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2024年9月28日土曜日

海上自衛隊艦艇が台湾海峡を初通過 (Naval News,USNI News)―なぜ岸田首相はもっと早く実施を指示しなかったのか。小学生殺害事件に対する日本からのメッセージか。西側諸国はともかく「小日本」には中共は我慢ができないだろう。

 Photo of JS Sazanami.

JS Sazanami. JMSDF picture.


海上自衛隊の駆逐艦「さざなみ」(DD-113)が9月25日、中国と台湾の間の海域である台湾海峡を通過した


上自衛隊の艦船が1954年の創設以来、東アジアで最も紛争が多い海峡のひとつを通過した初めての出来事となった。 

 この動きは、岸田文雄政権がこの地域における日本の航行の自由を行使する権利を強化し、日本の領空侵犯を含む日本領土周辺での中国の軍事的活動の激化に対抗することを目的としている。

 読売新聞と共同通信は、海上自衛隊の護衛艦「さざなみ」(DD-113)が水曜日に台湾海峡を南下し、オーストラリアとニュージーランドの艦船を伴って10時間以上かけて航行したと報じた。 

 台湾海峡の通過は、岸田文雄首相の指示で行われた。両メディアはまた、艦船は南シナ海で合同演習を行うために向かったと報じた。  

 中国政府は、自国が「台湾海峡の主権、主権的権利、管轄権を有する」と主張し、「特定の国が台湾海峡を国際水域と呼ぶのは虚偽の主張である」と烙印を押した。 

 1982年国連海洋法条約によれば、各国の領海は海岸から12カイリ(22.2キロメートル)とされている。台湾海峡の最狭部が130キロメートルであることを考えると、台湾が指摘しているように、少なくとも85キロメートル幅の海域は、国際法の「公海の自由」の原則が適用される国際水域とみなされるべきである。 

 たかなみ型駆逐艦の4番艦「さざなみ」はこの日、東シナ海を南下し、台湾海峡を通過して南シナ海に出た。オーストラリアとニュージーランドの海軍艦艇も合同で海峡を通過した。3カ国の海軍は南シナ海で演習を行う予定だ。 

 これまで日本のどの政権も、海上自衛隊の艦船が同海峡を通過することを控えてきた。 

 日本は西側諸国とともに航行の自由演習に参加することになった。 

 これまでに台湾海峡を通過した国の海軍には、アメリカ、イギリス、フランス、カナダ、オランダ、オーストラリア、ニュージーランド、ドイツが含まれる。 

 これらの海軍は、台湾海峡を通過することで、国際法に基づく公海上の航行の自由をアピールしてきた。 

 「さざなみ」は、基準排水量4,650トン、乗組員数約175名。今年2月に母港の広島県呉基地を出港し、アフリカ東部ソマリア沖のアデン湾で海賊対処活動を実施した。アデン湾での情報収集が任務だった。また、インド海軍やフィリピン海軍との共同訓練も行った。今年8月に日本に帰国した。 

 なぜイージス艦やいずも型護衛艦ではなく、比較的小型の護衛艦が海峡を通過することになったのか? 9月26日、海上自衛隊の元艦長は本誌取材に次のように答えている:「さざなみは訓練の一環として海峡を通過したのだろう。共同訓練に参加する艦は、最初からある程度事前に決まっている。もちろんイージス艦を指定する場合もありますが、訓練内容や他国海軍の派遣艦艇との兼ね合いもありますので、今回はむらさめ型、たかなみ型、あきづき型が妥当と判断されたのだと思います。この時期の艦艇は多忙で、様々な任務に対応しなければならないため、数少ない準備艦艇の中から任務を割り振らなければならない。JS「すずつき」の一件を考えれば、それなりにしっかりした艦をと考えても間違いではない」。

