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2021年6月10日木曜日

どう考えてもおかしい。韓国の原子力潜水艦調達の狙いは北朝鮮ではなく、日本だ。実現しないことを祈りましょう

 

 

 

 

 

ここがポイント:韓国が原子力潜水艦を運用しても北朝鮮の核・非核戦力を阻止できない。

 

 

し隣国が北朝鮮なら強力な陸軍、空軍に強力な兵装を搭載し、ミサイル防衛の整備も必要になる。

 

原子力潜水艦で外洋を航行させても無用だ。敵は首都から30マイル先に布陣しているのだ。

 

にもかかわらず、南朝鮮は原子力潜水艦導入を真剣に検討している。南朝鮮海軍は検討チームで原子力潜水艦開発を研究しているのを認めている。

 

「長期的に原子力潜水艦導入を捉え、専用チームを立ち上げている」と海軍当局は議会で答弁したと聯合通信が伝えている。

 

現時点でプロジェクトは構想段階のようだ。「専用チームがあるからといってすぐにでも導入を目指しているわけではない。何も決定されているわけではない」「主に情報収集だ」と海軍関係者が述べている。

 

原子力潜水艦取得が話題に上るのは今回が初めてではない。2003年に南朝鮮はメディアにこの件が漏れて、検討を棚上げした。「その後2017年に国防部が民間機関を通じて研究をし、軍は改めて導入の必要を意識した」と聯合通信にある。

 

南朝鮮は通常型潜水艦建造計画を進めている。2018年にKSS-III級潜水艦(3,700トン)の一号艦が進水し、同級は9隻建造し、巡航ミサイルや弾道ミサイルを搭載する。「軍は3,000トンの張保皐Chang Bo Go-III級を原子力推進化する案を推すとの見方がある」と聯合通信は伝え、「2031年までに同級の国産建造を始めるべくプロジェクトが立ち上がっておrい、早ければ今年にもシステム開発が始まる」

 

だが疑問は残ったままだ。南朝鮮に原子力潜水艦が必要な理由とは何なのか。国の威厳が一つの答えだ。だが米オハイオ級は19千トンの大きさで建造費維持費も高額にもかかわらず、KSS-IIIのような大気非依存型艦よりノイズが大きいのが事実だ。

 

南朝鮮が対処すべき脅威は北朝鮮の核兵器だろう。弾道ミサイル、さらに大量の戦車部隊や特殊部隊が控え、さらにソウルを「火の海」に一変させる長距離砲やロケットが隠されている。原子力潜水艦ではこのいずれも阻止不可能だ。たとえ弾道ミサイルを搭載したとしても。

 

だが、南朝鮮は原子力潜水艦が抑止力を生むと考えている節がある。原潜は海洋奥深くに長期間潜み、北朝鮮がDMZを突破し侵攻してくれば、潜水艦からミサイルを発射し報復攻撃を加える。おそらくもっと重要なのは、米国に依存せず南朝鮮が独自に運用することだろう。

 

だがこの用途で原子力潜水艦が必要になる理由とは何か。イスラエルの通常型ドルフィン級潜水艦は核搭載巡航ミサイルを搭載しているといわれる。紅海から東地中海に展開すればイランも攻撃範囲に入る。南朝鮮海軍でも通常型潜水艦で日本海からピョンヤン攻撃は可能だ。

 

そうなると最終的な疑問はこれだ。北朝鮮を米韓の強力な軍事力で食い止められないのであれば、米国の核兵器体系でも抑止できないのなら、南朝鮮の原子力潜水艦一隻で抑止効果が期待できるはずがないのではないか。

 

北朝鮮は南の最大の敵ながら、潜在的な敵はこれ以外にもある。日本と南朝鮮の緊張はここにきて高まっており、日本の哨戒機と南朝鮮海軍の駆逐艦で発生した事件もあった。南朝鮮潜水艦の弾道ミサイルは日本に照準を合わせるのではないか。あるいは日本経済を圧迫すべく通商路を襲撃するのかもしれない。

 

両国間の軍事衝突が発生するとは思えないが、ミサイル搭載の南朝鮮原子力潜水艦が実現すれば、北朝鮮より日本にとって不愉快な装備になりそうだ。■

 

この記事は以下を再構成し人力翻訳でお送りしています。市況価格より2-3割安い翻訳をご入用の方はaviationbusiness2021@gmailまでご連絡ください。

 

Does South Korea Really Need Nuclear Submarines?

