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2024年12月10日火曜日

イタリア海軍の新上陸ヘリコプター・ドック艦「トリエステ」が就役(The Aviationsit)


Trieste

新LHDトリエステ(全画像、クレジット:イタリア海軍)


リエステは、第二次世界大戦以降のイタリア海軍に引き渡された最大の戦闘艦となった。

 2024年12月7日、イタリア海軍は、第二次世界大戦以降イタリアで建造された最大の戦闘艦である新型上陸ヘリコプタードック(LHD)トリエステを就役させた。 就役式典は、セルジョ・マッタレッラ大統領、グイド・クロゼット国防大臣、ルチアーノ・アントニオ・ポルトラーノ国防参謀総長、エンリコ・クレデンディーノ海軍参謀総長の出席のもと、リボルノ港で行われた。

 この最新鋭の水陸両用強襲揚陸艦は、150名の海軍士官候補生によるイタリア共和国への忠誠の宣誓の中で、正式に海軍に引き渡された。

 トリエステは、フィンカンティエリのカステッランマーレ・ディ・スタビア造船所とムッジャーノ造船所で建造され、約14年前に開始されたプロジェクトの集大成となった。


トリエステの航空写真。


 全長245メートル、排水量37,500トンのトリエステは、第二次世界大戦以降、イタリア海軍に引き渡された最大の艦船である。 イギリス海軍の航空母艦が採用しているものと同様の二重アイランド構造を特徴としている。 1,000人以上の人員、230メートルの飛行甲板、600人規模の水陸両用大隊を支援・投射する能力を備え、トリエステは幅広い作戦に対応できるよう設計されている。車両甲板は、民間・軍用の車輪付き・追跡付き車両用に1,200直線メートルのスペースを提供する。


230メートルの飛行甲板を持つトリエステは、代替空母艦として運用することができる。


 この艦は多用途水陸両用ユニットとして、危機的状況における上陸作戦や戦力投射のための移動基地を提供する。内部にウェルドックを備えているため、どのような作戦環境においても、重要な戦力をシームレスに水平線上に展開することができる。 軍事的な任務だけでなく、その作戦上の多用途性により人道的な緊急事態にも適応できるため、災害対応に不可欠なツールとなる。

 トリエステは水陸両用タスクグループ(ATG)の旗艦として、イタリア海軍艦隊の作戦部門である遠征タスクフォース(ETF)内のITSカヴール率いる空母打撃グループ(CSG)を補完する。この戦略的な位置づけは、国内および国際的な舞台で力を投射し、海洋安全保障を確保するイタリアの能力を強調するものである。

 同艦は、水陸両用タスクフォース司令官(CATF)や上陸部隊司令官(CLF)などの司令部スタッフを受け入れることができる。強力なC4I(コマンド、コントロール、コミュニケーション、コンピューター、インテリジェンス)能力、後方支援、充実した医療施設を備え、外科手術室、放射線科、検査室、歯科診療所、27床の重症治療室があり、コンテナベースの医療資産を追加することで拡張可能できる。

 オーバー・ザ・ホライズン(沿岸から24マイル以遠)での艦対陸上作戦に対応できる装備となっている。 トリエステは、軍事的・人道的ミッションの両方に高度な戦略的投射能力を提供する。 緊急時には、イタリアの市民保護局と協力し、医療援助、飲料水、電力を提供する。 同艦はまた、危機地帯で国民を避難させ、人道支援を提供するための装備も備えている。

 同艦は、EH-101、NH-90、AV-8B+、F-35B、CH-53、MV-22、CH-47用に9つのスポットを備えている。

 2024年9月に発表された最新の年次複数年防衛計画文書(Documento Programmatico Pluriennale della Difesa)で明らかにされているように、イタリア海軍はトリエステを空母とは考えていない。 この能力は、効果的な水陸両用作戦が可能な国としてのイタリアの役割を強化し、広範な柔軟性と現代の課題への迅速な対応を提供する。

 F-35Bについては、イタリアが最近発注した25機の新型F-35の一部として、海軍は5機のF-35Bを追加し、合計20機となる。■


Italian Navy Commissions New Landing Helicopter Dock Trieste

Published on: December 7, 2024 at 7:48 PMGoogle News IconFollow Us On Google News

 David Cenciotti


https://theaviationist.com/2024/12/07/italian-navy-commissions-new-landing-helicopter-dock-trieste/


