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2025年1月13日月曜日

MAFFSを装備したC-130がロサンゼルスの猛烈な火災との戦いに加わる(The Aviationist)―軍も投入するまで被害は拡大している中で、今回の事態には人災の要素が本当になかったのか検証が事後に行われる気がします。

 


2024年5月6日から10日までカリフォーニア州グリーンバレー近郊のアンゼルス国有林で行われたカリフォーニア州空軍第146空輸航空団主催のモジュラー空中消火システム(MAFFS)春季訓練2024で、ネバダ州空軍第152空輸航空団のC-130(MAFFS 9)が投水を行った。 (Image credit: USAF/Senior Master Sgt. Paula Macomber)


ジュール式空中消火システム(MAFFS)プログラムは、米国森林局と国防総省の協力で1971年に始まった。 MAFFSシステムは、C-130の構造変更なしで、わずか2時間で機内に設置できる。

 米軍北部方面司令部NORTHCOMは2025年1月10日、MAFFS(モジュール式空中消火システム)を搭載したC-130を8機ロサンゼルス地域の猛烈な火災に対処するために出動させ、うち一部はすでに活動を開始している。     

 NORTHCOMによると、全機は1月12日までに被災地上空で運用を開始する予定だという。人員は本拠地から南カリフォーニアのチャンネルアイランズに移動する。


MAFFSの運用と歴史

カリフォーニア州空軍(ANG)の第146空輸航空団(146AW)、ネバダ州リノの第152空輸航空団および第192空輸飛行隊(192AS)、ワイオミング州シャイアンの第153空輸航空団および第187AS、コロラド州ピーターソン宇宙空軍基地の第302空輸航空団および第731ASは、MAFFSを装備した航空機をポート・ヒューネームに派遣し、第146AWがその受け入れを行っている。 動画では、カリフォーニア州空軍の航空機の1機が、かなりの横風に耐えながら、赤い色の難燃液を投下する様子が映し出されている。

 興味深いことに、1年前、146飛行隊と152飛行隊は、2024年4月と5月に、カリフォーニア州ポート・ヒューネメとグリーンバレーで、毎年恒例のリフレッシュMAFFS訓練コースに参加していた。 DVIDSに掲載された最新写真には、ネバダANG基地の第152整備兵站即応飛行隊の飛行士が、第152AWの "ハイローラー "のC-130にMAFFSシステムを搭載する様子が写っている。MAFFSノズルを航空機に取り付ける準備をしている乗組員の写真も見られる。


甚大な火災と自慢の追加能力

この記事の時点で、LAタイムズによると、猛烈な火災により10人が死亡し、9,000棟以上の建造物が破壊された。 これに先立ち、パリセイズ消防署はフェイスブックで、1月8日の航空調査で約5,316棟の住宅および商業用建造物が破壊されたと推定されたと発表し、 調査に赤外線技術を使用した。

 また、カナダが配備している2機のカナダ空軍CL-415スーパースクーパー放水機のうち1機が、1月9日に無人機と衝突し、一時的に運用不能となる中、空中消火システムの追加が急がれている。 The War Zoneによると、UAVはFAA(米連邦航空局)が1月9日から1月23日まで適用しているTFR(一時飛行制限)に違反し、消火活動を記録する個人によって飛行していた。

 この衝突でUAVはCL-415の左翼の前縁に穴を開けた。同機は無事に着陸できたが、修理が必要だ。 現在、さらに2機のCL-415がカリフォーニアに向かっている。

 NORTHCOMは、カリフォーニア州リバーサイド郡にあるマーチ航空予備基地を連邦緊急事態管理庁(FEMA)の緊急事態支援基地に指定し、「物資と装備の前方配給」を行っている。 要請あれば、NORTHCOMは、回転翼機による支援、地上および空からの捜索・救助、物資の配給、緊急経路の確保、事件の認識と評価、医療能力を提供する。

MAFFS装備のC-130

MAFFSは1971年、米国林野庁と国防総省の共同作業として創設され、「軍用エアタンカーを国家的な消防対応に統合するための装備、訓練、運用手順を作成する」とNORTHCOMは述べている。 米空軍の説明によると、C-130航空機内に収まるMAFFSユニットは、構造的な改造なしに2時間以内に設置できる。

