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2022年5月6日金曜日

巡洋艦モスクワの攻撃照準を米軍が援助したとの報道は誤報。モスクワは攻撃時に対空警戒を敷いていなかった模様。

 




2022年4月13日、ウクライナのミサイルによる攻撃を受けたRTSモスクワ(121)。ロシア国防省

 

RTSモスクワ(121)の乗組員は、ウクライナのミサイル攻撃に気付かず、準備もできていなかった。

 

 

 

 オープンソースの海軍アナリストで退役海軍大佐のクリス・カールソンCapt. Chris Carlsonによるネプチューン対艦ミサイル2発攻撃後の画像解析では、誘導ミサイル巡洋艦がレーダーを作動させておらず、ミサイルの脅威を探知できなかったことがわかった。

 攻撃後の写真では、レーダーは「通常の格納位置のままだった」とカールソン氏は月曜日にUSNIニュースに語った。

 分析は、ウクライナ沿岸から約100マイル沖で、ウクライナ側がネプチューン級の対艦ミサイル2発と主張する攻撃を受けた直後の画像に基づく。

 

 

カールソンの分析によれば、ミサイル攻撃後の写真ではレーダーが収納状態になっていた。

 

 防御システムが旧式とはいえ、巡洋艦モスクワは40年前のソ連設計が原型のネプチューン・ミサイルに対抗できたはずと言う。

 「ネプチューンはハープーンに似た小型ミサイルだ。弾頭は約145キログラムで、レーダーによるホーミング機能を備えている」「これは、防空システムが対応不可能な脅威ではない。超音速でもない」。

 ウクライナのミサイルに対抗するためモスクワが搭載の対空ミサイルOSA-Mを指示するはずのレーダーシステムは、写真によれば、エミッタが収納されアクティブになっていなかったようだ。

 「起動していなければ、ポイントディフェンス対空ミサイルは作動しない」という。

 さらに、モスクワの場合、「装備が古く、メンテナンスが大変で、とくに海上整備はロシアの得意とするところではありません」。

 

モスクワの被弾場所。

 

 攻撃後の写真によると、2発のネプチューンは同艦で最脆弱な喫水線直上の主推進スペースに命中している。

 「前方機関室にミサイルが命中すると、巡航ガスタービンと蒸気タービンが大きく損傷する可能性が非常に高く、主軸を歪めブーストタービン減速機にも損傷を与える可能性がある」「エネルギーと生存能力の損傷で、電力をすべて失うだけでなく、潜在的に自動ダメージコントロール機能を無効にする可能性が生まれる」。

 ロシア海軍ダメージコントロール訓練が不十分なのと合わせて、カールソンは、この写真が、自らのリソースで標的を定め、ミサイル発射し、命中させたというウクライナの説明に信憑性を与えているという。

 初回攻撃後、ロシアの軍事会社ワーグナーグループとつながるテレグラムチャンネルは、乗員が艦付近でウクライナのバイラクターTB2を見つけたと伝えている。ウクライナ海軍は昨年から戦闘用無人機の調達を始めていた。同機は電気光学システムを搭載し、データリンクで照準情報をネプチューンに提供できる。

 沈没の直後、米海軍P-8Aポセイドン機が攻撃前に同地域にいたとの報告があり、米国がウクライナ側に標的情報を提供した可能性を示唆している。

 カールソンによると、米国はウクライナ軍に同艦の大まかな位置を伝えることはできたが、P-8のデータリンクと互換性がないため、情報はネプチューンに提供できなかったという。

 木曜日、ニューヨークタイムズが水曜日に報じたロシア将校をターゲットにしているとの記事を受けて、ペンタゴンのジョン・カービー報道官は、ウクライナ側とのアメリカの情報共有には限界があると認めた。

 「我々はウクライナ軍の標的決定に関与していない。ウクライナ側は我々よりずっと多くの情報を持っている。これは彼らの国、領土であり、彼ら自身の有能な情報収集能力を持っている」「ウクライナは、我々や他のパートナーが提供する情報と、彼ら自身が戦場で集めた情報を組み合わせて、自身で決断を下し、行動を起こしています」。

 

Warship Moskva was Blind to Ukrainian Missile Attack, Analysis Shows - USNI News

By: Sam LaGrone

May 5, 2022 6:19 PM


Sam LaGrone

About Sam LaGrone

Sam LaGrone is the editor of USNI News. He has covered legislation, acquisition and operations for the Sea Services since 2009 and spent time underway with the U.S. Navy, U.S. Marine Corps and the Canadian Navy.



