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2017年2月10日金曜日

B-52エンジン換装構想の結論が間もなく出そう


米空軍が考える方法のひとつに民間にエンジン換装費用全額を一旦負担させ、空軍は節減効果相当の金額を毎年払い戻すという案があるようですが、果たしてうまくいくのでしょうか。

US Air Force glides toward B-52 engine replacement plan

By: Valerie Insinna, February 6, 2017 (Photo Credit: Staff Sgt. Benjamin Gonsier/U.S. Air Force )
WASHINGTON — 長年に渡り供用中のB-52爆撃機のエンジンを換装すべきかで米空軍が結論を出す段階に近づいてきた。
  1. ここ二年間で空軍グローバル打撃軍団はエンジンメーカー各社ならびに金融業界とB-52のプラットアンドホイットニーTF33エンジンハ基換装案に可能性があるか検討してきた。評価結果で新エンジンへ投資すれば長期的な節約効果が燃料費・保守整備費ともに生まれるのは明白だが、空軍調達部門は資金手当て方法の検討が終わっていないとB-52ウェポンシステムチームのジェイムズ・ノエツェル次長が明らかにしている。
  2. 「実現に近づいています。意味ある事業になるでしょう」とノエツェルは1月に語っている。
  3. 時は熟してきた。政治上も財務上も。エンジン換装議論が再燃したのは今年始めにTF33マイノット空軍基地所属のB-52が訓練飛行中にエンジンを喪失したためだ。前空軍長官デボラ・リー・ジェイムズは事故を重大なエンジン不良としつつ、AFGCC司令官ロビン・ランド大将とともにTF33エンジン全体の問題ではないとしていた。
  4. 空軍による2016年度に予算手当できなかった事業にはエンジン換装が高優先順位と位置づけられており、10百万ドルが検討用に追加されている。
  5. 「今年は方針を決定すべきです」とボーイングで爆撃機事業を担当するスコット・オートハウトは言う。「財政が厳しい中で事業の成立は予算がつけられるか、あるいは別の資金手当方法があるのかにかかっています。今年いっぱい議論が続くのではないでしょうか」
  6. 米空軍の構想はTF33の代わりにリージョナルジェット用のエンジン8基を搭載し、寸法重量をほぼ同じにして構造上の改修を最小限にすることだとノエツェルは言う。空軍は二回に渡り情報開示要求(RFI)をエンジンメーカーに送っており検討材料を入手している。
  7. 「燃料消費では少なくとも30パーセント向上します」(ノエツェル) また新エンジンで飛行距離は伸び、新エンジンは信頼性も向上し、稼働率が高くなる一方で整備費用は下がる。
  8. ノエツェルは費用節約額の言及を拒んだが、空軍が第三者に事業の妥当性を検討させていると明かした。節約規模は数十億ドル規模といっても過言ではないだろう。
  9. ランド大将は構想を支持するが、50億から70億ドルといわれるエンジン換装予算が空軍にない。
  10. そのため空軍調達部門は資金手当ての代替策を提案している。上層部はリース方式やPPP官民提携事業案を匂わしており、2016年に別のRFIで金融業界から提案を求めたとノエツェルは述べた。
  11. 「まだそこまで行っていない。まだ模索中で調達部門に任せているのが現状だ」とジェイムズ・ハンシッカー(グローバル打撃軍団)が述べている。「この件については従来どおりの方法での解決方法を検討し要求内容をまとめようとしているところだが創意工夫を凝らした方法も考えており、今後はこの方向ですすむはずです」そうなると従来と違う調達方法を空軍に認める必要が議会に生まれる。
  12. ボーイングも自社で分析をして、空軍による結論と同様に現在使用可能なリージョナルジェット用のデータを検討したと同社のB-52事業担当ジェイムズ・クローニングは述べている。ボーイングもエンジン換装で燃料消費削減効果を30パーセントと見ており、節減効果は2050年以降も供用すれば最低100億ドルと試算している。また保守整備費用並びに関連費用は95パーセント節約できるという。
  13. 「運用上も良い効果を期待できます」とクローニングは説明した。燃料消費効率が上がるため、新エンジンで空中給油無しで飛行距離が40パーセント伸びる。そうなるとB-52ミッションも空中給油をしない前提で可能性が増え、給油機への依存も下がる。
  14. ボーイング、空軍ともにどのエンジンを検討したのかを明らかにしていないが、関係者からは大手エンジンメーカー各社から一種類以上の提案があったこという。
  15. ロールズロイスはBR700ファミリーを提案するはずで、ガルフストリーム550および650、ボーイング717に搭載ずみだ。プラットアンドホイットニーはTF33の近代化改修以外にPW800ないしPW1000Gを推すはずだ。
  16. だがジェネラル・エレクトリックのTF34が一歩抜きん出ている。A-10他の軍用機で使用実績があるためとTealグループのリチャード・アブラフィアが指摘している。■

