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2021年7月12日月曜日

戦略輸送機Y-20はグローバル規模での拡大を目指すPLAの野望を実現する手段だ。その他空中給油機、電子戦機などへの応用も要注意。

 

A Chinese People's Liberation Army Air Force Y-20 transport aircraft

2018年珠海航空ショーで飛行展示されたY-20。

November 7, 2018. AP Photo/Kin Cheung



国の軍事力の拡張として新型艦船、航空機が次々と加わっているが成長ぶりが最も著しいのが輸送機で、とくに大型輸送機の拡張ぶりが目立つ。


中国が運用する戦略級輸送機数は現時点で世界の11パーセント相当だが2020年代末に18%に増え、世界最速で機材規模が成長している。


その他中国の軍事装備品と同じく輸送機部隊もソ連時代の原設計が中心だ。1990年代以降、少数ながらIl-76やその派生型を輸送他のミッションに投入している。


中国の輸送機部門は「極めて低い水準から」拡大しているとRANDコーポレーション(シンクタンク)の国際防衛部門上級研究員ティモシー・ヒースが評している。


グローバルな活動へ


中国初の国産大型輸送機が西安Y-20で開発は2000年代中ごろ始まった。2013年に初飛行し、2016年より供用を開始した。実機数は不明だが、少なくとも20機が稼働中とみられる。


Y-20は全長約150フィート、全高50フィート、翼幅160フィートの機体で航続距離は5千マイルほどだ。公式正式名称はKunpengとされ、神話で何千マイルを一気に飛んだ鳥とされるが、ふっくらした機体から「丸ぽちゃ娘」の愛称もついている。


Y-20は空中指揮統制機、空中投下、空中給油、戦略偵察、人道援助災害救難用途への利用も想定しているとペンタゴンは分析している。


だが、ヒースは中国輸送機の基本任務は兵員を長距離迅速移動させることにあるという。


A Chinese Y-20 airlifter

A Y-20 at the Zhuhai air show, October 31, 2016. Dickson Lee/South China Morning Post via Getty Images



中国の海外基地はジブチが唯一だが、世界各地で新たな基地確保を目指している。大型輸送力が実現すれば人民解放軍は「危機状況が遠隔地で発生しても迅速対応できる」選択肢を確保でき、兵員輸送から非戦闘員の国外退避まで実施可能とヒースは見ている。


「こうしたミッションで影響力を強められる」とヒースは付け加え、「PLAはグローバルな軍事プレゼンスを確実に実現する」


Y-20は中国西部を飛行しており、「地理慣熟効果」を目指すとし、インド国境近くまで飛行することもあり、極寒地、山地の環境や高高度での運行を試しているほか、南シナ海でも海上飛行を行っているとヒースは指摘した。


Y-20の一機がフィアリークロス礁の滑走路に昨年12月に見つかっているが、同機のスプラトリー諸島方面への初めての飛行だった。


今年5月にマレーシアが南シナ海上空で同国領空侵犯があったと抗議し、Il-76とY-20の編隊だったと述べた。中国軍事筋はチャイナモーニングポストで「南シナ海の天候状況等に」慣熟するための飛行と認めた。


野望はさらに拡大する



A Chinese People's Liberation Army Air Force Y-20 transport aircraft

A Y-20 at Airshow China 2018 in Zhuhai city, November 7, 2018. AP Photo/Kin Cheung



Y-20のミッション内容はさらに拡大する。中国は落下傘兵降下を重視しており、旧式Y-8やY-9に代わり投入され、情報収集任務も想定されているとヒースは指摘した。また、同機で空中給油機能が実現すれば大きな意味があり、中国の戦闘作戦範囲が広がる。


