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2024年4月1日月曜日

中国軍事費の拡大が止まらない。米国予算はインフレを相殺できず実質減少しており、ギャップが緊張を高めかねない。中国の軍事費に透明性が欠けているのはいうまでもありませんが。

 経済力が軍事力の源泉であることは明らかですが、中国に勝つにはこちら側の経済も強力でなければならないし、均衡予算の神話に未だに取り憑かれている勢力は退場していただき、中国のインチキ数字に負けない強力な予算を手当していかないといけませんね。とはいえ、公務員や解放軍隊員への給与支払いも遅れているとの報道もあり、一体これだけの予算はどう使われているのかわからない側面もあります。若年層の失業率の高さなど社会不安を招きかねない要素もあり、中共が不満のはけ口として軍事冒険に踏み切らない保証もありません。1945記事からのご紹介です。

中国の国防予算の軌跡はただひとつ: 上昇

中国との競争に打ち勝つため、議会は予算上限を撤廃し、軍に実質的な予算増を提供すべきだ。今、軍に十分な予算を提供できなければ、将来の請求書はさらに高額になり、中国が優位に立ち続ける。

備増強が進む中、北京は最近、2024年度国防予算を7.2%増額すると発表した。この潤沢な軍事予算の増額は、中国が毎年多額の国防費を増額してきた20年来の連鎖の中で最新のもので、アメリカの軍事費削減の手かせ足かせをはるかにしのぐものだ。

国防総省は中国を脅威とみなしているが、バイデン大統領の2025年予算要求は、以前の債務上限取り決めで交渉された歳出制限を上限としており、実質的な成長はない。ホワイトハウスの最新国防予算は、8,498億ドルで、昨年より78億ドル(1%)増である。予算管理局が2025年のインフレ率を2.2%と予測していることを考えると、このいわゆる「成長」は米軍にとっては単純明快な削減だ。

過去10年間だけで、中国の国防費は2014年の1320億ドルから2024年には2340億ドルへと50%以上も増加している。同じ10年間で、中国の国防予算は年平均約8%増加と、インフレ率をはるかに超えている。

対照的に、国防総省の基本予算は同じ期間に年平均約4%の伸びを示している。過去10年間は、戦争の最盛期における海外活動のための資金や、緊急支出資金がさらなる伸びをもたらしたが、近年の国防予算は、猛烈なインフレを相殺することはほとんどできていない。さらに、国防予算の増額は散発的で、年によってばらつきがあるため、国防総省や軍需産業は先の見通しを立てることが難しくなっている。

平均すると、中国の軍事予算は米国の国防予算のほぼ2倍のペースで増加している。中国は軍事費の総額を透明化しておらず、北京の軍事予算の実際の規模は公表されているよりはるかに大きい可能性が高いため、この見積もりでさえ十分とは言えない。国防総省は、中国の軍事費は「公式発表よりも大幅に多い可能性がある」と断言している。

毎年の国防予算の継続的な増加も、中国の長期的な軍事予算の増加に寄与し続けている。中国の軍事費の増加を過去10年間を通して前年比で複利計算すると、中国の支出は国防予算のトップラインで231%の複利成長を見ている。一方、同じ計算をアメリカの国防費に当てはめると、164%になる。複利成長率で67%という大きな開きがあることは、国防総省がインフレ率を上回る予算増を散発的に受けているにもかかわらず、中国の一貫した投資がより大きな長期的利益を生み出していることを示している。

一方、米国の軍事計画担当者は、2011年予算統制法の遺産によって生じた資金不足の影響を考慮する中で、中国に遅れをとっている。超党派の取引によって国防総省に課された資金削減の一部は相殺されたものの、2018年国家防衛戦略委員会は、2011年から2019年の間に課された資金制約の結果、当時のロバート・ゲイツ国防長官の下で予想された成長レベルを下回り、国防基本予算への支出削減額が5,390億ドルに上ることを明らかにした。

この数字には、国防総省が長期の継続決議や政府機関の閉鎖によって失った数十億ドルの購買力すら含まれていない。国防総省が過去15年間のうちほぼ5年間を支出凍結の下で過ごし、その間に新しい技術や装備を進歩させられなかったことを考えれば、これは何十億もの資金が失われ、スタートとストップのタイミングがずれていることになり、国防総省は「1年のうち何カ月も片手を後ろに縛られた状態で活動する」状態を余儀なくされ続けていることになる。

