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2025年1月13日月曜日

左翼による長い行進を逆転させる時が来た(The Daily Signal)―山火事で注目のLA消防本部のトップ三名がそろってLGBTだったというおかしな人事が世間にバレてしまいましたね。世界はバランスを取り戻す時に来ました

 Free speech demonstrators protest Big Tech censorship in front of the U.S. Supreme Court with signs that include “censorship is the tool of tyrants.”

2024年3月18日、ワシントンの連邦最高裁判所でマーシー対ミズーリ裁判の口頭弁論が行われる中、ソーシャルメディア・プラットフォームに政府が圧力をかけ、誤報対策と称し右寄りコンテンツを検閲させたと主張する保守派デモ参加者たち。(Saul Loeb/AFP via Getty Images)


界的で生まれた一見バラバラな出来事が焦点を結び、統一されたパターンを形成することがある。そうなると、世界に突然意味が生じることとなる。

「バラバラ」な出来事の例をいくつか挙げてみよう: イーロン・マスクのXが保守派にグローバルなコミュニケーションと団結を可能にしていることに、ヨーロッパの3大国政府が突然不満を漏らし、フェイスブックが一転してXと一緒に検閲を放棄し、「覚醒した」カナダのジャスティン・トルドー首相がついに現実を受け入れて辞任する。そして1月4日、ジョー・バイデン大統領は、すべての宿敵であるジョージ・ソロス(大富豪)に大統領自由勲章を授与した。「私はただ、彼が人類を憎んでいるのではなく、愛していることを願うだけだ」とマスクはXの投稿でソロスを評した。

 中絶から民族のバルカン化、犯罪者を起訴しない検察官まで、左翼の最悪の思想のすべてに数十億ドルを注ぎ込んできたソロスが最高の勲章を得たことは、皮肉にも転機を意味した。それは、死にかけた世界秩序の体内政治から抜け出す最後の腐敗した風の合図だった。

 36時間の間に電光石火で起こった他の出来事は、世界中に吹き荒れる変化の風を告げるものだ。

 表現の自由の拡大に尽力してきたアメリカのジャーナリスト、バリ・ワイス Bari Weissはこれを「古いコンセンサスの崩壊」と呼んでいる。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は左翼的な全会一致思想のチャーター・メンバーであり、パリで開かれた会議で、これは「新しい国際的な反動運動」の誕生だと痛烈に訴えた。

 世界中の保守派がかつてないほど団結しており、ソーシャルメディアもその一助となっている。ここ数年、志を同じくする保守派でベストプラクティスを共有する国際会議に参加する機会が増えている筆者は、頭文字をとってNIRM(新しい国際反動運動)と名付けようと考えた。しかし、「反動的」という言葉では、何が起こっているのかよくわからない事に気づいた。

 同僚で友人でもあるロジャー・セヴェリーノRoger Severinoは、Eメールでこれを「長い逆行」と呼んだ。筆者はこの言葉が気に入った: 世界各地で保守派が、「目覚めた」左派が過去数十年間に成し遂げた文化的進歩を逆転させつつある。

 1960年代後半、西ドイツの急進派ルディ・ドゥチュケRudi Dutschkeは、アントニオ・グラムシの文化的マルクス主義を見習い、その戦略を「制度を貫く長い行進」と命名した。 今、我々保守派が世界中で行っていることは、この長い行進を逆行させることだ。

 ドナルド・トランプ次期大統領の当選と、マスクやマーク・アンドリーセン Marc Andreessen、デビッド・サックスDavid Sacks、ピーター・ティールPeter Thiel といった志を同じくするテック界の巨人たちによる大義への結集である。これらの人物や、金融業者のビル・アックマンなどは、左派の宿敵であるトランプを支持することで、真の勇気を示した。

 フーバー研究所に勤めるアメリカの至宝、経済学者トーマス・ソウェルは、これを「左派の政治ビジョン」と呼んでいる。ソウェルは、政治的スペクトルを超えたビジョンを誰もが持っていることを認めている。 しかし、そこには違いがあり、それは先週の出来事を結びつける核心に触れるものである。

 「しかし、驚くべきことは、左派の意見が、しばしば敵意や憎悪を伴っていることである。「思想史の研究者なら誰でも、政治的左派が自分たちと意見の異なる人々を誹謗し、悪者扱いすることがいかに多いかに気づくはずだ。 ある意味で、自分たちが議論できない、あるいは議論しようとしない思想を黙らたい政治的左派の試みは、知的破綻の告白なのだ」。

 左派のヴィジョンをコンセンサスとして固めようとする権威主義的な動きは常に見られる。NPRのキャサリン・メア社長兼CEOは、「真実への畏敬の念が、コンセンサスを得たり、重要なことを成し遂げたりすることを妨げる、ちょっとした気晴らしになっているのかもしれない」と述べた。

 マスクが2022年10月にツイッターを買収し、後に「X」と改名して以来、彼はツイッターを自由な議論に開放し、合意形成の邪魔をしてきた。 このことは、まさにソウェルが説明するような理由で左派を憤慨させ、多くの左派主義者がヒスを起こしてXを去り、スレッドやブルースカイといった代替プラットフォームへと移っていった。

 しかし、彼らが世界的な会話を牽引しているわけではない。Xがその役目を果たしている。 世界最大級のソーシャルネットワークのオーナーが、新しい国際的な反動運動を支持し、選挙に直接介入すると言われたら......誰が想像できただろうか?

