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2016年4月26日火曜日

★楽しみな次世代垂直離着陸機、ベルV-280の機体が姿を見せる



この記事だとベル案の方が優位に見えますが、実は両案それぞれ欠点もあるのでしょうね。米陸軍は大変な決断を迫られそう。でも敗者も民間向けに大きな需要が狙えるかもしれません。ちょっと待ってください、ではオスプレイはあだ花になってしまうのでしょうか。それにしてもSB>1という呼称は落ち着きませんね。
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Rites of Spring: Mating V-280 Wing And Fuselage

By RICHARD WHITTLE on April 21, 2016 at 4:01 AM

V-280 wing mating April 2016 - 1V-280 Valor wing mating at Bell Helicopter Amarillo

ベルヘリコプターのアマリロ工場(テキサス)は春も真っ盛りだ。新しい生命が順調にいけば9月に生まれる。V-280ヴァラー中型ティルトローター輸送機の主翼部とナセルが胴体部分につながれた。ナセルとはV-280のローター二つを支えるポッドのことでローターを離着陸時に方向転換させる部材だ。
「3月にナセルを主翼に接合させました」と語るのはヴィンス・トービン(ベル高性能ティルトローター機およびV-280事業統括副社長)だ。「4月は各部を機体と同色に塗装しました。主翼と胴体の接合の前段取りをしています」 主翼-胴体の接合で配線、油圧系統、複合材表皮をすべてつなげるのは4月末になると米陸軍航空協会の総会(4月28日-30日、アトランタ)にちょうど間に合う形で大きな進展となる。
V-280はV-22オスプレイより小型だがベルがJMR-TD共用多用途技術実証機として参入を目指す重要な機体だ。JMR-TDは陸軍主導で進める国防総省のFVL次世代垂直離着陸輸送機の第一弾となる。FVLは回転翼機の速力上限と関係なく運航できる垂直離着陸機だ。V-280の巡航速度は280ノットと通常のヘリコプターの二倍以上になる。
SB1-Sikorsky-Boeing-JMR artist conceptionArtist’s conception of SB>1 Defiant
ロッキード・マーティンの子会社になったシコルスキーボーイングと組み別のJMR-TDを自社開発X2(2010年に非公式速度記録290マイル時を樹立)を元に製作中だ。シコルスキー=ボーイングチームはSB>1ディファイアントの最終組み立てを今夏に開始する。同機は同軸ローターと推進プロペラの複合ヘリコプターで高速を狙う。ディファイアント、ヴァラーの両機は2017年中にフライトテストを開始する。
各社とも陸軍UH-60ブラックホークはじめ派生型多数が各軍で運用中の機体の後継機種としての採用ををめざしている。ベルV-280ではまず陸軍採用を期待し、その後海兵隊はじめ各軍への導入を期待するとトービンは語る。
陸軍はV-22となった開発事業から1982年開始直後に抜け、オスプレイは海兵隊、空軍特殊部隊が運用中で、海軍と日本自衛隊がここに間もなく加わるが、高コストと仕様内容から陸軍は関心を示していない。だがベルはあえてティルトローターのV-280で陸軍に目を向けさせようとしている。
V-280 Army with tanksArtist’s conception of Army V-280
オスプレイでは翼端のナセルがエンジン、ローターを回転させるが、ヴァラーのエンジンは翼端に水平方向に固定する。V-280は地上に駐機するとローターは上方を向き、艦上の甲板を排気で傷つけたりガス発火を起こさない。V-22ではこれが発生している。エンジンを水平方向に固定したV-280では機体側面にブラックホーク同様のスライドドアが付き、兵員は楽に移動できる。オスプレイは後部ランプ方式で異なる。またオスプレイのハリケーン並みのローター吹きおろし突風はV-280では発生しない。一方、ヴァラーの最大機体重量は38,000 lbs.でオスプレイの52,600 lbs.と差があるが、V-280ではローター径は35フィートとオスプレイの38フィートとほぼ同じだ。大口径ローターで機体重量が軽いことでローター回転面の風圧はオスプレイの三分の二となり、吹きおろし効果も相応に低くなる。
主翼と胴体が接合したことで、トービンは次は尾部構造の接合だとする。ヴァラーではV字型でオスプレイのH字型と異なる。来年の今ごろはエイビオニクス、飛行制御系コンピュータ、ジェネラルエレクトリックT64-GE-419エンジン二基を装着しているだろうとする。「来年4月に地上走行、9月に初飛行となるでしょう」とトービンは述べた。■



2015年6月26日金曜日

★ ベルは新型ティルトローターV-280 ヴァラーを製造中 次世代多用途垂直離陸機需要を狙う



ここにきてヘリコプターの技術革新が具現化を始めています。これまでのヘリコプターの限界が破られる一方で膨大な数の既存機種の更新需要は大規模です。ただしいったんは競作に敗れた各社にも研究資金が回されているのはまだ次代の主流技術を絞り込めていないことのあらわれでしょう。