こうした目に見えないが重要な予算のわだかまりは、1980年代のレーガンによる軍備増強で生き続けている米軍が老朽化と縮小を続けるにつれて、より高くつき続ける。空軍の機体は平均で30年以上になっており、海軍艦艇の多くは急速に耐用年数を迎えようとしている。実質的な成長を伴わない予算では、しばしば退役が調達を上回り、結果として戦力が縮小する。

来年度予算も同様で、全軍で減少傾向に拍車がかかるだろう。予算では、来年度の新戦力は2006年以来最低のわずか6隻で、19隻の退役を要求している。空軍の戦闘機調達は削減され、次世代戦闘機の購入はさらに遠い将来へと押しやられる一方、老朽化した航空機の2倍近い退役が再び要求されている。陸軍は、最終兵力の縮小と並行して、既存の車両の近代化の縮小や将来の代替機への支出の減少など、地上車両調達全体にわたって削減が見られる。

これらの決定は、直接的には予算の制約に起因しているが、中国との競争に永続的な影響を及ぼすだろう。

10年前、中国はアメリカを抜いて世界最大の海軍となり、その艦隊は370隻を超えると推定されている。中国海軍は昨年30隻増加し、現在は近代的な空母に加え、近代的な巡洋艦や駆逐艦も保有している。さらに、中国の軍事力に関する国防総省の最新報告書によれば、中国は現在、推定1900機の戦闘機を空軍に配備しており、ますます近代化され、能力の高い地上部隊を擁している。

軍事費の堅調で継続的な伸びのおかげもあり、中国は極超音速ミサイルの開発など、軍事能力の多くの重要な分野で、米国を引き離している。国家防衛戦略によれば、中国は「今後数十年間、最も重要な戦略的競争相手」でありながら、中国は急成長を続け、予算面でもハードパワー面でも優位に立ち続けている。

米軍の支出は中国よりわずかに多いかもしれないが、インフレ率を上回る実質的な伸びを米軍に提供できない以上、米軍の戦闘力は削られ続け、新しい装備や技術、態勢に必要な資金はさらに減少する。

中国との競争に打ち勝つため、議会は予算上限を撤廃し、軍に実質的な予算増を提供すべきである。今、軍に十分な資金を提供できなければ、将来の請求書はより高額になり、中国が優位に立ち続けることになる。■

China’s Defense Budget Has Only One Trajectory: Up - 19FortyFive

By

Mackenzie Eaglen


2022年3月18日金曜日

中国の国防予算増額を正当化する環球時報の論調をごらんください。

 China's defense budget Graphic: Deng Zijun/GT

China's defense budget Graphic: Deng Zijun/GT

 

おなじみ環球時報の論調です。ロシアと同類で、自分が全て正しいとする世界観のため、中国の主張は世界に説得力がありませんが、事実を認めるわけに行かず、ますます唯我独尊の世界に入っていくのでしょう。

 

ご注意 以下はCCPに近い環球時報英語版の記事からのご紹介ですが、当ブログの意見を代表するものではありません。

 

国が2022年国防予算を7.1%増にするのは、主権、領土保全、安全保障、発展の利益を守り、世界に安全を提供するのが目的で抑制された動きだと、専門家は述べ、2019年以来最速の増加の軍事費計画で、GDP成長目標を上回る増加と誇張する西側メディアの一方的解釈に反論している。

 

2022年国防予算を総額1兆4500億元(約2300億ドル)とする案は、土曜日に第13期全国人民代表大会(NPC)第5回会議が開幕した際に発表された予算報告書草案で明らかにされた。

 

中国は国防予算増を7年連続で一桁に抑えていることは認めながらも、ロイターやブルームバーグなど海外メディアは、2019年の7.5%以来の速いペースで、経済成長目標の約5.5%を上回る増加だと誇張している。

 

欧米メディアは、数字だけに注目して、中国の軍事費増加を悪者にし、「中国軍事脅威論」を誇張していると、環球時報が取材した専門家は語った。

 

これまでの中国の国防予算を振り返れば、2016年以降の成長率はCOVID-19流行前は常に7%以上であり、2022年の7.1%は2016年から2022年の平均値7.2%より低い。

 

