ラベル HELIOS の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル HELIOS の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2025年2月5日水曜日

米海軍の艦載レーザー「HELIOS」が最新テストで無人機を撃墜に成功(The War Zone)―ただし、真の実用化にはまだ道は遠いようです。とはいえ艦艇の電気系統はこれまでより大幅に強化する必要がありますね

 HELIOS laser fired from the USS Preble.  

(DOD)


その他システムが遅延や中止に見舞われる中、海軍は艦載レーザー兵器の実用化を強く望んできた


海軍は、アーレイ・バーク級駆逐艦プレブルが、2024年度に空中標的無人機を破壊する高エナジーレーザー統合光学眩惑および監視(HELIOS)システムの試験発射に成功したことを明らかにした。これは、米軍の他のレーザー開発が近年、現実的な検証に直面している中、水上艦隊への艦載用レーザーの開発での最新の大きな成果である。

 プレブルの無人標的機へのレーザー照射は、HELIOSの機能性、性能、能力を「検証し、実証する」ことを目的としたもので、艦載レーザーを完全に実用可能な状態に近づける最新ステップは、金曜の夜に発表された国防総省の年次運用試験・評価局(DOTE)長官報告書で明らかにされた。

 プレブルがいつ、どこでレーザーを発射したかについて、DOTEレポートではほとんど明らかにされていない。同艦は、2024会計年度の終了を数日後に控えた9月に、母港をサンディエゴから日本に移した。  本誌は、このテストの詳細とHELIOSの現在の状況について海軍に問い合わせており、情報が入り次第、このレポートを更新する。


A rendering of the HELIOS system in action aboard a Navy destroyer. (Lockheed Martin)

海軍駆逐艦上のHELIOSシステムの作動中のレンダリング。(ロッキード・マーティン)


 いずれにしても、海軍上層部が特にここ1年、強く要望してきた能力だ。なぜなら、イランが支援するフーシ派反政府勢力が紅海とアデン湾上空に連日、毎時のように発射する無人機やミサイルを、海軍の軍艦が撃墜しているからだ。これらの戦闘やその他の世界的な紛争地域では、中国という新たな脅威が迫る中、限られたミサイル在庫を消耗してしまうとの懸念が絶えない。本誌は、フーシ派の無人機、対艦巡航ミサイル、対艦弾道ミサイルなど、フーシ派の兵器庫に対する400回以上の交戦で消費された兵器の集計を含む、海軍のフーシ派との戦闘のいくつかの側面について報告している。 

 「10年前に私がバーレーンにいたとき、水上作戦司令艦USSポンセにレーザーが搭載されていた」と、2024年初頭、水上艦隊協会の会議に先立って、海軍水上部隊司令官のブレンダン・マクレーン中将は記者団に語った。「10年が経ったが、我々は未だに実戦配備可能なものを持っていないのか?」

 確かに、60キロワットのHELIOSやその他の長らく約束されていた指向性エナジー兵器は、水上艦隊にとって待ちに待った装備だ。本誌が以前報告したように、2022年にプレブル級駆逐艦に初めて搭載されたのが最初である。そのデビューはフーシとの戦闘に先立つものだが、少なくとも同様の作戦におけるミサイル支出をある程度軽減するのに役立つと思われるタイプのシステムである。


A look at the new High-Energy Laser with Integrated Optical Dazzler and Surveillance (HELIOS) laser directed energy weapon installed on the Arleigh Burke class destroyer USS Preble, with an inset showing a rendering of the system. (U.S. Navy/Lockheed Martin)

駆逐艦プレブルに搭載された高エナジーレーザー統合光学眩惑および監視(HELIOS)レーザー指向性エナジー兵器。システムの外観を示す挿入図。(米海軍/ロッキード・マーティン)


 これまで本誌がHELIOSについて報じた内容から、無人機攻撃を阻止し、悪意を持って操縦される小型ボートや小型船舶を無力化または破壊するのに非常に役立つ理由が明らかになっている。

