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2024年10月5日土曜日

米軍の駐留経費負担で米韓が暫定合意 (The Hill)

 



国と韓国は10月4日、韓国による米軍駐留経費の負担を増やす新たな経費負担協定を発表した。 

 国務省のマシュー・ミラー報道官は、8回にわたる交渉の末、韓国との新たな5年間の特別措置協定について合意に達したと述べた。

 韓国の中央日報によれば、新協定は、韓国の米軍への貢献度を8.3%増加させ、物価上昇率が毎年2%前後である限り、インフレ率に連動して毎年さらに増加させる。 

 2026年に韓国は約11億ドルを拠出する。 

 韓国外務省の李在雄(イ・ジェウン)報道官は、拠出金を国防予算の伸びではなくインフレ率に連動させることで、拠出金が高騰する可能性を抑えたと述べた。 

 米国は韓国に2万8000人以上の軍隊を配備しているが、これは主に北朝鮮の侵略から韓国を支援するためである。 

 共和党の大統領候補トランプ前大統領が、民主党候補のハリス副大統領と大接戦を繰り広げているなかでの新たな合意となった。 

 トランプ大統領は、韓国がアメリカ軍の駐留費用負担を増やすことを望むと繰り返し発言し、ウクライナなど紛争中の他国への支援を疑問視する孤立主義的な発言もしている。■



コメント 日本の駐留経費負担の最新の数字は約1兆550億円なので約70億ドルですね。

US, South Korea reach tentative cost-sharing deal for US troops

by Brad Dress - 10/04/24 12:20 PM ET


https://thehill.com/policy/defense/4915752-united-states-south-korea-cost-sharing/


2019年2月6日水曜日

次回トランプ金会談で韓国の行方が決まる 日本も安閑としていられない交渉の鍵は在韓米軍の行方だ

A Strategic Disaster Looms at the 2nd Trump-Kim Summit

第二回トランプ金首脳会談が戦略的失敗に終わる可能性

President Donald Trump meets with North Korean leader Kim Jong Un on Sentosa Island, Tuesday, June 12, 2018, in Singapore.
JANUARY 30, 2019

年1月始め、韓国はマイク・ポンペイオ国務長官の発言に震撼した。平壌は祝杯をあげただろうが、長官はフォックニュースで米国本土の安全が最優先であり、このため米国は北朝鮮非核化をめざすと語ったのだ。長官が否定しなかった想定が危険をはらむ。トランプ政権が北朝鮮との交渉を優先し韓国との同盟関係を取引材料にするのではないか。 

米政府が米国の安全を第一に置くのは当然であり、そうしなければ無責任のそしりを逃れない。遠隔地で戦火が開くのを阻止することが本国の安全にどうつながっているかを米国民は理解していない。指導層が認識すべきは朝鮮半島や北東アジアの有事で米本土の安全や経済活動にどんな影響が生まれるかだ。仮に北朝鮮が米本土を狙うミサイルを廃止しても、在韓米軍を撤退させればアメリカに害が返ってくる。地域内の武力衝突の可能性が高まり米国民や同盟国が血と富を犠牲にすることになる。

ドナルド・トランプと金正恩は今月末に二回目の直接会談に臨む。首脳会談でトランプ政権にとって最大の外交成果が生まれる可能性もあるが、米国と韓国にとり戦略的失敗の序曲となる可能性もある。
.会談が近づく中、米韓両国の同盟関係を破綻させかねない3つの問題を克服し、両国の安全保障で破滅的影響が出ないよう努力すべきだ。まず、在韓米軍の経費負担で韓国が拒否していること、二番目にホワイトハウスが米本土防衛を最優先しているが韓国にどんな意味があるのか、三番目にトランプが同盟関係を軽視していることだ。

韓国は金正恩が北朝鮮ICBM開発終了の見返りに在韓米軍の撤退をトランプに求めるのではと懸念している。金正恩は韓国が米軍経費負担に合意していない状況を知っており、韓国のために米軍を危険に犯す必要はないと主張してくるのではないか。

仮にそんな合意が生まれれば、トランプではなく金正恩が史上最大の取引成約者となり、核武装した北、世界第四位規模の軍組織と南の吸収合併を当然視するイデオロギー存続を米大統領に認めさせたことになる。トランプは韓国と北東アジアを喪失した大統領として記憶されるだろう。

金正恩にとって在韓米軍は大きな脅威であり、核兵器を米国に向けているのはそのせいだ。だが在韓米軍の存在は北朝鮮の南進を阻止する抑止力だ。米軍が去れば金正恩には分割統治戦略を実現する好機が生まれ、韓国併合に向かうだろう。米軍が朝鮮半島を去れば武力衝突の発生は必至だ。