2018年3月5日月曜日

★建造中、就役前の各国空母はこれだけある

世界ではこれだけの空母が建造中あるいは就役まじかになっているんですね。そのうちやはり米国のスーパー空母とこれから登場する中国の原子力空母が頂点に立つのでしょうか。今後もその動向は要注意です。


These are the world's newest aircraft carriers これが世界の最新空母の全容だ


USS Gerald R. Ford
USSジェラルド・R・フォードが初めて自力航行をした。ヴァージニア州ニューポートニューズ付近。 April 8, 2017.US Department of Defense
初めて登場した航空母艦は今日の姿と似てもつかない艦容だった。
当時は「水上機補給艦」の名称で水上機を搭載支援が役目で、水上機は艦から降ろされ水面を滑空できた。したがって飛行甲板も不要だった。
一世紀が経過し概念がほぼ全面的に変わった。愛情をこめて「フラットトップ」と呼ばれる航空母艦は世界各地の海軍で最重要装備になっている。
現時点で空母を運用するのは9か国で合計20隻にのぼる。うち5か国で新規空母が建造中で今後続々と就役する予定だ。
米国、英国、中国、インド、イタリアがその5か国ですでに建造を開始しているか、企画中だ。最初から固定翼機運用を目的に建造される空母以外に、ヘリコプター運用用の小型空母がF-35B等のVTOL航空機運用用に改修される例も生まれつつある。
以下最新空母各艦を見てみよう。


USSジェラルド・R・フォード

USS Gerald R. Ford

USSジェラルド・R・フォード  July 28, 2017. US Navy



USSジェラルド・R・フォードは2009年11月起工、2013年10月完工し、2017年7月に就航した。今後建造予定の新型空母10隻の一号艦だ。
同艦には新規技術数々が導入されており、電磁航空機発進システムもその一つで従来の蒸気動力カタパルトにかわるものだ。
フォードは全長1,106フィートで75機を搭載し、中心はF-35になる予定だ。ただし同機の開発問題のためフォード艦上で同機がみられるのは2018年末になる。
フォードはF/A-18Fスーパーホーネットの離着艦テストを行ったばかりだ。同艦が完全に戦力化するのは2022年の見込みだ。


USSジョン・F・ケネディ

USS John F. Kennedy
建造中のUSS ジョン・F・ケネディ (CVN 79), June 22, 2017. US Navy


USSジョン・F・ケネディはフォード級空母の二号艦で構造面では2017年6月時点で50パーセント完成している。
ケネディはハンティントン・インガルス工業がニューポート・ニューズ(ヴァージニア州)で建造中で、当初2018年の完成予定だったが工程で問題が数点発生している。
問題の中心は建造費用関連で、ジェラルド・R・フォードとも関連している。フォードでは単価が22%上昇し、128億ドル(2008年価値で)になった。
米政府会計監査院が就役時期を遅らせる提言をしたため現在は2020年就役を見込む。


USSエンタープライズ
USS Enterprise
USSエンタープライズ想像図 Wikimedia commons


USSエンタープライズはフォード級三号艦で昨年8月に最初の鋼材切出し式典が行われている。
米海軍でエンタープライズの艦名を有する第9番目の艦となる。直近の艦は初の原子力推進空母で昨年2月に退役している。

HMSクイーン・エリザベス

HMS Queen Elizabeth
65,000トンのHMSクイーン・エリザベスは英国艦船史上最大の艦だ。モロッコ沿岸から英領ジブラルタルに寄港した。February 9, 2018. Associated Press


2017年就役したHMSクイーン・エリザベスは英海軍最新の空母であり、同時に唯一の現役空母である。
クイーン・エリザベスが他の空母と異なるのは艦橋が操艦用、航空機用の二重構成になっていることだ。
飛行甲板は全長932フィートで40機まで搭載できる設計で、うち固定翼機はF-35が中心でその他チヌーク、アパッチAH MK1ガンシップ、AW101マーリン輸送ヘリ、AW159ワイルドキャット対艦攻撃ヘリを搭載する。
クイーン・エリザベスは初の海外寄港として2018年2月にジブラルタルを訪問した。


HMSプリンスオブウェールズ

HMS Prince of Wales
HMSプリンスオブウェールズ命名式September 8, 2017


HMSプリンスオブウェールズはクイーン・エリザベス級二号艦でスコットランドのローサイス造船所で建造中だ。
同艦は昨年9月に正式に命名され、実際のプリンスオブウェールズたる皇太子夫妻が式典に出席した。
昨年12月、同艦はドックを出て初めて海に出た。現在艤装バースにあり、すべての装備を搭載する。
艦の構造部分は完成しており、海上公試を2019年に開始し、正式就役は2020の予定だ。