 海上自衛隊の広報担当者は9月26日、本誌取材に対し、"海上自衛隊の艦艇運用に関することなので、コメントできない"と答えた。中国軍は予想通り、海上自衛隊の駆逐艦が台湾海峡を通過したことを非難した。


 一方、セオドア・ルーズベルト空母打撃群(CSG)は、木曜日にグアムを出発する前に、物資補給のため水曜日にグアムに寄港した。また、水陸両用強襲揚陸艦USSボクサー(LHD-4)は日曜日から水曜日まで海上自衛隊の駆逐艦と太平洋上で訓練を行い、オーストラリアでは米海軍、カナダ海軍、カナダ海軍が垂直発射ミサイルの再装填を行った。 

 ニュージーランドの新聞The Postは、ニュージーランドのジュディス・コリンズ国防相の声明の中で、RNZN艦隊の給油艦HMNZS Aotearoa (A11)がRAN駆逐艦HMAS Sydney (DDG-42)と共に台湾海峡を航行したことを確認したと報じた。「これはインド太平洋のある地点から別の地点への日常的な移動であり、特定の国を狙ったものでも、特定の国から要請されたものでもない」とコリンズ海軍副司令官は語ったが、海上自衛隊の艦船については言及しなかった。 

 シドニーとアオテアロア両艦は最近、北朝鮮の海上制裁逃れの監視任務を終えていた。 シドニーは6月中旬に出港し、夏にハワイで開催された環太平洋合同演習(リムパック)2024への参加を含む派遣任務を遂行したため、間もなくオーストラリアに帰港するようだ。 

 南シナ海演習に他国の艦船が参加するかどうかは不明だが、現在この海域には、他のパートナー国の艦船が一握りしかいない。イギリス海軍のオフショア哨戒艦 HMS Spey (P234) は、現在カンボジアに寄港中である。一方、イタリア海軍の ITS Raimondo Montecuccoli (P432) は、イタリア海軍のカヴールCSGから切り離されており、月曜日にタイのレムチャバンに入港し、金曜日に出港する。 現在、空母 ITSカヴール (550)、フリゲート ITS Alpino (F594)、フランス海軍フリゲート FNS Bretagne (D655)で構成されるカヴールCSG は、 USNI News に提供された情報によると、月曜日にシンガポールを出港し、次の寄港地はインドのゴアで、Bretagne はその後、国内任務のためCSG を離れる。 

 9月13日から14日にかけて台湾海峡を通過したフリゲートFGS Baden-Württemberg (F222)と船団給油艦 FGS Frankfurt am Main (A1412)からなるドイツ海軍のインド太平洋派遣部隊も、10月1日にシンガポールに寄港する予定で、南シナ海で活動している。 

 米国防総省のメディア・ポータルDVIDSは、駆逐艦USSハワード(DDG-83)が火曜日に南シナ海で活動していることを伝えており、海上自衛隊・RAN・RNZNの訓練に参加する可能性のある沿岸戦闘艦とともに、米海軍の駆逐艦が他にも数隻いる可能性がある。 

 一方、セオドア・ローズベルト CSG は、木曜日の海軍の発表によると、貯蔵品と装備を持ち込むために予定されていたグアム訪問を終え、同日グアムを出港した。 

 同リリースには、CSGがいつグアムに到着したかは明記されておらず、短期間の訪問を行なったことだけが記されているが、パシフィック・デイリー・ニュースは、CSGが水曜日に到着したと報じている。  リリースによると、CSGは現在、空母セオドア・ローズベルト(CVN-71)と空母航空団(CVW)11、駆逐艦USSラッセル(DDG-59)とUSSダニエル・イノウエ(DDG-118)で構成されている。 