 ベルリンの国営放送『ドイチェ・ヴェレ』によれば、オラフ・ショルツ首相政府のスポークスマンは、マスクが8400万人のドイツ人の意見を変えるために「真実でない、あるいは半分の真実、あるいは意見の表明」を利用しようとしていると非難した。

 英国のキーア・スターマー首相も、マスクに直接言及することなく、同様の言及をした。

 「嘘や誤った情報を可能な限り広く流している人たちは、被害者には興味がない。 「彼らは自分自身に興味があるのだ」。

 マスクがイギリスで長年続いたままのイスラム教徒による少女レイプ事件や、ドイツの右派政党「ドイツのための選択肢」の選挙情勢など、政治的に微妙な事件についてコメントしたことにドイツ、イギリス、フランスの各国政府は激怒している。

 しかし、ショルツと彼の率いる社会民主党は、来月の選挙で敗北に向かっている。 世論調査では、同党の得票率は17%で、「ドイツのための選択肢」より2ポイント低い。 従って、ショルツはトルドーと同じくらい不人気であり、古いコンセンサスが崩れつつある別の例である。

 ワイスは今週、「カナダの政治で起きていることは、真空地帯で起きているのではない。 それは、より広範な現象の徴候である。そのコンセンサスとは、移民は絶対的な善であり、多文化主義が最終目標である」というものだった。 進歩的な社会的態度に反する主張は『偽情報』となり、強固なオンライン検閲によって対抗しなければならない」と、ワイスはソウェルを真似て書いた。「異論を唱えれば偏見とみなされるからだ。そして、このコンセンサスに疑問を呈する発言をした者は、誰であろうと社会から弾き出されることになる。 このようなコンセンサスは欧米中で否定されている」。

 なぜか? 2016年と昨年のトランプの勝利は、左派の政治ビジョンを打ち砕く余波をもたらしたからだ。

 「イタリアでは、極右で政治キャリアをスタートさせたジョルジア・メローニが、おそらく西ヨーロッパで最も安定した国を率いている。イギリスでは、労働党のキーア・スターマーが14年にわたる保守党支配の末にダウニング街の実権を掌握した。ナイジェル・ファラージが率いる反移民政党「改革UK」は、イスラム主義と移民に反対する強硬な姿勢で英国で勢力を伸ばしている。 オーストリアでは第二次世界大戦後、最も右派的な政権が誕生した。また、かつてアンゲラ・メルケル首相のもとで旧来のコンセンサスの中心地だったドイツは、2015年に中東から亡命希望者を約100万人受け入れる決定をしたことで、いまだにその影響に対処している」。

 フェイスブックとインスタグラムを所有するメタ社が火曜日に検閲をやめると発表したことは、さらに事態を加速させるだろう。 同社は、第三者によるファクトチェックを廃止し、代わりにXが開拓した 「コミュニティ・ノート」システムに切り替え、移民やジェンダー問題などのトピックに関する制限を解除する。

 メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、火曜日に公開されたビデオで、「あまりに多くの間違いと検閲が多すぎるという段階に達した」と述べた。彼は避けられないことも認めた: 「最近の選挙は、再び言論を優先させる文化的な転換点のようにも感じられる。

 崩壊や表現の自由の回復につながる次の兆候に期待したい。■


この記事はWashington Examinerに掲載されたものです。


Reversing the Long March Through the Institutions

Mike Gonzalez | January 12, 2025


https://www.dailysignal.com/2025/01/12/reversing-long-march-through-institutions/


Mike is the Angeles T. Arredondo E Pluribus Unum Senior Fellow in the Davis Institute for National Security and Foreign Policy at The Heritage Foundation. Read his research.


NGAD決定をトランプ政権に持ち越した米空軍(Defense News)―マスクなど過激な意見の一方で、有人機へこだわる勢力でも無人装備の技術進歩による台頭は食い止めることはできないと観念しているようです。

 


ボーイングによるNGADコンセプトのひとつ。 (ボーイング)


米空軍は、ドナルド・トランプ次期大統領の1年目で、航空戦の新たな道筋を示すことになりそうだ。


 軍は2024年の大半の間、次世代エア・ドミナンス(NGAD)として知られる第6世代戦闘機の計画をどのように進めるか、そして進めるかどうかさえも考えあぐねていた。

 しかし、NGADが当初想定していたコスト(F-35統合打撃戦闘機の約3倍、2億5000万ドルから3億ドル程度)は、空軍の計画を頓挫させた。  この夏、空軍はこのプログラムの契約締結を保留し、NGADとその航空優勢戦略全体の見直しを開始した。

 空軍は当初、2024年末までにNGADに関する決定を下すつもりだった。しかし、12月に空軍は選択を新政権に委ねると発表した。

 同軍は、F-22ラプターに代わる新型戦闘機を、インド太平洋地域で将来中国と戦う空軍の能力の重要な一部と見なしている。この戦闘機は、協働戦闘機として知られる自律的に駆動するドローンのウィングマンを含むシステム・ファミリーの一部となり、飛行状況に合わせて理想的な構成に移行できる先進的な適応型エンジンを搭載する。

 ボーイングとロッキード・マーチンになると広く予想されているNGADの競争相手である両社が提案しているテクノロジーと能力は「信じられないほど素晴らしい」と、空軍参謀総長のデイブ・オールヴィン大将は12月7日に述べた。しかし、空軍が進路にコミットする前に、正しい方向に進んでいるか確認する必要がある、と彼は言った。

 カリフォーニア州シミバレーで開催されたレーガン・ナショナル・ディフェンス・フォーラムの席上で、オールヴィン大将は言った。 「一方通行のドアを通過する前に、脅威の弧、この[NGAD]プラットフォームが空軍の他の能力とどのように統合されているか、そしてその統合された一連の能力が脅威を満たし、脅威を超えることができるかどうかを見ることが賢明だと考えた」。

 ヴァージニア州選出のロブ・ウィットマン下院議員(共和党)は、空軍がNGADの開発を進めすぎる前に「厳しい質問」をし、次期政権に道筋を示す機会を与えるのは正しいことだと述べた。

 そうすることで、今後何年も直面するであろう脅威に対処する適切な設定になっていないNGADプラットフォームの実現を避けることができるからだ、と同議員は言う。

 「過去に起こったことは、我々が(プラットフォームについて)決定を下し、その能力の運用開始が何年も先になってしまうことだ。運用が開始される頃には、脅威は変化している」。

 空軍はまた、NGADのプラットフォームがCCAやNGAS(次世代空中給油システム)と呼ばれる将来のタンカーとどう連携するかを考えている、とウィットマン議員は述べた。

 選挙以来、著名なトランプ大統領のアドバイザーであるイーロン・マスクとヴィヴェック・ラマスワミは、有人戦闘機を増やすという考えを否定し、代わりに軍はドローンに集中すべきだと述べている。

 ウィットマンは、有人戦闘機は当面軍にとって必要だろうと述べた。 しかし長期的には、特にテクノロジーが急速なスピードで進歩するにつれて、乗員のいないプラットフォームがより大きな役割を担うようになるだろうと彼は言う。