June 10, 2021  Topic: Submarines  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: SubmarinesMilitaryTechnologyWorldNuclear Submarines

by Michael Peck

 

Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.

This article first appeared in October 2019.

Image: U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Shaun Griffin


2018年3月31日土曜日

★韓国の原子力潜水艦建造は結局実現できないのではないか

オーストラリアで本命と言われていた日本のそうりゅう級を破り採用されたフランスDCNSのバラクーダがまた韓国の原子力潜水艦建造計画でふたたび出てきました。フランスは商売上手ですね。韓国がこのまま原子力潜水艦建造に向かう可能性が低いとのThe Driveの分析ですが、パッションだけで突っ走る韓国はその通りにならないかもしれません。でもそもそも韓国に原子力潜水艦が絶対不可欠とは思えないのですが。



Why Would The South Korean Navy Be Eyeing A Nuclear Submarine Capabilit韓国が原子力潜水艦に注目する理由は何か

A nuclear boat would offer significant additional capabilities for the service, but could come at a high cost, practically and politically.原子力潜水艦投入で韓国海軍の威力が高まるが、予算・政治面で代償は高くつく


DCNS
BY JOSEPH TREVITHICKMARCH 29, 2018
国海軍が原子力潜水艦取得の政治技術両面での可能性の検討に入った。北朝鮮が潜水艦弾道ミサイル開発をしており緊張が高まる中だが原子力潜水艦は技術的に複雑であり先に開発成功しても半島関係は緊張を増すばかりだ。
2017年10月に韓国海軍が委託したシンクタンクKorea Defense Network (KDN)が原子力潜水艦の基本設計を検討し始めた。最終報告書ではフランスのバラクーダ級を原型にした原子力潜水艦の開発を提言している。
「国産建造を提言したKDN報告書は慎重に精査している」と韓国海軍はDefene Newsに述べている。「原子力潜水艦建造案には微妙な内容がありとくに南北朝鮮頂上会談や米朝頂上会談が行われる中で慎重に扱う必要がある」
現時点の韓国海軍にはドイツの209型の派生型チャンボゴ級(9隻)がある。また9隻建造計画のソンウォニル級は7隻が完成しており、これもドイツの214型だ。両級はディーゼル電気推進艦だが後者には大気非依存型推進(AIP)が搭載され静粛化と長期間潜航が進んでいる。韓国海軍は9隻からなる三番目の級も要望しているが、新型艦が先に来るかもしれない。


USN
The South Korean Navy's submarine Jang Bogo.


