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2025年5月15日木曜日

フーシが米軍F-35とF-16を撃墜寸前まで追い込んでいたと判明(The Aviationist) —紅海での戦闘から新たな学びが生まれそうですね。ステルス万能主義には冷水となるでしょう。それにしてもフーシは手強い相手でした


米中央軍責任地域でニミッツ級空母USSカール・ヴィンソン(CVN70)の飛行甲板から発進する打撃戦闘機隊(VFA)97所属のF-35CライトニングII。 (米海軍公式写真)


「ニューヨーク・タイムズ』の取材に応じた米政府関係者によると、フーシ派反乱軍はラフ・ライダー作戦中に米軍のF-16数機とF-35一機を「あと少しで撃破するところだった」


エメンのフーシ派の標的に対する空爆の強化作戦「ラフライダー作戦」が始まって1カ月が経過し、トランプ大統領は結果を見たがっていた。 フーシ派の防空拠点と指導部を標的にしたこの序盤戦は、米中央軍(CENTCOM)トップのマイケル・クリラ大将の8〜10カ月計画の最初の部分に過ぎなかった。

  1. ニューヨーク・タイムズ』紙の取材に応じた米政府関係者によると、フーシ派反乱軍はラフ・ライダー作戦開始から30日以内で、米軍のF-16とF-35を「撃墜寸前」だったという。
  2. なぜフーシスはF-35を標的にできたのか?

しかし、MQ-9リーパー無人航空機(UAV)7機以上を敵の攻撃で失い、また有人戦闘機との接近戦もあり、アメリカは明らかに航空優勢を確保することができなかった。 作戦中に失われた2機のF/A-18スーパーホーネットを除いて、10億ドルの作戦費用が1ヶ月の間に費やされた。


米中央軍責任地域のニミッツ級空母カール・ビンソン(CVN70)の飛行甲板から発進する打撃戦闘機隊(VFA)192所属のF/A-18Eスーパーホーネット。 (米海軍公式写真)


 米軍によると、ラフライダー作戦でフーシ派の有力者が多数殺害され、1,000箇所以上の目標が攻撃された。スタンドオフ精密ミサイルを含む先端兵器の備蓄は減少し、米国はインド太平洋における将来の潜在的な作戦に必要な戦略的奥行きを失うのではないかと、軍部内に深い懸念を引き起こしている。貴重なB-2スピリット・ステルス爆撃機は、すでに作戦に貢献している2隻の空母と米中央軍司令部(CENTCOMを強化するために、比較的大量に、そして多大なコストをかけて配備されていた。

 ワシントンD.C.では、ピート・ヘグセス国防長官が、グループチャット内に誤って未登録の記者を含め、活動中の作戦について議論するためにメッセージングアプリを使用したことで、政治的対立を超えた批判を浴び、物議を醸した。この作戦上のセキュリティの怠慢によって隊員に被害はなかったようだが、F/A-18の事故では多くの隊員が負傷した。   フーシの地対空兵器が米軍のF-16やF-35に命中寸前まで迫ったていたことで、最前線の要員が負う並外れたリスクが浮き彫りになり、アメリカ人の命が失われる可能性が非常に高かったことが浮き彫りになった。

 ニューヨーク・タイムズによれば、「アメリカのF-16戦闘機数機とF-35戦闘機1機がフーシの防空ミサイルに攻撃されそうになり、アメリカ人が犠牲になる可能性が現実味を帯びていた」。


2025年3月18日、米中央軍責任地域上空での防衛対空任務中、KC-135ストラトタンカーからの給油準備に入った米空軍F-16ファイティングファルコン。APKWS II誘導ロケットを搭載していることに注目。元々は地上標的攻撃用のこの軽量大容量兵器は、小型無人機に対する空対空で新たな用途を見出した。(米空軍撮影:ジェラルド・R・ウィリス二等軍曹)


 作戦開始からわずか2カ月弱の2025年5月5日までに、ホワイトハウスは作戦の即時停止を命じた。オマーンの仲介で、米軍とフーシ派はそれぞれ他方への攻撃を禁じる停戦協定に合意した。停戦協定がこれらの事件をどう扱うのか、あるいはまったく扱わないのかは不明である。

 ディエゴ・ガルシアのB-2はすぐにホワイトマン基地に帰還させられたが、これほど長期間の配備を終えて帰還する際には、デリケートなレーダー吸収表面の手入れが必要だったようだ。ディエゴ・ガルシアに配備されているB-2シェルター・システム(B2SS)は4機分のみで、分遣隊の6機すべてを恒久的に収容するには十分ではない。衛星画像では、航空機が海洋の前哨基地で風雨にさらされ長時間屋外で過ごしていたことを明らかにした。OSINTでB-2の一部が1ヶ月以上の配備の後、ディエゴガルシアを離れたことを確認した。

島の気候は航空機にとって理想的ではない。 フーシ停戦直後のタイミングは注目に値するが)いつまで滞在するかは常に刻々と迫っていた。


 B-2に代わって、4機のB-52Hストラトフォートレスが出発前の数日間に到着した。より脆弱なB-52は、(停戦が決裂した場合)フーシ派に対抗する任務が課せられた場合、あるいは、一部で予測されているように、イランへのシグナルとして前方に配備された場合、AGM-158統合空対地スタンドオフ・ミサイル(JASSM)のような長距離攻撃兵器に頼らざるを得ないだろう。


なぜフーシ派はF-35を標的にできたのか?