 「問題は常に、その移行がどのように行われるかだ。 とされるわけではない。(搭乗員付きから)完全に非搭乗員付きになるのは、まだ何年も先のことだろう。しかし、非搭乗の航空機をどのように取り入れるかということが学習曲線になるだろう」。(ウィットマン議員)

 オールヴィン大将は、将来の戦争で無人機が重要な役割を果たすことに同意し、軍がな有人プラットフォームと無人プラットフォームのバランスを取る必要があると感じている。

 「将来は、最も効果的な人間と機械のチーミングが重要になる。ドローンや非搭乗員装備による戦争というアイデアを極端なものにすることは可能だが、戦争という非常に人間的な努力から人間を取り除いてしまえば、それはあまりにも簡単なことになってしまう。戦争は常に人間の努力なのだ」。■


Under Trump, decision on Air Force’s NGAD will shape fleet for decades

By Stephen Losey

 Tuesday, Dec 24, 2024

https://www.defensenews.com/air/2024/12/23/under-trump-decision-on-air-forces-ngad-will-shape-fleet-for-decades/


2025年1月11日土曜日

米海軍の視線は中国と台湾の問題に集まる:2025年の展望(Breaking Defense)―中国との紛争に備える米海軍に残された時間は、予想外に短い

 

サ・フランケッティ海軍作戦部長は、2027年に台湾を巡り中国と紛争が起こる可能性に備えるよう米海軍に命じている。良くも悪くも、現在の米国海軍は2027年にもほぼ今のままの状態で存在しているだろう。フランケッティが直前にどのような準備を行うことができるかが、新年の焦点だ。

国防総省には3つの予算が存在する。(厳密に言えば、議会は2025年度の予算案をまだ可決していませんが、わかりやすくするために、3月までに可決されると仮定する)つまり、来年度の実行予算は2025年度予算、議会で審議中の予算は2026年度予算、国防総省で策定中の2027年度予算だ。言い換えれば、海軍は2027年までに艦隊編成に意味のある変更を加える予算サイクルをあと1回残すのみであり、その変更はまだ公表されていない。コネチカット州選出の民主党下院議員ジョー・コートニーが好んで言うように、「艦船建造は長期戦だ」ということだ。今月初めに議会予算局のアナリスト、エリック・ラブスが指摘したように、劇的な変化を起こすのに1年という期間は十分ではない。

それでは、中国との潜在的な紛争に備えて、それまでに海軍は何ができるだろうか?海軍が提示した答えは、フランチェッティ提督が最近発表した「ナビゲーションプラン」に由来する。この計画には、海軍の焦点を2027年に定める先導的イニシアティブである「プロジェクト33」が含まれる。フランチェッティ提督は目標多数を掲げているが、特に注目に値するのは、CNOが80パーセントの即応態勢に重点を置いている点である。

「9月11日を思い出してください。突如として、さまざまな任務を遂行するために艦船を出航させる必要があることが分かります。航空、水上艦、潜水艦の各コミュニティを通じて、戦闘即応態勢にある艦船を認定し、必要なスケジュール通りに艦船を出航させることができるプロセスを確立したいと考えています」と彼女は昨年初めに記者団に語っていた。

確かに、それは価値のある目標のように思えるが、平時でさえ、ましてや戦時下では、運用テンポにメンテナンスが追いつかない海軍の苦悩は、よく知られている。 CNOは、前任者の多く、あるいは全員が、司令官室のそれぞれの同僚とともに、指揮を執っていた時に苦労したであろう問題を、迅速に克服しようとしている。

また、フランケッティは「より多くのプレーヤーをフィールドに」という表現を好んで使用しており、これは伝統的な軍艦の建造だけでなく、無人船の建造など、その他の取り組みにも言及している。海軍は2020年代前半に、無人水上・水中船を艦隊に組み込むための手順にかなりの時間と費用を費やした。また、第4艦隊を支援し海上パトロールするSaildronesのような成功例もある。2025年に注目するのは、無人船を艦隊への追加の勢いを維持できるかどうか、そして、有人艦隊とともに実戦に投入される無人船のニュースがいつ頻繁に聞かれるようになるか、という点だ。紅海で空母打撃群とともにフーシ派を相手にする任務は、南米沿岸の監視任務とは大きく異なる。

最後に、予算の問題がある。フランケッティの計画では、より多額の予算がなければ、海軍は「深刻な戦略的制約」に直面すると率直に述べている。海軍は、この1年間の厳しい財政状況に直面した際、将来の近代化予算を大幅に削減して予算を捻出した。次世代攻撃戦闘機開発の予算削減もその一つだった。

トランプ政権は国防費増額を要求すると考えられているが、共和党内部だけでもさまざまな派閥が存在する議会が、それに見合うレベルの増額を行うかは、まだわからない。海軍がどのような予算で対応するのかは、2025年の重要なポイントとなるだろう。

フランケッティは2027年までの日数を示すカウントダウンタイマーをオフィスに置いていると言う。中国と台湾に対するその意図は、CNOにとって明らかに最優先事項だ。彼女はそれを海軍の最優先事項としており、新年における最優先事項でもある。■


For the Navy, all eyes will be on the China-Taiwan question: 2025 preview

The time left for the US Navy to prepare for a conflict with China is deceivingly short.

