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2026年6月15日月曜日

英SSNアストゥート級で運用可能な艦が一隻もない―英海軍の衰退ぶりをロシアは虎視眈々と見つめる。福祉か防衛か、二者択一しかない英国経済のおちぶれを日本は他山の石としなければならない

 Astute-Class Submarine

アストゥート級潜水艦。画像提供:英国海軍。

英アストゥート級攻撃型SSNは全隻が港で足止め状況の中、ロシアは英海域をゆうゆうと偵察中

All Five of Britain’s Astute-Class Attack Submarines Are Stuck in Port at Once — While Russia Probes Its Waters

英国のアストゥート級原子力攻撃型潜水艦5隻すべてが、同時に出向できない状況だ。英国海軍には整備用の乾ドックと熟練した乗組員が不足しており、整備待ちとなっている。この空白期間にロシアが偵察活動を強化しており、英国の海底ケーブルやミサイル潜水艦が無防備な状態に置かれている。さらに、この問題を解決するための資金調達をめぐり、国防相が辞任した

国からの最新報道によると、アステュート級原子力攻撃型潜水艦5隻すべてが、整備を待つため現在、港に足止めされている。このニュースは、英海軍の危機的な状況について英国国防省に警告する報告が長年続いた後に伝えられてきた。潜水艦が運用不能となっていることは、この島国の国家安全保障にとって大打撃である。英国は、海底インターネットケーブルや弾道ミサイル潜水艦を、とりわけロシアの脅威から守るためにアストート級に依存しているからだ。この事態は、過去数年にわたり着実に衰退中の英国海軍にとって、長きにわたる屈辱の連鎖における最新の出来事である。

なぜ英国の原子力攻撃型潜水艦が運用不能なのか

Astute-Class SSN Royal Navyアストート級SSN(原子力攻撃型潜水艦) 英国海軍

6月7日、英国の潜水艦部隊の悲惨な状況が報じられ、アストート級潜水艦5隻すべてが港に足止めされ、整備と修理を待っていることが明らかになった。以前には、HMSアンソンだけは運行可能と伝えられていた。

英国の産業基盤が防衛ニーズを満たせないため、5隻すべてが運用不能となった。

元英国潜水艦艦長のライアン・ラムジー中佐は次のように説明している。「利用可能な乾ドックに限りがある…。整備スキルを持つ要員の確保も困難で、乗組員が任務に就ける状態であることを確認するシミュレーターも限られている。」長年にわたり、英国は著しく老朽化したインフラで運用を続けてきた結果、ここにきて整備や修理作業に深刻な遅れが生じている。

これらの問題は、英海軍にとって新しいものではない。10年以上にわたり、英国は整備の遅れに苦しみ、長期哨戒任務に就ける潜水艦は艦隊でわずか1隻しか残されていない。「だから、これは前例のないことではない」とラムジーは続けた。

「しかし、現在利用可能な潜水艦の数がこれほど少ないという点では前例がない。そして、その背景には、ロシアが活動を活発化させ、世界がかつてないほど危険になっている状況がある。」 下院図書館は長年にわたり、英国の造船所における熟練技術者の不足や、整備作業に適したスペースの欠如について警鐘を鳴らし続けてきた。

Astute-Class Submarine

アストゥート級潜水艦。画像提供:クリエイティブ・コモンズ。

Astute-Class Royal Navy Submarine

アストゥート級英国海軍潜水艦。画像提供:英国海軍。

資金枯渇

核心的な問題は、国家安全保障に対する全面的な資金不足である。キア・スターマー首相率いる政府へ防衛費増額を促す努力がなされているにもかかわらず、英国政府は支出増に慎重な姿勢を崩しておらず、その結果、重要インフラは近代化されず老朽化が進み続けている。

政府の防衛投資計画(DIP)は、国防予算の骨子を示すはずだった。

しかし、意見の相違で計画は遅延し、重要部門特に造船所は十分な資金を得られないままとなっている。

その結果、6月11日(木)、ジョン・ヒーリー元国防相は辞任し、「脅威が高まるこの時期に、国を守るため必要な資源を投入する能力も意思もない」として、スターマー首相と政府を非難した。

公開辞任状の中で、ヒーリーは、十分な防衛予算がなければ、自らは「部隊の即応態勢を低下させ、作戦に従事する要員のリスクを高め、ひいては国の安全を損ないかねない決定を下さざるを得なくなる」と述べた。

ヒーリーの辞任とアストゥート級潜水艦の現状は、英国軍が現在置かれている憂慮すべき状況を指し示す、極めて厳しい二つの兆候である。

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アストゥート級潜水艦。画像提供:BAEシステムズ。

スコットランド近海での海上試験中のアストゥート級潜水艦HMSアンブッシュ。原子力攻撃型潜水艦の2番艦であるアンブッシュは、2010年12月16日にバローで命名され、2011年1月5日に進水した。

政府が防衛費増額に消極的であるにもかかわらず、英国はロシアがもたらす脅威に警鐘を鳴らし続けている。最近のコメントで、英国国防参謀総長のリチャード・ナイトン卿は、ロシアが英国の防衛体制に探りを入れており、「賭け金を上げている」と警告した。「私の職業人生において、最も危険な時期であることは明白だ」「この国が直面するリスクと脅威は、冷戦以来私が経験したどの時期よりも深刻だ」と彼は述べた。

アステュート級潜水艦は、英国海軍の核弾頭搭載弾道ミサイル潜水艦や、同国の海底インフラを保護する上で極めて重要な役割を果たしている。

同級潜水艦がなければ、英国はロシアによる攻撃や破壊工作の脅威にさらされかねない。

地平線に漂う暗雲

英国は今、困難な選択に直面している。国家安全保障を犠牲にして現状を維持するか、あるいは福祉や社会サービスを犠牲にして防衛費を増額するか、のいずれかを選ばなければならない。

ロシアの外交専門家であるニキータ・ポドゴルノフが指摘したように、「ジョン・ヒーリーが去ったのは、英国に資金がないからだ。スターマーや英国エリート層が軍備拡張や軍事予算の拡大を支持していなかったわけではない。防衛に巨額の資金を投じるか、あるいは少なくとも経済と社会サービスを何とか維持するか、そのどちらかだ」。現在、英国は政府総支出の約24%を福祉に充てている。この予算を維持するか、防衛費を優先して削減するか、その選択を迫られている。

要するに、アステュート級潜水艦は、現在ロンドンで激化している、はるかに広範な比喩的な紛争における数多くの犠牲者の一人に過ぎない。

政府の資金には限りがある。福祉国家を維持するか、防衛費を増やすかのいずれかを選ばなければならない。英国は両方の同時実現はできない。

議論が激化する中、ロンドンの原子力攻撃用潜水艦依然としてドックに留まり、修理を待ち、国の沿岸を守ることもできない。ロンドンの誰もがこの問題とロシアがもたらす脅威を認識しているが、誰も方針を修正する能力も意志も持っていないようだ。■

アイザック・サイツ(防衛コラムニスト)は、パトリック・ヘンリー大学の戦略情報・国家安全保障プログラムを卒業した。また、ミドルベリー語学学校でロシア語を学び、民間企業で情報分析官として勤務した経験を持つ。