V-280 Valor: Bell Starts Building Joint Multi-Role Prototype

By RICHARD WHITTLE on June 19, 2015 at 4:00 AM
陸軍航空兵力の未来を形に示すメーカーfあらわれた。ベル・ヘリコプターの契約企業スピリット・エアロシステムズ(本社カンザス州ウィチタ)がV-280ヴァラーの試作1号機の複合材機体の組立作業を開始した。ヴァラーはベルの新型ティルトローター機だ。
  1. ヴァラーは洗練された形状で小型かつベル・ボーイングV-22オスプレイより陸軍用途に適合した設計になっている。両機種ともティルトローター機構を採用している。
  2. ヴァラーは技術実証機の役割を担うが、同社による提案であり生産が決定した事業ではない。ただしペンタゴンが従来型ヘリコプターの速度や航空機の滑走路長の壁を崩そうと補助を出して開発を進める技術事業のひとつである。V-280ともう一社の競合作はUH-60ブラックホークやAH-64アパッチの後継機種となり、機体重量3万ポンドほどで230ノット以上の速度で飛行して従来型より100ノットも高速になる。またハチドリのようにホバリングし、陸軍以外の部隊も欲しがる機体になろう。
  3. もう一つの実証機がシコルスキー・エアクラフトボーイングが共同開発したSB>1ディファイアントで、名称のSB>1とは「シコルスキーとボーイングの和は1より大」との意味だ。この実証機の原型はコリヤ-杯を受賞したX2テクノロジー実証機とその派生型S-97レイダーだ。ディファイアントはまだ設計段階でアクティブ振動制御、硬性同軸ローターと可変回転数式推進プロペラにより従来のヘリコプターの速度限界を打ち破ろうというものだ。
SB1 Sikorsky Boeing JMR Behind rocks_CURRENT_IMAGE_042715SB>1ディファイアントの想像図
  1. ヴァラー、ディファイアントはともに費用は陸軍主導の共用多用途技術実証機(JMRTD)事業が一部負担し、将来型垂直輸送機 (FVLの実現につなげようとする。FVLの目指すのは「垂直輸送機部隊を次世代の水準にもっていく」ことだと事業主管のダン・ベイリーがアメリカヘリコプター国際学会(AHS)で先月語っている。
  2. AHISのロビー活動にも助けられ、ベイリーは議会から14百万ドルの予算を獲得した。だがその半分は昨年の競作に敗れた企業に回っている。AVXエアクラフト(本社テキサス)は3.4百万ドルを得て同軸ヘリコプターに推進用ダクテッドファンをつける構想の研究を続けている。カレムエアクラフト(本社カリフォーニア)も4.1百万ドルを得てカレムが特許を所有する最適速度ティルトローター技術の熟成を続けている。同社の創設者エイブラハム・カレムはプレデター無人機を作った人。
  3. ベルおよびシコルスキー/ボーイングの実証機はともに2017年に初飛行するが、成功しても採用され生産に移る保証はない。ただし現状ではあまりに多くの機体が老朽化の一途にあることから後継機需要は相当あるといってよい。
  4. 「技術実証機は次世代軍用回転翼機を占う重要な存在で、今世紀通じ大きな存在となるだろう」とAHIS専務理事マイケル・ヒルシュバーグMichael Hirschbergは語る。
  5. JMRTDはFVLが目指す新型軍用機の4大目標の一歩にすぎない。4つとは、軽量、中型、大型、超大型の4つであり、どこからでも離発着でき、 高速飛行し、遠くに飛ぶ機体だ。
V280 fuselage assembly June 2015V-280 機体組立中
  1. それでもV-280の機体製造が進むと、回転翼機の歴史に新しい一ページが加わるる。ペンタゴンが前回純粋な垂直離着陸機の実証機に資金投入したのは1973年のことで、陸軍とNASAのエイムズ研究所がベルに契約交付し、小型ティルトローター機XV-15の製造をさせたときだ。
  2. V-280とSB>1の両機が飛行を開始すれば、ベル、シコルスキー/ボーイングは歴史の再来を期待するだろう。XV-15は1981年のパリ航空ショーで飛行展示しており、海軍長官(当時)ジョン・リーマンは海兵隊にCH-46シーナイト後継機種に選ばれていたヘリコプターを中止させ、ティルトローター機の開発を命じた。これがV-22になった。当初は嘲笑の的だったティルトローターは熟成し海兵隊、空軍特殊作戦軍団が使用中で、ここにまもなく海軍が加わる。V-22採用を見送った陸軍だけが純粋なヘリコプターのみを運用する部隊になる。新型機でこの状況を打破することが期待される。■