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2021年1月4日月曜日

中国の弱み① 人口減と少子高齢化の波のインパクトが毎年拡大し、経済減速が避けられない。

 

 

国は遠大な構想を有している。だが経済成長と安定した政治で中国をまとめCCPは権力を維持できるのだろうか。大人口のまま高齢化が進めば中国の資源はなくなる。

 

一見とどまるところを知らない中国の成長に障害が現れた。人口構成だ。共産党の進めた一人っ子政策の効果を逆転させようと必死だが、時間切れとの声専門家にが強い。

 

中国政府の研究では人口は2029年の14億人がピークの後は減少に歯止めが聞かず、2050年に13.6億人となり、労働人口は2億人減少する。

 

出産率がこのままでは2065年に11.7億人に減少すると中国社会科学院は予測している。

 

人口増加対を食い止めようと登場した一人っ子政策は罰金、中絶、不妊化手術で成功をおさめ、出生率は1979年の2.9人が1995年に1.6人に下がった。上限は2016年に2人に引き上げられ出産数は一時的に上がったが再び低下した。昨年の新生児は15.2百万だが一部都市圏や地方省で35%減少した例もある。

 

中国の公式出生率は1.6で、人口維持に必要な2.1に届かないが、実際の数字は1.18程度と見る専門家もある。1.3だと80年で人口は半減する。

 

一人っ子政策のため女性の数が不足している。跡継ぎに男児を好む傾向や性別による中絶処置で中国の男性数は女性を34百万人上回っており2020年で結婚相手を見つられない男性は24百万人に及んだ。

 

北京、上海など発展した地域の出生数が青海省など西部地区より低くいは人口移動と関連がある。中国の「ラストベルト」東北部では経済活動が低下している。「結婚観、家族観の伝統」の変化が理由とする向きがある。結婚届は毎年減る一方で離婚が増えている。

 

転換点

北京大エコノミストのYi Fuxianは人口減少は2018年に始まったと指摘している。「2018年が歴史的転換点だった」とニューヨークタイムズにこう語り、「人口減少と急速な高齢化が始まった。経済活力は下がっていく」

 

まず労働人口の減少が悪影響を及ぼす。15歳-64歳人口は2013年のピークを経て、4年連続で減少している。その結果、扶養比率を構成する小児老人は2011年から上昇しており、今後も増加が止まらないと予測される。高齢者は2035年に4億人の大台を突破する政府予測がある。

 

すでに政府予算に影響が出ている。年金支出は6400億元(900億ドル)を2016年に記録し、5年前の140%増だ。今後さらに増加し、2050年には60兆元になる予測もあり、政府支出の20%相当となる。

社会保障が充実していると思われがちな中国だが医療、年金は制約が多く、推定9億人が社会保障の恩恵を受けずに暮らしている。

 

アジア最大の経済規模を誇る同国は十分に豊かになる前に高齢化中と言える。

 

「先進国でも高齢人口は1950年から2015年で倍増した時点で国民一人当たり所得はおよそ41千ドルだった。中国では同じ現象が12年で発生する。だが2025年の国民一人あたり所得は2015年時点のその他先進国水準の3分の1しかない」(Bloomberg Opinionに寄稿したShuli Ren)

 

規制緩和

危機を意識して中国政府は家族計画を更に緩和する動きに出ている。罰金を廃止し出産制限そのものも全廃するとある。中国の全国健康委員会はその他省庁とともに「税制、雇用、社会保障、住宅問題の改善及び検討をすすめ、全国的な子どもふたり政策の実施を進めようとしている」とChina Dailyが伝えている。

 

対策の一つに現行の定年55歳を女性で60歳、男性は65歳に引き上げ国際水準並みにする提案がある。地方政府も補助金で対応し出産休暇などの優遇策を講じている。ただしその他先進国同様に下がった出産率を逆転するのは極度に困難で極端な優遇策でも難しい。

 

エコノミストのライマン・ストーンは北欧並の寛大な支援策でも長期的な出生率改善には効果が薄いと研究でわかったという。また先進国でおしなべて出生率が低下している現象はかつてない規模だ。

 