2022年4月16日土曜日

ウクライナ戦の最新動向 4月15日 モスクワ喪失はウクライナミサイル攻撃が原因と米国防総省が認める。ロシアは報復でキーウへミサイル攻撃など。

  

Ukrainian personnel test a Neptune anti-ship cruise missile.

 

防総省高官は、ウクライナ軍がロシア海軍のプロジェクト1164スラバ級巡洋艦モスクワに国産対艦巡航ミサイル「ネプチューン」を命中させたことが、同艦の沈没に直接寄与したとThe War Zoneへ述べた。米当局がこの評価に自信を深めているとの複数の報道が先に出ていた。

 ロシア当局の主張では、モスクワが嵐の中で曳航され、沈没したとあるが、喪失の正確な状況は多くが不明なままだ。ウクライナ軍による攻撃がロシア黒海艦隊の旗艦を破壊する直接の原因となったとすれば、ここ40年間で最も深刻な艦艇の損失事例となる。

 これと別に、ロシア軍は夜、キーウのミサイル・航空関連企業であるヴィザール・ジュルヤニ Vizar Zhulyany機械製造工場を標的にミサイル攻撃を行った。ロシア当局によれば、ウクライナの国境越え攻撃への報復であり、ウクライナ首都と周辺にさらなる攻撃が控えているという。

 ワシントン・ポストのダン・ラモテDan Lamothe記者は米国防高官がウクライナによる巡洋艦モスクワへのミサイル攻撃を報道陣に確認したと伝え、その後、複数の報道機関もこれを報じた。

 ワシントン・ポストは昨日遅く、米高官がウクライナ軍がモスクワを攻撃したと確認したのを先に伝えていたが、その際に、同高官は使用された兵器の種類は言えなかったという。ロイター通信は、米国高官が、モスクワはウクライナ攻撃を受け沈没した可能性が高いが、決定的な証拠は得られないかもしれないと述べたとのを報じていた。CNNは今日、情報筋の話として、米政府は、ウクライナ軍がネプチューン2発で同艦に深刻な損害を与えたとの主張には「中程度の信憑性」しかない、と報じた。

 モスクワで起きたこととその運命に関する米政府の評価は、ロシア国防省が沈没を認める前から、大きく進展していた。国防総省のジョン・カービー報道官は当初、火災と爆発の後も巡洋艦が自力で動ける兆候があったと述べていたが、昨日遅くには、判断は不可能であると記者団に語った。

 カービー報道官はまた、米軍は事件発生中のモスクワの画像にアクセスできたと述べていた。画像は、同地域に展開する有人・無人の情報・監視・偵察機材やスパイ衛星など、複数の情報源から得た可能性がある。傍受された通信内容やその他の電子情報が、巡洋艦に何が起こったかに関する米国の評価に寄与していることはほぼ間違いない。

 Naval Newsによると、商業プロバイダーのセンチネルハブによる合成開口レーダー(SAR)衛星画像で、攻撃後のモスクワが撮影されているという。荒天のため、通常型カメラを使う衛星では画像撮影が困難だった。

 ロシア当局は、モスクワ沈没に至った状況を調査中であり、乗組員の損害の有無について公式見解を示していない。ウクライナ内務大臣デニス・モナスティルスキDenys Monastyrsky の補佐官アントン・ゲラシェンコ Anton Gerashenko (Herashchenko) は、アントン・クプリン艦長Anton Kuprin が死亡したと述べているが、本稿執筆時点で未確認のままだ。