原子力潜水艦がさらに低い聴音特性を実現するとはいえAIP搭載艦が静かなのは確かだ。各艦は214型より長く潜航可能で哨戒範囲を広げられる。
フランスのバラクーダ級をKDNが報告書に出発点としてふさわしいと取り上げられており、潜航時およそ5,300トンの規模だ。ソンウォニル級より大きく、開発中のチャンボゴ-III級より2,000トンも大きくなる。
増える空間は兵装の搭載に使い、米海軍のロサンジェルス級のように垂直発射管も備えるかもしれない。また大出力センサー類を搭載でき、韓国海軍には有力な沿岸のみならず内陸部の動向の情報収集手段になる。その場合、対象は北朝鮮だけでなく中国もカバーできるだろう。
未確認情報だがチャンボゴ-III級には弾道ミサイル・玄武Hyunmooを改装した装備が搭載されるといわれ、事実なら探知されることなく北朝鮮周辺海域を数か月航行できる重要な二次攻撃能力が韓国に実現する。
原子力潜水艦構想は北朝鮮が進める潜水艦発射弾道ミサイル能力開発から生れた。長期間の哨戒能力が監視、敵潜水艦追尾には最適だ。北朝鮮には沿岸用小型潜水艦が多数あり有事には特殊作戦部隊を韓国へ運び大きな脅威となる。
北朝鮮以外に韓国は中国やロシアへも対抗の必要がある。両国は東アジアで軍事行動を増強しており、特に中国は原子力、通常型双方で潜水艦部隊を増強中だ。また水中聴音能力も伸ばしている。ロシアも潜水艦部隊の再活性化を狙っている。
こうした状況をもとにすれば韓国が新型国産原子力潜水艦の建造に熱心なのは当然と言える。今回に先立ち2003年にも極秘調査が行われていた。
「2003年の検討では国産原子力潜水艦の基本設計まで完成し、小型原子炉の構想まで検討していました」と退役大佐Moo Keun-sikが明かす。当時「326計画」と呼ばれた構想をまとめていた。「韓国には自国で原子力潜水艦を設計開発する十分な力があります」
KDNがフランスのバラクーダ級とほぼ同じ艦の建造を提言したのは当時の検討結果を反映しているようだ。だが韓国に必要な知識と産業力があるかは別にしても、ここまで野心的な事業を実施する予算と時間が不足しているのではないか。
今日の潜水艦は複雑かつ建造が非常に高価で、原子力潜水艦はさらにその上を行く。少なくとも一号艦建造には10年かかり、各艦が作戦投入可能となるのに20年かかってもおかしくない。韓国政府は建造単価を10億ドルと試算しているといわれるが、あまりにも楽観視しすぎだ。フランスのバラクーダ級は16億ドルといわれ韓国では不慣れな建造現場で原子力潜水艦を一から国産建造するためこれ以上になるのは確実だ。
韓国の2017年度国防予算は340億ドル程度といわれ、国家予算の1割を占め、年率4パーセント増とされていた。そこに一隻10億ドルの潜水艦を建造すれば国防予算の3パーセントに相当する。
国防予算は増額されそうだがインフレを考慮すれば新型潜水艦は韓国が調達を進めるF-35共用打撃戦闘機やRQ-4グローバルホーク、早期警戒衛星、大型水上艦、巡航・弾道ミサイル各種他と予算を競い合うことになる。今年3月28日にロッキード・マーティンが韓国向けF-35Aの一号機をロールアウトしたが、韓国は40機調達の予定でF-35B取得にも関心を示しており、独島級揚陸強襲艦へ搭載したいとする。
だが最大の障害は政治で、韓国は核非拡散条約に調印しており、核分裂物質の濃縮を一定以上行わない取り決めを米国としている。原子力潜水艦の原子炉には高度能力核燃料が必要で、核兵器製造とほぼ同じ程度と言われる。これは小型装置で十分な出力を得るためだ。
このような原子炉を搭載した原子力潜水艦を建造すれば米国との取り決めに違反する。核物質濃縮やその他核施設を追求すれば高度濃縮核物質の入手に繋がり国際社会からも韓国は批判対象となり、NPT違反ともいわれそうだ。ここに韓国が326計画検討を秘密裏にした理由があり、またいったん知られるとすぐに放棄した理由もある。米国とともに国際原子力エネルギー機関が目を光らせたためだ。
シンクタンクKDNがバラクーダ級をモデルにする提言としたのは同級が低濃縮燃料を使う原子炉を搭載しているため濃縮問題を回避できるからだ。韓国は民生用原子力発電所で同様の燃料を使用中だ。
ただし北朝鮮は韓国が自国に脅威となる「核武装化」を進めていると非難し自国の核兵器開発を正当化するだろう。また北朝鮮宣伝機関の良い材料となり米国とその「傀儡」の韓国こそ核で侵略を狙っていると喧伝するはずだ。
韓国が緊張緩和を狙っていることを考慮する必要がある。北朝鮮指導者は歴史的な韓国大統領文在寅と韓国で2018年4月に直接会談する予定で、北朝鮮首脳が韓国国内に入るのははじめてとなる。
またキムとドナルド・トランプ大統領の会談にも影響が出る可能性がある。そうなると米国も韓国が原子力潜水艦の実現を目指すのは政治的にリスクが大きいと判断し、計画の放棄を求めてくるかもしれない。
トランプ政権としては韓国との合意内容の再交渉に前向きな姿勢を示しており、韓国の弾道ミサイルでの最大射程と性能の制限を再検討するともいわれる。トランプ政権が北朝鮮の脅威を理由に核燃料濃縮問題で緩和したり北朝鮮に核兵器放棄を迫る取引材料に使う可能性もある。
だがそもそも韓国がこうした障害を乗り切る必要性が見えてこない。フランスは原子力を使わないAIP型バラクーダ級を輸出用に開発しおわっており、ほぼ原子力艦に匹敵する性能があるといわれる。オーストラリアがローンチカスタマーになる。この艦なら韓国の要求内容を満たすことが可能で韓国もまずジャンボゴ-III級を優先して整備するようだ。
韓国は米国の核抑止力の傘の下にあるため、同国が二次攻撃力を非核手段で整備して北朝鮮に対する抑止力を限定的ながら整備する決定になるのかは興味深いところだ。韓国政府は北朝鮮攻撃を受ければ通常兵器による報復攻撃能力を広範に行使する用意があると公言しているが、韓国にはすでに潜水艦から対地攻撃巡航ミサイルを発射する能力がある。
もちろん北朝鮮に積極的に核兵器を放棄する兆候はなくむしろ国内体制維持にも核兵器は必要に思える。韓国から見れば核兵器への備えとして原子力潜水艦を残存可能なミサイル発射台として整備すれば朝鮮半島情勢が悪化した場合でも安心できるというのだろう。
北朝鮮の核兵器整備が進んでいることから韓国も北朝鮮と同様にNPTを脱退しても自国の核武装を再考せざるを得ないと噂する向きがある。いったん決定すれば韓国も急速に核武装を実現できるとの意見もある。
.総合すると原子力潜水艦で韓国海軍の作戦能力が大幅に拡充されるが、本当に同国が予算面でも政治面でも高額な装備開発に前向きになるかはっきりしない。■

