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2025年8月22日金曜日

日比新防衛協定が来月発効する(USNI News)


BRPホセ・リサールが 海上自衛隊艦艇と演習を実施。フィリピン海軍写真

ニラと東京間の防衛協定が来月発効し、フィリピン国内での軍事訓練の強化を目的とした安全保障協力の新たな段階に入る。

フィリピンと日本の当局者は火曜日、相互アクセス協定(RAA)の発効に先立ち、外交文書を交換した。この交換により、両国間でこれまでで最も緊密な防衛条約が締結された。

「この迅速かつ決定的な進展は、両国が安全保障と防衛協力に緊急性と戦略的価値を見出していることを物語っています」と、フィリピン駐在の遠藤一也日本大使は、文書交換式典での挨拶で述べた。

この協定により、両国の軍隊は、訓練中および派遣中の軍隊の地位を規定する法的協定に基づき、それぞれの領海、領土、領空内で訓練を行うことが可能になる。1987年憲法で外国軍隊の恒久的な駐留と基地設置を禁止しているマニラにとって、これらの点は重要な意味を持つ。相互アクセス協定の発効により、日本は米国、オーストラリアに続き、フィリピンと防衛訓練協定を締結した最新の国となった。

東京は、北京の領有権主張に起因する南シナ海での緊張の高まりを受けて、苦境にある東南アジア諸国との防衛協力を強化している。フィリピン軍には、紛争海域のパトロールと監視のために、日本の巡視船とレーダーが供給されている。フィリピンは、日本の「公式安全保障支援」の最初の受領国でもある。これは、インド太平洋地域の各国を対象に、海洋領域認識能力の強化に焦点を当てた防衛援助融資プログラムだ。

互恵的アクセス協定の枠組みは、「両国の軍隊間の相互運用性を強化し、新たな課題や機会に対して断固として対応する両国の決意を確固たるものにする」と、遠藤大使は述べた。

フィリピン国防省のプレスリリースは、この協定で訓練の機会が拡大されることを強調し、これまで日本の自衛隊の合同軍事訓練への参加は、人道支援や災害救援関連活動に限定されていたと述べた。

「RAAが発効すれば、合同演習などの協力活動にも参加が拡大され、両国軍の相互運用性の向上に役立つ」とフィリピンのプレスリリースは述べている。

防衛訓練の機会の拡大と並行して、日本のフィリピンに対する防衛援助には、マニラによる艦艇の審査結果次第では、海上自衛隊の護衛艦の譲渡も含まれそうだ。1990年代に建造された艦艇19隻のうち最大6隻と、海上哨戒機が、2027年までにフィリピン海軍に譲渡される可能性が出てきた。

東京は長年、南シナ海でフィリピンの最前線部隊であるフィリピン沿岸警備隊への支援を続けてきた。マニラの南シナ海における最前線部隊である。日本の融資により、現在運用中の13隻の船舶の建造が資金提供されており、その大部分は補給任務の護衛や、はるかに大規模な中国艦艇との対峙を目的とした紛争海域の巡視に配備されている。

日本は昨年、フィリピンに 5 隻の大型巡視船建造に 5 億ドルの融資を承認しました。日本製の巡視船のうちの 1 隻、RP スルアン(MRRV 4406)は、最近、スカボロー礁沖で発生した中国海軍と中国沿岸警備隊船舶の衝突事故の現場でその姿が目撃された。■


New Philippine-Japanese Defense Pact to go into Effect Next Month 

Aaron-Matthew Lariosa

August 12, 2025 4:56 PM

https://news.usni.org/2025/08/12/new-philippine-japanese-defense-pact-to-go-into-effect-next-month

アーロン・マシュー・ラリオサ

アーロン・マシュー・ラリオサは、ワシントンD.C.を拠点とするフリーランスの防衛ジャーナリストです。




2024年10月13日日曜日

台湾の国連加盟を認め、太平洋の平和を確保すべきだ(台湾外交部長 林佳龍による寄稿―Defense One)



Wong Yu Liang



国連は、決議2758号に関する北京の虚偽の主張を拒否することから始めるべきだ

中国外交部部長による論評 


湾と中国を隔てる97マイルの海峡が平和と安定を保っているおかげで、世界の多くの地域で数十億の人々が大きな繁栄を享受している。  私たちの島は、AI革命を推進する先端チップの多くを含む、世界のハイエンド半導体の90%以上を生産し、グローバル・サプライ・チェーンにおける不可欠なパートナーだ。 

