2020年11月29日日曜日

台湾がついに潜水艦国産建造に乗り出した。8隻建造し、2025年に一番艦を就役させる。日本は傍観しているだけでいいのでしょうか。

 

KYODO VIA AP

 

ポイント 台湾は新型潜水艦を8隻国産建造し、老朽化著しい潜水艦部隊を一新し、中国の脅威増大への対応を目指す。

湾が初の国産潜水艦建造に一歩近づいた。専用建造所が完成し、中華民国海軍の近代化が実現する。蔡英文総統が開所式に出席し「台湾の主権を守り通す強い意志を世界に示す」と宣言した。

新設の潜水艦建造を専門とする施設は台湾南部の高雄に2020年11月24日完工し、新型ディーゼル電気推進方式潜水艦8隻の建造を開始する。設計は国家中山科学研究院が米国の支援のもと完成させた。初号艦は2025年に就役予定で、台湾国際造船が建造を担当する。

 

蔡英文総統は「潜水艦は台湾の目指す非対称海軍戦力整備で重要な装備で、台湾に接近を試みる敵に対する抑止効果を実現する」と祝辞で述べた。北京に対し自国防衛の強い意志を示し、潜水艦建造事業は台湾防衛の自己遂行能力を引き上げることにもつながる。

 

 

MINISTRY OF NATIONAL DEFENSE, ROC

蔡英文総統が高雄の新設潜水艦建造施設の完成式に出席した。

 

 

人民解放軍海軍(PLAN)が潜水艦多数を運用中でしかも近代化と性能向上が著しく、台湾海峡で活動も増えている中で、中華民国海軍(ROCN)は一方的に不利な状況だ。台湾の潜水艦部隊は海龍 Hai Lung級2隻、海獅Hai Shih 級2隻のみで高雄の左營區 Tsoying 基地に配備されている。

 

このうち海獅級はオランダで1980年代建造された艦で、オランダ海軍ズヴァールトフィス級を原型とし、最高速力は20ノット魚雷28本搭載といわれる。海獅級の性能改修が2016年に始まり、15年程度の供用期間延長をめざす。なおオランダ海軍はズヴァールトフィス級を1990年代に退役させている。

 

 

AP/CHIANG YING-YING

台湾海軍の海龍級潜水艦海虎はROCNに1988年就役した。

 

海龍級より古いのが海獅級で海獅は米海軍テンチ級、海豹はバラオ級と第二次大戦時の艦で台湾に余剰艦として1973年-74年に譲渡された。海獅は潜航速度が15ノットしか出せず、現代戦に適合しているとはいいがたく、訓練用途で使われているようだ。両艦ともに潜航深度に328フィート制限がついており、圧力艦体にゆがみがつき金属疲労もあるといわれる。ここ数年、両艦を退役させる話が出ているが博物館ものの両艦を見れば当然だろう。


 

CPJ2028/WIKIMEDIA COMMONS

海獅は元USSカットラスでテンチ級潜水艦として1944年進水だが、今もROCNは供用中。

 

 

新造船施設の開所式で台湾国際造船会長Cheng Wen Lungは台湾の国産潜水艦建造は多大な困難を克服してきたと語った。「開発を進めさせたくない外部勢力があった」とし、中国の反対を恐れ、海外国の潜水艦技術移転が進まなかったことを指している。中国は今も台湾を反乱地方と見ており、再統一は必須とする。

 

1990年代のクリントン政権は潜水艦売却を拒んだ。1979年の台湾関係法の想定外としたのだ。台湾はアルゼンチン、ノルウェーいずれかからの原型をもとに建造を目指したが、いずれも失敗した。

 

2001年にジョージ・W・ブッシュ大統領が台湾向け装備品の大規模売却を認め、ディーゼル電気推進式潜水艦8隻もその一部としたが、その後中国の顔色を見て方針を転換した。だが米海軍の通常型推進潜水艦は終了して相当の年数が経っており、8隻は米国では設計できず、ライセンス生産するしかなかった。ドイツ、オランダの原設計が有望と見られていた。

 