 MAFFS装置は、後方左側のベイドア付近にジェットブロワー型のノズルを備えている。 キャリッジ・ユニットは円筒形のタンク、ポンプ、その他の電子制御・操作ユニットで構成され、空軍のロードマスターが後部タラップから積み込む。

 このシステムは、3,000ガロン(11,356リットル/28,000ポンド)の難燃剤を、機体左後部の落下傘ドアの場所に設置された放出管から5秒以内で放出することができる。高度 約150フィートから放出された難燃剤は、長さ1/4マイル、幅60フィートの範囲をカバーし、飛行機は補給のために基地に戻り、20分以内に再び空中に舞い上がる。

 興味深いことに、これはCL-415スーパースクーパー水上機が大きな水域に着陸し、わずか14秒で7,000リットル(1,850米ガロン)の水をタンクに補給し、素早く戻って火災を攻撃する能力そのものである。 他の固定翼機では、CL-415のような連続投下ができないため、補給のために空港に着陸する必要がある。

 カリフォーニア州林業・防火局(CALFIRE)も、MAFFSの使用方法について詳細を発表した。 「CALFIREのエアタンカーとは異なり、MAFFS機は初期攻撃(IA)の資格を持っておらず、投下を行うには空中監視モジュール/先導機が必要である。 「このため、MAFFSの使用は通常、確立された長期的な攻撃活動に限定され、CAL FIREや他のIAエアタンカーの出動可能性を維持し、新たな火災に迅速に対応できるようにしている」。

 MAFFSユニットの難燃剤は、水80~85%、硫酸アンモニウム10~15%、ゲル化剤、赤色色素で構成されている。 難燃剤の赤色は「カラーコード」の役割を果たし、パイロットが積荷をどこに投下したかを確認するのに役立つ。 難燃剤自体は霧状になって飛散し、建物への被害を防ぐ。 MAFFSの乗組員は毎年定期的に訓練に参加し、各部隊には5人の認定要員を配置することが義務づけられている。


2025年1月10日、ネバダ州空軍基地のMAFFS9にモジュール式空中消火システム(MAFFS)タンクを積み込み、ロサンゼルスでの野火活動を支援するネバダ州空軍第152整備兵站即応中隊の飛行士たち。 (画像クレジット:USAF/Senior Master Sgt.)


MAFFSの運用と歴史

146飛行隊は、2024年4月26日にポート・ヒューネメのカリフォーニアANGで開催された年次認定訓練イベントで、空軍クルー、USFS職員、土地管理局が参加し、座学、飛行、地上作業を行った。 写真には少なくとも5機のC-130Jが写っている。

 USFSはMAFFSの装備と消火剤を提供し、国防総省はC-130JとC-130Hを提供する。 空軍はまた、USFS、農務省、州知事がMAFFSユニットを作動させるために国防総省に通知するのは、「民間請負業者の資産を使い果たした」後であると述べている。 このようにして、空軍は「野火における既存の民間タンカー支援を補完する緊急能力」を提供することができる。

 MAFFSは、カリフォーニア州ロングビーチで発生した大火災で数百棟の家屋が焼失し、民間タンカー隊の対応能力を圧倒したことを受けて、連邦議会が設置したものである。 林野庁によると、MAFFSは常時8機が運用可能な状態にあるという。

 MAFFSが最近使用されたのは2021年のことで、152飛行隊は89日間、過去49年間で2番目に多忙なMAFFS活動を行ない、合計330回出撃し、818万ポンド(91万2042ガロン)の消火剤を投下した。 過去10年間で、MAFFSを装備した軍のC-130は、米国内の山火事に約800万ガロンの消火剤を投下した。■

MAFFS-Equipped C-130s Join the Fight Against Raging Los Angeles Fires

Published on: January 10, 2025 at 11:10 PM

 Parth Satam

https://theaviationist.com/2025/01/10/maffs-equipped-c-130s-los-angeles-fires/


2024年9月1日日曜日

空の仕事人C-130が初飛行から70周年を祝う (Air and Space Forces Magazine)