 太平洋では、強襲揚陸艦「ボクサー」が海上自衛隊の駆逐艦「こんごう」(DDG-173)とともに、日曜日から水曜日まで太平洋上で戦術訓練を実施した。 

 海上自衛隊の発表によると、訓練は水上戦とリンク訓練で構成された。水曜日、オーストラリア国防省は、RAN、米海軍、RCNが垂直発射ミサイル・システムの再装填を行ったとのリリースを発表した。リリースでは、再装填がいつ行われたかは明言されていないが、画像のリリースでは、9月19日にワラムンガがダーウィン港のイーストアーム埠頭で概念実証として、進化型シースパローミサイル(ESSM)キャニスターを取り外し、再装填することから始まった活動の日付が示されている。 

 翌日、デューイは同じエリアでスタンダード・ミサイル2(SM-2)の再装填を行い、その後西オーストラリア州ブルーム港のバンクーバーではESSMミサイルの再装填を行った。 リリースによると、米海軍、ノーザン・テリトリー政府、ダーウィン港、タレス、リンクスの代表者と、10を超える米豪陸海軍の兵器・軍需コマンドの専門家で構成される専門家チームは、開発に数カ月を要した再装備計画を、厳しい状況の中で数時間という短い時間で実行したという。 

 また、三カ国の海軍の上級代表がデューイに乗艦し、再武装活動とその意味について議論したと付け加えた。 

 北方軍司令官であるミッチェル・リビングストン海軍大佐はリリースの中で、これらの艦船の再武装により、オーストラリアとパートナー諸国は、東海岸と西海岸沿いの大型港までの輸送時間を短縮することができ、国家防衛戦略を達成することができたと述べた。 

 「ダーウィンのような)他の場所に行けることで、再装備の素早い反応が可能になります。紛争が勃発した場合、インド太平洋の様々な場所に行けることで、作戦を支援するために現場に戻るのがより早くなります」と、デューイ艦長ニコラス・マルーカ中佐はリリースの中で述べている。


Japan MSDF vessel sails through Taiwan Strait for the First Time

Kosuke Takahashi  26 Sep 2024

https://www.navalnews.com/naval-news/2024/09/japan-msdf-vessel-sails-through-taiwan-strait-for-the-first-time/


Japanese Destroyer Sails Through Taiwan Strait, Carrier USS Theodore Roosevelt Makes Guam Port Call

Dzirhan Mahadzir

September 26, 2024 1:21 PM

https://news.usni.org/2024/09/26/japanese-destroyer-sails-through-taiwan-strait-carrier-uss-theodore-roosevelt-makes-guam-port-call


2021年5月22日土曜日

【環球時報】台湾海峡の中央線を超えた飛行で台湾を威嚇するPLAは米国は勝利できないと豪語している。この精神構造には欠陥がある。

再び環球時報の報道です。予想通り、台湾の存在を認めない論調で、とかく「島」と繰り返しているのは大陸国家としての観点でしょうね。米駆逐艦の航行の自由作戦での台湾海峡入りに神経を逆なでされているPRCの同様ぶりが逆に感じられるのですが、皆さんはどう思われますか。

 

ご注意:以下の記事では環球時報の使う表現を極力そのままお伝えしています。記事の主張は本ブログの意見ではありません。

   

Fighter jets attached to an aviation brigade with the navy under the PLA Southern Theater Command take off for a round-the-clock training exercise on April 20, 2021. Photo: China Military Online

PLA南方戦域司令部隷下の海軍航空旅団所属の戦闘爆撃機が全日連続訓練に加わるべく離陸した。April 20, 2021. Photo: China Military Online

 

 

海軍艦艇の二日前の台湾海峡通行から台湾の分離主義勢力が誤った勇気づけられないよう、人民解放軍の戦闘爆撃機が台湾海峡のいわゆる中間線を超える飛行を5月20日に実施した。

 

PLAのJH-7戦闘爆撃機2機、Y-8電子戦機、Y-8対潜機が台湾島が勝手に設定した南西部防空識別圏に進入したと同島の防衛当局が同日声明を発表した。

 

同地区でPLAはここ数カ月演習を展開してきたが、JH-7戦闘場爆撃機の二機がいわゆる中間線を突破したと台湾島メディアが同日伝えており、報道では同島の防衛当局の発言も引用している。

