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2024年12月3日火曜日

An-2複葉機が長距離カミカゼドローンだとロシアに誤解され、大きな恐怖をもたらした(The War Zone)―独戦艦ビスマルクは英複葉機ソードフィッシュの速力が想定以下だったため撃退できなかったといわれていますが

 


ideos purporting to show a Ukrainian drone attack on a Russian oil refinery may actually have been of a wayward civilian An-2 biplane.  

Igor Dvurekov via wikicommons / captures via X




An-2が爆薬を積んだ深部貫通型ドローンに改造される恐怖は、根拠がない発想ではない


シアの石油精製所へのウクライナのドローン攻撃を撮影したとされる映像は、民間機のAn-2複葉機が飛んできたものだったのかもしれない。正確な状況がどうであれ、この事件は、パイロットの有無にかかわらず、時代錯誤ではあるが永年使われてきたAn-2の有用性が今も続いていることを浮き彫りにしている。


ロシアのバシコルトスタン地方にあるサラヴァット市の石油精製所上空を超低空で通過するAn-2と思われる機体と、それに発砲する高射砲を映したクリップが、本日未明、ソーシャルメディアに出回り始めた。

 動画に映っている飛行機は、翼の配置と全体的な形状がAn-2(NATOの報告名称でもあるColt)に一致しており、ラジアルピストンエンジンのような音が映像の一部で聞こえる。農薬散布機のような別の複葉機である可能性もあるが、An-2はロシアで商業用および軍事用として現在も使用されている。


2012年、一緒に飛ぶ2機のロシア機An-2。 アルテム・カトランジ/ウィキメディア・コモンズ


An-2と思われる機体がサラヴァット上空を通過した正確な理由は不明だが、当初ドローンと認識されていたことは驚くべきことではない。サラヴァトはウクライナ国境から最も近いところで約720マイル(約1,160キロメートル)、同国での戦闘の最前線からは約808マイル(約1,300キロメートル)離れている。しかし、ウクライナは、首都モスクワを含むロシア領内数百マイルの目標に対して、有人機を改造したものを含む神風ドローンで超長距離攻撃を仕掛ける能力を示している。石油や天然ガスの生産に関連するロシアの施設も、特にウクライナの無人偵察機の格好の標的となっている。航続距離を延ばす燃料や爆薬を搭載するスペースが内部に十分にあるため、An-2は一方通行の攻撃機に改造するのに適した候補となり得る。


ロシアのバシコルトスタン地方にあるサラヴァット市の一般的な位置を示す地図。 グーグルマップ


アントノフが1947年に当時のソビエト・ウクライナで初めて生産を開始した航空機であるAn-2を、兵器化された無人機として再利用するというアイデアも目新しいものではない。2020年のナゴルノ・カラバフ地方をめぐるアルメニアとの戦争中、アゼルバイジャンはこの複葉機に改良を加え、半無人囮として使用した。パイロットは機体を上昇させ、決められたコースにロックしてから脱出する。機体は撃墜されるか、燃料が尽きるか、あるいは墜落するまで、そのルートに沿って飛行する。このため、アルメニアの防空部隊は、コルトが本物の神風ドローンかどうかを判断し、貴重な対空資源を費やして撃墜を試みるかどうかの決断を下さなければならなかった。無人複葉機と交戦することは、防空陣地を露呈させ、アゼルバイジャン軍にアルメニアの能力と標準的な作戦手順に関する情報を得る機会を与えることにもなる。




2022年3月、ロシアがウクライナへ全面侵攻を開始した直後、ロシアがAn-2を大量保有している兆候が現れ、おそらくアゼルバイジャンがアルメニアに対してAn-2を使用したのと同様の方法で使用するためだったのだろう。その後、ロシア軍がウクライナ紛争に関連してこれらの航空機をどのような構成でも使用したという明確な兆候はない。

中国でライセンス生産されたAn-2のバージョンであるY-5もまた、より最近になって、表向きは民生用だが、潜在的な軍事的用途を持つ、無搭乗の貨物運搬プラットフォームに適応された。

 本誌が過去に何度も取り上げてきたように、An-2は乗員付きの軽輸送機として使用される場合でも、軍事的なコンテクストで意味を持ち続けている。金属フレームに布で覆われた翼を持つ複葉機は、その大きさの割にレーダー断面積が比較的小さい。非常に低速で飛ぶことができるため、上空からレーダーを照射するような状況であっても、探知を逃れることができる。 また、短時間での離着陸も可能である。

 このような理由から、北朝鮮は、半島での紛争の初期段階において、パラシュートで、あるいは短距離の野原や高速道路に着陸した後、敵陣の後方にコマンド部隊を降下させるために、An-2の艦隊を維持している。韓国は、こうした脅威に対する自軍の訓練を支援するため、独自にAn-2を持っている。


 NATO内の数カ国を含め、乗員付きのAn-2を飛ばし続けている国は他にもある。An-2は、運用と維持が比較的簡単で安価であるという利点もある。


NATO加盟国ラトビア空軍のAn-2。 ラトビア軍


An-2の設計を反復し、改良する試みは続けられているが、同等の成功を収めたものはない。

 サラヴァット上空でのAn-2の飛行に関する詳細が明らかになるかどうかは別として、乗員付きであろうと無搭乗であろうと、頑丈でますます古めかしさを感じさせるデザインが軍用機として永年採用されている意味を浮き彫りにしている。■


An-2 Biplane Caused Major Scare When Russians Thought It Was A Long-Range Kamikaze Drone

The fear that An-2s could be converted into explosives-laden, deep-penetrating drones should come as no surprise.