だがトランプが最大の外交上の成果を手に入れたようにまず映るはずだ。ワシントンは行き詰まった韓国との在韓米軍経費負担交渉の継続は断念し、米韓関係は最低水準にまで下がる。米側は「心理マジノ線」と呼ばれる年間一兆ウォン(12億ドル)の負担水準の突破を韓国に求めているが、韓国政府は承服できないとしている。金正恩はここでナポレオンの法則を使うだろう。「敵が過ちを冒している際には決して手を出してはならない」

もちろんこうした意見衝突を超えた意味が同盟関係にある。ただいトランプは同盟関係を軽視してやまず先回のシンガポール会談では韓国から米軍を呼び戻したいとさえ発言している。シリアやアフガニスタンでも同様の発言があり、実際に両国から部隊撤退を命じているので今回も大統領の発言内容を真剣に受け止めるべきだろう。
負担分担を巡る堂々巡りに北朝鮮のICBM戦力解体が加われば大統領は撤退を命じてしまうかも知れない。金正恩が自国ICBMと核弾頭を中国に譲渡する可能性が浮上している。

トランプがそんな提案を目の前にしたら可能性はふたつだ。まず受け入れれば朝鮮は米防衛線の外側とした1950年の過ち以上の規模で戦略的誤謬となる。1950年にはそれを聞いて金日成が南侵攻を開始した。

二番目は金正恩と全力で対決した指導者としてトランプが歴史本に名を刻むことだ。金正恩がICBMを断念すると認めるとすれば実はICBM戦力を大規模に保有していないためであり、金王朝でも最高水準の交渉戦術を使ってい代償なしで結果を得ることになる。トランプに本国防衛へ集中させながら韓国を放棄させれば朝鮮半島内の戦闘をまきおこさせることになる。

米軍が半島から本国に戻れば金正恩は安全を感じ満足するだろうか。2018年4月の板門店宣言およびシンガポール首脳会談声明の双方で朝鮮半島全土の非核化が金正恩の目的と述べている。この意味を理解するためには米国は1991年以来朝鮮半島内に戦術核兵器を持ち込んでいない事実を理解する必要がある。ただし金正恩は在韓米軍の存在、戦略装備の展開、抑止力の拡大は韓国を「核化」するのと同じと考えているのである。金正恩が「非核化」を口にする際は「在韓米軍」のことを指す。

金正恩は米国と自国の関係改善への前向きな姿勢も話題にしている。また米国の「敵対政策」の終了も口にしている。だが北朝鮮指導者の真意はここでも米軍部隊の撤退なのだ。

同様に金正恩が安全保障上の保証を求めていることに混乱する向きがある。金正恩の視点では公式文書や署名は保証として不十分である。そこで物理的な保証を求め、ここでも米軍撤退を意味し、同盟関係の終了、抑止力整備の中止、韓国と日本への核の傘提供の終了を求めている。

米本土への脅威を除去すべく「大安売り」すれば米国の対北朝鮮取引も不成功に終わる。トランプにとって唯一の実質的な勝利は南北統一朝鮮国家の出現まで朝鮮半島での戦闘事態勃発を防止することだ。非核化と米国本土や同盟各国への脅威を除去するには他に手段がない。■

David Maxwell, a 30-year veteran of the United States Army and retired Special Forces colonel, is a senior fellow at the Foundation for Defense of Democracies.

2018年5月18日金曜日

在韓米軍の撤退、縮小は可能なのだろうか

日本にとっても状況に踊らされない冷徹な地政学的思考が必要です。冷戦が終わるのかどうかは別としていつも考えたくない事態も考えておく必要があり、北朝鮮が存続し続ける事態が現実になる可能性も受け入れなければなりません。(これは以前も指摘しています。悪の体制でも受け入れるかは道徳の問題ではありません)その一方で北朝鮮指導部はこうした思考を叩き込まれていますので平和ボケした日本がだまされないように思考を鍛える必要があると思いませんか。

 