 



c-130

An Air Force Reserve aircrew flying a C-130 Hercules assigned to the 910th Airlift Wing, Youngstown Air Reserve Station, Ohio, performs aerial spraying June 25, 2014, over Joint Base Charleston, S.C. (U.S. Air Force photo/Senior Airman Dennis Sloan)



70年前の8月23日、ロッキードのテストパイロット、スタン・ベルツとロイ・ウィマー、そしてフライトエンジニアのジャック・リアルとディック・スタントンが、新型機YC-130プロトタイプをカリフォーニア州バーバンクから約50マイル東のエドワーズ空軍基地まで初飛行させた。この時から70年間、C-130ハーキュリーズは、中東の砂漠、東南アジアのジャングル、南極大陸やグリーンランドの雪原など、あらゆる場所の未舗装で短い滑走路に兵員、装備品、救命物資を輸送してきた。 

 歴史上最も長く生産され続け、世界70カ国で2500機以上が運用されている同機の短距離離着陸性能は、多くの強みのひとつにすぎない。 

 「ロッキードに多用途で耐久性に優れ、高性能な航空機を提供するというビジョンがあったことが、世界各地の空軍、特に米空軍で最大の空輸主力機につながった」と、米空軍士官学校の歴史学助教授であり、元空軍将校のダグラス・ケネディ博士は語る。


1954年8月23日、カリフォーニア州バーバンクからエドワーズ空軍基地へのフェリーフライト中のYC-130のアーカイブ写真。


 初飛行は1954年に行われたが、C-130の物語は1951年に始まった。朝鮮戦争で部隊が戦う中、短い滑走路に着陸するのに苦労していた小型輸送機と大型輸送機の間を埋める中型貨物機を空軍が要請したのだ。 

 丈夫で耐久性ある機体、低速で機体を安定させる大型尾翼、エンジンが埃や汚れにまみれないように高い位置に取り付けられたプロペラ、道路上でも道路外でも操作できる頑丈なタイヤに挟まれた狭い足回り、さまざまな貨物を積めるように地面から低い位置に設置された完全加圧の貨物室、「最も近い地上電源カートが150マイル離れている場合でも機体を始動させることができる」内蔵の補助電源ユニットなどだ、とHistoryNetは2017年に書いている。 

 ハーキュリーズはベトナム戦争で真価を発揮し、1967年のジャンクション・シティ作戦では数百人の空挺部隊を輸送し、1968年にはケサンで包囲された海兵隊への物資輸送で着陸させたり空輸したりした。 救助ヘリコプターへの空中給油タンカー、特殊作戦部隊のためのどこでも着陸可能なタクシー、近接航空支援のための側射ガンシップなど、新たな役割を手に入れた。 


HC-130Pタンカーから給油を受けるHH-3「ジョリー・グリーン・ジャイアント」。飛行中にヘリコプターに燃料を補給できるようになったことで、ヘリコプターの航続距離が伸び、東南アジアでの捜索救助活動が大幅に強化された。


 1975年4月29日、南ベトナム空軍のパイロットが操縦する1機のC-130で452人の難民をタイに運んだ。

 「機体は少なくとも10,000ポンド過積載で、後部タラップドアを閉めるためにタキシング中にブレーキを踏むなど、離陸に滑走路の全部を必要とした」と、アメリカ空軍はこのフライトについて書いている。 

 何でも、どこでも C-130の柔軟性は、その特徴のひとつである。1960年から1986年まで、空軍のC-130クルーは、太平洋上空でパラシュートからぶら下がるスパイ衛星フィルムを詰めたカプセルを捕獲した。砂漠の盾」と「砂漠の嵐」両作戦では、EC-130コマンド・ソロがイラク軍に降伏を説得するラジオ番組を放送し、コンパス・コール型は敵の通信とレーダーを妨害した。1963年、C-130は空母から離着陸した最大かつ最重量の飛行機となった。 

 2021年には、C-130が無人航空機を空中から発進するドローンキャリアとして活躍した。その1年後には、MC-130JコマンドーIIがパレットから投下された巡航ミサイルを初めて実射した。 

