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2009年12月23日水曜日

2011年度予算に登場する新型ISR機は攻撃機にもなる


New ISR Project Planned For 2011
aviationweek.com Dec 21, 2009

ISR(情報収集・監視・偵察機)は本ブログ主宰者の嗜好もあり、何回も登場するテーマです。以下は新しい動きについてです。前回からお知らせしているRQ-170が意外な形で今後の機体につながるようです。


1. 中止となった次世代爆撃機の後で新しい動きがあるようだ。その中に情報収集と爆撃任務を同時に行う構想があるようで、その場合の爆撃とは爆発以外の効果を想定している。
2. 「長距離ISR/打撃」航空機の兵装には指向性エナジーおよびネットワークへの攻撃手段が含まれるだろう」とデイブ・デプチュラ中将(ISR担当空軍参謀次長)は話す。開発中の指向性エナジー兵器にはレーザーおよび高出力マイクロウェーブパルス発生装置があり、そのほかの非運動性兵器として敵のセンサーに対する精密な非定型波でのジャミング、およびネットワーク侵入で敵防空網の連絡通信を遮断が想定されている。
3. 新型爆撃機の設計にはアフガニスタンに投入されているロッキード・マーティンRQ-170センティネル無人ステルス監視機の経験が反映される。
4. 「新型ISR/打撃機には低視認性が明らかに必要な要素だが、攻撃効果を全部運動性のあるものにする必要はない。技術進歩で従来の爆撃機の概念から抜け出して、また予算の制約から多用途機となる。将来の爆撃機の重要な任務は爆弾の運搬ではなく、情報を迅速に伝え意思決定に役立てることだ」
5. 政府内部では新型長距離攻撃機の性能水準をそこまではっきりと表現していないが、2011年度国防予算要求と5ヵ年国防計画の一環としては重要と認識している。
6. ゲイツ国防長官は従来型の爆撃機開発を2010年度で中止し、QDR(4年毎の国防力見直し)の一部として見直しを命じた。QDRでは有人・無人両方で、長距離飛行性能を持つことの重要性を主張すると見られる。
7. 「QDR他の検討結果から長距離攻撃能力が強調されるだろう」とゲイツ長官はイラク視察の道中で発言している。
8. ノートン・シュワルツ大将(空軍参謀総長)もこの考えを支持し、空軍が新規開発二案の予算を計上する可能性を示す。ひとつは次世代爆撃機(NGB)の後継機種、もうひとつは宇宙配備の偵察衛星だ。二案が2月に議会に提出される次々年度予算案に盛り込まれる可能性がある。
9. もし新規開発が実施されれば米国国防産業には朗報となる。ゲイツによれば米軍は「同ステルス機合計2,400から2,500機の購入」となるという。
10. 長距離ISR/攻撃機の要求性能水準はまだ未定であり、予算計上の優先順位もまだ低い。しかしながら、妥協が許されない要素がひとつある。戦闘行動とISR任務を同一の機体で実施することだ。情報収集活動と戦闘作戦を別のものとして論じるのは誤りとデプチュラ中将は語る。さらに米国はアフガニスタンの非正規戦から先進国型の通常戦まで幅広く準備をする必要があるのだ。
11. 「この18年間は航空優勢の元で作戦を展開する余裕があった。これからは制空権がない環境、遠隔地での戦闘を想定する必要がある。」(同中将)
12. その条件で将来の機体を有人型とするか無人機とするか、また敵地侵入型とするかスタンドオフ攻撃とするかの決断が求められる。
13. 「長距離侵攻型のISR/攻撃機がはるかに多くの利点がある。有人運用であれば無人機よりも対応できるオプションの幅が広がるので安定性と即応性能力が高まる」(同中将)
14. ただデプチュラ中将は有人・無人型の設計を両立する余地があるという。「遠隔操作で長距離ISR攻撃機を運用するのであれば有人機とするオプションもあるが、任務が単純な情報収集を脅威度が低い地帯で行うのであれば遠隔無人機が適している」という。
15. アフガニスタン国内の戦闘がISR能力の整備に役立っている。MC-12Wでフルモーションのビデオ情報と通信情報収集を行うと同じ方面に24機が必要となる。MQ-9リーパーにゴーゴンステアISRポッドを搭載すれば同時に10通りのビデオ信号を10箇所に送信できる。最終的には同ポッドにより 65画面の処理ができるようになる。
16. 通信技術の大幅な進歩で世界中の分析官に即座に情報を送ることが可能だ。
17. 空軍は信号を地上に未処理のまま送信する以外に飛行中の機体内で処理する方法も模索している。これで地上分析官へ送信するデータを削減することができる。その他としてデータ圧縮技術の応用と画像アクセスシステムが検討されている。後者は機密扱いのウェブサイトで世界中任意の地点に関する大量の情報源から最新のデータを利用できるもの。

