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2019年4月28日日曜日

★F-3開発はF-22/F-35ハイブリッド案に決まったのか

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Japan's New Stealth Fighter: A Hybrid Mix of the F-22 and F-35?

日本の次期ステルス戦闘機はF-22、F-35のハイブリッド案で決定?
 
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April 24, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-22F-35MilitaryTechnologyWorldJapanStealth

本政府は米F-22、F-35ステルス戦闘機の要素を組み合わせた新型機を実現したい意向だ。
極秘技術を日本に公開しハイブリッド戦闘機の実現を進めようとの姿勢が米当局から示されている。
日本には同様の経験が前にもあった。1980年代90年代にかけてロッキード・マーティンF-16戦闘機の設計をもとにライセンスを受けF-2開発を進め、主翼を大型化し電子装備を強化した。
だがF-2はあまりにも高額な機体になった。日本が目指すステルス機戦闘機は少数規模に終わったF-2後継機の想定だが同様にとんでもない単価になる可能性がある。
「高性能F-35ステルス戦闘機の極秘技術情報を日本へ開示し航空自衛隊F-2戦闘機の後継機種開発を進めたいとの提案が米国から入った」と読売新聞が伝えている。
航空自衛隊にはF-35もある。防衛省に届いた米提案内容ではF-35等を元に共同開発するとあり、世界最先端の戦闘機を実現するとのものだ。
日本政府筋によれば米国からF-35搭載のエンジンやミサイル制御用のソフトウェアの機密情報開示に応じてもよいと伝えてきたとある。F-35用のソフトウェアは今まで米国以外に公開していないが、F-2後継機に搭載されれば米国はソースコードを日本に公開することになる。
ハイブリッド機は日本が「F-3」と呼称するはずで機体はロッキードのF-22でセンサーや電子装備はF-35と同等になるとロッキードは提案。
日本は2000年代初頭に空自F-15後継機にF-22を取得したいと打診してきたが、米国はロッキードにF-22輸出を禁じる法制を成立させた。F-22ハイブリッド案が実現すればロッキードは輸出禁止措置を回避できる。
ただし日本が必要とする新型機の機数は少ない。空自はF-35A型B型あわせ141機導入を決めており、F-4と旧式F-15を更新する。
F-35の141機全部稼働で空自は改修型F-15J(102機)、F-2(82機)との混合編成となる。日本が考えるハイブリッドF-3はF-2後継機だがF-15J後継機としてもおかしくない。
だが完全新型ステルス機開発が184機程度では機体単価が高くなりすぎる。すでにF-2で痛い経験もした。
F-2では20年余りで100機足らずの生産を三菱重工が行いスケールメリットが生まれなかった。F-2はF-16の四倍の機体単価とされるが性能が4倍とはいいがたい。
米空軍はF-22の187機を700億ドルで調達した。既存技術の応用で日本向け戦闘機開発に節減効果が生まれそうだが、読売新聞は新型戦闘機開発予算は180億ドル程度と推計した。
これに対しTeal Groupアナリストのリチャード・アブラフィアの試算では日本のステルス戦闘機小規模生産には最低で200億ドル必要だという。
これだけの規模は「明らかに(空自の)予算規模を超える」とする。日本の防衛予算はGDPの1パーセント相当ちょうどだ。つまり年間500億ドル未満で、米国国防予算の10パーセントにも満たない。■
David Axe serves as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring and Machete Squad.