 しかし、C-130の平時のポートフォリオはさらに幅広い。コロラド州で立ち往生した牛に干し草を投下したこともある。一方、オハイオ州を拠点とする第910空輸航空団は、大規模なハリケーンが残した洪水で孵化した蚊やハエを退治する空中散布ユニットを装備している。 

 1965年以来、C-130は第53気象偵察飛行隊の「ハリケーン・ハンター」にも選ばれており、嵐に飛び込んで、科学者や緊急当局者のためにデータを収集している。 

 そうした技術的な役割以外でも、ダルフール紛争時のスーダン南部など、地球上のほぼあらゆる場所で食料や医療物資を降ろすだけで、ハーキュリーズは何千もの命を救ってきた。「機体に燃料を補給しながら飛行します。所要時間は15分から20分です。もしC-130がなかったら、多くの人々が亡くなっていたでしょう」。

  常に改善 C-130が新しい役割を担い続けることができるのは、機体自体が常に変化し続けているからだ。アナログ的で滑らかな鼻のYC-130は、プロペラに3枚の羽根をつけ、エンジンはドライヤーのようなものだった。「しかし、2つのことは変わらない:C-130の貨物倉に乗ることは、今でも操縦席の下のクラスであること、そして、最初のA型から最新のJ型まで、飛ぶことが楽しいということだ」。

「モロッコの砂漠、イギリス南部の旧第二次世界大戦時の空き地、コロンビア南部の石灰岩の短い滑走路に着陸したり、人類が知る限り最も殺傷力の高い兵力を投下したりと、アメリカ大陸、ヨーロッパ、アフリカ、中東のあちこちでこの美しい獣を操ることを、私はいつも誇りに思っていた。「ケネディの同僚のハーク・ドライバーであるマイク・ミニハン元空軍機動司令部長は、ハークを "史上最高の飛行機"と呼んだ。それでもミニハンは『Air & Space Forces Magazine』誌に、この飛行機を操縦し、修理し、サポートする人々がいなければ何の意味もないと語った。その家族の一員になるまでは、威厳もなければ外見的な魅力もありません」と、彼は涙をこらえながら説明した。「そして、世界で最も雄大で魅力的なものになる。あの飛行機は、アメリカやアメリカ人から最高のものを引き出す力を持っている」将軍は、C-130を操縦する日々が終わったことに心を痛めつつも、「70年間も製造され続け、当分の間は生産が続く」飛行機に有頂天になっていると語った。

 「その機体を祝うだけでなく、より重要なのは、操縦し、修理し、サポートする人々を祝えることを嬉しく思う」 。■


Workhorse of the Air: C-130 Celebrates 70 Years Since First Flight

Aug. 23, 2024 | By David Roza

https://www.airandspaceforces.com/c-130-hercules-70-years-first-flight/


2021年9月19日日曜日

C-130水陸両用型の予想は本当だった。太平洋の分散部隊展開で補給作戦に投入されそう。

 C130 seaplane

AFSOC

 

 

る5月、米空軍特殊作戦司令部(AFSOC)が温めてきたC-130水上機型の夢が現実に近づいているとお伝えした。MC-130J水陸両用機(MAC)が新規調達リストで上位に乗っている。前回は想像図しかお伝え出来なかったが、今回はもっと明確にお伝えできる。そう、C-130をフロートに乗せた格好になっている。

 

構想は各種にわたり、従来型のフロートを付与したものから機体一体型の未来デザインまであった。MC-130は滑走路にもフロートをつけたまま着陸可能となる。今回の記事はAFSOCが公表した想像図を掲載する。

 

空軍特殊作戦司令部からは以下の発表があり、5月にお伝えした内容を改めて確認した形だ。以下の公式発表は2021年9月14日に発表された。

C-130Jは信じられないほど多様性を有する機体で、誕生以来、非整地への着陸、極地での運用、さらに航空母艦でも運用してきた。ただし、現状では着水はできない。地球で水面は71%の面積を占める。国家戦略の重点が沿海部に移行する中で、空軍特殊作戦司令部は同機の展開能力を高めるうえでも滑走路に依存しない性能を高めるアプローチをとる。