 また、台湾海峡は世界の海上貿易の半分が通過すうる重要な国際水路となっている。 

 これらすべてが、海峡を挟んで現状を変え、インド太平洋地域全体に権威主義を拡大しようとする北京の試みによって脅かされている。 

 近年、世界の指導者たちは、G7、EU、NATO、ASEAN会議など、二国間や多国間の機会を利用して、海峡の平和と安定を維持することの重要性を強調してきた。 


 今こそ、最大の国際機関である国連が、台湾を排除する不当な政策を見直す時である。 

 国連はまず、国連総会決議第2758号(1971年)を歪曲しようとする中国の圧力に抵抗することから始めるべきである。

 この決議は、「(中国)政府の代表を国連における唯一の合法的な中国代表として承認し、蒋介石の代表を国連および国連に関連するすべての組織において不法に占有している地位から直ちに追放する」というものである。 

 中国はそれ以来、第2758号決議を故意に誤用し、台湾は中華人民共和国の一部であり、国連やその専門機関に有意義に参加する正当な権利はないと主張している。 

 このような誤った説明は、台湾市民やジャーナリストの国連施設への立ち入りを拒否し、訪問や会議への出席、取材活動を妨げるだけでなく、広範囲に及ぶ結果をもたらしている。 

 北京による決議2758号の武器化は、将来の台湾への武力侵攻を正当化する法的根拠を確立するためのキャンペーンにおける重要な要素の一つである。 

 しかし実際には、決議2758号は国連における中国の代表権のみを扱ったもので台湾に触れていない。台湾が中国の一部であるとも、国連システムにおいて台湾を代表する権利を中国に帰属させるものでもない。 

 つまり、この決議は台湾とは何の関係もない。 

 このケースは、国際舞台で自らの意思を押し通そうとする中共の自己主張が強まっていることを物語っている。 

 このまま放置すれば、北京は台湾海峡の現状を変え、インド太平洋の平和と安定を危うくし、ルールに基づく国際秩序を脅かすだろう。 

 ありがたいことに、ここ数カ月、米国の高官数人が、中国が台湾に対する偽りの主張を正当化するために決議2758号を歪曲していると批判している。 さらに7月30日には、38カ国とEUの250人以上の議員で構成される国際組織「列国議会同盟」が、決議2758号に関する模範決議を採択し、台湾への支持を表明した。 

 国連もこれに倣うべきだ。 

 中国の膨張主義は台湾だけにとどまらない。例えば、中国沿岸警備隊が最近導入した規則が一例だ。船舶への乗船や拘留を正当化し、係争中の海域への個人の立ち入りを許可する規則を導入することで、北京は国際水域の支配権を主張し、世界的な規範や主張に挑戦することを目指している。 

 手遅れになる前に、民主的な決意を前もって示さなければならないことは、歴史が証明している。 

 国際協力のための世界フォーラムである国連システムは、地域の安全保障上の課題に対処し、世界経済の安定を支える上で理想的な立場にある。 

 現在開催中の第79回国連総会と、その後に予定されている未来サミットは、世界の持続可能な開発という広範な目標を推進し、現在と将来の世代のために、より強靭な国際社会を構築する一方で、主要な安全保障上の懸念に対処する時宜を得た機会である。 

 何十年にもわたり、台湾は責任ある信頼できるパートナーであることを証明してきた。 

 最近では、国連の持続可能な開発目標にも大きく貢献している。 

 台湾の国連システムへの有意義な参加を受け入れることは、地域の危機を回避し、台湾海峡の平和と安定を維持し、世界の繁栄を促進するための国連の最良の選択肢となる。■


Want peace in the Pacific? Bring Taiwan into the UN system

The United Nations can start by rejecting Beijing’s false claims about Resolution 2758.