 また、ミサイルや無人機に搭載された光学追尾装置を眩惑し、視覚を奪ったり混乱させたりすることも可能だ。眩惑装置は、相手のセンサーが艦船を監視する能力を奪うことで、相手の一般的な状況認識を制限することができる。 HELIOSには独自の光学センサーも搭載されており、二次的な情報、監視、偵察(ISR)の役割を果たすことができる。

 プレブル級駆逐艦では、HELIOSは、アーレイ・バーク級駆逐艦の初期の派生型に搭載されていたMk 15ファランクス近接武器システム(CIWS)を収容していた艦の前方に設置されている。現在建造中のフライトIIA仕様の駆逐艦には、格納庫上にCIWSが1つだけ搭載されています。SeaRAMとファランクスを装備した「ロタ構成」に変更された少数の艦を除き、初期型にはCIWSが前方と後方に2つずつ搭載されている

 ロッキード・マーチンは2018年に海軍からHELIOSに関する最初の契約を受注したが、このシステムは同社における指向性エナジーの研究開発の長い歴史の上に構築されたものだ。

 同システムは、イージス戦闘システムと組み合わせると特に強力となる。ロッキード・マーチン水上艦ミッション・システム部門の責任者リッチ・カラブレスは、2021年の本誌とのインタビューの中で、HELIOSとイージスについて次のように説明している。

 「当社はイージス兵器システムのマルチソース統合注入能力を継続的にアップグレードしており、新しい兵器やセンサーを導入し、協調的なハードキルおよびソフトキルの実現を目指しています。指向性エナジー兵器…私たちは、ニュージャージー州にあるこのラボで、すでにHELIOSレーザー兵器システムをイージス兵器システムCSL(共通ソースライブラリ)と統合しています。実際、当社でレーザープログラムを管理している人物が... 先日、イージス兵器システム・コンピュータープログラムの制御下で、このレーザーを発射しています。ですから、私たちは、兵器の調整を行い、HELIOS兵器システムと連携して自動化された方法でハードキル、ソフトキルの調整を行う能力を構築しています」。


240212-N-VJ326-1044 SAN DIEGO (Feb. 12, 2024) – Guided missile destroyer USS Preble (DDG 88), left, pulls into port alongside amphibious assault carrier USS Tripoli (LHA 7), Feb. 12. Tripoli is an America-class amphibious assault ship homeported in San Diego. (U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Malcolm Kelley)

HELIOSレーザーシステムは、USSプレブルのブリッジ前方の台座に設置されている。(米海軍)


 ロッキード・マーチンは、アーレイ・バーク級駆逐艦に少なくともあと1基のHELIOSシステムを納入する契約を結んでいる。同社関係者は、システムの最大出力を150キロワットへ増強するなど、将来的な機能拡張も視野に入れて設計してあると述べています。

 ここまでの出力レベルであれば、HELIOSはより遠距離から小型無人機をより迅速に撃墜し、対艦巡航ミサイルや、比較的近距離ではあるが敵の航空機など、大型で複雑な脅威にも対処することが可能になる。

 海軍とロッキード・マーチンは、2022年にニューメキシコ州の米陸軍ホワイトサンズミサイル射場で行われたテストで、レーザー層防衛(LLD)システムと呼ばれる兵器を使用し、亜音速巡航ミサイルに見立てた標的無人機を固体レーザー指向性エナジー兵器で撃墜することに成功した。


 HELIOSは、海軍が指向性エナジー技術に抱く野望の一端を構成するもので、指向性エナジー技術には、最終的には高出力マイクロ波ベースのシステムも含まれる予定である。同型艦のUSS DeweyやUSS Stockdaleには低出力の光学迷彩装置(ODIN)を装備している。  HELIOSとは異なり、ODINのレーザーは眩惑装置としてしか使用できないが、二次的な監視能力も備えている。