Contact the author: jtrevithickpr@gmail.com

2017年3月14日火曜日

速報 日米韓ミサイル防衛海軍演習が本日から15日にかけて現在展開中



以下米海軍第7艦隊司令部が発表した声明文です。




U.S., Japan and Korea navies conduct trilateral missile defense informational link exercise

By Commander, U.S. Seventh Fleet Public Affairs Office | March 13, 2017

USS John Paul Jones (DDG 53), USS Shoup (DDG 86), JS Chokai (DDG 176), ROKS Sejung The Great (DDG 991) and ROKS Gang Gam Chan (DDH 979) steam in formation during Exercise Pacific Dragon 2016. Pacific Dragon is a trilateral Ballistic Missile Defense tracking event between the U.S. Navy, Japan Maritime Self Defense Force and Republic of Korea Navy. The biennial exercise focuses on improving tactical and technical coordination among its participants, including the detection, tracing and reporting of ballistic targets.
USSジョン・ポール・ジョーンズ (DDG 53), USSシャウプ (DDG 86), JS ちょうかいi (DDG 176), ROKS 世宗大王 (DDG 991) and ROKS 姜邯贊 (DDH 979) がExercise Pacific Dragon 2016で隊列を組んで航行中している。Pacific Dragonは三カ国による弾道ミサイル防衛演習で二年毎に開催され戦術面、技術面の各国間調整が主眼。
YOKOSUKA, Japan --
米海軍、韓国海軍、海上自衛隊の艦船が共同ミサイル警告情報連携演習(LINKEX)は3月14日から15日にかけて朝鮮半島東方および日本北方の海域で展開し、通信・相互運用能力および連携体制を米第七艦隊責任区域内で確認する。
演習では戦術データ・リンクにより通信情報その他データを各艦の間で共有する。戦術能力の向上、自艦防御態勢の向上、連携関係の強化、ならびに状況認識能力の引き上げを狙う。  
米側からUSSカーティス・ウィルバー(DDG 54)、韓国海軍世宗大王(DDG-991)、自衛隊からJSきりしま(DDG-174)が参加する。
米第7艦隊は米国の権益を支えるべくインドアジア太平洋地区を作戦海域とし前方配備海軍作戦を展開する。米海軍艦隊として最大規模の第7艦隊はその他35カ国と協力して海洋パートナーシップを構築しており、海洋安全保障を維持し、地域の安定を確保し紛争を未然に防いでいる。■