だが両国は台湾への潜水艦技術提供を拒んだ。オランダ政府は武器輸出は台湾、中国本土のいずれにも行わないと述べ、ドイツは「一つの中国」方針を堅持するというものだった。

 

米国内でディーゼル電気推進方式潜水艦建造ができないため、台湾には余剰艦を供与する方針に変わった。2004年に米国は新型ディーゼル電気推進方式潜水艦をミシシッピ州のインガルス造船所で行う案を提示し、海外設計で建造する可能性が多大だったが、これも実現しなかった。ROCNは手持ちの4隻を稼働させるしか手段がなかった。

 

一方で新型潜水艦建造は台湾で政治課題となり、国産建造か完成艦輸入かで意見がわかれた。2005年に工業開発局長Chen Chao Yiは「潜水艦建造は台湾で可能」と述べたものの「潜水艦青写真と兵装システム」で米国の協力が必要と認めていた。

 

ついに台湾は国産潜水艦建造事業の開始を2014年に決定し、2017年に蔡英文総統が潜水艦建造の覚書に署名した。

 

「重層抑止力構想にもとづき、水中戦力は台湾防衛で最大の効果を発揮する」とその際に同総統は「だれでも理解できるがこれまで実現できなかった」と述べた。

 

台湾構想の実現で突破口となったのが2018年の米国務省による方針決定で関連技術の台湾向けライセンスが認められたことで、戦闘統制システムやその他技術提供に道が開いたが、米企業がどこまで関与できるのか詳細は非公表だ。

 

台湾の国産建造ではオランダ建造の海龍級建造で得た知見も参考となり、ROCNはこれまで詳細に研究しているが、その他国のノウハウも必要になるはずだ。すでに耐圧船殻製造で台湾が支援を求めているとの記事が出ている。

 

新型国産潜水艦にはオランダ製の海龍級の影響が現れているが、新型艦の詳細はほぼ不明のままで大気非依存型推進(AIP)が搭載されるかは不明だ。

 

新型潜水艦8隻と海龍級改修艦があってもROCNの潜水艦部隊はPLAN潜水艦部隊に大きく劣勢となる。だが、通常型でも新規建造艦は多国間演習で大きな効果を実証しており、乗員の練度が高ければ予想外の効果を発揮し台湾海峡に防衛緩衝地帯が生まれる。

 

潜水艦戦力の増強で台湾はPLAN艦船・揚陸部隊への防衛力を適正化し、ハープーン対艦ミサイル、ステルス機雷敷設双胴艦と組み合わせた防衛力を発揮する日がやってくる。

 

潜水艦部隊の存在そのものがPLANへの抑止力になる。PLANは対潜能力で大きく後れを取っている。世界の潜水艦部隊の中でここまで近代化が切迫したニーズになっているのは台湾以外になく、潜水艦建造施設を完成させたことはROCNが長年切望していた新造潜水艦の実現への道で大きな一歩となる。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

Taiwan Is Finally Set To Build The New Diesel-Electric Submarines It Desperately Needs

BY THOMAS NEWDICKNOVEMBER 25, 2020


2020年11月28日土曜日

イラン核開発のトップ科学者を路上で暗殺。イスラエル、米国の狙いは何か。背景にイラン核開発が依然停止していない事情がある。

 



VIA TWITTER

 


イラン核開発の中心人物がテヘラン近郊で暗殺された。

 

セン・ファクリザデMohsen Fakhrizadehはイランのトップ核科学者で「イラク核兵器の父」とまで呼ばれていたが、2020年11月27日暗殺され、乗用車で移動中のファクリザデをイスラエル情報機関モサドが襲撃したとのニュースが出ている。この記事の前にトランプ政権が次期大統領ジョー・バイデンの就任前にイラン核施設攻撃を検討しているとの報道があった。バイデン陣営はイラン核開発をめぐる国際体制へ復帰すると表明している。

 

襲撃場所はテヘランから50マイル東のアブサードAbsard市内で、発砲後に爆発音が聞こえたとの目撃談をてイラン革命防衛隊(IRGC)とつながる準国営ファルス通信が伝えている。

 

