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2025年9月12日金曜日

シンガポールが次期海上哨戒機にP-8ポセイドンを選定(TWZ)―明確な国家戦略と安全保障の価値観からシンガポールは着実に装備を充実させています

 

F-35とP-8を導入するシンガポールは、地域で最も近代的な空軍力を急速に構築中だ

オーストラリア国防省

ンガポールは次期海上哨戒機(MPA)としてボーイングP-8Aポセイドンを正式に選定した。同機は、シンガポール空軍(RSAF)の老朽化したフォッカー 50 ターボプロップ機群に交代し、能力を大幅に向上させ、この地域でも有数の装備を誇る空軍の近代化が推進される。

シンガポール国防省は、同国の海上保安能力強化に向けた広範な取り組みの第 1 段階として、P-8A を 4 機購入すると発表した。チャン・チュンシン国防相は本日、ピート・ヘグセス米国国防長官と会談し、この決定を伝えた。

P-8 は、エアバス C295 MPA(双発ターボプロップ機)に優先して選定された。その前に、シンガポールは、米国海軍の退役 P-3を購入する選択肢も検討していた。

シンガポール国防省は声明で、P-8 取得により「シンガポール軍の海上状況認識能力と、水中脅威に対抗する能力が強化される」と述べた。現時点では、プログラムの費用や新型MPAの納入時期について言及はない。

シンガポール空軍(RSAF)が現在運用中の5機のフォッカー50エンフォーサーII MPAは1993年から運用されており、早急な更新が求められている。運用国が減少する中、同機の維持はますます困難になっており、スペアパーツを含む支援体制の確保に大きな疑問符が付いている。同機の特筆すべき特徴はAGM-84 ハープーン対艦ミサイルの発射能力だが、P-8とは異なり、対潜戦能力はない。

3月、当時のシンガポール国防相Ng Eng Henが計画を発表した。フォッカー機の代替調達に加え、新型潜水艦2隻と対ドローン能力を備えた新型歩兵戦闘車の購入を盛り込んだ。

2025年3月の公式資料。当時のシンガポール国防相Ng Eng Henの調達計画を示す。シンガポール国防省

一方、2023年にはボーイングとシンガポール政府系企業STエンジニアリング(STE)がP-8の維持管理に関する覚書(MoU)を締結した。これは他運用者の航空機整備にも拡大される可能性がある。

シンガポールにとってP-8は、現行のフォッカー50に比べ明らかな優位性をもたらす。

双発ターボプロップのフォッカー50、C295 MPA、P-3と比較して、P-8は機体が大きく、より多くの乗員、そして将来の能力追加のための余地を備えている。その性能上の優位性は、より長い航続距離、より高い運用高度(センサーの「視界」を拡大)、作戦地域へのより速い移動、そして到達後のより長い滞空時間を意味する。米海軍では、P-8による10時間を超える情報収集・監視・偵察任務は珍しくない。

C295 MPA. エアバス

性能上の優位性に加え、P-8は真の多目的プラットフォームでもある。兵器に加え、対潜戦、対水上戦、ISR、捜索救助(SAR)任務で使用する各種センサーを搭載する。これは、少なくとも一部のフォッカー50がISR用に構成されているとの報告を考慮すると重要かもしれない。これはP-8が標準装備の電子支援措置(ESM)スイートでカバーできる領域である。これによりポセイドンは、特に敵の防空システムや電子戦戦力構成に関する電子情報収集任務を遂行できる。さらにP-8は、極秘レーダーシステムであるAN/APS-154 先進空中センサー(AAS)の搭載機としての改造にも適している。P-8は高い相互運用性も備える。特に注目すべきは、マレーシアを除く五カ国防衛協定(FPDA)加盟国——オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、英国——が全て本機を発注している点だ。その他の運用国としてはノルウェー、インド、韓国が挙げられ、カナダとドイツも本機を採用している。

シンガポールにとって、P-8が最も重要な役割を果たすのは、中国が同地域における主張を強化するため強硬な動きを見せている南シナ海における緊張の高まりという文脈である。

中国は南シナ海のほぼ全域を自国領土と主張し、その立場を強化するため、同海域に人工島に軍事拠点群を建設するなど、活動を活発化させている

一方、シンガポール自身は南シナ海のいかなる部分にも領有権を主張しておらず、北京との良好な関係を維持しつつ、現在の紛争解決を地域的及び国際的機関を通じて繰り返し呼びかけている。