経済の減速で二桁成長のGDPが一桁になり、債務残高は2018年末時点でGDP比254パーセントになった。海外から労働力を受け入れる、あるいは労働生産性を上げる、この2つで労働人口縮小に対応する。ただしハーヴァードビジネスレビューに寄稿したJ・スチュワート・ブラックおよびアレン・J・モリソンは生産の伸びが低下し、海外への開放度が低い中国企業の動向など阻害要因が多いと見ている。「日本企業同様に中国企業もグローバル500リストの圏外に落ちるだろう」とし、人口ボーナスと無尽蔵の低賃金労働を利用する経済モデルは勢いを失った。

 

JPモーガンアナリストの両著者は中国の経済成長率は現行6.5パーセントが2025年に5.5パーセントに低下し、さらに2030年までに4.5パーセントまで低下し、米国から世界最大の経済大国の座を奪う中国の夢は困難となる見ている。「中国は第予想より長く二位のまま残る」という。

 

人口減でGDP成長率も低下すると、一帯一路構想のような海外への野心を支える財務力も落ちる。経済停滞と格差拡大から共産党体制も批判を受けそうだ。

 

他方でインド、インドネシア、米国の労働力は今後も伸び、少なくとも2060年までこの勢いを持続しそうだ。米国は出生率が高く流入人口も多いので2017年に3.24億人、2050年に3.9億人になる予測で、インドは2027年に中国の人口を上回る。

 

人口構成が示すとおりなら、中国はいまだかつてない課題に直面しながら解決策が視野にない状況に苦しむことになる。

 

この記事は以下を再構成したものです。なお、記事は人力翻訳でおこなっています。コロナ禍で米国経済が停滞する間に中国が順調に伸び世界一の地位に予想より早くつくとの脳天気な予測が出ていますが、情報操作の一環でしょう。台頭が早いぶんだけ退潮も早い中国は世界にお騒がせな存在になるでしょう。一方で、国力があるうちに軍事冒険主義に走る可能性も高くなるのでは、警戒が必要です。マスクスより怖いのはマルサスです。

 

1.4 Billion by 2019 and Aging Fast: Can China Manage Such Rapid Change?

December 21, 2020  Topic: Economics  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: ChinaDemographicsOne Child LawSocial SecurityCCP

by Anthony Fensom

 

Anthony Fensom is an Australia-based freelance writer and consultant with more than a decade of experience in Asia-Pacific financial/media industries. This article appeared last year and is being republished due to reader interest. 

Image: Reuters


2019年9月1日日曜日

人口減少、高齢化の韓国に未来はない(日本は大丈夫か)


Korea's Future Is Dying (Thanks to Demographics) 未来がない韓国(人口構成が原因)

South Korea's demographic decline could lead to a structural slowdown that puts a permanent brake on growth
人口減少が韓国の構造的減速につながり高成長は未来永劫に期待できなくなる
August 31, 2019  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: Korea Watch  Tags: South KoreaDemographicsPopulationEconomyNational Security