この問題はいつになったら方向性がはっきりするのでしょう。ロッキード提案を米当局も後押ししているようですが、F-2の苦い経験から日本はどっちに舵を切るのでしょう。一方で機体開発が今までと質的に変わっており、今までの体験を引きずったままで選択を誤りかねません。ここは目的とあるべき姿をゼロベースで考え直し、最適解を求める「ブレイクスルー思考」でことをすすめるべきではないでしょうか。(ブレイクスルー思考にご関心の向きは日本企画計画学会のウェブサイトhttp://www.bttnet.com/jps/index.htmを御覧ください。

2019年3月24日日曜日

☆デプチュラ中将の考えるF-2後継機種は....F-3ではありません

デプチュラ中将の論点は極めて明確ですが、明確すぎて国産F-3の夢を捨てきれない人たちにはブーイングされそうですね。空軍力が確かに国防の第一線であるのですが、中国が日本に挑戦するとすれば航空機だけではないはずです。ミサイル、サイバー、工作員、海の民兵、など多様なはずで、論考はあくまでも航空機の分野に限られていることに要注意です。サイバーや宇宙も含めると航空自衛隊と言う名称が限界にきているのかもしれません。航空宇宙自衛隊JASSDFにしてはどうでしょうか。それはともかく、厄介な隣国である中国に対して日本がどうしても譲れないのは領土はともかく思想・表現の自由など基本的人権を尊重する仕組みの堅持であり、資本主義といいながら高度に社会を大事にするシステムを守ることではないでしょうか。


The Japanese Air Force Needs an Upgrade 航空自衛隊の戦力整備が必要



Faced with China’s increasing aggression, Japan must invest in fifth-generation fighter jets to deter Beijing’s expansion.中国の脅威増加に対応して日本は第5世代戦闘機を整備し中国の野望を抑えるべきだ



BY DAVID A. DEPTULA | MARCH 18, 2019, 5:45 AM


Japanese Prime Minister Shinzo Abe (C) leaves after an inspection of a mock-up F35A fighter  during a review ceremony at the Japan Air Self-Defense Force's Hyakuri air base Ibaraki prefecture on Oct. 26, 2014.
F-35A戦闘機モックアップを茨城県百里航空自衛隊基地で視察する安倍晋三首相。 Oct. 26, 2014. (KAZUHIRO NOGI/AFP/GETTY IMAGES)

本の安全保障を根本から揺るがしかねない決断にまもなく迫られる。運用中のF-2戦闘機の後継機種選定だ。日本にしのびよる脅威がある。中国だ。中国が太平洋全域で強気になる背景に軍事力増強の進展が早いこと、最新装備の配備があり、決断に誤りは許されない。


日本は充分な抑止力整備で脅威へ対抗すべきだが、同時に有事に勝利をおさめるべく戦力拡充の必要もある。


このため高性能戦闘機、レーダーに探知されないステルス技術、高性能センサー、データ処理能力、安全にリアルタイム通信出来る能力に予算を回すべきだ。こうした性能をひとまとめに「第5世代」航空優勢戦闘機と呼ぶ。F-2後継機種にこうした性能が不可欠だ。ひとつでも不十分な性能のままだと日本はたちまち不利な立場になり第5世代機による兵力投射環境に対応できなくなる。


日本が147機のF-35を予定通り導入しても2030年までに中国の第5世代機は日本の二倍の規模になると予測される。日本の裏庭で中国が軍事力を増強しており日本も空軍力整備を最大規模で進めるべきだ。


周辺国への中国の脅威は現実のものだ。このままの流れを許せば、中国はさらに国際秩序を無視し領土所有に走るだろう。中国は南シナ海で実効支配地区を拡大し、1982年の国連海洋法を無視している。このために中国は3,200エイカー超の人工島を造成し軍事施設、センサー、航空基地、長距離対艦ミサイル陣地を構築した。


日本にとって気がかりなのはこの戦術が南シナ海に限定されず、中国は実効支配地区を東シナ海でも確保しようとしており、尖閣諸島の領有権をめぐり日本と対立し、沿岸警備隊艦艇や軍用機の哨戒を展開している。中国の目標は明白だ。日本の主権をなしくずしにするべく、継続かつ目に見える形で軍事圧力をかける。南シナ海のように中国の軍事プレゼンスが黙認されれば、即座に恒久的なプレゼンスとなり周辺国も事実上認めざるをえなくになる。