Could America Pull Troops Out of South Korea If It Wanted? 在韓米軍の撤退は可能なのか



May 11, 2018


界はひたすら待ち続け見守ろうとしている。強硬な制裁措置、瀬戸際外交、核の「レッドボタン」の脅かしが金正恩による核兵器放棄につながるのかを。少なくともこうした米政策が金正恩とトランプ大統領の頂上会談に繋がったことは確かなようだ。
前例はある。核兵器開発を自主的に放棄した国がある。南アフリカ、ブラジルだがそれぞれ民主政体が生まれたのが核放棄の引き金となったのであり、外交包囲を受け制裁の恐怖から放棄したわけではない。ソ連解体でウクライナ、ベラルーシ、カザフスタンも核兵器を放棄したが、すべてロシアへ返却している。(ウクライナはこの決定を今になって後悔しているはずだ)
一方でイランに対しては厳しい目が向けられている。合意事項では10年間凍結とあり、核兵器開発を永遠に断念させる内容ではない。米国が合意から脱退すると発表したことでイランが核兵器開発を目指すのか断念するかが見えにくくなっている。
開戦は選択肢に残ったままだが、いったん戦闘となれば壊滅的被害が発生すると承知する米政府があえてこの選択肢をとるとは思えない。歴史では戦闘で核兵器廃絶を目指した例は少ない。2002年に米国はサダム・フセインのイラクに核含む大量破壊兵器廃棄を求めたものの結局同国内に対象兵器はなかったと判明した。ただしイラク侵攻作戦で生まれた前向きな副産物はリビアのカダフィに核兵器の自主的放棄をさせたことでこれは米国の次の標的が自国だと恐れたためだ。この前例で生まれた効果も米国がカダフィ放逐を支援したことで肝心の核兵器自主廃絶が途中で止まり見えにくくなった。残る二例がイラクとシリアでともにイスラエル空軍が核施設を空爆したことで兵器開発に移ることができなくなった。
これらからわかるのは核兵器を自主的に廃絶させるよう独裁政権を説得するのは容易ではなく、開発が進行する前なら軍事攻撃も有効な手段であることだ。米国は北朝鮮に制裁措置をほぼ60年間にわたり課してきた。強硬外交、制裁の後で行う頂上会議は成功につながる可能性もあるが逆の側面も見ておく必要がある。
重要な問題が残ったままだ。これだけの外交圧力や制裁をものともせず金正恩が自信たっぷりだったり、頂上会談が不調に終わる場合、あるいは開戦以外の選択肢を迫られる事態になった場合、米国に何ができるのだろうか。
歴史をみれば1953年の朝鮮戦争休戦協定が重要だ。当時の韓国は世界有数の貧困国で国民所得は一人当たり64ドルでアフリカ最貧国並みだった。戦闘で経済は崩壊し、数百万人が死亡し家族は離散の辛苦を味わった。韓国軍の実力では北朝鮮の侵攻が再度あった場合に国土防衛は全く不可能だった。
米国が手を差し伸べ韓国を侵略から守る盾を提供する必要があった。68年にわたりこの盾は数世代にわたる米駐留軍により永続的存在となり、韓国軍も米軍組織と考え方に倣い整備されてきた。
ただし同時に韓国は経済上の奇跡を実現し、最貧国から世界有数の富裕国へ変身した。2017年の韓国経済は世界11位の規模でIMF調べではGDPは1.5兆ドルとある。北朝鮮経済は暗黒時代といってよくGDPは韓国よりはるかに小規模の250億ドル。人口でも北はかなわなず54百万人に対して韓国は二倍の人口だ。.
冷戦時代は在韓米軍は75千名から44千名の間を保っていた。今日の在韓米軍は司令部をDMZ近くにおき、23千名が韓国国内に常駐し強力な装備を誇る。米陸軍の第二歩兵師団の航空旅団はAH-64アパッチ・ロングボウヘリコプターがあり、北朝鮮侵攻に対し第一防衛線として砲兵旅団も待機している。米軍ではドイツに次いで世界三番目の戦力が韓国に駐留する。
経済同様に韓国軍も1953年から大変化を遂げてきた。常備軍は625千名をこえ、さらに高度訓練を受けた予備役が520万名ある。韓国軍は世界第七位の戦力と位置付けられ、韓国陸軍の56万名は米陸軍正規兵が合計475千名なので規模の上で凌駕している。
米陸軍が世界各地で任務にあたるのに対し韓国陸軍の対象は一か所に集中できる。北朝鮮侵攻を160マイルに及ぶ国境線で撃退することだ。このため韓国には400機におよぶ高性能戦闘機があり、F-15やF-16に加えF-35も加わる。さらに戦車2,600両、戦闘装甲車両3,400両、火砲5千門がある。韓国製のK-2黒豹戦車、K-21歩兵戦闘車両、K-9自走迫撃砲で構成する機械化歩兵もある。さらに韓国陸軍は厳しい訓練で北朝鮮の通常型奇襲攻撃に備えている。
では65年も経過した今、米軍23千名の韓国駐留で初期防衛にあたらせることは絶対必要なのだろうか。過去60年間で状況は大きく変化しているが、大規模軍事プレゼンスを韓国国内に維持するのは米安全保障政策上で不動の原則とされてきた。純粋に軍事的観点で韓国には米通常戦能力が必要と主張する向きがあるが、こうした能力は韓国軍に短期間で段階的に肩代わりさせるべきだ。