中国には空中給油機として爆撃機の改装型やIl-78が計25機あるが、Y-20Uが今後こうした機材に交代していく。


Y-20Uは2018年12月に初の空中給油に成功したといわれ、量産に入ったようだ。

Chinese Y-20 cargo planes delivering medical supplies to Wuhan

Y-20の11機が医療従事者・補給品を武漢へ搬送した。February 13, 2020. TPG/Getty Images


中国国内アナリストにはY-20Uは西側給油機より性能が劣るとの見方があるが、「わが軍の長距離戦闘能力実現という喫緊の課題にこたえる装備だ」との意見もある。


だがその他中国製機材と共通し、エンジンがY-20の欠点だ。これまでソ連時代のエンジンが搭載されてきたが、新型国産エンジンのテストが始まったとの報道があり、推力、航続距離ともに伸び、ペイロードが150千ポンドに拡大するとの見方がある。


報道内容から最新の西側及びロシア製エンジンと比較してソ連時代のエンジンは「信頼性が著しく劣り、相対的に性能不足」とヒースは述べている。「そのため機体は中国にとって一歩前進だが、まだ高性能機材にはなっていない」


中国が輸送機の航続距離を伸ばそうとするのは軍事面での野望の反映であり、補給品やノウハウ提供を頼ってきたロシアを追い越す勢いだ。


「中国はロシアでさえ達成できなかった方面へ向かおうとしている。航空機による長距離兵員展開がその例だ。ロシアにはない資源が中国にはあり、ロシアの後を追ってきたが、今や指導役だったロシアを追い越そうとしている」■


この記事は以下を再構成し人力翻訳でお送りしています。市況価格より2-3割安い翻訳をご入用の方はaviationbusiness2021@gmailまでご連絡ください。


China's Fast-Growing Airlift Fleet Reflects Beijing's Military Goals

Christopher Woody Jul 8, 2021, 2:35 AM


2018年11月18日日曜日

Y-20が中国のグローバル大国志向に果たす役割に注目すべきである


This Not-So-Scary Picture Should Terrify the U.S. Military

一見無害なこの写真が米軍を震え上がらせる

Just how many Y-20s the PLAAF has ordered remains a mystery—at least eight are known to have entered service by 2018. The Y-20’s cost also remains obscure, with numbers ranging from $160 to $250 million floated. PLAAFが同機を何機発注しているかは不明のままだ。すくなくとも8機が2018年までに納入されたと判明している。機材価格もはっきりしないが、160百万ドルから250百万ドルの範囲といわれる。

by Sebastien Roblin

November 12, 2018  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaMilitaryTechnologyWorldY-20PLAAF



国がグローバル大国に近づこうとする中、往時の米国同様の装備調達が続いており、中でも大型輸送機での拡充が目を引く。新型Y-20輸送機は米C-17の生産が終了した現時点で製造中機体として世界最大の輸送機だ。

米空軍が運用中の輸送機材は600機ほどで、C-130ハーキュリーズ、C-17グローブマスター、C-5ギャラクシーの各型がある。人民解放軍空軍PLAAFには145機ほどしかない。そのうち43機あるY-7は六トンしか運べない。グローバルかつ「戦略的」輸送能力ではロシアから導入したIl-76MDの22機があり、53トンを運べる。リビア内戦が2011年に勃発し、PLAAFは自国民退避にIl-76を4機派遣した。

現在の中国ではアフリカでの軍事展開の必要が増えており、インド洋、太平洋での軍事基地、同盟国への補給任務も同様だ。だが戦略輸送能力が必要な背景には本国近辺の事情もある。2005年の四川大地震を受けてPLAAFは被災地への貨物輸送に奔走した。

そのわずか一年後に西安航空機が新型大型輸送機開発を開始した。それまでの中国貨物機はすべてソ連機のコピーあるいは輸入機材だったが、西安はアントノフ設計局の支援を仰いだ。ウクライナの同社からターボプロップAn-70の拡大、ジェット化案が提示された。中国が六十四トンの大型99A戦車を開発し設計案に手を加える必要が生まれた。