米国防総省は2018年の年次報告で中国の軍事戦略を「積極的防衛」で、「作戦上は攻撃姿勢」と記した。中国が国際規範を遵守するのであればこの表現で妥当と言える。だが中国が一方的に支配圏を拡大しておきながら軍事力で堂々と防御するのは受け入れがたい。2013年11月に中国が防空識別圏ADIZを拡大し、一部は国際的に認知されている日本のADIZと東シナ海上空で重複したが、これが中国の長期的姿勢を示している。


中国の野望を支えるのが人民解放軍空軍 (PLAAF)が運用する戦闘機1,700爆撃機400、輸送機475、特殊任務用途機115という数字だ。


これに対し米空軍の規模は戦闘機1,900、爆撃機157、輸送機570、特殊任務機140を世界に展開中であり、太平洋だけではない。中国は戦闘機材の近代化に注力し、Su-27やSu-30を原型とする第4世代機、国産J-10などを整備している。


第5世代機二型式のJ-20、J-31は米日両国の第4世代機部隊の強敵になりそうだ。推定では2030年までに中国は第5世代機を200ないし500機整備する。そうなると日本がF-35を予定通り調達しても数的に圧倒される。


さらに中国は高性能地対空ミサイルを配備し戦力を上乗せする。長距離攻撃手段整備を優先しており、2016年にPLAAF司令官(当時)馬騎天Ma Xiaotianが新型ステルス長距離爆撃機を開発中と発表した。米国防総省推定では同機は早ければ2025年に登場し、航続距離5千マイルと日本全土を攻撃範囲に収め脅威水準を文字通り破滅的な段階に押し上げるだろう。


中国軍事力に対抗し日本は防衛体制整備に注力し非対称的優位性の実現をめざすべきだ。日本の防衛と抑止力の第一線は航空自衛隊でありこれ以上に重要な存在はない。最新鋭第5世代戦闘機の導入が不可欠であるのは太平洋が広大で充分なペイロードがないと戦闘に対応できないからだ。中国が南シナ海で強硬になったのはまともな抵抗がなかったためだ。各国が非難を強め外交手段に訴えても中国が失う代償はごくわずかであり中国は喜んで支払う。日本は同じ手口にひっかかってはいけない。充分な戦力整備が中国の動きを制する唯一の手段だ。


このため日本のF-2(90機)の更新機材探しは重要だ。脅威環境に対応が難しくなってきたF-2は2030年代中頃に退役する。後継機に第四世代機の新規製造F-2、F-15、F-16、F/A-18、ユーロファイター・タイフーンをあてるのは賢明な選択と言い難い。中国が第4世代機で圧倒するからだ。


こうした機材で性能改修しても、ミッションを実行し無事帰還を裏付けるステルス性能がないことにかわりない。中国が第5世代機二型式の運用に向かいステルス爆撃機までも実用化する中で日本防衛の選択肢にならない。


幸いにも防衛省はF-2後継機として国産ステルス戦闘機の開発案を三菱重工業中心に検討している。さらに欧州との共同事業として英国主導のテンペストなど国際開発する案、米国の支援のもと第5世代機として既存機種の性能を織り込む派生型を世界最高性能の戦闘機とする案もある。


最初の二案は実現性で難がある。国際のF-2後継機は高コスト高リスクが技術開発上で心配される。欧州との協力事業では開発経費の抑制が実現するがあと10年で作戦投入できるかリスクもある。


ヨーロッパに第5世代機開発の実績はない。試作機さえもなく、生産ラインも存在しない。また新型機の開発生産を後押しする政治的支援もまだ未成立だ。中国が積極的に第5世代機の配備を進める中、欧州と組んでも時間の成約の中で日本に利点は生まれにくい。


対照的に「ハイブリッド」第5世代派生型機材の提案がロッキード・マーティンからありF-22ラプター、F-35ライトニングIIの実証済み技術を盛り込むとある。ステルスやデータ融合に加え日本特有の条件に合わせ、航続距離の増加で航空自衛隊の哨戒時間を空中給油なくても伸ばす事が可能だろう。