紙の上では北朝鮮の常備軍百万名は強力に見えるが、北が韓国を短期間で制圧できるかは仮に米軍が現行の軍事力を朝鮮半島に維持しなくても疑問だ。装備が旧式で補給能力も限定される中で北朝鮮軍内部にも飢餓状態があり、農家に押し入り食物を探すというのでは無敵軍の印象と程遠い。北朝鮮が1950年同様の侵攻作戦を再現できる可能性は限りなく低く、在韓米軍が現行の23千名体制を下回っても勝利を収められないだろう。
米軍のプレゼンスを維持する軍事上の必要性は十年前とはいかずも数年前に消滅していたのだろうが、米外交政策が半面でそれだけ進化しておらず力の均衡の現実を反映していない。皮肉にも米国は韓国に大規模通常兵力を維持することを当然と思い込んできたが、必ずしも軍事上の必要からそう思ってきたのではなく、むしろ自国の信用度の維持が目的となってしまっていたのだ。この場合は韓国に向けてというよりもアジア全体に対して太平洋国家として示してきたといってよい。
米国が孤立主義に回帰するのではと見られる中で在韓米軍が撤退すればアジアからの戦略的撤退と受け止められかねず、逆に北朝鮮外交の勝利とみなされる。米国は戦略上で動きがとれなくなっている。対立の構図が変化してしまった。北朝鮮と米国が核対決を経た中で韓国に米軍プレゼンスを置く理由が忘れられがちだ。もともとは北朝鮮による通常型攻撃に備えるのが目的だったはずだ。米政権は北に非核化を求め、従わない場合は「すべての選択肢」がテーブルの上にあると警告している。皮肉にも在韓米軍のプレゼンスの基礎条件が核対立の前にかすんでしまったのである。
ただし現在進行中の力学で朝鮮半島の意義について再評価する機会が米国に生まれ、従来より現実的に軍事バランスを見直すことが可能となっている。そこには韓国軍の実力向上と中国の台頭も変化の一部としてとらえるべきだ。  
中国が米国と連携して北朝鮮に核兵器を平和的に放棄させるべきと考える向きが多い。中国は静かに圧力をかけて北朝鮮向け制裁措置を課しているが、中国の協力は絶対条件ではない。中国が米国に外交圧力をかけているのは疑う余地がないものの、これは中国にとって米国が東アジアで最大の競合国だからだ。中国からすれば米国があまりにも各地に国力を割いている状況を利用しない手はないのであり、冷戦時代と比べても米国の経済、軍事影響力の低下を把握している。
中国からすれば現在の米国は戦略的に勢力を分散させすぎており、朝鮮半島以外でもアフガニスタンからイラン、ロシア、アフリカ、南シナ海・東シナ海と各地で軍事的挑戦に晒されていると映る。また米国の財政赤字が増える中で世界各地での軍事コミットメントが減っておらず、中国はこれを横目に朝鮮半島戦略では米国に圧力をかけ続け、米国に一層の負担をさせることをねらう。中国も朝鮮半島での核戦争は望まないものの、米国に朝鮮半島問題に当たらせることで中国の外交政策上の目標は達成できると見ている。
戦争一歩手前で、あるいは北朝鮮に核兵器開発の選択肢を断念させる圧力をかけるため、米国には北朝鮮と言う国を1950年代より広範囲の戦略課題として位置付ける現実的な見方の政策が必要だ。1950年代は通常戦侵攻シナリオが主流で以後これが維持されて相当の時間が経過している。核抑止力が北朝鮮に今後も有効に機能すると想定するが、これは中国やロシアに対しても同様であり、北朝鮮が未来永劫に米国への脅威のままであるはずがない。現行の政策は厳しい国連の貿易制裁と核抑止力が中心だが、このまま無期限に維持すれば財政負担を生み、米国の財源を使い切る事態にもなりかねない。
核の傘の下で米国は条約上の義務を履行しながらも強力で富裕国になった韓国に北朝鮮による通常攻撃を食い止める主力の座を期待し、自らは縮小した米軍司令部が後方支援する形でその後到着する米軍戦力の展開を調整すればよい。
この見方をすれば北朝鮮は直接の脅威というよりも戦略上の要注意対象と言った存在になるが、一連のもつれをほどくのは単純な作業ではない。とくに米国の信用度を維持する課題を考慮すれば。現政権が在韓米軍の見直しをしていることには戦略上の意味が大きいが実際に一部にせよ撤兵を実施すれば微妙な均衡の確保が必要となり、かつ米国力の退潮の現れ、アジアからの撤退と受け止められない工夫が必要だ。このため米韓両国政府では今後も米戦術核の朝鮮半島再配備問題が議題として残るはずで、実際に昨年北朝鮮が水爆実験をした直後に検討内容に取り上げられている。
米軍の韓国撤退は交渉材料となるのか、あるいは核をめぐる頂上会談で議題に上らないのかもしれないが、戦略上は大きな話題であることは間違いない。米陸軍は数十年に及ぶ朝鮮半島駐留を終えて第二歩兵師団を本国に送還することになるのかもしれない。利用可能となる重要装備は将来の緊急事態への対応で使えるはずで、これは朝鮮半島に限らず世界各地が対象となる。巧妙に取り扱えば、在韓米軍の撤退は孤立主義への回帰ではなく戦力配備の戦略的再検討として米軍が将来の地球大での課題に対応する能力の裏付けとなり、過去65年ずっと変わらなかった凍り付いたシナリオから解放されるのだ。■
Ramon Marks is a retired New York international lawyer.
This article originally appeared on Real Clear Defense.