By   Justin Katz

on January 02, 2025 at 9:03 AM

https://breakingdefense.com/2025/01/for-the-navy-all-eyes-will-be-on-the-china-taiwan-question-2025-preview/


2025年1月9日木曜日

トランプ政権による対中政策の課題(Foreign Affairs)―米中間のバランスを決するといわれる2020年代末でのトランプ第二次政権の挑戦とは


ランプ次期政権の対中政策、そしてそれに対する中国の反応を予測してもあくまでも推量に過ぎない。第一期トランプ政権では、取引を重視するアプローチが、政権のアプローチと異なることが多かった。この対照的な衝動が、彼の2期目を特徴付けることになるだろう。しかし、トランプ政権のアプローチを取り巻く不確実性にもかかわらず、同政権が直面する最大の課題は明白だ。競争における重要な窓口が閉じられつつある中で米国が中国に打ち勝つ体制を整えることである。

 バイデン政権の初期に高官らが集まり、情報を突き合わせた結果、米国の対中競争で2020年代が決定的な10年間になるという結論に達した。是正措置を講じないと、米国は中国に技術的に追い抜かれ、経済的に依存し、南シナ海や台湾海峡で軍事的に敗北するリスクが高まる。

 トランプの新チームは、この「決定的な10年」の後半に米国を導いていくことになる。課題は山積みだ。トランプが選んだ国家安全保障チーム、特にマイク・ウォルツ(国家安全保障顧問)、マルコ・ルビオ(国務長官)、エリス・ステファニク(国連大使)は、課題を理解しており、中国に打ち勝つ必要性について、党派を超えて高まりつつあるコンセンサスと一致する見解もある。競争アプローチを実行する上で、最大の障害となるのは、トランプ大統領自身が取引や取引主義を好み、また習近平国家主席に媚びを売る傾向があることかもしれない。この傾向は、輸出規制の拡大や人権擁護の声高な主張など、より強硬なアプローチを取るスタッフの努力を損ないかねない。


トランプ新政権がこの課題を克服できれば、米国の競争力を向上させる機会を得ることになるだろう。決定的な10年間での格差の縮小には、ジョー・バイデン大統領の政策を基盤として、それをさらに発展させることが必要になるかもしれない。バイデン政権は、国内基盤と海外のパートナーとの関係に焦点を当て、米国の力を再構築することに重点を置いていた。このアプローチは、「投資、連携、競争」というキャッチフレーズに集約されている。この方式は、トランプ政権の「力による平和」というビジョンを実現する方法としても役立つ。しかし、米国の力を再構築するには、超党派の議会の支持と米国国民の支持を得た上で、トランプ政権が新たな取り組みを行うことも必要となる。


強さは自国から始まる

米国の対中政策に関する最も差し迫った問題のいくつかは、米国の強さの基盤となる国内政策に関する問題に帰結する。しかし、その強さの基盤は、特に冷戦終結以降、衰退している。政権は、これらの弱点を是正するために、大幅な構造改革を実施する必要がある。

 米国は、中国を迅速に抑止し、必要であれば紛争で中国を打ち負かすため、防衛産業基盤の立て直しを迫られる。現状では、持続的な戦闘が1週間続いただけで米国は軍需物資をすべて使い果たし、中国の大型造船所の1つよりも少ない造船能力で、撃沈された水上艦艇の再建造に苦労することになる。トランプ政権は、2つのタイムラインでの進展に焦点を当てる必要がある。すなわち、インド太平洋地域における無人システムや巡航ミサイル、弾道ミサイルの配備を2年以内に増やすという課題と、米国の造船産業を活性化させるという5年から10年かかる課題である。存続に十分な商業部門が造船産業になく、数十年にわたって衰退している。


また、ワシントンは、サイバー攻撃から重要なインフラを保護する必要がある。中国は、米国の重要なインフラを侵害し、何百万人もの米国人が依存する水やガス、交通、通信システムなどを混乱させ、パニックを引き起こし、紛争シナリオにおける米国の意志を弱めることを狙っている。攻撃能力に投資する一方で、トランプ政権は、規制措置、サイバー防御の不十分さに対する企業の責任を問う新たな法律、および米国のネットワークへの侵入を試みる悪意のある行為者の能力を複雑化させる新たな技術的取り組みを組み合わせることで、米国の防衛力を強化する必要がある。


米国は、防衛産業基盤を立て直し、潜在的な紛争において中国を迅速に抑止し、必要であれば打ち負かす必要がある。


最後に、米国は再工業化と技術的リーダーシップに投資する必要がある。中国はすでに世界の製造業の30%以上を占めており、成功裏に技術革新を行い、将来の産業分野でますます主導権を握り、住宅市場が停滞する中で、大量の資本を製造業に再投資している。その結果、今世紀初頭に米国市場に中国製の安価な商品が溢れかえったのと同様の、第二の「チャイナショック」が起こり、米国の工業大国としての将来が脅かされ、米国が中国に依存する度合いが、中国が米国に依存する度合いを上回ることになるだろう。この問題に対処するには、関税だけでなく、製造業やハイテク産業を刺激するための産業政策、そして同盟国やパートナーとの協調も必要となる。同盟国に対し関税などの懲罰的措置を講じれば、中国が抱える過剰生産能力への対策に同盟国を巻き込みたい米国の目標を複雑化させることになる。


この国内課題を推進するためには、トランプ政権は行政府の権限だけに頼るわけにはいかない。超党派の議会からの多大な支援が必要となる。バイデン政権は、インフラ法案やCHIPS・科学法などを通じて、この方法でいくつかの主要な国内イニシアティブに着手した。トランプ政権も同じことができるはずだ。


また、トランプ政権は米国民を動員する必要もある。2001年の9.11同時多発テロ以降、歴代の大統領は中東政策について、大統領執務室からゴールデンタイムに国民向けに演説を行ってきた。しかし、中国について演説を行った大統領はいない。トランプは中国政策に関する国民への演説を検討しているのかもしれないが、中国との競争の本質をどう表現するかが、演説を行うかどうかより重要である。現実的な視点を持ちながらも扇動的にならない口調で、競争を強調しつつも必ずしも対立を意味しない表現を用い、中国との競争を米国人の利益に直接結びつけることで、トランプは政権の取り組みを支持する米国国民、市民社会、学術界、企業部門を結集することができるだろう。


数の強み

中国という課題は、規模の問題でもある。中国は人口で米国の4倍である。世界最大の工業国であり、100カ国以上で最大の貿易相手国でもある。米国が競争するには、自国も同等の規模を達成する必要がある。中国と肩を並べる最善の方法は、同盟国やパートナー国と協力することである。


米国の強さは、同国の同盟国およびパートナー国との豊かなネットワークにある。国内の構造的問題の解決に加え、トランプ政権は、経済および技術、安全保障という2つの主要分野において友好国との協調を深める必要がある。


中国ショックの再来を回避し、再工業化を促す条件を作り出すために、同盟国やパートナー国の市場を統合し、欧米の産業を保護する関税や規制のアプローチを調整する必要がある。また、技術面でのリーダーシップを維持するためには、機微技術が中国の手に渡るのを防ぐ輸出規制で協力する必要がある。


