally at Ambridge Area Senior High School on October 10, 2016 in Ambridge, Pennsylvania.Photo Credit: Photo by Jeff Swensen/Getty Images
その理由は?
セッションズ; まだお話しできる段階ではないが海軍に現在の水準より引き上げる余地がある。トランプはアメリカのプレゼンスを各地で示すべく海軍力拡張を主張している。ランディ、君はコメントしたいだろう
フォーブス: 質問は「当選翌日になにをするのか」だったよね。
全体的な話だ。合衆国大統領は単に案を実施する立場ではない。大統領は議会とともに、政策立案者とともに案を前進させるのが役目だ。なぜこのことが重要かというとクリントン候補はオバマの取った道筋と同じ方向を目指すといっている。つまり若干手直しするものの路線を継承するということだ。
だがトランプ大統領は最初の数日間で国際国防戦略を国防総省の下で、国家安全保障会議の下でなく作るといっている。明らかに仕事の進め方が変わる。世界各地で活動は、この八年間は国家安全保障会議が筋書きを書いてきた。八年前と比較して今の方がよくなっている国はどこにもない。
二番目に誰が当選するにせよ、安全保障会議では戦略が生まれてこない。 アイゼンハワー大統領除き、これができた大統領はない。だが次の大統領が誰にせよ、現在の想定を超えた規模の危険や脅威に直面するはずだ。そこでペンタゴンが選択肢を示す戦略を大統領に示すことが鍵となる。
トランプ大統領とクリントン大統領の違いはトランプなら我が国の能力や装備を元の方向に戻し大統領としての選択の幅が広がることだ。クリントン候補の言葉をそのまま受ければ、基本的にオバマ政権を継承すると言っているので、こう聞きたい。2007年には戦闘司令官の求める兵力艦船数の90%を充足していたのが今年は42%しか実現していないのを継続するのだろうか。歴史始まって以来の小規模かつ高機齢の空軍でいいのか。陸軍が45万人体制に縮小するのを認めるのか。トランプ大統領は軍の能力、勢力を再建する。
346ないし350隻が必要だ。なぜなら隻数、戦力をともに増やすことで脅威発生時の次期大統領に選択肢が広がれば、単に成功するだけでなく、アメリカ国民の生命を保護することができるからだ。
セッションズ: 海兵隊は18万名まで縮小しており、トランプは20万名まで拡充する提案だ。米大統領の信頼度が歴史的な水準まで減少している今日では米国が国防支出を放棄していると見られてもおかしくない。言葉だけでこの流れを変えるのは不可能だ。
トランプ構想では艦船数を増やし、兵力や機数を高水準で維持する。言葉だけでなく世界に対して米国の力を理解させる。平和の維持につながる。
2012年大統領選のロムニー候補には海軍拡充案が詳細な内容であったと記憶している。今、350隻と言ったが、どんな艦種を想定しているのか。現在は272隻で合計308隻規模だ。では追加する42隻はどんな構成になるのか。航空母艦はもっと必要なのか。
フォーブス:まず発言を思い出してもらいたい。米国には新国防戦略を国防総省主体で必要だ。ここからご質問の内容に答える。現政権が手がけてこなかった内容だ。現政権が生んだのは12ページの国防戦略指針だけだ。バカげた話だ。.
つぎに方向性の違いがおわかりだろう。トランプ候補は巡洋艦の重要性を強調している。現政権は11隻ある巡洋艦をすべて撤去しようとしている。巡洋艦、駆逐艦を十分揃えて360度全方位の対応が可能だ。巡洋艦の近代化改装は続けるべきだ。トランプ大統領は現在の大統領と反対のことを口にしている。巡洋艦が必要だ。
空母がもっと必要なのか反対なのかを断言できる人はいないと思う。だが潜水艦はもっと必要だ。10年間で41隻まで縮小すれば中国の半分となり、受け入れられない。20201年に攻撃型潜水艦が一隻加わるが、トランプ大統領は明らかに潜水艦を強化していくだろう。
セッションズ:フォーブス議員のいうように、巡洋艦の近代化とくにミサイル防衛能力は必須だ。トランプ候補が予算強制削減措置は国防総省では停止すべきと発言していることに注意喚起したい。世界が数年前よりずっと危険な場所になっていることを認めるべきだ。我が方も増強すべきだ。
トランプ候補はイラン、北朝鮮へのミサイル防衛措置の強化もはっきり主張している。また北朝鮮が核爆弾を有し、イランも短期間で核兵器開発する能力がある。両国はミサイル開発も進めている。米国のミサイル防衛の性能と有効性を向上していくべきだ。
Forbes
U.S. Rep. Randy Forbes, R-Va., speaks to a reporter after a news conference March 1, 2013 on Capitol Hill in Washington, DC.Photo Credit: Photo by Alex Wong/Getty Images
予算強制削減措置に触れているが、予算管理法と議会内の政治力学で連邦予算の支出規模が宣言されているはず。今後どうすべきと見ているのか。350隻、ミサイル防衛、海兵隊増員、戦闘機追加を言及している。すべて実現すれば相当の支出増になる。
セッションズ: 支出増の必要は疑う余地はない。予算に関連してきた当事者としては断腸の思いだが、予算強制削減の水準のままではいられないのだ。トランプ大統領はオバマ大統領やヒラリー・クリントンと違う選択をする。国防支出を増やしながら他の費目も同様に増額させるのは賢明な策ではない。
世界規模で危機状況にあるのだ。世界各地で自体は悪化している。だからこそ強くあるべきで支出を増やす必要がある。国家安全保障にそれほど関係しない費目に支出する必要はない。全費目を増額する必要もない。新大統領は現政権の政策方向とは全く違う立場を明確に示すだろう。
矛盾しないか。一方で強力な軍事力を主張し、他方で例えばロシアに強硬態度を取らないとし同盟各国への要求を増やすという。トランプ大統領は太平洋重視の姿勢を守らないのか。
セッションズ:ロシアとの関係は現政権下で著しく悪化したのであって、ヒラリー・クリントンが国務長官だった時点の話だ。逆転できるかわからない。努力はする。わが国の国益の観点で見る。米ロ両国は今より協調できるはずだ。中国は大幅に自己主張を強めている。日本は中国機の侵入に対応して航空機を発進させている。両大国がともに世界尾の大きな懸念材料になっている。