2020年と2021年に成長率が7%を下回った大きな理由は、COVID-19大流行と経済への影響だとアナリストは述べ、7%前後の軍事費増加は正常で安定的であり、7.1%は過去3年間で最高だが、驚くほどのことではないとしている。

 

国防予算のGDPとの関係について外部専門家は、中国のGDPは2021年に8.1%成長し、114兆3700億元に達したと指摘した。中国が今年のGDP成長率目標5.5%を達成すれば、2022年のGDPは約120兆6600億元となる。中国は国防費に1兆4500億元を予定しているため、国防予算はGDP比で1.2%にしかならず、ここ数年の1.3%より低い。

 

これに対し、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)のデータによると、2020年の軍事費/GDP比の世界平均は2.4%近くと、中国の2倍の水準に達している。

 

中国の4倍近くを費やす米国の数値は、SIPRIによると3.7%である。ロイター通信の2月17日記事では、ジョー・バイデン米大統領は米議会に対し、来年度の国防予算に7700億ドル超を要請する見込みとある。

 

そのため、中国の2022年の国防予算増額は決して高くなく、非常に抑制的と考えるべきだと、中国の軍事専門家であるFu Qianshao氏は環球時報に語った。

 

中国の国防予算増額に疑問を持つ向きは、まず米国の予算を疑うべきだとFuは指摘した。

 

中国の軍事費のGDP比が低いことから、中国は経済発展と生活に重点を置いているのは明白とFuは述べ、経済発展の安定には、安定した安全保障環境が必要であり、強力な国防が必要である、と指摘した。

 

1970年代後半に改革開放が始まった当時、中国は軍事的発展よりも経済的発展を優先させ、経済が本格的に発展した時でさえ、国防予算の増加は停滞していたと、当時人民解放軍に所属していた退役将校が日曜日に匿名希望で環球時報に語っている。

 

今日の軍事開発は失われたものを補うものであり、中国の包括的な発展状況に見合った軍事力を持つことは、国の発展の果実を守るため不可欠であると、同退役将校は述べた。

 

中国には国防予算を増やす余地があるが、米国、日本、オーストラリアなどの国が軍事費を大幅に引き上げても、中国は軍拡競争を希求していない。中国の目的は、他国とは異なり、国家の主権、安全、発展の利益を守ることにあるからだ、と軍事専門家でテレビ解説者のSong Zhongpingは述べた。

 

 

適切かつ合理的 

 

2021年、中国は国防と軍の強化で大きく前進させる、第14次5カ年計画(2021-2025)で良いスタートを切った。2022年、中国は2027年のPLA100周年に向けた目標に取り組み、軍事訓練と戦闘準備を強化し、軍事対応を柔軟に行い、中国の主権、安全、発展の利益を守ると、全国代表大会開会で政府工作報告書が次のように述べている。

 

中国は、兵站と資産管理システムの近代化、近代的な兵器と装備の管理システムの構築、国防と軍の改革の継続、防衛科学技術のイノベーションの強化、新時代の有能な人材の育成による軍強化戦略の実施、法と厳しい規律に基づく軍の運営、質の高い軍の発展の促進、防衛科学技術および産業の配置改善をより速く進めるべきだ。

 

軍事専門家Wei Dongxuは、中国が近代戦力の発展を目指し、また、一部の外部勢力が絶えず軍事展開を強化し、中国付近をかき回している中で、中国の軍事予算の増加は適切かつ妥当であると環球時報に語っている。

 

米軍の航空機や船舶の挑発的な動き、中国の目前での大規模な軍事訓練、中国を軍事的に包囲する同盟国や協力国の結集、台湾の分離主義勢力を支援する台湾島への武器販売が含まれると指摘した。

 

一部の欧米メディア報道では、国防予算増額をウクライナ危機と関連付けているが、これはナンセンスだと、別の軍事専門家が匿名を条件に環球時報に語っている。

 

ドイツが最近国防費を引き上げたように、紛争に対する心配はあるが、ロシアとウクライナの紛争は数日前に始まったばかりであり、中国の国防予算は数ヶ月前から立案された可能性が高いと、同専門家は述べた。

 

中国の国防費は、国連平和維持活動への参加、船舶護衛、人道支援、災害救援活動などの安全保障策の提供にも使われており、世界平和と地域の安定にしっかり貢献していると指摘した。■

 

China's defense budget growth justified as restrained amid foreign media hype - Global Times

By Liu Xuanzun

Published: Mar 06, 2022 08:10 PM Updated: Mar 06, 2022 10:47 PM


2021年11月5日金曜日

中国国防費はどこまで伸びる?公表数字はそのまま受け入れられず実態はGDP比1.7%相当か。米国に比べ低い水準がこのまま維持できるとは思えない。日本の防衛費議論にも影響が出るはず。

 

 


Chinese Military SpendingImage: Creative Commons.