 

そもそも「中間線」なるものは存在せず、同島が勝手に台湾海峡を大陸側、台湾島側に分けたものすぎない。中国本土がこの線を認めていないのは、両側とも中国であるからだ。

 

台湾海峡をUSSカーティス・ウィルバーが通過し二日たったが、JH-7戦闘爆撃機編隊の演習は強力な警告となり、台湾分離主義勢力への強力な抑止効果を生むと北京在住の軍事専門家が匿名を条件に環球時報に語った。

 

JH-7戦闘爆撃機は対艦、対地攻撃に特化しており、演習に投入されて「中間線」を超えた飛行をしたことは戦闘準備態勢が高くなっていることの表れだと同上専門家は指摘している。

 

米国は駆逐艦を海峡に派遣したことで誤った信号を「台湾分離主義者」勢力に送り、PLA東部戦域司令部が部隊を編成し、米艦の動向を一貫して監視したと同司令部の広報官上級大佐Zhang Chunhuiが5月19日に声明を発表した。

 

台湾の分離主義勢力は時々実施される米艦艇の海峡通航などPLAが毎日のように展開する演習の前には意味がないことを理解すべきである。このことは米国は中国の玄関口でPLAN相手の戦争に勝利を収めることはままならないことを意味する。また、米国は台湾支援に向かえば厳しい状況に直面する、と専門家陣は見ている。

 

米艦艇が挑発的な航行をおこなったことに対応して、中国国防部報道官上級大佐Tan Kefeiは5月20日、PLAは必要な措置すべてをとり、あらゆる脅威や挑発行動に対応するとともに、中国の主権と領土保全を守り通すとの声明文を発表した。■

 

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PLA fighter bombers cross Taiwan Straits 'middle line,' deter secessionists following US warship transit: analysts

By Liu Xuanzun

Published: May 21, 2021 04:58 PM

 

 

2021年3月20日土曜日

中国が台湾海峡をにらみ、新ヘリコプター運用基地を福建省で構築中。台湾周辺の制圧を狙うのか。米中台の緊張が高まる中で注目を集める。

 A satellite image showing a new heliport under construction in China near the Strait of Taiwan. The inset is a map showing the general location of the site in question in China.

GOOGLE EARTH/GOOGLE MAPS

 

星画像から大規模ヘリポートが中国国内で台湾海峡をにらむ地点に建設中と判明した。造成工事は続いており、建設場所は台湾から150マイルの地点で、その他台湾が占拠する諸島へはもっと近い。ときあたかも中国は米国、台湾と論戦を展開している。近い将来に台湾海峡を横断する侵攻作戦の支援基地として戦略的な地点にある。

 

オープンソース情報アナリストの@detresfa_,が、福建省漳浦県Zhangpu Countyで事態が進展していると先週紹介した。基地の正式名称は不明だが、工事は2019年5月から6月の間に開始していることがPlanet Labs公開の画像からわかる。

 

GOOGLE EARTH

福建省漳浦県で建設が進むヘリポート基地の様子。 

 

現時点でヘリポートには長さは約2,140フィートとみられる滑走路一本があり、東端に機体回転用スペースもある。フライトラインは全長6,000フィートだが比較的狭い。衛星画像は2021年2月18日撮影でGoogle Earthが公開している。(上写真)ハンガーが18あり、さらに9基の建設が進行中だ。また滑走路北東にヘリパッドが10箇所見られ、ターマック上に大型四角にマークされたスポット17箇所がある。@detresfa_.はこれをヘリコプター起動用場所と見る。写真では人民解放軍で供用中Mi-8/Mi-17ヒップ型ヘリコプターが駐機している。

 

GOOGLE EARTH

滑走路、フライトラインをクローズアップするとヘリパッドがわかり、 Mi-8/M-17型のヘリコプター3機がランプ上にみられる。2021年2月18日撮影。

 

