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2025年10月14日火曜日

フォード級とニミッツ級超大型空母の違い(National Security Journal)

 

米海軍の超大型空母構想がたどり着いたフォード級はニミッツ級から相当変化しているのがわかりますが、戦闘の様式がどんどん代わる中、海軍でエリートとなっている航空士官エイビエイターが頂点となった文化にしがみついていると有人機運用空母しかも巨体の艦があたかも古の恐竜のように適応できなくなる可能性もあります。

The U.S. Navy Gerald R. Ford–class aircraft carrier USS Gerald R. Ford (CVN-78) and the Nimitz-class aircraft carrier USS Harry S. Truman (CVN-75) underway in the Atlantic Ocean on 4 June 2020, marking the first time a Gerald R. Ford–class and a Nimitz-class aircraft carrier operated together underway.

2020年6月4日、大西洋上で航行中の米海軍ジェラルド・R・フォード級空母「USSジェラルド・R・フォード」(CVN-78)とニミッツ級空母「USSハリー・S・トルーマン」(CVN-75)。フォード級とニミッツ級の空母が同時に航行するのはこれが初めてである。


主なポイントと概要 

フォード級空母はニミッツ級から大幅な改良を施す:電力供給量を3倍にするツインA1B原子炉;EMALSカタパルトと先進着艦装置により、円滑で高頻度の飛行作戦を実現。アイランドを小型化した広い飛行甲板。広範な自動化で乗組員を500~900名削減。SPY-3/Xバンド・ボリュームサーチレーダー、シースパロー、RAM、ファランクスを含むモジュラー式センサー/防御システム。

ニミッツ級蒸気カタパルトは信頼性が高いが機体への負荷が大きく、超軽量UAVの発進には不向き。

フォード級空母。画像クレジット:クリエイティブ・コモンズ。

フォード級は1日あたり160機(緊急時220機)の出撃を目標としつつ、整備負担を軽減。結果:同等の排水量でありながら、数十年にわたる運用期間中に将来のシステムや無人航空機を統合するための大幅な成長余地を確保。

ニミッツ級とフォード級空母の相違点は?

ジェラルド・R・フォード級空母は、米海軍の超大型空母であるニミッツ級の後継艦である。

空母の時代は終わったのかという議論が傍らで激化する中、米国は軍事力を投射で引き続き空母打撃群に依存している。中国も明らかに空母の力を信じており、自国の新型空母を建造中である。

ニミッツ級空母とその打撃群は米海軍の中核をなす。これらの近代的な空母は世界のどこにでも膨大な戦力を投射できる。しかし海軍は2007年、ニミッツ級の代替を発表した。

ジェラルド・R・フォード級の1番艦はUSSジェラルド・R・フォード(CVN-78)である。後継艦として、ジョン・F・ケネディ(CVN-79)、エンタープライズ(CVN-80)、ドリス・ミラー(CVN-81)が建造予定である。

フォード級空母は、全電気式動力システムや電磁式航空機発進装置(EMALS)による効率的な航空機運用など、大幅な技術的進歩を特徴とする。

自動化の進展により乗組員数と保守需要が削減され、先進的な防御システムには新型レーダーと将来技術の統合のためモジュール式能力が含まれる。

主要な構造変更点として、小型化され後方に配置されたアイランドが挙げられる。これにより飛行甲板が拡大され、航空機の離着艦運用が高速化された。フォード級は排水量10万トンと大型化したが、自動化により乗組員が500~900名削減されている。

原子炉出力

フォード級空母は2基の新型ベクテルA1B原子炉を搭載している。これらの原子炉はニミッツ級A4W原子炉より小型で構造が単純、かつ少人数の乗組員で運用可能でありながら、はるかに高い出力を実現した。