開発はJH-7戦闘爆撃機を開発したTang Changhongの手に委ねられた。開発チームは設計で3Dモデリング技法を全面採用し、3Dプリンターに混合材料を投入した。またrelational design 技法で機体の「骨格」モデルを作成し、一方の形状を変更すれば自動的に残りの部分の修正が完了した。この手法で機体開発・製造時間を30から75%短縮できたと伝えられ、2013年1月に試作機が初飛行できた。

四発機となり広い胴体から「太っちょ娘」の愛称がついた。なお、公式名称はKunpengである。110トンにおよぶ機体だが未整地滑走路運用も可能で最前線近くへ進出できる。600ないし700メートルで離陸可能という報道がある。ただしY-20の特徴は航続距離の長さにあり、貨物満載で2,700マイル(4,300キロ)、中程度軽程度の貨物なら7,200キロから9,900キロ飛べ、最大時速は575マイル(920キロ)だ。

Y-20は最大72.5トンの貨物搭載量があり、Il-76を上回るが、C-17の85.5トンには及ばない。それでも99型戦車一両の運搬には十分だし、軽装甲車両なら一度に数両を搭載できる。パラシュート投下可能なZBD.-03先頭車両は三両を搭載できる。

ただし難点がある。中国機の例に漏れず、国産ターボファンエンジンだ。Y-20には今のところロシア製のソロヴィエフD-30ターボファンを搭載し最大貨物搭載量を55トンに制限している。だが性能諸元を見ると大出力の瀋陽WS-20高バイパス比ターボファンに換装するようで、推力が24千ポンドから28千ポンドへ引き上がる。だがWS-20は高バイパス比版のWS-10Aエンジン(Taihang)でJ-11戦闘機搭載エンジンを改装したものだ。同エンジンは性能、信頼性両面の欠陥で悪名高い。

PLAAFはY-20の2機をまず第12輸送連隊(四川省成都)に2016年7月に導入した。2018年5月に初の落下傘兵降下、貨物投下を実施した。

長距離輸送以外にも中国は同機を空中給油機また早期警戒機として活用するのはほぼ確実だ。給油機として投入されれば戦力増強効果を発揮し、H-6K戦略爆撃機の航続距離を伸ばし、太平洋地区全域が作戦範囲に入るだろう。

Y-20の長距離性能があれば海洋哨戒機・対潜機材として、さらに電子線機材やスパイ機として理想的だ。ただし、一部任務では機材が大きすぎる場合もある。現時点での欠陥は空中給油を受けられないことだ。

中国では同機に固体ロケットを搭載し衛星の迅速打ち上げに流用する構想が出ている。また空中発射レーザーで弾道ミサイル防衛にも利用できるとする意見も出ている。西安航空機では民生型も開発し輸出も進めたいとし、スリランカから照会を受けている。

PLAAFが同機を何機発注しているかは不明のままだ。すくなくとも8機が2018年までに納入されたと判明している。機材価格もはっきりしないが、160百万ドルから250百万ドルの範囲といわれる。
2016年にはAVIC関係者 Zhu Qianが中国にはY-20が最低1,000機必要と発言して驚かせる事態が発生。世界各地で飛行中の大型輸送機の合計はこの数より少ない。もちろん発言はメーカーの意見であり中国軍の見解ではない。国防大学が先に発表した研究結果はY-20が400機が必要としていたが、それでも相当の規模だ。
だが中国国防アナリストのXu Yonglingが人民日報に語った内容ではY-20発注規模は100機未満とし、今後5ないし10年すればより高性能の機材が登場するという。AVICでは米C-5ギャラクシーあるいはアントノフAn-225に匹敵する超大型機の開発も想定しているという。An-225は世界最大の実用輸送機でペイロード最大は275トンもある。中国は同型一機をウクライナから購入している。
Y-20及び後継機は中国の軍事政治両面の国力投影能力を着実に伸ばす手段になり、とかく注目を集めがちのステルス戦闘機や空母より意味のある存在かもしれない。ステルス機や空母はハイテク装備を有する敵との大規模戦で実力を発揮する。だが輸送機が大量にあれば超大国への道を目指す中国の台頭を日常的に見せつけられる。迅速展開した部隊の活動を維持する、あるいは人道援助を世界各地で展開できる。同時にこれまで米国や欧州各国が果たしてきた「世界統治」ミッションに中国も加わることになるからだ。■
Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