Image: Wikimedia Commons

2017年7月5日水曜日

7月5日米韓両国がミサイル発射で北朝鮮ICBM発射に対抗


半島情勢がエスカレーションしてきました。ただし、この反応はどうなんでしょう。牙を見せたということでは意味があるとは思いますが。前日のミサイル発射を実施した北朝鮮は独立記念日を狙った確信犯であり、米軍の対応がこの程度と見て嘲笑するでしょうが、長い(短い?)導火線に自ら火をつけてしまったのではないでしょうか。同国が地図上から消える日が近づいてきたと思います。北朝鮮労働者を受け入れている国はまだあちこちにあるようです。


2017年7月5日、M270多連装ロケット発射装置でMGM-140陸軍戦術ミサイルを日本海に向けて発射する韓国-米国合同第二師団隷下第210野戦火砲旅団第18野戦砲撃連隊第一大隊。米韓両国は5日に合同演習を実施し北朝鮮のICBM発射テストに対応した。 U.S. ARMY PHOTO

US, S. Korea fire missiles in warning to North

米韓両国がミサイル発射で北朝鮮へ警告

 By KIM GAMEL | STARS AND STRIPESPublished: July 4, 2017

SEOUL, South Korea – 米韓両国は7月5日ミサイル数発を警告発射し、北朝鮮の大陸間弾道弾発射に対応した。
  1. レックス・ティラーソン国務長官が同日北朝鮮が打ち上げたミサイルをICBMであると確認したのを受けて発射されたもの。長官は米国、同盟国、協力国のみならず域内、世界規模で脅威が増加したと指摘。
  2. 米太平洋軍は初期評価で中距離弾道弾としていた。
  3. 第8陸軍の公式声明では両軍は韓国東沿岸沖合にミサイルを撃ち込んだと発表。
  4. 今回の発射は異例の形で、北朝鮮が前日発射したミサイルに直接関連させ「北朝鮮による安定に害を与え非合法の7月4日の行動に対抗するもの」としている。
  5. 米軍は特定の出来事に言及することを通常は避けており、合同軍事演習は防御を旨とすると主張してきた。
  6. 第8軍によると米陸軍の戦術ミサイルと韓国のHyunmoo(玄武)ミサイルが発射された。「迅速に展開し発射できた」とし、「遠距離を正確に攻撃できる能力により米韓同盟はいかなる天候条件でも常時重要目標を攻撃できる」
  7. 北朝鮮は4日、Hwasong火星-14ミサイルが金正恩委員長が見守る中で発射されたと発表。39分間飛翔し、最高高度は1,740マイルに達し、日本海に落下した。移動距離は580マイルと同国国営通信は伝えた。
  8. ミサイル実験はほぼ一か月振りで米韓両国の首脳がワシントンで初の会談を行った数日後のことだった。
  9. ティラーソン長官は国連安全保障理事会に対し一層強硬な対北朝鮮措置を求める意向と述べた。
  10. 「世界規模の脅威を食い止めるためには世界規模の行動が必要である」と声明文を発表し、北朝鮮労働者を受け入れる国は北朝鮮に経済軍事効果を提供し国連制裁措置に違反することで「危険な国家体制の支援、ほう助につながる」と警告。
  11. ティラーソン長官は米国は朝鮮半島非核化を平和的に希求しており、「核武装した北朝鮮は絶対に受け入れられない」と強調した。■