この背景には、同海域を縦横に往来する海上貿易へのシンガポールの強い依存がある。P-8の能力は、自国に近い沿岸海域、特に広域的な地域危機が発生した場合に容易に要衝となり得るマラッカ海峡でも発揮されるだろう。

こうした状況を踏まえ、シンガポールは海上戦力の刷新を進めており、P-8はその一環に過ぎない。

シンガポール海軍能力の継続的強化には、多目的戦闘艦(MRCV)6隻、フォーミダブル級フリゲート艦の改修、無人水上艦(USV)、既存4隻に加え追加配備される218SG型潜水艦2隻も含まれる。

中国が南シナ海でアクセス拒否・領域拒否(A2/AD)能力の拡大を続ける中、この課題はさらに深刻化している。人工島建設はその最も顕著な表れで、多くは既に、あるいは配備可能な状態にある長距離地対空ミサイル陸上配備型対艦防衛システム、さらにはH-6爆撃機を配備可能であり、危機発生時にはいかなる潜在的な敵対勢力に対しても重大な脅威となる。

このような状況下で、シンガポール空軍のP-8は、水上艦艇および潜水艦を監視する任務を担うことになる。中国人民解放軍海軍は現在、前例のない規模の拡大と近代化を進めている。

急速に拡大する中国の海洋能力を考慮すると、シンガポールはP-8のような高性能MPA(海上哨戒機)こそが、こうした動向に真正面から対抗できる唯一の合理的な選択肢と見なしている可能性が高い。

市場には他のMPAも存在する(ビジネスジェット機体を基にした、依然として能力はあるがよりコンパクトな機種など)。しかしP-8には実績があり、現在生産中であるという利点がある。同時に、これはシンガポールと米国の戦略的関係構築にも寄与する。

シンガポール空軍(RSAF)は、米国から供給されるF-35戦闘機による能力強化も期待している。昨年、シンガポールは従来の水平離着陸型(CTOL)F-35Aを8機追加発注し、これまでに発注済みの短距離離陸・垂直着陸型(STOVL)F-35B12機に追加した。

シンガポール国防省は最近、空軍向けF-35 20機の生産が開始されたことを確認し、初号機は2026年末に納入予定である。

F-35とP-8が配備されれば、シンガポール空軍は極めて近代的で高性能な航空戦力を保有することになる。既に同国は、特に先進的なF-15およびF-16の各種機種、イスラエル製装備のガルフストリームG550空中早期警戒管制機(AEW&C)、A330多用途給油輸送機(MRTT)、AH-64D攻撃ヘリコプターなどを運用している。

フォッカー50を除けば、短期的に更新が必要なプラットフォームはシンガポール空軍のC-130輸送機群のみである。

オーストラリア在住の防衛・航空記者マイク・ヨー氏が本誌に語ったところによれば、「次の更新対象はC-130となる可能性が高い。最も古いC-130Bはほぼ70年を経ているが、これらは主に国内訓練用として使用されており、C-130の基準では比較的穏やかな運用歴であることに留意すべきだ。より新しいC-130Hモデルは、人道支援・災害救援(HADR)やシンガポールの海外訓練支援など、実際の作戦任務に使用されている」。

シンガポール空軍(RSAF)のC-130H。

C-130B/Hの後継機に関する決定はおそらく間もなく下され、C-130Jが有力候補となるだろう。

総面積が280平方マイル(約720平方キロメートル)未満、ロードアイランド州の4分の1以下の国がP-8を戦力に追加した事実は、シンガポールが国防をいかに真剣に捉えているかを改めて示すものだ。

本記事作成にあたりRoy Choo氏の協力を得た。■

P-8 Poseidon Officially Selected By Singapore As Its Next Maritime Patrol Aircraft

With F-35s and P-8s on order, Singapore is fast building one of the most modern air forces in the region.

https://www.twz.com/air/p-8-poseidon-officially-selected-by-singapore-as-its-next-maritime-patrol-aircraft

トーマス・ニューディック

スタッフライター

トーマスは防衛分野のライター兼編集者であり、軍事航空宇宙分野や紛争に関する取材歴は20年以上。多数の書籍を執筆・編集し、世界の主要航空専門誌にも寄稿。2020年にThe War Zoneに参加する前は、AirForces Monthlyの編集長を務めていた







