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2022年2月28日月曜日

ウクライナへの戦闘機譲渡案がEUで浮上。対象機材、提供国を推理する。

Fast jets depart RAF Brize Norton for the NATO summit flypast over Celtic Manor.

PAUL CROUCH/CROWN COPYRIGHT

 

 

EUにはウクライナが供用中の機材の同型機を運用する加盟国があり、ウクライナへの譲渡案が浮上してきた。

 

クライナ紛争での大きな進展として、欧州連合(EU)高官は、ロシアの全面侵攻に抵抗し続ける同国へ戦闘の搬入を急ぎ取り組んでいると明らかにした。ロシアによる航空優勢を防いできたが、戦闘で損失を受けたウクライナにとって、追加の戦闘機はきわめて貴重となる。

 

 

欧州連合(EU)の外務・安全保障政策上級代表および欧州委員会副委員長を務めるスペインの政治家ジョセップ・ボレルJosep Borrellは、本日未明、ウクライナに対し、加盟国から戦闘機を購入する資金をEUが提供すると発表した。機種は明らかにしなかったが、ウクライナ空軍で運用中の機材であれば、早く戦闘に投入できるとの見方を示した。これは、450百万ユーロ(510百万ドル強)の大規模な軍事支援パッケージの一部となる。

 

ウクライナ空軍の戦闘機には、ソ連時代のMiG-29フルクラムとSu-27フランカーが混在しているが、EU圏内でSu-27の運用国はない。

 

ということは、MiG-29が譲渡の中心となる。ポーランド、スロバキア、ブルガリアがフルクラム派生型を供用中なので、ウクライナに引き渡せば就役できる。ブルガリア機体はソ連崩壊後、改良はわずかだったが、ポーランドとスロバキアの機体は大幅改良されている。

 

その他EU加盟国も以前はMiG-29を使用し、まだ保管している可能性があるが、再運用可能にするまで時間がかかるため、魅力的な選択肢ではない。。

 

ポーランド、スロバキア、ブルガリアはNATO加盟国であり、MiG-29の代替を進めているのも利点だ。ポーランドは2024年までに、スロバキアとブルガリアはそれぞれ2023年と2025年に新型F-16C/Dを受領する。

 

上記各国は、防空能力の低下による国家安全保障上のリスクを、他のNATO加盟国に領空警備の支援を暫定的に依頼することで軽減できよう。自国の戦闘機を持たないバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)や黒海地域では、NATO加盟国が防衛能力を提供している。さらに、ウクライナ紛争に対応し、アメリカ等のNATO機が同盟の東側で空中パトロールを強化している。ウクライナに引き渡される前に、これらの戦闘機からNATO標準の機密装備を取り外す必要があるだろう。

 

NATO加盟国であるルーマニアとクロアチアは、旧型MiG-21を使用しているが、同機は、空中戦で今でも強力な敵になる。ウクライナは現在、MiG-21を運用していないが、国内企業が他国向けに同機のデポメンテナンスを行っている。ただし、MiG-29譲渡に比べると可能性は低い。とはいえ、紛争が長引けばポーランドが保有する老朽化した可変翼機Su-22も含め魅力的になる可能性はある。

 

ボレルは「戦闘機」の用語を一般的な形で使っている可能性があり、EUはウクライナに別の機材の供給も検討している可能性がある。ブルガリアで今も供用中のSu-25フロッグフット地上攻撃機もウクライナが配備する機種で、今回の紛争にも投入されている。

 

VIA BULGARIAN AIR FORCE

ブルガリアのSu-25フロッグフット

 

これに加え、欧州各国や米国から武器他の軍事支援が増加している。ウクライナ軍によると、運用中の戦闘機用の空対空ミサイルも含まれている。

 

過去4日間で大きな損失を被ったウクライナ空軍にすれば、比較的新しい戦闘機を歓迎するはずだ。

 

ウクライナの戦闘機や地上の防空網も、ロシア軍機多数を撃墜している。ここに、「キエフの亡霊」と呼ばれるウクライナのスーパーエースの都市伝説が生まれている。

 

ウクライナの戦闘機は、トルコ製武装ドローンTB2などの装備や地上の防空部隊とともに、ロシア軍の制空権確保を阻んでいる。驚くべきことだ。一例として、TB2がロシアのBukズ移動式地対空ミサイルシステムを破壊する様子を伝える動画が本日未明、公開された。