2017年5月28日日曜日

★★米陸軍が韓国から事前集積装備を米本国に送付するのはなぜか



一見すると韓国の防衛を放棄するような話ですが、よく見ると米陸軍が即応体制の高い部隊を交代で各地に派遣する体制づくりに投入されるのですね。朝鮮半島の危機はまだ続くと思うのですが、もっと大きな視野で運用を考えているようです。

Pre-positioned US stock leaving South Korea to create armored brigade 前方配備装備品を韓国から米本土に送り装甲旅団編成に投入する米陸軍

By: Jen Judson, May 26, 2017 (Photo Credit: Capt. Jonathan Camire/U.S. Army)

WASHINGTON — 米陸軍は韓国国内に集積した事前装備を米本土に呼び戻し装甲旅団戦闘集団(ACBT)の編成にあてる検討中と米陸軍参謀総長マーク・ミレー大将が明かした。
  1. この動きは旅団戦闘チームで軽装備歩兵中心から強力重装備の装甲旅団戦闘チームに再編成する意味がある。米陸軍は歩兵旅団戦闘チームを第15装甲旅団戦闘チームに再編成し、第16旅団用には韓国内の事前配備装備を活用する。
  2. 陸軍の事前集積装備はAPSと呼ばれ、各戦闘司令部下で迅速即応が必要な事態で緊急作戦用に使う想定だ。ただし陸軍は装備品セットを訓練で消費した分の補充に振り向け、さらに必要に応じ部隊規模を拡大する。このため事前配備装備を払い出し以前よりも頻度が高くなっている演習に投入する。
  3. 参謀総長の発言では従来の中心が対テロ作戦や国内治安確保作戦がイラク、アフガニスタンにあったが、部隊戦力を再構築し再び大国を相手にした本格戦闘に備える必要を実感しているのだという。
  4. 議会公聴会ではテッド・クルーズ上院議員(共、テキサス)がミレー参謀総長に韓国内装備を米本国に送還する必要について問いただした。参謀総長は装備品の本国送付で編成する第16ABCTは交替配備で後日韓国に展開され、陸軍の戦略方針の一環となるとし「リスクもたしかにあるが、許容範囲のリスクだ」と答えた。
  5. 韓国内にABCTを順繰りに配備するのは陸軍が進める交代方式の部隊配置方針と合致し従来のような継続前方配備はとらない。さらに陸軍は交代部隊は完全装備状態にさせる。
  6. 1月に交代配備による初のABCTを欧州に派遣したが、ドイツのブレーマーハーヴェン港到着からわずか14日でポーランドで装備品すべてを運用可能になっている。
  7. 米陸軍の迅速交代部隊派遣戦略では長年保管したままの装備品も使い作戦能力を誇示する。
  8. 前方配備部隊に装甲旅団規模の重装備を常時配備すべきかで論争があるが、ミレー大将は迅速な部隊派遣体制を維持するほうが良いと見る。「戦闘能力を高いままで、全部隊を恒久配備した際の固定費が不要になる」からだという。
  9. また同大将は下院軍事委員会委員長マック・ソーンベリー議員(共、テキサス)から欧州の前方配備ABCTの見直しを交代派遣の費用との比較で進めるよう求めがあったと述べている。
  10. ただミレー大将は「当方の提言として交代派遣をこのまま続け、...一国から別の国への移動を続けるべきと考えるのは部隊を一か所に貼り付けておくわけにいかないため」と述べた。さらに旅団を恒久的に駐留させると購買部や学校まで含めた体制の維持につながり、軍属家族を戦闘発生の可能性ある地帯に送ることになると述べている。
  11. 交代で配備する旅団は「戦闘を視野に入れた訓練体制を維持し、訓練内容も意味のあるもになる」と付け加えている。■