Joseph Trevithick

https://www.twz.com/air/an-2-biplane-caused-major-scare-when-russians-thought-it-was-a-long-range-kamikaze-drone


2021年5月9日日曜日

韓国軍が北朝鮮と同じソ連製An-2複葉機を運用する理由-----

 An-2 HL-1088 Cheongju

HYWEL EVANS

 

ここがポイント: 開戦直後に北朝鮮はローテク機材のAn-2で特殊部隊を南朝鮮に送り込むはずだ。でも南朝鮮も同型機を運用しており、同じ戦術を展開する可能性がある。

 

鮮半島で戦闘状態が再発すれば、北朝鮮が旧式An-2コルト複葉機がどう活用されるかこれまで推論されてきた。金正恩が率いる同国空軍でAn-2がよく取り上げられるのは、同機へ期待される役割を裏付けている。だが、休戦ラインの反対側にはさらに極秘の大韓民国空軍(ROKAF)が運用するAn-2部隊がある。

 

An-2は頑丈な多用途機で初めて姿を現した1947年当時でさえ、尾部には一部布地を使う複葉機は時代錯誤の印象を与えた。この構造を選択したオレグ・アントノフ設計局は軽量低速性能に最適な組み合わせとし、事実、同機マニュアルには失速速度に関する言及がない。

 

JERRY GUNNER/WIKIMEDIA COMMONS

ROKAF所属An-2は以前は暗緑色塗装だった。2005年撮影

 

 

同機はソ連の広大な農地への化学薬品散布に完璧な機体となり、同時に休戦ラインを低速低高度で突破するのにも最適となった。朝鮮半島で戦闘が再開すれば、北朝鮮がAn-2多数を南朝鮮領空に侵入させ、特殊部隊を重要施設攻撃に展開する予測がある。強襲作戦以外にもAn-2で爆弾・ロケット弾を投下したり、夜間に奇襲攻撃をかけた事例が朝鮮戦争中に見られた。

 

NORTH KOREA STATE MEDIA

低空飛行中のAn-2複葉機から降下する北朝鮮特殊部隊

 

 

こうした脅威から南朝鮮もAn-2部隊を編成し、アグレッサー部隊として防衛体制の訓練に投入している。ROKAF戦闘機で地上を這うように低速飛行するAn-2の撃破は簡単ではなく、通常から射撃訓練を行うことに意味がある。同様に地上防空部隊や海軍対空砲にも訓練が必要だ。そこで、An-2はROKAFの戦闘機戦術開発の中心地清州Cheongjuからほど近い星武Seongmuに配備されている。

 

現実感を出すためROKAFはAn-2に「レッド部隊」隊員を乗せ、草地や高速道路へ着陸させるほか、パラシュート降下も行う。コルトは落下傘降下に最適で、一部NATO加盟国の空軍も降下訓練に使っている。米空軍も第6特殊作戦飛行隊で敵陣営機材の一部として稼働させており、海外諸国の空軍部隊への指導も行う。米陸軍もAn-2をホワイトサンズミサイル演習場で運用しており、海兵隊も機材を借り戦術訓練に使う。

 

「レッド空軍」の役目をさらに現実に近づけようとROKAFではAn-2を北朝鮮機材の塗装にし、緑褐色のカモフラージュを上部に薄青色を下部に施している。これは北朝鮮機体の塗装パターンの変更に呼応したものだ。

 

他方でROKAFもAn-2を敵と同様に運用する訓練をしているかもしれない。南朝鮮の特殊部隊を展開する同じ戦術のため北領空に侵入する。こうした戦術は第二次大戦を想起させるものがあるが、実際に次回も実行されるシナリオがある。

 

HYWEL EVANS

ROKAFのAn-2

 

 

なかでも最悪のシナリオは南北それぞれの同型機が相手側に同時に侵入し、それぞれ特殊部隊員を展開することだ。

 

ROKAFにAn-2が何機あるかは把握しにくい。軍装備品一覧には同機は記されていない。民間機登録の形で表に出ないようにしており、HL-1082からHL-1091の番号があるので、少なくとも9機があったらしい。うち2機がエンジン故障の原因で2009年5月、2015年6月に喪失している。そのほか2016年2月に河川に不時着した機体もある。

 

2019年4月の衛星画像では星武航空基地の格納庫外に駐機中のAn-2の7機が写っていた。

 

GOOGLE EARTH

衛星写真で星武航空基地にAn-2が7機視認された

 

ROKAFのAn-2はロシアからの入手ではないが、南朝鮮軍にソ連、ロシアの制式装備品がよくみられることに注目すべきだ。

 

ロシアは南朝鮮に巨額の負債を抱え、カモフKa-32ヘリックスヘリコプター、イリューシンIl-103初等練習機を2000年代初頭にROKAFへ委譲した。Ka-32は同軸ローター方式で7機あり、制式名HH-32Aで救難捜索用に夜間飛行装備を付け、二次的に消火任務もこなす。Il-103の23機はT-103として空軍士官学校に配備され、An-2と同じく星武基地にあったが、その後国産KT-100に交代した。ともに北朝鮮が運用していない機材だ。

 

HYWEL EVANS

ROKAFが運用するロシア製HH-32A捜索救難ヘリコプター

 

抜群の耐久性と信頼性を誇る古兵An-2がROKAF運用を終了する気配がない。北朝鮮が同型機を運用している以上、南の空軍も追随すると見てよいだろう。■

 


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Soviet-Designed An-2 Biplanes Are South Korea's Secretive Aggressors

The An-2 may be low tech, but North Korea would send waves of them filled with commandos into South Korea during the opening stages of a war.

BY THOMAS NEWDICK MAY 6, 2021