 

ロシア軍の制空権確保を阻めば、TB2含むウクライナ軍機が、輸送隊の破壊や近接航空支援を試みたり、その他地上目標を攻撃する機会が生まれる。これらはすべて、ロシア軍の航空支援を妨害し、ウクライナ国内を自由に移動する軍事作戦の展開を妨げる効果が生まれる。

 

つまり、ウクライナ空軍には戦闘機がもっと必要だ。ロシア軍が首都キエフ含むウクライナの北部、東部、南部で攻勢をかけ続けているため、需要は高まる一方だ。

 

ウクライナはヨーロッパ各地からの機材を一刻も早く必要としている。

 

UPDATED: 7:05 PM EST —

 

欧州議会の「親欧州政治団体」であるRenew Europeの政策顧問、アレクサンドル・クラウスAlexandre Kraussは、ジェット機の種類が何であれ、「1時間以内にウクライナ上空を飛ぶだろう」とツイッターに書き込んだ。ただし、欧州連合による軍事航空パッケージに含まれ機種、また誰がウクライナ上空で機材を誰が操縦するのか、それ以上詳しくは説明しなかった。

 

これとは別に、ワシントン・ポストのマイケル・バーンバウム記者によると、ヨーロッパの一外交官が、ウクライナはブルガリア、スロバキア、ポーランドからロシア製機材を受け取る予定と語ったという。つまり、上記記事で述べたように、MiG-29やSu-25の納入が間近に迫っているということだろう。

 

ウクライナ空軍パイロットが譲渡機の操縦習熟にどの程度の訓練が必要かは不明だ。ポーランドとスロバキアのパイロットは、性能改修後のMiG-29操縦方法を学ぶのに相当の追加教習を必要としたといわれる。今回の戦闘に不要な高度システムが納入前に除去されていなくても、ウクライナ空軍パイロットの教習内容に含まれる可能性がある。■


Here Are The Options For The EU's Initiative To Restock Ukraine With Fighter Jets (Updated)

 

BY JOSEPH TREVITHICK FEBRUARY 27, 2022


 

2019年3月20日水曜日

欧州共同保有空母構想が絶対に実現しない理由

ドイツ連邦軍の装備稼働状況がひどくなっているのはここ数年の話ですが改善の知らせが入ってきませんね。昨年はF-35導入を主張した空軍トップが事実上更迭させられましたが、シビリアンコントロールをいいことに国防に無理解むしろ嫌悪する頭でっかちの政治家がドイツ国防の弱体化を招いている気がします。国民の9割が自衛隊を支持、と日本の首相は喜んで発言していましたが、国会では半分近く、教職員では過半数以上が反対の姿勢では。指導者はその国の有権者の資質のあらわれとはよく行ったもので、国を滅ぼしかねなくなっても思考行動が変わらない人がトップに立てば悲劇そのものです。

Here's A Crazy Idea: A European Union Aircraft Carrier 

欧州連合の空母整備が正気の沙汰とは思えない理由

Why? We explain.