各原子炉は300MWの電力を生成可能で、A4Wの100MWの3倍に相当する。フォード級原子炉の発電量は驚異的であり、空母の全需要を十分に賄う。

この原子炉は、前世代機に比べバルブ、配管、一次ポンプ、凝縮器、発電機の数が約半分である。蒸気発生システムは200個未満のバルブを使用し、配管はわずか8種類のサイズを採用した。これらの改良により、構造が簡素化され、保守作業が軽減され、要員要件が低減されただけでなく、よりコンパクトなシステムとなり、艦内の占有スペースも削減された。

動力装置の近代化により、炉心エナジー密度の向上、ポンプ動力要求の低減、構造の簡素化、さらに最新の電子制御・表示装置の採用が実現した。新動力装置で監視要員の必要数が従来の3分の1に削減された。

電磁式航空機発射システム

ニミッツ級空母は航空機発射に蒸気カタパルトを使用している。

蒸気カタパルトは1950年代に開発され、極めて高い信頼性を実証してきた。50年以上にわたり、各空母の4基のカタパルトのうち少なくとも1基は、99.5%の確率で航空機を発進させることができた。

しかし、欠点もある。第一に、カタパルトによる航空機の摩耗への懸念がある。

蒸気システムは巨大で非効率的、制御も困難である。ニミッツ級空母の蒸気カタパルトは大型機の発進には適するが、軽量の無人航空機(UAV)には対応できず、21世紀のプラットフォームとしては許容できない制約である。カタパルトは1950年代の技術であり、更新が必要だ。

EMALS(電気式カタパルト発射システム)はより効率的で、小型・軽量・高出力かつ制御が容易である。

制御性の向上により、EMALSは蒸気カタパルトより重い機体と軽い機体の両方を発進させられる。さらに制御された力を使うことで機体への負荷が減り、メンテナンス削減と寿命延長につながる。

EMALSは旧式カタパルトより25%多い出撃回数を可能にする。ニミッツ級は電力制限のためEMALS搭載は不可能である。

フォード級は最大90機の航空機を搭載可能で、F-35ジョイントストライクファイターF/A-18E/FスーパーホーネットE-2DアドバンストホークアイEA-18Gグラウラー電子攻撃機、MH-60R/Sヘリコプターに加え、無人航空機および戦闘車両を含む。

1日あたり160出撃(危機時・航空戦時には最大220出撃)という高い出撃率の要求が、飛行甲板の設計変更につながった。

レーダーシステム

新空母はイージス方式のXバンドAN/SPY-3イージスレーダーと、捜索・追跡・複数ミサイル照射が可能なSバンド体積監視レーダーを搭載する。

AN/SPY-3は設計上、最先端の低可視性対艦巡航ミサイル(ASCM)脅威を検知し、進化型シースパローミサイル、スタンダードミサイル、および最も困難なASCMに対処するために必要な将来のミサイル向けの射撃管制照明要件を支援するように設計されている。

このシステムはズムウォルト級駆逐艦で初めて導入された。

艦艇防御システム

フォード級は、航空機・ミサイル・小型艦艇に対するポイント防御用に、Mk-29ミサイル発射装置2基(各8発のシースパロー搭載)、ローリング・エアフレーム・ミサイル発射装置2基、ファランクス近接防御兵器システム4基を装備する。

ニミッツ級超大型空母は依然として驚異的な戦力投射プラットフォームであるがフォード級は、米海軍を今後50年にわたる海上覇権の時代へと導く。■

Ford-Class vs. Nimitz-Class: What Makes These Supercarriers So Different?

By

Steve Balestrieri

https://nationalsecurityjournal.org/ford-class-vs-nimitz-class-what-makes-these-supercarriers-so-different/

著者について:スティーブ・バレステリエリ

スティーブ・バレステリエリは国家安全保障コラムニスト。米陸軍特殊部隊の下士官および准尉を務めた。防衛分野の執筆に加え、PatsFans.comでNFLをカバーし、プロフットボールライター協会(PFWA)のメンバーである。その作品は多くの軍事専門誌に定期的に掲載されている。


2024年11月22日金曜日

主張 フォード級航空母艦の建造は今すぐ中止すべきだ(The National Interest)

 