国防支出増はこれから出現する脅威に対応するもので、次から次に脅威が生まれているようにみえる。こちらが想定したとおりにはならない。また同盟各国も応分の負担増は必要だ。各国の支出内容を指示するのは容易ではないが、重要なことは確かだ。GDP比2%台の国防支出をしているNATO加盟国は五カ国にすぎない。これに対し米国は3.6%でもっと増えるかもしれないのだ。
各国に要望するのは当然だ。真剣な議論が必要となる。ドナルド・トランプはこのやり方を熟知している。しっかりと腰を下ろして要求する。これでわが国の予算以外でも必要な措置がとれる。
フォーブス: 二つの点で対立が生まれないようにする必要がある。一つはトランプ候補には自国の国防力は他国の意図の上に構築するべきものではないとわかっていることた。そんな意向など48時間もあればすぐ変わる。なんといっても軍の能力と装備の上に構築すべきものである。
このことを主張するのはトランプ候補だけではない。統合参謀本部議長があり、前の統合参謀本部議長や上下両院の軍事委員会の過去の委員長も同じ意見だ。米国がこれ以上の軍事力削減に進めば、ロシアや中国のような国が元気づくだけでこちらに追いつけると感じる。トランプ候補の政見は各国との協調を狙う。強い国防力と国防装備、能力の拡充は一層協調的な関係につながり競合勢力は国防体制の支出追加ができなくなる。
セッションズ: もう一つの争点は核兵器だ。あまりにも急激に削減すれば他国は米国と同等に競合できると過信しかねない。このことを心配している。世界は米国が二級軍事力になってほしいとは表いない。他国に先を越されては困る。核兵器で世界の平和を維持することに意味がある。
またこのこともお伝えしたい。ドナルド・トランプは戦争をしたいわけではない。戦争は悪、破壊、死、富の浪費だと見ている。シリアで何が起こったのか、リビアの国民の苦境もみている。エジプトはイスラム同胞団の被害からまだ回復していない。イラクはこれから復興という段階だ。ヒラリー・クリントンは軍の助言を無視して無理やり撤兵を押し通した。今やイラクでは自国領土の奪回に必死になっているがそもそも軍が撤退した後の2011年に平和の元で選出された政府が機能していたときの領土奪回だ。
太平洋重視政策への質問に答えていない。大西洋から太平洋への部隊移動の流れを止めるのか。
セッションズ:太平洋重視に向かうと思う、太平洋での立場を強化することは賛成だ。ランディはこの問題をもっと深く研究していると思うがどうか。
フォーブス:現政権が構造変化に手を付けたといっているが、全く新規の政策ではない。変化は前から始まっていた。世界の貿易量の三分の二が行き交う地域を単純に見ることはできない。世界の有力海軍国や陸軍部隊がこの地域に関心を払っている。
現政権が見過ごしていることがある。アジア太平洋にもう一度焦点を合わせれば良いと見ている。中東やその他地域には力を入れないとする。トランプ候補には米国はバスケットから卵一つだけを抜き取れないとわかっている。世界全体を防衛する能力と装備が必要だ。
アジア太平洋で大規模な軍事力が必要な点では変更ないが、世界の他の地域から能力装備を抜き取って来るのは認められない。その選択肢はだめだ。
一つの問題が核戦力の近代化改修だ。トランプ大統領が誕生すれば核の三本柱の再強化を提唱し、弾道ミサイル潜水艦、大陸間弾道弾、爆撃機の充実に動くのか。ロシアへの姿勢を強硬にする可能性はあるだろうか。核近代化の狙いの一つがロシアへの姿勢だ。2人はロシアとの関係改善を主張されているが。
セッションズ: ロシアは大規模市民防空演習を行い核攻撃での生き残りを訓練している。核兵器近代化で先に行っており、実際の攻撃計画も整備している。きわめて危険で面倒な関係にほかならない。相手側にはこちらが核兵器近代化を断固として進める姿勢を見せつける必要があろう。
オバマ政権はこの点を承知しているが、まだ完了していない。十分な予算をかき集めていない。核兵器の一部にはまだ真空管を使っているような状況だ。対応は必須だ。
トランプ候補は最新鋭ミサイル防衛が必要と訴える。これはどんな意味があるのか。どの装備を更改するのか。
セッションズ; まず弾道ミサイル防衛装備がある。すでに迎撃ミサイルの誘導装置で技術が確立されている。開発は今後も続けて既存のミサイルに取り付ける必要がある。
東海岸に防衛ラインが必要なのか決める必要がある。東海岸にレーダー基地は必要だろう。これは今後も続ける。技術を進歩させて敵より先に立っている必要がある。費用は膨大ではない。予算計上は今後も妥当規模を維持して新型装備の展開の勢いを維持すべきだ。
北朝鮮にどう対応するのか。同国は兵器開発を続け韓国、日本を攻撃する能力を整備中でゆくゆくは米国も標的に入れるだろう。韓国、日本にミサイル防衛装備をもっと設置するのか。
セッションズ: 太平洋の同盟各国と一緒に作業して米国が各国のパートナーであると理解させ、日本、韓国を覆うミサイル防衛の傘には両国の負担を求めるべきだろう。トランプ候補は中国は北朝鮮の危険な状態打開でもっと活躍すべきだと繰り返し主張している。
もう少し哲学的レベルで話をすれば、政治の話題になるのが事実であることは確かだ。韓国の状況はオバマ政権誕生時より悪化している。中国との関係はもっと悪くなった。ロシアはずば抜けて悪い。パキスタンも悪化、イランも悪化している。リピアも同様。リビア難民がヨーロッパを目指している。シリアも大規模な惨状だ。イラクは国土奪回に向かっている。エジプトでは軍が介入して国政選挙になったのは幸いとはいえ脆弱でやはり以前より悪化している。オバマ政権とヒラリー・クリントンは国務長官として状況の回復にほとんど寄与していない。ISISがのさばっている。ほぼ世界の各地で挑戦を受けている状況だ。
ドナルド・トランプがこの状況にどう対応するつもりなのかを紹介してしまったのは間違いだと思う。こぼれたミルクは相当の量でわが国の信用度を回復して安定した世界を取り戻す方法を見つけなくてはならない。
国防産業が考慮すべき点はなんだろうか。ドナルド・トランプは大企業は覚悟しておけと述べている。大企業の利益を減らして成果を実現しようとしているのか。
セッションズ:間違いない。米国政府は最低価格で調達して不良欠陥もないことを期待している。国防契約企業各社が納期どおりで予算通りに製造することを監視していく必要がある。
フォーブス: 覚えておいてもらいたいのは国防契約企業各社の予測可能性だ。戦略さえ与えれば守る様になる。予測可能性が生まれれば必要な事業を展開できるはずだ。
もうひとつ学んでいるのは相手は国家だけではないことだ。非国家勢力がどんな兵器を入手しているかが気になる。米国への脅威となるからだ。■