BY LIN CHIA-LUNG

MINISTER OF FOREIGN AFFAIRS, REPUBLIC OF CHINA

SEPTEMBER 24, 2024


https://www.defenseone.com/ideas/2024/09/want-peace-pacific-bring-taiwan-un-system/399772/


2023年8月1日火曜日

主張 米国の対中戦略に日本の力は欠かせない存在だ

 National Interestはどうしちゃったんでしょう。最近はめぼしい論文が減っているようです。今回は日米関係で正論を展開していあmすが、筆者はなんと現役学部生とのことで驚きです。日本にここまで正論を展開できる学部生が何人いるのかわかりませんが、優秀な方であることは確かなようですね。


アメリカの対中戦略に力を与える日本


日米同盟は太平洋の地政学的秩序の礎であり、両国は二国間関係の強化に取り組みその地位を維持するべき時に来た



年12月、岸田文雄首相は国家安全保障会議(NSS)を発表し、2027年までに防衛費をGDPの2%まで増やし、日本を世界第3位の軍事大国とすると約束した。多くの論者は、これを中国の侵略やロシアのウクライナ侵攻への動きと見ているが、日本が意図的かつ積極的にインド太平洋地域の新たなビジョンを打ち出そうとしていることをNSSが示している。「主要な国際的アクターとして、日本は同盟国や志を同じくする国々と協力し、特にインド太平洋地域における国際関係の新たなバランスを達成する」。


この目標を追求するため、日本は韓国との貿易紛争を終結させ、防衛関係を正常化させる新しい外交姿勢を実施した。さらに、NSSは米国との協力強化を求めている:「日本は、戦略レベルにおける二国間の協調を確保しつつ、外交、防衛、経済を含むあらゆる分野において日米同盟を強化するため、米国と協調して取り組む」。


要するに、NSSは、日本がアジアで積極的なプレーヤーになることを目指し、米国との協力強化が両国の繁栄を維持する鍵であると強調している。


日本が防衛支出を増やし、防衛協力を積極的に行えば、アメリカの戦略に大きな恩恵となる。戦略国際問題研究所が最近行ったウォーゲームによれば、日本に関する楽観的なシナリオの変更はすべて、台湾防衛の成功に向けた「大きな変化」をもたらす。その結果、同論文は米国の指導者たちに「日本との軍事的・外交的関係を深めることを優先する」よう勧告した。特に、日米両軍の作戦上の連携は、「日本軍との経験を持つ参加者」から特に重要視された。しかし、日米間の戦略的協力の強化は、軍事分野に限定されるべきではない。日本は、アメリカの広範な戦略目標を達成する上で重要な役割を果たせるのだ


バイデン政権下で、中国の一帯一路構想(BRI)に対抗するアメリカの構想がG7に提案されたが、軌道に乗らなかった。この失敗の一因となった問題のひとつは、あるアナリストによれば、「政策戦略や提供メカニズムに対する理解が乏しい」ことだ。つまり、アメリカの対応は資金不足だけでなく、約束したプロジェクトを実際に実現できない支離滅裂な組織構造やビジョンにも苦しめられているのだ。


一方、日本には開発資金を提供し、外交政策目標を推進するシステムがすでにある。外務省の下部組織で政府開発援助(ODA)を代表し資金支出する国際協力機構(JICA)である。1974年に設立されたもので、中国のBRIにインスピレーションを与えたことは間違いない。開発プロジェクトに資金を提供するだけでなく、海外に人材を派遣し、開発途上国で人材を育成する。1954年以来、海外に派遣された専門家は延べ197,000人、受け入れた研修生は649,000人にのぼる。現在のアメリカの政治的現実や、ウクライナ戦争のためにヨーロッパが「壮大な新しいプロジェクト」を作る意欲に欠けているのを考えれば、新しいシステムをゼロから作るより、確立ずみの日本のシステムと協調する方が賢明だ。


アメリカの戦略のもうひとつの柱は、CHIPS法やBuild America, Buy America法といった産業政策指向の法案の成立が示すように、産業基盤の再構築だ。この課題の重要な部分は、産業部門の人材の質と量を向上させることである。製造業では人材不足が続いており、この傾向が続けば、2030年までに200万人の未就職者が発生する予想がある。バイ・アメリカン法により、特に建設業界で重要商品の国内サプライヤーを見つけるのが苦しくなっている。業界関係者によれば、ドッククレーン、トラック、ボートリフト、および同様の機器では国内メーカーが存在しないという。さらに、最近アリゾナ州に建設された台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング社(TSMC)のチップ工場は、莫大な建設費(台湾の10倍)と有資格者不足のため、「...TSMCや台湾にはほとんど利益をもたらしていない」という。