 

この基地の運用状況は不明だ。管理棟のような建屋、兵舎、小規模建造物が南西部分にみられ、建設が未完とわかる。2月18日撮影画像では施設内の道路が未整備なのがわかる。

 

GOOGLE EARTH

2月18日現在の支援建屋の様子では建築中だとわかる

 

 

滑走路は作戦使用が可能な状態にあり、Planet Labsには低解像度写真がここ4カ月分あり、フライトライン上に暗く写る場所がみられ、ヘリコプターと思われる。2020年12月画像ではヘリコプター20機近くが見られた。

 

フライトライン機能が未完成とはいえ、この新造ヘリポートは訓練施設のほか、台湾海峡を狙う作戦の中間地点となるはずだ。立地場所から見て戦略的な価値は明らかで、台湾本土のほか、台湾が実効支配する諸島にも近い。

 

台湾から150マイルほどの位置だが、金門島へは50マイルに過ぎない。金門島は台湾が実効支配している。さらに同様に台湾支配下の 澎湖県 Penghu Countyには110マイルしかない。また台湾の戦略で重要な南シナ海の東沙諸島へは240マイルとなる。

 

GOOGLE MAPS

.新ヘリポートの建設地点を赤で示した。一番近いのが金門島で、澎湖が台湾海峡の東端、東沙諸島は南西にあたる。

 

漳浦県の新基地からPLAは大規模航空機動作戦を展開し、狙いを定めた地点にヘリコプターを集中投入し、台湾あるいはその周辺を短期間に制圧する能力が実現する。基地が対潜ヘリコプターにも活用されれば、台湾海峡を狙う作戦の陸上基地として理想的だ。また南シナ海北部をにらんだ作戦にも活用できる。台湾は現在潜水艦部隊を増強中だ。

 

さらに滑走路周辺の建設状況を見ると、大部分が完成しているようで、長距離無人機の運用にも活用できそうだ。同基地から無人機を発進させれば、台湾周辺の情報収集監視偵察(ISR)任務に有利となる。

 

台湾国内メディア報道には同基地がさらに拡張され大型有人機運用に使われるとの危惧があるが、@detresfa_は少なくとも現在の姿から見て同基地は戦闘機材特に有人固定翼機の運用に不適とみている。滑走路に折り返し地点がなく、その他支援施設も有人機用と異なっているからだ。

 

建設が二年前に始まっているが、すでにヘリコプター運用が始まっていることから基地建設が大きく進んでいることがわかる。台湾と中国、さらに米国を巻き込んで緊張が高まっている中での進展である。

 

「中国が米国と米国の指導的立場にとってかかわり、法が支配する国際秩序を崩す野望を加速化していることに危惧している。2050年までにこの実現を狙っている」とインド太平洋軍司令官のフィル・デイヴィッドソン海軍大将が先週議会で発言した。「台湾は野望の対象で、2020年代中に脅威が現実になるとみており、今後6年以内が危ない」

 

中国が台湾進攻の準備を着々と進めているのは秘密でもなんでもない。台湾を反逆地方とみる北京政府は台湾が独立宣言すれば、武力制圧に進むと公言している。内蒙古には朱日和Zhurihe基地があり、市街戦の訓練拠点になっており、総統府など台湾政庁の実際の建物を再現している。

 

CHINESE STATE MEDIA

朱日和訓練基地で訓練する中国兵士。建物は台湾総統府を模している

 

 

緊張は蔡英文総統の再選があった2020年1月から高まった。再選を決めた総統は台湾憲法の改正案を示し、正式に独立への道を進める姿勢だ。これを境に中台双方で台湾海峡付近で軍事演習が増えた。米国も軍事活動を同地区で強化し、中国の反発を招いた。米政府は台湾を独立国として承認していないが、台湾の地位が最終的に確立するまでは、外交面で介入する権利を保留し、大規模軍事装備売却を通じ、台湾の国防力を支援している。