 2021年後半、HELIOSがプレブルに配備される前年のこと、サンアントニオ級揚陸艦ドック艦USSポートランドは、アデン湾でレーザー指向エナジー兵器を用いて静止した水上標的を攻撃した。レーザー兵器システム・デモンストレーターMk 2 Mod 0として知られるそのシステムは、2019年後半にポートランドに搭載され、本誌が最初に報道した。その後、2020年に太平洋でのデモンストレーションで小型無人機を撃墜した。

 国防総省は、艦船、航空機、地上車両用のこのような兵器の開発に毎年平均10億ドルを費やしていると、ネイビー・タイムズは昨年報じた。

しかし、2023年の米国会計検査院(GAO)の報告書によると、このような技術で開発、調達、実用化の方法を見出すのは困難だと判明している。


The Navy amphibious transport dock USS Portland uses a laser to strike a static surface target in 2021. (U.S. Navy)

2021年、揚陸艦USSポートランドは、静止した水上標的にレーザーで攻撃した。(米海軍)


GAOによると、国防総省は「これらの技術を研究室から現場へ」移行させるのに苦労しており、その理由として軍が任務中にそれらをどのように使用するか決定するのが難しいことなど、数多くある。

 「早期の移行計画と移行合意の起草なしでは、海軍は運用ニーズと一致しない技術開発のリスクを負うことになる」と、報告書は警告している。

 また、実際に先進的なレーザー兵器を現場に配備し、維持していくことの現実性や、現時点での有効性も明確になってきた。こうした事実が明らかになったことで、国防総省は長年宣伝してきたレーザー兵器の主要なプログラムから撤退した。

 レーザー兵器システムは、特に主流メディアで過剰に宣伝され過ぎている。レーザー兵器は一度に1つの標的のみを攻撃でき、実戦配備中の低出力クラス装備は長時間にわたり標的に安定して照射し続けなないと効果を上げることができない。また、出力と熱の制限があるため、連続発射にも影響が出る。

 射程距離は限られており、大気条件の影響を受け、その部品は繊細で、軍事利用に向けた硬化は現在も進行中だ。そのため、海軍の観点から見ても、非常に魅力的な能力ではあるものの、当面は限られた標的セットに対する少数のポイント防衛用途に限られる。

 こうした現実にもかかわらず、海軍上層部は艦載レーザーの必要性を強く主張し続けている。米海軍艦隊司令部のダリル・コードル司令官は、先月開催されたSurface Navy Associationの年次シンポジウムで、レーザー開発の遅々としたペースを嘆いたと、Breaking Defenseのジャスティン・カッツ記者が報じた。

 「艦船搭載レーザーの開発については、これまでに多くの論文や学位論文が書かれてきましたが、ミサイルシステムを実際に破壊するのに許容できる方法として移行するには至っていません」と、カッツ記者はコーデル提督の言葉を引用して伝えている。

 「再生可能エナジーを基盤としており、システムを再充電することができます。指向性エナジーではペイロードや容量を心配する必要がありません。海軍にとって、これらはすべて魅力的な要素です。しかし、私たちはまだ、実用化できる段階には至っていません」。

 海軍がHELIOSのような艦載レーザープログラムを進めているとはいえ、広範かつ強力な能力となる時期は依然として不明だ。それでも、最近の出来事は、艦載レーザー兵器を米海軍で現実の装備にする圧力を高める可能性が高い。■



Navy HELIOS Laser Aboard USS Preble Zaps Drone In Latest Test

Service brass have clamored to get shipboard laser weapons operational, as other similar systems have suffered delays and cancellations

Geoff Ziezulewicz, Tyler Rogoway



https://www.twz.com/news-features/navy-helios-laser-aboard-uss-preble-zaps-drone-in-latest-test


2022年8月25日木曜日

実用レーザー兵器HELIOS(150kW級)を搭載した駆逐艦USSプレブル。米海軍が開発中の指向性エナジー兵器体系の全体像はどうなっているのか。

 



アーレイ・バーク級駆逐艦USS Prebleに搭載された新型レーザー指向エナジー兵器HELIOS(High-Energy Laser with Integrated Optical Dazzler and Surveillance)の外観と、システムのレンダリング。USN / Lockheed Martin

