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2022年11月3日木曜日

SSBNコロンビア級投入までのつなぎにオハイオ級の耐用年数延長が始まる

  

2021年6月28日、ジブラルタル港に到着したUSSアラスカ(SSBN-732)。US Navy Photo

古参の潜水艦5隻が3年の寿命延長の候補だと、米海軍当局が発表した。

修理期間18ヶ月で、海軍が戦略核の不測の事態に備えミサイル原潜10隻の増加をサポートするため、オハイオ級核弾道ミサイル潜水艦SSBN5隻を対象にすると、戦略潜水艦プログラムを統括するスコット・パパーノ少将Rear Adm. Scott Pappanoは、海軍潜水艦連盟の年次シンポジウムで述べた。

この計画は、2030年10月に最初のパトロールを開始する予定の次期SSBNコロンビア級の初号艦USS District of Columbia (SSBN-826)以下コロンビア級の就役までのつなぎとなる。

パパーノ少将は、「コロンビア級が稼働し、オハイオ級が退役する2030年代が、リスクが最も高い時期になる」と述べた。

今後のSSBNは、初期問題が発生する可能性のある新造艦と、部品故障のリスクが高い最古参オハイオ級が並立すると、パパーノ少将は述べた。

事態を複雑にしている要素としてパパーノ少将は、次期戦略兵器トライデントII D5 Life Extension IIミサイルのテストプログラムがあり、これはSSBN各級でテストする必要がある、と述べている。

新ミサイルはコロンビア級9号艦から搭載され、12号艦まで継続されるが、同級の以前の8隻の潜水艦は後日装備を受けるとパパーノ少将は述べた。このプログラムでは、ミサイルの老朽部品を交換し、2060年代まで寿命を延ばす設計とする。

不活性化前制限使用(PIRA)を受ける初号艦は、USSアラスカ(SSBN-732)で、早ければ2029会計年度に始まる可能性があると、パパーノ少将は述べた。海軍は、確立ずみプロセスに基づき、調達に時間がかかる材料を確保するため、2025年または2026年までにPIRAを進めるかを決定すると、海軍作戦本部(OPNAV N97)の潜水艦戦担当ディレクターダグ・ペリー少将Rear.Adm. Doug Perryが述べた。

「潜水艦の寿命延長の評価プロセスは、高度なまで標準化されたプロセスだ」。「すべての潜水艦は、引退時期が近づくと、艦の物理的な状態の見直しを指示されデータを収集します。艦のすべての部品、長年にわたるメンテナンスの履歴データをすべて見ます。それをデータベースに取り込み検討します」(ペリー少将)。

オハイオ級SSBNの耐用年数を延ばすという今後の作業の鍵を握るのは、同級で最も古い原子力誘導ミサイル潜水艦(SSGN)4隻だ。

海軍は同級を当初の30年の耐用年数から42年に延長している。うち最初の2隻、USSオハイオ(SSGN-726)とUSSフロリダ(SSGN-728)は2026年度に退役する予定で、その後、核弾頭付きトライデントミサイルではなく、トマホーク対地攻撃ミサイル搭載用に改造された残りの3隻が続く。

パパーノ少将は、SSGN4隻が退役を始めると、海軍は艦の破壊試験を行い、他のオハイオ艦がどこまでの寿命を得られるか、退役艦から剥ぎ取れる部品を確認すると述べた。

コロンビア級計画に関しては、建設はほぼ予定通りに進んでおり、ミスは許されないとパパーノ少将は記者団に語った。

COVID-19の遅れと、General Dynamics Electric BoatとNewport Newsが潜水艦建造に使用するデジタル設計システムの初期不調が重なり、海軍が建設予定スケジュールに組み込んだ6ヶ月のバッファは、1ヶ月に減ったとパパーノ少将は明らかにした。

海軍と造船企業は、コロンビア艦12隻の建造だけでなく、バージニア級攻撃型潜水艦を年に2隻納入する需要に対応するため、今後10年間にわたり造船所労働者を毎年約1万人確保する必要がある。

パパーノ少将は、新型潜水艦建造のスケジュールを達成で唯一最大の障壁に、労働力を今年初めに取り上げていた。

「訓練は請負業者に任せてきた。そんな贅沢はもう言っていられない」と8月に語っている。■

Navy Could Extend Life of Five Ohio-class Ballistic Missile Boats to Hedge Against Columbia Program Delays - USNI News

By: Sam LaGrone

November 1, 2022 6:12 PM

   Report to Congress on Columbia-class Nuclear Ballistic Missile Submarine Program

Sam LaGrone is the editor of USNI News. He has covered legislation, acquisition and operations for the Sea Services since 2009 and spent time underway with the U.S. Navy, U.S. Marine Corps and the Canadian Navy.