2024年11月12日火曜日

エアバスがA321MPAを発表:ボーイングのP-8Aポセイドンへ対抗(Simple Flying)―フランスが真っ先に採用。P-8生産の終了が視野に入る中、エアバスはどこに売り込もうとしているのか

 PMONTAGE_MIA_20241030_A310PATMAR_HQ_v2 - A321MPA flying over a warship in a storm

Graphic: Airbus



アバスはボーイングのP-8Aポセイドンに対抗する選択肢として、エアバスA321MPA(Maritime Patrol Aircraft)を発表した。 

 Aerotime.airoなどによると、フランス軍はA321MPAをフランスの次期哨戒機として選定したという。 

 エアバスの広報担当によると、A321MPAは、対潜水艦、対艦船、情報収集機に対するフランス海軍のニーズを満たすのが目的だという。 


エアバスA321MPAの概要  エアバスの広報担当は、エアバスA321MPAのコンセプトを本誌に語った。「当社のプラットフォームはまた、固定アンテナ・レーダーや非常に高度な水中探知ソリューション(音響センサーとソノブイ)などの最新世代のセンサーを搭載し、より包括的なミッション・ペイロードを統合している」。 

 A321XLRは、レーダーで船舶を、ソノブイで潜水艦をターゲットにする能力を備えた機体となる。さらに、A321XLRは、長い航続距離により、長時間の監視を行う能力を提供する。また、前身であるダッソー・アトランティーク2より高速で飛行可能だ。アトランティークの巡航速度は時速200マイル(時速321キロ)だが、ダッシュ速度は時速400マイル(時速644キロ)である。     

 A321MPAは、P-8Aポセイドンやダッソー・アトランティーク2と同様に、尾部に磁気異常探知機(MAD)、大型の観測窓、FLIRタレット、コンフォーマル・レーダー、通信・電子監視用の各種アンテナ、大型の武器庫を装備する。

 以下の2018年7月23日のエアバスのYouTubeでは、ベイに8本の魚雷を搭載し、高度にネットワーク化された航空機で、海上パトロールと「陸上監視」の両方ができるコンセプトであることがわかる:しかし、対艦・対地攻撃兵器を外部に搭載するための主翼パイロンはないようだ。

 P-8AポセイドンがAGM-84ハープーンを搭載しているのと異なる: 最後に、A321MPAモデルがユーロナバル2024に参加した。 Naval Newsは、エアバス・ディフェンス・アンド・スペースのキー・アカウント・ディレクターであるアレクシス・ラティに、フランス語と英語の2カ国語でインタビューを行った。 

 タレスがエアバスのA321MPAプロジェクトでもエイビオニクスのパートナーとなる。 最後に、チームは市場性のある輸出バージョンを作りたいと考えている。 


エアバスA321XLRとの関係 A321MPAがA321XLRをベースにしている主な理由は、A321XLRが4,700NM(8,650km)の商業飛行が可能だからだ。 これは、A321neoの航続距離3,200NM(6,000km)よりも大幅に長い。P-8Aはフェリーで4,500NMしか飛べない。また、P-8Aはボーイング737-800ERXの改良型として1990年代の737次世代技術をベースにしているが、A321XLRとA321MPAはA320neoファミリーの効率アップグレードのメリットをすべて使用する。 

 さらに、A321XLRには特別な燃料タンクが装備されている。、航続距離8,150NMのエアバスA330-800neoのように、より長い航続距離を持つエアバス製品もあるが、A321XLRは、海上パトロールの乗組員は十分に休息する必要があるため、間違いなく適切なサイズのプラットフォームとして選ばれた。さらに、ワイドボディ機は、限られた能力向上のためにコストが高くつく。 


結論:A321MPAは、P-8Aに対し競争力がある。A321XLRは、A320neoファミリーの能力を究極まで拡張したものであり、A321MPAは、どのオペレーターに対しても、持続的な監視・攻撃能力を提供するのに十分な能力を持つ。 A321XLRはP-8Aよりも航続距離が長く、P-8AにはないMADブームを備えているが、A321XLRには現在、翼下パイロンがないため、武器搭載能力ではP-8Aに明らかなアドバンテージがある。