ハイブリッド構想が費用対効果と製造リードタイムで最も有望で、中国の脅威に対抗しながら日本が発注したF-35の147機も活用できる。さらに第5世代ハイブリッド機は日本の用途に合わせた機体になり、日本中心で生産できる。南シナ海での中国の台頭は無作為から生まれた痛い結果だ。これ以上の中国の横暴な動きを太平洋で食い止め日本の領土領海領空を守るべく実行力ある抑止力を実現するには予算と研究はよく考えて行う必要がある。


第5世代機はこの投資の重要部分となる。力の裏付けがある平和は確かだ。第5世代ハイブリッド戦闘機こそ日本の平和を実現する手段となる。


中国の兵力投射は空と海が中心だ。高性能第5世代ハイブリッドなら中国の兵力投射を迅速かつ決定的に打破できる。中国の脅威に全面的に対抗する実力が航空自衛隊に備われば、中国は侵攻を断念せざるを得なくなる。仮に誤算で戦火を開いても日本パイロットは第5世代ハイブリッド戦闘機でミッションを実施し無事帰還できるはずだ。■
David A. Deptula is a retired U.S. Air Force lieutenant general who previously commanded the joint force air component war-fighting headquarters of Pacific Command, served as vice commander of Pacific Air Forces, was stationed in Japan from 1979 to 1983 as an F-15 pilot, and is currently the dean of the Mitchell Institute for Aerospace Studies. Twitter: @Deptula_David

2018年9月2日日曜日

ロッキードはF-22/F-35ハイブリッド構想を米空軍にも売り込んでいた

Lockheed Pitching F-22/F-35 Hybrid to U.S. Air ForceロッキードがF-22/F-35ハイブリッド構想を米空軍にも売り込む

Two F-22 Raptors fly with two Norwegian F-35s in Norway.
  • BY MARCUS WEISGERBERGLOBAL BUSINESS EDITORREAD BIO
AUGUST 30, 2018
プターにJSFの頭脳を取り入れた新型機種の狙いは今後出現するはずのロシア、中国の脅威への対抗だ。
ロッキード・マーティンがひそやかに米空軍に新型F-22ラプターを売り込み中だ。機体にはF-35の搭載する新型ミッションエイビオニクスを盛り込み機体構造を一部変更している。

米軍や同盟国にロッキードはこれ以外のオプションも提示するねらいは軍関係者が今後登場すると見ているロシア、中国の脅威への対応だ。

「これはハイブリッド機になる」とデイヴィッド・デプチュラ空軍中将(退役)はミッチェル航空宇宙研究所所長としてコメントしている。「F-22でもF-35とも違う機体だ。両機種を合わせた存在だ。完全新型機の開発よりずっと早く実現できる」

新型機はロッキードが日本に提案中の機体と似ており、F-35の新型ミッションシステムと「その他ステルス塗装等の新技術」を盛り込むと詳しい筋が述べている。

「この提案には多大な可能性がある。すぐに飛びつくべきとは言わないが日本の視点で見れば国産機開発の代替案として国産機がF-22の性能に及ばないのであれば巨額を投じる意味がある。賢明な選択になるはずだ」(デプチュラ)

ロッキード広報は本件についてコメントを避けている。

今回の提案から思い出されるのは1990年代末にF/A-18ホーネットがスーパーホーネットへ進化した過程だ。低リスク事業としてF/A-18E/Fでは機体のほぼ全面改良が必要となった。新型主翼は当初こそトラブル続きだったが、最終的に成功作となった。

国家防衛戦略の一環で空軍が戦力編成を検討するタイミングでロッキード提案が出てきた。

今回の売り込みで長年の論争が再燃しそうだ。F-15含む第四世代戦闘機の改良型を調達するべきか、それとも高価かつ整備が大変なステルス塗装や電子装備を盛り込んだ新型機のほうがいいのか。