一方、日本はこれらの分野で強力な製造基盤を持つが、デザインの才能に欠け、新規企業の年間平均参入率は経済協力開発機構(OECD)で最下位である。アメリカのベンチャー・キャピタルのエコシステムが依然として世界最大で、チップ・デザインの人材需要の43%を占めているのを考えれば、人材交流や企業協力を進めるのが両国にとり最善の利益となるだろう。


すでにこれは主要産業で起こっている:日本を半導体産業の最先端に戻すべく設立された日本のラピダスは、米ハイテク大手IBMと提携し、IBMの2nmチップ設計を製造している。しかし、焦点は専門化(アメリカがチップ設計を提供し、日本が製造する)だけであってはならない。例えば、ジョー・バイデン大統領は、バイ・アメリカ法の修正案を通過させるだろう。修正案では、日本企業がエンジニアをアメリカに派遣する(その機器を製造するためのベストプラクティスを現在の企業に教える)か、アメリカに合弁会社を設立する(その機器を製造する)ことと引き換えに、アメリカが現在製造できない機器の一時的な免除を認めている。


後者は、はるかに友好的ではない条件ではあるが、以前にも行われたことがある。1980年代にトヨタがアメリカの自動車市場に急速に拡大した後、議会は日本政府との間で輸出自主規制を実施し、アメリカへの自動車輸出をアメリカ市場の22%に制限した。この措置は、日本への輸入関税の脅威が迫っていたことに加え、トヨタが米国で自動車を生産するため米国の自動車製造大手ジェネラルモーターズ(GM)と合弁会社を設立することを促し、ニュー・ユナイテッド・モーター・マニュファクチャリング設立につながった。その目的は、トヨタがアメリカで工場運営を学ぶ一方、GMがトヨタ生産方式を導入し品質を高める方法を学ぶことだった。このベンチャー事業は、両社にとって非常に有益だと証明された: ホワイトハウスの自動車タスクフォースによれば、GMの調達・生産システムは「世界トップクラスであり、日本の自動車メーカーのシステムと同程度に効率的」だという。もし、GM側の自暴自棄とトヨタ側の強要がミックスされた結果でこの結果が得られたのであれば、アメリカと日本の利害が明確に一致している今日、さらなる高みに到達するだろう。


文化的なレベルでは、アメリカのアナリストが日本側アナリストと対中対応で真剣に協力すれば、より効果的な中国戦略をもたらすだろう。日米は激動の歴史を共有しているため、日本の外交官は、中国が大国として台頭した結果生じた問題に関して、先手を打っていた。昨年初め、元駐米日本大使の佐々江賢一郎は、『エコノミスト』誌で次のように述べている:「私たちは米国に警告した。これは日中間の小さな区分けされた問題ではなく、この地域で大国が成長する兆しなのだ」。残念ながら当時、この警告は耳に入らなかった。東京大学のある中国専門家は、同じ記事でこう嘆いている:「15年前、私が(欧米の同僚に)中国のマイナス面を話すと、右翼的で中国嫌いの日本人学者として扱われたものだ」。


これは変えなければならない。理想を言えば、アメリカは日本を理解し、中国と協力するため、中国とほぼ同数の人員を割くべきである。日米同盟は現在の太平洋における地政学的秩序の礎石であり、その地位を維持するために両国は二国間関係の強化に取り組むべき時なのだ。■



How Japan Can Power America’s China Strategy | The National Interest

July 27, 2023  Topic: Japan 

Siddhartha Kazi is an undergraduate student studying Industrial Engineering at Texas A&M University.

Image: Shutterstock.


2022年12月22日木曜日

航空自衛隊のRQ-4Bグローバルホーク運用が始まった。12月21日。三沢に専用部隊発足。航空自衛隊

 Japan Flies Its RQ-4 Global Hawk For The First Time

Japan Ministry of Defense

 

高空飛行する偵察機RQ-4は、太平洋で緊張が高まる中、日本と同盟国による敵監視に有効だ

 

 

空自衛隊JASDFは、2015年に米国から調達プロセスを開始した新しいRQ-4Bグローバルホーク偵察機の1機目を正式に飛行させた。高高度・長時間耐久型(HALE)無人航空機は、日本の状況認識を強化し、北朝鮮や中国など外部勢力からの攻撃を抑止し対応する方法を模索する中で、日本の監視能力の強化につながることが期待されている。