エアバスによると同機の性能は以下の通り。

  • 101トンの離陸重量 - 

  • 16,000リットル(4226.8ガロン)の燃料容量 - 

  • 4,700海里(8,650キロ)の航続距離。


 一方、P-8Aポセイドンの生産は、ドイツ、カナダ空軍、米海軍予備役向けの注文が完了したため、終了しつつある。■


Airbus Unveils A321MPA: Answer To Boeing's P-8A Poseidon

By 

Joe Kunzler


https://simpleflying.com/airbus-a321mpa-answer-boeing-p-8-poseidon/


2020年2月9日日曜日

P-8にLRASM搭載進める米海軍は各種装備に攻撃力増強で中国海軍に対抗する


軍事力増強を自慢する中国ですが、米国は一層効果的な対抗手段の整備に向かっており、さらに高価な装備開発に向かわざるを得なくなります。これはソ連末期の状態と瓜二つで、さらにここに新型ウィルス問題で経済不況は避けられず、中国の現体制の終焉は意外に早くやってくるのかもしれません。



水艦、情報収集機、水上艦艇が戦力増強の対象となっているのは中国の精密スタンドオフ兵器で米艦隊が動きを阻まれる事態を米海軍が恐れている証拠だ。
まずP-8対潜哨戒機に長距離対艦ミサイル(LRASM)を搭載する。海軍で働き者のP-8には魚雷、ハープーンミサイル、SLAM対地攻撃弾が搭載ずみだが、LRASMさらに共用直接攻撃弾JDAM、小口径爆弾他が加わり、長距離地点から攻撃力が増強される。
LRASMは1千ポンド弾頭を搭載し、ステルス性能を発揮し敵ミサイル防衛網を突破する精密攻撃手段だ。従来のスタンドオフ対地攻撃ミサイル射程拡大型 (SLAM-ER)では135カイリ、ハープーンは70カイリだが、LRASAMの射程は公称200マイルだが実際はもっと長いと言われる。
LRASMはリンクを介して無人機、有人機と標的を把握し破壊する機能がある。空中発射式モデルは空軍のB-1、海軍のF/A-18での覇者テストに成功している。主契約企業ロッキード・マーティンでは海軍の巡洋艦、駆逐艦の垂直ミサイル発射装置からLRASM試射にも成功している。
ただし、P-8への搭載改修の完了は2026年以降となる。とはいえ、この動きは米軍の中で中国海軍への警戒感が高まり、米軍部隊が対象地域に近づけなくなる事態を恐れている証拠と言える。また在日米軍やグアムの基地防衛が困難になっている事態も反映している。
LRASM事業主管ウィル・ハーグリーヴス大佐はP-8への搭載時期を明言していないが、既存機材にミッションを追加する方法を模索しているとし、「機材統合で柔軟性を発揮することが費用対効果を高くし目標を達成する方法」と述べている。
中国の新型055型駆逐艦はVLSを112セル搭載し、従来の052D型の64セルから大きく威力が増えている。
新型駆逐艦で「中国の長距離攻撃能力は飛躍的に伸びる」とのレポートがあり、「055型1号艦の就役が2020年1月にあったが、ドレッドノート(1906年)、ビスマルク(1939年)の登場に匹敵する意義がある。歴史の上では両艦の登場で海軍戦略は大きく変わった。055型でも同じ効果が生まれるかもしれない」
こうした変化を背景に、米海軍も攻撃型潜水艦、対艦ミサイルの整備をここ数十年で始めて真剣に進めているというわけだ。旧式になったハープーンの新型導入もそのひとつだ。
2018年末に海軍はハープーン対艦ミサイルのロサンジェルス級潜水艦再搭載に向けボーイングと交渉に入った。これまで潜水艦には静かに沿海部に接近して情報収集あるいはトマホーク対地攻撃ミサイルを発射する任務をイラク、アフガニスタン、シリアで与えてきたのに対し大きな変化となる。
海軍では水上艦艇にも長距離ミサイル搭載を検討している。水上打開司令官トーマス・ロウデン中将は水平線超えミサイルを艦艇搭載すれば攻撃力が充実し、中国の急速な海軍兵力整備に対抗できると述べている。既存の攻撃手段に対し改良型対艦、対空、対潜兵器の新規調達を進めるとし、ハープーン、海軍攻撃ミサイル、長距離対艦ミサイルに言及した。■
この記事は以下を参考にしました