空軍研究本部の戦略開発計画実験部門(AFRL-SDPE) と協力し、AFSOCはMC-130JコマンドII水陸両用対応機(MAC)を開発し、同機による沿海部特殊作戦の支援をめざす。

MAC開発では多方面の作業を進めていると、AFSOC科学システム技術イノベーション (SST&I) 副部長ジョシュ・トランタム中佐と説明している。この性能が実現すれば空軍は部隊投入、撤収、人員回収、補給活動を将来の事態、有事での実施能力を拡充できるようになる。

 

AFSOC

 

取り外し可能着水フロートにより「滑走路に依存しない」運用が可能となり、トランタム中佐は世界規模の展開に道が開き、機体のみならず特殊部隊の生存性が高まる。水面を利用できれば運用の柔軟性が高まると中佐は述べている。

MAC機能が利用できれば水面への無制限の作戦応用が可能となり、陸上基地の利用が困難となっても部隊を分散展開できる。

 

AFSOC

 

疑問の余地はない。滑走路に依存している現状をペンタゴンでは互角の戦力を有する相手国、やや戦力が劣る国が遠隔地であっても弾道ミサイルで使用不能にする事態を危惧しているのは事実だ。このためC-130を滑走路を使わずに運用する構想には大きな利点がある。

 

AFSOC技術移転部門主任クリステン・セパク少佐はこう述べている。

「MACは将来の成功の実現に不可欠となる。共同作戦地域内で装備の分散が可能となる。分散させれば敵の攻撃を受けにくくなる」

 

AFSOC

 

MAC構想をわずか17カ月で実現すべく、試作機を五段階で製作する。この日程感自体が大胆だが、仮想モデリング他デジタルエンジニアリングを多用する。ロッキード・マーティンはこれまでもこの種の技術を数多く構想しており、C-130Jでは1990年代末にも検討していた。

 

ではすでに開発作業の多くが実施済みで一部テストまで行っているとすれば、AFSCOは実機の実現を迅速に進め、MAC実機を完成させ、技術をほかの用途として例えば消防機にも使えるのではないか。ジョシュ・トランタム中佐は以下説明している。

「MACは各軍、同盟国、協力国でも応用可能な技術となる。さらに、水陸両用機をその他の画期的な装備と併用すれば将来の戦場でも威力を発揮し、戦略面で競合力が実現する」

AFSOC

 

C-130の70年に及ぶ歴史を振り返れば、これだけ多様な付加機能が同機で実現したことには驚くしかない。その最後に難易度が高い水面からの運用に挑戦することになる。この注目すべき事業の進捗についてはまたお知らせする機会が来るだろう。■

 

It Looks Like A C-130 Seaplane Is Finally Happening

 

Air Force Special Operations Command says it needs an MC-130J on floats and it looks like it has a plan to get it. 

BY TYLER ROGOWAY SEPTEMBER 15, 2021

 


2021年9月15日水曜日

C-130とスカンクワークスの関係とは。輸送機に攻撃手段、センサーを搭載する分散戦術のねらいとは。

こういう柔軟な思考ができるのであれば米空軍の将来を悲観しなくてもよいでしょう。問題はその通りに実施する力であり、相手となる中国の動きに対しこの構想が有効なのかを実地で試す機会が生まれるかでしょう。米海軍でも輸送艦等も武装を施す分散武装の構想がありましたね。




ッキード・マーティンで有名なスカンクワークス部門はU-2スパイ機、F-22戦闘機や初のステルス機F-117ナイトホーク等の実現で有名だが、特殊部隊向けにC-130輸送機でも大きな役割を演じていることは意外に知られていない。


C-130とスカンクワークスの接点


C-130は半世紀以上前に登場し、以後一貫して性能を向上しつつ各種の改修を受けてきた。


空軍は既存航空機材の役割を見直し、ミッション範囲を拡大しようとしており、同機もその対象となっている、そのため新技術やソフトウェア改修を投入している。


ここにC-130とロッキードのスカンクワークスの接点がある。特に重要なのが他機との強い接続性を実現し、戦闘ニーズ、脅威情報、作戦要求を満たしながら、新技術の登場を待ち迅速に導入することだ。