台湾海峡や南シナ海における中国の侵略を阻止するため、トランプ政権は、オーストラリアに原子力潜水艦の能力を提供する3か国間安全保障協力であるAUKUS、米国、オーストラリア、インド、日本を結びつけたクワッド、およびオーストラリア、日本、パプアニューギニア、フィリピンなどにおける米軍のプレゼンスの多様化に向けた取り組みなど、バイデン政権が同地域で成功させた協調関係を基盤として構築すべきである。後者の措置は、中国のミサイルシステムが中国近辺の米軍に及ぼすリスクを軽減し、米国がより柔軟かつ弾力的に活動することを可能にした。抑止には、武器売却や米国の能力を同盟国やパートナー国の領土内に配置することによって、非対称的な能力をそれらの国に提供することも求められる。米国は最近、フィリピンにタイフォン・ミサイルシステムを配備し、中国の侵略行為にコストを発生させている。そして最後に、中国の軍事活動に対する協調的な制裁や声明を含め、アジアにおける中国の冒険主義に対する経済的・政治的コストを高めるために、同盟国やパートナーとの協力はほぼ確実に必要となる。米国が単独で行動すれば、これらの措置のいずれも不可能である。


トランプ政権が優先事項で協力を得られるかどうかは、同盟国やパートナーに対するアプローチ次第である。欧州の指導者たちは、もっともな理由から、トランプ大統領が欧州諸国の経済に高関税を課し、ウクライナへの軍事支援を削減し、欧州に防衛費の増額を迫り、ひょっとすると米国の関与強化が中露関係を弱体化させることを期待して独自の形での米ロ和解を追求するのではないかと恐れている。政権高官は欧州諸国に対する影響力を駆使し、欧州が自国の防衛力を強化し、ウクライナへの支援を増強し、米国と協調して中国に対して輸出規制などのより厳しい経済・技術的措置を課すことを確実にするような、大西洋を挟んだ関係のより広範な再編を実現すべきである。このアプローチは、同盟関係を再編することなく同盟関係を損なうような、目先の派手な短期的譲歩のパッケージを迫るよりも賢明である。同様に、アジアにおいても、トランプ氏は初めの任期中に、同盟国から米軍を撤退させる、米軍基地の使用料を値上げする、米国の防衛義務を放棄するといった脅しをかけたが、これらは米国の実際の影響力を基盤としたものであった。しかし、この地域のアメリカの同盟国は、自国の国内政治状況に目を向けなければならないという事実を無視していた。その国内政治では、有権者が米国からの圧力に否定的な反応を示すことも多い。同盟国を政権の中国戦略に巻き込むためには、より繊細なアプローチが効果的である。


脅し、威嚇、そして約束

一方で北京はすでに次期政権に備え、対応策を講じ始めている。トランプが中国製品に60%の関税を課すという脅しをかけていることを深く懸念しており、すでに自国でも関税、輸出規制、制裁措置、そして中国で事業を展開する米国企業への取り締まりで報復する構えを見せている。中国当局が報復によってトランプからさらなる挑発行為を引き出せると考えているのであれば、トランプ1期目の貿易戦争における行動を模倣する可能性がある。しかし、報復措置がインフレの進行や主要米国企業のリスクを恐れてトランプ政権が譲歩する可能性があると中国が考えた場合、より強硬な対応に出る可能性が高くなり、場合によっては、米国の半導体メーカーであるマイクロンを標的にしたり、米国のレアアース輸出規制に対抗してレアアースの輸出規制を最近実施したりするなど、北京が予告したように、エスカレートとデスカレートを繰り返す戦術に出る可能性もある。だが、第三の可能性もある。もしトランプ大統領が就任早々60%の関税を課し、交渉には限定的な関心を示し、中国が自国の経済(および習近平の評判)に対するリスクが現実的で耐え難いものであると判断した場合、米国側の対応がどうなるかにかかわらず、北京は強硬な対応を取らざるを得ないかもしれない。


トランプ政権の関税脅威が、中国の行動変化を促す交渉戦術なのか、デカップリングを達成する交渉の余地のない米国の政策なのか、あるいはその両方の混合なのかは不明である。北京にとって最善のシナリオは、前者を期待し、報復と個人的外交を織り交ぜながら、貿易、技術、さらには麻薬対策を含む取引を推し進めることかもしれない。このような結果になる可能性を高めるために、北京はまず、イーロン・マスクのテスラなど、トランプと密接な関係にある企業に対して報復を行い、事態の沈静化を促すかもしれない。また、中国当局は、トランプを強硬派スタッフから引き離し、トランプの自己利益に訴えることも考えられる。これは、トランプ1期目における米中貿易戦争開始後の交渉でも行われた方法だ。その戦略の結果、トランプ大統領は香港のデモ参加者に対する中国の弾圧を軽視し、新疆ウイグル自治区の収容所への支持を表明し、ファーウェイとZTEに対する輸出規制の解除を提案し、さらには中国の産業政策慣行に言及しない貿易協定を受け入れることになった。こうした経緯を踏まえると、半導体輸出規制やその他の交渉の余地のない米国の政策(米国の台湾政策を含む可能性がある)について、北京と直接交渉する壮大な取引をトランプ大統領に持ちかける可能性について、特に競争的な傾向が強い政権スタッフは懸念すべきである。このような提案は拒否すべきである。


トランプ政権にとって関税に関する最善の道筋は、関税を一斉に課すのではなく、徐々に引き上げる、あるいは引き上げることをちらつかせることで「カエルをゆでる」ことかもしれない。このアプローチは、中国が強硬な対応をしたり、米国が貿易システムを混乱させている唯一の要因であると非難したりする能力を複雑にするだろう。米国企業や外国企業に時間を与え、調整する余裕を与えることになる。また、中国指導部が即座に追い詰められて報復せざるを得ない状況に追い込むのではなく、取引に向けた政治的余裕を与えることで、米国が中国から有意義な譲歩を引き出すことができるかもしれない。