Eying China, Navy Refits P-8 Plane For Deeper Strike

on February 04, 2020 at 12:40 PM

2018年11月19日月曜日

F-35導入の遅れを想定した米空軍の対応策とは、その他米航空戦力整備の最新案から読める情報とは



The Air Force Has a Plan if the F-35 Doesn't Work Out As Planned F-35事業が予定通り進展しない場合に備える米空軍の構想


November 16, 2018  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-35MilitaryTechnologyWorldWarF-18. F/A-18




F-35が予定どおり戦力化しない場合に備えペンタゴンはF-15E、F-16、F-18の再調達を想定しているのか。


米議会調査部(CRS)によれば、ペンタゴンが出した航空戦力整備長期計画の背後にこの可能性が見えるという。


国防総省はアメリカの航空戦力を30年俯瞰で想定する構想案を毎年更新している。通常は総論で曖昧な内容に留まる事が多い。


今回は違う。「2018年4月発表の最新の三十年構想では詳細内容が豊富で、事業中止、耐用年数延長、新規事業に触れている」とCRSのジェレマイア・ガートラーが述べる。「一部は直接的、一部は間接的だ」


ガートラーは航空戦力整備構想で判明するパターンに注目している。とくにF-35に関する件だ。空軍はF-15Eストライクイーグル、F-16で耐用年数を延長しながらF-15C制空戦闘機は退役させようとしている。


「F-15EとF-16で共通要素は何か」とがートラーが問いかける。「ともにF-35ライトニングIIが後継機の予定だが、新構想ではF-35が予定通り就役ができない場合を想定し空軍が既存機種で耐用年数を延長して穴埋めをねらっているとわかる。F-35調達機数は変更がなく、空軍は1,763機だが予定通りに投入できない事態を想定し、空軍は旧型機の改修をめざす」


さらにA-10ウォートホッグは2030年代まで飛行継続し、ここでもガートラーはF-35調達の遅れを最初から空軍が想定していると見る。同様に海軍はF-18スーパーホーネットで耐用年数延長を目指しており、旧式のA型からD型は退役させる内容だ。つまり海軍はF-35のトラブルに備える構えだ。


ガートラーは今回の航空戦力整備で以下興味深い点がみつかったと指摘。


第六世代戦闘機で動きが来年発生。海軍と空軍は2019年に第六世代機の性能諸元を決定したいとする。「本格生産は数十年先になり、現在は概念形成の作業が中心。海軍は来年中に検討を完了させるとする。次のステップは提案内容の作成だ」(ガートラー)


KC-46の調達拡大。空軍は当初想定の179機を超えたKC-46ペガサス給油機の調達を希望。「今回の構想で空軍は既存規模では不足とし当初予定以上の機数を導入しつつ既存のKC-135でも改修を行う意向だとわかる。以前はKC-135を全機退役させる予定だったが空軍は供用年数を延長したいとする」


新型長距離給油機構想:航空戦力整備構想ではKC-46投入でKC-10を退役させる予定とわかる。ガートラーはこれを空軍が新型長距離給油機構想を断念する動きと解釈する。「空軍が給油機近代化を始めた段階でまずKC-Xとしてエアバス、ボーイングを競わせ179機導入でKC-135と交代させる構想だった。その次がKC-YでKC-X採択機材をやはり179機導入し、三番目のKC-Zは完全新型の大型機でKC-10の52機の後継機とするはずだった。今回の企画案ではKC-Zが消えている。KC-46は勢いを強めている現役機となっており同機の将来は一層有望に写る」


AWACSは飛行を継続。E-3セントリー空中早期警戒統制機材7機の退役構想は棚上げになった。空軍はC-130供用を続けるがC-130Jは追加調達しない。海軍はC-130数機を調達する。


新型VIP機材。「もう一つ予想外の動きが空軍であり、ボーイング757原型のC-32VIP輸送機を退役させる」とがートラーは指摘。「757生産が終わり14年となり新型機が必要だ」


ポセイドン追加調達。中国との対立深刻化を受けて海軍がP-8ポセイドン哨戒機の調達への動きを示している。「現時点の地政学面の変化を考えれば、追加調達が必要だ」と航空戦力整備構想に記述がある。


海軍向け新型練習機:「もう一つ新規事業としてこれまで予算化されておらず今回の30年計画に盛り込まれたのがT-44の後継機だ。海軍が民生ビーチクラフト・キングエアを原型に訓練に投入している機体だ。」とガートラーは指摘。「陸軍にも同様の動きがある」