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2021年8月5日木曜日

改オハイオ級SSGNは大量のトマホーク巡航ミサイルを敵地に放り込む最強の潜水艦、だが供用期間に限りがある。後継艦は....?

 

 

 

隻供用中のオハイオ級SSGN潜水艦は世界最強の巡航ミサイル搭載艦で接近阻止領域拒否をとる敵への対抗で強力な選択肢になる。

オハイオ級弾道ミサイル型潜水艦(SSBN)は核戦争で敵都市や軍事集積地の破壊を目的に建造されたが、より正確に言えば敵が開戦に踏み切るのを抑止するためだった。ただし、冷戦が終結すると米海軍は核抑止ミッションで同級18隻は必要ないと判断した。

 

海軍は最初に建造した4隻を廃艦予定だったが、かわりにトマホーク対地攻撃巡航ミサイル(TLAM)搭載艦に転用する大幅改修を各艦700-900百万ドルで行った。対象艦はオハイオ級誘導ミサイル潜水艦(SSGN)に変更され、通常弾頭による対地攻撃を任務とした。まず、オハイオ、フロリダが核燃料交換、大修理を受け同時に兵装転換作業を2003年に開始し、2006年に現役復帰した。続けてミシガン、ジョージアが2008年に改修を完了した。

 

オハイオ級SSGNはトライデント弾道ミサイルの発射管(直径88インチ)24本を活用し最大規模の通常攻撃能力を有する艦となった。発射管22本がトマホーク発射用のキャニスター運用に改装され、各7発を運用するのでトマホークは合計154発となった。

 

単価150万ドルのトマホークは千ポンド弾頭を最大1千マイル先の標的に向けGPS誘導で発射する。となると改オハイオ級は最大2億ドル相当の兵装を搭載することになる。

 

オハイオ級SSGNは多任務艦でもある。発射管で残る2本は特殊水中ロックに改装されネイヴィーSEAL60名を特殊作戦で発進させる。また、水中無人機(UUV)、SEAL搬送機(SDV)、小型潜水艇、ソナーブイ他の水中センサーを運用できる。

 

トライデント運用艦のように姿をひそめる必要がなく、2010年にオハイオ、フロリダ、ミシガンの各艦は中国のミサイルテストに対抗し、ディエゴガルシア、フィリピン、南朝鮮の沖合にほぼ同時に浮上し存在を誇示した。2011年のオデッセイ・ドーン作戦支援でUSSフロリダはリビア防空施設に93発のミサイルを発射したが、命中したのは3発のみだった。とはいえ反カダフィ勢力によるリビア上空の航空作戦に道を開き、オハイオ級ミサイル原潜で初の実戦となった。

 

では大型巡航ミサイル発射潜水艦の投入目的はなんだろうか。水上艦で長距離トマホーク攻撃すればいいのではないか。あるいは空母から航空機を発艦させれば、安価な精密誘導弾投下が実現する。端的に言えば、ステルスSSGNsは探知されずに敵沿岸へ接近でき、内陸部への攻撃、大規模攻撃を実施しつつ、水上艦や航空攻撃のように姿を露呈することはない。

 

新型長距離対艦ミサイルの例にロシアのカリブル巡航ミサイルがあり、陸上、空中、水上から発射が可能なため、大型艦艇の沿海域運用を困難にし、航空母艦やミサイル巡洋艦に影響が出る。空母搭載機材でも敵の対空母兵器を考慮し空母が敵国沿岸部から800マイル以内に近づけないと攻撃効果が減る。

 

これに対し原子力潜水艦の探知追尾が極めて困難なのはひとえに低ノイズのまま長時間潜航できるためだ。敵がオハイオ級SSGNを探知できるのはミサイル発射後で、その時点で潜水艦側は深く潜航し静寂を守り敵の報復を避ける。

 

