この記事は一部ガンマニアにしかアピールしないことを承知の上で掲載します。レッドドット光学照準装置はピストルに装着するオプションで米アマゾンでも入手可能なようです。USSSがあえてこの装置を使わないのには理由があるのでしょうが、各地の法執行機関が採用する中で異様に映るようです。では、日本ではどうでしょうか。そもそも暗殺未遂犯が現れても現場で身柄確保を第一にしているので、一発必中のような射撃は想定しておらず、日本では無用の出費だとして却下されるでしょう。詳しい方はご教示ください。
(PHOTO BY JABIN BOTSFORD/THE WASHINGTON POST VIA GETTY IMAGES)
レッドドット・ピストル用照準器は各地警察に普及しているが、シークレットサービス隊員のグロック19に標準装備されていない事が判明した
ペンシルベニア州バトラーでの集会でドナルド・トランプ前大統領が暗殺されそうになった瞬間、シークレット・サービス(USSS)の警護官に取り囲まれ、近くの装甲仕様のサバーバンへ連れ去られた。暗殺未遂事件の混乱した余波の中で、警護官たちがグロック19 GEN 5 MOS(Modular Optic System)9mm拳銃を振り回している映像が出ているがグロックにレッドドット・タイプの光学式「リフレックス」照準装置が装備されていなかった。
7月13日、ペンシルベニア州バトラー:狙撃されたドナルド・トランプ前大統領を車に乗せるシークレット・サービスのメンバー。どちらもレッドドット光学系がないグロック19。(Photo by Jabin Botsford/The Washington Post via Getty Images) The Washington Post
最新の銃器機能の欠如は、最も混沌とした、一刻を争う、人口密度の高い状況で、いつ複数の襲撃者と交戦するかわからない警護官にとって、非常に奇妙な選択に思える。本誌はSWATチームのメンバー(現職と元職)に話を聞いたが、彼らもまた、なぜ警護官がレッド・ドット・サイトを使わないのか、特に自分たちのグロックにはレッド・ドット・サイトが装備されているのに、と困惑していた。しかし、それは徐々に変わりつつあるのかもしれない。
グロック19 Gen 5 MOSとHolosunレッドドットサイト・オープンエミッターオプティック。(Cabelas.com)
ピストルのスライド上部に装着されるマイクロオプティクスは、従来のアイアンサイトと比較して、ターゲットをより早く捕捉し、より素早く正確に射撃し、また全体的な状況認識を高めるのに役立つ。ピストルに装着する光学機器は、法執行機関や軍用、また民間市場でも急速に普及している。プライマリ照準システムとしてレッドドットに移行するには、ある程度のトレーニングが必要だが、その価値がないと主張する人は皆無に近い。さらに、現在のレッドドット・ピストルのほとんどの構成では、光学系が故障した場合でも、アイアンサイトで光学窓を通して照準することができる。
ヴァージニア州フェアファックス市のSWATチームで18年間SWAT隊員を務めたジェフ・ブラッグマンは、「アイアンサイトでも熟練はできます。ピストルにレッドドット・システム(RDS)を装備する利点を考えると、その理由はよくわからない」。「私の所属する機関では標準的な装備です。シークレットサービスは最高の法執行機関として宣伝されているのに使っていないのが不思議です」。 両名とも、光学照準器はアイアンサイトより大きな改善点だと語った。
ドナルド・トランプの選挙集会で発砲音が鳴り響いた後、人間の盾を作る警護官たち。ホルスターに収めたサイドアームにはTLR-7ウェポンライトが付いているが、光学照準器は付いていない。(Photo by Jabin Botsford/The Washington Post via Getty Images) The Washington Post
ピストルにレッドドットサイトを装着することで、「両目を開けたまま、より早くターゲットを捉えることができるため、周辺視野を失わず、レッドドット付きのショルダーウェポンからレッドドット付きのピストルに移行しても、標準的な三次元ピストルサイトに移行するときのように、脳がギアを切り替える必要がない」とブラッグマンは言う。
現職のSWAT隊員も同意見で、「自分の意図を見極め、交戦する可能性のある相手から目を離す必要はない。そこに目を移す必要はなく視界に入る」。この光学照準器は、ここ数年に追加されたものだ。現職の隊員によれば、彼の部署では、光学照準器がどのように機能するかについての研究を評価し、その後、「さまざまな対照群で数回のテストを行った」という。これらのグループは、遠距離、近距離、さまざまな状況下で光学照準器をテストした。テストの結果、光学照準器は様々な距離や状況において精度が向上することが示された。また、素早いドローが必要な状況で光学照準器がどの程度機能するかもテストされた。光学照準器は武器の上に突き出ているため、かさばり、ダイナミックな状況に素早く反応する能力を妨げるのではないかという意見もあった。SWATの現役隊員は「かさばるという欠陥はない」と言う。