2016年10月29日土曜日

主張 クリントン当選を期待する国の存在がトランプへの一票を正当化する



報道界が必死になりクリントン優勢の機運を盛り上げてきたにも関わらずここに来てもクリントンのリードはごくわずか、というのは投票日当日に大きなどんでん返しがあっても不思議ではないということで、最初からクリントン優勢と信じ込んでいる向きには不安な気持ちが広がっているでしょう。
 20世紀政治の延長を選ぶか、21世紀になりあらゆる点で見直しを図るのかの選択で、米国からの便宜供与を受けている既得権層が自らの存続をかけ必死になるのは理解に堅くありません。
 果たしてその期待どおりに進むのでしょうか。


The National Interest


Foreigners Want Hillary Clinton for President: A Good Reason to Vote for Donald Trump

October 28, 2016


ヒラリー・クリントンは世界の大統領候補なのか。ある見出しは「世界はクリントンに期待」とある。

  1. 背景には醜悪とも言えるドナルド・トランプの大衆迎合主義がある。ただしアメリカだけの話ではない。フィリピンのロドリゴ・ドュテルテはトランプ以上に「トランプ的」である。ヨーロッパにも大衆の受けを狙った政党が乱立しており、一部政権に参画しているものもあれば次回国政選挙で政権奪取を狙う党もある。マリヌ・ルペンが大統領となればトランプよりも過激になるだろう。

  1. だがもっと大きな懸念事項は世界各国を支援する超党派政策をトランプが継続するとは思えないことだ。第三世界では米財政支援に頼り切る国が多い。トランプは「対外支援」の用語を口にしておらず、米国から雇用を奪い不法移民を流入させるような国には資金提供を打ち切る可能性が高い。

  1. 西側の経済援助が各国の開発に大きな貢献をしたと証明することは難しい。被援助国エリート層は恩恵を受けているが、豊かな国の貧困層から資金を調達したのが対外援助の本質で貧しい国の富裕層を肥やしているといわれてきた。その恩恵を受けてる側はアメリカにこのまま継続してもらいたいと考えている。

  1. もう一つ重要なのは米政策により先進国ほぼすべての国防が恩恵を受けていることだ。ヨーロッパ各国の経済規模、人口は全部合わせればいずれも米国を上回るのにワシントンが各国の防衛の盾を提供するのを当たり前に思っている。各国は軍備支出を節約し、福祉政策を賄っている。トランプが大統領になれば各国首脳は都合の良い政策を継続できなくなる。

  1. あるヨーロッパ関係者がニューヨーク・タイムズに語っている。「トランプが当選したら皆が困るんですよ」 フィナンシャルタイムズによればヨーロッパ各国大使館にはトランプ当選の場合の影響を探るよう指示が来ている。フランス大統領フランソワ・オランドは社会主義者であり他人の金を使うことが信条で、トランプには「吐き気を感じる」とまで発言している。

  1. 既存ヨーロッパ西側諸国には脅威はさほど大きくないが、東ヨーロッパにはロシアの脅威がひましに増えているのに西側の隣国は対応していない。そのため各国とも米国の救援を期待している。バラク・オバマ大統領はウラジミール・プーチンの謀略へ反応してきた。オバマ政権が各国に「再保証」を伝えたので、各国は米国からの支出増要求を無視して良いと理解している。ワシントンがいつも穴埋めしてくれならこちらの期待どおりに動く政治家などいない。

  1. アジアでも状況は大差ない。日本と韓国は米国の防衛約束を権利とみなしている。日本が世界第二位の経済規模を誇っていた間もそのままだった。たしかに日本が自国権益の保護のために自ら不利益を被るとは期待できない。これはアメリカの責務だ。