 

 

駆逐艦USSプレブルは、小型ボートや無人機などにダメージを与え破壊し、光学系を見えなくするHELIOSを搭載した海軍で最初の艦となった

 

 

 

海軍のアーレイ・バーク級駆逐艦USSプレブルに、高エナジーレーザー・光学ダズラー・監視統合システム、HELIOSが搭載された。プレブルは、60キロワット級の指向性エナジーレーザー兵器HELIOSを装備した最初の艦となり、HELIOSはイージス戦闘システムに統合された。各種指向性エナジー兵器を装備した海軍艦艇はまだ少ないが増え続けている。

 HELIOSの主契約者であるロッキード・マーチンは先週、プレブルへのシステム搭載を発表したが、同艦の公式Facebookページに掲載された写真では、その数週間前に搭載されていたことがわかる。同社は3月、バージニア州ワロップス島の射撃場で陸上試験を完了し、駆逐艦搭載に向けてプレブルの母港であるサンディエゴに輸送中と発表していた。

 

 

 

2022年7月、サンディエゴのUSS Prebleのピアサイド。HELIOSは、主上部構造のすぐ前のプラットフォームに搭載されている

 

 

USN

 

「ロッキード・マーティンと米海軍は、破壊的なレーザー兵器システムを開発提供する共通のビジョンと熱意を共有しています」と、ロッキード・マーティン アドバンスト・プロダクト・ソリューションズの副社長、リック・コルダロRick Cordaroは、8月18日のプレスリリースで声明を発表した。HELIOSは、将来の脅威を抑止し、乗員をさらに保護するため、艦の戦闘システム全体の有効性を強化します」。 「当社は、海軍の優先順位にカスタマイズされた拡張性のあるソリューションを提供する必要を理解しています」。

 ロッキード・マーチンは、2018年にHELIOS関連の最初の契約を海軍から交付されたが、同システムは、同社での指向性エナジーの研究開発の長い歴史の上に構築されている。HELIOS含む運用可能なレーザー兵器のアイデア、数十年間ほとんどSFの領域だったを現実のものにしたロッキード・マーティンの成功については、過去のWar Zone特集で詳しく紹介した。

 プレブルの新型レーザーは、もともと20mmバルカン砲Mk15ファランクス近接武器システム(CIWS)の搭載用に設計されたプラットフォームを改造し、艦の主上部構造の前方に設置された。Prebleのようなアーレイ・バーク級のフライトIIA派生型はこの位置にCIWSを搭載しなかったが、こうした艦は艦尾にCIWSを搭載している。

 HELIOSはその名の通り、多目的システムだ。小型ドローンやボートなど、特定ターゲットにダメージを与えたり、破壊したりするのに十分な威力を発揮する。このように、HELIOSは限定的ながらCIWSの代替品となり、防御層を提供する。

 また、このシステムは、敵の艦船や航空機の光学センサーや、飛んでくるミサイルなどの光学シーカーを見えなくしたり、混乱させる「ダズラー」としても機能できる。このように、HELIOSを使用することで、敵の攻撃や、相手の状況認識・監視能力を低下させることが可能だ。

 最後に、HELIOSは独自の光学センサーを搭載し、主にレーザーのスポット、トラッキング、キューイングに使用されるが、二次的な監視の役割も担う。

 

 

 

アーレイ・バーク級駆逐艦に搭載されたHELIOSのイメージ図。 Lockheed Martin

 

 プレブルなどのアーレイ・バーク級駆逐艦やイージス戦闘システム搭載艦で、HELIOSが高い能力と柔軟性を発揮することが期待されている。

 ロッキード・マーチンの海軍水上作戦システム部長リッチ・カラブレースRich Calabrese は、昨年 The War Zone のインタビューで、HELIOS とイージス艦について次のように述べ ている。