フーシの正確な防空体制を知ることは難しい。イラン経由で、フーシ派は赤外線(IR)とレーダー誘導ミサイルの両方を入手しているという証拠がある。これらには、専用設計のほか、R-27、R-73、R-77といったソ連製空対空ミサイルの再利用も含まれる。

 イエメン反政府勢力へのイランの武器輸送を傍受した米国は、画像赤外線(IIR)センサーを搭載した新型の「うろつきSAM」を記録している。これらは358として広く知られているが、フーシ派はSaqr-1と呼んでいる。IIRシーカーは最先端の赤外線シーカーヘッドで、西側のAIM-9XサイドワインダーやAIM-132ASRAAMが採用している。シーカーは純粋に熱源を探すのではなく、基本的に赤外線カメラだ。ミサイル内のコンピューターは、提供された画像を分析し、航空機やミサイルなどの形状を識別し、照明弾のような赤外線対策を回避することができる。

注目すべきは、イランが地対空ミサイル「358」を初めて認めたことだ。少なくとも2019年以来、イエメンのフーシに供給してきた兵器だ。


 赤外線誘導は通常、人型携帯防空システム(MANPADS)を含む小型システムには好まれるが、より大きな射程と高度能力を持つ大型システムは、レーダー誘導を利用することが多い。索敵レーダーや目標捕捉レーダーが作動すれば容易に探知され、対レーダーミサイルが発射される可能性が高いからである。USSハリー・S・トルーマンやUSSカール・ヴィンソンで運用されているEA-18Gグラウラーは、この任務のスペシャリストであり、さらに、そのようなレーダー・システムの効果を弱めるか、あるいは無効にするための高度なジャマーを搭載している。


イエメンでアメリカのMQ-9リーパー・ドローンがKUB(Sa-6)SAMシステムのミサイルを使ってフーシ派に撃墜された。 pic.twitter.com/O9q6s3MCJO

- AMKマッピング 🇳🇿 (@AMK_Mapping_) 2024年12月29日


 F-35の高度なレーダー断面積減少対策により、レーダーでの探知は困難になっているが、それでも航空機はかなりの赤外線シグネチャーを出す。この脆弱性は設計者にも知られており、赤外線シグネチャーの低減は航空機設計の重要な部分である。しかし、これまで米国の戦闘機に搭載された中で最も強力なターボファンエンジンに適用できる低減は限られている。

 ステルス機の使用は、生存性を高めるためであり、生存性を保証するものではないことを常に忘れてはならない。 ステルス機はいずれ敵の攻撃で失われる。F-117ナイトホークが失われた事例は有名な話だ。

 たった1機のF-35に対して複数のF-16がフーシの防空網からのニアヒットに巻き込まれたという言及は、F-35がいかに戦闘生存性を向上させているかを示しているのかもしれない。とはいえ、これは単純な運だけでなく、異なる出撃における異なる任務によるものである可能性もある。

 それぞれの状況でパイロットがどのようにミサイルを回避できたのかはわからない。 F-16もF-35も、赤外線やレーダー誘導ミサイルから身を守るために、電子的・物理的な対抗手段を多数備えている。最も有名なのは、赤外線ミサイルには照明弾を、レーダー誘導ミサイルにはチャフを使用できることだ。 曳航式レーダーデコイは、内部電子戦技術と同様に、レーダー誘導ミサイルに対する追加対策を提供する。 レオナルドのブライトクラウドのような新しいレーダー・デコイは、最前線への配備に向けて評価されている。■


Houthi Air Defenses Nearly Hit U.S. F-35s and F-16s

Published on: May 13, 2025 at 9:10 AM

 Kai Greet

https://theaviationist.com/2025/05/13/houthi-air-defenses-u-s-f-35s-and-f-16s/


2022年7月25日月曜日

ウクライナ戦争の空戦で今のところ判明している教訓とは

 

Su-35 over Ukraine. Image Credit: TASS/Russian state media.

 

シアによるウクライナ侵攻から5カ月になるが、空の戦闘から得られる教訓とは?