新型海軍向けヘリコプター:艦艇建造計画見直しに伴い、海軍はヘリコプター多数を必要とする。「2030年になると新型艦の就役が増えるともっと多数のヘリコプターが必要となる」(ガートラー)。通常は調達前倒しで生産ライン維持を図るが「海軍は完全新型機として2030年代中頃の調達を狙い次世代の垂直離着陸技術の導入を期待する。陸軍と共同で進める新型機がここで絡むのだろう。海軍が新型機を2030年代中頃に運用開始するなら今後三四年のうちに事業開始になるはずだ」


ベテランのCH-47チヌークは今後も飛行を継続する。「陸軍の次世代垂直離着陸機にはまだ大型機版がなく、陸軍はチヌークの改修で耐用年数を15から20年伸ばしておきたいと考えている」(ガートラー)


中古ブラックホークヘリコプターを販売。ガートラーはUH-60ブラックホークヘリコプターの一部を陸軍が民間に払い下げると見ている。航空戦力整備案では陸軍はメーカーのシコースキーにブラックホークを送り再整備させるとある。「構想案では米軍用の再整備と入っておらず、シコースキーは旧型機を再生し別の相手に販売するのではないか。だが米政府が中古機材を市場に放出する準備に入っている」

だがCRSのガートラーは構想案そのものが全体として予算増額をねらうペンタゴンの策である可能性を警告する。「提言は国防予算上限を改定すべく二年おきに議会と約束している内容の延長である。軍としては上限拡大を狙い、これだけの支出で何が手に入るかを議会へ示す必要がある。つまり予算手当がついていない要求リストを別の形で示しているだけである」というのだ。■


Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook .

2018年8月14日火曜日

★中国潜水艦隊を探知攻撃する高性能P-1は日本でしか運用できない機体なのか



なぜP-1はここまで一回も海外商戦に勝てないのでしょうか。性能があまりにも玄人むきなのでしょうか。


China Will Soon Have the World's Largest Submarine Force. And Japan Has a Plan to Stop Them in a War. 中国は世界最大の潜水艦部隊をまもなく完成するが日本は有事の対応策を確保しているAnd this plane is a big part of that plan. この機体がカギを握る