「C-130も元々はスカンクワークスが手がけており、今日に至るまでスカンクワークスが新機能の統合で支援しており、第一線のニーズに焦点を合わせつつ、活用方法を全く新しく考えている」とスカンクワークス®の統合システム部長レネー・パスマンがNational Interestに語っている。


C-130が長期間供用されており、数々の改修を受けた機材であること、また空軍がミッション範囲の見直しをここ最近展開していることから、同機がスカンクワークスによる改修の対象になった。


スカンクワークスは1950年代設計の同機供用期間を80年

超とすべく同機に関与を続けており、改修内容は以下を含む。


  • 新型プロペラ

  • 通信装置

  • グラスコックピット、タッチスクリーン画面

  • デジタル式エイビオニクス

  • 衝突回避装置

  • 「ウィングボックス」強化型


C-130改修と相当基準時間の関係


C-130供用を続ける中で同機の改修がどこまで必要なのか見極めるべく、空軍は「相当基準時間」equivalent baseline hoursを指標として使う。


C-130機体の疲労、亀裂は機体ごとに異なり、さらにミッション内容でも大きな差が出てくるし、投入環境の地形や天候条件でも違いが生まれると空軍は説明する。



重要な補給物資、兵器、兵員の空中投下をミッションを過酷でハイリスク地で展開するC-130は低高度運用可能で滑走路が未整備の場所でも運用されることが多い。


空軍はC-130のエイビオニクス近代化事業を実施し、8.33無線機、コックピットにボイスレコーダー、デジタルデータレコーダーを追加した。


だが改修は搭載済み装備品にとどまらず、武装の搭載やミッション範囲の拡大を目指した内容にまで広がっている。


その例としてC-130から爆発物搭載のミニ無人機多数を展開し、一帯を圧倒する数で偵察や攻撃を加えたり、パレット貨物投下式の爆弾兵器を運用する構想がある。


輸送機が攻撃手段になる


空軍では戦闘機材の定義を更新しようと、輸送機にも爆弾、機関銃、ミサイル、攻撃用無人機運用を導入し、ミッション範囲をこれまでの輸送用支援機から拡げようとしている。


「従来型兵装品をこれまでと違う形で運用し、機動性機材の新しい任務を実現する。これまで通りの考え方を脱却し、高度な機動部隊に変身させる」と航空機動軍団司令ジャクリン・ヴァン・オヴォスト大将がミッチェル研究所のインタビューで語っている。


輸送機を武装化すれば敵の攻撃になるとの疑問に、ヴァン・オヴォスト大将は「今でも標的になっている。敵は給油機や輸送機を狙い、補給線を寸断しようとする」と答えている。DARPAのグレムリン構想ではC-130で無人機多数を発進させ、空中回収するが、ヴァン・オヴォスト大将は輸送機がスタンドオフ発射地点に留まれば攻撃機として機能でき、重度防御地点への攻撃が実現すると指摘した。


同様に大型でステルス性がなく、本来なら脆弱なC-130が「運動性脅威の有効射程外からスタンドオフ攻撃で無人機多数を運用しながら空中指揮統制機となる。


空軍ではパレットによる爆弾投下をC-130で試行しているが、ヴァン・オヴォスト大将の発言に新しい意味が含まれる。輸送機からミサイルを発射し対地攻撃ができるのではないか。


「SOCOM(特殊作戦司令部)のモデルに注目しており、JASSMを機体後部から投下する。いったん空中に放出してから点火し、標的を狙う」(ヴァン・オヴォスト大将)


C-130はフレア他対抗手段も装備しており、地対空ミサイル攻撃をかわし、前線基地での運用を想定する。では、爆弾投下や攻撃型無人機の指揮統制、さらに空中ミサイル発射機能を付与すればどうなるか。