 

 

SEADは難易度が高い

 

アナリストにとって、戦争開始数週間で最も驚くべき展開となったのは、ロシア空軍がウクライナ全域で航空優勢を確立できず、自由に活動できなかったことだ。

 イラク、アフガニスタン、リビアでのアメリカやNATOの戦争で、西側航空機が敵機の上空や敵の防御ミサイルを素早く掃射した経験から想定されていた。

 ウクライナ上空でのロシア軍機はウクライナの防衛システムを識別し、破壊するのに苦労している。ウクライナのSAMシステムへのロシアの攻撃は、空からではなく、陸上で成功したものが多い。

 また、ジャスティン・ブロンが指摘しているように、露・ウクライナ戦争で明らかになったSEADの問題は、西側諸国にとって将来の困難を予見させるものかもしれない。

 現時点では、敵のSAMネットワークに対抗できる自信があるのは米国だけだ。実際、現代の防空網を効果的に使えば、最近の紛争では米国でも許容できない程度の航空部隊の消耗が生まれるようである。

 

制空権の確立は難しい

 

現在でもロシアはウクライナで制空権を確立できていない。ベトナムのように政治的なものではなく、ウクライナの奥地にある飛行場や中継地などを攻撃することに何の抵抗もないのにロシアは問題に直面している。

 しかも、安全かつ効果的に攻撃する手段がない。ウクライナの戦闘機は、防御的なミサイル網の中や自国基地の近くで、ロシアに数的優位があっても、ロシアに対して自分たちで対処できている。

 ウクライナのパイロットは不利な状況で戦闘を避けることができ(実際避けている)、ロシアは長距離攻撃で交戦を求めている。つまり、数的優位がないにもかかわらず、ウクライナ空軍は飛行を続け、ウクライナの陸と海の目標を支援する作戦に携わることができるのだ。

 

人的資本と産業資本

 

航空兵力の増強は簡単にいかない。ロシアもウクライナも、航空兵力のストックとフローに苦労している。ウクライナ側では、新型機や旧型機の新機種でパイロットや整備士を養成する必要があるため、キーウに既製の空軍機材を供給する構想は急速に崩れ去った。

 また、スペアパーツや整備施設の不足から、ウクライナの保有する航空機を使い続けることは困難であったが、東欧から航空機の輸入が開始され、この問題は少し緩和されている。現在の航空機は、1960年代のジェット機と比較しても、複雑さが十分に際立っており、有能なパイロットが操縦できるまでのリードタイムは、従来の数ヶ月が数年に延びている。このため、ウクライナに新型機を納入する戦略には、制度的にも産業的にも相当の努力が必要となる。

 これは、ロシアの戦略にも影響を及ぼしている。既存の航空機材を相当数保有しているにもかかわらず、ロシアは消耗の激しい攻撃に航空機を投入する余裕がない。ロシアの産業界は航空機を代替できず、ロシアの訓練インフラはパイロットを代替できない。ロシアはこの戦争で既存機材を消耗したくなく、この決定が航空戦力の使用範囲を限定している。

 

無人機の貢献

 

ウクライナの無人偵察機は、紛争初期の無謀なロシアの攻勢を鈍らせ、最終的には崩壊させるのに貢献した。安価で、消耗品扱いのこれらの各機は、絶望的な時に重要な役割を果たした。戦争が進むにつれ、無人機の主な貢献はTB2による派手な攻撃より、歩兵や砲兵隊が運用する多様なUAVファミリーによる短距離偵察になったようだ。

 しかし、ここでも反撃がある。ロシアは電子対策を飛躍的に向上させており、ウクライナのUAV制御を混乱させ、破壊を容易にしている。ドンバス地方にロシア軍が密集しているため、対空兵器各種を投入でき、各高度の無人機に対処している。全体として、今回の戦闘で無人機はこれまで偵察機や軽攻撃機が果たした役割と非常によく似ているが、より大型で高速の固定翼機の貢献を完全に置き換えるまでにはなっていない。

 

結語


ウクライナでの空戦は、我々が通常使うどのような意味で決定的な結果が生まれていない。ロシアもウクライナも決定的な勝利を主張できない。前者が後者を撃破したわけではなく、後者が前者から領空を隔離したわけでもない。同時に、航空戦力の失敗を論じるのは誤りだ。航空戦力の任務(長距離攻撃から近接航空支援、偵察、輸送まで)の成功は、戦争全体とまではいかなくとも、局地的な勝利(キーウ攻勢の頓挫、ドンバスでのロシアの攻勢の成功)に欠かせないものだった。

 今後数カ月、ウクライナが西側戦力を活用して航空優勢(あるいは少なくとも同等)を勝ち取れるかどうかが、戦争の行方に劇的な影響を与えそうだ。■

 

The Air War over Ukraine: Why Can't Russia or Ukraine Claim Victory? - 19FortyFive

ByRobert Farley

 

WRITTEN BYRobert Farley

Dr. Robert Farley has taught security and diplomacy courses at the Patterson School since 2005. He received his BS from the University of Oregon in 1997, and his Ph.D. from the University of Washington in 2004. Dr. Farley is the author of Grounded: The Case for Abolishing the United States Air Force (University Press of Kentucky, 2014), the Battleship Book (Wildside, 2016), and Patents for Power: Intellectual Property Law and the Diffusion of Military Technology (University of Chicago, 2020). He has contributed extensively to a number of journals and magazines, including the National Interest, the Diplomat: APAC, World Politics Review, and the American Prospect. Dr. Farley is also a founder and senior editor of Lawyers, Guns and Money.