 

李克強首相は今月の全人代開幕にあたり、台湾米国間の「共謀」を非難し、「高度の警戒姿勢を堅持し、台湾独立をめざす分離主義の動きは断固として阻止する」と発言した。

 

同上発言と同様の兆候が北京から出ており、中でも専門家が注目するのは中国政府が東沙諸島を占拠する可能性だ。台湾本島の南西部に位置する同諸島を台湾から遮断すれば、PLA航空作戦、海軍の活動が容易になる。

 

「中央軍事委員会委員長が米国との開戦は不可避と発言している」と米陸軍少将リチャード・コフマン(次世代戦闘車両機能横断チーム長)が先週の戦略国際研究センター主催のイベントで語った。「中国最高位の将軍が『不可避』と聞いたらどうなるか。先制攻撃に進むと思う。不可避なら、敵の攻撃を甘んじるはずがない」

 

コフマン少将が言及しているのは人民解放軍空軍 (PLAAF) の許其亮Xu Qiliang大将(中央軍事委員会副委員長)がPLAは「トゥキディデスの罠」に備えるべきと発言したことだ。これは新興勢力と既存勢力の間で交戦が不可避となる状況を指す。今回の全人代で許大将は米国を名指しこそしなかったが、米国以外にトゥキディデスの罠があてはまる国は考えにくい。ただし、同大将が米中開戦が不可避と考えているのか、あるいは中国軍に将来のリスクへ備えるべきと言ったのかは不明だ。

 

いずれにせよ、米国と中国は多方面で地政学上の摩擦に直面している真っ最中だ。台湾もそのひとつだが、南シナ海はじめとする領土主権問題もあり、国際貿易でも意見が衝突し、COVID-19の世界流行の発生源でも緊張は一層熱くなっている。台湾側も大陸との意見対立を一層強めている。

 

PLAの戦力増強にあわせ関連施設の充実も注目を集めている。今回のヘリポートがまさしくこの例で、建設は後期に入り、管制すれば、事態のエスカレーションが避けられず、言葉の応酬や軍事シグナルの強化につながるはずだ、当面は。■

 

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Massive New Chinese Military Heliport Taking Shape Right Across From Taiwan

BY JOSEPH TREVITHICK MARCH 18, 2021

 


2019年3月28日木曜日

台湾海峡を米海軍、沿岸警備隊が無害通航:中国が例によって猛烈抗議したが国際社会に受け入れられず

中国にとって国際規範、国際法、国際慣行は意味がないのでしょう。自国の権益、メンツがすべてなので平気で台湾海峡を無害通航する外国艦船に対して恫喝してくるのでしょう。沿岸警備隊が今回からこの地域に配備されてきたのは北朝鮮制裁の執行を強化する狙いがあり、北朝鮮はともかくシンパシーを全面に出す韓国にも状況は刻一刻と厳しくなってきたようです。

U.S. Navy Destroyer, Coast Guard Cutter Transit Taiwan Strait

米海軍駆逐艦、沿岸警備隊カッターが台湾海峡を通行


March 25, 2019 12:58 PM

USS カーティス・ウィルバー (DDG-54), USCGC バーソルフ (WSML-750)



海軍のアーレイ・バーク級誘導ミサイル駆逐艦、沿岸警備隊の大型カッター各一隻が3月25日台湾海峡を縦断した。同海峡の米艦船通行は半年で5回目。この動きに中国が即座に反応した。

USSカーティス・ウィルバー(DDG-54)と沿岸警備隊USCGCバーソルフ(WSML-750)が約110マイル幅の同海峡を月曜日早朝に航行したと The Japan Timesがまっさきに報じた。

第7艦隊報道官クレイ・ドス中佐は「台湾海峡通行を3月24日-25日(現地時間)に国際法に則り実施した。今回の台湾海峡通行は米国が進める自由で開かれたインド太平洋の堅持に向けた取組の一環」と発表。


