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2016年6月16日木曜日

★★パイロットが語るA-10の威力>供用期間延長は当然だろう




Visit Warrior

Pilot Intv. - Attack Missions in the A-10

KRIS OSBORN
Yesterday at 12:22 AM


Scout WarriorはこのたびA-10パイロットへの取材機会を得た。パイロットによれば同機はこれまで飛ばした機体の中で「一番頑丈」だという。米空軍は同機を2020年代中頃まで稼働させようとしている。
  1. 敵陣地を攻撃し、整備不完全な飛行場に着陸し、再び離陸し敵戦闘員を30mm機関砲で倒し敵を制圧することを難なく繰り返すA-10にはパイロット陣から「空飛ぶ戦車」の異名がある。地上戦の現場に滞空し地上兵員の生命を近接航空支援で守る。
  2. 「ここまで撃たれても耐えられる機体は他にありませんね。頑丈さは有名です」と語るのはライアン・ヘイデン中佐(第二十三戦闘機集団副司令官、ムーディ空軍基地駐留)でScout Warriorが取材を許された。
  3. A-10パイロットの周囲にはチタン装甲板が何層もあり機体は小火器の銃弾に耐える設計で撃たれても攻撃任務を続けることが可能だ。
  4. 「A-10は敏捷性がなく、機敏に素早く動けませんが、計画的に堂々と威力ある攻撃をしっかりと加えます。作りも飛行も危なっかしいところはまったくありませんね」
  5. ウォートホグの愛称がつくA-10サンダーボルトIIは1970年代後半より供用され数々の戦役で近接航空支援を提供してきた。湾岸戦争、不朽の自由作戦、イラクの自由作戦、コソボ連合軍作戦その他だ。
  6. 戦闘任務で飛行させてヘイデン中佐はあらためてA-10が敵の地上砲火を受けても帰れるように設計されていると実感できたという。「あちこちで冗長性があります。油圧系が一つ故障しても別のものが起動します」
  7. 機内の電子装備が全部使えなくなっても、飛行を続け爆弾投下や30mm機関砲を発射できるとヘイデン中佐は説明する。
  8. 「コンピュータが全部ダウンして目標捕捉ポッドやヘッドアップディスプレイが使えなくなっても精度は落ちますが標的捕捉と攻撃は可能です。この想定で実際に訓練しています」
  9. 他機種が速度、操縦性、空対空ドッグファイトを目指す中で、A-10は30mm機関砲を軸に設計された機体だ。砲はGAU-8/Aガトリング砲である。
  10. 「30mm砲は弾倉7つが付いて機体中央に配置され、弾倉は機体中央線にぴったり合います。機体を地上目標に合わせればいいのです。地上攻撃用にうまく設計されている機体です」
  11. 機関砲には合計1,150発がつき、毎秒70発を発射できる。
  12. ヘイデン中佐は砲の向きは機体とまっすぐに調整されており、他機種のような上方への傾きはないと説明。また風防窓は広く、パイロットは広視野で目標を視認できる。


  1. エンジン二基は高い位置に取り付けてあり非整備地着陸も可能という。エンジンはジェネラルエレクトリックTF34-GE-100だ。
  2. 「砂漠の滑走路に着陸する機体を見たことがありますが、主脚は砂に一フィートは埋まっていましたね。それでもそこで離陸していましたよ」
  3. またエンジンの被弾にパイロットが気付かずに帰還した例がたくさんあるという。
  4. 機体の空力特性とエンジン技術でA-10は低速・低空飛行が可能なため陸上部隊や敵標的に接近できる。
  5. 「主翼はまっすぐで幅広になっています。エンジンはターボファンで燃料消費を考慮して選定されており、推力は理由ではありません。大変効率が良いエンジンで上空待機をしても燃料のことを心配しなくて済みます」

近接航空支援の実態

  1. A-10は高度100フィートで飛行できる。このためパイロットは敵標的を直接視認でき、搭載する爆弾、ロケット弾や30mm砲を味方部隊のすぐ横で発射できる。
  2. 「発砲は本当に近距離で、50メートルも離れていない時があります。地上部隊の隊員の手が動くのが見えるほどです。これだけ接近して低空飛行すれば敵味方を目で区別して射撃できます」
  3. 一方で遠方からの攻撃も可能だという。
  4. A-10は赤外線と電子光学センサーの「ライトニング」と「スナイパー」の二種類のポッドを搭載しパイロットの標的探しを助けてくれる。
  5. 「目標捕捉ポッドはF-15EやF-16と同じ種類ですが、戦闘機では二種類のポッドを使い分けできません。A-10ではソフトウェアでこれが可能です」
  6. A-10が搭載する兵装にはGPS誘導方式の共用直接攻撃弾JDAMの他、GBU38、GBU31、GBU54、Mk82、Mk84、AGM-65マーヴェリックミサイル、AIM-9サイドワインダー、ロケット弾、照明フレア、ジャマーポッド他防御装備がある。各種兵装を16,000ポンド搭載可能で主翼下に8発、胴体下に3発をつり下げるパイロンがあると空軍は説明している。