 「当社はイージス艦のマルチソースインテグレーション能力を継続的にアップグレードし、新しい武器やセンサーを導入し、ハードキルとソフトキルを協調させる検討をしています。直接エナジー兵器...私たちはすでに、ここニュージャージー州の研究所で、HELIOSレーザー兵器システムとイージス艦兵器システムのCSL(Common Source Library)を統合しています。実際、私たちは... 今レーザープログラムを管理している人... 最近イージス艦のコンピュータプログラムの制御下でレーザーを発射しました。HELIOSウェポンシステムと協力して、自動化された方法で武器の調整やハードキル、ソフトキルの調整を行う能力を構築しているのです」。

 ロッキード・マーチンは、アーレイ・バーク級駆逐艦に搭載するため、少なくとももう1基のHELIOSシステムを海軍に納入する契約を結んでおり、最終的に各種艦艇に搭載される可能性がある。ロッキード・マーチンは、将来の能力向上を念頭に置きシステムを設計中で、レーザーの最大出力を150キロワットまで増加させる検討がされているという。

 「HELIOSは、堅牢で強力なレーザー兵器システムの能力を段階的に提供するための強固な基盤となっています」。ロッキードマーチン・アドバンストプロダクトソリューションズ副社長リック・コルダロは、先週の声明でこう付け加えていた。

 海軍は、HELIOSが、高出力マイクロ波ベースのシステムも最終的に含むよう設定しており、指向性エナジーの野望の一部に過ぎないことを明確にしている。過去には、海軍はこのシステムを、より大規模な水上海軍レーザー兵器システム(SNLWS)プログラム計画のインクリメント1として説明していた。

 

 

HELIOSであるSNLWSインクリメント1を含む、海軍の広範な指向性エナジーの野望を示すスライド。USN

 

 海軍の広範な指向性エナジー兵器への取り組みの一環として、USSデューイやUSSストックデール含む他のアーレイ・バーク級駆逐艦では低威力の海軍用光ダズルインターディクタ(ODIN)を搭載している。HELIOSと異なり、ODINレーザーはダズラーとしてのみ使用可能だが、システム全体として二次的な監視能力も備えている。

 サンアントニオ級揚陸ドック艦USSポートランドは、レーザー兵器システム実証機Mk2 Mod 0を搭載している。これは150キロワット級システムで、HELIOSに近い能力を持つが、威力はHELIOSが上である。

 150キロワット級システムは、低空飛行中の巡航ミサイルや航空機、砲弾ロケットなど、より大型で複雑な脅威と交戦する扉を開く。今年初め、海軍はロッキード・マーチンと共同で、固体レーザー指向エナジー兵器が、亜音速巡航ミサイルを模した標的ドローンを撃墜できることを実証した。

 この実験では、LLD(Laser Layered Defense)システムと呼ばれるレーザー兵器が採用され、ニューメキシコ州のホワイトサンズ・ミサイル発射場で実施された。

 HELIOSは、2022年10月1日に始まる2023年度中にプレブルでの海上試験を開始する。HELIOS搭載駆逐艦が、いつ正式に運用能力を獲得することかは不明だ。

 いずれにせよ、HELIOSがUSSプレブルに搭載されたことで、少なくとも1種類の指向性エナジー兵器を装備する海軍艦艦となった。■

 

Here’s Our First Look At A HELIOS Laser-Armed Navy Destroyer

BYJOSEPH TREVITHICKAUG 23, 2022 8:42 PM

THE WAR ZONE

 


2022年8月23日火曜日

中国の空母キラー弾道ミサイルに対し、着々と多層防空体制を整備している米海軍の現況

 

 

DF-26は最大2,500マイルの射程と4,000ポンドの積載量を有する。衛星照準により、理論上はDF-26は西太平洋全域のアメリカ海軍の軍艦を攻撃できる

 

 

国の「空母キラー」ミサイルは、米海軍の空母を中国沿岸に近づけず、艦載機による中国空爆を困難にする主要兵器として、見出しをここ数年飾っている。

 

DF-26ミサイル

DF-26ミサイルは、中国が数回にわたり試射し、米軍の空母を破壊する能力を示し、空母を「撃退」するとの不吉な警告を発してきた。DF-26は、中国で最も強力な対艦ミサイルだ。全長46フィート、重量44,000ポンド。