貿易戦争を超えて、北京は自らを世界のリーダーとして位置づけ、米国を衰退へと向かう国として描こうとするだろう。トランプの初当選を受けて、習は7年前のダボス会議で中国をグローバライゼーションの擁護者として位置づけようとし、「資本、技術、製品、産業、人材の流れを遮断しようとする試みは...歴史の流れに逆行する」とまで宣言した。貿易戦争は、そのような機会を再び提供する。しかし、今回は、グローバル経済システムの擁護者としての立場を主張するだけでなく、習氏は、あり得ないことではあるが、中国を中東やヨーロッパで現在起きている紛争の調停役として位置づけようとしているのかもしれない。


北京は、次期政権に備えて準備を始めた

また、北京は、トランプ政権との緊張関係を解消するには、他の大国との関係改善が必要だと考えている。欧州や日本との外交関係を強化し、インドとの国境紛争の回避策を模索している。中国は、米国の同盟国やパートナーとの関係改善に努めているが、それは単に自国への圧力を軽減するためだけではなく、これらの国々がワシントンのやり方を過度に厳格だと考える場合に、それらの国々が頼れる選択肢を提供するためでもある。中国は、米国の同盟国ネットワークが地政学的な競争におけるワシントンの重要な優位性であると見ており、最初の政権同様、これらのパートナーシップを損なう第2期トランプ政権が、新たな機会を生み出すことを期待している。それゆえ、このような形でトランプは北京の手の内にはまるべきではない。


トランプ政権が中国との二国間外交をどのように構築するかは依然として未知数である。最も効果的な意思疎通の手段はホワイトハウスを通じたものであり、それはバイデン政権でも同様だった。指導者レベルの外交や、米国の国家安全保障顧問と中国の外交委員会委員長との間のチャンネルは、競争の管理だけでなく、レッドラインの伝達においても極めて重要であった。バイデン政権が構築した国家安全保障局レベルのチャンネルを再開するのがトランプ政権にとって得策であろう。しかし、トランプ大統領が即興で取引をまとめる傾向にあることはよく知られているため、首脳外交では、真に競争的なアプローチを維持することがより難しくなる可能性がある。


二国間外交や関税の問題とは別に、トランプ政権はさらに強硬な中国の外交政策に直面することになるだろう。台湾海峡は、一時的な緊張緩和の期間を経て、台湾の新政権に対する中国の不信感と、台湾周辺で着実に規模が拡大している軍事演習により、緊張が高まっている。中国によるフィリピン船への継続的な嫌がらせ、フィリピン人船員数名が負傷し、米国の防衛義務の発動の引き金となる危険性もあった第2トーマス礁での事件を含め、南シナ海は危機的状況に瀕している。中国はまた、ウクライナにおけるロシアの戦争を露骨に支援しており、ロシアに防衛産業基盤のための資材を提供し、欧州の諜報機関によると、致命的な支援も行っている。


次期国家安全保障チームにとって、インド太平洋地域における中国の挑発行為に対処しながら、中東やヨーロッパでの紛争に対処することは困難を極めるだろう。新政権は、それらの紛争の引力に抵抗し、米国の強さの源の活性を優先すべきである。国家安全保障とは外交政策だけではない。トランプ陣営は、決定的な10年における鍵は、米国が海外で何をするかだけではないと肝に銘じるべきである。自国の競争力を高めるため国内で何をするかが、重要になる可能性もある。■


The Trump Administration’s China Challenge

Rebuilding American Strength Will Take Buy-In at Home and Abroad—and From Trump Himself

By Rush Doshi

November 29, 2024


https://www.foreignaffairs.com/united-states/trump-administrations-china-challenge


2025年1月7日火曜日

2025年のアメリカを待ち受ける中国軍(Daily Signal)―中国に欠けているのは同盟国であり信頼度です。西側が米国に時間を稼がせ、その間PLAの矢面に立てというのは虫が良すぎる気もしますが現実の選択肢です

 


国共産党の習近平国家主席は、ドナルド・トランプ次期大統領からの米国就任式出席への招待を断った。

 一方、12月9日から11日にかけて、中国共産党は人民解放軍を台湾周辺とフィリピン海に大量に派遣させた。

 1月20日就任式が近づくにつれ、台湾海峡の緊張を緩和させる関心が習近平にないことは、最近の軍事行動の傾向からも明らかだ。

 2022年以降、中国は台湾周辺への軍事侵攻を着実に強めてきた。特に挑発的なのは、台湾海峡の中央線を越える中国空軍機である。 過去9カ月間だけでも、台湾周辺でのPLAの活動にはさまざまな波があった。

 通常、台湾周辺でのこうした軍事力の誇示は、北京を苛立たせる何らかの特定の行動があったときの反応として公に発表されるものだが、12月の出来事は、その大規模さだけでなく、北京が公に発表しなかったという点でも異例だった。

 2024年のPLAの目立った活動はこれだけではない。

 4月上旬には、30機の戦闘機と9隻の軍艦が台湾周辺で1日急増した。 そのうち20機が挑発的に中央線を越えた。

 そのきっかけは何だったのか? 通常、4月中旬は海峡両岸の軍事行動にとって理想的な天候であり、PLAが毎年訓練を開始する時期でもある。 しかし、今回はそれに加えて背景があった: 4月3日の活動急増は、台湾で18人死亡、1,100人が負傷した7.4の地震に続くものだった。

 地震から台湾が回復する間、北京は自然災害時の台湾の軍事的回復力をテストしたかったのかもしれない。 1日だけ急増した後、おなじみのパターンが繰り返され、6日後にはPLAの侵攻は漸減し、季節ごとの平均的なレベルに戻った。

 しかし、5月は北京にとって政治的な引き金に満ちた月だった。頼清徳新総統の就任式に続いて、PLA最大の軍事デモンストレーションが行われた。 頼清徳の就任演説は北京を激怒させたようで、「分裂主義」、つまり台湾の独立を促進するものだと解釈された。

 多くのチャイナ・ウォッチャーは演説に目新しい点はないと指摘したが、過去の就任演説の前例と異なる構成で、台湾は中国に「従属しない」と言及した。 PLAの対応は、頼新総統の演説の3日後に行われた2日間の軍事作戦「Joint Sword 2024A」で、最盛期には19隻の軍艦、16隻の沿岸警備艇、62機の軍用機が参加し、82回の中央線横断を行った。