ソーシャルメディアには黒色の日産車の画像映像が流布しており、ファクリザデが乗っていた車両のようだ。銃弾が命中しており、地面には血だまりが見える。その他写真でも爆発の影響を受けた別の車両が視認され、当初の目撃談と合致しており、襲撃犯はまず日産車を無理やり停車させてから射撃したようだ。爆発に使われた車両に特殊爆薬が仕掛けられていたのか、別の爆発装置が道路わきにあったのかは不明だ。

 

ファルス通信は襲撃で死亡者は三名ないし四名と伝えいており、襲撃犯にも死亡者がいたとするうが、身元や死亡者数の確定は困難だ。当初報道でァクリザデ本人は襲撃後も生存とあったのはこの混乱の反映だ。イラン当局は死亡を確認した。今のところ犯行声明を出した集団はない。

 

米イスラエル両国の情報機関はファクリザデをイラン核開発のトップ人物ととらえ、1989年に始まったアーマッドプロジェクトと呼ばれる核兵器開発は2003年より公式に一時中止されたという。

 

ファクリザデ自身もIRGC幹部であり、イランが平和目的と自称する民生分野への応用にあたってきた。米イスラエル両国政府はこうした活動は核兵器開発継続の隠れ蓑と断定している。

 

ファクリザデは国防技術革新研究機関のトップを務めているといわれ、SPNDと呼ばれる同機関は米国の制裁措置対象になっている。イスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相は2018年にイスラエル情報工作員がイランから押収した大量の核関連資料を公表した際に本人を核開発責任者として名指していた。

 

国際原子力エナジー機関(IAEA)はネタニヤフ記者会見はイランが核兵器開発をその後も継続していた証拠にならないと断定。

 

イラン政府はIAEAによる核施設立ち入りを拒否しており、そのひとつがパルチンParchinで国連査察は2015年以来実現していない。査察時にウラニウム粒子がみつりIAEAは重要な証拠ではないとしたがバラク・オバマ政権は同地で原爆開発が継続していた証拠と断定したといわ。パルチンでの研究開発がいつ始まっていたかは不明だ。

 

ニューヨークタイムズ記事はイスラエル情報機関モサドがファクリザデ襲撃の実行犯と断定した。2010年から2012年にかけイラン核科学者を相次いで暗殺した事件でもモサドがとりざたされていた。2007年にも別の核科学者をモサドが暗殺していた可能性がある。イランは2015年の暗殺は未遂にできたと主張しているが標的人物は明らかにしていない。米イスラエル共同作戦のスタクスネットコンピュータウィルスでイラン核開発が大きく停滞したのは2010年のことだった。

 

またアルカイダ幹部アブ・ムハマド・アルマサリAbu Muhammad Al Masriがイラン国内で8月に暗殺された事案でもモサドが関与していた。アルマサリはケニア、タンザニアの米大使館襲撃事件(1998年)の立案に関与した嫌疑があり、イラン政府の保護でイラン国内に潜伏していたが、実は軟禁状態でイランは国際テロ組織へ影響力を行使していた。

 

イラン各地で今年初めから謎の爆発発表事件が連続発生しており、ナタンツNatanzでは濃縮ウラニウム遠心分離機施設が爆破された。こうした事件はイスラエル工作員の仕業との報道が出ており、背後に米情報機関の支援を疑っていた。

 

イランは中東の代理勢力とともに暗殺や襲撃事件の標的となっており、多くでイスラエルの関与がとりざたされている。中でも米無人機によるカセム・ソレイマニIRGCクッズ部隊司令の暗殺事例が著名だ。クッズ部隊はイラン国外の活動の中心組織で本人は1月にバグダッド国際空港付近で標的になった。

 

ファクリザデ暗殺でイランは最も経験豊かな専門家を失ったものの核兵器開発が止まるわけではない。ただし、イランでは最上位の核関連専門家でさえ安全でいられないとメッセージを突き付けられた。

 

またファクリザデ暗殺でバイデン政権によるイランとの交渉に暗雲がふさがり米国の核合意復帰が困難になるとの観測が出ている。トランプ政権が合意脱退を2018年に実行するやイランは数々の合意違反に踏み切り、ウラニウム濃縮量は合意水準以上に増えた。トランプ政権はヨーロッパにも合意撤廃を求めてきた。