2016年4月5日火曜日

韓国>中古S-3ヴァイキング購入が他国向け販売の口火になると期待するロッキード・マーティン



韓国が導入を考えているのは米海軍が退役させた機体の再就役ですね。電子装備などは交換するとしても過酷な海上任務に長年投入されてきた機体の寿命がどのくらい残っているのかわかりません。安物買いの銭失いにならないことを祈るばかりです。
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FIDAE 2016: South Korea to pave way for further S-3 Viking sales

Gareth Jennings, Santiago - IHS Jane's Navy International
30 March 2016
  
Jamie Hunter

ロッキード・マーティンは韓国向けS-3ヴァイキング対潜哨戒機の売却が成立すれば少なくとも他3か国にも同型機の営業で道が開けると3月30日IHS Jane'sに述べた。
  1. チリのサンチアゴで開催されたFIDAE航空ショーにて同社の哨戒機事業担当役員クレイ・ファーンナウは韓国海軍向け同機売却の承認が数か月以内に下りるとみており、韓国以外にアジアで二か国(うちひとつはヴィエトナムだという)、南アメリカ一か国への売却に道が開くと語っている。
  2. 「他三カ国と商談中です。韓国案件が承認を受ければ、同機販売に弾みがつきます」と語り、同機に関心を示す各国が韓国の商談成立を待っていることを示した。
  3. 米海軍はS-3の運用を2009年に停止しているが、2013年に双発ターボファンの同機へ韓国が関心を示しその存在が再び脚光を集めた。韓国はP-3の補助として20機ほどの導入を検討している。
  4. 韓国国防調達庁(DAPA)は調達五か年計画でS-3を12機海軍へ導入する案を持ち、オプションで8機追加を想定している。。同案は国防省に提出され6月の承認を待つ。原案では韓国国内企業の参画を期待している。想定通りに進展すれば2018年に契約調印、初期作戦能力の確立を2020年と見ている。■


2014年5月11日日曜日

韓国、北朝鮮、第七艦隊の戦力バランスはどうなっているか


日本の安全保障を考えると休火山のような朝鮮半島の情勢にはいつも関心を示しておく必要があります。今回は関連する三カ国の海軍兵力を海軍協会が紹介していますのでお伝えします。


Two Koreas, Three Navies

USNI News By: Kyle Mizokami
Published: May 8, 2014 3:25 PM
Updated: May 8, 2014 3:25 PM


朝鮮戦争(1950年―53年)は休戦協定により終結したが、平和条約は結ばれておらず、三カ国(韓国、北朝鮮、米国)は技術的に戦闘状態にある。朝鮮半島であらたな軍事対立が発生すれば、再活性化された韓国海軍、老朽化が進み弱体化した北朝鮮海軍、に加わり弾道ミサイル防衛能力を有する米海軍が関与することになる。

  1. 朝鮮半島をめぐる海軍力の均衡は韓国と米国に移っており、韓国の産業基盤により大型の建艦が次々に実現している。同時に北朝鮮は経済衰退により200トン以上の艦船は建造不可能になっている。

  1. 南北朝鮮のめざす目標は異なっており、韓国経済は海上交通路の確保が不可欠で、その結果韓国海軍 (ROKN)は大型ハイテク艦船で海洋海軍をめざしている。一方、ずっと小規模な北朝鮮の人民軍海軍(KPN)のミッションは、現政権を外部からの攻撃より防衛することだ。そのため、北朝鮮海軍は小型かつローテクの警備艇を多数建造して、南側に非対称戦を求めている。