イツはひょっとしたらブレグジットへの復讐として英国商船隊を北大西洋で再び撃沈しようというのか。
でなければ、ドイツで頂上に立とうという政治家が航空母艦保有を欧州連合に求めたことは筋が通らない。
キリスト教民主同盟総裁アンネグレート・クランプ=カレンバウアーはアンゲラ・メルケル首相の後継者と目され、このたびヨーロッパ各国共同による空母建造を提唱し波紋を招いた。
「ドイツとフランスはすでに次世代の戦闘機開発で共同作業を始めている」とドイツ紙ディ・ベルトに寄稿し、「次のステップは象徴プロジェクトとして欧州共同保有の航空母艦一隻を建造し欧州連合の世界的な役割として平和と安全の護り手としての姿を示そうではないか」と述べた。
メルケルはこの構想に賛同しているようだ。「それだけの装備が欧州に生まれれば素晴らしい、喜んで実現たい」
皮肉にもクランプ=カレンバウアーはフランス大統領エマヌエル・マクロンの欧州統合強化提言は退けている。「欧州各国の主権を認めたままで欧州に超国家はありえない」とした。
それでも欧州共通防衛政策が生まれる余地は残っており、欧州安全保障理事会に英国も席を連ねている。欧州共同保有航空母艦も同様だ。
クランプ=カレンバウアーでさえ欧州空母構想を「象徴的存在」と述べている。空母一隻を整備する価値は陸上機材で届かない場所近くに移動航空基地として回航し運用することにある。これに関心を有するのはグローバルに権益を希求する一部諸国のみで米ロ中以外に欧州では英仏両国は空母を運用中だ。HMSクイーン・エリザベスは中国への警告として派遣される。フランスのシャルル・ド・ゴールならびに提案中の後継艦はフランスがまだ残す植民地への権益の存在を知らしめている。
だが欧州のその他国には軍艦を海外に定期派遣していない、海軍部隊が小規模、内陸国で海軍が不要の国もある。空母一隻ではロシアと東ヨーロッパ、北ヨーロッパ、バルト海での武力衝突に効果はたかがしれている。必要なのは防衛体制の整備であり、護衛艦船の建造でありバルト海地方でロシアの海空軍攻勢に耐えることであり、ロシアの極超音速ミサイルK-300Pバスティオンのような存在に対応することだ。米海軍でさえあれだけの予算や資源がありながらスーパー空母の生き残りを心配している。欧州が米フォード級空母(130億ドル)を超える戦力と残存性を備えた空母を設計建造できるとは思えない。
欧州の権益は地中海だ。2018年に英仏両国が米国に加わりシリア政府施設に空爆とミサイル攻撃を加えた。陸上基地機材はキプロスやイタリアから出撃した。欧州連合は地中海を渡って押し寄せる不法移民の流れを止めたいとする。空母を沿岸警備に投入すれば非常に高くつく。
.問題の本質は空母の効用ではなくヨーロッパは何を断念するかだ。ドイツ軍の稼働体制は劣悪でタイフーンジェット戦闘機は地上に待機し、艦船は出港できず陸軍部隊の装備はお粗末で冷戦時代の数分の一の戦力しかない。NATOでGDP比で2パーセント以上を国防予算に支出する加盟国は少ない。それだけ負担すれば空母、艦載機、護衛艦の建造予算は残らない。最大のロシア脅威はミサイルやサイバー戦だが空母では対応不能だ。
欧州空母が実現しても疑問が残る。どの国が指揮するのか。どこで建造し、どの国が建造するのか、どこの機材を搭載するのか。フランスは独自にラファールM艦載機を整備し、英国はF-35採用を決めている。空母はどこの指揮統制下に入り危険な任務に向かわされるのか。
.欧州各国で英本土上陸シーライオン作戦を再び実施するのでない限り空母建造は愚行だ。■
Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook .

2016年12月4日日曜日

12月4日のヘッドラインニュース



12月4日のヘッドライン

筆者が注目する記事の要約を掲載しています。時差・掲載時間の関係でその後進展した内容と食い違うことがあります。

F-35開発推進室の存続はぎりぎりで認められた
2017年度国防予算許認可法案の政治的妥結でJPO共同開発推進室は廃止を免れたが、ペンタゴンは来年3月までに事業統括の代替策の提出を求められている。

ミニドローンを運用するオスプレイ
先行飛行させ着陸地点の情報を送る無人機をオスプレイに搭載する構想をペンタゴンが検討中。

EU防衛行動構想が公表された
加盟国の集団安全保障作として年間55億ユーロを基金に繰入れ、各国の防衛体制の変化を奨励する内容だ。既存の各国防衛方針の調整変更から装備調達までこれまでの方向性を変えようとするもの。

敵装備を乗っ取る新技術が開発中
米政府は産業界とともに敵通信制御を奪い、無人機など装備を自由に操る技術を開発中。これまでの技術は通信妨害に注力していたが、新技術Mesmerは通信の奪取が目標だ。
USSズムワルトの修理作業はどこまで進捗しているのか
パナマ運河で機関故障が発生し回航途中で修理を受けけている同艦だが、高性能誘導モーターからシャフト周りが浸水していた。出港の準備が整い、サンディエゴへ向かう。

ユーロファイター・タイフーンが南シナ海上空へ投入される
日本へ展開中のタイフーンを送る他、2020年に就航する英空母部隊も西太平洋に展開すると駐米英国大使が語った。ワシントンの会合での発言。駐米日本大使も同席し、日米英三国が安全保障で協議していることを明らかにした。タイフーンは10月末に日本へ到着している。