センサー、攻撃用兵器


なかなか優れた発想だ、とヴァン・オヴォスト大将も認め、輸送機多用途機は今後も高度技術を駆使する大国相手の戦闘を想定し改良していくと述べた。


あらゆる機材が武装軍用機となり、センサー、EW兵器、耐以降手段や攻撃手段を搭載できる。ミッチェル研究所で、ヴァン・オヴォスト大将は航空機動軍団はこれからも輸送機、多用途機の共同マルチドメイン戦への活用を目指し改良を続けると述べた。


「考え方を変える必要がある。今は中心をハイエンド戦に移す段階にある。機動力だけの実現では不十分で、共同部隊の戦力を充実させるべきだ。体制を整え、将来に備える。従来の枠組みを超えた考え方が必要だ」


例としてヴァン・オヴォスト大将は空対地兵器を輸送機に搭載する、攻撃型無人機をC-130やC-17に搭載し、爆弾投下する案に触れ、空中指揮統制機能を持たせるとも発言。


「C-17の各種アンテナを使える。機体の大きさ、重量、出力ともに有効活用できる。ポッドにC2機能を任せ、データ処理し発信する」という。


スカンクワークスは将来を見据えた基本研究や技術革新で有名だが、同時に既存装備に新技術を搭載し、機能を向上させる対策も展開している。ここから空軍がC-130武装化に大きく踏み出している理由がわかり、空対空、空対地ミサイルの運用も同機で実現しそうだ。■


Skunk Works Keeps C-130 War Ready: Here's How

The Lockheed Martin Skunk Works team created the U-2 Spy Plane, F-22 and C-130

KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN

UPDATED:SEP 9, 2021ORIGINAL:SEP 9, 2021




 

2021年5月24日月曜日

C-130が水上機に改装されアジア太平洋で活躍する日が来る....? ハーキュリーズの水陸両用型構想を特殊部隊司令部が検討中

  

MAC C-130

SOCOM

 

 

軍内でC-130ハーキュリーズを水陸両用型へ改装し、沿海部で特殊作戦部隊を運用する構想が再浮上している。MC-130JコマンドーIIの機体下部に大型浮体をつけた図が出ている。MC-130Jは特殊作戦用のハーキュリーズの最新型で敵地に部隊を送り込み、回収し、補給物資を送り、ヘリコプターやティルトローター機に給油も行う。

 

改修案はMC-130J水陸両用機能MACと呼ばれ、米特殊作戦司令部の固定翼機事業統括のケン・キューブラー空軍大佐が本日、特殊作戦部隊業界会議で要旨を発表した。その後に行われたメディア向け説明会でキューブラー大佐は事業の実施可能性検討や作戦検討が進行中であり、司令部は名称非公開の「革新的な事業者」とデジタルデザインを応用し、検討内容をまとめると述べた。これにより研究開発を加速化し、費用を低く抑えるのだという。

 

U.S. AIR FORCE/SENIOR AIRMAN JOHN LINZMEIER

A U.S. Air Force MC-130J Commando II conducts an inflight refueling mission off the coast of Okinawa, Japan.

 

SOCOM

A slide from Colonel Kuebler's briefing that mentions the MAC concept as one of a number of "focus areas" for SOCOM PEO-FW.

 

大佐の発表資料中のコンセプト図を最上段に掲載したが、大型浮体がMC-130Jについているのがわかる。大佐はMACコンセプトでは陸上から、さらに水上から運用可能な機体の実現を目指すと説明。基本形の水上機は陸上運用できないが、浮体部分に車輪を追加して水陸両用とする。その他の可能性として完全な水陸両用機に再設計する案もある。

 

C-130の水上運用案は前からあり、ペンタゴンも検討していた。同機の製造メーカーのロッキードも完全水陸両用型ハーキュリーズを舟艇形態の機体とする案を1960年代にすでに提案したが、採用されていない。ただし、米海軍は無線操縦の縮小モデルで構想をテストしている。同社はその後ロッキード・マーティンになり、C-130Jファミリーを製造しており、MC-130Jもそのひとつだ。

 

LOCKHEED

A model of a C-130 with a boat hull as well as wheeled landing gear.

 

 

 

C-130JにフロートをつけるPEO-FW案は以前からあり、ロッキード・マーティンは1990年代末に提案しており、やはり米海軍がSEALチームの現地展開、撤収用さらに特殊舟艇の輸送用に関心を示した。

 

LOCKHEED MARTIN

Older Lockheed Martin artwork depicting a C-130J floatplane.