 

DF-26

Xinhua

 

ワシントンDCの戦略国際問題研究所は、「DF-26は『モジュール設計』で、ロケットに核弾頭2種類と数種類の通常弾頭を搭載できる」と解説している。

 DF-26の射程は最大2500マイル、積載重量は4000ポンドで、衛星で誘導すれば、理論上は西太平洋全域の米海軍艦艇を攻撃できる。「中国内陸部から発射された場合でも、DF-26は南シナ海をカバーするのに十分な射程距離がある」と数年前に環球時報に語る匿名専門家がいた。

 しかし、米海軍高官のコメントをよく読むと、議論の余地があるようだ。この種の脅威の深刻さを疑問視する人は確かにおらず、中国の兵器が真剣に受け止められているのは明らかだが、空母と空母打撃群の防御が着実に進歩していることを考えれば、脅威に関する表現の一部は「誇大表現」とされるかもしれない。

 「空母キラー」について質問された海軍高官は、この脅威を否定はしないものの、米海軍の空母は「攻撃するために必要な場所ならどこでも活動できる」と極めて明快に述べている。


 

当然ながら、保安上の理由から、艦船防御に関する多くの具体的な情報は得られないが、海軍は、多くの「層状」艦船防御技術が急速に成熟していると公言している。攻撃用または防御用の艦載レーザーが登場し、飛来するミサイルを追跡して「焼却」または「無効化」することができ、新しい EW アプリケーションで「ベアリングライン」を検出したり、ミサイルの誘導システムの電子署名を追跡してその飛行軌道を「妨害」したりすることができるほか、 MQ-25スティングレイ艦載無人給油機で艦載攻撃機の飛行距離を伸ばす事が可能となる。

 海軍のHELIOS(High-Energy Laser with Optical-dazzler and Surveillance)は現在、アーレイ・バーク級 Flight IIA DDG 51駆逐艦に搭載されており、さらに陸上と海上でテストと評価中だ。

 また、現在、陸上および海上での試験を実施中で駆逐艦が、敵ドローンを光速で正確に焼却し、衝撃を与え、燃やし、あるいは無力化する能力が実現する。

 レーザーは、静かで、低コストで、拡張性があり、正確であるだけでなく、さらに重要なのは、光速で発射される。新技術が海戦の領域に入り、戦術方程式が大きく変化するにつれ、迅速さは海洋戦でますます重要なものとなっている。

 HELIOSのようなレーザーは、光学要素も充実しており、センサーとしてターゲットを追跡し、監視任務を支援できる。

 レーザーは、甲板上の砲を補い、精密誘導技術で狭い目標エリアをピンポイントで狙うことができるため、場合によっては水上軍艦が敵陣に完全に接近することも可能になる。

 ノースロップ・グラマンがSurface Electronic Warfare Improvement Program (SEWIP) Block 3主契約者だ。SEWIP B3は、インバウンド脅威を突き止め、妨害し、混乱させることにとどまらず、敵の通信ネットワーク、データリンク、レーダーシステム、その他の電子ソースに攻撃作戦を可能とする電子攻撃兵器で、高度な攻撃的電子攻撃能力と将来的に電子戦を情報作戦(IO)と統合する能力などを追加することでEW技術を進化させた。

 SEWIPブロック3は、現在、海軍のDDG-51クラス駆逐艦への搭載をめざし、今後数年で運用開始する予定であると、ノースロップは説明している。また、海軍の新型フリゲート艦も高度なEWシステムを搭載できる設計だと、海軍関係者はWarriorに語ってくれた。