  1. その背景に巨大な存在を示すのが米第七艦隊であり、その威力は南北朝鮮の規模をはるかに超えている。日本に本拠地を構える同艦隊は空と海で戦力を投射し、地域大で弾道ミサイル防衛を提供する能力を有している。

韓国海軍(ROKN)
Naval jack of Republic of Korea Navy
Naval jack of Republic of Korea Navy

  1. 韓国海軍は規模を拡大中で、国内の造船産業を活用し小型戦闘艦艇から大型ヘリコプター搭載艦まで進化してきた。ROKNは海軍戦力として重要な存在になっており、朝鮮半島を超えてより広範なアジア太平洋にも戦力を投射する能力を有しているが、有事の際は船舶航路の確保、防空、機雷対応、後方確保ならびに韓国海兵隊の支援が任務となろう。

  1. ROKNの規模は人員68千名、艦船120隻、航空機70機で、隻数では北朝鮮を下回るが、トン数では上だ。組織構造は米海軍と類似し、艦隊三つを作戦部長が統括している。長距離、国外作戦運用は新設の戦略作戦行動艦隊Strategic Maneuver Fleetが行う。

  1. 以前は旧米海軍アレン・M・サムナー級、ギアリング級の駆逐艦を運用していた。国産水上艦の一号は蔚山級フリゲートで1980年に進水している。その後の韓国海軍艦艇はすべて国産艦船。

ROKS Sejong the Great (DDG-991) in 2012. US Navy Photo
ROKS Sejong the Great (DDG-991) in 2012. US Navy Photo

  1. 戦力構成は駆逐艦12隻(うち三隻は世宗大王Sejong the Great 級誘導ミサイル駆逐艦)であり、世宗大王級にはSPY-1Dイージスレーダーが搭載されており、ほぼ米国のアーレ―・バーク級に匹敵し、ハープーンまたはヘソン対艦ミサイル8発、発達型シースパローおよびSM-2MR防空ミサイル発射セル128、5インチ砲1、ゴールキーパー近接防衛兵器1、ローリングエアフレームミサイルシステム1、324mm魚雷発射管6およびスーパーリンクスASWヘリ2機を搭載する。

  1. ただし各艦はイージス弾道ミサイル防衛(BMD)能力を付与せずに建造されているので、弾道ミサイルの追尾はできても交戦は不可能。北朝鮮のミサイル脅威を考えるとこの点は実に興味深い。

  1. 次に汎用駆逐艦忠武公李舜臣 ROKS Chungmugong Yi Sun-Shin 級6隻があり、ヘソンミサイル8発、SM-2MRミサイル用垂直発射セル32、5インチ砲1、ゴールキーパーCIWS1、RAMシステム1、魚雷発射管6およびスーパーリンクスASWヘリ2機を搭載する。さらにイージスレーダー搭載駆逐艦6隻を2019年から2026年にかけて建造する。

  1. これより旧型の広開土大王Gwanggaeto the Great 級駆逐艦は三隻で終了している。初の国産駆逐艦としてシースパロー防空ミサイル16発、ハープーンミサイル8発、Oto-メララ5インチ砲1、ゲイトキーパー1、魚雷発射管6およびスーパーリンクスASWヘリ2機を搭載する。

Republic of Korea Ulsan-class frigate ROKS Seoul (FF-952) in 2011. US Navy Photo
Republic of Korea Ulsan-class frigate ROKS Seoul (FF-952) in 2011. US Navy Photo


  1. フリゲート戦力には蔚山Ulsan級9隻がある。1980年代から90年代にかけて建造された同級は武装は砲中心で76mmのOto-メララ方とハープーン8発、40mm連装砲4、30mm連装砲3を搭載。蔚山級は仁川Inchon級で交替される予定。建造中の仁川は2,000トンで広開土大王Gwanggaeto the Great 級駆逐艦の武装からシースパロー発射装備を省いたものを搭載する。

  1. 一時は多数を誇ったコルベット艦は退役の方向にある。浦項Pohang級21隻は1985年から建造が始まった。排水量950トンの同艦にはエクゾセあるいはハープーン2発、76mm砲1、30mm連装砲2、魚雷発射管6、機雷敷設2条を搭載。同級は漸次退役あるいは海外売却される。