A-10のエイビオニクス

  1. 攻撃ミッションで飛ぶパイロットは僚機以外に地上部隊とも無線に加えLINK16データリンクで連絡できる。僚機とは文字メッセージを交換できるという。
  2. コックピットはCASS(共通エイビオニクスアーキテクチャシステム)仕様でデジタル式移動地図表示他各種ディスプレイで高度、上昇角、周辺地形や目標データなど関連情報を示してくれる。


  1. パイロットはハイテクヘルメットを装着して目標画像をヘルメットで見ることができる。「目標捕捉ポッドの画像を目の前に投影してみることができます。地上から射撃を受ければその方向を見るだけで目標に設定できるんです」

アナコンダ作戦

  1. 不朽の自由作戦開始後の数か月たち「アナコンダ作戦」と呼ぶ戦闘でヘイデンのA-10は急変する戦闘状況に巻き込まれた。米軍がアフガニスタン山地でタリバン戦闘員に攻撃を加えていた。2002年3月のことでヘイデン中佐はタリバン対空砲陣地を戦闘員もろとも発見し破壊した。
  2. 「谷間の片方から銃火の軌跡がもう一方に向かうのが見えました。どちらが味方なのか識別できませんでした。近接航空支援の標準方法に従い搭載センサーの助けを借りて戦術状況を理解してから攻撃を加えました」

A-10の将来

  1. 議会メンバー、専門家、退役軍人、現役パイロット含む軍関係者の多くが空軍のA-10対処方針の行方を追っている。予算を理由に空軍上層部は以前はA-10全機を今年中に退役させると発言していた。空軍の一部にはA-10退役後もF-16やこれから登場するF-35ステルス多用途戦闘機ならミッションの穴を埋めて近接航空支援を実施できるはずと主張していた。
  2. ただし、これに疑念の声が議会から続出し、ISIS相手にA-10が非の打ちどころのない実績を示してたため、空軍は供用期間を2020年代まで延長した。他機種で近接航空支援の実施は可能との主張に対しては地上部隊の防御と近接航空支援の実施で同機に匹敵する機体はないとA-10支持派は一貫して主張。
  3. 現時点で空軍はA-10の交代あるいは継続使用で三案を実行中で既存機体の改修・保管を検討し、どの機種が交代可能かを検討する、または近接航空支援機種を新たに調達することをめざす。
  4. 近接航空支援機を機体保管場に送り込めば五年間で42億ドルの予算節約になるというのが空軍の以前の説明だった。この金額にはライフサイクル管理関連、機体維持の予算目標値が含まれているが議会メンバーは案を却下している。
  5. 議会内にはA-10支持派が多数あり、空軍方針に公然と疑義を示していた。中でもケリー・アヨッテ上院議員(共、ニューハンプシャー)とジョン・マケイン上院議員が最右翼のA-10支持派だ。


  1. アヨッテ議員は事あるごとに空軍の同機退役方針に反対してきた。
  2. 「A-10で生命を救われた米軍隊員は数多く、アヨッテ議員は後継機種ないのに空軍がA-10を時期尚早に退役させることを憂慮しています。近接航空支援でギャップが生まれれば危険にさらされるのは兵士の命ですから」とアヨッテ議員のスタッフが説明している。マケイン議員は上院軍事委員会委員長として空軍がA-10の供用期間を延長したことを歓迎している。
  3. 「空軍がA-10を2017年度まで稼働延長する決定をしたことを好意的に受け止める。これでわが軍地上部隊は死活的な近接航空支援を世界各地で受けられる。現時点でA-10部隊はISILとの闘いで不可欠な役割についているほか、ロシアの野望を東ヨーロッパで食い止めるNATOを支援している」とマケイン議員は声明文を発表している。
  4. ISIS相手の攻撃ではA-10は極めて高い成果を示して、同機への需要は高く、これが決定の変更につながったともいわれる。
  5. 「世界各地の情勢が混とんとしている中で最高の近接航空支援機材を後継機の当てがないまま早まって引退させる余裕はない。オバマ政権が2017年度予算要求を数週間以内に提出するが、A-10の継続飛行で米軍部隊の防御に充て危険な状況に放り込まれた兵士が助けられるよう希望する」
  6. A-10は2020年代にも飛行するのは確実だが、後継機種を巡る議論が活発になるのは必至だろう。■