RQ-170の170というのはF-117と同じような番号の付け方。単純な新型UAVではなく、上にあるように今後の空軍装備の変更に大きな役目を持っている機体の用に思えます。あるいはこの情報が機密解除になったということは実はすでに同機の役目は終わり、別の機体が極秘裏に開発中なのかもしれません。つまり、センティネルはそのカバーアップということなのでしょうか。

2009年12月13日日曜日

USAF:ステルス情報収集UAVの開発は綿々と続いている



Stealthy UAV Has Links To Previous Projects
Dec 10, 2009

1.米空軍が最近発表したRQ-170遠隔操作無人機にはロッキード・マーティンの先端技術開発計画との連関があることがわかった。ロッキードはステルス機ダークスターやポールキャット無人機を開発していた。
2. RQ-170は尾翼のない全翼機設計で機体上部に一体型センサーあるいは通信ポッドを胴体の左右に搭載している。
3.「ダークスターの設計はまだ生きています」とロッキード・マーティンを最近退職した元幹部は語る。「機密事項扱いされているだけです」
4.RQ-170の存在が明らかになったのは空軍の情報関係トップがより大型で航続距離の長い攻撃・偵察用の機体が最優先事項だと求めたことによる。
5.米海軍のEP-3E電子偵察機が2001年4月に強制着陸させられたことから、上記無人機二種の開発がはじまっている。
6.ラムズフェルド国防長官(当時)はこの事件を受け、「機微偵察作戦」用の関係者を集め急遽会議を行った。その席上、機密装備の喪失のリスクなしに重要な情報収集対象国である中国のような国の軍事情報を監視するにはどうしたらよいかを議論している。その際の結論として新型ステルス無人偵察機の開発をはじめることとなり、12機から24機を所要機数とした。空中戦闘軍団は当時はジョン・ジャンパー大将の指揮下にあり、超低視認性で高高度飛行が可能なUAVで敵国の防空網を突破する性能を求めた。目標地点まで1,000海里を飛行して、対象地点上空で8時間滞空した後基地に帰還すると言う内容だった。
7.その後のイラク侵攻(2003年)でダークスターの派生型といわれるUAVがプロトタイプとして運用されたといわれる。「ダークスターと同じステルス機で同じ装備とデータリンクがありました」と当時従事した空軍士官が言う。「機体はずっと大型でした。生産機とはかけ離れていましたが、空軍はとにかく先に進めたかったのです」と海軍関係者が言う。U-2のパイロットは高高度を飛行する機体を自らの飛行経路近くで視認している。この謎の機体は一般の有人機、無人機部隊とは別個に運用されていた。
8.広大で不毛なアフガニスタンの上空を監視する同機を米国がどのように活用しているのかは大いに関心を集める点だ。アフガニスタン国内の治安が悪化し、大規模な地上戦に発展し、空軍力を空飛ぶ砲兵隊、空輸部隊、広範囲の偵察任務に活用することになる可能性がある。
9.今後18ヶ月に約15万の米国および同盟国部隊がタリバンおよびアルカイダの攻撃能力を打ち破ることができるかが試される。その際に新技術を実用化することができる。空軍は高度技術にも資金投入していく。
10.「軍事力を遠隔地に投入し、他の追随を許さない形で敵の脅威に対応する機体がないと次世代の展望はなくなります」とデイブ・デプチュラ中将(情報収集・監視・偵察任務の副参謀長)は語る。
11. たとえば偵察監視用の機材は長波赤外線装置のような新技術により50,000フィーと以上の高空を飛行すればこれまでより長距離かつ多くの情報を収集できる。RC-135SコブラボールやRC-135WリベットジョイントまたはE-8Cジョイントスターズの各機では運用高度の上限は30,000 フィートしかない。