August 13, 2018  by Sebastien Roblin

本は潜水艦による経済破壊を経験した世界唯一の国だろう。世界大戦二回で潜水艦を動員し英国の補給線を大西洋で切断しようとしたドイツのほうが知名度が高いが、Uボートは最終的に連合軍の対潜戦の前に破れた。これに対して第二次大戦時では連合軍の潜水艦が日本商船隊の55%を沈めて日本帝国の伸び切った西太平洋内の補給線が寸断された。
この戦訓が自衛隊に残る中、中国人民解放軍海軍の潜水艦部隊が急速に拡充されており、作戦用艦船70隻を有する世界最大の潜水艦保有国になるのも時間の問題だ。大部分は短距離用ディーゼル艦やAIP動力艦だといっても日本に慰めにはならない。日本が各艦の有効半径に入り日本経済が海上交通路の確保に依存しているためだ。
対潜戦(ASW)では大型哨戒機材が鍵となり、日本はこれまで米製四発機のP-3Cオライオンを運用してきた。同機は長時間の海上哨戒飛行が可能で日本周囲で潜水艦含む各種艦船を追尾してきた。オライオンの稼働期間の終わりに近づく中、日米がジェット推進式の後継機をそれぞれ開発した。
この内米国のP-8ポセイドンはボーイング737-800旅客機を原型としつつ高高度哨戒飛行に特化させたが、川崎重工製P-1は2007年初飛行で完全な新型機で低空及び高高度哨戒を任務とする。P-1は双発C-2と並行開発され部品は重量比で25%を共通化している。
搭載するF7-10ターボファンエンジン四発で長時間哨戒飛行でも冗長性が生まれ、P-3Cのターボプロップより騒音が10デシベル低くく音響上のステルスにつながる。P-1は最大飛行距離が5千マイル・最高時速621マイルで対象地点までP-3より30%早く到達できる。その後は双発低速飛行に切り替え燃料を節約できる。
パイロット二名、ミッション専門員9名で任務を実施する。P-1は光ファイバーによるフライ・バイ・ワイヤ(フライバイライト)を初めて実用化した機体で信頼性に優れ搭載センサーからの電磁干渉に強い。
搭載する各種センサーのうちHPS-106アクティブ電子スキャンレーダー4基が特に重要で機体周囲360度が監視可能だ。海面をスキャンし艦船を探知し、潜水艦のスノーケルやセンサーマストも探知できる。一方で対空探知モードにすれば即席AWACS機にもなる。次に電磁センサーアンテナがコックピット上部にあり、情報収集や敵のセンサー・通信活動を監視できる。HAQ-2赤外線電子光学センサーのタレットが機体下部にあり艦船探知に使う。
仕上げがHQA-7音響処理装置で潜水艦のディーゼル音を聞きとり、さらにカナダ製ASQ-508(V)磁気異常探知機を尾部に装着し、潜水艦が生む磁気特性を低空飛行で探知する。
ただし潜水艦探知の基本手段は投下式ソナーブイでP-1は37本を投下装置に搭載し、これ以外に70本が機内にある。各種センサーのデータはHYQ-3戦闘指揮装置に統合され人工知能で潜水艦の動きを予測する。HYQ-3はSH-60K対潜ヘリなどその他対潜機材と情報を共有し、海軍データベースや衛星偵察データベースで敵の正体を判別する。P-1にはLink-16データリンクもありF-15JやE-767AWACS、イージス艦と情報を共有できる。
P-1が敵対空ミサイル発射の標的になった場合はHLQ-9ミサイル警報装置、電子対抗手段、チャフ・フレア発射機で敵攻撃を探知し無効にする。
同機は20千ポンドの兵装を合計16箇所のハードポイントに搭載し、コックピット後方の兵装庫が8箇所、主翼下が8箇所だ。マーク46または日本製軽量対潜魚雷、ハープーン、91式ASM-1C超低空亜音速対艦巡航ミサイル、AGM-65マーヴェリック精密誘導ミサイルを搭載する。
2018年現在はP-1は15機が海上自衛隊の第三対潜哨戒飛行隊で厚木基地、VX-51試験飛行隊で稼働中で、さらに20機超を発注している。運用実績はほとんど非公開だが、Aviation Weekに「P-3より長距離で中高度、低高度で潜水艦探知を普通に行っている」と関係者が述べている。
日本は最終的に60機ないし70機のP-1を導入しP-3C全機と交代させる。またP-1は10年ごとにセンサー類を性能向上させ、その他P-3をもとにしたEP-3C情報収集機(5機)、OP-3C光学偵察機(4機)、UP-3C・UP-3D試験・訓練機(4機)と交代する専用機材もP-1原型で調達するのではないか。
日本は2014年に防衛装備輸出ルールを緩和し、P-1の対外営業を始めた。ただしニュージーランド、英国でポセイドンに敗れている。P-1の機体価格は125-150百万ドルだが調達価格は250百万ドルだ。それでもタイ、ヴィエトナムが関心を示しており、日本はフランス、ドイツにもアトランティック哨戒機の後継機種としてP-1を提示している。ただし米軍事調達ネットワークの強みと737部品の入手が容易な中でP-1には分が悪い。
とはいえP-1にはP-8より優れる点があり、低高度飛行性能で優れ、移動中の最大速度が高いこと、ハードポイントが多い(P-8は11点)、四発エンジンならではの柔軟性、MADセンサー搭載(P-8ではインド海軍用P-8I除きすべて非搭載)がある。両機種の搭載するセンサー類の直接比較は実際の運用実績を見ないと困難だ。その稀な機会が2018年6月のマラバール対潜戦演習で日本のP-1が米、インド両国のP-8と参加した。
高性能対潜哨戒機が海外に販路を開けるかは別として日本はP-1とそうりゅう級大気非依存型推進式潜水艦で中国の増え続ける潜水艦部隊の脅威から防衛が可能と見ている。
Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring .
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ここまで高性能のP-1が海外受注できないのは機体価格だけが原因ではないでしょう。日本の求める性能が高すぎるのであれば一部国には装備を省略した派生型を提示してもいいのでは。また装備売り込みを総合商社に任せてはいかがでしょうか。経済的動機がうまくはたらくといいのですが。MADをP-8が搭載しなくなったのは探知方法としてはもはや必要ないという米海軍の判断なのでしょうか。