ただし、オハイオSSGNの強大な火力が利用可能なのは残り10年程度に限られる。オハイオ級は全艦が新型コロンビア級弾道ミサイル潜水艦に交代する。通常型対地攻撃任務はヴァージニア級攻撃型潜水艦がヴァージニアペイロードモジュールを搭載してトマホーク50本を発射することで引き継ぐ。計算上はヴァージニア級4隻でオハイオ級一隻と同等の火力となるが、反面攻撃力を分散させることで実戦で有効性を発揮するはずだ。

 

だがそれまではオハイオ級SSGN各艦が世界最強の巡航ミサイル搭載艦の座を守り、接近阻止領域拒否体制を整備した敵へのけん制、対応で強力なツールのまま残る。■

 

Ohio-Class Submarines: How Joe Biden Could Order A Nuclear War

by Sebastien Roblin

July 30, 2021  Topic: military  Region: Americas  Blog Brand: The Reboot  Tags: MilitaryTechnologySubmarinesSubNavyU.S. NavyCruise MissileTomahawk Missile

 

Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

This article was first published in January and in 2020. 

Image: U.S. sailors aboard the guided-missile submarine USS Georgia. Wikimedia Commons/U.S. Navy


2018年1月30日火曜日

米核戦力の基礎知識(1)オハイオ級SSBN/巡航ミサイル運用艦SSGN

 

The Navy Has 1 Submarine That Could Destroy North Korea (On Its Own) 

北朝鮮はこの潜水艦一隻で破壊可能





January 24, 2018


島、長崎への原爆投下から9年後の映画「ゴジラ」が深海から目覚めた怪獣が日本を襲う状況を描いた。ただしもっと恐ろしい怪物がその後海中に展開した。つまり弾道ミサイル潜水艦、米海軍用語で「ブーマー」である。
 中でも一番恐ろしい海の怪獣がオハイオ級弾道ミサイル潜水艦で米国の核兵力半分以上を搭載する。
 計算すれば、オハイオ級が人類史上最大の破壊力を有しているのがわかる。全長170メートルの各艦で24本のトライデントII潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載し、水中から発射し最大7千マイル先の標的を狙う。
 トライデントIIは大気圏再突入後にマッハ24まで加速し独立再突入体8つに分離し各100-475キロトン核弾頭を搭載する。オハイオ級の一斉発射は1分未満で完了し、弾頭192発で24都市が地図から消える。悪夢の兵器と言ってよい。
 オハイオ級に一番近い競争相手はロシアで一隻のみ残る大型で24本のミサイル発射菅を有するタイフーン級潜水艦だ。中国、ロシア、英国、フランスがそれぞれ弾道ミサイル潜水艦を運用中だがオハイオ級並みの威力はない。
 国家そのものを消滅させかねないこれだけ大規模な兵器を運用する理由は何か。
 核抑止力の論理では先制攻撃で陸上配備ミサイルや爆撃機が全滅しても弾道ミサイル潜水艦が海中深くに潜んでいれば追尾探知が困難で残存性があることになる。このため弾道ミサイル潜水艦は核報復攻撃で誰も止められない手段となり、まともな相手なら第一撃の核攻撃をためらうことになる。少なくともそれが期待される。
 そのためトライデント搭載オハイオ級潜水艦にとって一発も発射しなければ任務は成功したことになる。
 オハイオ級の就役開始は1980年代で各艦潜航時の排水量は18千トンで米海軍最大の潜水艦だ。ヘンリー・M・ジャクソンを除き、各艦は州名がつき、かつての戦艦の伝統を引き継ぐ。
 核兵器が飛び交う事態になればブーマーには超低周波無線で発射命令が入る。ミサイルが目標設定してない場合は迅速に座標を入れる。オハイオ級初期建造の8隻はトライデントI C4弾道ミサイル運用の設計だったが現時点では全艦がトラインデントII D5運用可能となり、射程が50%伸び、精密攻撃が可能となったので第一次攻撃でも軍事施設を標的にできる。
 オハイオ級には21インチ発射菅4本もあり、マーク48魚雷を運用する。ただし、魚雷は防御用とされ、弾道ミサイル潜水艦の仕事は敵艦船攻撃ではなく可能な限り動きをせず静かに待機し探知を逃れることだ。原子炉により無制限の海中待機が可能で20ノット巡航でもノイズはごくわずかしか出ない。  
 危機が発生しても、原子力潜水艦は哨戒を続け交信は最小限とし可能な限りステルス性を維持する。オハイオ級は乗組員154名の2チームに、ゴールド、ブルーの名称がつけ、交互に哨戒にあたる。一回出港すると70日から90日潜航したままで、USSペンシルヴェイニアが140日の最長記録を樹立している。哨戒前後に一か月を置き、補給を受ける。
 ワシントン州バンゴーにブーマー9隻が配備され太平洋での哨戒にあたる。ジョージア州キングスベイには5隻があり大西洋で活動する。冷戦終結に伴い戦略兵器削減条約STARTで米核戦力は縮小された。当初は艦齢の高い艦から退役の予定だったが、海軍はオハイオ級18隻の4隻を改修し地上・海上目標に通常巡航ミサイル運用艦として活用することとした。USSオハイオがまず選ばれた。
 2011年に発効した新START条約に核兵器の数量制限が追加された。現在はオハイオ級12隻を現役運用し各トライデントII20本を搭載する。二隻は大修理に入り、常時ミサイル240本弾頭1,090個を戦力とする構想だ。これだけあれば世界を数回破壊できる威力があるので、タカ派の皆さんも心配は不要だ。
ハイオ級は2020年代末まで供用しつつステルス性を向上する改修も受ける予定だ。後継艦はコロンビア級と呼称され、単価40億から60億ドルで隻数は減るが新型原子炉の採用で途中の大修理燃料交換が不要となる。同級は2085年まで供用される予定だ。■
Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