 

イスラエルが暗殺実行犯なら、それは現在のイスラエル政権が望む秘密工作の実行の一環にすぎず、一方米国はイスラエルの動きを黙認するどころか支援さえしている可能性がある。トランプ政権はとくにイスラエル支援の姿勢が強く、バイデン政権が誕生するとこの姿勢に変化が出てくるのは確実だろう。

今回の暗殺直前にニューヨークタイムズがナタンツ空爆をトランプ政権が検討していたと伝えており、11月21日にB-52の二機が長距離往復飛行ミッションでノースダコタから中東にむけ発進しており、イランが念頭にあったのは確実だ。

 

IRGCは暗殺実行の裏にいるものへの報復を明らかにしており、「同盟国(トランプ政権)は政治日程上最終段階で、シオニスト(イスラエル)と共謀しイランへの圧力を最大化しており全面開戦を狙っている」と最高指導者アリ・ハメネイの顧問をつとめるホセイン・デーガンHossein Dehgha司令官がファクリザデ暗殺直後にツイート投稿している。

 

つまるところイラン原爆の父の殺害でイラン核兵器実現の野望に深刻な影響が生まれ、バイデン政権発足までの8週間余りで襲撃事件が今後も発生するのではないか。

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

 

Everything We Know So Far About The Assassination Of 'The Father Of Iran's Nuclear Bomb'


Everything We Know So Far About The Assassination Of 'The Father Of Iran's Nuclear Bomb'

BYJOSEPH TREVITHICKNOVEMBER 27, 2020

 


2020年11月24日火曜日

歴史に残らなかった機体 番外編 あなたの知らない機体

 成功した機材の裏に失敗作、期待通りにいかなかった数々の機体がある。合掌

 

 

1950年代60年代の米国航空機業界は狂ったように戦闘機、爆撃機、偵察機を開発し正式採用を目指していた。中には成功を収めたF-4、F-15やB-52もある。だが、構想は壮大でも失敗作に終わった機体も数々あった。その一部を見てみよう。

 

 

コンベアYB-60

1950年代初期の米空軍はターボジェット方式の長距離核爆撃機の実現をめざしていた。コンベアはピストンエンジンでB-36を製造しており、B-36のエンジンをジェットに換装し、その他一部変更するだけで空軍に採用されると安易に考えた。

 

 

そこから生まれたYB-60は全長171フィートの怪物でJ57ターボジェット8基を搭載した。YB-60は巡航速度467マイル時で2,900マイルを飛び、36トンの爆弾搭載量があった。いかにもすごい数字だが、YB-60の性能は競合相手のボーイングB-52に見劣りした。同じ8発のB-52の巡航速度は525マイル時で35トンの爆弾搭載で4,500マイルを飛んだ。空軍はYB-60テストを1953年1月に中止し、B-52は今日でも米空軍で健在だ。

 

 

 

ベル XF-109

1955年、米海軍と空軍がベル航空機に奇抜な構想を持ちかけた。マッハ2で飛行する垂直離着陸可能な戦闘機で、ベルは真剣に機体を設計し、非公式にXF-109と呼んだ。

 

全長59フィートのXF-109はJ85エンジン8基をつみ、4基にはアフターバーナーたつき回転式翼端ナセルに2基ずつ搭載し、後部にもアフターバーつき、なしそれぞれ2基を格納した。

 

推力方向を後方、下方に向ける画期的なXF-109の構想はF-35B超音速ジャンプジェット機としてロッキード・マーティンが40年後に実現した。

 

だがXF-109は先走り過ぎた機体だった。海軍、空軍ともに関心を失い、1961年に開発中止となったが、ベルは試作機も製造していない。世界初の実用垂直離着陸戦闘機になったハリヤーは1967年初飛行したが亜音速機だ。

 

Lockheed RB-12

1961年1月、ロッキードの伝説的設計者ケリー・ジョンソンが自主提案を米空軍に届けた。マッハ3のA-12スパイ機(SR-71ブラックバードの前身)を超高速戦略爆撃機に転用するというものだった。ジョンソンは並行してA-12からF-12戦闘機にも取り組んでいた。