2014年10月11日土曜日

B-52エンジン換装は今度こそ実現するのか




B-52 Re-engine Resurfaces As USAF Reviews Studies

Oct 10, 2014
Bill Sweetman | Aerospace Daily & Defense Report
http://aviationweek.com/defense/b-52-re-engine-resurfaces-usaf-reviews-studies
米空軍は機齢50年超のB-52各機を民生用エンジンに換装する提案を検討中であるとグローバル攻撃軍団司令官スティーブン・ウィルソン中将Lt. Gen. Stephen Wilson が明らかにした。
  1. 空軍は10月9日に実施した場合の節減効果を検討する。B-52は2040年まで使用の見込み。
  2. ウィルソン中将は提案企業名を明らかにしていないし、提案が一社か複数かも明示しなかったが、業界筋から確認からとれたのはボーイングが「企画骨子」を提出、ジェネラルエレクトリックがCF34-10エンジン8発換装案を検討しており、プラット&ホイットニーも独自案を準備中だという。
  3. エンジン換装の狙いは燃料消費の改善で、結果として給油機への依存が減るとウィルソン中将は語る。さらに民間基準の適用で定期点検のたびにエンジン取り外しが不要になる。
  4. ただし、エンジン換装で障害となるのが予算と規制問題ダとウィルソン中将は言う。エアラインの運用実績を軍用耐空証明に使うことと、初期投資は運用費用を下げることで回収しても、燃料費の節約部分は基地施設の改修に使い、機材改修に支出できないしばりがあるという。
  5. B-52は現在TF33エンジン8基を搭載しているが、このエンジンはボーイング707用エンジンと類似している。今回の検討はエンジン換装案として三回目となる。
  6. ブラット&ホイットニーから1982年にPW2000エンジン4基換装案が提案されていた。1996年にはボーイングとロールスロイスが共同でRB211-535エンジン4発(リース調達)換装案が出た。B-1やB-2でB-52が1990年代に退役する予定だったため最初の提案は実現せず、二回目の案も軍用装備にリースを使うことへの抵抗と経済効果評価の不備で頓挫している。
  7. 2004年度の国防科学委員会報告によれば米空軍は空中給油の経費を試算に入れていなかった。その時点での給油機による燃料はガロン当たり17.5ドルで、地上でのガソリン価格の14倍になっていた。同委員会の作業部会は「全員一致で空軍にB-52Hのエンジン換装を直ちに提言する」としたが、空軍はなんら反応しなかった。
  8. 「その時点で手を打っておけば、いかに先見の明があるかを堂々と自慢できていたのに」とウィルソンは言う。
  9. GEのCF34-10エンジン(定格推力17,640-20,360-lb)8発案だと推力は増加する。プラット&ホイットニーからは5月に提案されたPW1135G-JM(定格推力35,000-lb.)もTF33の2倍の推力を出す。それぞれ1996年当時の案より性能が高く、燃料消費効率は向上する。
  10. RB211-535の生産はボーイング757の生産終了とともに行われていないが、PW2000の軍用版F117もC-17の最終号機に搭載されているので、両エンジンは候補として弱い点がある。■