2016年6月21日火曜日

韓国へISISテロ攻撃の可能性浮上、警備体制を厳重にしています


不穏な情勢が韓国で何も発生しないことを祈るばかりです。

S. Korea beefs up security after Islamic State threatens US bases

Stars and Stripes
Published: June 20, 2016


SEOUL, South Korea — 韓国政府は在韓米軍基地及び韓国一般市民がテロ攻撃を受ける脅威があるとし警備体制の強化を6月20日発表した。イスラム国に近い筋が韓国内の基地等を襲撃リストに載せているためと言われる。
  1. 懸念の浮上は週末のことでイスラム国が世界各国で合計77か所の米空軍、NATO軍基地の攻撃を想定し、韓国ではオサン、クンサンの両空軍基地がリストに入っていると韓国情報機関から発言があったためだ。また福祉機関に働く韓国人一名もリストにあると情報筋は述べている。
  2. 韓国は仇敵北朝鮮に加え新しい脅威が加わることになった。韓国・北朝鮮は1953年の休戦協定で戦闘は終わったものの戦争は終結しておらず、米軍はおよそ28,500名を韓国に駐留させている。
  3. 韓国国家情報院NISの発表では「韓国一般市民や国内の外国人がテロ攻撃対象になるのが現実味を帯びてきた」とある。
  4. 同機関が参照したのは今月初めにISIS寄りのハッカー集団ユナイテッド・サイバー・カリフェイトが公表したいわゆる殺人リストのことで、氏名、住所、電子メールアドレスおよそ8千名分を掲載している。リストではどういう基準で選ばれたのかは不明だ。
  5. 同グループは世界各地の米空軍基地の衛星写真も公表したが、同じ写真がグーグルアースで入手可能と6月8日に同リストの存在を報じた報道技術企業Vocativは指摘している。
  6. NISによれば在韓米軍、韓国軍及び警察当局に警備を厳重にするよう伝え、言及のあった施設では警護を固めるよう要請した。
  7. 在韓米軍からは各施設の保安態勢を重視し朝鮮半島の安全に対し最大限の配慮をしているとの発表があった。
  8. 「警戒を怠らず通常の体制で韓国とともに対応していく。脅威事象発生の場合は直ちに対応する準備ができている」.
  9. 韓国首相黄教安 Hwang Kyo-ahn が20日、韓国政府はテロ攻撃を未然に防ぐ体制にあると述べたと聯合ニュースが伝えている。首相は国内の対テロセンターが捜査対象を広げ、国民一般に被害が及ばないようすべての対策をとっているとも述べている。
  10. 「イラク・シリアのイスラム国は次の攻撃目標に韓国を昨年9月以来加えています」と首相は発言したといわれる。■

2016年1月7日木曜日

北朝鮮の水爆実験は本当なのか。それより中国の対応が注目だ。さらに核抑止力整備に弾みがつきそう


韓国には北朝鮮を軍事脅威と見ない向きが多いと聞きますが、あらためて今回の事件できびしい情勢への認識が高まったのではないでしょうか。また中国とのからみでTHAADの持ち込みを拒否してきたソウルがこれからどう対応していくのかも注目されます。前回の実験でも規模があまりにも小さいためいろいろ言われてきましたが、北朝鮮のねらいはブラフだけでなくEPM攻撃も視野に入れているかもしれず引き続き警戒が必要なのは言うまでもありません。

 North Korean H-Bomb? Unlikely. What Will China Do?

By COLIN CLARK on January 06, 2016 at 5:54 PM
WASHINGTON:---北朝鮮国営メデイアが水爆実験成功を金切り声で伝えたが実験は成功したとはいえない。
  1. ホワイトハウス報道官ジョシュ・アーネストは「初期分析結果は北朝鮮発表と一致しない」と述べ、北朝鮮の最重要国たる中国が決断を迫られるだろう。国連安全保障理事会に本件が提示されるとどうなるか。習近平は金正恩に何を伝えるのか。
  2. 「中国外務省は今回の実験は事前に通知を受けていないと声明で発表した。中国が実験に対応し経済制裁を実施すれば望ましい展開になる。また一時的に北朝鮮空路を閉鎖するのも効果的だ」と北朝鮮に詳しいヴィクター・チャ(戦略国際問題研究所)が述べている。
  3. ペンタゴンの声明文は予想通りで今回の核実験を「受け入れがたく無責任な挑発行為であり、国際法をあからさまに無視し、朝鮮半島のみならずアジア太平洋地区の安全安定への脅威」としている。
  4. この声明文で最も興味をそそられる点はアシュ・カーター国防長官が韓国国防相との電話会談の前に在韓米軍司令官カーティス・スカパロッティ大将から「状況最新報告」を受け取っていたとする部分で、長官が北朝鮮部隊の南進はないと事前に把握していたことを意味し、おそらくU-2が収集したデータから放射線、同位元素の内容を知っていたことだ。U-2が実験直後に上空を飛行したのはほぼ確実だ。
  5. ただし心配なのは北朝鮮が巨額の予算を核兵器開発に引き続き支出し、各地で必要な機材の購入にあたっていることだ。米国と同盟各国は制裁を厳しく課すだろうが、実験強行で制裁効果にあらためて疑問が生じるだろう。
  6. 米議会の反応も予想通りで、両党議員がそろって北朝鮮を非難する中、共和党は今回の核実験をオバマ政権非難に利用している。
  7. 「世界各地で米国の指導力が弱体化していると見られており、現政権の無策無為ぶりは事態を悪化させるだけだ」とマック・ソーンベリー議員(下院軍事委員会委員長)が声明文を発表した。同議員は具体的対応策も示している。「米国は韓国と共同してミサイル防衛装備を展開すべきで、THAADも含め朝鮮半島の安全を確保すべきだ。米本土のミサイル防衛も強化すべきだ。同時に核抑止力の強化は待ったなしであり、抑止力は防衛体制の根本である」
  8. 下院軍事委員会の戦術空軍・地上部隊小委員会の委員長かつ下院情報活動委員会の委員を務めるマイク・ターナー議員からは北朝鮮の核実験には「効果的な対応と非難を国際社会が与えるべき」との発言があり、NATO国会議員会議の議長も務めるターナー議員は7月のNATOサミット(ワルシャワ)で「現在の危険な状況を明確に再確認し、核抑止力が引き続き同盟各国の安全で最終保証手段であることも改めて確認する」だろうと述べた。
  9. このことから想起されるのがオハイオ級後継艦整備事業への支持が深まり米国に核抑止力三本柱中で残存力が最大の手段を実現することだ。また長距離打撃爆撃機事業への関心が高まり、核ミッション能力を向上することだ。■