2013年9月23日月曜日

米空軍は発想の転換を 低コスト機の開発を真剣に考えるべき

       

Editorial: USAF Should Be Open To Low-Cost Aircraft

Source: Aviation Week & Space Technology
aviationweek.com September 16, 2013
Credit: USAF

1947年の創設以来一貫して米空軍はハイエンド機機材を求めてきた。発足時の第一線機は軽量P-51マスタングとF-86セイバーだったが、その後重量級F-105サンダーチーフ、F-106デルタダートそしてF-111(正式名称なし)へと変遷していく。
  1. ベトナム戦争では機関銃を装備した高機動戦闘機が必要と痛感されたが、空軍の理解は重量級双発F-15イーグルとして実現した。この裏では通称「戦闘機マフィア」の空軍将校および民間人アナリストが一緒になり、軽量級戦闘機の必要を訴えていた。
  2. その結果生まれたのがF-16で最も成功した戦闘機という評価もあるが、同機はローエンドとしてF-15とのハイローミックスで生まれたもの。だが空軍はすぐ昔どおりのやり方に戻り、ステルスだが大重量で高価なF-22ラプターを開発し、同機のハイローミックスのローエンドがF-35共用打撃戦闘機となるはずだったが、F-35はとても軽量とは言えず、戦闘機というよりも攻撃機の性格が強い。
  3. F-22調達は190機弱に削減され、F-35はコストと日程で大きなプレッシャーを受け続けている。一方で空軍はアフガニスタン上空でF-15、F-16やB-1を周回飛行させて情報収集監視偵察任務に投入することで数百万ドルを毎日支出している。今こそ空軍の思考型式を再構築すべきではないだろうか。
  4. 空軍の元将官、元将校が業界の「一匹狼」テキストロンと組んで、新思考で自費開発を低運行費の戦闘航空機開発を開始している。同機はスコーピオンの名称で近接航空支援機としてA-10やF-16に替わるものとなるが、軽量攻撃機スーパートゥカーノやISR機材キングエアよりは上位の位置づけになる。
  5. 同じような事例があった。60年代初頭に海兵隊の一部将校が対ゲリラ戦機材を提唱し、これをノースアメリカンがOV-10ブロンコとして実現、同機は成功事例とされる。70年代初頭に戦闘機マフィアがF-16、F/A-18を生んだ。ジェネラルアトミックスはプレデター原型機を入手し、空軍とペンタゴンに無人機運航を忍耐強く説得し、その後戦闘のあり方を変ええている。
  6. 一方で内部外部から考え方を変えようとする試みには失敗例も多くある。80年代初めにノースロップは自社費用でF-20をF-5発展系として開発したものの、政府がF-16輸出を解禁したことで頓挫している。80年代なかごろにはボーイングがアレス低価格攻撃機を提唱し、今回のスコーピオンと似た構想だったが結局失敗している。
  7. では今回は退役将官とビジネスジェット機、ヘリコプター、ゴルフカーとノ生産で知られる民会会社のチームが過去にうまく行かなかった試みを成功させられるだろうか。課題は空軍に過去の経験を学ばせて再度ハイローミックスを戦闘の実態に合う形として実現できるかだろう。
   