Ford-Class





敵が空母の有効性を否定する、より安価な方法を開発しているのに、レガシー・システムとしての空母を建造し続けることは無責任としかいいようがない。さらに米国の敗北につながりかねない。



高価で技術的にも野心的なフォード級空母を含め、米海軍の空母への依存は、中国の高度な対アクセス/領域拒否(A2/AD)システムのような脅威が進化する時代において、精査が一層必要だ


-空母はアメリカの海上支配の象徴であり続けているが、より安価で俊敏なミサイルシステムに対する脆弱性で、ますますリスクの高い投資となっている。海軍は現代の課題に対処するために、潜水艦、無人装備、極超音速兵器、指向性エナジーシステムに予算をシフトすべきだと批判派が主張している。

-これらの先端技術より空母を優先し続ければ、米海軍が将来の紛争に備えられず、貴重な資源を浪費する危険性がある。

-フォード級のジレンマとして、敵にとって10億ドルの標的になっているのに米海軍は空母への愛情を捨てきれない。


二次世界大戦以来、フラットトップはアメリカ海軍水上艦隊の中心であった。アメリカの海洋兵力の主要な投射手段であり、最新、最大、そして最も洗練された浮遊航空基地がない艦隊は考えられなかった。


だが、こうした空母の議論は、戦艦推進派が80年前に展開した主張と不気味なほど似ている。


当時、米海軍の戦力増強の中心は戦艦であり、空母は艦隊の補助的要素とみなされていた。だが第二次世界大戦で日本が真珠湾を奇襲攻撃した後、すぐに変わった。


今日、海軍(とその支持者である議会)はまるで1999年のままのように活動している。アメリカの軍事的優位性に対する真の挑戦はない。空母は地球上のどこにでも好きなように行き来できる。現地の人々ができることは、フラットトップが外国の海岸にアメリカの意志を押し付けるために現れたとき、アメリカの威力に畏敬の念を抱くことだけだ、というものだ。


しかし、アメリカの敵には別の計画がある。

アメリカの世界支配の継続に反対しているのは、他でもない中華人民共和国(PRC)である。PRCは独自の初歩的な空母戦力を構築しているが、それ以上に、最大の海軍戦力投射プラットフォームである空母をアメリカから奪うことに関心を寄せている。中国がこれを計画しているのは、強力な対空/領域拒否(A2/AD)システムの兵器庫のおかげである。


そしてA2/ADシステムは、アメリカの空母よりもはるかに安価で、交換も容易である。これが、中国、ロシア、イラン、北朝鮮がそれぞれのA2/AD能力に巨額の投資を行っている理由のひとつだ。コスト不均衡は戦略的不均衡につながり、もし敵のA2/AD能力とアメリカのフラットトップとの対決になった場合、中国、ロシア、北朝鮮、イランが有利になる可能性が高い。


フォード級航空母艦を建造する意味とは

フォード級空母は、海軍が(ゆっくりと)建造を進めている次世代空母である。既存のニミッツ級原子力空母11隻に取って代わることを目的としている。これまでのところ、海軍はこのクラスの最初のUSSジェラルド・R・フォードを2021年に配備し、次のUSSジョン・F・ケネディ(CVN-79)は2025年に配備されることになっている。その後、2028年はUSSエンタープライズ(CVN-80)が配備される。最後に、USSドリス・ミラー(CVN-81)が2032年に配備されることになっている。


USSジェラルド・R・フォードは130億ドルもの費用をかけ、造船所から出るまでに10年以上かかった。 配備から1年後の2022年になっても、技術的な問題に耐えている。同クラスの後続空母はもっと安くなると予想されている。しかし、空母は莫大な費用がかかり、建造に非常に長い時間がかかり、基本的に非常に複雑で高価であるため、代替がきかないという事実は変わらない。


これらの艦にはすでに予算が割り当てられているため、これらのシステムを中止するのは難しいだろう。しかし、将来のシステムは絶対に中止できる。 特に、米軍がこれらの空母に対して意味のある対A2/ADシステムを開発していないのであればなおさらだ。