 ノースロップ・グラマンが設計したRQ-4は、12月21日に非公開の場所で航空自衛隊が初飛行させた。日本が3月に最初のグローバルホークを受け取ってから8ヶ月後となった。グローバルホークは18.7時間の太平洋横断飛行でアメリカから飛来した。その1年前の2021年4月には、ノースロップ・グラマンがカリフォー二ア州パームデール施設で、日本のグローバルホーク無人航空機(UAV)による初の米国内飛行試験を実施した。グローバルホークは、国務省の対外軍事販売プログラムにより、合計3機が日本に購入されている。

 

12月21日、航空自衛隊で初飛行する日本の「RQ-4Bグローバルホーク」。出典:防衛省

 

「グローバルホークは、日本から比較的離れた地域での情報収集や、緊張が高まっる状況での持続的空中監視を行うため導入されます」と、航空自衛隊は3月の声明で述べていた。

 2018年にノースロップ・グラマンが受注したグローバルホーク3機(ブロック30の構成をベース)の国防総省の契約は、4億8990万ドルだった。このUAVの日本仕様3機のそれぞれは、合成開口レーダー、赤外線/電気光学センサー、信号情報装置を備える。今回の受注では、地上管制システム2基と予備品、運用飛行試験支援、通信機器など支援サービスが含まれている。

 グローバルホークは、重量14,950ポンド(6,781キログラム)の超大型無人機で、情報・監視・偵察(ISR)作戦を行うため設計された。高度6万5,000フィート(約2万メートル)を飛行し、34時間以上滞空できる。

 

2022年3月12日、日本に到着したRQ-4Bグローバルホーク。Credit: JASDF

 


 航空自衛隊の新しいグローバルホーク部隊は、本州北部に位置する三沢基地に配備される。2014年から、アメリカ空軍は夏の間、台風や雷雨でグアムのアンダーセン空軍基地でのUAVによるISR業務に支障が出たため、自軍のグローバルホークを多数三沢に常駐させてきた。しかし、2020年以降、この移転は主にアンダーセンと横田基地間で行われている。

 航空自衛隊は、三沢の新型グローバルホークを運用する専門部隊も発足させた。航空自衛隊の航空偵察群は、9月からアンダーセン基地の米空軍第4偵察飛行隊と訓練し、無人偵察機の飛行に必要な手順やプロトコルに慣れ親しんでいる。

 ノースロップ・グラマンによると、グローバルホークは最終的に「地上の指揮統制部隊を含む」日本の情報資産と統合される。グローバルホークの新部隊によって、日本は、米国に加え、オーストラリア、韓国、NATO加盟国など、グローバルホーク無人偵察機の運用を行う同盟国に加わる。 

 グローバルホークは、広大な面積の島々からなる日本が、自国領土への接近をよりよく監視するのに役立つ。また、国際空域から他国を覗き込むことで、軍事活動の監視や広大な土地の監視も可能になる。また、将来的には日本の海軍作戦を支援することも可能だ。

 グローバル・ホークは無防備で、半自動の「デスクトップ」のような「ポイント&クリック」インターフェースを使って操作される。運動能力では価値がないが、提供する情報は敵に対する運動作戦を実行する上で重要な意味を持つ可能性がある。

 グローバル・ホークが日本の偵察活動に導入されたのは、日本が現在の地政学的情勢に対応し防衛政策を大きく転換しているときとなった。これは日本の国家安全保障戦略の中で強調され、日本国憲法第9条が自衛行動のみを行うべきであると述べているにもかかわらず、「相手国の領土で有効な反撃を行う」能力は、それでも「最低限の自衛手段」であると説明されている。

 また、米国が自国部隊の規模を大幅に縮小している中で、日本がグローバルホーク運用を開始する。しかし、RQ-4は日本にHALEの能力を与え、このユニークな任務に対応できる実績のある成熟したシステムを提供する。

 グローバル・ホークが日本と同盟国の情報収集に強力に貢献することは間違いない。■


Japan Flies Its RQ-4 Global Hawk For The First Time | The Drive

 

BYEMMA HELFRICH|PUBLISHED DEC 21, 2022 7:56 PM

THE WAR ZONE


2022年5月5日木曜日

GWでのんびりしていられない。PLANの遼寧空母打撃群が宮古海峡経由で太平洋入りし、演習を展開している。その他英米海軍の動きも。

 


Chinese ships operate off the coast of Japan on May 2, 2022. Japanese MoD Images

 