2017年11月8日水曜日

中国が空中給油能力を獲得するとこうなる


中国が空中給油能力を獲得すればそれだけ脆弱性が増えて、西側は給油機を狙い撃ちするだけでしょう。数字の上では各地を狙えるはずですが、中国がそこまでの軍事組織を動員する作戦を展開するとは思えません。(今のところ)日本としては尖閣諸島上空にPLAAF戦闘機が滞空時間を延ばす効果を上げるのが困るでしょうね。


This Piece of Chinese Military Hardware Could Change the Balance of Power in Asia

この中国軍用機がアジアの軍事バランスを変えてしまうかもしれない
A Y-20 transport plane of People's Liberation Army Air Force is seen on the tarmac after its arrival for the upcoming China International Aviation & Aerospace Exhibition, in Zhuhai, Guangdong province
November 6, 2017


  1. 2001年10月7日、米軍がタリバン・アルカイダのアフガニスタン国内拠点に空爆を開始し不朽の自由作戦が始まった。爆撃機15機攻撃機25機が巡航ミサイル50発を45拠点に発射した。第一段階が終わった2001年12月23日までに米空軍、海軍、海兵隊は6,500ソーティで17,500発を各種標的に発射している。
  2. 米空軍の発進地点はアフガニスタンから遠い場合で数千マイル離れており「エアブリッジ」が必要となり、米空軍はKC-135やKC-10を動員し海軍はS-3ヴァイキング(現在は全機退役)を動員した。
  3. 中国人民解放軍(PLA)は米軍の砂漠の盾・砂漠の嵐作戦、NATOのバルカン作戦、不朽の自由作戦、イラクの自由作戦を詳しく観察し、近代戦における航空戦力の意義に注目した。PLAに「ショック」だったのはハイテク戦を展開しないと先進的な他国軍に互角に戦えないことがわかったからだ。中国の軍事戦略は大幅に変化し「新時代にむけた軍事戦略ガイドライン」(中国共産党およびPLA、1993年)が発行された。長距離航空攻撃ミッションが不朽の自由作戦・イラクの自由作戦で展開できたのは空中給油があったからで航空兵力投射が実現できた現実を中国軍指導部は厳粛に受け止めた。
背景
  1. 中国の空中給油の出発点はツボレフTu-16K爆撃機のコピー生産が始まった1960年代末だ。生産は1980年代末まで続き、H-6と名称を変えH-6U空中給油の開発原型機となった。ただしH-6Uは1993年の国家軍事改革方針に合致せず、そのためH-6Uは20機未満に過ぎず能力も不足している。これを補うためPLAはイリューシンIL-78ミダス給油機をロシア(ウクライナ)から調達し空中給油能力を獲得したばかりか国産機に使える技術を入手した。
  2. ただし空中給油能力の不足がPLA空軍(PLAAF)およびPLA海軍航空隊(PLANAF)の航空兵力投射能力を制約していると2014年版の米中経済安全保障検討委員会報告が指摘している。「中国には空中給油機が不足し技術も劣るため現行作戦機は空中給油を受けられない。このため進出範囲が限定される。空中給油機材はおよそ12機のH-6Uで大規模長距離航空作戦の継続には圧倒的に不足している」
  3. PLAAFは西安Y-20鲲鹏“Kunpeng” (数千マイル飛行できるといわれる中国の伝説の鳥)大型輸送機の一号機を改装して国産給油機を作成し、初飛行を2013年1月に行っている。同機はその後エンジン研究開発評価に投入された。