 

空軍はRB-12構想が気に入ったものの、改良案RS-12を逆提案した。A-12のそり状のチタン機体とJ58ターボジェットを外して長距離レーダー、核弾頭付対地ミサイルをAIM-47空対空ミサイル(F-12用に開発)を搭載するものだった。

 

RS-12はソ連上空にマッハ3.2で8万フィートから侵入し、射程50マイルでソ連都市を誤差50フィートで攻撃する構想だった。

 

だが国防総省はF-12開発をコストを理由に中止し、RS-12も同様に取り消した。弾道ミサイルが有人爆撃機に代わろうとしていた。だがA-12の偵察機型SR-71は採用し、1990年代まで運用した。

 

 


コンベア Model 49

1960年代の米陸軍は米空軍機材が近接航空支援でまったく期待に応えないことにうんざりしていた。リパブリックF-105など高速だが地上部隊支援では脆弱ぶりを露呈していた。

 

そこで陸軍は独自に垂直離陸可能で広く前線に投入できる機材が必要と痛感した。過酷な近接支援任務に最適化させるには重装甲と兵装が必要だ。ここから高性能航空火力支援装備構想が生まれた。

.

大胆な設計で知られるコンベアが陸軍構想に応えた。同社はその前に尾部を下に直立するXFY-1の知見があり、二人乗りダクテッドファン機案を提示した。フランスのSNECMAの試験機C.540と似ていた。

 

外観は奇抜だったがコンベアはヘリコプターの性能と軍用車の攻撃能力を組み合わせた完璧な姿と自画自賛していた。

 

問題はコックピットに傾斜をつけパイロットが離着陸時に空の方向を見なくてもよくすることだった。このため機体前方は複雑なヒンジ構造となりトランスフォーマーのような外観となった。

 

 

ロッキード CL-1200

1960年代末のロッキードは商機を見つけた。世界規模で7.500機規模の高性能ジェット戦闘機需要があり、1971年に同社が製造した高速ながら悪名高きF-104の操縦性を改良したCL-1200ランサー構想を発表した。

 

高名な設計者ケリー・ジョンソンをかかえるスカンクワークスがF-104の主翼を拡大し水平尾翼を機体本体に近い場所に付け替えた。エンジン空気取り入れ口を改良し、内部燃料搭載量を増やし、F-104のJ79エンジンをTF33に換装した。その結果、CL-1200は理論上はF-104より操縦しやすくなり、機体価格2百万ドルで大量生産できるはずだった。当時のF-4E新造機体価格が2.4百万ドルだった。

 

ロッキードはCL-1200を米軍主催の国際戦闘機競作に持ち込み、同盟国向け輸出仕様戦闘機に採用を狙った。だが、ノースロップF-5Eが採用され、ロッキードはCL-1200構想を取り下げた。結局、モックアップ一機しか製造しなかった。■

 

この記事は以下は再構成したものです。

 

The U.S. Air Force was Happy to Get Rid of These 5 Fighter Jets

 

November 22, 2020  Topic: History  Region: Americas  Blog Brand: The Reboot  Tags: F-4F-15MilitaryTechnologyYB-60RB-12

Not every one can be a winner.

by David Axe 

 

 

David Axe serves as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring and Machete Squad. This first appeared in August 2019.

Image: Wikipedia.


2020年11月23日月曜日

中国軍の侵攻を食い止められるか。通常兵器アクセス戦略、海洋プレッシャー戦略提言に見る新しい米軍作戦構想

 

米シンクタンクの構想を米軍は実現することが多く、実際に米海兵隊の最近の動向をみるとすでに今回の提言内容は現実になっている感があります。テニアン島など再整備が行われていますが、問題は記事が指摘するように残存性であり補修能力の確保でしょう。日本も宮古島にやっと駐屯部隊が生まれましたが、同様に残存性を確保して中国を悩ませる存在にできるかが問題でしょうね。



珠湾を上回る効果の奇襲攻撃で勝利を収める可能性ありと見て北京は台湾制圧に踏み切るだろうか。既成事実づくりを米政策立案部門は最も嫌う。


非核兵器で中国が奇襲攻撃してくるのを打破する方法を米軍は模索すべきとアナリスト、サム・ゴールドスミスSam Goldsmith が海軍大学校研究誌に寄稿している。