民解放軍海軍(PLAN)は月曜日、空母CNS遼寧(16)を先頭に、駆逐艦5隻、フリゲート、補給艦を伴う8隻の空母群を宮古海峡経由で太平洋に送り、同海域での中国空母運用は2021年12月以来となった。

 

 

 自衛隊統合幕僚監部(JSO)は月曜日、同部隊の通過について、艦級と艦番号で識別した艦艇写真含む報道発表を発表した。

 遼寧の他、055型駆逐艦CNS南昌Nanchang(101)、052D型駆逐艦CNS西寧Xining(117)、CNSウルムチUrumchi(118)、CNS成都Chengdu(120)、052C 型駆逐艦 CNS鄭州Zhengzhou(151)、054A 型フリゲート CNS 湘潭Xiangtan(531)、901 型高速戦闘支援艦 CNS 呼倫湖Hulunhu(901)が確認された

 統合幕僚監部によれば、遼寧は、南昌、西寧、ウルムチ、成都及び呼倫湖と共に、日曜日午前0時頃、東シナ海の無人島、男女諸島の西350kmを南に航行しているのを目撃された。日曜日午後6時、湘潭は沖縄の北西480kmを東に航行するのを目撃された。月曜日には、鄭州が南下し、大正島の北160kmの海域を航行するのが目撃された。その後、PLAN艦船は、宮古海峡を一緒に南下した。

 海上自衛隊のヘリ空母「いずも」(DDH-183)、第4航空群(本州・厚木基地)のP-1海上哨戒機、第5航空群(沖縄・那覇基地)のP-3C海上哨戒機がPLAN艦艇を監視した。遼寧は東シナ海でヘリコプター運用を行った。

 新華社通信が火曜日に報じたところによると、中国海軍の高秀誠Gao Xiucheng報道官は、遼寧グループが西太平洋で訓練を行っており、中国海軍が年次計画に従い、関連国際法および国際慣行に従い組織した日常的訓練である、と述べた。日本はこの地域の外国海軍の活動や通過を監視するため、恒久的レーダー局を大東諸島に設置する方向で検討している。

 

2021年12月配備の中国空母「遼寧」(16)から離陸する人民解放軍海軍の空母戦闘機J-15。PLAN写真

 

 第7艦隊のリリースによると、沿海域戦闘艦USSジャクソン(LCS-6)が現在、シンガポールのチャンギ海軍基地にあり、シンガポール滞在中に計画的整備稼働(PMAV)を実施する。

 「第7艦隊の発表によると、ジャクソンが再びチャンギ海軍基地を整備場所として使用することは、重要なマイルストーンであり、作戦指揮官は整備と運用のための適応性を高めることができます」と、第7遠征打撃群(ESG)/タスクフォース76司令官のクリス・エングダール少将Rear Adm. Chris Engdahlは発表した。「シンガポール共和国との防衛関係や、自由で開かれたインド太平洋を確保する共通目標に向け努力する艦船を受け入れてくれることに感謝している」。

 英国海軍のオフショア巡視船HMS スペイSpey(P234)は、姉妹船HMS テーマーTamar(P233)と合流するため、金曜日にセンバワン海軍施設に到着した。英国海軍の両艦は、インド太平洋地域におけるプレゼンス強化の英国政策の一環として、5年間の予定でインド太平洋地域に配備される。■

 

   

Chinese Carrier Liaoning Strike Group Steaming Near Japan, Says MoD - USNI News

By: Dzirhan Mahadzir

May 3, 2022 1:30 PM

 



About Dzirhan Mahadzir

Dzirhan Mahadzir is a freelance defense journalist and analyst based in Kuala Lumpur Malaysia. Among the publications he has written for and currently writes for since 1998 includes Defence Review Asia, Jane’s Defence Weekly, Navy International, International Defence Review, Asian Defence Journal, Defence Helicopter, Asian Military Review and the Asia-Pacific Defence Reporter.


2021年9月8日水曜日

ファイブアイズはナインアイズへ。日本、インド、ドイツ、南朝鮮の加盟へ。

 



「ファイブアイズ」サミットがカリフォーニアで2019年に開かれた(Photo: Rights reserved).