遼寧

Liaoning中国初の空母遼寧が香港を出港した。July 11, 2017. Reuters


遼寧は人民解放軍海軍初の実用空母で中国は以前から用途廃止した空母を購入しカジノや博物館に転用してきた。同艦は1998年に建造途中の旧ソ連艦を購入して空母として中国が完成させたものだ。
全長999フィートで航空戦力は瀋陽J-15多用途戦闘機を26機、昌河Z-18対潜・輸送ヘリコプター12機、ハルビンZ-9多用途ヘリコプター2機で構成する。
就役は2012年で完全な戦力があるにもかかわらず訓練艦とされ、PLANが航空運用に習熟するために使われている。


001A型艦

Type 001A001A型艦、大連にて 2017. Wikimedia commons


001A型艦は中国初の国産建造空母だ。建造は遼寧の就役直後に始まり、同艦から数々の改良点がある。
最も目立つのが全長が1,033フィートになったことで、48機を搭載する。
艦名は不明だが、山東になるとの観測もあった。現在は大連軍港で艤装中で2020年ごろの就役になると見られる。


002型艦

002型艦は中国国産建造空母の二号艦で空母として三隻目になる。建造は2015年に始まり中国のめざす空母戦力大幅増の重要な一歩となる。
002号艦は原子力推進で中国は原子力空母を保有する三番目の国(米、仏に次ぐ)となる。
同艦も電磁方式(EMALS)カタパルトを搭載し航空機運用をする。
EMALSによりJ-15以外の機種も運用可能となる。中国はJ-31やJ-20ステルス機の空母運用を目指しているともいわれる。
中国は艦名がない002型空母の建造を加速化し「外洋海軍」を2025年までに実現する一助としたいとする。


INSヴィクラマーディティヤ

INS VikramadityaReuters


INSヴィクラマーディティヤはインド唯一の空母でINSヴィラートが2017年初めに退役していた。
大幅改修したキエフ級空母だがもともとはソ連海軍用に1982年に建造され、艦名をふたつつけられていた。1987年から1991年はバクー、その後アドミラル・ゴルシコフ(1991年-1996年)だった。
同艦はインド海軍に2013年から編入され、その前に大幅改修工事を済ませている。
ヴィクラマーディティヤは全長930フィートで合計36機を搭載する。MiG-29K(26機)とカモフKa-31、Ka-28ヘリコプター10機だ。またインド海軍で艦内にATMを搭載した初の艦となった。


INS ヴィクラント

INS Vikrantヴィクラントが艤装バースへ移動した。June 10, 2015. Wikimedia commons


INSヴィクラントはインド初の国産建造空母で同時にインドで初の国産鉄鋼素材を使って建造する艦となる。
同艦は2004年に発注され、2009年起工された。全長860フィートとヴィクラマーディティヤより短いが30機から40機を搭載し、構成はやはりMiG-29Kとヘリコプターとなる。
ヴィクラントでは各種のトラブルがインドに発生している。建造が数次にわたり遅延され、予算は超過したがついに2018年末までに海上公試(2年間)を開始しそうだ。就役は2020年に予定する。


トリエステ

Trieste
トリエステの模型がパリの海軍国防展示会に展示された DefenseWebTV/YouTube


トリエステはイタリア三番目の空母となる。同艦は従来型の空母ではなく揚陸ヘリコプタードック艦でむしろ米海軍のアメリカ級揚陸強襲艦に近い。
全長803フィートとアメリカ級より小さいが、12機を運用し、アグスタウェストランドAW101ないしNHインダストリーズのNH90となるだろう。
だがイタリア海軍はF-35B少数機の運用を狙い、実現すると固定翼機運用可能な通常型空母になる。
イタリアはサン・ジョルジオ級揚陸輸送ドック艦を運用中。
トリエステは進水2019年、就役2022年の予定だ。


ROKS 馬羅島

トリエステと同様に韓国のROKS馬羅島は揚陸強襲艦で、起工は昨年4月で2018年4月に進水予定だ。
現在は同艦を2020年に就役させ独島級揚陸強襲艦の二号艦とする。独島は2007年7月に就役した。

全長653フィートで同艦はヘリコプター10機を運用でき、UH-1H、UH-60Pまたはウェストランド・スーパーリンクスを想定するが、イタリア同様に韓国もF-35Bの運用を検討中だ。■