  1. 韓国の状況はもっと厳しい。韓国は北朝鮮に対しGDP40倍、人口でも2倍の規模だ。にも関わらずトランプは韓国が米軍の恩恵でぬくぬく暮らしており、その恩恵に値する費用をアメリカに返金すべきと主張し韓国報道界から一斉に反感を招いた。韓国左翼勢力も自国で大幅軍備増強をする必要はないとの主張では右派と同一意見だ。

  1. ごく最近までフィリピンは中国への対抗のため米国支援を取り付けるのに必死だった。フィリピン海軍は中国に対抗できない。そこでフィリピン政界は一致して米国をひきつけ米軍の力を借りて中国に対抗していこうとしてきた。デュテルテ大統領は全く違う姿勢を示しているが、中国寄り政策を任期満了まで継続できないだろう。

  1. 外交当事者にとって米国が国防で手を貸さない世界は想像がつかない。ニューヨーク・タイムズ記事では米選挙を目にしたヨーロッパに「静かなる絶望感が底流にあり」とし、「NATO加盟国間にとくに失望感」があるとの見方を示す人もいる。米国への依存度は「なみなみならぬ規模」とドイツ大使ピーター・ウィティッグは述べている。

  1. Die Zeit のジョセフ・ジョフェは「仮にトランプ大統領がNATOを解体すれば、いきなり寒風に晒されたヨーロッパ各国はロシアと和睦に走るだろう」と考える。代替策はある。ヨーロッパ各国が防衛支出を増額するのだ。だがジョフェはその可能性は検討に値しないと考える。これはヨーロッパ全体でも同じだろう。つまるところ、ヨーロッパは防衛はアメリカの責任と見ているのだ。これは変わらない。

  1. オバマ政権もクリントン候補の選挙運動もともにヨーロッパに対してアメリカはこれからも責任を果たすと述べており、とくに現政権はアメリカ自身より主要同盟国を重視している観さえある。端的に言えばアメリカは自らの防衛に悩みたくないヨーロッパ各国を甘やかす政策とはきっぱりと決別すべきだ。

  1. ジュリアン・スミスはクリントン選挙対策本部内部でクリントンが民主党全国大会で述べた「ヨーロッパ再保証」の主張を起草している。民主党副大統領候補ティム・ケインは共和党がNATO各国を「見捨てる」と非難している。マデリン・オルブライト元国務長官はトランプの恐喝で「友好国同盟国が離れる」と不満だが、施しに頼り切るよりもはるかに成熟した国の行動なのだ。

  1. 民主党全国大会でヨーロッパ各国が「安堵した」とニューヨーク・タイムズが書いたのはいかにもという感がある。イタリア外交団のひとりが同紙に「従来どおりの政策になるとわかった」とアメリカが各国の権益を今後も守ると示唆して、クリントン当選となれば世界は安心できるという。特にアメリカ軍の奉仕に頼り切った各国は安堵するというのだ。

  1. もちろんドナルド・トランプに反対票を投じる理由は数々ある。だがアメリカ納税者は同候補への一票で世界各国の恩恵を重視する勢力の期待を崩せる。

  1. 当選してもトランプがどんな大統領になるのか今は誰もわからない。同盟各国に防衛費用を請求するのは良い考えではない。米軍は傭兵ではない。にもかかわらずトランプは問題の本質を捉えている。防衛能力を整備できる国や地域はその通り実施すべきだ。全部が米国政府の責任ではない。

  1. バルト海で危険が叫ばれるとなぜいつもまっさきにワシントンが人的資源では困らないヨーロッパ大陸に先駆けて部隊を急派することを期待されるのか。なぜ米国が韓国の防衛に責任を有さなければならないのか。韓国政界は北朝鮮と同等の軍備整備を想定ていない。なぜ日本が攻撃下の米艦船を防御する方針をやっと昨年に決めたのか。もともと日本が攻撃を受ければ真っ先に対応するのが米軍である。中東でも同様でサウジアラビアはじめ湾岸諸国はイランよりはるかに巨額の防衛予算を執行しつつ米軍にはシリア、イエメン内戦に関与させ続けるのか。

  1. 米国民は投票に際して米国権益につながる一票を投じるべきであり、世界のための投票ではない。各国が好む候補があるということ自体その候補に投票しない強い理由になる。ワシントン政界が各国を念頭に置くのは結構だが、そもそも誰のために奉仕すべきか忘れてもらっては困るのである。  ■  
                                                             
Doug Bandow is a Senior Fellow at the Cato Institute and a former Special Assistant to President Ronald Reagan. You can follow him on Twitter: @Doug_Bandow.
Image: Creative Commons/Flickr User Gage Skidmore.



2016年10月4日火曜日

トランプ、クリントンの国防観、安全保障政策はここまで異なる



米報道機関はなんとかクリントンを当選させたく必死になっているようですが、状況は極めて流動的です。ここで米国内でテロ事件でも発生すればあるいは海外で危機状況が発生すれば一気に情勢が変わりかねません。軍関係者としては不毛の選択を迫られそうですが、トランプの方がまだマシということになるのではないですかね。クリントンがタカ派と言うのは日本では信じる人は少数派でしょうね。