 

もちろんハーキュリーズがフロートをつければ抗力と重量が増し性能低下は避けられない。航続距離、搭載量に影響が出るし、大型機でフロートを装着しての運行の事例はない。それでも、水陸両用機の需要を意識して、コンセプト図は従来の水上機の絵を参考にしたもので、実はSOCOMの要求する洋上運用可能なハーキュリーズの姿とは別かもしれない。舟艇同様にした機体構造なら性能低下の度合いも少ないかもしれないが、相当の再設計が必要なはずで、ロッキード・マーティンが実際に作業開始しているとの話はない。

LOCKHEED MARTIN

Another artist's conception of a Hercules floatplane.

 

実際の仕様と別に、水陸両用型MC-130Jが米特殊作戦部門に今までにない特別な能力を実現し、今後の遠征作戦や分散型作戦に効果を上げるかもしれない。米軍は全体として各種作戦構想を検討しており、遠隔かつ未整備地での運用を重視しているのは大型の既存基地が攻撃を受け利用不能となる事態を想定してのことだ。

 

空軍のMC-130J乗員はこうした環境での運用訓練を実際に行っており、コマンドーII以外に旧型MC-130HコンバットタロンIIでもインフラ設備が未整備の地点での運用を試している。同時に米特殊作戦部門は概してハイエンド戦における貢献を再検討しているところで、中国やロシアのような超大国相手の作戦も視野に入れており、とくにアジア太平洋の広大な地域での作戦を重視している。その例としてアジア太平洋の小規模島しょ部分では十分な広さが確保できず飛行施設が整備できないことがある。水陸両用機はこの状況に最適な機材となり、開戦で既存基地施設が敵の脅威下に置かれることを想定している。あるいは第一撃で破壊されてしまうかもしれない。

 

メディア向け説明会でキューブラー大佐は「互角あるいはほぼ互角」の相手との戦闘が発生した場合を想定してMAC事業が急がれていると説明。また太平洋で同機が重宝されるが、同時に水面があればどこでも稼働可能と付け加えた。

 

水陸両用のC-130なら標準型MC-130Jを上回る任務をこなし、MAC機がコマンドーIIと全く同じミッションをこなすのかと聞かれたキューブラー大佐は、「その想定はしていない」と答えた。水上運用可能なハーキュリーズが実現した場合、特殊部隊に限らず米軍の広範な部隊も調達に意欲を示すはずだ。

 

2016年時点の米海兵隊が机上演習の開発にあたり、水上機も利用可能な想定とし、文書には下の図が掲載されていた。フロート装着したセスナ208キャラバン、ボンバルディア(現バイキングエア)のCL-415MP水陸両用機、日本のUS-2水陸両用機を例示し、それぞれの運用行動半径をフィリピンのマニラを起点に示している。

 

U.S. MARINE CORPS

 

海上自衛隊が捜索救難活動用に使うUS-2がここに加わっているのは、太平洋での水上機の枠割が大きいことを強調するものであり、災害救助、捜索救難にも利用可能だからだ。中国も大型水陸用両機AG600の開発を急いでおり、同機は軍用あるいは準軍用用途に投入され、南シナ海各地に建設した拠点設備の支援で大きな役割を果たす。

 

こうしたことを念頭に海軍、海兵隊以外に米沿岸警備隊が水陸両用型ハーキュリーズに関心を示している。沿岸警備隊もC-130を利用しており、水上型機材は長距離捜索救難に投入できれば、洋上条件が許す範囲で生存者を収容し、数千マイル離れていても本土基地に到達できる。沿岸警備隊が1980年代までHU-16アルバトロス水陸両用機を運用していたことに注目すべきだ。

 

ハーキュリーズの水上運用型から森林火災消火用の機材が生まれる可能性があり、州軍航空隊のC-130にもモジュラー式空中消火装備が搭載されているものがある。

 


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BY THOMAS NEWDICK AND JOSEPH TREVITHICK MAY 19, 2021