 SEWIP ブロック 3 の EW システムは、アクティブ電子走査アレイ(AESA)集合体16基を使用し、ターゲットに「ペンシル」ビームを放射する。ノースロップグラマンの陸上・海上センサー担当副社長であるマイク・ミーニーMike Meaneyは、SEWIPブロック3開発の初期段階について、Warriorインタビューで、「AESAの利点の1つはペンシルビームを生成できることです」と答えている。「ペンシルビームは狭く、焦点が合っているため、軌道が速く進むにつれて、必要な場所にのみエネルギーを投入できます」と答えた。将来のコンセプトは、IOとEWを合成して、重要な情報収集技術をEW攻撃および防衛システムと接続することだ。そのため、継続的なソフトウェアのアップグレードと脅威の監視が必要だという。

 EW兵器は、狭い範囲の信号を発信することで、探知性を大幅に低下させ、その結果、位置を明らかにする可能性を低くできる。当然ながら、電子放射が大きく広ければ、それだけ敵に発見されやすくなる。

 これらの要素に加え、よアップグレードされた従来型「キネティック」ディフェンスや迎撃手段の包囲網が、襲い来る攻撃を排除する能力を実現する。迎撃ミサイルは、艦載レーダーや射撃管制装置と連動し、敵の対艦ミサイルや弾道ミサイル、航空機を撃破する設計だ。艦船搭載型迎撃ミサイルは、駆逐艦や巡洋艦の垂直発射システムから発射され、「階層化」防御を実現する。SM-3は最も射程の長い迎撃ミサイルで、長距離弾道ミサイルや最終段階に近づくICBMも追尾でき、特に射程を伸ばし誘導システムを改善した最新のSM-3 IIAで能力はさらに向上する。

 

SM-3

SM-3

MDA picture.

 

DF-26は、アメリカのSM-6に対し脆弱となる可能性がある。迎撃ミサイルSM-6は、理論上、発射直後、中国のミサイルが上昇し速度を上げている段階と、DF-26が目標に向かい弧を描いて降下する終末期の2段階でDF-26への攻撃が可能だ。SM-6のソフトウェアがアップグレードされ、「デュアルモード」シーカーが改良されたことを考慮すると、この実現性は高い。同ミサイルは飛翔コースを調整し、機動できるようになり、中国の対艦ミサイルを追跡し、破壊するのに適した能力を実現したといえよう。

 また、SM-6は、「NIFC-CA(Naval Integrated Fire Control - Counter Air)」海軍ネットワークシステムにより、「レーダーの地平線の彼方」からくる巡航ミサイルを迎撃できる。このシステムは、E-2DホークアイやF-35などの空中ゲートウェイを「ノード」として使用し、艦載レーダーでは探知できない距離の水平線外から接近する脅威を探知し、脅威データを艦載司令部にネットワーク送信、または送信し、司令部は遠隔地点からSM-6を発射し脅威を除去するのがねらいだ。このシステムは非常に効果的だと証明されており、海軍はNIFC-CAを攻撃用にも開発中である。このシステムは、これまで到達できなかった距離から移動目標を正確に発見し破壊する能力を備える。

 また、米海軍艦艇は、ESSM(Evolved Sea Sparrow Missile Block II)迎撃兵器を搭載しており、これは、地表と平行に低空を飛行する巡航ミサイルを迎撃する「シースキミング」モードで作動できる。SM-2、シーラム、ローリング・エアフレーム・ミサイル(RAM)は、接近した脅威を攻撃できるが、一部は大型対艦ミサイルを完全破壊するには不十分だ。しかし、敵の小型ボート、ドローン、ヘリコプター、軍艦、さらには銃弾、ロケット弾、砲弾などを標的にできる可能性が高い。艦船の防御で最も近いのは、近接武器システム(CIWS)で、ファランクス迎撃砲は、1秒間に数百発の小型金属弾を発射し、エリアを抑圧、防御射撃で「包囲」できる。CIWSは1B型にアップグレードされ、飛来する航空脅威を破壊するだけでなく、小型ボートなど水上脅威を排除できる。■

 

Could the US Navy Destroy Attacking Chinese "Carrier-Killer" DF-26 Anti-Ship Missiles? - Warrior Maven: Center for Military Modernization

KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN

AUG 15, 2022

 

Kris Osborn is the defense editor for the National Interest and President of Warrior Maven - the Center for Military Modernization. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.