国の生存を脅かしているのは北朝鮮だけではない。共産主義体制の北と緊張緩和に走る一方で日本との関係を気まずくしている韓国だが人口減に向かい経済も減速を免れず、高成長は二度と実現しなくなる。.
韓国政策当局者に頭が痛いのがこの度発表された政府資料で出生率の低下で人口減が早ければ2020年から始まるとある。
前回2016年発表の予測では人口ピークは2023年とあった。
それが今年3月の資料では今年が人口ピークの51百万人で、最悪のシナリオでは2067年に1972年水準の34百万人になるとある。
65歳以上の老年人口が2065年に全人口の半分となる。これは中程度の成長シナリオでの話だが、世界有数の老人国となり当然軍事力でも足かせとなる。
対照的に移民に寛容な米国、カナダ、オーストラリアの老齢人口は全体の四分の一以下にすぎない。
韓国女性の出生数が減少し、女性の生涯平均生涯出産数は2018年に記録更新の0.98にまで低下した。これは日本の1.43より低く、人口維持に必要な2.1に遠く及ばない。
韓国の老齢人口比率は2017年で14パーセントと日本の半分程度だった。労働人口の15歳から64歳は73パーセントだったが、2065年にわずか46%に減る。これは中程度成長シナリオの場合だが同時期の日本では51%の予想だ。
日本と同様に高齢化が若年人口の重荷となる。2015年調査では年齢が20歳から44歳男子で58%が未婚で女性では48%が未婚だった。
韓国統計局の試算では労働人口100人が支える若年人口、老年人口は2017年の36.7人が2067年には120.2人となる。国民年齢の中央値は2017年の42歳が2067年に62.2歳となる。
子育て費用、若年層の失業率の高止まり、仕事を持つ女性の負担、受験競争、就職難が背景にあると専門家が指摘する。
韓国でも女性の晩婚化が見られるのは高度教育やキャリア形成を優先しているためだ。最新データでは2018年中に出産した女性の3割超が35歳以上だった。
またOECD加盟国中で男女間賃金格差が最大になっている韓国では女性がキャリアを求めても受けられる見返りはあまりにも少なく、およそ四分の一が「結婚、出産、子育て」のため退職している。
成長の鈍化
人口減でも一人あたり国内総生産に成長の余地が残るのは日本と同様だが、高齢化が新たな投資を鈍らせ生産性も伸びず、最終的にGDP成長が減じる。
政府の観点では拡大する老齢人口を少ない人口で支えるのが財政上の難題となる。これは社会福祉支出が増える一方、税収が減るのためだ。
現代研究所の予測では韓国経済の成長余力は現在の2.7パーセントが「早ければ2030年に」1パーセントまで低下する。
ムーディーズ投資サービスから韓国、日本両国の信用格付けの低下および経済成長の鈍化に注意喚起がでている。政府部門の借り入れが増える中、借り入れ余地が減り、労働人口の成長が鈍り高齢化が顕著となるのは2030年代だという。「借り入れ余地の不足が浮上するのは2030年代のことで政府の財政力が減少する」
韓国メディアは「新生児危機のほうが通貨リスクより深刻」と警鐘を鳴らしている。韓国政府は117兆ウォン(970億ドル)を2016年から2018年にかけ投入し各種施策で出生率引き上げを引き上げようとしてきた。.
それでも人口高齢化の食い止めは韓国政府に難題のままだ。「経済成長の余地を伸ばすには女性に働きやすい労働環境、移民流入の緩和、投資環境改善策として規制緩和や新規産業の育成が必要だ」と専門家は見る。
退職者の増加が脅威となる見方もある。「このままだと年金制度が持たない。現行制度の抜本的見直しが必要だ。移民受け入れもその一つだ」
韓国が大量難民を歓迎すると見る向きには昨年のイエメン難民事例を見れば甘い期待が吹き飛ぶだろう。
内戦を逃れたイエメン難民561名が済州島に到着した。2015年中に到達した難民が89万名のドイツとは比較もできない規模だ。
済州島という隔離された環境にもかかわらず韓国ではヒステリーともいうべき反応が生まれ、難民受け入れ拒否を求める大統領嘆願書に70万名が署名した。という。
とはいえ政府の取り組みで傾向は逆転はしそうにない。北欧型の支援策でも出生率回復の長期的効果は限定的と見る専門家もいる。
再統一で高齢化は止まらない
では南北統一が実現すればこの問題は解決されるのか。
国連統計はそう見ていない。北の出生率も低下を開始したとみられ、現在でさえ1.9で人口維持に必要な水準を下回るだ。
先行事例がドイツで統一後の旧東ドイツで0.8へ急降下したとの報告がある。その後回復したものの、最高の州でも1.6と人口維持に足る水準を下回っている。
南北統一が朝鮮半島で進んで出生率が安定しても「北の出生率が急上昇する兆しは皆無」と専門家は見る。
人口減の韓国では軍事面でも課題が生まれる。現状は625千名が北の120万に対峙して国土を防衛している。
軍務につける若年層人口が減少すれば韓国軍は現状の兵力維持が困難となり同盟国が負担増を強いられるかも知れない。米国は28千名を韓国に駐留させている。.
国際通貨基金の指針予測では韓国のGDP成長率は昨年の2.%が2019年は外需の低迷で2.6%になる。その他2%成長を予測するものもある。”
IMFは「潜在成長力が減速し、人口構成が不利な状況となり生産性が伸びないのは同国の構造面で弱みがあるため」と注記している。
アジア四位の経済規模を有する韓国にとって人口減少傾向の逆転は北朝鮮への対応や日本との関係修復よりも難易度が高い。ちなみに日本では人口減が始まっているので韓国当局者は遠くまで出かけなくても自国の将来を垣間見ることができるのだ

Anthony Fensom is an Australia-based freelance writer and consultant with more than a decade of experience in Asia-Pacific financial/media industries.