「ファイブアイズ」通信傍受追尾集団を率いる米国はオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、英国とともに新規加盟国を加えたいとする。


1941年の大西洋憲章調印後に英米両国は枢軸国の通信傍受の仕組みづくりに動いた。1946年のUKUSA合意に発展し、1948年にカナダを加え、その後オーストラリア、ニュージーランドが1956年に加入し、「ファイブアイズ」(FVEY)が生まれた。


その後、第二陣として発足五か国と同等ではないが、デンマーク、フランス、ノルウェー、オランダ加わり、さらにその後ドイツ、ベルギー、スペイン、イタリア、スウェーデンも加わった。今回は第四次加盟国として南朝鮮、イスラエル、日本、シンガポールが加わる。


下院軍事委員会はドイツ、南朝鮮、インド、日本の地位を高めるべきとの構想を練っている。


ファイブアイズの全貌は2013年にエドワード・スノーデンがすっぱ抜くまで誰も知らなかった。この「内部告発」によりファイブアイズは外国勢力のみならず加盟国国民も監視対象にしていることが判明した。スノーデンは現在ロシアに亡命中だが、以下の監視事業五種類を暴露した。

  • プリズムは主要インターネットプロバイダー各社上のインターネット通信を不法に監視するもの

  • テンポラは潜水艦ケーブルを介しての通信傍受

  • マスキュラーは国際間のデータベースのやり取りを傍受する

  • ステイトルーム(ウィーン条約に違反し大使館、領事館の現地通信を傍受する)

  •  Xキースコアは世界規模のデータ処理


ファイブアイズは国家が運用するというよりむしろ国家の域を超える存在だ。各国の憲法や基本法を違反することもある。加盟国の元首や政府が集まった姿よりも強力を誇る。「世界で最も監視されてるのはファイブアイズ」国の市民で、中国やロシア国民よりもその監視の強さは大きい。■


"Five Eyes" about to become "Nine Eyes"

VOLTAIRE NETWORK | 6 SEPTEMBER 2021


2021年5月8日土曜日

P-1は中国への抑止力である。機体にはさらに派生型が生まれる余地があり、今後の日本の安全保障に重要な装備となる。輸出は期待できないが....

 

 

 

 

ここがポイント: 日本は2014年に軍事ハードウェア輸出条件を緩和し、P-1の海外売込み活動を開始した。だが、ポセイドンの牙城は崩せず、ニュージーランド、英国で売り込みに失敗した。川崎重工製同機の単価は140-160百万ドル程度だがポセイドンのフライアウェイ価格は125-150百万ドルになっている。

 

水艦作戦で経済が苦境に陥った国は日本が唯一だ。大西洋ではドイツUボートが両大戦で英国の補給線を狙ったが、Uボートは連合軍の対潜作戦で除去された。これに対し、連合軍は日本の商船隊の55パーセントを第二次大戦中に沈め、日本帝国の細い補給線を遮断した。

 

これが海上自衛隊の記憶に残り、中国PLA海軍潜水艦部隊の急速な整備であらためて自覚されている。PLAN潜水艦部隊は間もなく世界最大規模になる。大部分はディーゼルやAIP推進方式の短距離対応艦といっても日本にとって慰めにならない。なんといっても日本経済は海上交通路の確保が生命線だ。

 

対潜戦(ASW)のカギを握るのは大型対潜哨戒機で、過去半世紀にわたり日本は米国設計のP-3Cオライオンを運用してきた。同ターボプロップ機は長時間哨戒し、艦船を追尾し、潜水艦探知もしてきた。だがオライオンも供用機間の終わりに近づき、日米で別々の後継機種開発が進んだ。

 

米国のP-8ポセイドンは双発のボーイング737-800旅客機を原型に、高高度哨戒飛行に特化した機体だ。これに対し、川崎重工のP-1は2007年初飛行の完全新型機でエンジン4発で、低高度高高度双方の作戦に対応する。P-1はC-2と同時開発され、重量で25パーセントの部品を供用している。

 

P-1の頑丈な主翼で失速速度が低くなり、低空飛行性能はP-8を上回る。全長38メートル、最大離陸重量88トンの同機は2018年ベルリン航空ショーで展示された。

 

エンジンはF7-10ターボファン四基で長時間哨戒飛行で冗長性を確保しており、P-3より10デシベル低い騒音レベルで音響ステルス性能を実現した。P-1は5千マイルの最大飛行距離を有し、時速518マイルで巡航しP-3より30パーセント早く対象海域へ到達できる。(最大速度は621マイル)到着後はエンジン二発で低速飛行し燃料を節約する。

 