2014年10月13日月曜日

元在韓米軍司令官が冷静な議論を求める:核、ミサイル防衛、安全保障



韓国については感情が表に立った論調が目立ちますが、地政学や安全保障の観点からは冷静な議論が必要なことは言うまでもありません。THAAD配備となれば中国は自国の核ミサイルの威力が削がれるのをおそれているのでしょうが、韓国にとっては中国に慮るのか、自由陣営(最近使われない言葉ですね)の一員として行動するのか厳しい選択に直面しているのでしょう。本当に「無駄な議論」が多くて本質を見逃している気がしますね。地雷の件は良く知っている方からご教示ください。

Former U.S. Commander in Korea: North Korea Could Use More Than Missiles to Deploy Nuclear Weapons

By: John Grady
Published: October 8, 2014 10:23 AM
Updated: October 8, 2014 10:47 AM
2012 North Korean missile test.
2012年の北朝鮮ミサイル発射テスト

北朝鮮の核ミサイル脅威が合衆国、韓国、日本で話題になる中、在韓米軍の元司令官が真の脅威を見過ごしていると警告。「核でソウルを攻撃するなら一番いいのは旧式航空機や無人機、あるいは近隣港湾に船舶を送ること」という。

  1. B.B.ベル退役陸軍大将がヘリテージ財団で発言し、合衆国政府はTHAAD最終段階高高度地域防衛弾道ミサイル防衛システムの韓国配備では拙速を避け、韓国政府に導入が必要な理由を自国民へ説明する時間を与えるべきだと主張。
  2. この問題が韓国で論争の種になっている背景について、同大将は予算、北朝鮮長距離火砲の脅威、中国との関係悪化を恐れる韓国事情、敵視する日本との関係を理由に挙げた。
  3. 同時に合衆国は中国へ圧力をかけ、北朝鮮の核兵力整備の野望を止めさせるべきと発言。「THAADに中国が反対するのは100%確実」ともいう。
  4. ミサイル防衛システムやXバンドレーダー施設は抑止力で防衛手段だとする。ヨーロッパでも提案されイラン核ミサイル対策で期待されたが、現在は先送りになっている。
  5. ベルは北朝鮮が核兵器を恫喝の手段とする以上合衆国は在韓部隊の「統制権」を維持すべきと主張。韓国への統制権移管はジョージ・W・ブッシュ政権中に協議されたが、現実の脅威の前に議論は低調になっている。
  6. 「アメリカが国家統制権を譲ることはありえない」「韓国軍の実力が問題なのではない」とし、北朝鮮の核脅威の現実が問題だという。
  7. なぜ韓国にTHAADや海上配備SM-3が必要なのか。ベルは第一次湾岸戦争でイラクのスカッドミサイルが発射数分でサウジアラビアやイスラエルに着弾した事実をあげる。ミサイルが核、生物、化学だったら、低高度迎撃で地上への影響は甚大と発言。
  8. 「無駄な議論はやめ正しいことをしましょう」と北東アジア内に相互運用可能で統合されたミサイル防衛体制を構築すべきだと主張。仮にミサイルが発射されても直後は、オサン空軍基地か日本かグアムの海軍施設なのか「目標はだれもわからない」。「同盟各国が単独で処理できる問題ではない」
  9. ベルは有事に日韓両国は相互に助け合うとみつつ、相互安全保障取り決めが未締結であると指摘する。
  10. 韓国駐留3万人の米陸軍、空軍のプレゼンスは抑止力であり、早期撤退はありえないと主張。また将来の地雷撤去条約の検討では空中投下型の時限式地雷は削減対象から外せと求めた。■