  4. 2017年3月にPLAはY-20量産を発表し、同機設計主任Tang Chang Hongは8か月にわたる実用試験を経てPLAAFは同機の性能に満足していると語った。「Y-20を母機に大型かつ重要な機材を開発する」とし、空中早期警戒統制(AEW&C)や空中給油機のことを指しているらしい。
  5. ただし空中給油は長距離航空兵力投射を支える一要素にすぎない。
どう活用するのか
  1. 2007年からH-6K型爆撃機の空中給油能力も含む性能改修が始まった。2015年3月にはPLAAFはH-6で長距離かつ複雑な洋上航空作戦を日本海、フィリピン海、南シナ海で展開しはじめた。作戦は第一列島線を越え西太平洋に宮古海峡、バシー海峡から通過して展開された。2016年にPLAAFは台湾一周飛行や「戦闘哨戒飛行」を南シナ海上空で開始し、飛行には少なくとも6種類の支援機材として情報収集機、早期警戒機、戦闘機、電子戦機が投入された。さらに毎回の飛行はPLAN水上艦艇群と連絡し、中国軍の統合運用の様相を示している。
  2. 戦略的な意味では爆撃機フライトは台湾の蔡総統政権に圧力をかけるだけでなく中台紛争の発生時は米軍に介入を思いとどまららせる効果もある。作戦面ではフライトはPLAAF乗員に長距離飛行の訓練となり気象状況などの変化に対応し、洋上航法や外国機とのやりとりの訓練の他、情報収集効果も期待できる。空中給油は掩護戦闘機が限定的に利用しているがこの場合は制約条件にならない。
作戦上の意味
  1. H-6Kの戦闘行動半径は1,890カイリといわれ、CJ-10あるいはCJ-20空対地巡航ミサイル6発を搭載し、430カイリ、1,080カイリそれぞれを狙える。またはYJ-12対艦ミサイルを搭載し220カイリ先までを戦闘範囲に収める。第一列島線と台湾東で航空優勢を確立した前提ならH-6Kで第二列島線の日本、フィリピン、グアム、パラウさらにオーストラリア北部を攻撃できる。
  2. その場合、Y-20空中給油機とH-6K爆撃機の組み合わせで中国は第二列島線以遠の米軍等を攻撃可能となる。アラスカやハワイがここに該当する。さらに条件次第でロシアや中東さらに紅海までを攻撃範囲におさめるだろう。
  3. さらにPLAAFが多数地点の空中給油態勢によるエアブリッジを確立し空中給油対応の戦闘機のJ-20、J-16、J-31を投入し、PLANの055型Renhai級、052型LuyangIII級ミサイル駆逐艦の援護があれば攻撃範囲委はさらに伸びるだろう。
結論
  1. PLAの空中給油能力整備は着実に進んでいる。Y-20改装給油機は大きな一歩だ。Y-20が完全に実用化されればPLAAFおよびPLANの各種攻撃用機材への給油が可能となり、長距離対地対艦攻撃力が実現する。空中給油対応のH-6K爆撃機の長距離攻撃手段があればPLAは米、同盟国の地上基地に脅威となるほか洋上の打撃群も第二列島線以遠に展開していても脅威を感じるはずだ。その範囲は太平洋軍のみならず中央軍や米欧州軍の範囲にも及ぶかもしれない。中国との対戦を想定する場合にこの脅威は米軍に手ごわい存在になる。■
LCDR David Barr is a career intelligence officer and currently within the Directorate for Intelligence and Information Operations for U.S. Pacific Fleet. His opinions do not represent those of the U.S. Government, Department of Defense or the Department of the Navy.
Image: Reuters

2016年6月21日火曜日

★中国の新型大型輸送機Y-20の引き渡しが始まった(らしい)