 夏の間、中国の軍事活動は着実に増加し、航空活動の30日平均は8月上旬に2年ぶりの高水準に達した。 この上昇傾向は、中国が台湾海峡における二国間関係の改善を目的とする第16回海峡フォーラムを主催した後に始まった。



 この上昇傾向は7月まで続き、7月上旬には、中国がウクライナにおけるロシアの戦争を決定的に助長しているとするNATの声明を受けて急上昇した。 7月末には、アントニー・ブリンケン国務長官と中国の王毅外相との会談を前に、台湾周辺でのPLAの活動はゼロになった。

 ただし、PLAの善行は長くは続かなかった。

 ブリンケンが帰国の途につくと、PLAの活動レベルは歴史的な高水準に戻った。 8月1日のPLA創立記念日に見られた歴史的な高水準の活動よりをうわまわる大規模なPLAの迅速な反応を引き出した。

 9月、PLAの活動は散発的であったが、ニューヨークで開催された国連総会の傍らで行われたブリンケン-イー会談の後、3日間の活動が驚くほど活発化した。 この会議の数日前までは、7月と同様、PLAの活動はゼロだった。 しかし、戦争研究所によれば、会談後に中国は1980年以来初となった大陸間弾道ミサイルを発射し、アメリカの台湾への武器売却に報復した。

 2024年までは、中国共産党の挑発的な活動が高水準で続いていたが、10月に過去最大規模の軍事デモンストレーションが行われた。

 1911年の中華民国建国記念日に行われた頼総統の「10・10」演説は、北京の素早い非難を浴びた。 その5日後、北京は記録的な数の戦闘機(153機)と14隻の艦艇を台湾近くに派遣した。 うち111機が中央線を越え、北京はこれを「共同剣2024B」と呼んだ。 翌週には実弾射撃訓練が行われた。



(Muhammed Ali Yigit/Anadolu via Getty Images)


 アメリカ大統領選挙を背景に、11月のPLAの活動は「通常」のレベルに戻ったが、投票日に興味深いピークを迎えた。

 頼総統がハワイとグアムを訪問し、12月6日に台北に戻ったとき、事態は非常に面白くなった。90隻以上の軍艦を含むPLAの大規模な対応について、何の発表も根拠も示されなかったのだ。

 通常、PLAがあまり活動せず、天候に問題があるこの時期に、12月の奇襲は驚くべきものだった。 初日の12月11日だけで、台湾は53機の戦闘機と19隻の艦艇を探知した。 中国の艦隊すべてから軍艦が参加し、過去数十年で最大の軍事訓練となった。

 PLAがこれほど多くの海軍部隊を出撃させたのは、1995年から1996年にかけての第3次台湾危機のときが最後である。 さらに、軍艦は2列になって台湾の東に陣取り、台湾に向かう船舶を妨害する訓練と模擬封鎖の練習を行ったようだ。 これらの出来事が起こったとき、ロイド・オースティン米国防長官は来日しており、この件について尋ねられると、国防総省は動向を「注視する」と答えた。





 では、中国の挑発行為に対する抑止力を強化しようとする新政権に、2025年には何が待ち受けているのだろうか。

 ひとつには、昨年の出来事が示すように、中国は抑止力を失っていないということだ。 安全な現状を取り戻すには、アジアの軍事バランスを変える必要がある。 それがなければ、新政権が台湾の防衛力強化に取り組むことへの期待だけでなく、約束された関税に対して北京が今後挑発に出ることも十分に予想される。

 要するに、アメリカが中国に対する抑止力を取り戻すまで、挑発行為は続き、エスカレートする可能性が高い。 成功のひとつの指標は、台湾周辺や南シナ海、東シナ海での同盟国である日本やフィリピンに対する挑発的なPLAの活動が減少するかだろう。

 残念ながら、米国は過去10年間、中国がもたらす包括的な脅威を認識せず、賢明な対抗策も講じてこなかった。 次期政権は、力によって平和を回復する意向のようだが、準備が整った中国を相手にするには、アメリカの経済力と軍事力を、力強く若返らせる必要がある。■

Brent Sadler

Brent Sadler is a senior fellow for naval warfare and advanced technology at The Heritage Foundation.

Katherine Musgrove

Katherine Musgrove is a former member of the Young Leaders Program at The Heritage Foundation.


What’s in Store in 2025 for US From China’s Military?

Brent Sadler | Katherine Musgrove | January 05, 2025

https://www.dailysignal.com/2025/01/05/whats-store-2025-u-s-chinas-military/



2025年1月5日日曜日

ニューオリンズのテロでトランプ大統領が対ISIS戦略に焦点を当てるか―ISISが戦闘員を送り込む以外に、西側国民をたぶらかす作戦に出ているため、今後はプロパガンダへの対抗が注目されます

 


Chris Granger, The New Orleans Advocate via Associated Press

2025年1月1日、ニューオーリンズのバーボンストリートで爆発物が発見された場所を捜査するニューオーリンズ警察と連邦捜査官


旦にニューオーリンズで起きた致命的なテロは、ISISによって過激化された男によって実行されたと当局が発表しており、さらなるテロへの恐怖に拍車をかけるとともに、トランプ次期大統領の孤立主義的傾向がテロとの戦いに与える影響について疑問を投げかけている。

 テキサス州出身の米陸軍退役軍人で会計事務所デロイトに勤務していたシャムスッド=ディン・ジャバル(42)は、混みあうバーボンストリートにピックアップを突っ込ませ14人を殺害し、2017年以来初めて米国内でISISに影響された攻撃を行った。ジャバーは警察に射殺された。

 ISISは、イラクとシリアにおける米国主導の作戦で著しく衰退したものの、近年復活しており、2024年には世界中での致命的な攻撃を実行したと主張している。

 米政府高官は、ISISの脅威を抑えるためにはイラクとシリアでのプレゼンスを維持することが不可欠だと主張しているが、トランプ大統領は中東での部隊規模を縮小する可能性を示唆している。 

 次期大統領は先月、ダマスカスにおけるバッシャール・アル=アサド政権の崩壊を受け、1期目に撤退を試みたシリアに対して、手を引かないアプローチを求めた。

 ワシントン近東政策研究所のアーロン・ゼリン上級研究員によると、ISISは最近、世界的に「より高いテンポ」で攻撃を仕掛けており、トランプ大統領が中東における米国のプレゼンスを劇的に低下させれば、より大きな復活を遂げるだろうと警告している。