我々は、中国の高度なロケット部隊による実弾射撃の練習用に、大きくて美しい標的を建造している。もしこれらの艦船が1隻でも撃沈されたり、飛行甲板が大きく損傷すれば、戦略的な浪費資産に等しくなってしまう。


フォード級航空母艦は 退廃の象徴

2028年以降のフォード級空母から資金と資源を流用することは、米海軍が優先順位をつけるのに役立つだろう。第一に、ヴァージニア級攻撃型潜水艦の追加建造が必要だ。第二に、高度な水中無人機(UUV)と高度な無人航空機(UAV)を開発する必要がある。第三に、海軍は独自の極超音速兵器の能力に投資する必要がある。第四に、海軍の資源を指向性エナジー兵器(DEW)に投入する必要がある。


ニミッツ級空母はまだ何十年も使えるのに、フォード級空母10隻に置き換えようとするなど、こうした他の支出はすべて、海軍側の浪費としか言いようがない。時代の変化に適応できないのは、衰退国の特徴だ。


国債の利払いが、1兆ドル近いアメリカの国防予算を上回ってしまう時代なのだ。敵が現代の戦闘における空母の有効性を否定する、より安価な方法を開発しているのに、空母のようなレガシー・システムを構築し続けることは、退廃的というより無責任だ。さらに米国の敗北につながりかねない。フォード級空母の建造は即座に中止すべきだ。■


著者の経験と専門知識 ブランドン・J・ワイチャート

ナショナル・インタレストの国家安全保障アナリストであるブランドン・J・ワイヒャートは、ワシントン・タイムズ、アジア・タイムズ、ザ・パイプラインの寄稿者である元米議会スタッフ、地政学アナリスト。 著書に『Winning Space』: How America Remains a Superpower』、『Biohacked: 著書に『Winning Space: How America Remains the Superpower』、『Biohacked: China's Race to Control Life』、『The Shadow War: Iran's Quest for Supremacy』などがある。 次作『A Disaster of Our Own Making: How the West Lost Ukraine』はEncounter Booksより10月22日発売予定。 ワイチャートのツイッターは@WeTheBrandon。


Cancel the Ford-Class Aircraft Carrier Now

by Brandon J. Weichert



November 20, 2024  Topic: Security  Region: Americas  Blog Brand: The Buzz  Tags: U.S. NavyNavyFord-ClassAircraft CarrierMilitaryDefense



https://nationalinterest.org/blog/buzz/cancel-ford-class-aircraft-carrier-now-210452


2024年3月13日水曜日

新型フォード級空母で米海軍空母戦力はここまで変わる

 フォード級の建造は5号艦まで計画があり、ジョン・F・ケネディ、エンタープライズまで建造がはじまっております。Warrior Maven記事からのご紹介です。

フォード級空母はニミッツ級より自動化が進んでいる

軍航空の世界は常に進化しており、USSフォード(CVN-78)がその最前線にいる。USSフォードは、正式名称USSジェラルド・R・フォード、アメリカ海軍航空母艦の同クラスの主力艦である。

フォードは、海軍工学と技術進歩の頂点を代表する艦であり、現代の空母が達成できることの新たな基準を打ち立てた。海軍航空における伝統と近代化の融合を際立たせている。

フォードは前身のニミッツ級空母から大きな進化を遂げ、航空における新時代の到来を告げている。現在、同艦は地中海で活動中だ。

フォード級とニミッツ級の比較

フォード級空母は、ニミッツ級空母の初期建造艦より自動化が進んでおり、海軍は乗員を数百名削減できる。これだけでも大きなコスト削減になる。

満載排水量10万トンのフォード級空母は、大きさではニミッツ級に匹敵し、能力と技術的洗練度ではニミッツ級を上回る:

発電容量: フォード級空母は2基の原子炉で、ニミッツ級が発電する200メガワットの3倍にあたる600メガワットの電力を発電する。

航空機発進・回収システム: ニミッツ級空母で使用されていた蒸気カタパルトに代わるのがEMALSだ。EMALSは、より軽量な無人システム含む、より幅広い航空機の発進を可能にし、機体の摩耗を減らすことで耐用年数の延長につながる。また、ニミッツのシステムより優れた先進的なアレスティング・ギア(AAG)システムを採用し、メンテナンスと工数を削減しながら能力を向上させている。

レーダーシステム: フォードは、より高度なレーダーシステム、防御兵器、そして将来的にはレーザーのような指向性エネルギー兵器にも対応できる可能性があり、索敵、追跡、複数のミサイル照射が可能で、敵機やミサイルを探知することができる。

防御システム: フォード級は、ミサイルや敵機に対する強力な防御システムとして、進化型シースパロー・ミサイル(ESSM)を各8発搭載したミサイル・ランチャーを2基、ローリング・エアフレーム・ミサイル・ランチャーを2基、ファランクス近接武器システムを4基搭載している。

興味深いことに、フォード級の運用改善は技術だけにとどまらない。フォードは、空母の運用効率を高め、必要な乗組員を減らす目的で変更を導入した。

フォード級への期待

ニミッツ級空母は、40年以上にわたって米海軍の空母部隊の柱であり、比類のない戦力投射能力と制海権を提供してきた。

しかし、フォード級の導入は、より技術的に進んだ効率的な艦隊へのシフトを意味する。

フォード級空母は、ニミッツ級空母と比較して、供用期間50年で総所有コストを50億ドル近く節約できると予想されている。

USSジェラルド・R・フォードは8ヶ月の配備を終え、2024年1月に母港のノーフォーク海軍基地に帰港した。フォードが戦略的地域に駐留することは、海洋安全保障と安定の維持に対する米海軍のコミットメントを強調するものである。

結論として、USSフォードは海軍航空の新時代の象徴だ。その先進的な技術と能力は、空母の進化の証であり、海軍力の未来を垣間見sてくれるものである。

New Navy USS Ford Deploys in Mediterranean.. How it Changes Carrier Ops - Warrior Maven: Center for Military Modernization

By Olawale Abaire, Warrior Contributor 

OLAWALE ABAIRE is a researcher, writer and analyst who has written over 75 nonfiction books, He has master's degree in Biochemistry from Adekunle Ajasin University, Nigeria. He also works as a web content writer with the revered International Lean Six Sigma Institute, UK


2023年4月2日日曜日

フォード級二号艦ジョン・F・ケネディの海軍引き渡しが遅れる

 


ニューポートニューズ造船部門のピア3に空母ジョン・F・ケネディ(CVN-79)が鎮座している。同艦は約76%完成し、最終艤装とテストを進めている。Huntington Ingalls Industries photo.

今週発表の2024年度予算案によると、フォード級空母2号艦は、想定より1年遅い2025年に海軍に引き渡されるとある


海軍は、将来の空母ジョン・F・ケネディ(CVN-79)の納期を2024年6月から遅らせ、艦のPSA(Post Shakedown Availability)を変更し、建造中に作業多数を行うことにした、と2024会計年度の予算文書で記載している。

海軍によると、変更スケジュールは、ケネディがインド太平洋に展開する準備の完了を保証しますものだという。

「このアプローチで、インド太平洋地域に配備される最初のフォード級航空母艦としてCVN 79を準備し、CVN 79がPSAを実施するため引渡し後に造船所にとどまる時間を減少させる」と文書にある。

2020年、海軍はケネディを一期納入に切り替えた。その決で、予算書によると、ケネディの詳細設計と建設契約に2年分のの作業が追加された。

追加作業とスケジュールは、ニューポートニュースがF-35CライトニングII統合打撃戦闘機とエンタープライズ航空監視レーダーを空母に搭載する改造と、USSジェラルド・R・フォード(CVN-78)建造時に造船所が発見した問題の修正を行うためと予算書は述べている。

「追加期間と新しいシステムの組み込みをサポートするために、エンジニアリングとロジスティクス製品、および新しい戦闘システムのライトオフと認証の追加資金が必要だ」と文書は述べている。