From troops to nukes: This is how Trump and Clinton would manage the military


米軍は来年1月に新しい最高司令官を迎える。好き嫌いに関係なく当選に最も可能性の高い二人の選択で今後四年間にわたり軍の姿は大きく変わるが変容ぶりは選択次第で全く異なるだろう。
  1. ドナルド・トランプ大統領の下で軍は人員、装備面で劇的にまで拡大するが、任務はひろがらないはずだ。同候補は世界各地の問題地点への米介入に疑問を隠すことなく述べており、米軍が多国籍軍に参加することにも懐疑的だ。米軍の海外拠点も減る方向に向かう。
  2. 対象的にヒラリー・クリントンが11月に勝利を収めれば、かねてから外交といわゆるソフトパワーを多用すると発言しており、世界各地で発生する小規模な介入でもこの姿勢を貫くはずだ。また同性愛者,性統一障害者に門戸を開いた軍の方針を歓迎しており、女性にも職種を開放したことを評価している。
  3. 軍各部隊の隊員には両候補者に不快感を示すものが多く、明確に一方の支援に傾くことはないようだ。9月中に行われたMilitary Timesとシラキューズ大共同の現役隊員向け調査では85パーセントがクリントン候補に不快感を示す一方で、66パーセントがトランプ候補にも快く思っていないことが判明した。
  1. 確かに両候補ともにそれぞれの所属政党の安全保障に関する基本線を混乱させており、両党主流派と対立する立場を示している。
  2. トランプは米軍が一層主導的な役割をはたすべきとの共和党流の主張に馴れきっている同盟各国に懸念を生じさせている。「同候補は非介入主義だ」とダグ・マクレガー退役米陸軍大佐は述べている。「広義では同候補は過去からの決別を公約しており、単に任期で最長となる8年間にとどまらず25年にも及ぶ影響が生じるでしょう。外交政策、国防政策の両面で。これまで世界各地に関わるべくあらゆる理由をつけてきましたが、その結果どうでしょう。この国は破産に向かっており、ちっともいいことがないではないですか」
  3. クリントンのほうが現状維持に近く、軍は規模縮小してもハイテクかつ強力な威力を実現するとしている。民主党には軍事力行使を快く思わない傾向が強い。「クリントン候補の方が強力な国際主義の信奉者です」と語るのはマイケル・ヌーナン(シンクタンク外交政策研究所で国防専門家)だ。「トランプよりタカ派でしょう。国防政策、外交政策を論じる際にはリベラルだ保守だと言っても意味がありません」
  1. その他にも相違点はある。トランプはロシアと仲良くなりたいという立場で、実現すれば米外交政策へ大きな影響が生まれ、米軍のヨーロッパ内での役割にも変化が生まれる。クリントンは総額1兆ドルを投じての米核兵力近代化事業に懐疑的で、厳しい選択は必然だ。米軍がテロリスト対策で国際法を遵守すべきかとの点で両候補の意見が異なる。両候補ともに議会に国防支出の上限設定をやめさせると公約している。
  2. 首都ワシントンの常識では次期最高司令官は軍の再構築に大きな指導力は発揮できないはずとする。国防予算は議会が依然として管理しており、軍の拡充あるいは削減の最終意見を述べる立場にある。だが上下両院ともに11月に改選を控えており、各軍の隊員は選挙で軍の行方に自ら影響を与えられる機会ととらえている。どちらの候補を選ぶにせよ、ペンタゴンのトップも交替となるはずで、国防上の優先事項や新しい状況が上層部交替で生まれるはずだ。
軍の規模と国防支出はどうなるか
  1. 大統領選で評論家はトランプを意図的に曖昧な発言に終始しかつ具体論はほとんど明かさない傾向がクリントンより目立つと批判している。だが軍の規模に関しては両名の立場は逆転する。トランプは人員規模と装備整備の目標を公言しているが、クリントンは一般論で「最良の装備と世界最強の軍」を維持するとしか発言していない。
  2. トランプは9月に陸軍の正規軍規模を54万名とし、現在より5万名増し海兵隊は1万名増やし、現行の23大隊を36大隊体制にすると述べている。ともにバラク・オバマ大統領がイラク、アフガニスタン後の軍の体制として削減を続けてきた政策を逆転させる。
  3. トランプはさらに「水上艦潜水艦合計350隻」と「最低1,200機の作戦用機材の空軍兵力」を公約としている。海軍にとっては27%の増加となる。空軍は2千機の作戦機材があると公言しているが、そのうちすぐに任務投入可能なのは1,100機程度しかないので、トランプ構想は空軍にも装備増となる。
  4. 「ロシアの装備は当方より近代化が進んでいる」とトランプは第一回目の大統領候補討論会で9月26日に述べている。「こちらは新装備の拡充が遅れている。ある日目をやるとB-52が飛んでいた。視聴者の皆さんの父親より古い機材で祖父が飛ばしていた機材だ。他国に対抗できていない」
Cover Mil 3B-2爆撃機をホワイトマン空軍基地(ミズーリ州)で整備する。ドナルド・トランプは大統領当選後の機材、人材目標として空軍機材の拡充にも触れている。対抗する民主党候補ヒラリー・クリントンは一般論に留まっている。Photo Credit: Mary-Dale Amison/Air Force
  1. トランプの選挙運動から見えてくるメッセージは明らかだ。大統領当選の暁には軍事力拡充を進める。その財源はまた別の問題だ。
  2. 「軍に必要な装備は調達し、価格が本来の水準より高くなるのは仕方がない」と討論会で発言している。それでも全国納税者連盟は陸海空軍と海兵隊を増員すると750億ドルが最初の5年間で必要になると試算しており、毎年3%の上昇要因となるとする。無駄な支出を削減したり、非制服組職員を削減しても追いつかないという。
  3. つまりトランプの国防予算はこれから五年間に軍事支出の上限を突破するのは必至で長期にわたる議会との予算折衝が必要となる。オバマ政権はこのやりとりから逃げていた。
  4. クリントンの国防案は軍事力増強を公約していないので予算支出上限に抵触しないはずだ。
  5. 退役軍人会の年次総会の席上でクリントンはアメリカは「軍事優位性を一歩でも失うことは許されない。またペンタゴンには賢い支出をしてもらい予算手当も安定的かつ予測が付く形で認める」と述べていた。だが人員増、装備拡充の代わりにクリントンは「納税者のお金を賢く使う国防予算を編成する」とし、「技術革新や新性能で21世紀の脅威に対抗できるように予算を投入する」と発言。
  6. この言い振りはオバマのめざした筋肉質で技術に重きをおいた軍の姿と共通するものがあり、小規模な特殊作戦や無人機依存に焦点をおいていた。クリントンもトランプと同様に無駄と不正を減らし国防支出を節約すると公約している。