2013年東シナ海を通行するUSS カーティス・ウィルバー (DDG 54). US Navy Photo



中国関係者は米艦船の台湾海峡通行に異議を唱えた。

「中国は事態を注視し米軍艦の台湾海峡をはじめから終わりまで監視した。我が国は米国内の代表部を通じ一つの中国原則および中米共同声明三原則の遵守を守り、台湾関連問題に対し慎重かつ適正な対応を求め、中米関係への悪影響を回避し両岸の平和安定を妨げないよう求めたところである」と中国外務省報道官耿爽Geng Shuangが月曜日の定例記者会見で述べたと同省英語公表資料にある。

国務省によれば中国の台湾関連の主張に米外交政策は異議を唱えていない。中国は外国海軍艦船の同海峡通行では事前通告を求めているが国際海洋法で根拠がない要求だ。


米海軍は艦船通行は国際法に則っており中国の要請は無視している。国際法では艦船は領海内でも軍事行為をしないかぎり通行を認めているからだ。

カーティス・ウィルバーは前方配備駆逐艦戦隊15に所属し、横須賀を母港としているバーソルフは母港カリフォーニア州アラメダから西太平洋に長期展開中だ。

バーソフルは一週間前に東シナ海哨戒を終えており、国連安保理決議に基づき北朝鮮向け物品の海上での船舶間移送を防止した。沿岸警備隊総監カール・シュルツ大将は沿岸警備隊年次活動報告で以下延べていた。

バーソフルの現地展開は「重要な国家活動で、国際的にも重要」とシュルツ総監は述べ、同カッターが米インド太平洋司令部のもとに活動する様子を伝えた。「海軍が活用している。暦年の2019年一杯は支援を続け、その後どうするかは別途お知らせする」とした。■

2018年10月24日水曜日

米中の軍事緊張が高まる中で米海軍が台湾海峡通過航行を敢行した


日本ではあくまでも米中両国は「貿易戦争」をしているのであって、経済問題で対立しているとの報道にとどまっていますが、米国(おそらく中国でも)では軍事対立への道、すなわち新冷戦として現状を捉えているのですね。またもや日本は空気が読めない対応に終止してしまうのでしょうか。

US Navy warships just rocked the Taiwan Strait in rare move, turning up the pressure on China米海軍艦艇が台湾海峡で波を立て中国に圧力をかけた


US Navy guided-missile destroyers and guided-missile cruisersUS Navy guided-missile destroyers and guided-missile cruisers U.S. Navy photo by Lt.j.g. Caleb Swigart
  • 米海軍が10月22日中国の玄関口で威力を誇示すべく艦艇二隻に台湾海峡を通過させた
  • 海峡を通過した駆逐艦USSカーティス・ウィルバー、巡洋艦USSアンティータムに中国艦船が追尾した
  • あたかも両国で緊張が高まる中での事件のため、国際法の枠内とはいえ中国が怒りをおぼえることになりそうだ