       
上記記事に対するオリジナル読者コメント
  • この案件でメーカーは固定価格を提示すべきだろう。コスト上昇分を政府が全部負担した時代は去り、新兵器の購入は新車購入と同じく買い手は正価を払うべきだろう。議会は兵器システムのコスト超過事例にうんざりしており、米空軍は確実な固定価格を提案すべきだ。
  • 国防産業を存続させるためにも大手業者は自社費用による開発を行い、成果物を完成させてから軍に売り込みをかけるべきではないか。まさしくこの方法で海外政府は米国製防衛装備を購入しているのであり、米国は例外というのは認められない。
  • DoDが過剰性能の案件すべてに過剰支出するようなことはもうやめるべきだ。これでは米国は破産に追い込まれる。
  • F-15,F-16,F-18でそれぞれ近代化改修の提案があり、電子装備、ステルス性の向上がうたわれているが、各機はすでに世界最高級の機材であることは証明済みであり、各機の生産継続には意味がある。第三世代、4.5世代機に改修を加えれば2020年代までは十分通用するのではないか。
  • 米空軍以外は単一目的の機材を発注しているが、米空軍は多用途機を発注して価格、性能への影響を無視する過ちを繰り返している。
  • 低コスト機を米空軍が開発するのであれば第五世代機でなくてはならない。つまり、最低限でも全領域ステルス性、兵装内部搭載、センサー融合,AESAレーダーが必要。つまり第四世代機を改修しても敵が第五世代機を配備した環境では優越性を確立できない。仮に米空軍がF-35を中止しても中国、ロシアがそれに応じて自国の第五世代機開発を中止することはない。仮に米空軍がF-35を中止しグリペンを採用するのであれば、70年代にF-16を取りやめてヴィゲンを導入するのと同じだ。米空軍、NATO双方に良い結果をもたらすとは思えない。
  • ダグラスA-1スカイレイダーは傑出した安価な地上攻撃機だった。アフガニスタン戦役の後半に同じ構想で設計した機材を投入できればよかったのだが。実際には空軍も海軍も第一線ジェット機を石器時代の軍事技術を用いる敵に投入している。F-18を地上攻撃に使って何十億ドルを浪費してきたのだろうか。
  • 米空軍はどんどん空っぽの組織になってきた。機材の平均機齢は高くなる一方だ。ごく少数で使用自体がリスクになる高価格の機体しか配備されないとどうなるか。F-22は一回も実戦投入されていない。非常に低価格だが高性能のグリペンの発注に賛成だが、土壇場でスペックを変更してそれまでの努力を無駄にすることは避けたい。(大統領専用ヘリでのばかげたスペックとコスト上昇の例がある)
  • 同時進行する多方面戦闘では一番状況が厳しい戦線に最優秀機材を投入し、そうでない方面に低価格機材を配備すべきだ。低脅威の戦場に高価格機材を投入し続ければ破産してしまう。あるいはいつも最悪のシナリオを想定していても同じだ。海軍にはF-18の三ないし四飛行隊が改修を待ち、稼動していない状態で各機1ないし3百万ドルかけ機体寿命延長を待っているが予算不足あるいは人員不足で計画通り進んでいない。新型F-18EF調達を毎年2機削れば既存F-18C/D/E/Fが40から50機改修する予算が捻出できるのだが。
  • アフガン戦線でT-6、トゥカーノのどちらが優れているか論争があるが、なぜOV-10のエンジン換装型を投入できないのかどうしても理解できない。未整地飛行場での運用性と単純な機構により同機はアフガニスタンの作戦環境に合うはずだ。
  • スコーピオン構想は低脅威ミッションで異なる状況に柔軟対応できそうだ。機体を複雑な構造にしても低脅威ミッションでは決定打になない。むしろ柔軟性が肝要だ。今日の機体そのものがコンピューターの格納容器になっているのが現状だ。
  • A-10の代わりになる機材はひとつしかない。A-10を増産すべきだ。F-35はあまりにも高価であるが、既存機材に匹敵する性能はない。ではF-15等の改修はどうかというと、はるかに安価でそれでも相当の性能を実現できる。F-22の役割は開戦時に航空融雪製を確保することでその後は安価で作戦に適応した機材を投入すべきだ。その意味でA-10の代わりになる機材はない。
  • 家計収入支出の基礎講座をアナポリス、ウェストポイント、空軍士官学校では勉強していないようだ。
  • ハイローミックス構造は常に有効。ローエンド機材に対する航空優勢確保は過剰投入になる。第五世代機による航空優勢確保には利点があり今後も米空軍の基本となろう。しかし、ローエンドもしっかりとデマケされて今後も成長していく。 AT-6/A-29なら過去20年で発生した紛争の大部分で有効な攻撃支援機材となる。A-10は基本的に対戦車攻撃任務の地上支援機材であり、その設計思想は次の機材に一部継承されようが、新型機はフルダ渓谷で敵戦車を釘付けにする必要はもはや存在しないのだ。精密兵器と目標捕捉技術の進歩で搭載兵器を目的地に運び、自機を防御することだけすればよくなった。一機ですべての任務を果たすのは不可能。
  • はっきりさせよう。機材はアメリカ製にすべき。
  • 第五世代機がステルス性を維持できるのは兵装、燃料を着たい内部に搭載してこそ。中国のJ-20は十分な機体寸法があり、Su-50も機内搭載で空対空任務をこなす設計だ。一方F-35はこの点で機体が小さすぎ、爆弾投下も風量が低いことが条件なので、視認誘導のSAMの標的になろう。低コスト機材の役割は①防御的正確の短距離交戦 ②ステルス機の模擬飛行特性再現 とし第五世代機のライフサイクルコストを節約すべきだ。