パイロット2名、ミッション担当9名が運用する。光ファイバーによるフライバイワイヤ方式を世界初めて搭載した機体となり、信頼性が増し機内センサー装備は電磁干渉を受けない。

 

P-1の各種センサーでは、まず強力なHPS-106アクティブ電子スキャンアレイレーダー4基があり、機体全周を監視する。水上走査で艦船を探知し、潜水艦のシュノーケルやセンサーマストも探知可能だ。同時に航空監視も可能で臨時のAWACS機にもなる。電磁センサーアンテナがコックピット上部にあり、敵のセンサーや通信活動を探知し、HAQ-2赤外線電子光学センサーのタレットが機首下にあり、水上艦船を監視する。さらにHQA-7音響処理ユニットが潜水艦のディーゼル騒音を聞き取り、カナダ製ASQ-508(V)磁力異常探知装置(MAD)が機体後部につき、潜水艦艦体が生じる磁力特性を低空飛行で探知する。

 

ただし、ソナーブイの投下が潜水艦探知手段の中心で、P-1は37基を搭載する。キャビンも使えば70基を追加搭載する。センサー情報各種をHYQ-3戦闘指揮システムで統合し、人工知能を活用し探知した潜水艦の今後の移動を予測する。HYQ-3は海上自衛隊のSH-60Kヘリコプターなどその他対潜装備と情報交換し、海軍装備データベース、衛星偵察データベースとリンクアップし、潜水艦の正体を突き止める。P-1にはLink-16データリンクも搭載し、F-15Jや767AWACSやイージス搭載駆逐艦ともセンサー情報を共有する。

 

敵のミサイル攻撃を受けると、HLQ-9ミサイル警告装置が作動し、電子妨害とともにチャフ・フレアを放出し攻撃をかわす。

 

P-1は20千ポンドの兵装をハードポイント16か所に搭載しており、お返しに機雷、マーク46あるいは日本製軽量対潜魚雷、ハープーンあるいはASM-1C亜音速対艦巡航ミサイル、AGM-65マーヴェリック精密誘導ミサイルをお見舞いするだろう。

 

2018年央時点でP-1は18機が海上自衛隊第三航空隊(厚木基地)とVX-51試験隊に配備されていた。さらに20機が発注済みだった。運用面の詳細情報は少ないが、関係者はP-1が「P-3時代より遠距離地点で潜水艦を中低高度で探知するのが普通になっている」とAviation Weekに述べている。

 

最終的にP-1は60機ないし70機が導入され、P-3Cと交代する。またP-1搭載センサーの性能向上は10年ごとに実施する。自衛隊ではEP-3C通信情報収集機(5機)、OP-3C光学偵察機(4機)、UP-3C・UP-3D試験訓練機(4機)の代替用として改修したP-1の調達にも向かいそうだ。

 

2014年に日本は軍事ハードウェア輸出ルールを改正し、P-1の対外営業活動を開始した。だがポセイドンの牙城は崩せず、ニュージーランド、英国での商談は成約に至らなかった。P-1機体単価は140-160百万ドルだがポセイドンはフライアウェイ価格で125-150百万ドルといわれる。それでもタイ、ヴィエトナム両国が関心を示しており、フランス、ドイツへは老朽機材アトランティーク2哨戒機の後継機種として売り込みを図った。ただし、米国の軍事装備品調達ネットワークの強さ、737部品の入手が容易なことでP-1には不利だ。

 

それでもP-1にはP-8より優位な点が見られる。低空飛行性能、最高速度、ハードポイントの多さ(P-1が16、P-8は11)、四発エンジンによる柔軟運用、MADセンサーの搭載(P-8はインド向けP-8I除きこれを搭載していない)といった点だ。両機のセンサー機能の比較は実務上の知見がないと困難だ。ただしその貴重な機会が2018年6月にあらわれ、マラバール対潜戦演習で日本のP-1が米印両国のP-8と並んで参加した。

 

ここまで高性能な対潜哨戒機が海外販路を開けるかは別として、日本はP-1やそうりゅう級大気非依存型潜水艦に中国の潜水艦部隊整備からの防衛効果を期待している。■

 

 


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Without Firing a Shot, This Japanese Plane May ‘Sink' China’s Submarines

May 7, 2021  Topic: Submarines  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: SubmarinesAnti-Submarine Warfare JapanMilitaryChinaNavy

by Sebastien Roblin

 

Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring .

This article first appeared in July 2018.

Image: Wikimedia Commons