2019年12月にHIIのニューポートニューズ造船所でケネディが命名されたとき、同空母は2022年納入を予定していた。しかし、当時の海軍は、ニューポート・ニューズで艦の大部分を建造したあと作業を一時中断し、後から追加システムを導入するデュアルフェーズ・デリバリー計画を進めていた。

二段階納入の目的は、海軍のヤードでの建設スケジュールを節約しつつ、ケネディの艦隊編入とUSSニミッツ(CVN-68)の退役が重なり、財政的にも人員的にも負担になるのを避けることにあった。また、最新の電子機器を空母に搭載できるようになると海軍は述べていた。二段階方式では、ケネディは引き渡し後、F-35Cのための遡及的な改造を受ける予定だった。

しかし、最新空母に第5世代戦闘機を搭載する能力がないことが議員を怒らせた。議会がケネディのPSAを終える前にF-35CライトニングII統合打撃戦闘機の実戦能力を持つことを義務付け、2020年に海軍はデュアルフェーズ納入戦略を断念した。

その後、海軍は単一フェーズアプローチへの移行に伴い、ケネディの引き渡しを2024年と予測した。海軍は2023年度予算書で2024年6月の引き渡しを予想していた。■

Ford Aircraft Carrier John F. Kennedy to Deliver a Year Later - USNI News

By: Mallory Shelbourne

March 23, 2023 4:22 PM • Updated: March 23, 2023 8:07 PM


2022年9月2日金曜日

9代目となるUSSエンタープライズ(CVN80)の起工式が8月27日に行われました。若いオリンピック選手の贈ったことばがかっこいい。

 

次期エンタープライズになるフォード級空母が起工されました。以下、米海軍の広報資料からお伝えします


プログラム・エグゼクティブ・オフィス・エアクラフト・キャリア広報部発表資料

 

ァージニア州ニューポートニューズのHII-ニューポートニューズ造船所(NNS)で2022年8月27日土曜日、オリンピックメダリストのシモーン・バイルズSimone Bilesとケイティ・レデッキーKatie Ledeckyが、「ここに、USSエンタープライズのキールが真正かつ公正に敷かれたと宣言します」の言葉とともに、鋼板にイニシャルをチョーキングし、熟練溶接作業員がエンボス加工し未来のUSSエンタープライズ(CVN 80)のキールに貼り付けた。

 

レデッキーは全米最新鋭の空母の歴史的な起工式に出席し、バイルズはテキサス州スプリングから事前録音されたメッセージで参加した。5年前の2017年8月24日、バイルスとレデッキーは、USSジェラルド・R・フォード(CVN78)級空母の3番艦エンタープライズ建造の最初のマイルストーン、ファーストカットオブスチール式典に出席していた。

 

土曜日、NNSの溶接工エフォニー・キングとジョナサン・リショーが小さな鋼板に選手のイニシャルを溶接し終えると、NNSのリードリガー、マイク「チリ」ウィリアムズがレデッキー選手に無線機を渡し、レデッキー選手はNNSのクレーンオペレーター、チャーリー・ホロウェイに688トンのキールユニットをドライドックに下ろすよう命じた。これは、CVN80が完全に組み立てられると、エンタープライズの前方半分を支える部分だ。セレモニープレートは、キールに永久に貼り付けられる。

 

2022年4月5日、NNSがエンタープライズの最初の「スーパーリフト」でキールユニットを搭載して以来、エンタープライズ建造は予定通り進んでいる。最初の主要構造部材が設置され、作業員は、事前装備済みモジュールを結合し、乾ドックで空母の組み立てを続けている。

 

空母プログラムエグゼクティブオフィサー(PEO CV)のジェイムズ・ダウニー少将Rear Adm. James P. Downeyは、「これは艦とクラスにとって重要なマイルストーンです」と述べた。「造船所はUSSジェラルド・R・フォードとジョン・F・ケネディ建造から得た教訓を、エンタープライズ建造に適用しています。我々の業界パートナーは、統合デジタル造船のベストプラクティスをプロセスに適用しており、コストとスケジュール両面で効率化を実現している」。