米軍が運用するC-17でも230機あまりで、中国がなぜ1,000機も新型輸送機を必要とするのかよくわかりません。中国流の大げさなものの言い方なのか、旧型機の置き換えなのか、それとももっととんでもないことを考えているのかもしれません。これだけの規模の量産が実現するかも見ものですね。

 PLAAF reportedly receives first Y-20 airlifter

Gareth Jennings, London - IHS Jane's Defence Weekly
17 June 2016

試作型のY-20のテスト飛行の様子。このたび作戦運用機材の納入があったと伝えられる。. Source: Chinese Internet

人民解放軍空軍(PLAAF)が西安航空機(XAC)のY-20大型戦略輸送機の初号機を受領したとの報道が出ている。PLAAFは同機を1,000機発注している。
中国国内ソーシャルメディアが機体番号11051と11052を成都邛崍市(キョウライ)の空軍基地で受領したとされるが、公式発表はない。
今年初めには五号機が初飛行し、テストパイロットが2015年末に開発テスト段階を終えたと発言したとの報道があった。
中国国営メディアはPLAAFにはY-20が1,000機必要と報道した。(2014年の400機から上方修正)
機体性能の公式発表はないが、国営通信ではターボファン4発のY-20のペイロードは66トンで、5,200Km飛行の場合は51トンとしている。空中給油装置はついていないようだ。
Y-20の設計ではロシアとウクライナのアントノフ技術陣が援助したことが知られる。外観はアントノフAn-70とターボプロップを除けば酷似している。またボーイングC-17グローブマスターIIIとも類似性が見られる。この背景に産業スパイ活動があるのかもしれないが、単に同じ目標を同様の技術で達成しようとした結果なのかは不明。■



2016年3月1日火曜日

中国の新型輸送機Y-20は今年中に供用開始か 機体の発展に要注意


開発中のC-2の最大ペイロードが30トンといわれていますので、Y-20は相当大きな搭載量があります。ただし、エンジンが非力なことと航続距離が短いのが欠点です。むしろ空中早期警戒機が派生して来ればそちらのほうが脅威になるかもしれません。
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China's Y-20 transport aircraft may enter service in 2016

Richard D Fisher Jr, Washington, DC - IHS Jane's Defence Weekly
29 February 2016
西安航空機Y-20大型輸送機が機体番号789をつけ、2月6日に初飛行したとの報道がある。Source: Chinese Internet
中国軍事関連ウェブサイトに西安航空機 (XAC) Y-20大型輸送機の試作型5号機が掲載されて人民解放軍空軍(PLAAF) での供用開始が今年中になるとの観測を呼んでいる。
今年2月6日に初飛行したと伝えられる5号機は機体番号789をつけている。4号機は788で中国ウェブサイトでは今年1月23日に登場している。判明している試作機のその他番号は781、783、785だ。
1月27日付の新華社記事ではテストパイロット Xu Yonglingの言として中国航空関係者はY-20の開発は2015年末に完了していると伝えている。Xuは成都航空機のJ-10戦闘機開発にも参加しており、Y-20は2016年にも就役するのではと語っている。
A fourth Y-20 prototype with bort number 788 appeared in January 2016, when there were also suggestions in the Chinese media that the PLA Navy Air Force might acquire the Y-20. (Chinese Internet)Y-20試作型4号機が機体番号788をつけて1月に姿を現した。中国報道では中国海軍が取得する可能性があるという。(Chinese Internet)

本年1月26日付人民日報で人民解放軍空軍統帥大学教授Chen HongはY-20のペイロードを60トンと述べており、ロシアのイリューシンIl-76Dの52トンより大きいことになる。Chenは同時にY-20を原型に空中早期警戒機、電子戦ジャミング機、空中給油機にそれぞれ発展できると指摘している。
同じ人民日報の1月22日付記事ではY-20が人民解放軍海軍に採用されると報じている。Y-20が加われば中国海軍は南シナ海に広がる各拠点の支援、防衛の実効性が高まるだろう。■