Image: Creative Commons.

 

 

国は軍事費をどこまで伸ばすつもりなのかジェイムズ・ローレンスソン、チェンシン・ピン両名がAUKUSにからめ問いかけている。AUKUSは中国の軍事脅威を理由に戦略方向性の変更をねらったものだ。

 

 

直近のDoD中国軍事力レポートは国防費を2,090億ドルとしており、GDP比で1.3%にあたる。ただし、報告書では数字には裏があり実際の予算額はこの1.1倍から2倍の間としている。

 

ストックホルム国際平和研究所は中国国防支出をGDP比1.7%とみている。米国は絶対額、GDP比ともに中国を上回る規模の国防費となっている。軍事アナリスト陣からは米国にはグローバル規模での軍事行動がある一方、中国は今のところこの任務がなく、米軍の実戦部隊の規模も供用年数も高いことで差は説明できるとする。

 

とはいえ次の疑問が残る。「現状を変えようとする勢力はどこまで国防支出するものなのか」

 

急激に変化する国際システムに深入りしようとする国が現状に満足する国より防衛支出を増やすのは当然ともいえる。両大戦間の日本が好例だ。日本の経済規模に対し米国は5倍の差があったが、日本は一貫して米国に匹敵する軍事予算を計上した。米国は太平洋大西洋でプレゼンスを維持する必要があったが、日本は太平洋に専念できた。

 

日本は現状を大幅に変える勢力に写り実際に支出を続けた。だがソ連の軍事予算支出を見ると、GDP比15%を1980年代まで続けていた。ただし、USSRは1980年代に現状変化を求めず、自国防衛に高い警戒態勢を維持していた。現在の中国は日本ともソ連とも異なる。中国の軍事力に目を見張るものがあるが、今のところ現状を変え脅威を与えるものではない。

 

もちろん、別の要因はある。中国の軍事力公表は巧みに重要戦力を隠す傾向があり、ストックホルム平和研究所でさえ欺かされている。国内の軍事産業はほぼ海外と無関係に活動しており、技術、資源、人材を米高水準より安く調達できる。また戦術面の要因もある。西太平洋の攻撃力防御力のバランスから恩恵を受けている。これはソ連が総じて軍事バランスでは不利なのに通常兵力で大きな優位を維持してきたのと似ている。中国が南シナ海を陸上基地発進の航空機、短距離運航の潜水艦、陸上配備のミサイルで支配してこれだけで軍事優位性を享受しており、圧倒的な軍事予算の投入は不要だ。

 

中国の軍事支出が比較的低水準のままだが、同国が整備中の軍事力を考えると維持できなくなる日が来る。艦艇、航空機、ミサイルをPLAが次々と調達し、整備、近代化、改修と支出が増える。中国の兵力を維持しようとすれば国防予算の増大は不可避だ。米国が中国軍事力を意識し反応し始めているをため、両国関係で悪化の兆しが表れている。1.7%でも大変なら、3.5%になったらどうなるのか。さらに大きな懸念材料は中国が両大戦間の日本同様に国防支出を増大するあるいは現在の米国並みにしたらどうなるのか。

 

米国は警鐘を鳴らしているが、中国はまだ実力行使をしていない。■

 

 

 

How Much Should China Spend On Its Military?

ByRobert Farley

https://www.19fortyfive.com/2021/11/how-much-should-china-spend-on-its-military/

 

Now a 1945 Contributing Editor, Dr. Robert Farley is a Senior Lecturer at the Patterson School at the University of Kentucky. Dr. Farley is the author of Grounded: The Case for Abolishing the United States Air Force (University Press of Kentucky, 2014), the Battleship Book (Wildside, 2016), and Patents for Power: Intellectual Property Law and the Diffusion of Military Technology (University of Chicago, 2020).

In this article:China, Chinese Military Spending, featured, Military History, U.S. Military Spending