 

ジェラルド・R・フォード級新造船計画室を率いるブライアン・メトカーフ大佐は、本艦の建造効率について例を挙げた。「CVN 80とCVN 81を2隻購入することで、初期建造プロセスで効率化が実現できました。また、大型スーパーリフトをあらかじめ装備した空母建造は、これまでのフォード級船体より大きく効率化しました」。

 

CVN80のドライドック建艦プログラムはスーパーリフト131基で構成する。これに対し、USSジェラルド・R・フォード(CVN78)は162基、未来のUSSジョン・F・ケネディ(CVN79)は155基のスーパーリフトで建造された。

 

エンタープライズは、アメリカ独立戦争でイギリス軍から捕獲後、1775年就役したスループ艦として誕生し、この名を冠したアメリカ海軍軍艦は9隻目となる。最後のエンタープライズ(CVN 65)は、1961年から2017年まで世界初の原子力空母として活躍し、現在は造船所近くに係留され、環境影響評価結果と廃棄方法に関し海軍の決定待ちだ。

 

エンタープライズの伝統

第二次世界大戦中、USSエンタープライズ(CV6)のチーフヨーマンを務めた99歳のビル・ノーバーグ退役兵曹は、起工式に出席し、建造者と船員が一体となった遺産を称えた。ノーバーグは、USSホーネット(CV8)から発進したドーリットル空襲やミッドウェー海戦など、太平洋戦争中の重要局面を直接目撃した。ノーバーグの「エンタープライズ」は、その名を冠した7隻目だった。

 

PEO航空母艦エグゼクティブ・ディレクター代理であるケヴィン・コーミアKevin Cormierは、ノーバーグがCV 6とCVN 80をつなぐ存在だと指摘した。「造船とメンテナンスは過酷で不朽の活動です。乗員に奉仕し、海上の挑戦に応える戦闘艦を準備する仕事は、これまで以上に重要です」。

 

設計・建造から不活性化・廃棄に至るまで、艦の全使用期間を通じ空母艦隊を建造・維持・支援する乗組員と艦の設計者・建造者の努力が連鎖的に存続する。コーミアは、ジェラルド・R・フォード級新造船プログラムオフィスの副プログラムマネージャーを兼務している。

 

式典出席者の顔ぶれ

エリック・レイヴン海軍次官Under Secretary of the Navy Erik K. Ravenが基調講演し、今回の式典の意義を語った。「この式典は、この造船所で、この国で、この日に、新たな艦の生命が、多くの世代のアメリカ国民、軍人、友人、家族、指導者、パートナー、同盟国に奉仕するため始まったことを示すものです」。

 

レイヴンはさらに、「先代のビッグEの目の前で、我々は今、次世代エンタープライズ、最新の未来の海軍艦艇、CVN 80のキールを置く」と宣言した。

 

レイブンはまた、2022年は空母運用100年の節目だと指摘した。1922年3月20日、USSラングレー(CV 1)は実験艦としてスタートしたが、すぐに「革命の触媒となり、海上戦闘を変え、海軍の活動範囲の拡大が証明された」と述べた。「空母は強さと希望の象徴となり、紛れもない米外交の代表として世界で認識されている。未来のエンタープライズは、海と世界の自由を守る我々のコミットメントの、もうひとつの確かなシンボルとなるだろう」。

 

レイブンは2022年4月13日に海軍次官の職責に就いた。海軍省の最高執行責任者(COO)および最高管理責任者(CSO)を務める。

 

米艦隊司令官ダリル・コードル大将Adm. Daryl Caudleは、「エンタープライズは、比類なき機動性と航続距離、先進の戦闘・制御・通信システム、艦内原子力発電、さらにおそらく最も重要な、前例のない速度と持続性を備えた最も堅牢かつ致死的な次世代攻撃機を運用できる能力など、その戦力を通じ統合抑止構想を進める鍵となる」と発言した。