This first appeared in 2016.

2014年4月10日木曜日

オハイオ級ミサイル原潜の後継艦の仕様が定まる


Navy Has Finalized Specifications for New Ohio-Replacement Boomer

USNI News By: Sam LaGrone
April 7, 2014 2:06 PM
 
An undated artist’s rendering of the Ohio Replacement. Naval Sea Systems Command Image

米海軍が次世代の原子力弾道ミサイル潜水艦の諸元を決定したことが明らかになった。

オハイオ級後継艦(ORP, 以前はSSBN(Xとして知られていた) は全長560フィートでオハイオ級と同程度だが、ミサイル発射管は8つ少ない、とデイビッド・ジョンソン少将(海軍海洋システムズ本部 潜水艦計画統括官)Rear Adm. David Johnson Program Executive Officer (PEO) Submarines for Naval Sea Systems Command (NAVSEA)が発言。
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設計ではミサイル発射管の削減とあいまってステルス性を実現して、建造費用、維持費用の削減を狙い、運用期間は42年間を想定。

排水量は2万トンを超える最大級の潜水艦となる。ただしソ連は45,000トンンのタイフーン級を建造しているが、ロシアの新型ボーレイ級Borey-class (Project 955A) SSBNsと同程度の大きさになる。

英海軍のサクセッサー級SSBNsと協調し、ORPはミサイル発射管16基にトライデントIIDS潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBMs)を搭載する。

同艦の運航費用単価は年間110百万ドルで2号艦から12号艦の建造費用平均は53.6億ドルになるという。すべて2010年ドル価値で計算した。

国防長官官房から提示された目標は一隻当たり49億ドルというもの。

性能諸元が決まってきたことで、海軍は一号艦の設計を担当するジェネラルダイナミックスのエレクトリックボート部門に価格目標の実現のため考えられるすべての節約策を検討するよう求める。

現行のSTART条約下ではSSBN部隊は合衆国の戦略核弾道の7割を搭載しており、空軍の核爆撃機や大陸間弾道弾よりも海軍の役割が大きくなっている。

「核抑止力戦力を整備すべきかという問題ではなく、整備しなければならない」とジョセフ・タファロ少将Rear Adm. Joseph Tafalo(潜水艦部隊統括)は発言している。

タファロ少将はSSBN部隊が1960年代70年代は合計41隻あったものをオハイオ級で14隻に、さらにORPミサイル原潜で12隻になると指摘。

規模が小さくなるとはいえ、総額1,000億ドルという海軍史上で最高額の建造計画となる。

ORP一号艦の建造開始は2021年で、2031年にパトロールを開始する想定だ。海軍はORP用研究開発費用12億ドルを2015年度予算に計上している。

ヴァージニア級攻撃潜水艦(SSN-774)およびシーウルフ級(SSN-21)の知見を大幅に活用するという。

技術革新として全く新設計の電動推進システムがあり、艦の寿命と同じ期間で稼働する原子炉の採用により定期保守で第一線を離れる期間を大幅が短縮される。