 「それは、アメリカがイラクから撤退し、ISISが再び戻ってくる場所を提供したのと同レベルの、とてつもない過ちであり、それは彼の目の前で起こるだろう」と彼は言い、2011年にアメリカがイラクから撤退し、ISISと戦うために2014年に再び戻ってきたことに言及した。

 トランプ政権移行チームのスポークスマンは、次期大統領がISISの脅威をどのように扱い、中東をどのように管理するのかについてのコメントを求めたが、返答はなかった。

 バイデン大統領の下、アメリカはISISを衰退させることに重点を置いてきた。国防総省のサブリナ・シン副報道局長は金曜日、記者団に対し、ISISは10年前のレベルではないにせよ、「脅威であり続けている」と語った。「ISISはイラクとシリアで見られたように能力を保持しており、だからこそ我々は、ISISが決して再結成したり、復活したり、以前の状態に戻ったりできないようにするために、これらの国の両方に我々の軍を配置している」と彼女は言った。

 ISISは2014年に台頭したが、5年以内に米国とその同盟国によってほぼ敗北し、イラクとシリア北東部の領土の多くを失った。

 米国はイラクにおよそ2,500人、シリアにおよそ900人の部隊を常駐させているが、国防総省は最近、一時的な派遣部隊によってその数はおよそ2,000人になったと発表した。

 1月20日に大統領に就任するトランプは、シリアからの撤兵を明確に決定していないが、反体制派が同国を掌握した後の12月には、シリア問題から手を引くよう呼びかけた。トランプは1期目に撤兵を試みたが、その数を減らしただけだった。

 Soufan Groupの調査部長コリン・クラークは「トランプ大統領の外交政策に孤立主義を志向する傾向があるとすれば、ISISの復活がそれを躊躇させる可能性が高い。「中東に地上軍を(さらに)派遣するという話ではないが、海外でのイスラム国への攻撃という点では、最低限、積極的であり続けることが必要だと思う。「つまり、指揮統制部隊を狙うこと、価値の高いターゲットや重要な指導者を狙うこと、そして彼らのバランスを崩すことである」。

 イラクは、トランプ大統領にとって困難な舞台となるかもしれない。 昨年、ワシントンとバグダッドは、2026年までにアメリカのプレゼンスを縮小することで合意したと発表した。

ワシントン・インスティテュートのゼリンは、トランプ大統領に対し、少なくとも米軍が国内に駐留するようバグダッドと交渉するよう促している。「イラクとシリアは国境を接している。 イラクでISISが弱体化しても、シリアでISISが復活すれば、イラクに資源が戻る。 「イラクの安全保障の未来は、シリアの安全保障の未来と同じように結びついている。 だから、一方を他方から切り離すことはできない」。

 アメリカ軍はISISに対して定期的に空爆や作戦を実施しており、12月の作戦ではISISのリーダー、アブ・ユセフ別名マフムドを殺害した。

 それでも、アフガニスタンにおけるテログループの支部であるISIS-Kは、2021年のアメリカのアフガニスタン撤退後に復活しており、昨年、イラン、トルコ、ロシアで数百人を殺害したテロを起こした。

 西側諸国では、ISISが昨年、ドイツで3人を殺害し、スイスで男性を負傷させたナイフ襲撃事件を起こした。 8月にオーストリアで開催されたテイラー・スウィフトのコンサートでは、ISISに触発された大規模テロ計画が阻止されていた。

 ミドルベリー国際問題研究所で暴力的な過激主義を研究しているジェイソン・ブラザキス教授は、領土を失ったにもかかわらず、ISISはオンラインで存在感を維持し、人々を過激化させ、致命的な攻撃を実行させるプロパガンダ・マシンに燃料を供給していると述べた。「ISISはシリアのような現実空間では衰退しても、プロパガンダを発信するためにコンピューターやソーシャルメディアにアクセスできる多くの場所で存在感を示している」。

 攻撃はまた、存在を宣伝し、模倣犯を触発する効果もある。ニューオリンズ襲撃事件は、2017年にニューヨークで8人が死亡したトラック暴走事件と類似している。

 ホワイトハウスのジョン・カービー国家安全保障報道官は金曜日のブリーフィングで、連邦当局はさらなる脅威を「非常に注意深く」監視しており、今後もそうしていくと述べた。

 しかしブレイザキスは、米国はテロ対策にもっと資源を投入すべきだと指摘している。「われわれは単に、5年前と同じ脅威に対する情報収集をしていないだけだ」と彼は言い、トランプ大統領に対テロリズム分野にもっと資源を投入するよう求めている。「孤立主義は、ISISやアルカイダの台頭に対抗する成功策にはならない。「米国がシリアのような場所に何千名もの部隊を駐留させなければならないという意味ではなく、自国の庭でISISと戦えるようにする投資は可能だ」。

 ISISは一般的に、タジキスタンのような移民が多い国を含み、紛争が多く不安定な地域から戦闘員をリクルートしている。

 しかし、テロリスト集団は西側でより多くを直接過激化させようとしており、2022年には『ホラサンの声』と呼ばれる英語雑誌を創刊し、オンラインで拡散している。

 ISISがドローンやその他の新技術の使用を呼びかけるなど、より高度な攻撃を鼓舞しようとしているとの懸念も高まっている。

 一方でISISのプロパガンダが効果を失いつつある兆候もある。

 国際テロ対策センターのビジネス・マネージャー兼副所長であるアントワーヌ・ボードンは、最近のISISによる攻撃は熱狂的な賞賛を受けることが少なくなっていると述べており、イデオロギーや自己犠牲に対する関心が低下し、テロリスト集団が支持者に報いる力が縮小しているためだという。「こうした攻撃が以前ほど反響を呼んでいないことは、ISISの孤立ぶりを示している。しかし、人々がまだそれを信じていないとわけではない」。■


New Orleans attack puts focus on Trump’s counter-ISIS strategy 

by Brad Dress - 01/04/25 6:00 AM ET


https://thehill.com/policy/defense/5066574-isis-attack-new-orleans-trump-terrorism/