7月にはボーイングがF-15イーグルの新型機F-15Xを売り込み中との報道があり、ミサイル爆弾の搭載量増加と新型電子装備を採用するとある。F-22やF-35とちがうのはステルス性能がないことだが、同機支持派によれば電子戦等の装備で被撃墜性が下がるという。

非ステルス機導入に反対する向きからは国家安全保障戦略と関連するとの指摘が出ている。「統合運用では敵国の防空ミサイル防衛ネットワークの有効範囲に侵入し移動式兵力投射装備を破壊する能力が必要だ」「第四世代機でこのシナリオでの運用は無理だ。このため第5世代機の持つ作戦能力が必要だ」(ロッキード提案内容に詳しい筋)

デプチャラは改良型F-22を採用すれば米軍戦力は段階的に増強可能とし、未検証技術を採用した革新的設計の第六世代機の登場を待つ必要がなくなるという。

「空力特性、推進力、低視認性から見ればF-22を大幅に超える機体はまだ生まれていない」(デプチュラ)

米空軍は数億ドルで今後の戦闘機用各種技術を検討中だ。空軍では次世代航空優勢機あるいは侵攻制空機と呼んでいる。

その他の提案


ロッキードには米軍や同盟国向けに別提案もあり、指向性エネルギー兵器や電子攻撃手段をF-16、F-22、F-35に搭載する案やF-35の構造強化も含まれる。


「米軍が次世代航空優勢機材の実現に向かうのであれば選択肢は多々ある」とロッキードの戦略に詳しい筋が語る。

このうちロッキードがF-35改修で動いている。同上筋によれば同社はスカンクワークス本部があるパームデール(カリフォーニア州)で米海軍上層部に売り込みを図った。エンジン改修が中心で出力、燃料消費の双方で向上を図る。外観上に変更はない。

ロッキードではF-35調達規模の増加も売り込んでおり、2020年代にステルス機の増強を期待する。

「国家防衛戦略で掲げるシナリオのひとつで実際の戦闘となれば高リスク状況で第四世代機で大量損失が発生する。米国がこうしたシナリオで任務を実施できるか疑問だ」(同上筋)

F-35の年間生産数が80ないし100機となれば米軍戦闘機2,000機の8割が第5世代機になると同上筋は解説する。
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「該当シナリオは本質的に違う。目的達成の確率が高くなり損耗を低く抑えることを目指す内容だが第四世代機は危険にさらされる」。だがコストの問題が出てくる。空軍向けF-35Aの最新発注分で単価は90百万ドル程度だ。ペンタゴンは2020年までに80百万ドルに引き下げたいとする。

デプチュラはF-35価格の削減が続けばF-15やF-16の新型調達の論拠が減るという。

「空軍の立案部門は既存の相手方脅威のみならず将来登場する脅威への対応も望むはずだ。一部には財政上こちらが優位と見る向きがあるが、この議論は長く持たないと思う」

「個別の機体単価や既存機材の新型版の生産再開を進めればF-35の機体単価の変遷カーブに近くなる。空軍立案部で高齢化進む空軍の立て直しを図るとしたらどちらの案が効果が高いのか答えをだすのがむずかしいだろう」■

2018年4月23日月曜日

★★★F-22/F-35ハイブリッド構想の実現可能性はない

先にご紹介したthe War Zone記事と反対の評価でこちらではF-22生産再開を日本に許しても米空軍が欲しい次世代戦闘機に及びもつかず、結局買い手がない、したがってロッキード案は絵に描いた餅になると見ています。さてどちらに軍配が下るのでしょうか。しかしながら爆撃機エスコート構想と言うのは何となくアナクロに聞こえるのですが。PCAまで作るよりもB-21だけでミッションが可能となればいいのでは。将来の戦闘機が今と同じ機体サイズである必要があるのでしょうか。そうなると航続距離・ペイロードで不満があってもF-22の活躍範囲は依然としてあるのでは。もちろん日本の求める制空任務にはF-22改があれば十分と思います。