  7. クリントンは「外交と最前線の活動で国内に脅威になる前に問題を解決する」と強調している。つまり、国務省にもっと予算を計上して軍事支出より優先させるということか。
軍をどのように投入するのか
  1. 米軍の基本任務と世界における役割で両候補の描く姿は大きく異なる。
  2. クリントンはアメリカの権益と国際法の遵守の前進に軍の積極的な役割を想定して、海外同盟国に展開する部隊には「世界のいかなる場所でも即応できる」体制を期待している。
  3. ここにクリントンのタカ派としての見識が反映されており、軍事介入や現在進行中の作戦拡大をやむなしと見ていることが伺える。クリントンは2003年のイラク侵攻に賛成票を投じておいr、2009年のアフガニスタン増派を支持し、2011年にはリビア介入を主張した。クリントンはアメリカ例外論の信奉者であり、レーガン時代の共和党員と通じるものがあり、ブッシュ時代のネオコンからも一定の支持を得ている。
  4. 6月の外交政策演説でクリントンはイランに対する行動を警告した。「世界は理解してくれる。米国が必要に応じ決定的な行動を取ることを。軍事行動も含まれ、イランが核兵器を取得するのを阻止する」
  5. 反対にトランプは我々の記憶に残るいかなる共和党員とも異なる。軍事介入そのものに懐疑的なことでは民主党の基本的姿勢に通じるものがある。軍の現状におおっぴらに批判を加え、指導層には「破滅的」との評を下し、オバマ政権下で将軍職は「ガラクタにまで成り下がった」としている。トランプは財政上の安定度を優先する考えを公約しており、米国人の一般家庭の価値観も重視する一方で世界各地で指導的な立場につくのは回避する。
  6. そのためトランプは海外での米軍事力の行使に慎重な姿勢を示している。トランプによればイスラム国戦ではロシアに主導的立場を取らせれば良いとし、サウジアラビアや韓国に独自に核兵器を整備させ敵勢力を封じ込めば良いと主張する。
  7. トランプはクリントンの経歴を繰り返し批判し、海外軍事活動への支援姿勢もそこに含めている。「ヒラリー・クリントンが侵攻、介入、転覆を考えたことのない国は中東にはひとつもない。引き金を引きたくて仕方がない一方で戦闘になれば不安定さを示す人物」と述べている。
  8. 「ISISは打倒する」とトランプは言うが、軍事力行使は本当に必要な場合に限るとする。米国の中東政策には批判的で納税者のお金は国内で効果的に使うべきだと主張する。「中東には6兆ドルを投入した」とトランプは討論会で発言。「それだけの資金があればこの国を2回再建できた。本当に恥ずかしい。クリントン長官のような政治屋がこの問題を生んだのだ」
  9. 両候補の立場は対ロシア関係で一番明確な違いを示す。クリントンはヨーロッパに軍を増派しロシアの野望に対抗すべきとする。「クリントン大統領はロシアには対して心配はしないと思いますね」とマイケル・ルービン(アメリカンエンタープライズインスティテュートの国防問題研究員)は見ている。
  10. だがトランプはNATO同盟関係の費用ならびに価値そのものに懐疑的だ。トランプがロシア大統領ウラジミール・プーチンに親しみを表明したことから米ロ関係が再構築に向かうのではないかとオマー・ラムラ二(ストラトフォー地政学情報提供企業の軍事専門家)は見ている。「トランプ政権が発足すればロシアとの関係が好転する兆しが出てくるはず」という。
社会政策、環境政策はどうなるか
  1. オバマ政権は軍の人事政策で歴史的な改革を実施し、「聞くな、話すな」方針は撤回され、同性愛者にも門戸が開かれた。さらにすべての戦闘任務が女性に開放されペンタゴンは今年夏に性不一致障害者の採用を解禁した。
  2. クリントンは性不一致障害者に関する決定を賞賛し、女性には軍務登録に応じるよう求めている。これは必要になった場合に徴兵となる制度だ。また同性愛を理由に軍務を離れざるを得なかった在郷軍人の軍務記録を更新すると約束している。
Women Rangers左からクリステン・グリースト大尉、リサ・ジャスター少佐、シェイ・ヘイバー中尉は陸軍生え抜きのレインジャー学校を初めて卒業した女性将校。ヒラリー・クリントンは軍の人事政策がオバマ政権により変更されたことを評価。一方、ドナルド・トランプは軍は社会実験の場所ではないと述べた。(Photo by Paul Abell/AP Images for U.S. Army Reserve)
  1. クリントンは性的マイノリティー向けに「完全平等」を選挙戦の前面に掲げており、オバマ政権が残した変革をさらに拡大するとしている。公約では同性愛者の隊員や軍属の悩みや課題をタウンミーティングで傾聴するとしている。
  2. トランプはこの問題を重視する姿勢を示していないが、昨年中は連邦政府の政策や事業に見られる「政治的中立性」をひっくりかえすと約束していた。同性結婚には反対姿勢を示し、州法により性不一致者が公衆トイレに入ることを禁じているのを支持。副大統領候補マイク・ペンスは「聞くな、話すな」規則へのあからさまな支持で知られている。
  3. 共和党綱領が今年夏に採択され、(トランプ陣営が作成に関与している)、「軍を社会実験の場に使うこと」に反対する文言が入っている。軍は任務実施の準備を整えるべきで高水準の人材を確保し、軍務に関する人事決定を正しく行うべきであり、「社会的あるいは政治的課題」の解決を目指すべき場ではないとする。
  4. オバマ政権の実績をもとに戻すことが狙いなのかは不明だ。議会内にも現政権による変革を快く思わない向きがあるが施策を元に戻すことはほぼ不可能と認めている。職務変更や解雇が発生するからだ。だが変革の実施方法での決断では考慮の余地があり、変革方向をさらに希求するためには新施策が必要なのかで議論の余地がある。
  5. 気候変動でも軍への影響があり、議論が必要だ。憂慮する科学者連盟による最新報告では海面水位上昇で2100年までに軍事基地合計128箇所が水没の危機にあるという。オバマ政権は気候変動は国家安全保障問題と位置づけ、議会と軍における再生可能燃料の導入でやり合いがあり、天然資源の獲得をめぐり社会不安が生まれ、テロ集団が増える可能性があると警告していた。
  6. クリントンも気候変動が安全保障問題だと認識しており、第一回討論会ではトランプが問題の背景にある科学的事実を無視していると非難している。「一部国が21世紀のクリーンエネルギー大国になろうとしている」と述べ、「ドナルドは気候変動は中国人のほら話だと思っているようだが現実問題です」と発言。
  7. これに対しトランプは反論し、環境問題は大事だが、クリントンが言うほどの深刻さはないと述べた。またオバマ、クリントン両人がエネルギー政策として太陽光エネルギーへの公的資金投入を提唱していることを非難し、「大量の失業が発生する」ため政策は撤回されるべきと述べている。