海軍艦艇二隻が台湾海峡を通過したと台湾国防省が月曜日発表した。
アーレイ・バーク級駆逐艦USSカーティス・ウィルバー、タイコンデロガ級巡洋艦USSアンティータムの二隻が台湾海峡を同日に航行したと米太平洋艦隊もBusiness Insiderに認めた。米海軍では7月にもUSSマスティン、USSベンフォールドの駆逐艦二隻を航行させていた。
今回は「国際法に準拠した通常の台湾海峡航行」と太平洋艦隊広報官レイチェル・マクマー少尉がBusiness Insiderに語り、ミッションの目的は「自由かつ開かれたインド太平洋」の維持が米国の国是と示す点にあるとし、「米海軍は国際法の許す範囲で今後もいかなる地点で飛行・航行・作戦を展開する」と述べた。
今回の背景に米中両国の軍が緊張を高めていることがあり、貿易から領土主張に至るまで両国の対立が強まっている。
台湾周辺で米軍が活動すると台湾独立派が勇気づくと問題視する中国は同海域で軍事力を増強しており、空母と随行艦に台湾海峡を通過させ「包囲」演習として戦闘機、爆撃機、他を参加させた演習を通年で実施している。
北京政府は台湾をあくまでも分離した自国領土とみなしており、独立宣言の動きが台湾に出れば軍事行動を辞さないと脅かしてきた。
米海軍による中国への挑戦最新版は南シナ海でにらみ合いが続く中で実行され、スプラトリー諸島近くで航行の自由作戦を実行した米海軍艦艇に中国駆逐艦が衝突寸前の「危険な」接近をした事案も発生していた。その後、米空軍が爆撃機を東シナ海南シナ海上空に複数回通過飛行させており、中国は毎回「挑発的」と決めつけていた。

今回の米海軍による台湾海峡通過に中国も艦艇複数で追尾させたが、中国艦は安全な距離をたもったままだった。■

2018年7月9日月曜日

米海軍駆逐艦が台湾海峡を通過航行(7月7日)



貿易摩擦、知的財産侵害、さらには北朝鮮やイランへの米方針への公然たる非追従、また国際秩序を塗り替える動きを隠さない(現状維持を変える勢力は危険な国家扱いとなります)中国に対し今年に入ってからの米政権の動きは急ピッチで厳しさを増していますね。貿易制裁で打撃を受けるのは中国ですが、我慢比べの様相を示してくるでしょう。台湾海峡は自国の領海とまさか中国は思っていないはずですが、しっぺ返しで日本の国際海峡に中国艦船が侵入する事態も考えられ、今後警戒態勢を強める必要がありますね。


Two U.S. Destroyers Sail Through Taiwan Strait 米駆逐艦二隻が台湾海峡を航行

July 7, 2018 6:56 PM

USS Benfold (DDG-65) and USS Mustin (DDG-89). US Navy Photo

海軍誘導ミサイル駆逐艦二隻が週末に台湾海峡を航行した。米国防関係者がUSNI Newsに土曜日にこの事実を確認した。

日本配備の駆逐艦USSマスティン (DDG-89)、USSベンフォールド (DDG-65)が現地時間7月7日に台湾海峡(巾110マイル)に進入した。

「米海軍艦船二隻は台湾海峡の国際海域を7月7日から8日にかけ通常の形で通行した」と太平洋艦隊広報官チャーリー・ブラウン大佐がUSNI Newsに土曜日伝えている。「米海軍艦船は南シナ海、東シナ海で長年にわたり航行しており、台湾海峡通過も行っている」

ブラウン大佐はこれ以上の詳細を明かしていない。台湾国防省は現地報道機関に対し米駆逐艦隊の行動を台湾政府把握していたと明らかにしている。

人民解放軍海軍が両艦の海峡航行に対し何らかの対応をしたのか関係者は明らかにしていない。南太平洋で行動する米艦船にはPLAN艦船の追尾監視が通常だ。中国政府の支配下にある環球時報から中国艦船が追尾したとのツィートが出ており、「米国は台湾海峡の緊張をあおっている」とし、「PLA海軍はこの事態を把握しつつ自制したと軍関係者が述べている」とある。

米艦船の台湾海峡航行は2017年7月以来となった。前年には日本配備のUSSジョン・S・マケイン(DDG-56) が同海峡に入った。米空母の航行では2007年のUSSキティー・ホーク(CV-63)が最後となっている。

今年6月にペンタゴンが定期的な艦船による台湾海峡通行の再開を検討しており、その狙いは台湾支持を目核にすることとロイターが伝えていた。中国は台湾周辺で軍事演習を今年になり強化しており、台湾は独立国でなく分離したままの国内省と中国は見ている。■