(写真左 Polecat 右 Darkstar それぞれロッキードのスカンクワークによる製作)

2009年12月5日土曜日

RQ-170 新型ステルス無人偵察機の存在を米空軍が認める


USAF Confirms Stealthy UAV Operation

aviationweek.com Dec 4, 2009


1. 米空軍は本誌Aviation Weekに通称「カンダハールの野獣」といわれるステルス機に類似した形状の遠隔操作無人機(UAV)の存在を認めた。同機はアフガニスタン上空で2007年末に目撃されている。
2. RQ- 170センティネルは無尾翼の全翼機形状でセンサーポッドを左右主翼上部に搭載しているといわれ、ロッキード・マーティンの先端技術開発プログラム (ADP)つまりスカンクワークスで開発された。空軍関係者が本日「ステルス無人航空機システム(UAS)を開発中で偵察監視支援業務を前線配備の戦闘部隊に提供することが目的」と明らかにした。
3. 同機はこれまでも本誌の技術関連ブログAres他で論議の的となっていたが、米空軍から本誌への発表は同機の詳細をはじめて公式に述べるもの。
4. 「RQ- 170の配備はロバート・ゲイツ国防長官が情報収集、監視、偵察(ISR)支援の強化を戦闘部隊司令官各位に求めたのと軌を一にしており、空軍参謀総長ノートン・シュワルツ大将の目標とする無人機を今以上に利用する空軍のビジョンにもあうものだ」と空軍は発表した。
5. RQ-170を運用するのは第30偵察飛行隊(ネヴァダ州トノパ試験場)で、同地でF-117ステルス戦闘機もその存在が秘密となっている間の基地としていた。同飛行隊は空中戦闘軍団の432飛行群(ネヴァダ州グリーチ空軍基地)に所属している。カンダハールでは同機はジェネラルアトミックスエアロノーティカルシステム社のハンガーから運用されているのが目撃されている。
6. 第30偵察飛行隊は2005年1月に発足しており、同隊の実戦化は極秘作戦の動向を注視する関係者からはかねてから注目されていた。
7. RQ- 170という名称もF-117の命名と似ている。既存機種の形式名から隔絶しており、明らかにその存在を知られないための措置だ。RQは非武装機を意味し、MQがプレデターを武装化した機種およびリーパーに与えられている。空軍の説明にある「前線配備部隊への支援」に今回判明した詳細情報を加えると、ある程度のステルス性(鈍角にしてある前縁、単純なノズル形状、センサーポッドの翼上装着)があり、同機は戦術用途の実用性の高い機体であり、戦略情報収集の用途の設計ではないことが伺われる。
8. 多くの疑問が同機の用途について未解答だ。もし、同機が高高度飛行の設計なら同機の塗装はつじつまがあわない。全体が中程度のグレイ塗装で、プレデターやリーパーと同じだが、濃いグレイあるいは全面的に黒色の塗装とするのが高高度飛行機体に最適とされている。翼端長は65フィートのようだが、MQ-9リーパーとほぼ同じだ。インターネット上でも同機の画像はごく限られている。すべて左側からの撮影だが、太い胴体が主翼に一体化しているように見える。
9. 低視認性の機体設計によりイラン国境を飛行させ中国、インド、パキスタン各国の内部を偵察させれば有益だろう。ミサイル試験のデータ、通信情報の傍受、その他各種の情報を収集できるのではないか。