 

このほか、ロブ・ウィットマン下院議員Rep.Rob Wittman(共、バージニア1区)、エレイン・ルリア下院議員Elaine Luria(民、バージニア2区)、ボビー・スコット下院議員Bobby Scott(民、バージニア3区)など、著名な参列者がいた。

 

エンタープライズ起工式には、ニューポートニューズ・シップビルディング社長のジェニファー・ボイキンJennifer Boykin、大西洋海軍航空部隊司令官ジョン・マイヤー少将RADM John Meier、PEO CV大将ジェームズ・P・ダウニー大将、ニューポートニューズの造船監督官ハンナ・クリーワルト大佐Capt. Hannah Kriewaldtら海軍と業界の代表が出席した。

 

艦のスポンサーについて

同艦のスポンサーは、国際的に名が通っている。レデッキーは、2012年、2016年、2020年の3大会で10個のメダルを獲得したオリンピック選手。オリンピック金メダル7個、世界選手権金メダル15個は、女子水泳選手として最多。レデッキーは、14の世界記録と37のアメリカ記録を更新した。6月に個人種目で世界選手権5連覇を達成した初の水泳選手となり、歴史に名を刻んだ。

 

バイルズ選手は、米国女子体操界で最多のメダルを獲得し、世界選手権とオリンピックで32個のメダルを獲得した。2016年と2020年の2回のオリンピックに出場し、米国の体操選手としては最多7個のオリンピックメダルを獲得した。バイルズは、メンタルヘルス啓発の提唱者としての活動が評価され、2022年7月7日に大統領自由勲章を受章した。

 

両親デイヴィッド・レデッキーとメアリー・ジェン(ヘーガン)・レデッキーが会場にいる中、世界チャンピオンレデッキーは、国の真のヒーローである労働者について話した。「しばしば認識されていない...非常に困難で大変な仕事で働き、実体を作り構築し...、国民の健康、社会、自由が保護されています」。レデッキーは造船所労働者に感謝し、「軍の戦力維持を支援することにより、皆さんは国の安全の維持を助けているのです 」と述べた。

 

レデッキーは第二次世界大戦中、太平洋の「最悪の戦いで」戦闘外科医として第一海兵師団に従軍した亡き祖父、エドワード・ジョーダン・ヘーガン医学博士の功績を振り返り、造船業者や軍属、家族の犠牲に触れた。

 

彼女は、水泳でも人生においても、持久力、不屈の精神、一貫性の重要性について語り、特徴は彼女お気に入りのトレーニングのマントラに反映されている。レデッキー選手は、「リードして、リードし続ける」、「近道はしない」をトレーニングの信条としている。

 

レデッキーは、「水泳のもう一つの大切な要素である効率性で、造船技師たちがそれぞれの仕事を完成させるために働きつつ、『ビッグE』の名声に恥じないように近道をしていないことが私にはわかります」と述べた。レデッキー選手はBig E "ファミリーに、「最終目標を念頭に、チームメイトの小さな勝利を祝い、...その過程でお互いを励まし合う」よう呼びかけた。

 

共同スポンサーのシモーン・バイルズ選手は、テキサス州スプリングにある自宅ジムから録音メッセージで、エンタープライズの伝統の一部であること、命名・引渡しに向け進む同艦の次の大きな節目を祝うことを誇りに思うと述べた。

 

ジェラルド・R・フォード級

ジェラルド・R・フォード級は、全長1,092フィート、幅124フィート、総トン数10万トンで、30ノット以上で航行可能な空母。フォード級は、従来型空母より少人数の乗組員で運用できる設計で、現行ニミッツ級と比較して、耐用年数50年間の総コストで大幅削減が期待されている。

 

将来のUSSエンタープライズは、2029年に不活性化される予定のUSSドワイト・D・アイゼンハワー(CVN 69)の後継となる予定だ。■

 

Keel Laying commemorated for third ship in Gerald R. Ford-Class, the future USS Enterprise (CVN 80)

 

29 August 2022