  1. 大型警備艇としてチャムスリChamsuri (Dolphin) 級74隻があり、各113トンで34ノット走行が可能、40mmと20mm砲を搭載する。後継はコムスクドリGumdoksuri級20隻で440トンに拡大され、ヘソン対艦ミサイル4発、76mm砲1、40mm連装砲2を搭載。

  1. 1990年代から9隻のドイツ製タイプ209潜水艦部隊を維持している。排水量1,100トンの同級は潜水時11ノット、浮上時22ノット航行が可能で、50日間の作戦が可能。SUT Mod.2魚雷または潜水艦発射パープーンを搭載する。

ROKN Type-209 submarine
ROKN Type-209 submarine
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  1. これにタイプ214潜水艦9隻が加わる。ドイツによる技術援助のもと韓国が建造した同級は209級より70パーセント大型化しているが、性能はほぼ同一。214級には非大気依存型推進を搭載。インドネシアが建造元の大宇に三隻を発注しており、2018年に引き渡し予定だ。

  1. 上陸作戦能力は独島級Dokdoヘリコプター空母三隻の建造で大幅に戦力増強される。独島級は排水量13,200トンで全通型飛行甲板、昇降機2、ドック型格納庫を有する。UH-60 ブラックホークヘリ10機と国産LSF-IIホバークラフト2隻を運用する。(後者は米海軍のLCACと外観上同一)兵員は700名、トラック10台、戦車6両、AAV6両、榴弾砲3を搭載可能。このうち完成したのは独島だけで、二番艦は予算計上済み、三番艦は計画中だ。

  1. 韓国海兵隊(ROKMC)は兵員2万5千名、二個師団と一個旅団編成だ。師団の構成は米海兵隊に類似し、歩兵連隊3、砲兵連隊1、戦車大隊、強襲上陸大隊1で成り立つ。AAV7A1強襲上陸車両124台、K1A1戦車50両、国産K-9ととKH-179榴弾砲が支援する。

北朝鮮人民軍海軍(KPN)

  1. 北朝鮮人民軍海軍(KPN)は約46千名420隻体制で、沿岸用潜水艦から港湾警備艇まで保有している。韓国海軍との最大の相違点はKPNは沿岸海軍の域を脱していないことだ。
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  1. 司令部はピョンヤンにあり、黄海艦隊(西海岸)と東海艦隊(東海岸)を統括している。有事の際は上陸作戦、情報集活動の支援、機雷敷設、沿岸防衛、後方治安維持の任務が与えられよう。

  1. 経済が不振な北朝鮮は海軍機能を小型警備艇、ミニ潜水艦、情報収集艦の三つに集約している。経済衰退で北朝鮮の海軍は従来の価値観では弱体化しているが、中核任務の遂行では今でも能力を保持しているといえる。
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  1. 北朝鮮は韓国海軍に対し、非対称的作戦を実行することで自国海軍の能力を最大限活用している。艦船は小口径銃砲やロケット砲で武装してあるが、小規模の戦隊で韓国海軍との軍事衝突を起こしている。韓国の天安Cheonan がミニ潜水艦により沈没した2010年の事件がこの例である。韓国の大型艦はKPNに有効に対応できなくなっている。

Soviet OSA-1 missile boat similar to the type used by the North Korean navy
Soviet OSA-1 missile boat similar to the type used by the North Korean navy
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  1. 小型艦艇ではまずソジュSoju級誘導ミサイル戦闘艇10隻がある。これは1950年代のソ連製Osa-1のコピーで、SS-N-2Aスティックス対艦ミサイル4発を搭載する。200トン超の哨戒艇は10隻に満たず、多くは40トンから80トンの範囲だ。武装には85mm砲、57mmないし30mm砲、重機関銃、BM-21ロケット発射装置を対艦用途に改造したものもある。大部分が30年以上前の装備で昨年だけで2隻を演習中に喪失したといわれる。