「中国は米国が相手の高じん度対戦の場合に核兵器投入を自ら制限する可能性が高い。中国は長距離通常兵器による戦域レベル攻撃の手段を保有している」とゴールドスミスは「米国の通常兵器アクセス戦略で中国の通常兵器先制攻撃能力を打ち消す」“U.S. Conventional Access Strategy: Denying China a Conventional First-Strike Capability”で記している。


「こうした戦略通常兵器による先制攻撃の選択肢に中国が進むのを米国は効果のある通常兵器アクセス戦略でも阻止すべきである」



太平洋での領土をめぐり米国と開戦になった場合、中国軍は日本、グアムのほか洋上の米前方配備部隊を無力化する可能性が高い。次に人民解放軍は西太平洋に向かう米増派部隊を攻撃するはず、とゴールドスミスは見る。


この戦略でPLAは傘下の四軍、陸軍、海軍(PLAN)、空軍(PLAAF)、ロケット軍(PLARF)を投入する。PLAN潜水艦部隊は米艦船、潜水艦を洋上あるいは港湾内で雷撃し、陸上目標を巡航ミサイルで攻撃する。


PLAAFは地上待機中の米軍機、洋上あるいは港湾内の米艦船潜水艦を攻撃する。PLAAF機材が空中発射する長距離ミサイルあるいは中国本土から発射する通常弾頭弾道ミサイルで米軍基地が攻撃を受ける。


「米軍は通常兵器アクセス戦略を導入し、PLAによる介入対抗戦略counterintervention strategyとバランスを取るべきだ」というのがゴールドスミスの提言だ。「目的は中国による通常兵器先制攻撃への抑止効果を米軍に与え、必要に応じPLA長距離攻撃能力を低下させ、米軍増派部隊の到着を容易にすることにある」


米軍による通常兵器アクセス戦略は四種類の戦力が必要だ。①戦域レベルの受動的防衛で前方配備米軍部隊にPLA先制攻撃に対し残存性を高める。


②通常兵器アクセス戦略により米軍は開戦直後からPLA戦力を低下させ、空中給油機や航空施設を使えなくする。


③戦域レベルの補修能力でPLAによる通常兵器攻撃で損傷を受けた滑走路を再度使用可能にする。


④迅速対応能力で米軍の長距離爆撃機、戦闘機を西太平洋各地の基地に迅速展開し、補修作業を完了したばかりの滑走路で事前配備した航空燃料や対地貫通通常型兵器を利用する。


ゴールドスミス提言と関連するものとして2019年5月発表の戦略予算評価センター(CSBA)による構想がある。


CSBAは中国の優位性否定につながる「海洋プレッシャー軍事戦略による内部からの防衛作戦構想 inside-out defense operational concept」をペンタゴンに提言していた。


「海洋プレッシャー戦略では中国指導部に対し西太平洋での軍事侵攻は失敗に終わると理解させ、結果として実施を踏みとどまらせる」とCSBAが説明していた。


米陸軍、海兵隊部隊に移動式ロケット発射装置を配備し、若干の米艦船や小規模空軍派遣部隊が支援し中国付近の島嶼部から中国軍の移動線内を攻撃する。


こうした「内部配備」部隊により中国の防衛線に穴が生まれる。


「内部からかく乱する防衛構想の実施のためには中国ミサイル射程内で米軍部隊は残存性を確保する必要がある」のでリスクもあるとCSBAは認めている。


ゴールドスミス提言ではこうした部隊は中国軍の攻撃を生き残り、増派部隊の到着を待つ前提だ。陸上装備ロケット弾、迅速補修、補給物資投下で米軍部隊は立ち直り、中国軍の前進を阻み、奇襲攻撃をかけると見る。■


この記事は以下を再構成したものです。


What If China Launched a Surprise Attack on the U.S. Military?

November 22, 2020  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: ChinaMilitaryTechnologyMissilesA2/adWarHistory

by David Axe 


David Axe served as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring and Machete Squad