Lockheed Martin Wants to Merge an F-22 and F-35 Into 1 Fighter for Japan. It Won't Happen.ロッキード・マーティンがねらうF-22/F-35を一つにまとめた日本向け戦闘機構想は実現可能性なし




April 20, 2018

ロイターが伝えたところによればロッキード・マーティンがF-22とF-35を一つにした機体を日本のめざす次世代航空優勢戦闘機として売り込もうとしている。

ロイター記事では同社はハイブリッド機を日本のF-3事業の情報提供に盛り込み、米国政府が技術移転を認めるのが条件としているという。1997年の改正によりF-22の輸出は厳しく制限されている。なお同機生産は2012年終了した。

提案内容の詳細は不明だが、ロッキードはF-35の高性能センサー、エイビオニクス技術をラプター改に搭載し圧倒的な空力性能(JSFとの比較で)を実現するのだろう。

新型機が仮に実現すれば日本製のF-35用プラット&ホイットニーF135アフターバーナー付きターボファン双発を搭載するのだろう。同エンジンはF-22用エンジンの派生型であり、F119エンジンも生産終了している。ロイター記事では構想では「F-22とF-35を組み合わせて双方より優秀な機体が生まれる」とうたっているとの匿名筋を引用している。

ただし提案にある機体はF-22・F-35の技術を応用するとはいえ、各種技術の統合、フライトテストは全く別の機体扱いとなるはずでハイブリッド機の実現には高費用かつ長期間を要するはずだ。そこに追い打ちをかけるのが米空軍が侵攻型制空戦闘機の要求水準からみて同機を採用する可能性が極めて低いことだ。

米空軍航空戦闘軍団からは次世代侵攻型制空戦闘機(PCA)の要求性能水準が示されており、それによればF-22、F-35のいずれの派生型でも達成は不可能な内容だ。中でも航続距離、ペイロード、ステルス、電子戦のいずれも大幅に現行機より伸びている。

たしかにステルス性能をとってもPCAには広帯域で全アスペクトでの低視認性が求められ、低周波レーダーにとらえられない想定がある。新型低周波レーダーでは現行のステルス機も探知可能だ。そうなると全翼機形状で垂直水平尾翼がない設計が有利だ。

空軍関係者PCAをノースロップ・グラマンB-21レイダー戦略爆撃機を援護する戦闘機だと公言し、防空体制の整備された敵地奥深くに侵攻する機体だとする。そうなると、設計では超音速飛行性能と戦闘機としての操縦性を兼ね備えた機体にしB-21の爆撃行をエスコートできる性能が必要となる。

航続距離の延長に加え空軍はPCAではペイロードの大幅増加を期待しそうで、F-22の規模を超える規模になるだろう。ラプターのパイロットから出る不満にはステルスやセンサー性能を生かせるだけのミサイル本数を搭載できないことがある。PCAが太平洋地区の広大な空域で活躍することを考えれば、機体には現行以上のペイロード搭載が必要となる。

PCAがペイロード、航続距離ともに拡大するとして将来の米空軍向け制空戦闘機にアダプティブサイクルエンジンの採用は必至だろう。空軍は米海軍とともにこの技術開発を進めており、実現すれば燃料消費は現行エンジン比で35%減となる。そうなると爆撃機よりは小さい機体のPCAには次世代エンジンがないと空軍の求める性能の実現は不可能と思われる。

F-22/F-35ハイブリッド構想が米空軍のPCAの要求水準を満足させるのは不可能だが日本の要求水準には合致することがありうる。そうなると日本は開発、テスト、製造の全般的費用を負担するのみならず、機体の買い手を米国で見つけることにもならず、費用の回収に困るはずだ。F-22/F-35ハイブリッド機の現実的なシナリオはあくまでも空想の世界だ。■
Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.