新兵器開発、核兵器改修はどうなるか
  1. 国防支出では両候補ともこれまでの共和党、民主党の基本姿勢と同じに見える。トランプはペンタゴン予算を増額するとしながら、規模と手当の方法も不明だ。クリントンはオバマ政権の基本路線を踏襲するとしながら軍事即応体制への懸念はほとんど口にしていない。
  2. それでも軍事専門家の多くが次期最高司令官にはペンタゴン予算すべてを統制することは不可能と指摘する。次期大統領がホワイトハウス入りする時点で強制予算削減は実施中で2021年まで措置を続けるはずだからだ。軍事支出増の法案は成立の可能性が薄い。
  3. 「予算環境は2017年1月になって急変換しないし、大統領当選者次第で変わることもない」と話すのはクリストファー・プレブル(CATO研究所の国防専門家)である。それによるとティーパーティー派の共和党員は政府支出の殆どに反対の立場でペンタゴン予算増額に必要な議会内意見取りまとめを阻止してくると見る。「2011年から続いている閉塞状況が急に変わることはない」
  4. クリントンは予算強制削減策に反対でオバマ政権が残した国防支出路線の支持を公言している。徐々に現状の支出上限を上回る規模とし、上限枠が今後引き上げられるのを待つ策である。一方、軍の「再建」を誓うトランプにとってワシントンの手詰まり状態が立ちふさがるだろう。
  5. ペンタゴン上層部からはここまで国防予算が厳しいと全体の即応体制に悪影響が生まれ、装備近代化事業にも波及するとの警句が出ており、F-35共用打撃戦闘機、B-21長距離打撃爆撃機や海軍の長期建艦計画を例に上げる。次期大統領は各事業の評価を正しく行い、構想段階から国防総省の正式予算手続きに移行させるべきだが、両候補の立場が完全に明白になっていない。
  6. クリントンは新型核兵器開発案には反対する意向を表明している。ペンタゴンの目標は1兆ドルで米核兵器の近代化を図ることで、新型爆撃機、新型地上配備大陸間弾道ミサイルや新型弾道ミサイル潜水艦を整備したいとする。「理解できない」とクリントンは1月に発言している。合わせて核兵器軍縮への支持を表明している。
submarine Rhode Islandオハイオ級弾道ミサイル潜水艦ロードアイランド、キングスペイ(ジョージア州)にて。海軍はオハイオ級後継艦の建造計画を推進したいとする。 (Mass Communication Specialist 1st Class James Kimber/Released)
  1. トランプからは核兵器の投入を示唆する発言が出ている。「ISISが米国を攻撃してきたら核で反撃していけない理由があるだろうか」と3月にMSNBCで発言している。また核兵器について大統領が「予測不可能」であることが必要だとくりかえし発言している。
  2. 具体的な発言がないことが関係者を苛立たせている。「政府機関で最大規模で最大額の予算執行をする省庁でこの国の安全を司る機関の話ですよ」とマンディー・スミスバーガー(非営利団体政府監視団の軍事専門家)は語る。「両候補とも将来の姿について意味のある討論はほとんどなかった」
  3. 大統領選挙戦が終盤に入り一つ確実なことがある。軍事専門家は両候補の選択に不安を感じている。「多数意見は『投票所に行って鼻をつまむ準備ができているか』」だと最近退役した海軍提督が話している。軍内部でこの話題が広まっているという。トランプの感情起伏を心配しながらクリントンの国務長官時代の電子メール取扱のまずさは言語道断で弁解の余地が無いという。毎日極秘情報を取り扱うだけにこう見るわけだ。「両候補もテストに合格できる人物でなない」と先の提督は述べた。■

Leo Shane III covers Congress, Veterans Affairs and the White House for Military Times. He can be reached at lshane@militarytimes.com.
Andrew Tilghman covers the Pentagon for Military Times. He can be reached at atilghman@militarytimes.com.