しかし、光学照準器は絶対的ではない。アイアンサイトとは異なり、作動には電源が必要だ。他の電子機器と同様、誤作動や破損の影響を受けやすいが、多くの光学照準器は非常に頑丈で、米国の法執行機関、軍、民間の用途で長年にわたって広く使用されており、十分な実績がある。急速に普及しつつある密閉型ピストル光学系は、レッドドットが2枚の密閉されたガラスの中に投影されるため、雨、雪、汚れ、破片がエミッターと投影されるガラスの間に入り込むことはない。ブルッグマンは、大統領や候補者の詳細についてシークレットサービスと協力している間、彼らが光学照準器を使用しているのを見かけなかったと付け加えた。しかし、当時は光学照準器が広く使われていたわけではなかったので、珍しいことだとは思わなかったという。
集会に参加したUSSの隊員の中には、ピストル用の光学照準器を持っていた者もいた。CAT'として知られるUSSカウンターアサルトチームの隊員が、グロック47に光学照準器を装着していた。USSSのオペレーターのエリート部隊であるCATチームのメンバーは、応募者の中から選ばれる。彼らは制服を着用し、私服捜査官よりも重装備で、AR15型アサルトライフル、暗視ゴーグル、閃光手榴弾のような消耗品、より重い防護服を身にまとっている。射線とトランプの間に位置した警官の銃は、グロック47にエイムポイント社のAcro2型レッドドット・サイトを装着したもの。
トランプが暗殺者の銃弾に倒れた数秒後、ステージに立つCATチームのメンバー......(Photo by Jabin Botsford/The Washington Post via Getty Images)The Washington Post
グロック47にエイムポイント社のAcro P2型レッドドット・オプティックを装着したもの。(グロック)
CATユニットは重武装で回復力のある脅威に対処するために特別に装備されているため、これは理にかなっている。シークレットサービスは、なぜ私服警護官が拳銃にレッドドット光学機器を装備しないのかについて言及を避けた。「作戦上の安全を考慮し、米国シークレットサービスは警護活動に使用される手段や方法については言及しない」とUSSの広報担当者は述べた。連邦法執行官協会(FLEOA)のマシュー・シルバーマン全国会長は、本誌に対し、「USSSは光学照準器の導入を始めている」と語った。「全員がオプティクスを持つ必要があるという基準はありませんが、アカデミーを卒業したばかりの警護官にはオプティクスが支給されています。」新米警護官には早い段階から訓練が行われるため、これはある程度理にかなっていると言えるが、レッド・ドット・オプティクスへの移行訓練は、あらゆる経験レベルの法執行官にとって非常に確立された効果的なものである。
2018年に退職し、現在はピッツバーグのロバート・モリス大学の警察署長を務めるジェフ・ジェームズは、シークレットサービスがグロックに光学照準器を採用するのが遅れている理由を示唆した。「光学部品は故障する可能性があります。アイアンサイトでうまく撃てない人がいて、銃撃戦や転倒、殴り合いの最中に光学系が破損したり、バッテリーが切れたりしたら、アイアンサイトに頼る必要がある」「シークレットサービスが光学系を取り入れない根拠を具体的には知らないが、光学系の故障が懸念されていることは知っている」とジェームズは付け加えた。
シークレットサービスはこれまでシグ・ザウアーのP229 DAKを使ってきた。最近の出来事を考慮すると、USSSが警護官全員のレッドドット・ピストル用光学機器への移行を加速させるかどうかは興味深い。それまでは、鉄製アイアンサイトが使われ続けるだろう。それにしても、この技術を広く採用することを保留している法執行機関のひとつが、最も危険な状況で最も脅威にさらされている個人を保護することを任務としているのは、奇妙以外の何物でもない。■
Secret Service’s Lack Of Red Dot Pistol Optics Puzzles SWAT Officers
POSTED ON JUL 19, 2024 2:09 PM EDT
https://www.twz.com/land/secret-services-lack-of-red-dot-pistol-optics-puzzles-swat-officers