  1. 潜水艦はミニ潜水艦(米情報部のコードネームはサンオ((サメ))Sang-o級)が中心。同級は295トンで水上7ノット潜水時8ノットで航行可能。魚雷4本と機雷16個を搭載し、国家情報機関の偵察局工作員の侵入に使われている。

Sang-o class North Korean submarine in 1996
Sang-o class North Korean submarine in 1996

  1. そのうち一隻が1996年の光陵事件 “Gangneung incident” に関与し、工作員15名が韓国江原道江陵に上陸している。艦は海岸近くで座礁して、工作員は乗員11名を殺害し陸路北朝鮮に帰還しようとした。13名が韓国軍の追跡を受けて射殺され、1名捕獲、もう一人は北朝鮮へ帰国したものと思われる。

  1. サンオ型潜水艦は38隻配備されている。新型は改良を加えサンオII級と呼ばれ、2011年に配備されている。船体が若干延長されており、潜航時13ノットで航行できる。

  1. 10隻のヨノYono-級ミニ潜水艦は潜水時130トンで2010年の韓国海軍天安の沈没はこの級の潜水艦がCHT-02D大型聴音型ホーミング魚雷を発射したためとみられる。

  1. 漁船形状の「母船」が複数型あり、韓国と日本を対象とした極秘任務に投入されている。総数は不明だが、12隻が清津を母港としており、日本向け工作活動に関与している。総数は30隻を超えているとみられる。

  1. この母船から運用される各種装置にはダイバー運搬用の半潜水型や潜水艇がある。大部分は国内調達で対レーダー用のステルス塗装がされているものがある。母船が付近まで同行し、侵入用の機材が韓国あるいは日本の領海に入るまで見守る。
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  1. 2001年12月には身元不明の漁船が日本の情報機関により探知され、北朝鮮工作船である疑いが出た。海上保安庁が追跡し、警告射撃をしたところ銃撃戦となり、北朝鮮船が火災を発生した。乗組員15名全員が死亡したとみられ、日本の海上保安官3名が負傷した。

Kongbang hovercraft
Kongbang hovercraft

  1. 最後にコンバンII・IIKongbang II/III I級ホバークラフトがある。40名の兵員を40ノットから50ノットで輸送できる。北朝鮮が保有する艦艇では最新型となる同級にはレーダー、ガトリング銃、対空ミサイルが搭載されている。一部には対艦巡航ミサイルや57mm砲や30mm自動機関砲も搭載されている。北朝鮮はホバークラフト130隻を保有しており、人民軍年鑑では大多数がコンバンIIないしIII級であるとしている。

米第七艦隊
7th fleet logo

  1. 第七艦隊は東アジアにおける合衆国の象徴であり、横須賀に司令部を置き空母打撃集団1をUSSジョージ・ワシントンおよび遠征打撃集団(ESG)1を擁するUSSボノム・リシャールを中心に構成している。機雷対抗部隊に水雷艇6隻があり、グアム潜水艦部隊の原子力攻撃潜水艦3隻を指揮している。

  1. 朝鮮半島で有事発生の際に第七艦隊は米韓地上軍へ航空支援を提供するとともに、制空権確立の上、対地攻撃を行うだろう。上陸部隊は沖縄駐留の海兵隊部隊を前線後方に揚陸させるだろう。原子力潜水艦は情報収集任務とともに巡航ミサイル攻撃を行うだろう。

  1. 北朝鮮および中国の弾道ミサイルは米韓両軍にとってアジア全域にわたる脅威となっており、そのため弾道ミサイル防衛(BMD)が第七艦隊の任務で高い優先順位を与えられている。韓国にはBMD能力を有する艦船はないが、米太平洋艦隊全体では16隻がBMD対応可能だ。また横須賀に配備中の第七艦隊艦艇では大部分がBMD能力を有している。巡洋艦USSシャイロー、駆逐艦ステサム、カーティス・ウィルバー、ジョン・S・マケイン、フィッツジェラルド、ラッセンの各艦だ。

  1. 今年4月にはチャック・ヘイゲル国防長官からさらに2隻のBMD対応艦艇を横須賀へ2017年までに前方配備する。■