2016年8月13日土曜日

こんな人には大統領になってもらいたくない②ドナルド.J・トランプに国際安全保障で中身のある考えは期待できない



当然このシリーズ二回目はトランプ候補です。米大統領選挙史上で最も異彩な候補者と言ってもいいでしょう。正統派の共和党には受け入れられず、多数の既成共和党政治家が不支持を公然と表明しているのは異様ですが、世論調査ではまだヒラリー候補と大きな差がついていなのも異様です。どちらが当選しても過去の延長線の大統領にはなりそうもありませんね。その結果が安全保障面でこれからどう現れるかが懸念されます。

The National Interest Donald J. Trump? Never.

Does he have any real ideas about international security other than those he reads from his teleprompter?
Image: “Donald Trump speaking with supporters at a campaign rally at Veterans Memorial Coliseum at the Arizona State Fairgrounds in Phoenix, Arizona.” Photo by Gage Skidmore, CC BY-SA 2.0.
“Donald Trump speaking with supporters at a campaign rally at Veterans Memorial Coliseum at the Arizona State Fairgrounds in Phoenix, Arizona.” Photo by Gage Skidmore, CC BY-SA 2.0.

August 8, 2016


  1. ドナルド・トランプに大統領選挙で一票を鼻をつまみながら投じても良いと一瞬思える時期が筆者にもあった。
  2. 今年4月末にNational Interest主催の機会で外交政策の所信表明をし、納得できる点があった。トランプはイスラエルとアラブ諸国の間に平和を実現するとの立場を見せ、他方でNATO同盟諸国にはGDP比2パーセントまで国防支出を増やさせ、アメリカの防衛政策のあるべき姿を従来より詳しく述べた。核兵器近代化を支持し、ミサイル防衛の実効性も高めるとした。また陸軍の増強、艦船数、空軍兵力の拡大も主張した。対ロシア姿勢では以前よりバランスが取れたものの言い方で力を背景にした交渉のみをすると言い切っていた。
  3. 筆者はずっと共和党員であり本選挙では共和党候補なら誰でも構わず投票してきた人物だが、トランプはこの筆者を完全に納得させられなかった。貿易問題では頑固なまで否定的な態度を示したことに心配させられた。
  4. とくに貿易問題と同盟関係で無頓着とも言える横柄さに懸念を覚え、これでは日本や韓国が独自に核兵器保有に向かうのではと思わされた。本人自慢の交渉術がイスラエルとパレスチナの間に本当に平和をもたらすか不明だし、逆に双方をもっと対立させるお節介ブリを示すかもしれない。
  5. 11百万人に登る不法移民を国外追放せよとの提言にも賛同できない。多くはヒスパニックでメキシコ国境に壁を作るとも主張している。不法移民をメキシコ出身の性犯罪者や犯罪者だと決めつけるが実はヒスパニックの大部分はラテンアメリカ各国出身者で通常のアメリカ市民より重大犯罪を犯す実績が低い事実を無視している。さらに同候補者のイスラム教徒への姿勢に大きな懸念を覚えざるを得ない。スンニ派諸国ではすでにアメリカの信頼度が揺らぎ始めており、1930年代に後戻りするような人種差別主義の香りもする。
  6. とはいえNational Interestでの講演を契機にトランプは一皮むけたと筆者は感じ、過激な発言を慎むよう助言する専門家に耳を傾けるようになったと思った。だが筆者は甘かった。だがその後の本人の行動を見ると他人には耳を傾けていないのは明らかだし、テレプロンプターがなければ大衆扇動家のままではないか。歓声を上げる聴衆の前で見境のない発言をしているだけだ。
  7. トランプはNATO批判で窮地に陥っている。同盟各国間には本人の評価は低くなり、TPP環太平洋経済連携への反対姿勢もそのままで、太平洋での米主導力を否定する形だ。また日本や韓国が核武装に向かうとしても反対はしないようだ。中国への敵意はそのままだが、ロシアへは手ぬるい姿勢に変化はない。ロシアのウクライナ侵攻を無視しているのか無知なのか、国際安全保障問題ではテレプロンプターが表示する文句以下外は本人の考えは皆無のようだ。
  8. 上記を理由に筆者はドナルド・トランプには絶対投票しないと決意したのではない。むしろその行動であり、ナルシズムの気難しさであり、あえて楽しんでいるかのような激烈な声明から地上最高位の職務には全く不適格と言わざるをえない。
  9. 米国生まれのヒスパニック系判事への非難は同判事がトランプ大学案件を担当したためなのか人種差別観が露骨に出ており、米国在住イスラム教徒カン一家を非難した口調には常識的な一線を超えイラク戦で息子を失った家族をなじっていた。また障害を持つ記者を真似てからかうさまはクリントン陣営の選挙CMが取り上げている。
  10. 筆者は孫多数に恵まれ、5人が十代と十代未満だ。それぞれの両親によりゆくゆくは立派な国民として軍服を身に着けた男女を尊敬し外見や信仰は違っても他者を尊敬するよう教えられている。そんな孫たちに対してドナルド・トランプが大統領になるのは耐えられず、孫達が教えこまれた価値観と反対のお手本を大統領が示すのも耐えられない。候補者はそれぞれ欠点はある。ヒラリー・クリントンも多々欠陥があるがドナルド・トランプはその比ではない。共和党の恥であり、それだけでなく米国とその価値観へも侮辱だ。■

筆者ダヴ・S・ザケイムはCenter for the National Interest副会長で、国防次官補を2001年なら2004年までつとめた以外に国防副次官を1985年から87年まで経験している。