 英国防省は、モスクワの沈没は、同地域のロシア海軍部隊が重要な防空および指揮統制ノードを喪失した意味があると評価している。英国政府関係者は、紛争が始まって以来、ロシア海軍の主要艦艇の損失は、3月にアゾフ海のベルジャンスク港で破壊されたプロジェクト1171アリゲータ級揚陸艦「オルスク」に次いで、今回が2隻目と説明している。

 ロシアの巡航ミサイルは夜間にキーウ方面を攻撃し、ロシア当局者はヴィザル・ジューリャニ機械製造工場を狙ったと発表した。ロシア国防省の発表では、黒海のブヤンM級コルベットからカリブル巡航ミサイルを発射したとある。

 ウクライナ国内の防衛産業を標的とした、ロシアによる最新のミサイル攻撃となった。ヴィザルはソ連時代に設立された国営企業で、対艦ミサイル「ネプチューン」の部品製造をはじめ、ミサイルや航空関連業務を担っている。

 同社はS-300シリーズ地対空ミサイルの生産にも貢献している。ウクライナ軍が7週間以上の戦闘を経て、ロシア軍の優勢を防ぎ続けているのは、S-300が重要な役割を担っているからだ。スロバキア政府はつい最近、ウクライナの防空能力を強化するため、S-300システムを追加譲渡した。

 ロシア国防省によると、今回のヴィザル工場への攻撃は、ウクライナによる越境攻撃への報復として実行され、キーウ周辺への攻撃を強化するという。昨日、ロシア当局は、ウクライナのヘリコプターがブリャンスク州の村落を攻撃したと発表したが、これは未確認のままである。ウクライナ当局は否定し逆にロシア当局の挑発行為だと主張している。

 今日、ロシアはベルゴロド地方の防空施設が攻撃に対応する様子をビデオで公開した。ベルゴロド州は、3月31日夜から4月1日にかけて、ウクライナ軍のMi-24ハインド攻撃ヘリコプターが燃料貯蔵所を攻撃したとロシア当局が発表した場所でもある。同事件の正確な状況は不明のままだ。

 ウクライナ当局によると、モスクワ沈没後、ロシアからの攻撃の急増に備えているという。夜間攻撃を考慮し、ウクライナのキーウ州知事は、避難住民に帰宅しないよう警告している。最近相次いでいる外国高官の首都訪問や、各大使館の業務再開に影響が出る可能性がある。

 地元当局によると、ロシア軍が2月に全面侵攻を開始して以来、キーウ周辺では少なくとも市民900人が死亡している。これには、ロシア占領下での戦争犯罪の疑いによる死者も含まれる。ウクライナ国家警察は現在、個別の戦争犯罪疑惑3000件を調査しているという。

 英国防省は、ウクライナのロシア支配地域の現在の範囲についての評価を示す最新の地図を公開した。

 

 ロシア国防省は、ウクライナ作戦の支援で使用中の電子戦システムを公式ビデオで公開した。その中には、Krasukha-4の映像も含まれている。3月にウクライナ軍は、同システムの司令部コンポーネントを比較的無傷な状態で捕獲している。

 下の写真は、砲身に英語で「WOLVERINES」と書かれたT-72戦車の残骸だ。今月初めには、BMP-2歩兵戦闘車両にも同様の落書きがが目撃されており、共に1984年のアメリカ映画「レッド・ドーン」の引用であることは間違いない。

 

 CNN道によると、米国政府は、ウクライナ紛争は少なくとも2022年末まで続く可能性があると評価している。

 独立系情報レジリエンスセンターによると、ウクライナ南部のロシア占領下の都市ケルソンKherson近郊の衛星写真には、大規模墓地が整備される状況が写っている。紛争で殺害された民間人と関連する可能性が高いと思われ、ロシア軍が占領地で恣意的な処刑などを通じて、ウクライナの非戦闘員を意図的に標的にしてきたという証拠が増え続けている。■

 

 

Ukrainian Anti-Ship Missiles Struck The Russian Cruiser Moskva: US Officials

 

A clearer picture of what caused the sinking of the cruiser Moskva is starting to emerge.

BY

JOSEPH TREVITHICK

APR 15, 2022 3:46 PM

THE WAR ZONE